JP2000271490A - 触媒体および触媒装置 - Google Patents

触媒体および触媒装置

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JP2000271490A
JP2000271490A JP11159216A JP15921699A JP2000271490A JP 2000271490 A JP2000271490 A JP 2000271490A JP 11159216 A JP11159216 A JP 11159216A JP 15921699 A JP15921699 A JP 15921699A JP 2000271490 A JP2000271490 A JP 2000271490A
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Japan
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catalyst
film
catalyst film
electric field
substrate
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JP11159216A
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English (en)
Inventor
Akira Kawakatsu
晃 川勝
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Toshiba Lighting and Technology Corp
Original Assignee
Toshiba Lighting and Technology Corp
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Publication date
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  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】酸化チタンを主体として構成され、光、電界お
よび磁界のいずれか1種または複数種によって触媒さよ
うが生じる触媒体およびこれを用いた触媒装置を提供す
る。 【解決手段】基体に担持された触媒膜は、その実効的抵
抗率が10Ω/cm以下である。実効的抵抗率が上記
のように低いと、触媒性が向上する。これは、実効的抵
抗率の低下に伴って気孔率が大きくなって触媒膜の表面
の凹凸により有機物質を捕捉しやすくなるとともに、半
導体としての性質が強まって吸着性が良好になるため
に、紫外線照射などによって発生した電子とホールとが
効率よく有機物質を分解する。また、実効的抵抗率が低
いので、電界印加によって触媒膜が電離して電子および
ホールを生じ、表面に移動して分解作用を行う。さら
に、交番磁界を印加すると、触媒膜中に誘導電流に生
じ、これにより電界が発生する。さらにまた、上記触媒
膜を40℃以上に加熱すると、さらに触媒性が向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、触媒体およびこれ
を用いた触媒装置に関する。
【0002】
【従来の技術】消臭、防汚およびまたは抗菌を行うため
に、光触媒膜を用いること知られている。
【0003】光触媒膜は、紫外線照射を受けて、その光
エネルギーを吸収すると、光触媒膜を構成して光触媒作
用を呈する半導体に電子とホールが生成する。電子とホ
ールは、膜表面にある酸素や水と反応して活性酸素や他
の活性なラジカルなどを生じ、有機物からなる汚れや臭
いの成分を酸化還元して分解する。
【0004】光触媒作用のある物質のうち、現在最も有
望視されているのは酸化チタンである。酸化チタンは、
光触媒作用が顕著であるとともに、安全で工業的に合理
的な価格で、しかも必要量を入手できる物質であるから
である。
【0005】近時、光触媒膜の有用性に注目して、建
材、照明器具およびランプなど幅広い物品に光触媒膜を
形成しようとする動きが活発である。
【0006】光触媒膜の製造方法には種々あるが、いわ
ゆるディップ法と超微粒子分散液コーティング法とが一
般的に用いられている。
【0007】いわゆるディップ法は、基体に光触媒膜を
構成する金属のアルコキシドたとえば光触媒膜が酸化チ
