JP2000265563A - 長寿命建物及びその構法 - Google Patents

長寿命建物及びその構法

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JP2000265563A JP11074614A JP7461499A JP2000265563A JP 2000265563 A JP2000265563 A JP 2000265563A JP 11074614 A JP11074614 A JP 11074614A JP 7461499 A JP7461499 A JP 7461499A JP 2000265563 A JP2000265563 A JP 2000265563A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 省資源、省エネルギの要求に応え得るような
長寿命建物及びその構法を提供する。 【解決手段】 本発明に係る長寿命建物は、平面を埋め
尽くすことが可能な多角形を構成する辺に沿って配され
る複数のCFT柱1と、前記多角形と同一形状となり前
記CFT柱1に支持されるフラットスラブ2とを少なく
とも有するユニットにおいて、該ユニットの複数が、そ
の各々における前記多角形を構成する辺を互いに沿わせ
て連結された構造を有するものである。また、前記CF
T柱1の長手方向において随所に形成される水平貫通孔
に差し込まれ前記フラットスラブ2を地面に平行な状態
で支持する閂を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は長寿命建物及びその
構法に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】今日、地球資源の枯渇
が近い将来に訪れるといったことが叫ばれるようになっ
て久しい。例えば、物質、資源面から言えば、希少金属
の埋蔵量減少、森林の再生産不能な乱伐による木材の減
少等が顕著なものとして指摘されるようになっている
し、また、エネルギという観点からも、既に石油の枯渇
が目前に迫っており、その代替エネルギの模索が盛んに
行われている等という点を挙げることができる。このよ
うに資源、エネルギに関する問題は、もはや焦眉の課題
であるということができ、このことが社会ないし行政の
行動に与える影響も日増しに大きなものとなりつつあ
る。また、身近な所、いわゆる市民レベルの次元にあっ
ても、ゴミ出し分別の徹底等から始まる「リサイクル運
動」が、「常識」となりつつあること等から、上で述べ
た資源、エネルギの枯渇といった大きな問題は全社会的
規模をもって解決すべき課題であるという認識が広まり
つつあるものと考えられよう。
【0003】このような事態は、その一つの帰結とし
て、社会、行政、市民の各レベルにおける省資源、省エ
ネルギに対する意識の高まりを招くこととなるの当然で
ある。このような意識の高まりは、基本的に、近代の社
会生活を可能とするあらゆる面の見直しを迫るものであ
って、その対象は、単に日常よく見られる消費的生産物
といったものに限定されることなく、半永久的構築物と
みなされていた建物においてもその例外とはされない。
すなわち、従来の建築物及びその構法等に対する、省資
源、省エネルギといった観点からの見直しが迫られてい
るのである。
【0004】この建築物に対する要求に応える一方策と
しては、例えば、その建築物の長寿命化を達成するとい
うことがある。つまり、可能な限り長期間にわたって使
用可能であって、新規な建て替え等を必要とすることが
ない建物を建築するということである。このようにすれ
ば、新規立て替え時、どうしても消費せざるを得ない資
源、エネルギの使用を控えることができるからである。
【0005】ここで「長寿命化」という場合には、二つ
の契機があるものと考えられる。一つは、その建築物が
風雪等に耐え、安全で快適な環境を長期間にわたって提
供するという意味からの「長寿命化」、またもう一つ
は、その建築物に対する人々の使用環境の変化ないしは
これら人々の嗜好、要望の変化に対応可能とし、もって
長期間の使用に供されるという意味からの「長寿命
化」、ということである。後者についてはさらに、建築
物を構成する部材等の再利用化という観点からも省みる
ことが可能であろう。
