JP2000273041A - グルタミン酸細胞毒性による神経細胞死の阻害剤 - Google Patents

グルタミン酸細胞毒性による神経細胞死の阻害剤

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JP2000273041A
JP2000273041A JP2000009586A JP2000009586A JP2000273041A JP 2000273041 A JP2000273041 A JP 2000273041A JP 2000009586 A JP2000009586 A JP 2000009586A JP 2000009586 A JP2000009586 A JP 2000009586A JP 2000273041 A JP2000273041 A JP 2000273041A
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inhibitor
disease
nerve cell
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JP2000009586A
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English (en)
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Tomiichirou Oda
富一郎 尾田
Shigeko Deguchi
滋子 出口
Atsushi Harada
淳 原田
Isao Kaneko
勲 金子
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Sankyo Co Ltd
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Sankyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、チアゾリジンジオン化合物を有効成
分として含有する、グルタミン酸細胞毒性による神経細
胞死の阻害剤を提供する。 【解決手段】チアゾリジンジオン化合物を有効成分とし
て含有する、グルタミン酸細胞毒性による神経細胞死の
阻害剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チアゾリジンジオ
ン化合物を有効成分として含有する、グルタミン酸細胞
毒性による神経細胞死の阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】グルタミン酸は中枢神経系において興奮
性情報伝達を担う主要な神経伝達物質であるが、一方
で、様々な神経系の疾患における神経細胞死に関与する
ことが報告されている。
【0003】例えば、虚血障害(例えば、脳卒中、脳出
血、脳梗塞)、炎症性脳疾患(例えば、脳炎後遺症、急
性散在性脳髄膜炎、細菌性髄膜炎、結核性髄膜炎、ウィ
ルス性髄膜炎、ワクチン性髄膜炎)、神経変性疾患(例
えば、アルツハイマー病、頭部外傷、脳性麻痺、ハンチ
ントン病、ピック病、ダウン症、パーキンソン病、エイ
ズ脳症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、小脳失調
症)などの神経系の疾患における神経細胞死への関与が
報告されている[J. Cereb.Blood Flow Metab., 19, 58
3-591 (1999); Trends Neurosci., 18, 57-58 (1995);
Nature, 399, Supp A7-14 (1999); Science, 262, 689-
695 (1993); Trends Pharmacol. Sci.,11,379-387(199
0), N. Engl. J. Med., 330, 613-622(1994)]。
【0004】脳卒中における低酸素・低グルコース条件
下で虚血状態となった神経細胞は、アデノシン5’-三
リン酸(ATP)の枯渇により脱分極して過剰なグルタミン
酸を放出する。この過剰量のグルタミン酸によりグルタ
ミン酸受容体を介してカルシウムが神経細胞内に流入
し、神経細胞死が惹起されることが知られている[N. E
ngl. J. Med., 341, 1543-1544 (1999);Trends Neurosc
i., 22, 451-458 (1999);Ann. Neurol., 19, 105-111
(1986);Trends Neurosci., 11, 465-469(1988);Trends
Pharmacol. Sci., 11, 462-468 (1990)]。また、アル
ツハイマー病においては、病理学的な特徴である神経原
繊維変化はグルタミン酸作動性神経細胞に主として生じ
ること[J. Neurosci., 5, 2801-2808 (1985); Proc. N
atl. Acad.Sci. U. S. A., 82, 4531-4534 (1985)]
や,もう一つの病理学的な特徴である老人斑の構成成分
であるβアミロイドによって神経細胞のグルタミン酸感
受性が高まるとの報告もされている[Brain Res., 533,
315-320 (1990); J. Neurosci., 12, 376-389 (199
2)]。さらに、サルへの1−メチル−4−フェニル−
1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)投与による
黒質ドーパミン作動性神経細胞の脱落は、従来パーキン
ソン病モデルとして広く用いられてきたが、この神経細
胞脱落をグルタミン酸受容体アンタゴニストが抑制する
と報告されている[J. Neurochem., 59, 733-739 (199
2); Naunyn-Schmiedebergs Arch. Pharmacol., 348, 58
6-592 (1993)]ことなどからパーキンソン病へのグルタ
ミン酸の関与も提唱されている。またさらに、筋萎縮性
側索硬化症においては、グルタミン酸合成・放出の亢進
[J. Neurol. Neurosurg. Psychiatry, 54, 984-988 (1
991)]やグルタミン酸取りこみ障害[N. Engl. J. Me
