JP2000270712A - 魚介類の養殖方法および装置 - Google Patents

魚介類の養殖方法および装置

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JP2000270712A JP11086039A JP8603999A JP2000270712A JP 2000270712 A JP2000270712 A JP 2000270712A JP 11086039 A JP11086039 A JP 11086039A JP 8603999 A JP8603999 A JP 8603999A JP 2000270712 A JP2000270712 A JP 2000270712A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便にしかも効率良く、養殖魚餌料残さと養
殖魚排泄物に含まれる有機体の窒素やリンを、養魚施設
から除去することを可能とする、海水浄化機能を備えた
魚介類の養殖方法および装置を提供すること。 【解決手段】 飼育領域において魚介類を養殖し、前記
飼育領域内の餌残さおよび/または養殖魚の排泄物を前
記飼育領域内に固定されたバクテリアにより分解せし
め、前記飼育領域に隣接する培養領域において、前記分
解物を養分として、大型藻類を増殖せしめ、それによっ
て飼育および培養領域を浄化することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大型藻類を利用し
た魚介類の養殖方法および装置に係り、特に、養殖海域
の浄化を可能とする魚介類の養殖方法および装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、沿岸海域における魚類の養殖は、
イワシ等を部分的に切断したり、ミンチ状に破砕した生
餌や、イワシ等の魚紛を混合した配合飼料を養殖魚の生
け簀内の海面に一日に数回、供給することにより行われ
ていた。
【0003】このような従来の養殖方法には、次のよう
な問題点があった。 (1)イワシ等の生魚を餌として養殖魚に供給する場
合、供給した餌の1/3程度は、生け簀の底面や側面を
通過し、海底に残さとして沈降することが知られてい
る。この際、残さは、海底でのバクテリアによる分解が
遅いために腐敗し、養殖海域の汚染を招いていた。
【0004】また、浮遊する餌の残さは、窒素やリンの
過剰蓄積に伴い、赤潮などの原因となっており、特に、
養殖密集地域では、養殖漁業を全滅させる程の深刻な問
題となっていた。
【0005】(2)配合飼料を用いる場合、生餌に比べ
養殖魚が食べ残す量が多く、海底に沈降する残さの量は
少ないものの、海底への沈降は避けることができず、し
かも高価であるため、一部の高級養殖魚にしか普及して
おらず、養殖海域の汎用的な浄化手法として定着してい
ないのが現況である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような問題点を解決し、簡便にしかも効率良く、養殖魚
餌料残さと養殖魚排泄物に含まれる有機体の窒素やリン
を、養魚施設から除去することを可能とする、海水浄化
機能を備えた魚介類の養殖方法および装置を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、飼育領域において魚介類を養殖し、前記
飼育領域内の餌残さおよび/または養殖魚の排泄物を前
記飼育領域内に固定されたバクテリアにより分解せし
め、前記飼育領域に隣接する培養領域において、前記分
解物を養分として大型藻類に吸収させることにより、大
型藻類を増殖せしめ、それによって飼育領域および培養
領域を浄化することを特徴とする魚介類の養殖方法を提
供する。
【0008】また、本発明は、養殖魚を飼育する養殖魚
飼育手段と、前記養殖魚に餌を供給する給餌手段と、前
記養殖魚飼育手段内に配置され、固定されたバクテリア
により前記餌の残さおよび/または前記魚介類の排泄物
を分解せしめ、バクテリアを増殖させるバクテリア付着
・増殖手段と、前記養殖魚飼育手段に隣接して配置さ
れ、大型藻類を収容し、前記餌の残さおよび/または前
記魚介類の排泄物の分解物を大型藻類に養分として吸収
させることにより、大型藻類を培養する大型藻類培養手
段とを具備する魚介類の養殖装置を提供する。
【0009】以上の本発明の魚介類の養殖方法および装
置において、使用される大型藻類としては、不稔性海
草、特に不稔性アオサを好ましく用いることが出来る。
【0010】また、バクテリアは、飼育領域の底部およ
び/または側部に固定され、飼育領域内を浮遊または沈
降する、餌の残さおよび/または魚介類の排泄物を分解
し、その分解物を養分として大型藻類に吸収させ、それ
