JP2000270865A - イネの雌しべの長さに関与する染色体領域、該領域を含む栽培イネ及び該領域の識別法 - Google Patents

イネの雌しべの長さに関与する染色体領域、該領域を含む栽培イネ及び該領域の識別法

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Atsushi Nakamura
淳 中村
Tatsuto Fujimura
達人 藤村
Yusaku Uga
優作 宇賀
Koi Sai
宏偉 才
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  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 同一条件で栽培した場合、雌しべの長さが栽
培イネよりも0.6mm以上長い野生イネ由来の雌しべ
の長さに関与する染色体領域を提供する。 【解決手段】 同一条件下で栽培した場合に栽培イネよ
りも雌しべの長さが0.6mm以上長いイネに由来し、
該イネの第4及び6染色体上の2つの遺伝マーカー、例
えば、G162とRZ656、RG32とnewTで挟
まれる位置に存在する、雌しべの長さに関与する染色体
領域。 【効果】 本発明により裁培イネの雌しべの長さの改変
が可能となり、ハイブリッドライスの母親系統の改良育
種が効率化される。さらに、ハイブリッドライス種子の
生産効率の向上が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イネ、特にハイブ
リッドライスの親となるイネの育成方法ならびに判別方
法、さらに言えば、遺伝マーカーを用いた栽培イネより
も雌しべの長さが0.6mm以上長いイネ由来の開頴角
度に関与する染色体領域の識別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物では、雑種(ハイブリッド、F1
(“エフワン”)=雑種第1代)世代が多くの形質にお
いて両親のいずれよりも強壮となり、収量および耐病虫
性、品質などの向上が認められる。この現象は雑種強勢
と呼ばれ、雑種強勢をイネに応用して得られたものとし
てハイブリッドライスが知られている。ハイブリッドラ
イスの種子は、父親となるイネから放出された花粉が母
親となるイネの雌しべの先端部分である柱頭に付着し、
付着した花粉から花粉管が伸長し、花柱内を下降した後
に胚嚢内で重複受精(卵の受精と極核の受精)すること
により形成される。このようにハイブリッドライスの種
子は、母親および父親となる2種類のイネの交雑、すな
わち他殖により生産される。イネは1つの雌しべと6本
の雄しべが1つの穎花に内在し、通常、同一頴花内の雌
しべと雄しべとの重複受精、すなわち自殖により種子を
形成する。
【0003】しかしながら、ハイブリッドライスの種子
は、父親となるイネの花粉が母親となるイネの雌しべの
先端部、すなわち柱頭に付着しなければ得ることができ
ない。一般に、イネの花粉の寿命は極めて短かく、人工
発芽試験で5分程度である。しかも開花時刻は環境条件
により大きく変動し、高温下では9時〜13時頃、低温
下では12時〜17時頃)。さらに亜種間(インド型と
日本型)もしくは水イネと陸イネ間で開花時刻に違いが
認められる。以上の様なイネの特性は、自殖性作物のイ
ネで交雑種子(ハイブリッドライス)を効率的に生産す
ることを困難にしている。
【0004】イネには栽培イネと野生イネが存在し、こ
れらの他殖率を見ると、栽培イネで5%以下であるのに
対して、野生イネでは5〜100%と変動が広く、野生
イネが栽培イネよりも他殖性に適した特性を保持すると
考えられている。特に他殖率の高い野生イネの花器特性
は栽培イネと比較した場合以下のような点で相違する。 柱頭が長い。 穎花が閉じた後での雌しべの露出度が高い。 葯が長い。
【0005】上記の他殖率に適した形質をハイブリッド
ライスの母親となるイネに導入することにより、ハイブ
リッドライス種子生産の効率向上が望める。しかしなが
ら、上記の形質は、単一の遺伝子座による質的形質では