d., 326, 1464-1468 (1992)]に基づくと考えられるグ
ルタミン酸代謝異常が認められること[Ann.Neurol., 2
2,575-579 (1987)]などから、病態へのグルタミン酸の
関与が報告されている。したがって、グルタミン酸によ
る神経細胞死を抑制することは、これら疾患を始めとす
る神経系の疾患の予防又は治療に有用であると考えられ
る。
【0005】本願発明の先行技術としては、以下のもの
がある。
【0006】(1)USP5326770号公報 本公報には、モノアミンオキシダーゼB(MAO−B)
阻害作用を有する化合物として以下一般式(A)
【0007】
【化1】 [上記式中、Aは1乃至2個の置換基で置換されてもよ
い5乃至10員ヘテロ環基であり、Xは酸素原子であ
り、aは単結合であり、Yは水素原子であり、mは0乃
至6であり、nは1乃至6である。]を有する化合物が
開示されており、上記作用により改善される疾病として
「アルツハイマー病等の神経変性疾患」が開示されてい
る。
【0008】本願発明のチアゾリジンジオン化合物を含
有する医薬組成物は、グルタミン酸細胞毒性を抑制する
ことにより神経細胞死を阻害する作用を有しているが、
本公報には、上記化合物(A)がMAO−B阻害作用に
よって神経変性疾患を予防または治療に有用である旨の
記載があるのみであり、グルタミン酸細胞毒性を抑制す
ることにより神経細胞死を阻害するという作用は開示も
示唆もされておらず、MAO−B阻害作用からグルタミ
ン酸細胞毒性の抑制作用を関連させるような事実も知ら
れていない。
【0009】(2)WO97/40017号公報 本公報には、ホスファターゼ(PTPase)阻害作用
を有する化合物として以下一般式(B)
【0010】
【化2】 [上記式中、Lは式A1−Y1−(W1)−X−(W2)−
2−を有する基であり、A1は置換されてもよいヘテロ
アリール基であり、Xは単結合であり、Y1及びY2は単
結合、−O−であり、XはC1−C6アルキレン基であ
り、W1及びW2は単結合であり、Ar1はアリール基で
あり、R1はC1−C6アルキレン基であり、Aは2,4
−ジオキソチアゾリジニル基である。]を有する化合物
が開示されており、上記作用により改善される疾病とし
て「アルツハイマー病等の脳における疾患」が開示され
ている。
【0011】本願発明のチアゾリジンジオン化合物を含
有する医薬組成物は、グルタミン酸細胞毒性を抑制する
ことにより神経細胞死を阻害する作用を有しているが、
本公報には、上記化合物(B)がホスファターゼ(PT
Pase)阻害作用を有することによって脳疾患を予防
または治療に有用である旨の記載があるのみであり、グ
ルタミン酸細胞毒性を抑制することにより神経細胞死を
阻害するという作用は開示も示唆もされておらず、ホス
ファターゼ(PTPase)阻害作用からグルタミン酸
細胞毒性の抑制作用を関連させるような事実も知られて
いない。
【0012】(3)WO97/46238号公報 本公報には、内皮細胞活性を改善する作用を有する化合
物として以下一般式(C)
【0013】
【化3】 [上記式中、R1、R2、R4及びR5はC1−C5アルキル
基であり、R3は水素原子であり、WはCH2であり、Y
及びZは酸素原子であり、nは1乃至3の整数であ
る。]を有する化合物が開示されており、上記作用によ
り改善される疾病として「アルツハイマー病のような神
経変性疾患」が開示されている。
【0014】本願発明のチアゾリジンジオン化合物を含
有する医薬組成物は、グルタミン酸細胞毒性を抑制する
ことにより神経細胞死を阻害する作用を有しているが、
本公報には、上記化合物(C)が内皮細胞活性の改善作
用によって神経変性疾患を予防または治療に有用である
旨の記載があるのみであり、グルタミン酸細胞毒性を抑
制することにより神経細胞死を阻害するという作用は開
示も示唆もされておらず、更に内皮細胞は血管内に存在
する細胞であるので神経細胞とは全く異なり、内皮細胞
活性の改善作用からグルタミン酸細胞毒性の抑制作用を
関連させるような事実も知られていない。
【0015】(4)WO98/39967号公報 本公報には、血中インスリンレベルの低下作用を有する
化合物としてチアゾリジンジオン化合物が開示されてお
り、上記作用により改善される疾病として「アルツハイ
マー病」が開示されている。
【0016】本願発明のチアゾリジンジオン化合物を含
有する医薬組成物は、グルタミン酸細胞毒性を抑制する
ことにより神経細胞死を阻害する作用を有しているが、
本公報には、チアゾリジンジオン化合物が上記血中イン
スリンレベルの低下作用によってアルツハイマー病を予
防または治療に有用である旨の記載があるのみであり、
グルタミン酸細胞毒性を抑制することにより神経細胞死
を阻害するという作用は開示も示唆もされておらず、更
に血中インスリンレベルの低下作用がNTP(Neural T
reated Protein)活性を阻害する作用は開示されている
が、血中インスリンレベルの低下作用からグルタミン酸
細胞毒性の抑制作用を関連させるような記載は全くな
く、事実も知られていない。
【0017】また、本公報には、改善される疾病として
はアルツハイマー病のみが開示されているが、本願発明
のチアゾリジンジオン化合物によって改善される疾病と
してはアルツハイマー病を含め、虚血障害や炎症性脳疾
患をも含有する。
【0018】(5)WO99/25346号公報 本公報には、アポトーシス抑制作用を有する化合物とし
て、以下一般式(D)
【0019】
【化4】 [上記式中、Rは置換されてもよい複素環基であり、Y
は−CO−で示される基であり、m及びnは0であり、
1は水素原子であり、XはCHであり、Aは結合手で
あり、L及びMは水素原子であり、Qは硫黄原子であ
る。]を有する化合物及びインスリン感受性増強作用を
有する化合物が神経変性疾患の治療剤又は予防剤として
開示されている。
【0020】本願発明のチアゾリジンジオン化合物を含
有する医薬組成物は、グルタミン酸細胞毒性を抑制する
ことにより神経細胞死を阻害する作用を有しているが、
本公報には、上記化合物(D)又はインスリン感受性増
強作用を有する化合物がアポトーシス抑制作用によって
神経変性疾患を予防または治療に有用である旨の記載が
あるのみであり、グルタミン酸細胞毒性を抑制すること
により神経細胞死を阻害するという作用は開示も示唆も