タンである場合には、チタンのアルコキシドを含む塗布
液を塗布し、400〜500℃の温度で焼成して光触媒
膜を形成する方法である。この製造方法により得られた
光触媒膜は、膜強度に優れるために耐久性がある。
【0008】超微粒子分散液コーティング法は、酸化チ
タンなどの光触媒性の超微粒子を水およびイソプロピル
アルコールなどからなる溶液中に分散させた水溶性分散
液を基体に塗布し、焼成して光触媒膜を得る方法であ
る。この製造方法により得られた光触媒膜は、結晶性が
高く、光触媒性に優れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】いわゆるディップ法に
より得られた光触媒膜は、高温で長時間焼成しないと、
膜表面における結晶性が十分でなく、光触媒性が低いと
いう問題がある。基体がソーダライムガラスなどの軟質
ガラスの場合には、ガラスの軟化温度が比較的低いの
で、所要の高温で焼成できないから、十分な光触媒性を
得ることが困難である。
【0010】一方、超微粒子分散液コーティング法にお
いては、基体との付着性を十分に得にくいとともに、有
機質の結着材を用いている場合に、その結着材にクラッ
クが発生しやすい。結着材にクラックが発生すると、白
濁などにより透過率低下が発生するといった問題があ
る。
【0011】本発明者は、酸化チタン微粒子を主体とす
る光触媒膜におけるすすなどの炭素系の微粒子の分解挙
動を研究中に、光触媒膜の実効的抵抗率が小さくなる
と、分解作用が向上することを発見した。また、光触媒
膜を加熱すると光触媒作用が増進し、また電界または誘
導磁界を印加すると、分解作用が生じることを発見し
た。本発明は、これらの発見に基づいて完成したもので
ある。
【0012】本発明は、酸化チタンを主体として構成さ
れ、光、電界および磁界のいずれか1種または複数種に
よって触媒作用が生じる触媒体およびこれを用いた触媒
装置を提供することを主な目的とする。
【0013】
【課題を達成するための手段】請求項1の発明の光触体
は、基体と;酸化チタン微粒子を主体として基体に担持
され、常温における実効的抵抗率が10Ω/cm以下
の触媒膜と;を具備していることを特徴としている。
【0014】本発明および以下の各発明において、特に
指定しない限り用語の定義および技術的意味は次によ
る。
【0015】(基体について)基体は、光触媒膜を担持
するもので、専ら光触媒膜担持を目的とする部材はもち
ろんのこと、元来光触媒の担持を目的としない他の機能
のために形成されるもの(以下、「機能体」という。)
であることを許容する。
【0016】機能体としては、たとえばタイル、窓ガラ
ス、天井パネルなどの建築材や、厨房用および衛生用の
器材、家電機器、照明用器具、メッシュフィルタなどさ
まざまな任意所望の部材を基体とすることができる。
【0017】基体の材料としては、金属、ガラス、セラ
ミックス(磁器を含む。)、陶器、石材、合成樹脂およ
び木材などであることを許容する。
【0018】基体は、触媒膜を高温で焼成して形成する
場合には、その焼成に耐え得る耐熱性を備えている必要
がある。
【0019】(触媒膜について)触媒物質は、酸化チタ
ンTiOを主成分とする。酸化チタンは、光触媒作用
が顕著であるとともに、安全で工業的に合理的な価格
で、しかも必要量を入手できるので、光触媒物質とし
て、現在最も有望視されている。
【0020】また、酸化チタンには、その結晶構造とし
てルチル形とアナターゼ形とがある。光触媒作用は、ア
ナターゼ形の方が優れているといわれている。
【0021】本発明においても、アナターゼ形の酸化チ
タンを用いるのが好適である。しかし、実際的にはアナ
ターゼ形にルチル形が混合して形成される場合も多く、
しかも、酸化チタンの超微粒子を用いる場合にはそれで
も実用的な触媒作用を得ることができるから、本発明に
おいては、両者の混合した態様を許容する。さらに、そ
れらの混合比の如何によって有機物の分解性が変化す
る。
【0022】さらに、本発明においては、触媒物質中に
副成分として、酸化チタン以外の触媒物質が添加されて
いてもよい。その他の光触媒物質としては、以下のもの
がある。WO、LaRhP、FeTiO、Fe
、CdFe、SrTiO、CdSe、Ga
As、GaP、RuO、ZnO、CdS、MoS
LaRhO、CdFeO、Bi、MoS
In、CdO、SnOなどである。これらの物
質を1種または複数種を混合して用いることができる。
【0023】なお、TiO、WO、SrTiO
Fe、CdS、MoS、Bi、Mo