なく、複数の遺伝子座が関与する量的形質と考えられて
いる。ある形質に関与する遺伝子座は、分離世代におけ
る形質の表現型により推定される。質的形質に関与する
遺伝子座は、上記の方法で推定することができるが、量
的形質に関与する遺伝子座の推定はできない。ゆえに、
従来は、上記の花器特性に関する遺伝子座の位置情報を
明らかにすることができなかった。
【0006】ところが、制限酵素断片長多型(RFL
P)をマーカーに用いた連鎖地図(Tanksleyら,1989,BI
O/TECHNOLOGY7:p.257-264.)がトマトやトウモロコシで
作出されて以来、分子レベルでの遺伝マーカー(DNA
マーカー)の検出技術が急速に進歩し、特にPCRによ
る任意増幅多型DNA(RAPD)をマーカーに利用す
る(Willimsら,1990,Nucleic Acids Research 18:p.653
1-6535.)ことで、多くの植物種における連鎖地図が作
成・報告されてきた。DNAマーカーを利用した連鎖解
析により、形態形質に関与する遺伝子の連鎖分析も進
み、従来の連鎖分析では解析が困難な量的形質(計量形
質)に関与する遺伝子座(Quantitative Trait Loci;
QTL)の解析においてもDNAマーカーが有効な道具
となった(Tanksley,1993,Annu. Rev. Genet.,27:p.205
-233.)。QTL解析の理論に関しては、多数の著書が
出ている(FalconerとMacKey,1989,Introduction to Qu
antitative Genetics. 4th Edition. Longman.、Knapp,
1994,In:DNA-based Markers in Plants. Ed. by Philli
ps R.L.とI.K.Vasil. Kluwer.、Liu,1998,Statistical
Genomics. CRC Press.、鵜飼,1999,育種学研究 1:p.25-
31.)。遺伝マーカー(DNA、タンパク質、アイソザ
イム、生理・形態形質)を用いたQTL解析では、ゲノ
ム全体に散在する遺伝マーカーと雑種集団における各個
体の遺伝子型と解析対象形質との関連性を個々の遺伝マ
ーカーについて調べ、その形質に関与する複数の遺伝子
座の座上染色体やその位置さらには遺伝子の作用を推定
することができる。該解析では、染色体上でLOD(lo
garithm of odds;対数オッズ比)が極大値となる位置
がQTLとして推定される。
【0007】上記の遺伝マーカーを用いたQTL解析に
より他殖率を向上しうる野生イネの花器特性に関与する
染色体領域を推定し、延いてはハイブリッドライスの親
となるイネの育種に利用することが可能と考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、雌し
べの長さが栽培イネよりも0.6mm以上長いイネ由来
の雌しべの長さに関与する染色体領域を提供し、かつ該
染色体領域を導入したハイブリッドライスの母親となる
イネを育成することにより、ハイブリッドライスの種子
生産効率を向上する技術を提供することにある。
【0009】また本発明は、イネの全染色体上に散在す
る栽培イネと野生イネで多型を示す遺伝マーカーを利用
して、栽培イネよりも雌しべの長さが0.6mm以上長
いイネに由来する雌しべの長さに関与する染色体領域を
QTL解析により推定することにより、該染色体領域を
挟む2つの遺伝マーカーを利用して該染色体領域の有無
を判別する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、野生イネ
(Oryza rufipogon Griff.)の雌しべの長さが、栽培イ
ネよりも0.6mm以上長いことに着目し、該野生イネ
と栽培イネ(Oryza sativa L.;インド型)との組換型近
交系統(RILs;Recombinant Inbred lines)を用い、個
体毎の最大開頴角度の測定と、複数の遺伝マーカーの分
離型(野生型、栽培型、ヘテロ型)を解析した。該組換
