JP2000267138A - 二端子型非線形素子の製造方法および液晶パネルの製造方法 - Google Patents

二端子型非線形素子の製造方法および液晶パネルの製造方法

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JP2000267138A
JP2000267138A JP11072230A JP7223099A JP2000267138A JP 2000267138 A JP2000267138 A JP 2000267138A JP 11072230 A JP11072230 A JP 11072230A JP 7223099 A JP7223099 A JP 7223099A JP 2000267138 A JP2000267138 A JP 2000267138A
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conductive film
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annealing
tfd
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Yasushi Takano
靖 高野
Shinichi Iwata
信一 岩田
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 素子基板200に形成される複数の二端子型
非線形素子、例えばTFDの特性を基板全面にわたって
均一化させる。 【解決手段】 TFDが形成される素子基板200の製
造プロセスのうち、TFDの特性に大きく影響を与える
熱処理は、プレアニールおよびアニールAである。そこ
で、熱処理を行うアニール炉400内では、プレアニー
ルとアニールAとで素子基板200を互いに上下反転さ
せる。これにより、アニール炉400での熱分布の偏り
が相殺されるので、形成されるTFDの特性が均一化さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、液晶パネ
ルなどにおいて、画素電極を駆動するスイッチング素子
に用いて好適な二端子型非線形素子の製造方法、およ
び、この二端子型非線形素子を用いた液晶パネルの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、アクティブマトリクス方式の液
晶パネルは、マトリクス状に配列する画素電極の各々に
非線形(スイッチング)素子が設けられた素子基板と、
カラーフィルタなどが形成された対向基板と、これら両
基板との間隙に封入された液晶とから構成され、各スイ
ッチング素子を駆動し、画素毎に液晶の配向状態を制御
することによって、所定の情報を表示するものである。
【0003】ここで、スイッチング素子としては、主
に、薄膜トランジスタ(TFT:ThinFilm Transisto
r)などの三端子型非線形素子と、薄膜ダイオード(T
FD:Thin Film Diode)などの二端子型非線形素子と
に大別されるが、後者の二端子型非線形素子の方が、配
線の交差部分がないために配線間の短絡不良が原理的に
発生しない点、さらに、成膜工程およびフォトリソグラ
フィ工程を短縮できる点において有利である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな二端子型非線形素子においては、端子間に印加され
る電圧が高ければオン、低ければオフするような明確な
非線形特性、具体的には、電圧−電流特性がしきい値を
境に急峻となっていることが要求される。さらに、液晶
に直流成分を印加すると劣化するので、液晶パネルにお
いては交流駆動が原則である。このため、電圧−電流特
性が正負双方向にわたって対称であることも要求され
る。くわえて、このような特性の急峻性や対称性など
は、素子基板に設けられるすべての非線形素子において
均一であることも要求される。そして、これらの特性の
急峻性、対称性、均一性がひとつでも損なわれると、表
示が一様でなくなって、表示ムラや、階調表示不良、コ
ントラスト低下などが発生する、という問題があった。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、電圧−電流特
性における急峻性、対称性、均一性のうち、特に均一性
に優れた二端子型非線形素子の製造方法、および、この
二端子型非線形素子を用いて、表示が一様である液晶パ
ネルの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明にあっては、第1の導電膜/絶縁膜/第2の導