、In、CdOなどは等価電子帯のレドック
ス・ポテンシャルの絶対値が伝導帯のレドックス・ポテ
ンシャルの絶対値よりも大きいため、酸化力の方が還元
力よりも大きく、有機化合物の分解による消臭作用、防
汚作用または抗菌作用に優れている。
【0024】また、上記各物質の中で原料コストの面に
おいては、FeおよびZnOが優れている。
【0025】本発明において、酸化チタンは、超微粒子
の形で用いると効果的である。超微粒子とは、平均粒径
が30nm以下なるべくは5〜20nmの極めて細かい
微粒子をいい、好ましくは微粒子の形状がなるべく球形
に近く、しかも粒径のばらつきが少なくて結晶性の良好
な微粒子である。
【0026】光触媒膜中に二酸化ケイ素を微量添加させ
ることができる。二酸化ケイ素は、結着材として作用す
る。
【0027】次に、実効的抵抗率について説明する。
【0028】本発明において、「実効的抵抗率」とは、
一般の抵抗膜の抵抗率を測定するように、2針抵抗測定
法や4針抵抗測定法によって触媒膜の抵抗率を測定した
際の測定結果をいう。
【0029】酸化チタンを主体とする触媒膜の実効的抵
抗率が常温(25℃)において10 Ω/cm以下であ
ると、触媒膜は気孔率が8〜40%となりかなりの多孔
質な状態を呈しやすくなる。また、触媒膜は、半導体の
性質が強まるため、見かけの抵抗率として「実効的抵抗
率」なる用語を本発明においては用いている。
【0030】(その他の構成について)触媒膜の上に形
成することのできる金属酸化物構造層について説明す
る。
【0031】本発明においては、要すれば多数の貫通孔
を備えた金属酸化物構造層を触媒膜の表面に形成するこ
とができる。この場合の金属酸化物としては、Ti、S
i、Alの少なくとも1種を用いるのがよい。そして、
この金属酸化物構造体層は、気孔率が30%以上である
ことが好ましい。
【0032】次に、下地層について説明する。
【0033】本発明において、触媒膜は、凹凸面を備え
た金属酸化物からなる下地層を介して基体に担持させる
ことができる。この場合には、触媒物質が凹凸面内に入
り込み、かつ密着する。このような構造は、たとえば下
地層の表面に凹凸面を形成し、下地層の上に触媒膜の分
散液を塗布し、乾燥して焼成すれば、容易に形成するこ
とができる。なお、焼成は、200℃以上たとえば30
0〜600℃の範囲で行うことができる。
【0034】酸化チタンの微粒子を下地層の凹凸面内に
確実に入り込ませるには、たとえば熱による方法や機械
的圧力による方法などがある。前者の方法の場合は、触
媒膜を上にして約650℃で焼成すると、下地層が軟化
しだして酸化チタンの超微粒子が自重によって沈下して
下地層中に入り込む。後者の方法の場合は、酸化チタン
の超微粒子の塗布層の上から機械的圧力を加えて下地層
中に押し込む。
【0035】下地層は、金属酸化物から構成されている
ため、一般的に透明性を備えて、酸化チタンを主成分と
する触媒膜との相性が良好で、また焼成によって基体に
強固に結着させることができる。また、下地層の表面に
凹凸面を形成するには、どのような手段によってもよい
が、好適な手段は、金属酸化物の平均粒径が触媒膜を構
成する微粒子の平均粒径より大きい粒子が分散した金属
酸化物を用いて下地層を形成することである。たとえ
ば、平均粒径30〜200nmの金属酸化物粒子を混在
させた分散液を基体に塗布して、80〜300℃の範囲
で焼成することにより、形成することができる。さら
に、下地層を構成する金属酸化物の材質を触媒膜の屈折
率より小さな屈折率を有するものを選択することができ
る。そうすれば、たとえばソーダライムガラスのように
屈折率の小さな基体と屈折率の大きな光触媒膜との中間
の屈折率を有する下地層を形成して屈折率の傾斜構造を
実現することができる。傾斜構造にすることにより、互
いに接触する層間の屈折率の差を小さくして光干渉の発
生を抑制することができる。さらにまた、下地層に基体
の表面まで貫通している凹部を形成することができる。
【0036】下地層を酸化ケイ素および酸化チタンが重
量比で40:60〜80:20の割合で混合して形成す
ることができる。酸化ケイ素および酸化チタンを上記の
範囲にすることにより、屈折率を所望に調整できるとと
もに、さらに強固な付着性を得ることができる。また、
酸化チタンの微粒子を酸化ケイ素に混合して焼成する
と、酸化ケイ素が結着材として作用させることもでき、
基体に対する付着性の良好な下地層を形成することがで
きる。しかも、酸化チタンの粒子サイズを光触媒膜の酸