【0006】また特に「長寿命化」という場合、集合住
宅においては、「SI住宅」が注目されており、構造躯
体の長寿命化が今後問題となってこよう。ここでSIと
は住宅建築に対する一つの考え方であり、その趣旨は、
建物の躯体となるスケルトン(S)と住居内設備と内装
を意味するインフィル(I)とを、耐使用年数の観点か
ら本質的に異なる要素と考えるとともに、スケルトンは
可能な限り頑丈にして耐久性を、インフィルはリニュー
アルやライフサイクルの変化への対応性(取り替え容易
性)を、それぞれ持たせるべきである、とすることにあ
る。これは上記した二つの契機に対応するものと考える
ことができよう。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、省資源、省エネルギの要
求に応え得るような長寿命建物及びその構法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために以下の手段をとった。すなわち請求項1記載
の長寿命建物は、平面を埋め尽くすことが可能な多角形
を構成する辺に沿って配される複数の柱と、前記多角形
と同一形状となり前記柱に支持されるフラットスラブと
を少なくとも有するユニットにおいて、該ユニットの複
数が、その各々における前記多角形を構成する辺に沿っ
て連結された構造を有することを特徴とするものであ
る。
【0009】これによれば、ユニット単位による施工が
可能であることが分かる。換言すれば、この長寿命建物
は、その組み立てないし解体を容易にかつシステマテッ
ィクに行えることとなる。また、ここでいう「組み立
て」においては、ユニットの組合せ方は基本的に自由で
あることがわかるから、結局、そのユニット単位におけ
る自由な(屋内)空間の形成を行うことが可能である。
また「解体」によって生じた柱、フラットスラブ等の部
材は容易にその他の現地における転用が可能である。つ
まりこの解体によって生じた部材を、別の建物の部材と
して使用することとすれば、部材レベルでの長寿命化が
達成されうることになる。
【0010】また請求項2記載の長寿命建物は、前記柱
の長手方向において随所に形成される水平貫通孔に差し
込まれ前記フラットスラブを地面に平行な状態で支持す
る閂を有することを特徴とするものである。
【0011】これによれば、フラットスラブを床面とみ
なせば、水平貫通孔が柱の「随所に」形成されそれに差
し込まれる閂によって前記フラットスラブが支持される
この形態は、すなわち本発明に係る長寿命建物における
階高が可変となっていることを意味する。つまり、本発
明によれば、上述したユニット単位における空間の自由
性に加えて、ユニット内における空間の自由性をも達成
されるのである。また、ここでいう「フラット」スラブ
とは梁のないものを想定しているから、その意味からの
空間の自由性ということも言える。
【0012】さらに請求項3記載の長寿命建物は、前記
複数の柱間かつ前記多角形を構成する辺上に配される壁
が制震構造を備えていることを特徴とし、また請求項4
記載のそれは、前記柱が充填鋼管コンクリート柱とされ
ていることを特徴とするものである。
【0013】この長寿命建物は、長期間、固定荷重ない
し積載荷重といった鉛直荷重に耐える頑強な建物である
ということがいえ、また同時に地震や風荷重といった水
平荷重に対しても十分耐えうる構造となっているという
ことがいえる。すなわち、壁には極軟鋼を組み込んだ鉄
骨ブレース(移動可能)を代表とする制震構造が備えら
れ(請求項3)、柱は鉛直荷重を支えるのに優れかつ耐
火性能も持ついわゆるCFT柱となっているから(請求
項4)、これら両面において十分な強度が得られるので
ある。また、これら制震構造を備える壁、CFT柱、そ
して上記したフラットスラブ等によって、スケルトンが
構成されかつその中にインフィルを組み込んでいくこと
で、本発明に係る長寿命建物はSI対応となるものであ
る。ちなみに、ここでいうSI対応とは以下に説明する
ような背景に依るものである。
【0014】上述した制震構造を有する壁あるいは鉄骨
ブレースは、地震等による力を受ける度にそのエネルギ
を吸収するから、比較的長期間(例えば、30年)にお
いてはその変形が無視できない。したがって本発明は、
この壁をインフィル、すなわち取り替えを前提とした消