によって大型藻類の培養を行うことが出来る。
【0011】上記分解物を養分として増殖した大型藻類
は、培養領域から回収され、切断され、魚介類の餌とし
て飼育領域に供給することが出来る。そうすることによ
り、養殖海域の浄化とともに、低コストでの養殖を行う
ことが可能である。
【0012】また、増殖した大型藻類を培養領域から回
収し、切断し、培養領域にリサイクルさせることも可能
であり、そうすることにより、クローズドシステムによ
る、養殖海域の浄化を併せ持つ、極めて効率の高い魚介
類の養殖が可能となる。
【0013】本発明の養殖装置において、養殖魚飼育手
段として、傾斜した底面を有する飼育槽とし、この飼育
槽の底面および/または側面に、バクテリア付着・増殖
手段としての縄状体を取り付けることが出来る。この縄
状体には、飼育槽内にもともと存在していたバクテリア
が付着し、あるいは縄状体を設置する前に、別途、バク
テリアを付着させることが出来る。
【0014】大型藻類培養手段は、ネット状部材により
仕切られた飼育槽の一部に配置することが出来、また、
攪拌手段および/または空気供給手段を備えたものとす
ることが出来る。
【0015】以上のように構成される本発明によると、
魚介類の飼育と、バクテリアの培養と、例えば不稔性ア
オサのような、一年中増殖可能な海産性の大型藻類の培
養とを併用することにより、海水浄化機能を備えた環境
低負荷型の養殖魚生産システムを提供することが出来
る。
【0016】本発明者らは、海水浄化機能を備えた養殖
魚生産システムの実現に向けて、海水でも世代交代する
ことなく一年中増殖可能で、窒素やリン等を吸収できる
大型藻類を探索した結果、鹿児島湾より、アオサを採集
し、この株は培養条件の検討により一年中培養できる性
質を有することを見出し、この株を不稔性アオサMHI-AT
RC-1株と命名した。この株は、本発明において、特に好
適に用いることが出来る。
【0017】この株の特徴は、次の通りである。 形状:布状で浮遊性 大きさ:1センチ大から1m大まで増殖可能 運動性:無し 窒素源:アンモニア体窒素、尿素体窒素、硝酸体窒素の
各種で増殖可能 光合成色素:クロロフィルa、クロロフィルb、カロチ
ノイド(薄層クロマトグラフィーにより検出) 増殖性:後述する表1に示す海水性培地で蛍光灯照射1
5,000ルクス、25℃の条件下で約0.3g(乾燥
重量/リットル・日)。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、発明の実
施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形
態に係る養魚生産システムを示し、(a)は上面図、
(b)は側面図である。図1に示す養魚生産システム
は、その中で養殖魚が生育する養殖魚飼育手段1、 養
殖魚に餌を供給する給餌手段2、バクテリアが容易に付
着し、増殖するバクテリア付着・増殖手段3、およびバ
クテリアによる分解物を吸収する大型藻類を培養する大
型藻類培養手段4の各手段から構成される。
【0019】これら各手段のうち、養殖魚飼育手段1
は、側面と底面を海水が通過できる構造を有する生け簀
からなり、その外周は種々の形状を有し、例えば、養殖
魚種によっては側面衝突を防ぐため、八角形や円形とす
ることも可能である。 給餌手段2は、一定時間に一定
の必要量を供給可能な装置とすることもできるが、場合
によっては、人が供給することで代用も可能である。
【0020】バクテリア付着・増殖手段3は、養殖魚飼
育手段1の底部に備えられ、その素材としては、餌残さ
や養殖魚の排泄物を分解するバクテリアが付着、繁殖し
やすいように、単なる布状のものではなく、三次元的に
厚みを有する表面積が大きい構造が望ましい。その例と
しては、ナイロンや綿からなる縄状のものが有効であ
る。
【0021】海水中のバクテリアは、バクテリア付着・
増殖手段3により、養殖魚飼育手段1の底部、即ち、生
け簀の底面に付着する。生け簀中を落下した餌の残さや
養殖魚の排泄物は、生け簀の底面に沈殿し、これら餌の
残さや養殖魚の排泄物中に含まれる蛋白質やアミノ酸
は、生け簀底面において、バクテリア付着・増殖手段3
に固定されたバクテリアにより分解を受け、尿素、アン
モニア、亜硝酸、および硝酸等の各種溶存体窒素に変換
されやすくなる。
【0022】バクテリア付着・増殖手段3を構成する縄
状材料に微生物(バクテリア)を付着・増殖させるに
は、海洋に設置する以前に縄状材料を下記表1に示す海
洋性バクテリア付着促進培養液中に浸し、予め付着菌を
増加させることが望ましい。この菌付着操作は、エアレ
ーションの下で行うと菌の増殖が促進され、短時間に菌
を縄状材料に付着させることができる。