化チタンの微粒子のそれより大きなたとえば平均粒径3
0〜200nmのものを用いることで、表面に平均深さ
20〜150nmの凹凸面を容易に形成することができ
る。このような構成の下地層を形成するには、たとえば
酸化ケイ素をポリシロキサンなどのケイ素化合物を有機
溶剤で希釈した塗布液を調整して基体に塗布し、焼成す
る。その際、所望の粒径の酸化チタンを塗布液に分散さ
せる。
【0037】(本発明の作用について)触媒膜の実効的
抵抗率が小さいと、触媒性が向上する。これは、触媒膜
の実効的抵抗率の低下に伴って気孔率が大きくなり、触
媒膜の表面の凹凸により炭素系の微粒子を捕捉しやすく
なるとともに、半導体としての性質が強まって吸着性が
良好になるために、たとえば紫外線照射などによって発
生した電子とホールとが効率よく炭素系の微粒子を分解
するからであろうと推察する。
【0038】また、触媒膜を40℃以上に加熱すること
により、一層触媒作用が良好になることが分かった。こ
れは触媒膜中のOH基が加熱によって減少するからであ
ろうと推察する。
【0039】さらに、触媒膜に電界を印加すると、触媒
作用を生じる。これは、触媒膜の実効的抵抗率が低いた
めに、電界印加によって触媒物質が電離して電子とホー
ルとが生じ、これが炭素系の微粒子を分解するのであろ
うと推察する。
【0040】さらにまた、触媒膜に交番磁界を印加する
と、触媒作用を生じる。これは、触媒膜の実効的抵抗率
が低いために、交番磁界印加によって触媒膜中に電界が
誘起され、誘起された電界によって触媒物質が電離して
電子とホールとが生じ、これが触媒膜の表面に移動して
有機微粒子を分解するのであろうと推察する。
【0041】さらにまた、紫外線照射、電界印加および
交番磁界印加のいずれか複数を組み合わせと、良好な分
解作用が得られる。
【0042】さらにまた、上記の組み合わせに対して、
さらに加熱を組み合わせると、一層良好な分解作用が得
られる。たとえば、電界印加または交番磁界印加に加え
て紫外線照射を併用し、さらに触媒膜の加熱を行う。
【0043】そうして、本発明においては、触媒膜を基
体に担持させたので、取扱いが容易になる。
【0044】請求項2の発明の触媒装置は、請求項1記
載の触媒体と;触媒膜に紫外線を照射する紫外線源と;
を具備していることを特徴としている。
【0045】本発明の触媒装置は、触媒膜を活性化させ
るのに紫外線を照射するものであるから、光触媒装置と
全く同様な使用態様である。
【0046】しかし、触媒膜の実効的抵抗率が請求項1
に規定するとおり小さいので、この触媒膜は紫外線だけ
でなく電界印加によっても活性化させることができる。
紫外線は、人工光源だけでなく、太陽光中の紫外線を用
いることができる。
【0047】また、本発明は、紫外線照射のみによって
触媒膜を活性化するだけでなく、電界印加または交番磁
界によって誘起された電界印加を併用してもよい。そし
て、紫外線照射に加えて電界印加による触媒作用を増強
することができる。
【0048】請求項3の発明の触媒装置は、請求項1記
載の触媒体と;触媒膜に電界を印加する電界印加手段
と;を具備していることを特徴としている。
【0049】触媒膜に電界を印加するには、たとえば触
媒膜の両端に一対の電極を対向させて被着して、電極間
に電圧を印加すればよい。そうすれば、触媒膜の各微粒
子にそれぞれ電界が印加される。
【0050】また、一対の電極は、触媒膜を形成する前
に予め基体の表面に形成してもよい。
【0051】さらに、基体の表面の触媒膜を形成する予
定位置の全体にわたる面積の第1の電極を形成し、次に
第1の電極の上に触媒膜を形成する。さらに、触媒膜の
上において両端に一対の第2の電極を離間して形成し、
第1および第2の電極間に電界を印加してもよい。この
場合には、第1および第2の電極間距離が短くなるの
で、印加電圧を低くすることができる。また、基体を導
電性金属で構成してその上に触媒膜および第2の電極を
形成し、基体を第1の電極とすることもできる。
【0052】次に、触媒膜に印加する電界について説明
する。
【0053】電界の強さは特に制限されないが、印加電
圧をV、触媒膜の実効的抵抗率をR(Ω/cm)とする
と、2×10−5<V/R(Vcm/Ω)<2×10
−3の範囲が好適である。
【0054】また、電界の種類は直流および交流のいず
れであってもよい。
【0055】さらに、電界印加と紫外線照射とを併用す
ることが許容されるが、この場合には、電界がV/R
(Vcm/Ω)<2×10−2で、かつ紫外線量が0.