電膜からなる二端子型非線形素子を基板上に複数形成す
る二端子型非線形素子の製造方法であって、前記基板に
対して行う複数回の熱処理を、各熱処理毎に前記基板の
位置を順次回転またはシフトさせて実行することを特徴
としている。
【0007】通常、基板の熱処理温度によって二端子型
非線形素子の抵抗値が影響を受けるが、熱処理の際に一
般的に用いられる炉や、オーブン、ホットプレートなど
の熱分布は一様でないので、1枚の基板についてみれ
ば、例えば、一端と他端とでは熱処理温度が異なってし
まう。このため、そこに形成される二端子型非線形素子
の抵抗値も不均一となる結果、いわゆる面内バラツキが
生じることとなる。これに対して本発明によれば、基板
に対して行う複数回の熱処理を、各熱処理毎に基板位置
を順次回転またはシフトさせて実行するので、各熱処理
毎に与えられる温度は、基板各部で異なっても、複数回
の熱処理でみれば全体的に平均化される。したがって、
本発明によれば、熱処理における熱分布が一様でなくて
も、その影響が排除されるので、二端子型非線形素子の
電圧−電流特性を、基板全面にわたって均一化させるこ
とが可能となる。
【0008】ここで、本発明における複数回の熱処理と
は、異なる目的のために実行される熱処理(すなわち、
本来的に、別々のプロセスで実行されるべき熱処理)
と、同一目的のために行う熱処理(すなわち、本来であ
れば1回のプロセスで済まされるべき熱処理)を意図的
に分けたものとを含む。
【0009】また、本発明において、各熱処理毎に、前
記基板の上下位置を反転させることが望ましい。熱処理
における熱分布の様子は、処理装置によって異なるので
一概に言えないが、一般的傾向として、上昇気流などに
よって上部が下部に比べて相対的に高熱となる。このた
め、各熱処理毎に、基板の上下位置を反転させること
が、均一化の面で最適と考える。さらに、二端子非線形
素子が形成される基板は、製造工程においては通常、複
数枚が互いに平行に、かつ、地平面に対して垂直に、キ
ャリアに収容された状態で取り扱われる。このため、基
板の上下位置は、キャリアに収容する方向を入れ替える
だけで反転するので、多数枚数の基板の同時処理が容易
となる。
【0010】ところで、本発明において、複数回の熱処
理には、前記第1の導電膜の表面に絶縁膜を形成する前
に、前記第1の導電膜が形成された基板を熱処理(プレ
アニール)する工程を少なくとも含むことが望ましい。
これにより、二端子型非線形素子における電圧−電流特
性の経時変化を小さくすることが可能となるからであ
る。
【0011】一方、複数回の熱処理には、前記絶縁膜の
表面に前記第2の導電膜を形成する前に、水分を含む雰
囲気中で、前記絶縁膜が形成された基板を熱処理(アニ
ールA)する工程を少なくとも含むことが望ましい。こ
の理由は、次の通りである。すなわち、第1に、水分を
含む雰囲気中での熱処理により、絶縁膜に水分が導入さ
れ、第2に、第2の導電膜が形成されると、絶縁膜中に
第2の導電膜の構成元素も導入され、第3に、再び熱処
理(アニールB)を行うと、絶縁膜中に含まれる水分や
第2の導電膜の構成元素が活性化し、その分、絶縁膜は
実質的に薄くなって、電圧−電流特性の変動を抑えられ
ることが可能となるからである。
【0012】さらに、上記目的を達成するために本発明
に係る液晶パネルの製造方法にあっては、上記二端子型
非線形素子とともに、この二端子型非線形素子の一方の
端子に接続される画素電極と、この二端子型非線形素子
の他方の端子に接続される一方の信号線とが形成された
第1の基板と、他方の信号線が形成された第2の基板と
を前記画素電極と前記他方の信号線とが互いに対向して
位置するように貼付し、前記第1の基板と前記第2の基
板との間隙に液晶を封入したことを特徴としている。こ
のような方法により製造された液晶パネルによれば、二
端子型非線形素子の電圧−電流特性が基板全面にわたっ
て均一化されるので、ムラのない表示が可能となる。な
お、信号線とは走査線またはデータ線をいう。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0014】<電気的構成>まず、説明の便宜上、本発
明の実施形態に係る液晶パネルの電気的構成を示すブロ
ック図である。この図に示されるように、液晶パネル1
00には、複数本のデータ線212が列(Y)方向に延
在して形成される一方、複数本の走査線312が行
(X)方向に延在して形成されるとともに、データ線2
12と走査線312との各交差部分において画素116
が形成されている。ここで、各画素116は、液晶表示