耗部品として基本的に考えるのに対し、スケルトンであ
る床、上記CFT柱、上記フラットスラブ等は、地震や
風等の水平荷重に対しては無被害であり長期間(例え
ば、200年)にわたる使用が前提される、という思想
を背景にするものである。また特に、壁の設置位置につ
いては、上述したように前記多角形を構成する辺上であ
れば基本的によいが、といって当然ながら、複数のユニ
ットの構成体におけるそのすべての前記辺上に壁を設置
しなければならないということを意味するものでもな
い。結局、壁は、その壁としての作用を発揮し得るよう
な位置に自由に設置してよいということである。つまり
この壁の設置位置の自由さは、上述した建物内における
空間の自由度増加に寄与することになる。またこの壁は
制震構造を有するものであるから、ユニットの増殖に対
して、その使い勝手を都度考慮しながら、地震や風等の
水平荷重に対応できることとなる。
【0015】加えて、請求項5記載の長寿命建物の構法
は、平面を埋め尽くすことが可能な多角形を構成する辺
に沿って複数の柱を配し、現地にて前記多角形と同一形
状となるフラットスラブを施工構成し、該フラットスラ
ブを前記柱を案内としつつ該柱の長手方向において随所
に形成される水平貫通孔のうちの所定の水平貫通孔より
も上となる位置に持ち上げるとともに、前記所定の水平
貫通孔に閂を差し込んで前記フラットスラブを地面に平
行な状態で保持することにより、ユニットを構成し、該
ユニットの複数を、その各々における前記多角形を構成
する辺に沿わせて配し、隣り合う前記フラットスラブを
互いに連結することを特徴とするものである。
【0016】この構法は、上までに記した長寿命建物の
構法として最も適したものの一つであるということが言
える。なお上述した「解体」は、この構法の逆を行え
ば、容易に行えることが明らかである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下では、本発明の実施の形態に
ついて、図1及び図2を参照して説明する。図1は本発
明に係る長寿命建物を示す平面図である。この図におい
て、符号1は、充填鋼管コンクリート柱(以下、CFT
柱と略す)、2はフラットスラブ、4は壁を指示してい
る。また、これらの要素が一空間を囲いそれが筐体とし
て認識されるとき、その筐体を本発明ないし本実施形態
ではユニットと呼ぶことにする。
【0018】CFT柱1とは、鋼管の内部にコンクリー
トを充填することによって構成した柱である。CFT柱
1はこのことにより、柱の径を小さくしても十分な強度
を発揮することができるものとして知られている。本実
施形態においては、この充填するコンクリートとして、
いわゆる高強度コンクリートを用いることにより、さら
なる強度の発揮を期待できるものとなっている。
【0019】これらのCFT柱1には、図2に示すよう
に、その長手方向における随所に複数の水平貫通孔1a
が形成されている。これら水平貫通孔1aには閂3が差
し込まれるようになっており、このことによって後述す
るフラットスラブ2を支持、固定する。また図1におい
て、CFT柱1は、正方形を構成する辺に沿って配され
ており、特に言えば、その四つの頂点それぞれの上に配
されたものとなっている。このとき上記正方形上に配さ
れる各CFT柱1においては少なくとも、前記水平貫通
孔1aが同一の高さとなる位置に形成されているものと
する。ちなみに、本実施形態における正方形は、10m
×10mのものとなっている。
【0020】フラットスラブ2は、その形状が前記正方
形、すなわち10m×10mの正方形とされており、C
FT柱1に支持されている。より具体的には、上述した
ように、また図2に示すように、CFT柱1における前
記水平貫通孔1aに差し込まれた閂3によって、地面に
平行な状態で支持されたものとなっている。また、この
フラットスラブ2においては、プレストレスが導入され
ている。すなわち、このフラットスラブ2にかかる過重
等の外力によって該スラブ2内部に発生する応力の一部
を打ち消すような応力を予め計画的に導入しておくので
ある。また、このフラットスラブ2を構成するコンクリ
ートは、上記CFT柱1と同様に、高強度コンクリート
とされている。さらに、このフラットスラブ2では、図
からも明らかなとおり梁がない構成となっている。