されていない。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、チアゾ
リジンジオン化合物の医薬としての用途について鋭意研
究を行った結果、チアゾリジンジオン化合物が優れたグ
ルタミン酸細胞毒性を抑制することにより神経細胞死を
阻害することを見出し、本発明を完成した。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1) チア
ゾリジンジオン化合物を有効成分として含有する、グル
タミン酸細胞毒性による神経細胞死の阻害剤に関する。
【0023】好適には、(2) チアゾリジンジオン化
合物がピオグリタゾンである、(1)に記載の神経細胞
死の阻害剤、(3) チアゾリジンジオン化合物がロジ
グリタゾンである、(1)に記載の神経細胞死の阻害
剤、(4) チアゾリジンジオン化合物がトログリタゾ
ンである、(1)に記載の神経細胞死の阻害剤、(5)
チアゾリジンジオン化合物が、5−[4−(2−メチ
ル−6−ニトロ−4−オキソクロマン−2−イルメトキ
シ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンである、
(1)に記載の神経細胞死の阻害剤、(6) チアゾリ
ジンジオン化合物が、5−[4−(6−アミノ−2,
5,7,8−テトラメチル−4−ヒドロキシクロマン−
2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−
ジオンである、(1)に記載の神経細胞死の阻害剤、
(7) チアゾリジンジオン化合物が、5−[4−(6
−アミノ−2,5,7,8−テトラメチル−4−オキソ
クロマン−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン
−2,4−ジオンである、(1)に記載の神経細胞死の
阻害剤、(8) 神経系の疾患の予防又は治療のため
の、(1)乃至(7)から選択されるいずれか1項に記
載の神経細胞死の阻害剤、(9) 神経系の疾患が虚血
障害である、(8)に記載の神経細胞死の阻害剤、(1
0) 神経系の疾患が脳卒中である、(8)に記載の神
経細胞死の阻害剤、(11) 神経系の疾患が炎症性脳
疾患である、(8)に記載の神経細胞死の阻害剤、(1
2) 神経系の疾患が神経変性疾患である、(8)に記
載の神経細胞死の阻害剤、(13) 神経変性疾患がア
ルツハイマー病である、(12)に記載の神経細胞死の
阻害剤、(14) 神経変性疾患がパーキンソン病であ
る、(12)に記載の神経細胞死の阻害剤を挙げること
ができる。
【0024】上記における「チアゾリジンジオン化合
物」としては、例えば、5−[4−(2−(5−エチル
ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル]チアゾリジ
ン−2,4−ジオン(以下、ピオグリタゾンという。)
が記載されている特開昭55−22636号公報(EP
0008203A)、5−[4−(6−ヒドロキシ−
2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イルメト
キシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(以
下、トログリタゾンという。)が記載されている特開昭
60−51189号公報(EP0129421A)、特
開昭61−271287号公報(EP0207605
A)、5−[4−(2−(N−メチル−N−(ピリジン
−2−イル)アミノ)エトキシ)ベンジル]チアゾリジ
ン−2,4−ジオン(以下、ロジグリタゾンという。)
が記載されている特開平1−131169号公報(EP
0306228A)、特開平6−247945号公報
(EP0604983A)、5−[4−(6−メトキシ
−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イルメ
トキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンが記
載されている特開平9−295970号公報(EP07
45600A)等の公報に、糖尿病治療薬として記載さ
れた化合物、特開昭64−38090号公報(EP02
77836A)に記載されている一般式(I)を有する
化合物の範囲に含有される化合物を挙げることができ、
好適な化合物としては、ロジグリタゾン、ピオグリタゾ
ン、トログリタゾン、5−[4−(2−メチル−6−ニ
トロ−4−オキソクロマン−2−イルメトキシ)ベンジ
ル]チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[4−(6−
アミノ−2,5,7,8−テトラメチル−4−ヒドロキ
シクロマン−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジ
ン−2,4−ジオン又は5−[4−(6−アミノ−2,
5,7,8−テトラメチル−4−オキソクロマン−2−
イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオ
ンであり、更に好適には、ロジグリタゾン、トログリタ
ゾン、5−[4−(2−メチル−6−ニトロ−4−オキ
ソクロマン−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジ
ン−2,4−ジオン、5−[4−(6−アミノ−2,
5,7,8−テトラメチル−4−ヒドロキシクロマン−
2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−
ジオン、又は5−[4−(6−アミノ−2,5,7,8
−テトラメチル−4−オキソクロマン−2−イルメトキ
シ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンであり、
最も好適には、トログリタゾン、5−[4−(2−メチ
ル−6−ニトロ−4−オキソクロマン−2−イルメトキ
シ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン、5−
[4−(6−アミノ−2,5,7,8−テトラメチル−
4−ヒドロキシクロマン−2−イルメトキシ)ベンジ
ル]チアゾリジン−2,4−ジオン、又は5−[4−
(6−アミノ−2,5,7,8−テトラメチル−4−オ