【0023】 表1 海洋性バクテリア付着促進培地 ポリペプトン 0.25g 酵母エキス 0.25g FeSO・7HO 0.01g NaHPO 0.01g 海水 250ml 水道水 750ml pH 7.8 また、バクテリアの付着をさらに迅速化させる必要があ
る場合には、上述の培地に、塩分耐性で蛋白分解能を有
するMicrococcus halobius, Halococcus morrhuae等の
バクテリアを種として供給し、これらの菌を優先的に、
かつ迅速に付着させることができる。
【0024】なお、バクテリア付着の迅速化が不用の場
合には、以上の迅速化方法を採らず、養殖魚飼育手段1
内に投入した餌残さと養殖魚排泄物において自然に発生
するバクテリアを利用することも可能である。
【0025】生け簀の底面は、傾斜しており、その傾斜
角度は1〜20度、望ましくは5〜10度がよい。この
ように底面を傾斜させることにより、沈降した餌残さ
は、底面においてバクテリアによる分解を受けながら、
後述する大型藻類培養手段3に向かって移動していくこ
とができる。
【0026】養殖魚飼育手段1内の一角には、大型藻類
培養手段4が設置されている。この大型藻類培養手段4
は、パドル式の撹拌装置5を備えている。このパドル式
の撹拌装置5は、大型藻類培養手段4内に収容された大
型藻類に空気を供給し、空気中のCOによる大型藻類
の生育の促進、および養殖魚飼育手段1の側面および底
面に付着したバクテリアに空気を供給し、空気中のCO
による残さの分解の促進を図るために備えられてい
る。
【0027】更に迅速な残さの分解促進を行う場合に
は、大型藻培養手段4の底部にエアレーション供給口6
を設けたエアー供給装置7により、残さの分解と共に、
大型藻類の成長を促進させることが出来、それによっ
て、より効率的に分解産物であるN、Pを吸収させるこ
とが可能である。
【0028】大型藻類培養手段4の本体は、養殖魚と大
型藻類との接触を防止し、養殖魚が大型藻類培養手段4
内に侵入しないように、仕切りネット8で仕切られた構
造を有する。また、大型藻類培養時の空気供給のための
攪拌等の操作によるストレスを感じない魚種の場合に
は、この仕切りネット8のポアサイズを大きくし、養殖
魚が大型藻類培養手段4内に進入できるように設定して
もよく、それによって大型藻類を養殖魚の餌として利用
することも可能である。
【0029】このような大型藻類培養手段4によると、
大型藻類は太陽光とCOを原料に、養殖魚飼育手段1
内の海水中に存在する硝酸等の溶存体窒素やリン等を吸
収して、効率的に成長することができ、それによって大
型藻類による海水中の窒素やリンなどの積極的な固定・
除去が可能となる。
【0030】また、溶存体窒素やリン等を吸収すること
により成長したアオサ等の大型藻類は、人の手によって
網等で容易に回収が可能であり、装置化が必要な場合に
はスノコ状のパドルを設置することで、省労力で容易に
回収することが可能である。
【0031】なお、以上説明した本発明の養殖魚生産シ
ステムに用いる大型藻類としては、不稔性のアオサの
他、ホンダワラおよびオゴノリがあげられる。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例を示し、本発明につい
て更に具体的に説明する。 実施例1 本実施例では、本発明の養殖魚生産システムに用いるア
オサの大きさについて、以下の実験を行い、利用に適す
る大きさを求めた。用いるアオサの大きさが1m四方の
場合では、経験的に、浮遊状態では折れ曲がりやすく、
増殖に必要な太陽光の受光効率が下がってしまう。ま
た、攪拌による物理的刺激が加わると、アオサが切断さ
れやすくなり、切断されたアオサは切断面が傷となり、
アオサの成長を妨げる要因となりやすい。
【0033】そこで、1m四方のアオサと15cm四方
のアオサを攪拌海水中で1時間攪拌したところ、1m四
方の個体は3個体に切断されたが、15cm四方の個体
は切断されることなく、個体の大きさを保持できた。
【0034】このような結果から、本発明の養殖魚生産
システムに用いるアオサの大きさは、好ましくは3cm
〜50cm、より好ましくは5cm〜30cmである。
このような大きさの制御によって、太陽光の受光効率と
共に、アオサの機械的強度が上がり、攪拌等の物理的刺
激によっては切断されにくくなり、切断に伴う傷が減少
し、増殖速度の向上に貢献可能となる。
【0035】アオサの切断方式としては、鋭利な刃を有
するパンチングを用いる方式を採用することが出来る。
この方式によると、切断の際にアオサが受ける傷の面積
が少なくなり、傷修復に要する時間が低減でき、増殖性
向上に寄与することができる。しかし、鋭利でない刃を
使用すると、アオサの切断面が大きくなり、傷の修復に