2mW/cm以上であると好適である。
【0056】そうして、本発明においては、触媒膜の実
効的抵抗率が小さいために、電界を触媒膜に印加するこ
とにより、触媒物質が電離されて電子およびホールが発
生し、さらに触媒膜の表面に移動しやすく、その結果触
媒膜に接触した炭素系の物質を分解することができるも
のと考えられる。
【0057】請求項4の発明の触媒装置は、請求項1記
載の触媒装置と;触媒膜に交番磁界を印加する交番磁界
印加手段と;を具備していることを特徴としている。
【0058】交番磁界は、交番磁界を触媒膜に印加する
ことにより、触媒膜中に電界が誘起され、誘起された電
界によって電離が行われて電子およびホールを生じ、触
媒膜の表面に移動して触媒作用である炭素系の物質の分
解作用を行う。
【0059】交番磁界を印加するには、たとえば触媒体
を誘導コイル内に載置して、誘導コイルに交流を通流さ
せればよい。
【0060】交番磁界の印加の強さは、請求項3に規定
する電界を誘起する程度であるのが好適である。
【0061】そうして、本発明においては、交番磁界に
より電界を誘起させるので、触媒膜に電極を付設する煩
わしさがない。
【0062】請求項5の発明の触媒装置は、請求項2な
いし4のいずれか一記載の触媒装置において、触媒膜を
40℃以上に加熱する加熱手段を具備していることを特
徴としている。
【0063】本発明は、触媒膜を加熱することにより、
触媒膜の活性を向上させる構成を規定している。
【0064】すなわち、実効的抵抗率が既述のように小
さな触媒膜を加熱すると、触媒膜中に残存していたOH
基が昇華しだし、特に40℃以上に加熱すると、触媒膜
の活性が顕著に向上することが分かった。
【0065】加熱手段は、触媒膜を上記温度に加熱すれ
ばどのような構成であってもよい。たとえば、基体の表
面に抵抗発熱体膜をまず形成し、抵抗発熱体膜の上に触
媒膜を形成する。基体自体を正特性サーミスタのような
発熱体によって構成する。または、被処理流体すなわち
気体または液体自体が高温で触媒膜に接触しながら通流
する際に触媒膜を加熱するような構成にする。
【0066】そうして、本発明においては、触媒膜を4
0℃以上に加熱する加熱手段を備えていることにより、
触媒膜中の残存OH基が減少して、紫外線照射、電界印
加または交番磁界印加の下で触媒作用が増進する。
【0067】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0068】図1は、本発明の触媒体の第1の実施形態
を示す概念的要部拡大断面図である。
【0069】各図において、1は基体、2は触媒膜であ
る。
【0070】基体1は、ソーダライムガラスから構成さ
れている。
【0071】光触媒膜2は、実効的抵抗率が10Ω/
cm以下になっていて、多孔質になっている。このよう
な触媒膜2は、平均粒径約10nmおよび同じく20n
mの酸化チタンの超微粒子を水とイソプロピルアルコー
ルに分散させ、さらにポリシロキサンを2〜30%添加
して作製した溶液を気体に塗布し、200〜600℃で
焼成して形成することができる。なお、図中2aは酸化
チタンの超微粒子、2bは酸化ケイ素である。酸化ケイ
素2bは、酸化チタンの超微粒子2aの間を結着して多
孔質の触媒膜2を形成していることを示している。
【0072】そうして、触媒膜2についてガス煤(す
す)などの炭素系有機物の分解性を、焼成温度、ポリシ
ロキサンなどのシリコン化合物の量を変えて調べてみた
が、特に因果関係は認められなかった。これに対して、
触媒膜2の実効的抵抗率層2は分解性に強い因果関係が
認められ、実効的抵抗率が10Ω/cm以下である
と、良好な分解性が認められた。
【0073】図2は、本発明の触媒体の第1の実施形態
における紫外線照射およびまたは電界印加と有機物質の
分解性との関係の測定結果を示すグラフである。
【0074】図において、横軸はV/R(V・cm/