型近交系統の個体毎の上記形質および遺伝マーカーの分
離型の結果をもとに、該野生イネ由来の開頴角度に関与
する染色体領域の上記QTL解析を行ない、第4染色体
及び第6染色体にそれぞれ1つのLOD値が2.4以上
となる該野生イネ由来の雌しべの長さに関与するQTL
領域を検出した。本発明者らは、該QTL解析に用いた
複数の遺伝マーカーの中から、検出した該野生イネ由来
の雌しべの長さに関与する2つのQTLを識別しうる遺
伝マーカーを見出し、これによって雌しべの長さが栽培
イネよりも0.6mm以上長い野生イネに由来する雌し
べの長さに関与する染色体領域を詳細かつ容易に判定す
ることを可能とした。本発明者らは以上の知見に基づき
本発明を完成した。
【0011】則ち、本発明は以下のとおりである。 [1] 同一条件下で栽培した場合に栽培イネよりも雌
しべの長さが0.6mm以上長いイネに由来し、該イネ
の第4染色体上の2つの遺伝マーカーG162とRZ6
56で挟まれる位置に存在する、雌しべの長さに関与す
る染色体領域。 [2] 同一条件下で栽培した場合に栽培イネよりも雌
しべの長さが0.6mm以上長いイネに由来し、該イネ
の第6染色体上の2つの遺伝マーカーG12とnewT
で挟まれる位置に存在する、雌しべの長さに関与する染
色体領域。 [3] 栽培イネがOryza sativa L.である上記[1]
又は[2]に記載の染色体領域。 [4] 栽培イネよりも雌しべの長さが0.6mm以上
長いイネが野生イネである上記[1]〜[3]の何れか
一項に記載の染色体領域。 [5] 上記[1]〜[4]の何れか一項に記載の染色
体領域を導入し、雌しべの長さが長くなった栽培イネ。 [6] 同一条件下で栽培した場合に栽培イネよりも雌
しべの長さが0.6mm以上長いイネの第4染色体上の
2つの遺伝マーカーG162とRZ656を利用して、
上記[1]に記載の雌しべの長さに関与する染色体領域
を識別する方法。 [7] 同一条件下で栽培した場合に栽培イネよりも雌
しべの長さが0.6mm以上長いイネの第6染色体上の
2つの遺伝マーカーG12とnewTを利用して、上記
[2]に記載の雌しべの長さに関与する染色体領域を識
別する方法。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で言う栽培イネとは、Oryz
a sativa L.に属する、好ましくは、台湾のインド型栽
培品種“Pei-kuh”を指す。本発明でいう栽培イネより
も雌しべの長さが0.6mm以上長いイネとは、栽培イ
ネと同一栽培条件(土壌、水、温度、日照等の気候条
件)で栽培した場合、栽培イネの雌しべの長さよりも雌
しべの長さが更に0.6mm以上長くなるようなイネを
指している。そのようなイネは例えば野生イネであり、
野生イネの中でもOryza rufipogon Griff.に属するイ
ネ、好ましくは、中国雲南省Chalingで収集した多年生
の部分異系交配系統“W1944”を好適なものとして例示
できる。
【0013】本発明において染色体領域の供給源となる
イネの雌しべの長さは同条件で栽培した栽培イネよりも
0.6mm以上長ければ十分であるが、雌しべの長さは
好ましくは0.8mm以上、より好ましくは1.0mm
以上長いイネがより好適である。
【0014】本発明で用いられる組換型近交系統とは、
例えば上記栽培イネ“Pei-kuh”と野生イネ“W1944”と
の交雑により育成した。組換型近交系統の育成方法につ
いて説明すれば以下のとおりである。栽培イネ“Pei-ku
h”を母親に、野生イネ“W1944”を父親としたF1種子
を得る。得られたF1種子を栽培し、F2種子を得る
(F1世代では部分不稔となった)。1990年に国立遺伝
学研究所(静岡県三島市)の研究水田にて、該F1より
得られた189のF2株を育成し、うち出穂・登熟した
158株の後代を選抜する。該選抜株は、単粒系統法
(1株から1粒採種し、その種子を系統とする方法)で
育成し、F8世代に107の該組換型近交系統を得た。
【0015】本発明で用いられる遺伝マーカーとは、公
知の114のRFLPマーカーおよび17のアイソザイ