要素(液晶層)118と、二端子型非線形素子の一例で
あるTFD(Thin Film Diode)220との直列接続か
らなる。そして、各データ線212は、データ線駆動回
路122によって駆動される一方、各走査線312は、
走査線駆動回路124によって駆動される構成となって
いる。
【0015】なお、図1において、TFD220はデー
タ線212の側に接続され、液晶層118が走査線31
2の側に接続されているが、これとは逆に、TFD22
0が走査線312の側に、液晶層118がデータ線21
2の側にそれぞれ接続される構成でも良い。
【0016】<TFD素子など>次に、液晶パネル10
0の各画素116を駆動するTFD220について説明
する。図2(a)は、この液晶パネル100の素子基板
における1画素分のレイアウトを示す平面図であり、図
2(b)は、このTFD220の構造を図2(a)にお
けるA−A’線に沿って示す断面図である。
【0017】これらの図に示すように、TFD220
は、素子基板200の上面には、下地201が形成さ
れ、TFD220は、この下地201の上面に形成され
ている。ここで、TFD220は、基板側から順番に第
1の導電膜222、絶縁膜224、および、第2の導電
膜226から構成されて、導電膜−絶縁膜−導電膜のサ
ンドイッチ構造を採る。そして、かかる構造によりTF
D220の電流−電圧特性は、正負双方向にわたって非
線形となる。また、第2の導電膜226は、TFD22
0における一方の端子として画素電極234に接続され
る一方、第1の導電膜222は、TFD220における
他方の端子として、そのままデータ線212となってい
る。
【0018】ここで、素子基板200の基板自体は、絶
縁性や透明性などを有するものであり、例えば、ガラス
やプラスチックなどから構成される。また、下地201
は絶縁性を有するものであり、これが設けられる理由
は、第2の導電膜226の堆積後における熱処理によ
り、第1の導電膜222が下地から剥離しないようにす
るため、および、第1の導電膜222に不純物が拡散し
ないようにするためである。したがって、これが問題と
ならない場合には、下地201は省略可能である。
【0019】<パネル構成>次に、上述した液晶パネル
100の構成について図3を参照して説明する。図3
は、液晶パネル100の構成を示す部分破断斜視図であ
る。この図に示されるように、TFD220とともにデ
ータ線212や画素電極234などが形成された素子基
板200と、走査線312などが形成された対向基板3
00とが、基板周辺に沿って塗布されるシール剤と、適
切に散布されたスペーサとによって、一定の間隙を保っ
ており、この間隙に例えば、TN(Twisted Nematic)
型の液晶105が封入されている。
【0020】ここで、各行の各画素電極234と各行の
走査線312とが互いに対向するような位置関係となっ
ている。このため、液晶層118は、電極として機能す
る走査線312自体と画素電極234とこれらの間に挟
持される液晶105とから構成されることとなる。した
がって、画素116は、図1に示されるように、データ
線212と走査線312との各交差部分において、液晶
層118とTFD220との直列接続を介して電気的に
結合した状態となる。このため、走査線312に走査信
号を供給する一方、データ線212にデータ信号を供給
することによって、TFD220にしきい値以上の電位
差を印加すると、当該TFDがオンとなって導通状態に
なるので、当該TFDに接続された液晶層118に所定
の電荷が蓄積される。そして、電荷蓄積後、当該TFD
をオフ状態にしても、液晶層の抵抗が十分に高ければ、
当該液晶層における電荷の蓄積が維持される。このよう
にTFD220を駆動して、蓄積させる電荷の量を制御
すると、画素毎に液晶の配向状態が変化するので、所定
の表示を行わせることが可能となる。
【0021】この際、各画素116の液晶層118に電
荷を蓄積させるのは一部の期間で良いため、第1に、走
査線駆動回路124によって、各走査線312を順次選
択するとともに、第2に、走査線312の選択期間にお
いて、データ線駆動回路122によりデータ線212に
表示すべき画像に応じたデータ信号を供給する構成によ
り、走査線312およびデータ線212を複数の画素1
16について共通化した時分割マルチプレックス駆動が
可能となる。
【0022】なお、対向基板300には、液晶パネル1
00の用途に応じて、例えば、ストライプ状や、モザイ
ク状、デルタ状などに配列されたカラーフィルタが設け
られ、さらに、例えば、クロムやニッケルなどの金属材
料や、カーボンやチタンなどをフォトレジストに分散し