要する時間が増加し、増殖速度の低下を招いてしまう。
【0036】実施例2 バクテリア付着・増殖手段3としての綿製の縄状材料
に、海洋性バクテリアを付着させるために、以下の操作
を行った。即ち、上記表1に示す海洋性バクテリア付着
促進培養液(100ml)を、室温下で、静置状態と、
パドル攪拌の代用として振とう(60rpm)による好
気状態の、異なる条件下で培養した。用いるバクテリア
として、蛋白分解能を有するMicrococcus halobiusを用
いた。
【0037】その結果、バクテリア付着操作を好気条件
下で行った場合には、バクテリアの増殖が促進され、4
8時間後には、培養液の濁度OD610が静置状態に比
べ、10倍に増加した。これにより、好気条件下のほう
が、より短時間に目的のバクテリアを増殖し得ることが
わかる。
【0038】次に、この培養液に、滅菌したナイロン製
の縄状材料(1cmΦ、1cm長)を24時間浸すこと
で、バクテリアを付着させた。この操作によるバクテリ
アの付着を確認するため、バクテリアを付着させた縄を
40(v/v)%の過塩素酸に、60℃で2時間浸した
後、その上清をNaOH溶液で中和し、蛋白質濃度を測
定した。
【0039】その結果、1mg/mlのバクテリア由来
の蛋白質が検出された。それによって、これらの操作に
より、迅速に目的とするバクテリアを縄状材料に付着で
きることが確認された。このようにして、餌残さの主成
分である蛋白質を分解可能なバクテリアを、バクテリア
付着・増殖手段3に提供することができ、これにより餌
残さや養殖魚の排泄物に由来するNやPを含む化合物を
分解して低分子化することが可能となった。
【0040】不稔性アオサMHI-ATRC-1株を、下記表2に
示す窒素形態が異なる3種の培地を無菌海水に混合し、
明条件下での培養液として用いた。この培養液1Lと、
上述した不稔性アオサMHI-ATRC-1株の培養種(乾燥藻体
として0.2g)を偏平透明容器に入れ、白色蛍光灯で
約15,000ルックスの連続照射を行い、空気を通気
しながら、25℃で7日間培養した。
【0041】表2 培地組成 A NHCl 12ppm−N りん酸二水素ナトリウム 1.2ppm−P B 尿素 12ppm−N りん酸二水素ナトリウム 1.2ppm−P C NaNO12ppm−N りん酸二水素ナトリウム 1.2ppm−P その結果、図2に示すように、7日間でアオサ重量は約
2倍となり、1L中に約0.5g(乾燥藻体として)の藻
体を得ることができた。このように、有機物分解物で生
じる異なった形態の窒素源を、アオサは吸収し、それに
よって増殖可能であり、海水中の異なった形態の窒素が
アオサにより固定・回収可能であることが実験的に判明
した。
【0042】更に、横浜市金沢区八景島付近から入手し
た溶存体窒素濃度が約1ppmと養殖水域並みに溶存体
窒素が高い海水を用いて、不稔性アオサMHI-ATRC-1株を
自然光下にて培養した。なお、培養は以下の操作で行っ
た。
【0043】培養槽(0.3mΦ×0.5m高さ)に、
空気単独、および空気に0.5%COを添加したガス
を、0.1L/海水容量L・分の速度で供給し、海水は
アオサへの溶存体窒素供給のため、1日に3回入れ替え
た。また、アオサはリーフパンチで直径4cmの大きさ
に調製した後、このアオサ1000固体を培養槽に添加
し、2週間培養した。
【0044】この培養における増殖速度を求めた結果、
図3に示すように、COを添加した条件では18g
(乾燥重量)/m・日で、空気単独の条件では7g/
・日で、それぞれ増殖することが確認された。一
方、この藻体を回収し、窒素およびリンの含有量を測定
したところ、それぞれ乾燥重量当り3%と0.2%を示
した。
【0045】これらの結果から、アオサは、 CO
加条件では0.6g窒素/m2・日の速度と0.04g
リン/ m・日の速度で、空気単独添加の場合では
0.23g窒素/ m・日の速度と0.015gリン/
・日の速度で、それぞれ窒素とリンを吸収するこ
とが判明した。
【0046】このように、不稔性アオサは、海水中の硝
酸体窒素、尿素、アンモニアのいずれのN源やリンを吸
収して増殖することが可能であり、このアオサを用いる
ことで、海水中に含まれる餌残さや養殖魚の排泄物等か
らの分解物である多様形態のNやPを固定することがで
きる。従って、このようなアオサを回収することで、養
殖魚生産システム内の海水を効果的に浄化することが可
能である。
【0047】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、魚介類の養殖において、供給する餌残さや養殖
魚介類の泄物に由来する窒素やリン等を大型藻類により
固定することで、養殖海域の浄化が一年を通じ可能とな