ムマーカーおよび2つのタンパク質マーカー(塩可溶性
貯蔵タンパク質;APAGE1、2)および1つのRA
PDマーカーおよび6つの形態形質マーカー(株の開張
性(open P)、出穂後の新規分けつ(new T)、芒の有
無(Awn)、黄金色種子縦溝(gf)、黒色殻2(Bh2)、
褐色果皮(Rc))(森島 1998 イネの進化・適応に関わ
る遺伝子ネットワークの解析.平成8・9年度科学研究
費補助金(基盤研究B)研究成果報告書)を指す。該遺
伝マーカーの染色体上の位置および多型(Pei-kuh型あ
るいはW1944型あるいは両者のヘテロ型)は、森島(199
8 イネの進化・適応に関わる遺伝子ネットワークの解
析.平成8・9年度科学研究費補助金(基盤研究B)研
究成果報告書)の125の該組換近交系統(F6世代)
を用いた解析結果を指す。また、上記集団とは異なる集
団を用いた場合には、これらの遺伝的距離の変動が予想
されるが、相対位置関係を大きくはずれることはない。
従って、いかなる集団を用いた場合でも、これらの遺伝
マーカーは育種上有効に利用することができる。そのた
め、本発明に使用される遺伝マーカーとしては、イネ染
色体上で上記集団により挟まれた位置に存在する未知の
遺伝マーカーも使用することが出来る。
【0016】本発明におけるイネの雌しべの長さは、以
下の測定方法により求めることができる。107の該組
換近交系統(F8世代)毎に5個体を1/25000aポ
ットで裁培し、該各系統とも生育が揃った3個体を用
い、開花開始日(1個体内の穂に着生した頴花が咲き始
めた日)から2〜3日経過した、いわゆる開頴最盛期の
該各系統の穎花の雌しべをデジタルカメラで撮影した
後、画像解析ソフト(NIHimage)により頴花の雌しべの
長さ(柱頭の長さ+花柱の長さ)を測定することができ
る。野生イネ“W1944”由来の雌しべの長さに関与する
染色体領域は、該系統毎の測定した雌しべの長さと該遺
伝マーカーの分離型のデーターをQTL解析ソフト(q
GENE;interval mapping)に入力し、算出されるL
OD値により推定することができる。すなわち、107
の該組換近交系統毎の雌しべの長さと140の該遺伝マ
ーカーの分離型のデーターを該QTL解析ソフトで解析
し、LOD値が2.4以上を示す染色体領域を第4及び
第6染色体にそれぞれ1領域ずつ検出することができ
る。該染色体領域は、それぞれ2つの遺伝マーカーで挟
まれる。第4染色体の該領域は遺伝マーカーG162と
RZ656で、第6染色体の該領域は遺伝マーカーG1
2とnewTでそれぞれ挟まれている。
【0017】以上のことから、それぞれの雌しべの長さ
に関与する染色体領域を識別するためには、それぞれの
染色体領域を挿んでいる2つの遺伝マーカーを上述のQ
TL解析等の手法に利用すればよい。
【0018】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づき詳細に説明す
る。 [実施例1] (1) 雌しべの長さの解析 裁培イネ“Pei-kuh”と野生イネ“W1944”の組換近交系
統(F8世代)の107系統毎に5個体を1/2500
0aポットで裁培し、該各系統とも生育が揃った3個体
を用い、開花開始日(1個体内の穂に着生した頴花が咲
き始めた日)から2〜3日経過した、いわゆる開頴最盛
期の該各系統の頴花の雌しべをデジタルカメラで撮影し
た後、画像解析ソフト(NIH image)により頴花の雌し
べの長さを解析した。
【0019】(2) 遺伝マーカーの分離型解析 上記107系統毎の遺伝マーカーの分離型を解析した。
DNAマーカーの分離型解析を以下に説明する。上記各
系統(5個体の中から任意の1個体)の新鮮葉よりそれ
ぞれDNAを抽出した。抽出したDNAを用いて、11
4のRFLPマーカー(森島,1998,イネの進化・適応に
関わる遺伝子ネットワークの解析.平成8・9年度科学
研究費補助金(基盤研究B)研究成果報告書)および1
つのRAPDマーカー(RAPDB1-1)に関する系統毎の分
離型を解析した。RFLPマーカーにおける、DNAの