キソクロマン−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリ
ジン−2,4−ジオンである。
【0025】上記「チアゾリジンジオン化合物」は、ア
ミノ基のような塩基性の基を有する場合には酸と反応さ
せることにより、又、カルボキシ基のような酸性基を有
する場合には塩基と反応させることにより、各々塩にす
ることができるのでその塩も含有する。
【0026】塩基性基に基づく塩としては、好適には、
弗化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩の
ようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸
塩、燐酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフ
ルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のよう
な低級アルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、
p−トルエンスルホン酸塩のようなアリ−ルスルホン酸
塩、酢酸塩、りんご酸塩、フマ−ル酸塩、コハク酸塩、
クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マ
レイン酸塩等の有機酸塩;及び、グリシン塩、リジン
塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、ア
スパラギン酸塩のようなアミノ酸塩を挙げることができ
る。
【0027】一方、酸性基に基づく塩としては、好適に
は、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなア
ルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のような
アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩等の金属
塩;アンモニウム塩のような無機塩、t−オクチルアミ
ン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミ
ン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレン
ジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、
ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキ
シルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン
塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノール
アミン塩、N−ベンジルフェネチルアミン塩、ピペラジ
ン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキ
シメチル)アミノメタン塩のような有機塩等のアミン
塩;及び、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オル
ニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のような
アミノ酸塩を挙げることができる。そのような塩として
は、好適には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩
のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム
塩のようなアルカリ土類金属塩を挙げることができる。
【0028】上記「チアゾリジンジオン化合物」は、大
気中に放置したり、又は、再結晶をすることにより、水
分を吸収し、吸着水が付いたり、水和物となる場合があ
り、そのような水和物も本発明の塩に包含される。
【0029】上記「チアゾリジンジオン化合物」は、そ
の分子内に不斉炭素原子が存在する場合があるので、種
々の異性体を有する。本発明はこれらの異性体およびこ
れらの異性体の任意の割合の混合物をもすべて含むもの
である。
【0030】上記における「神経細胞死」には、ネクロ
ーシスとアポトーシスの二つのタイプがある。
【0031】ネクローシスとは、虚血などのように病的
状態で一団の細胞に生じる死を示す。すなわち、様々な
外的要因により細胞の崩壊及び自己融解が起こる。
【0032】一方、アポトーシスとは、動物の健常組織
における細胞のターンオーバーや種々の臓器の発生段階
において不要な細胞を除去する際など、様々な原因によ
り細胞が自発的に自分自身を殺す機構を活性化して死ん
でいく状態である。
【0033】神経細胞死は、様々な神経系の疾患を引き
起こす。神経細胞死を起こす原因としては、例えば、グ
ルタミン酸により誘発される神経毒性(グルタミン酸細
胞毒性)やカスパーゼ(例えば、カスパーゼ3、カスパ
ーゼ9を挙げることができる。)活性化が挙げられ、特
に、グルタミン酸細胞毒性はアポトーシス及びネクロー
シス両方、つまり全般的な神経細胞死の危険因子として
知られている。
【0034】上記における「神経系の疾患」としては、
例えば、虚血障害(例えば、脳卒中、脳出血、脳梗
塞)、炎症性脳疾患(例えば、脳炎後遺症、急性散在性
脳髄膜炎、細菌性髄膜炎、結核性髄膜炎、真菌性髄膜
炎、ウイルス性髄膜炎、ワクチン性髄膜炎)、神経変性
疾患(例えば、アルツハイマー病、頭部外傷、脳性麻
痺、ハンチントン病、ピック病、ダウン症、パーキンソ
ン病、エイズ脳症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化
症、小脳失調症)を挙げることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】チアゾリジンジオン化合物を上記
治療剤又は予防剤として使用する場合には、それ自体或
は適宜の薬理学的に許容される、賦形剤、希釈剤等と混
合し、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤若しく
はシロップ剤等による経口的又は注射剤若しくは坐剤等