た樹脂ブラックなどのブラックマトリクス(図示省略)
が設けられる。
【0023】くわえて、素子基板200および対向基板
300の各対向面には、それぞれ所定の方向にラビング
処理された配向膜などが設けられる一方、その各背面に
は配向方向に応じた偏光板がそれぞれ設けられる(いず
れも図示省略)。
【0024】ただし、液晶パネル100においては、液
晶として、高分子中に微小粒として分散させた高分子分
散型液晶を用いれば、前述の配向膜や偏光板などが不要
となるため、光利用効率が高まり、このため液晶パネル
100の高輝度化や低消費電力化などの点において有利
である。
【0025】<素子基板の製造プロセス>次に、液晶パ
ネルを構成する2枚の基板のうち、素子基板200の製
造プロセスについて、TFD220を中心にして説明す
る。まず、図4(1)に示されるように、基板200上
面に下地201が形成される。この下地201は、例え
ば、酸化タンタル(Ta)からなり、スパッタリ
ング法で堆積したタンタル(Ta)膜を熱酸化する方法
や、酸化タンタルからなるターゲットを用いたスパッタ
リングやコスパッタリング法などにより形成される。ま
た、この下地201は、上述したように、第1の導電膜
222の密着性を向上させること、および、基板200
からの不純物拡散を防止することを主目的として設けら
れるので、その膜厚は、例えば、50〜200nm程度で十分
である。
【0026】次いで、同図(2)に示されるように、下
地201の上面に第1の導電膜222が成膜される。こ
こで、第1の導電膜222の膜厚は、TFD220の用
途によって好適な値が選択され、通常、100〜500nm程度
である。また、第1の導電膜222の組成は、例えば、
タンタル単体やタンタル合金からなる。ここで、第1の
導電膜222としてタンタル単体を用いる場合には、ス
パッタリング法や電子ビーム蒸着法などで形成可能であ
る。また、第1の導電膜222としてタンタル合金を用
いる場合には、主成分のタンタルに、例えば、タングス
テン、クロム、モリブデン、レニウム、イットリウム、
ランタン、ディスプロリウムなどの周期律表において第
6〜第8族に属する元素が添加される。この際、添加元
素としては、タングステンが好ましく、その含有割合
は、例えば、0.1〜6重量%が望ましい。また、タンタル
合金からなる第1の導電膜222を形成するには、混合
ターゲットを用いたスパッタリング法や、コスパッタリ
ング法、電子ビーム蒸着法などが用いられる。
【0027】そして、同図(3)に示されるように、第
1の導電膜222が、データ線212とともに、一般に
用いられているフォトリソグラフィおよびエッチング技
術によってパターニングされる。
【0028】次に、第1の導電膜222が形成された素
子基板200が、熱処理(プレアニール)される。具体
的には、図6(a)に示されるように、キャリア内に一
定の方向で収容された素子基板200の複数枚が、不活
性ガスや窒素ガスの雰囲気中にあって、300℃以上、好
ましくは300〜400℃の条件下のアニール炉400によっ
て熱処理される。ここで、熱処理の温度が400℃を越え
ると、ガラスあるいはプラスチックからなる基板自体に
悪影響を与えることがある。また、熱処理に要する時間
は、第1の導電膜222の膜厚や、アニール炉の熱容
量、アニールの設定温度、基板処理枚数、基板厚さなど
の要因によって左右されるが、例えば、10〜120分程度
である。
【0029】なお、図6(a)において、基板200に
に示されるa、b、cおよびdは、それぞれ基板方向を
示すための便宜上の記号である。
【0030】このプレアニールの目的について簡単に説
明する。一般に、第1の導電膜/絶縁膜/第2の導電膜
の構造を有するTFDのような二端子型非線形素子にお
いて、絶縁膜は、パターニングされた第1の導電膜22
2を化成液中で陽極酸化することによって得られる。こ
こで、陽極酸化前にプレアニールを行うと、絶縁膜22
4となるべき第1の導電膜222の表面が改質されて、
陽極酸化により形成される絶縁膜の比誘電率が、プレア
ニールしない場合と比較して小さくなる。このため、T
FD220の素子容量が改善されて充分に小さくなる。
さらに、第1の導電膜222と絶縁膜224との界面付
近の特定領域に水素が存在することになる。このため、
電圧−電流特性の経時変化を著しく小さくでき、長期に
わたって高い信頼性を保持することができるからであ
る。
【0031】このように経時変化が小さくなるメカニズ
ムは、必ずしも明らかでないが、理由のひとつとして、
以下のことが考えられる。すなわち、絶縁膜224は、
第1の導電膜222および第2の導電膜226に隣接す