【0021】次に壁4が、前記複数のCFT柱1間であ
って前記正方形を構成する辺上に配されている。図1に
おいては、特に図中左下のユニットにおける下方及び左
方の壁4を太線にて明示している。これらの壁4は、制
震機能を備えたものとなっている。具体的には、これら
の壁4外周に鉄骨フレーム(図示せず)を軸組みしてあ
る場合や、壁4そのものが既知の制震構造を有したもの
となっている場合を想定できる。本発明はこれらの態様
について特に限定するものではない。
【0022】以上のCFT柱1、フラットスラブ2、及
び壁4が、上述したように一つのユニットを構成する
が、本実施形態における長寿命建物は、このユニットが
複数用意され、かつそれらのユニットがその各々におけ
る上記正方形の辺を互いに沿わせて連結させたもの、と
して構成されている。この場合「連結」とは、図2に示
すように、剛性形成用プレート5が隣り合うフラットス
ラブ2の辺々を連結することによってなされている。
【0023】以下では上記構成となる長寿命建物の構法
について説明する。まずそれを建てようとする地の基礎
工事を行う。基礎工事が完了したら、10m×10mの
正方形の四つの頂点上に、まずCFT柱1を構成する鋼
管柱を建てる。そして、これら鋼管柱の内部に高強度コ
ンクリートを充填、打設する。なお、これらCFT柱1
には予め水平貫通孔1aが形成されるようにしておく。
この後又はこれと同時に、その現場にて10m×10m
のフラットスラブ2を、グラウンドレベルで施工構成す
る。このとき上記したプレストレスを導入するが、この
ことから、本実施形態においては、いわゆるポストテン
ション方式をとることになる。
【0024】フラットスラブ2が完成したら、前記四本
のCFT柱1を案内としつつ該スラブ2を上方へと引き
上げる。この引き上げは、CFT柱1に形成されている
上記水平貫通孔1aのうちの所定のそれよりも上となる
位置まで行われる。これはユニットを何階建ての建物に
するかによる。所定の水平貫通孔1aよりも上の位置に
フラットスラブ2が引き上げられたら、閂3を図2に示
すように、上記所定の水平貫通孔1aに差し込む。むろ
んこの場合、四本のCFT柱1におけるそれぞれの水平
貫通孔1aに閂3が差し込まれることになる。このこと
によってフラットスラブ2は所定の階高に支持されるこ
とになる。なお、本発明に係る長寿命建物に関しては、
これ以外の特別な固定手段はとらない。以下、例えば、
いま支持完了したフラットスラブ2が4階の床として規
定されるものであるのならば、次に3階の床となるフラ
ットスラブ2を、というようにして同様にCFT柱1に
支持させる作業を行う。
【0025】以上の工程により一つのユニットが構成さ
れるが、本発明ないし本実施形態においては、上記と同
様な構法によって複数のユニットを構成する。これら複
数のユニットは、その各々における四辺形を構成する辺
に沿わせて配される。もっとも当初の基礎工事、それに
続く上記構法において、複数のユニット同士がそもそも
予め隣り合うような状態として構成されることとなって
いてももちろんよい。そして、隣り合うフラットスラブ
2の辺々を、図2に示す剛性形成用プレート5によって
接続し、各ユニットを連結する。最後に壁4を、鉄骨フ
レームを付設する等の制震工事を行いつつも、前記CF
T柱1間かつ四辺形を構成する辺上に配することによっ
て、長寿命建物が完成することになる。なお、この壁4
については、四辺形を構成するすべての辺上に配される
必要が必ずしもない、ということは言うまでもない。つ
まり、壁4の設置位置は基本的に自由である。
【0026】以上のことから、本実施形態に係る長寿命
建物は、まずユニットを基本とする構成となっているこ
とから、その組み立てがきわめてシステマテッィクに行
えるという特徴を持つ。また各ユニットの組合せ方は基
本的に自由であるから、新規建築した後、建物を使用す
る人々の要求変化等、何らかの事情が発生した場合、既
存の組み合わせを変更するといったことが容易に行える
のである。
【0027】また、CFT柱1に形成されている水平貫
通孔1aが随所に形成されており、フラットスラブ2が
これら水平貫通孔1a及び閂3により支持される、とい
うことは、この長寿命建物がその階高を可変としている
ことを意味する。さらに、フラットスラブ2は梁をもつ