による非経口的に投与することができる。
【0036】これらの製剤は、賦形剤(例えば、乳糖、
白糖、葡萄糖、マンニトール、ソルビトールのような糖
誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、
α澱粉、デキストリンのような澱粉誘導体;結晶セルロ
ースのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキス
トラン;プルランのような有機系賦形剤:及び、軽質無
水珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、メタ
珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;燐
酸水素カルシウムのような燐酸塩;炭酸カルシウムのよ
うな炭酸塩;硫酸カルシウムのような硫酸塩等の無機系
賦形剤を挙げることができる。)、滑沢剤(例えば、ス
テアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マ
グネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロ
イドシリカ;ビーガム、ゲイ蝋のようなワックス類;硼
酸;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリ
コール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;DLロイシ
ン;脂肪酸ナトリウム塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラ
ウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水
珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;及び、上記澱粉誘導
体を挙げることができる。)、結合剤(例えば、ヒドロ
キシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、及
び、前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができ
る。)、崩壊剤(例えば、低置換度ヒドロキシプロピル
セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチ
ルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;カ
ルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナ
トリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾
されたデンプン・セルロース類を挙げることができ
る。)、安定剤(メチルパラベン、プロピルパラベンの
ようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノー
ル、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールの
ようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノー
ル、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;
デヒドロ酢酸;及び、ソルビン酸を挙げることができ
る。)、矯味矯臭剤(例えば、通常使用される、甘味
料、酸味料、香料等を挙げることができる。)、希釈剤
等の添加剤を用いて周知の方法で製造される。
【0037】その使用量は、症状、年齢等により異なる
が、経口投与の場合には、1回当り1日下限0.1mg
(好適には、1mg)、上限1000mg(好適には、
500mg)を、静脈内投与の場合には、1回当り1日
下限0.01mg(好適には、0.1mg)、上限50
0mg(好適には、200mg)を成人に対して、1日
当り1または数回に分けて、症状に応じて投与すること
が望ましい。
【0038】
【実施例】以下に、実施例、製造例及び製剤例を示し、
本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら
に限定するものではない。
【0039】実施例1.グルタミン酸細胞毒性の抑制作
用(1) グルタミン酸細胞毒性により起こる神経細胞死の抑制作
用を、以下の方法を用いて評価した[赤池昭紀,日薬理
誌, 103, 198-201 (1994)]。
【0040】本試験方法は、神経細胞に化合物を加えた
直後にグルタミン酸を添加し、その細胞毒性が抑制され
ているかどうか評価する方法である。
【0041】すなわち、胎生18日齡のWistar系ラット
より脳を取り出し,氷冷下で大脳皮質を切り出した。こ
の大脳皮質をDMEM培地(岩城硝子社製)中でピペッ
ティングで細分化し、ウシ胎児血清(PAA社製)を添
加して1000rpmで5分間遠心した後、上清を捨
て、10%ウシ胎児血清を含むDMEM培地を加えて組
織を分散させ、70μmナイロンメッシュ(ファルコン
社製)に通した。血球計算盤で細胞数を計数した後、ポ
リリジンでコーティングされた96穴プレート(住友ベ
ークライト社製)に3−4×104細胞/穴の密度でま
き、37℃、5%CO2インキュベーターで培養した。
培養1時間後に神経細胞培養液(住友ベークライト社
製)に交換した。14日目にグルタミン酸による神経細
胞死試験を実施した。すなわち、神経細胞培養液を交換
し、本願発明の化合物、0.3mMのグルタミン酸の順
に添加した後、24時間培養した。神経細胞死を起こし
た細胞から漏出したLDH量(LDH遊離量)をLDH
assay kit(プロメガ社)で測定した。本願発
明の化合物はDMSOに溶解させ、更にphosphate-buff
ered saline (PBS)で所定濃度に希釈して用いた。
対照としてはDMSOのみを同様にPBSで希釈したも
の(PBS群)を用いた。
【0042】本願発明の化合物の細胞死抑制率を以下の
計算式により求めた。 細胞死抑制率(%)=(ク゛ルタミン酸群のLDH遊離量−ク゛ルタミン
酸及び本願発明の化合物群のLDH遊離量)×100/(ク゛ルタミン