る上下の半導体層の間にあるので、TFD220にあっ
ては、これらの半導体層と、これらの半導体層よりもバ
ンドギャップが大きい絶縁体層との3層に分かれている
と考えられる。ここで、電圧−電流特性の経時変化は、
絶縁体層の微結晶が電圧の印加によって徐々に破壊され
ることによって発生することが原因のひとつと考えられ
るが、本実施形態のようにプレアニールされたTFD2
20では、縁体層と第1の導電膜222との間に特定の
膜厚で水素を含む半導体層が存在することにより、絶縁
体層に印加される実効電圧が小さくなり、その結果、電
圧−電流特性の経時変化が小さくなるものと考えられ
る。
【0032】さて、プレアニールの後には、図4(4)
に示されるように、絶縁膜224が第1の導電膜222
の表面に形成される。すなわち、上述のように第1の導
電膜222の表面が、陽極酸化法によって酸化すること
で形成される。このとき、データ線212の表面も同時
に酸化されて絶縁膜が形成される。絶縁膜224の膜厚
は、その用途によって好ましい値が選択され、例えば、
20〜70nm程度とされる。陽極酸化に用いられる化成液
は、特に、限定されないが、例えば、0.01〜0.1重量%
のクエン酸水溶液を用いることができる。
【0033】次に、絶縁膜224が形成された素子基板
200が、熱処理(アニールA)される。具体的には、
図6(b)に示されるように、プレアニールとは上下反
転された素子基板200の複数枚が、アルゴンガスや窒
素ガスの雰囲気において、300℃以上、好ましくは、320
〜380℃の条件下で10〜120分の程度、アニール炉400
で熱処理された後に、水蒸気を含んだ雰囲気にして200
℃以下まで、5〜300分かけて降温処理される。これによ
り、絶縁膜224の表面には、水分が導入されることと
なる。
【0034】続いて、図4(5)に示されるように、第
2の導電膜226が成膜される。この第2の導電膜22
6は、例えば、クロムや、アルミニウム、チタン、モリ
ブデンなどであり、スパッタリング法などによって堆積
させることによって形成される。また、第2の導電膜2
26の膜厚は、例えば、50〜300nm程度である。そし
て、図5(6)に示されるように、第2の導電膜226
が、一般に用いられているフォトリソグラフィおよびエ
ッチング技術によってパターニングされる。
【0035】この後、同図(7)に示されるように、画
素電極234となる導電膜が成膜される。この導電膜
は、透過型の液晶パネルではITO(Indium Tin Oxid
e)などの透明導電膜が好適であり、反射型の液晶パネ
ルではアルミニウムや銀などの反射導電膜が好適であっ
て、スパッタリング法などによって膜厚30〜200nmで堆
積させることで成膜される。なお、反射型とする場合に
は、基板200自体に透明性が要求されないため、ガラ
スやプラスチックなどのほか、半導体基板やシリコン基
板などを用いることが可能である。
【0036】そして、この導電膜が、同図(8)に示さ
れるように、一般に用いられているフォトリソグラフィ
およびエッチング技術によってパターニングされて画素
電極234となる。このようなプロセスにより、素子基
板200には、複数のTFD220がマトリックス状に
形成されることとなる。
【0037】さらに、画素電極234がパターニングさ
れた素子基板200が、200℃以上で熱処理(アニール
B)される。第2の導電膜226が形成された後の絶縁
膜224には、プレアニールによる水分とともに、第2
の導電膜226の構成元素も導入される。この状態で熱
処理されると、絶縁膜224に含まれる酸素原子や、水
素原子、第2の導電膜226の構成元素が活性化し、そ
の分、絶縁膜224は実質的に薄くなる。このため、T
FD220の電圧−電流特性の変動を抑えられることと
なる。
【0038】このような製造プロセスにおいて、TFD
220の抵抗値特性に大きく影響を与える熱処理は、プ
レアニールおよびアニールAである。これらの熱処理に
用いるアニール炉400の熱分布は一様でないが、プレ
アニールとアニールAとにおいては、素子基板200を
互いに上下反転させた状態で熱処理するので、プレアニ
ールでの熱分布の偏りが、アニールAにおける逆方向の
熱分布の偏りによってキャンセルされる。このため、2
つの熱処理を通して見ると、素子基板200の面内に与
えられる熱分布は結果的に一様となるので、素子基板2
00に形成されるTFD220は、面内位置に関係なく
均一化される。このため、表示ムラが防止されることと
なる。
【0039】なお、実施形態にあっては、異なる目的で
行うプレアニールおよびアニールAにおいて、アニール
炉400内における素子基板200を上下反転すること