抽出、切断、電気泳動、ササンブロッティングは、McCo
uchら(1988,Theor Appl Genet.,76:p.815-829.)に従
った。また、DNAのハイブリダイゼーションは、非ラ
ジオアイソトープラベルECLシステム(AmershamIn
t.)で行った。RAPDマーカーの分離型は、定法によ
り検出した。17のアイソザイムマーカーの分離型解析
は、Ishikawaら(1989,J. Fac.Agr.Hokkaido Univ.6
4:p.85-98.)の方法で行った。2つのタンパク質マーカ
ーの分離型解析は、CaiとMorishima(1997,Rice Geneti
cs Newsletter,14:p.76-78.)の方法で行った。6つの
形態形質マーカー(株の開張性(open P)、出穂後の新
規分けつ(new T)、芒の有無(Awn)、黄金色種子縦溝
(gf)、黒色殻2(Bh2)、褐色果皮(Rc))の分離型解
析は、生育の適時に肉眼観察により判別した。
【0020】(3) 雌しべの長さに関するQTL解析 系統別に得られた雌しべの長さと遺伝マーカーの分離型
データーをQTL解析ソフト(qGENE;interval m
apping)に入力し、雌しべの長さに関するLOD値を算
出した。LOD値が2.4以上の雌しべの長さに関与す
るQTL領域が5つの染色体にそれぞれ1領域ずつ検出
された(表1)。
【0021】
【表1】 表1.雌しべの長さに関与する染色体上のQTL領域 ────────────────────────────── 染色体番号 QTL領域(挟む遺伝マーカー) LOD値 ────────────────────────────── 4 G162−RZ656 3.71 6 G12−newT 3.71 ──────────────────────────────
【0022】[実施例2]栽培イネ“IR8”と野生イ
ネ“W1944”の交雑F2世代の200個体を各々1/5
0000aポットで栽培し、個体毎に本発明の雌しべの
長さに関与する染色体領域を識別する遺伝マーカー(D
NAマーカー;G162、RZ656、G12、形態マ
ーカー;newT)の分離型を解析した。DNAマーカ
ーの分離型解析は、以下の方法で行った。個体毎に新鮮
葉よりDNAを抽出した。DNAの抽出、切断、電気泳
動、ササンブロッティングは、McCouchら(1988,Theor
ApplGenet,76:p.815-829.)に従った。DNAのハイブ
リダイゼーションは、非ラジオアイソトープラベルEC
Lシステム(Amersham Int.)で行った。形態マーカー
(newT)の分離型解析は、生育の適時に肉眼観察し
た。上記遺伝マーカーがすべて野生イネ型となった5個
体とIR8、W1944について、開花開始日(1個体内の
穂に着生した頴花が咲き始めた日)から2〜3日経過し
た、いわゆる開頴最盛期の該各系統の頴花の雌しべをデ
ジタルカメラで撮影した後、画像解析ソフト(NIH imag
e)により頴花の雌しべの長さを解析した(表2)。上
記遺伝マーカーがすべて野生イネ型となった個体は、す
べて雌しべの長さがIR8よりも大きくなり、雌しべの
長さの改変に上記遺伝マーカーが有効であることが確認
された。
【0023】
【表2】
【0024】
【発明の効果】本発明により、栽培イネよりも雌しべの
長さが0.6mm以上長いイネ由来の雌しべの長さに関
与する染色体領域およびイネの雌しべの長さに関与する
染色体領域を識別する複数の遺伝マーカーが提供され
る。本発明の遺伝マーカーの多型を雌しべの長さに関与
する染色体領域の識別に利用することで、裁培イネに裁
培イネよりも雌しべの長さが0.6mm以上長いイネ由
来の雌しべの長さに関与する染色体領域を簡便にしかも
精度よく導入することができる。
【0025】本発明により裁培イネの雌しべの長さの改
変が可能となり、ハイブリッドライスの母親系統の改良
育種が効率化される。さらに、ハイブリッドライス種子
の生産効率の向上が可能となる。