酸群のLDH遊離量−PBS群のLDH遊離量)
【0043】
【表1】 本願発明の化合物 細胞死抑制率(%) トログリタゾン(20μg/ml) 79
【0044】上記の結果、本願発明の化合物は優れたグ
ルタミン酸細胞毒性による神経細胞死阻害作用を示し
た。
【0045】実施例2.グルタミン酸細胞毒性の抑制作
用(2) 本試験方法は、神経細胞にグルタミン酸を15分間添加
した後、グルタミン酸フリーの状態にして75分後に化
合物を加え、神経細胞死が阻害されているかどうか評価
する方法である。
【0046】すなわち、生後7−8日齢のWistarラット
をエーテル深麻酔後、小脳を摘出した。パパイン ( 9 U
/ml) にて37℃、15分処理によって分散させた細胞
懸濁液をpoly-L-lysine ( 25 μg/ml ) でコ−トした培
養プレ−トに 4-8 x 105 cells/cm2 の密度で播種して
培養液(10% ウシ胎仔血清,20 mM KClを含むMEM)中3
7℃、5% CO2/95% airで培養した。翌日に20 μM cytos
ine arabinofuranoside を含む等量の培養液を追加し、
必要に応じて培養10日目にグルコースを添加した。小脳
顆粒細胞培養11‐12日目にグルタミン酸による神経細胞
死試験を実施した。すなわち、培養液をマグネシウム不
含Hanks' Balanced Salt Solutions (1.26 mM CaCl2, 2
0 mM HEPESを含む)に交換し、0.3 mMグルタミン酸添加
後15分間室温インキュベーションし、5% 透析済みウシ
胎仔血清、 20 mM HEPES、 25 mMKClを含むMEMに培地を
交換し、その75分後に本願発明の化合物を添加した。24
時間培養後、神経細胞死を起こした細胞から遊離したLa
ctose Dehydrogenase量 (LDH遊離量)を測定した。本
願発明の化合物はDMSOに溶解し、更に0.1% 牛血清アル
ブミン(BSA)を含むPBSで所定濃度に希釈して用いた。
対照としてはDMSOのみを同様に希釈したもの(PBS群)
を用いた。
【0047】本願発明の化合物の細胞死抑制率を以下の
計算式により求めた。 細胞死抑制率 (%) = (グルタミン酸群のLDH遊離量―グ
ルタミン酸及び本願発明の化合物群のLDH遊離量)x100
/(グルタミン酸群のLDH遊離量―PBS群のLDH遊離量)
【0048】
【表2】 本願発明の化合物 細胞死抑制率(%) トログリタゾン(20μg/ml) 58 トログリタゾン(5μg/ml) 38 製造例1の化合物(5μg/ml) 47 製造例2の化合物(5μg/ml) 47 製造例3の化合物(5μg/ml) 72
【0049】上記の結果、本願発明の化合物は優れたグ
ルタミン酸細胞毒性の抑制作用を示した。
【0050】製造例15−[4−(6−アミノ−2,5,7,8−テトラメチ
ル−4−オキソクロマン−2−イルメトキシ)ベンジ
ル]チアゾリジン−2,4−ジオン (1a)5−[4−(2−オキソプロポキシ)ベンジ
ル]−3−トリフェニルメチルチアゾリジン−2,4−
ジオン 5−(4−ヒドロキシベンジル)−3−トリフェニルメ
チルチアゾリジン−2,4−ジオン120g、炭酸セシ
ウム126g及びアセトン2.5lの混合物にブロモア
セトン35mlを室温で滴下した後に、2.5時間撹拌
した。反応混合物より溶剤を留去し、得られた残渣に水
を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、次いで飽和
食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。
抽出液より酢酸エチルを留去し、得られた油状の残渣を
酢酸エチル、ジエチルエーテル及びジイソプロピルエー
テルを加えた後に超音波処理して結晶化した。結晶を濾
取し、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル次い
でn−ペンタンで洗浄することにより淡黄色粉末の目的
化合物118.3gが得られた。 融点:135℃−140℃。
【0051】(1b)5−[4−(2−オキソプロポキ
シ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン 5−[4−(2−オキソプロポキシ)ベンジル]−3−
トリフェニルメチルチアゾリジン−2,4−ジオン11
8g、1,4−ジオキサン200ml及び70%酢酸水
溶液1000mlの混合物を70℃で1.5時間撹拌し
た。反応混合物より溶剤を留去し、得られた油状の残渣
に酢酸エチル50ml、ジエチルエーテル250ml及
びジイソプロピルエーテル500mlを加え一晩放置し
た。析出物を濾取した後にジエチルエーテル、ジイソプ
ロピルエーテル次いでn−ヘキサンで洗浄することによ
り淡黄色固体の目的化合物49.3gが得られた。 融点:149℃−152℃。
【0052】(1c)酢酸 2,3,5−トリメチルフ
ェニルエステル 2,3,5−トリメチルフェノール100g、無水トリ
エチルアミン122ml及び無水テトラヒドロフラン1
000mlの混合物にアセチルクロリド62.7mlを
氷冷下で滴下した。室温で30分撹拌後、一晩放置し
た。反応混合物より溶剤を留去し、得られた残渣に水を
加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗
浄後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。抽出液より
酢酸エチルを留去することにより褐色油状の粗精製目的
化合物149gが得られた。 シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶剤:酢酸エ
チル/n−ヘキサン=1/30):Rf値=0.32。
【0053】(1d)2’−ヒドロキシ−3’,4’,
6’−トリメチルアセトフェノン 酢酸 2,3,5−トリメチルフェニルエステル149
gと1,2−ジクロロエタン1.2lの混合物に四塩化
チタン190mlを氷冷下で滴下した後に1時間加熱還
流した。2日間室温で放置後反応混合物を氷水中に加
え、1,2−ジクロロエタン層を分取し、さらに水層を
1,2−ジクロロエタンで抽出した。抽出液を合わせ、