り、環境低負荷型の養殖魚生産システムを提供すること
ができる。また、増殖した大型藻類は、回収して養殖魚
の餌や養鶏の餌として再利用できるなど、多角的なバイ
オマス資源の利用が出来る等、副次的効果をも奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る養魚生産システムを
示す図。
【図2】培養日数とアオサの重量変化の関係を示す特性
図。
【図3】COを添加した場合と空気のみを添加した場
合のアオサの増殖速度を比較して示す特性図。
【符号の説明】 1…養殖魚飼育手段 2…給餌手段 3…バクテリア付着・増殖手段 4…大型藻類培養手段 5…攪拌装置 6…エアレーション供給口 7…エアー供給装置 8…仕切りネット

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】飼育領域において魚介類を養殖し、前記飼
    育領域内の餌残さおよび/または養殖魚の排泄物を前記
    飼育領域内に固定されたバクテリアにより分解せしめ、
    前記飼育領域に隣接する培養領域において、前記分解物
    を養分として大型藻類に吸収させることにより、大型藻
    類を増殖せしめ、それによって飼育領域および培養領域
    を浄化することを特徴とする魚介類の養殖方法。
  2. 【請求項2】前記大型藻類は、不稔性アオサであること
    を特徴とする請求項1に記載の魚介類の養殖方法。
  3. 【請求項3】前記バクテリアは、前記飼育領域の底部お
    よび/または側部に固定されていることを特徴とする請
    求項1または2に記載の魚介類の養殖方法。
  4. 【請求項4】前記増殖した大型藻類を前記培養領域から
    回収し、切断し、前記魚介類の餌として前記飼育領域に
    供給することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
    の項に記載の魚介類の養殖方法。
  5. 【請求項5】前記増殖した大型藻類を前記培養領域から
    回収し、切断し、前記培養領域にリサイクルさせること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の魚介
    類の養殖方法。
  6. 【請求項6】養殖魚を飼育する養殖魚飼育手段と、 前記養殖魚に餌を供給する給餌手段と、 前記養殖魚飼育手段内に配置され、固定されたバクテリ
    アにより前記餌の残さおよび/または前記魚介類の排泄
    物を分解せしめ、バクテリアを増殖させるバクテリア付
    着・増殖手段と、 前記養殖魚飼育手段に隣接して配置され、大型藻類を収
    容し、前記餌の残さおよび/または前記魚介類の排泄物
    の分解物を大型藻類に養分として吸収させることによ
    り、大型藻類を培養する大型藻類培養手段とを具備する
    魚介類の養殖装置。
  7. 【請求項7】前記養殖魚飼育手段は、傾斜した底面を有
    する飼育槽であり、この飼育槽の底面および/または側
    面には、前記バクテリア付着・増殖手段としての縄状体
    が取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載
    の魚介類の養殖装置。
  8. 【請求項8】前記大型藻類培養手段は、ネット状部材に
    より仕切られた前記飼育槽の一部に配置されていること
    を特徴とする請求項7に記載の魚介類の養殖装置。
  9. 【請求項9】前記大型藻類培養手段は、攪拌手段を備え
    ていることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかの
    項に記載の魚介類の養殖装置。
  10. 【請求項10】前記大型藻類培養手段は、空気供給手段
    を備えていることを特徴とする請求項6ないし9のいず
    れかの項に記載の魚介類の養殖装置。
  11. 【請求項11】前記増殖した大型藻類を前記培養領域か
    ら回収し、前記魚介類の餌として前記飼育領域に供給す
    る手段を更に具備することを特徴とする請求項6ないし
    10のいずれかの項に記載の魚介類の養殖装置。
  12. 【請求項12】前記増殖した大型藻類を前記培養領域か
    ら回収し、切断し、前記培養領域にリサイクルさせる手
    段を更に具備することを特徴とする請求項6ないし11
    のいずれかの項に記載の魚介類の養殖装置。
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Cited By (7)

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