としたが、例えば、本来であれば1回で済むプレアニー
ルや、アニールAを意図的に2回以上に分けて、各回の
プレアニールにおいて素子基板200を上下反転するこ
とでも、素子基板200の面内分布を均一化することが
できる。
【0040】また、上述した実施形態において、熱処理
毎に素子基板200を上下反転することとした理由は、
次の通りである。すなわち、1枚の基板において発生す
る熱分布の偏りは、アニール炉400の構造や、冷却・
加温方法、基板自体の形状などによって一概に言えない
が、一般的傾向として、上昇気流などによって上部が下
部に比べて相対的に高熱となるため、熱処理の温度差
は、上下間で最も大きくなる。このため、各熱処理毎
に、基板の上下位置を反転させることが、均一化の面で
最適と考えるからである。さらに、製造工程において素
子基板200は、通常、複数枚が互いに平行に、かつ、
地平面に対して垂直に収容された状態で取り扱われる。
このため、基板の上下を反転させるのは、キャリアに収
容する方向を入れ替えるだけで済むからである。
【0041】さらに、熱処理に用いるのは、熱の供給源
が立体的であるアニール炉に限られず、例えば、熱の供
給源が平面的であるホットプレートでも良い。ホットプ
レートなど用いる場合には、基板の載置場所を処理毎に
回転させたりシフトさせたりすることで対処可能であ
る。くわえて、熱処理を2回以上、例えば、4回に分け
て、各回毎に90度づつ回転させても良い。
【0042】なお、本実施形態では、アニールBについ
ては、基板位置について何ら言及しなかったが、これ
は、アニールBでの熱分布の偏りが、プレアニールやア
ニールAほどTFDの特性に影響を与えないためであ
る。ただし、アニールBを複数回に分けて、各回毎に基
板を順次回転させても良いのはもちろんである。
【0043】<応用形態>本発明は、上述した実施形態
に限られず、種々の応用形態が可能である。そこで、こ
れらの応用形態のいかつかについて説明する。
【0044】<第2の導電膜と画素電極との共通化>図
2に示したTFD素子220にあっては、第2の導電膜
226および画素電極234が異なる導電膜により構成
されたが、図7(a)および同(b)に示されるよう
に、第2の導電膜226および画素電極234を、同一
の導電膜から構成しても良い。この共通導電膜について
も、液晶パネル100を透過型とする場合には、ITO
のような透明導電膜が好適であり、反射型とする場合に
は、アルミニウムなど反射導電膜が好適である。このよ
うな構成を有するTFD素子220は、第2の導電膜お
よび画素電極を同一の工程により形成できる利点があ
る。
【0045】<バック・トゥ・バック構造>次に、バッ
ク・トゥ・バック(back-to-back)構造のTFDについ
て説明する。ここで、バック・トゥ・バック構造とは、
電圧−電流特性を正負双方向にわたって対称化するた
め、2つのTFDを逆向きに直列接続した構造をいう。
このため、図8(a)および同図(b)に示されるよう
に、TFD220は、第1のTFD220aおよび第2
のTFD220bからなり、素子基板200の表面に形
成された下地201において、第1の導電膜222と、
この第1の導電膜222の表面が陽極酸化されて形成さ
れた絶縁膜224と、この表面に形成されて相互に離間
した第2の導電膜226a、226bとから構成されて
いる。また、第2の導電膜226aは、そのままデータ
線212となる一方、第2の導電膜226bは、画素電
極234に接続されている。
【0046】ここで、第1のTFD220aは、データ
線212の側からみると順番に、第2の導電膜226a
/絶縁膜224/第1の導電膜222となる。一方、第
2のTFD220bは、データ線212の側からみると
順番に、第1の導電膜222/絶縁膜224/第2の導
電膜226bとなって、第1のTFD220aとは、反
対の向きとなっている。したがって、バック・トゥ・バ
ック構造のTFD220は、2つのTFDを互いに逆向
きに直列接続した形となるため、1つの素子を用いる場
合と比べると、電流−電圧の非線形特性が正負双方向に
わたって対称化されることになる。なお、絶縁膜224
の膜厚は、図1に示した例に比べて約半分程度に形成さ
れる。また、2つのTFDを逆向きに並列接続すること
によっても非線形特性の対称性を確保することができ
る。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、熱
処理における熱分布が一様でなくても、その影響が排除
されるので、二端子型非線形素子の電圧−電流特性を、