水次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上
で乾燥した。1,2−ジクロロエタンを留去後、得られ
た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶
剤:酢酸エチル/n−ヘキサン=1:20)に付し、黄
色固体の目的化合物123gが得られた。 融点:35℃−37℃。
【0054】(1e)2’−ヒドロキシ−5’−ニトロ
−3’,4’,6’−トリメチルアセトフェノン 2’−ヒドロキシ−3’,4’,6’−トリメチルアセ
トフェノン123g及び酢酸250mlの混合物に濃硝
酸43mlの酢酸溶液250mlを20℃以下で滴下し
た後に、室温で30分撹拌した。反応混合液を氷水中に
加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水(3回)、5%
炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した
後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。抽出液より酢
酸エチルを留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(溶出溶剤:ベンゼン)に付し、黄色
固体の目的化合物94.6gが得られた。 融点:72℃−75℃。
【0055】(1f)5−[4−(6−ニトロ−2,
5,7,8−テトラメチル−4−オキソクロマン−2−
イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオ
2’−ヒドロキシ−5’−ニトロ−3’,4’,6’−
トリメチルアセトフェノン12.44g、5−[4−
(2−オキソプロポキシ)ベンジル]チアゾリジン−
2,4−ジオン12g及びベンゼン150mlの混合物
にピロリジン9.2mlを室温で加えた後に2.5時間
加熱還流した。反応混合物を水に加え、2規定塩酸水溶
液で酸性にした後に酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽
和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し
た。抽出液より酢酸エチルを留去し、得られた残渣をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:酢酸エ
チル/n−ヘキサン=2/3)に付し淡褐色ガラス状の
目的化合物10.4gが得られた。 シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶剤:酢酸エ
チル/n−ヘキサン=1/2):Rf値=0.21。
【0056】(1g)5−[4−(6−アミノ−2,
5,7,8−テトラメチル−4−オキソクロマン−2−
イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオ
5−[4−(6−ニトロ−2,5,7,8−テトラメチ
ル−4−オキソクロマン−2−イルメトキシ)ベンジ
ル]チアゾリジン−2,4−ジオン0.5g、10%パ
ラジウム−炭素0.5g及び酢酸5mlの混合物に水素
ガスを室温で2時間さらに80℃で4.5時間導入し
た。窒素置換後一晩放置した後に10%パラジウム−炭
素を濾去した。濾液より酢酸を留去し残渣を水中に加
え、炭酸水素ナトリウムで中和した後に酢酸エチルで抽
出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシ
ウム上で乾燥した。抽出液より酢酸エチルを留去し、得
られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶
出溶剤:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)に付し黄
色ガラス状粉末の目的化合物0.18gが得られた。 シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶剤:酢酸エ
チル/n−ヘキサン=3/2):Rf値=0.49。
【0057】製造例25−[4−(6−アミノ−2,5,7,8−テトラメチ
ル−4−ヒドロキシクロマン−2−イルメトキシ)ベン
ジル]チアゾリジン−2,4−ジオン 5−[4−(6−アミノ−2,5,7,8−テトラメチ
ル−4−オキソクロマン−2−イルメトキシ)ベンジ
ル]チアゾリジン−2,4−ジオン3g、水素化ホウ素
ナトリウム0.62g及び無水テトラヒドロフラン40
mlの混合物にメタノール0.8mlの無水テトラヒド
ロフラン溶液10mlを室温でゆっくり滴下(30分)
した後に、室温で1.5時間撹拌した。一晩放置後氷水
中に加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で
洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。抽出液よ
り酢酸エチルを留去し、得られた残渣をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(溶出溶剤:酢酸エチル/n−ヘ
キサン=10/1)に付し、淡黄色ガラス状粉末の目的
化合物0.51gが得られた。 軟化点:93℃−98℃。
【0058】製造例35−[4−(2−メチル−6−ニトロ−4−オキソクロ
マン−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−
2,4−ジオン (3a)2’−ヒドロキシ−5’−ニトロアセトフェノ
2’−ヒドロキシアセトフェノン15.0gの酢酸溶液
300mlに、氷冷下濃硝酸7.0ml及び酢酸100
mlの混合溶液を1時間かけて滴下し、40℃で5時間
撹拌し、一晩室温で放置した。反応溶液を氷水にあけ、
酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し無
水硫酸ナトリウム上で乾燥した。抽出液より溶剤を留去
したのちシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶
剤:n−ヘキサン/酢酸エチル=5/1→4/1→2/
1)に付して精製すると白色結晶が得られ、これにn−
ヘキサンを加えて濾取すると白色結晶の目的化合物8.