Ω)を、縦軸は分解性(相対値)を、それぞれ示す。ま
た、曲線Aは紫外線照射量が4mW/cmの場合、曲
線Bは同じく2mW/cmの場合、曲線Cは電界印加
のみの場合、における分解性をそれぞれ示す。
【0075】なお、試験は、触媒体の表面にガス煤(す
す)膜を形成してテストピースを作成し、それぞれの条
件における分解性を測定したものである。
【0076】図から明かなように、紫外線照射量および
印加電界値に応じて分解性が概ね向上していること、電
界印加のみで分解性を示すことが分かる。
【0077】図3は、本発明の触媒体の第1の実施形態
における触媒膜の温度と分解性との関係の測定結果を示
すグラフである。
【0078】図において、横軸は温度(℃)を、縦軸は
分解性(相対値)を、それぞれ示す。また、曲線Dは触
媒膜の実効的抵抗率が2×10(Ω/cm)の場合、
曲線Eは同じく2×10(Ω/cm)の場合を、それ
ぞれ示す。
【0079】なお、試験は、触媒体の表面にガス煤(す
す)膜を形成してテストピースを作成し、同一紫外線照
射量で、かつ触媒膜の温度をそれぞれ変えて分解性を測
定したものである。
【0080】図から明かなように、いずれも場合におい
ても触媒膜の温度が高くなるほど分解性が向上し、特に
40℃以上において顕著な分解性を示している。
【0081】また、抵抗率が低い方が分解性が高かっ
た。
【0082】図4は、本発明の触媒体の第2の実施形態
を示す概念的要部拡大断面図である。
【0083】図は図1に比較してさらに縮小している
が、図1と同一部分については同一符号を付して説明は
省略する。
【0084】本実施形態は、基体1および触媒膜2の間
に下地層3が介在している点で異なる。
【0085】すなわち、下地層3は、酸化ケイ素および
酸化チタンが重量比で60:40の割合の混合して構成
されており、透明性で多孔性であるとともに、表面が平
均深さ約30nmの凹凸面2aに形成された被膜であ
る。
【0086】この下地層3は、ポリシロキサンをエタノ
ールに溶解させた溶液に平均粒径約30nmの酸化チタ
ン粒子を分散させた塗布液を調整して、基体1の表面に
塗布し、乾燥させて、約200℃で焼成して形成したも
のである。
【0087】そうして、本実施形態においては、粒子の
大きな金属酸化物を主体とする下地層3を触媒膜の下に
介在させたことにより、触媒膜の表面に多くて顕著な凹
凸が形成される。このため、被分解物質の吸着性が向上
する。
【0088】図5は、本発明の触媒体の第3の実施形態
を示す概念的要部拡大断面図である。
【0089】図において、図4と同一部分については同
一符号を付して説明は省略する。
【0090】本実施形態は、下地層3が凹凸面3aを備
えていて、触媒膜2が下地層3の凹部3b内に充填され
るとともに、凹部3bの上において連続した膜状部2a
を形成している。
【0091】下地層3は、以下の手順で製作する。
【0092】すなわち、ポリシロキサンなどのシリコン
化合物に目標の膜厚以上の粒径を備えたエポキシ樹脂粒
子を添加した塗布液を調整し、基体1の表面に塗布す
る。
【0093】次に、基体1を400℃以上の温度で焼成
する。この工程でエポキシ樹脂は、分解して消失する。
【0094】そうして、得られた下地層3には、エポキ
シ樹脂が消失してできた空孔が基体1の表面まで貫通し
た凹部3bを構成する。この凹部3bの横断面形状およ
び縦断面形状は、図においては円柱状に描いているが、
エポキシ樹脂粒子の形状、添加量などによって様々なも
のとなり、そのいずれの形状も許容される。
【0095】さて、基体1の下地層3を形成したら、次
にアナターゼ形の酸化チタンの超微粒子(粒径約10n
m)を水とイソプロピルアルコールとの溶液に分散した
分散液を調整して下地層3の上から下地層3が隠れるよ
うに塗布する。
【0096】次に、基体1を300〜600℃で焼成し
て図示のように酸化チタンが下地層3の凹部3b内に入