基板全面にわたって均一化させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る液晶パネルの電気的
構成を示すブロック図である。
【図2】 (a)は、同液晶パネルにおける素子基板の
1画素分の構成を示す平面図であり、(b)は、そのA
−A’線の断面図である。
【図3】 同液晶パネルの構成を示す部分破断斜視図で
ある。
【図4】 (1)〜(5)は、それぞれ同液晶パネルの
素子基板における製造プロセスを示す図である。
【図5】 (6)〜(8)は、それぞれ同液晶パネルの
素子基板における製造プロセスを示す図である。
【図6】 (a)は、プレアニールにおける素子基板の
位置関係を示す図であり、(b)は、アニールAにおけ
る素子基板の位置関係を示す図である。
【図7】 (a)は、第1の応用形態に係る液晶パネル
における素子基板の1画素分の構成を示す平面図であ
り、(b)は、そのB−B’線の断面図である。
【図8】 (a)は、第2の応用形態に係る液晶パネル
における素子基板の1画素分の構成を示す平面図であ
り、(b)は、そのC−C’線の断面図である。
【符号の説明】 100……液晶パネル 105……液晶 200……(素子)基板 201……下地 212……データ線 220……TFD 222……第1の導電膜 224……絶縁膜 226……第2の導電膜 234……画素電極 300……(対向)基板 312……走査線 400……アニール炉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H092 HA28 JA03 JA07 JA11 JB12 KA16 KA18 MA05 MA14 MA15 MA16 MA17 MA22 MA24 MA35 MA37 MA41 NA24 NA25 NA30 PA06 QA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の導電膜/絶縁膜/第2の導電膜か
    らなる二端子型非線形素子を基板上に複数形成する二端
    子型非線形素子の製造方法であって、 前記基板に対して行う複数回の熱処理を、各熱処理毎に
    前記基板の位置を順次回転またはシフトさせて実行する
    ことを特徴とする二端子型非線形素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 各熱処理毎に、前記基板の上下位置を反
    転させることを特徴とする請求項1記載の二端子型非線
    形素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記複数回の熱処理には、前記第1の導
    電膜の表面に絶縁膜を形成する前に、前記第1の導電膜
    が形成された基板を熱処理する工程を少なくとも含むこ
    とを特徴とする請求項1記載の二端子型非線形素子の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記複数回の熱処理には、前記絶縁膜の
    表面に前記第2の導電膜を形成する前に、水分を含む雰
    囲気中で、前記絶縁膜が形成された基板を熱処理する工
    程を少なくとも含むことを特徴とする請求項1記載の二
    端子型非線形素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4いずれかの方法により形
    成される二端子型非線形素子とともに、この二端子型非
    線形素子の一方の端子に接続される画素電極と、この二
    端子型非線形素子の他方の端子に接続される一方の信号
    線とが形成された第1の基板と、 他方の信号線が形成された第2の基板とを前記画素電極
    と前記他方の信号線とが互いに対向して位置するように
    貼付し、 前記第1の基板と前記第2の基板との間隙に液晶を封入
    したことを特徴とする液晶パネルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100526836B1 (ko) * 2002-09-18 2005-11-08 전자부품연구원 연성 고분자 기반 기판 위에 형성된 박막 다이오드 소자및 그의 제조 방법

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KR100526836B1 (ko) * 2002-09-18 2005-11-08 전자부품연구원 연성 고분자 기반 기판 위에 형성된 박막 다이오드 소자및 그의 제조 방법

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