86gが得られた。 融点:92℃−93℃。
【0059】(3b)5−[4−(2−メチル−6−ニ
トロ−4−オキソクロマン−2−イルメトキシ)ベンジ
ル]チアゾリジン−2,4−ジオン 2’−ヒドロキシ−5’−ニトロアセトフェノン3.5
0g、5−[4−(2−オキソプロポキシ)ベンジル]
チアゾリジン−2,4−ジオン3.80g、ピロリジン
3.23ml及びベンゼン100mlの混合物を2.5
時間加熱還流した。室温で一晩放置した後、反応溶液を
水にあけ酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で
洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。抽出液より
溶剤を留去した後シリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶出溶剤:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1)に付
して精製し、褐色泡沫状粉末1.56gが得られた。 融点:45℃−55℃(軟化点)。
【0060】製剤例1. 散剤 トログリタゾン 5g、乳糖 895g及びトウモロコ
シデンプン 100gをブレンダーで混合すると、散剤
が得られる。
【0061】製剤例2. 顆粒剤 トログリタゾン 5g、乳糖 865g及び低置換度ヒ
ドロキシプロピルセルロース 100gを混合した後、
10%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液300gを
加えて練合する。これを押し出し造粒機を用いて造粒
し、乾燥すると顆粒剤が得られる。
【0062】製剤例3. カプセル剤 トログリタゾン 5g、乳糖 115gおよびトウモロ
コシデンプン 58g及びステアリン酸マグネシウム
2gをV型混合機を用いて混合した後、3号カプセルに
180mgずつ充填すると、カプセル剤が得られる。
【0063】製剤例4. 錠剤 トログリタゾン 5g、乳糖 90gおよびトウモロコ
シデンプン 34g、結晶セルロース 20g及びステ
アリン酸マグネシウム 1gをブレンダーで混合した
後、錠剤機で打錠すると錠剤が得られる。
【0064】
【発明の効果】チアゾリジンジオン化合物は、グルタミ
ン酸細胞毒性による神経細胞死の阻害剤として有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07D 417/12 C07D 417/12 (72)発明者 原田 淳 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内 (72)発明者 金子 勲 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内 Fターム(参考) 4C063 AA01 BB08 CC62 CC79 DD12 DD62 EE01 4C086 AA01 AA02 BC82 GA02 GA08 GA10 MA01 MA04 NA14 ZA02 ZA15 ZA16 ZC41

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チアゾリジンジオン化合物を有効成分とし
    て含有する、グルタミン酸細胞毒性による神経細胞死の
    阻害剤。
  2. 【請求項2】チアゾリジンジオン化合物がピオグリタゾ
    ンである、請求項1に記載の神経細胞死の阻害剤。
  3. 【請求項3】チアゾリジンジオン化合物がロジグリタゾ
    ンである、請求項1に記載の神経細胞死の阻害剤。
  4. 【請求項4】チアゾリジンジオン化合物がトログリタゾ
    ンである、請求項1に記載の神経細胞死の阻害剤。
  5. 【請求項5】チアゾリジンジオン化合物が、5−[4−
    (2−メチル−6−ニトロ−4−オキソクロマン−2−
    イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオ
    ンである、請求項1に記載の神経細胞死の阻害剤。
  6. 【請求項6】チアゾリジンジオン化合物が、5−[4−
    (6−アミノ−2,5,7,8−テトラメチル−4−ヒ
    ドロキシクロマン−2−イルメトキシ)ベンジル]チア
    ゾリジン−2,4−ジオンである、請求項1に記載の神
    経細胞死の阻害剤。
  7. 【請求項7】チアゾリジンジオン化合物が、5−[4−
    (6−アミノ−2,5,7,8−テトラメチル−4−オ
    キソクロマン−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリ
    ジン−2,4−ジオンである、請求項1に記載の神経細
    胞死の阻害剤。
  8. 【請求項8】神経系の疾患の予防又は治療のための、請
    求項1乃至7から選択されるいずれか1項に記載の神経
    細胞死の阻害剤。
  9. 【請求項9】神経系の疾患が虚血障害である、請求項8
    に記載の神経細胞死の阻害剤。
  10. 【請求項10】神経系の疾患が脳卒中である、請求項8
    に記載の神経細胞死の阻害剤。
  11. 【請求項11】神経系の疾患が炎症性脳疾患である、請
    求項8に記載の神経細胞死の阻害剤。
  12. 【請求項12】神経系の疾患が神経変性疾患である、請
    求項8に記載の神経細胞死の阻害剤。
  13. 【請求項13】神経変性疾患がアルツハイマー病であ
    る、請求項12に記載の神経細胞死の阻害剤。
  14. 【請求項14】神経変性疾患がパーキンソン病である、
    請求項12に記載の神経細胞死の阻害剤。
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