フロントページの続き (72)発明者 才 宏偉 栃木県那須郡西那須野町東赤田388−5 社団法人日本飼料作物種子協会西那須野支 所内 Fターム(参考) 2B030 AA02 AB03 AD20 CA04 CA06 CA17 CA19 CB02 4B024 AA08 BA80 DA01 HA11 4B063 QA01 QA08 QA18 QQ04 QQ43 QQ60 QR32 QR55 QS14 QS16 QS34 QS39 QX07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一条件下で栽培した場合に栽培イネよ
    りも雌しべの長さが0.6mm以上長いイネに由来し、
    該イネの第4染色体上の2つの遺伝マーカーG162と
    RZ656で挟まれる位置に存在する、雌しべの長さに
    関与する染色体領域。
  2. 【請求項2】 同一条件下で栽培した場合に栽培イネよ
    りも雌しべの長さが0.6mm以上長いイネに由来し、
    該イネの第6染色体上の2つの遺伝マーカーG12とn
    ewTで挟まれる位置に存在する、雌しべの長さに関与
    する染色体領域。
  3. 【請求項3】 イネの第4染色体上の2つの遺伝マーカ
    ーG162とRZ656で挟まれる位置にあり、同一条
    件下で栽培した場合に栽培イネよりも雌しべの長さが
    0.6mm以上長いイネで分離型を示す遺伝マーカーの
    うちの1つと、イネの第4染色体上の2つの遺伝マーカ
    ーG162とRZ656のうちの一方とにより挟まれる
    ことを特徴とする請求項1に記載の染色体領域。
  4. 【請求項4】 イネの第2染色体上の2つの遺伝マーカ
    ーG12とnewTで挟まれる位置にあり、同一条件下
    で栽培した場合に栽培イネよりも雌しべの長さが0.6
    mm以上長いイネで分離型を示す遺伝マーカーのうちの
    1つと、イネの第2染色体上の2つの遺伝マーカーG1
    2とnewTのうちの一方とにより挟まれることを特徴
    とする請求項2に記載の染色体領域。
  5. 【請求項5】 栽培イネがOryza sativa L.である請求
    項1〜4の何れか一項に記載の染色体領域。
  6. 【請求項6】 栽培イネよりも雌しべの長さが0.6m
    m以上長いイネが野生イネである請求項1〜5の何れか
    一項に記載の染色体領域。
  7. 【請求項7】 野生イネがOryza rufipogon Griff.であ
    る請求項6に記載の染色体領域。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れか一項に記載の染色
    体領域を導入し、雌しべの長さが長くなった栽培イネ。
  9. 【請求項9】 同一条件下で栽培した場合に栽培イネよ
    りも雌しべの長さが0.6mm以上長いイネの第4染色
    体上の2つの遺伝マーカーG162とRZ656を利用
    して、請求項1に記載の雌しべの長さに関与する染色体
    領域を識別する方法。
  10. 【請求項10】 同一条件下で栽培した場合に栽培イネ
    よりも雌しべの長さが0.6mm以上長いイネの第6染
    色体上の2つの遺伝マーカーG12とnewTを利用し
    て、請求項2に記載の雌しべの長さに関与する染色体領
    域を識別する方法。
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JP (1) JP2000270865A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003104452A1 (ja) * 2002-06-06 2003-12-18 日本たばこ産業株式会社 イネ柱頭露出率に関与する遺伝子の識別方法、及びイネ柱頭露出率の修飾方法
CN113881796A (zh) * 2021-09-30 2022-01-04 浙江师范大学 水稻qVEα-toco/total-toco分子标记与应用

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