り込み、かつ下地層3の上側にも成層した触媒膜2を形
成する。
【0097】図6は、本発明の触媒装置の第1の実施形
態を示す概念的正面図である。
【0098】図において、11は触媒体、12は加熱手
段、13は紫外線源である。
【0099】触媒体11は、基体11aおよび触媒膜1
1bからなり、触媒膜11bは実効的抵抗率が10Ω
/cm以下になっている。
【0100】加熱手段12は、抵抗発熱体膜12aおよ
び電源12bからなる。
【0101】抵抗発熱体膜12aは、触媒体11の基体
11aの表面に形成されている。
【0102】電源12bは、抵抗発熱体膜12aに通電
して発熱させる。
【0103】紫外線源13は、触媒膜11bに紫外線を
照射する。
【0104】そうして、加熱手段12に通電して触媒膜
11bを40℃以上に加熱しながら紫外線源14から触
媒膜11bに紫外線を照射すると、有機物の分解性が向
上する。
【0105】図7は、本発明の触媒装置の第2の実施形
態を示す概念的正面図である。
【0106】図8は、同じく概念的平面図である。
【0107】各図において、図6と同一部分については
同一符号を付して説明は省略する。
【0108】本実施形態は、電界印加によって触媒膜を
活性化する点で異なる。
【0109】すなわち、触媒膜11bに電界印加手段1
4を付設している。
【0110】電界印加手段14は、一対の電極14aお
よび電源14bから構成されている。
【0111】電極14aは、触媒膜11bの表面の対向
縁辺に被着され細長く形成されている。
【0112】電源14bは、一対の電極14a、14a
間に接続して電極14a間に電界を印加する。
【0113】そうして、実効的抵抗率の小さな触媒膜1
1bに電界印加手段14によって電界が印加されると、
触媒膜11b中で触媒物質が電離して電子およびホール
が生じ触媒膜11bの表面に移動して触媒作用を行う。
【0114】図9は、本発明の触媒装置の第3の実施形
態を示す概念的正面図である。
【0115】図において、図7と同一部分については同
一符号を付して説明は省略する。
【0116】本実施形態は、電界印加手段に加えて紫外
線源13を備えている点で異なる。
【0117】すなわち、触媒膜11bの活性化手段とし
て、紫外線源13におよび電界印加手段14を備えてい
る。
【0118】そうして、本実施形態においては、触媒膜
11bに対して紫外線照射と電界印加とが同時に行わ
れ、触媒膜の活性化が顕著になる。
【0119】図10は、本発明の触媒装置の第4の実施
形態を示す概念的正面図である。
【0120】図において、図6と同一部分については同
一符号を付して説明は省略する。
【0121】本実施形態は、交番磁界印加によって触媒
膜を活性化する点で異なる。
【0122】すなわち、触媒膜11bに対する交番磁界
印加手段15を付設している。
【0123】交番磁界印加手段15は、誘導コイル15
aおよび交流電源15bからなる。
【0124】誘導コイル15aは、触媒体11を包囲し
て配設されている。
【0125】交流電源15bは、誘導コイル15aに交
流電流を供給する。
【0126】そうして、誘導コイル15aに交流電流が
供給されると、誘導コイル15aの内部に触媒体11を
貫通する方向に交番磁界が発生し、触媒膜に磁界が印加
される。触媒膜11bを磁束が交差すると、触媒膜11
b中に磁束の周囲に微弱な誘導電流が生じる。そして、
誘導電流により電界が発生し、触媒膜11bは活性化さ
れる。
【0127】図11は、本発明の触媒装置の第4の実施
形態を示す概念的正面図である。
【0128】図において、図10と同一部分については
同一符号を付して説明は省略する。
【0129】本実施形態は、交番磁界印加に加えて紫外
線源13を付設している点で異なる。
【0130】すなわち、触媒膜11bの上方に紫外線源
13が配設され、触媒膜11bは交番磁界によって生じ
る電界と紫外線照射とによって活性化が行われる。
【0131】
【発明の効果】請求項1発明によれば、酸化チタン微粒
子を主体として基体に担持され、常温における実効的抵
抗率が10Ω/cm以下の触媒膜を備えていることに
より、光、電界および磁界のいずれか1種または複数種
によって触媒作用が生じる触媒体を提供することができ
る。
【0132】請求項2ないし5の各発明によれば、光、
電界および磁界のいずれか1種または複数種によって触
媒作用が生じる触媒装置を提供することができる。
【0133】請求項2の発明によれば、加えて紫外線源
を備えていることにより、紫外線を照射して触媒膜を活
性化する触媒装置を提供することができる。
【0134】請求項3の発明によれば、加えて電界印加
手段を備えていることにより、電界を印加して触媒膜を
活性化する触媒装置を提供することができる。
【0135】請求項4の発明によれば、加えて交番磁界
印加手段を備えていることにより、磁界の印加で生じた
電界によって触媒膜を活性化する触媒装置を提供するこ
とができる。
【0136】請求項5の発明によれば、加えて触媒膜を
40℃以上に加熱する加熱手段を備えていることによ
り、触媒膜の活性化が顕著に向上する触媒装置を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の触媒体の第1の実施形態を示す概念的
要部拡大断面図
【図2】本発明の触媒体の第1の実施形態における紫外
線照射およびまたは電界印加と有機物質の分解性との関
係の測定結果を示すグラフ
【図3】本発明の触媒体の第1の実施形態における触媒
膜の温度と分解性との関係の測定結果を示すグラフ
【図4】本発明の触媒体の第2の実施形態を示す概念的
要部拡大断面図
【図5】本発明の触媒体の第3の実施形態を示す概念的
要部拡大断面図
【図6】本発明の触媒装置の第1の実施形態を示す概念
的正面図
【図7】本発明の触媒装置の第2の実施形態を示す概念
的正面図
【図8】同じく概念的平面図
【図9】本発明の触媒装置の第3の実施形態を示す概念
的正面図
【図10】本発明の触媒装置の第4の実施形態を示す概
念的正面図
【図11】本発明の触媒装置の第5の実施形態を示す概
念的正面図
【符号の説明】
11…触媒体 11a…基体 11b…触媒膜 12…加熱手段 12a…抵抗発熱体膜 12b…電源 13…紫外線源

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体と;酸化チタン微粒子を主体として基
    体に担持され、常温における実効的抵抗率が10Ω/
    cm以下の触媒膜と;を具備していることを特徴とする
    触媒体。
  2. 【請求項2】請求項1記載の触媒体と;触媒膜に紫外線
    を照射する紫外線源と;を具備していることを特徴とす
    る触媒装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の触媒体と;触媒膜に電界を
    印加する電界印加手段と;を具備していることを特徴と
    する触媒装置。
  4. 【請求項4】請求項1記載の触媒装置と;触媒膜に交番
    磁界を印加する交番磁界印加手段と;を具備しているこ
    とを特徴とする触媒装置。
  5. 【請求項5】触媒膜を40℃以上に加熱する加熱手段を
    具備していることを特徴とする請求項2ないし4のいず
    れか一記載の触媒装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001034300A1 (fr) * 1999-11-12 2001-05-17 Yugen Kaisha Kankyogijyutsu Kenkyusho Procede permettant de renforcer une reaction de catalyseur
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