ものでないから、その空間の利用性はより高まる。
【0028】以上のことは、建物そのものの空間的な自
由度を高めるものであるが、同時に時間的にも自由度を
増した構成となっているということが言える。すなわ
ち、この長寿命建物は、時間経過によって上記した人々
の要求変化等が発生した場合にも、新規な立て替えを行
う必要がなく、省資源、省エネルギの理念を体現したも
のとなっているということがいえるのである。
【0029】また、本実施形態に係る長寿命建物は、上
記した組み立てだけではなく、フラットスラブ2がアン
ボンドとされていたこと等から、その解体をも同様にシ
ステマテッィクに行えるものである。そしてこの解体に
よって発生した各部材は、そのそれぞれにおいて転用が
可能であることは言うまでもない。つまりこのことは、
本発明に係る長寿命建物においては、部材レベルでの長
寿命化が達成されているということができ、このことに
よっても省資源、省エネルギという理念に適うものとな
っているのである。
【0030】次に本実施形態に係る長寿命建物は、CF
T柱1が使用されるとともに、フラットスラブ2にはプ
レストレスが導入され、さらには両者において高強度コ
ンクリートが用いられているということ、かつ地震や風
等の水平荷重は上述した制震構造を有する壁4が集中し
て負担することにより、CFT柱1、フラットスラブ2
にはその影響が及ばないようになっていることから、長
期間の風雪等に耐えるという意味での長寿命化が達成さ
れることは言うまでもなく、同時にRC部材の中性化、
クラックによる鉄筋の腐食防止が達成できる。
【0031】最後に、本実施形態に係る長寿命建物は、
上記CFT柱1、階高可変なフラットスラブ2、及びそ
の設置位置を自由に決定できる制震構造を有した壁4を
備えるものであったから、スケルトンの機能を満たしな
がら、フレキシブルな空間を確保することができ、そこ
にインフィル、クラディングを組み込むことで、SI対
応の建物とすることができる。ここでクラディングと
は、共用設備や外装などで機能的耐久性を必要とする部
材のことを言うものである。
【0032】なお上記実施形態では、ユニットは10m
×10mの正方形によって規定されていたが、本発明は
この形態に特にこだわるものではない。例えば、長方形
としたり、場合によっては六角形といった特殊な形状を
もその概念内に収めるものである。要は、平面を埋め尽
くすことが可能な多角形であればよいのである。このよ
うな場合であっても、本発明に係る長寿命建物は上記実
施形態に則って構成可能であり、また上記構法について
も何ら変更することなく適用可能であるから、それを排
除する理由がないからである。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の長
寿命建物は、柱及びフラットスラブを少なくとも有する
ユニットをその構成単位とし、このユニットの複数が組
み合わされて構成されたものであるから、その組み立て
ないし解体を容易にかつシステマテッィクに行うことが
できる。ここでいう「組み立て」は、そのユニット単位
における自由な(屋内)空間の形成を行うことが可能で
あり、また「解体」によって生じた柱、フラットスラブ
等の部材は容易にその他の現地における転用が可能であ
る。したがって、本発明に係る長寿命建物は、それを使
用し続けるという立場からも、また解体して別の建物に
するという立場からも、新たな資源を全く必要とするこ
となく対応が可能なものとなっているということがで
き、省資源、省エネルギという観点から見て最も適切な
建物であるということができる。
【0034】また請求項2記載の長寿命建物は、前記柱
に「随所に」形成される水平貫通孔及びこれに差し込ま
れる閂によって前記フラットスラブを支持することか
ら、上述したユニット単位における空間の自由性に加え
て、ユニット「内」における空間の自由性をも達成され
る。すなわち本発明に係る長寿命建物を使用し続けると
いう立場から、その人々の要求変化等に柔軟に対応可能
となっているということができ、この点からも省資源、
省エネルギという理念が満たされるものとなっているの
である。
【0035】さらに請求項3及び請求項4記載の長寿命
建物は、その壁が制震構造を備えており(請求項3)、
前記柱が充填鋼管コンクリート柱とされている(請求項
4)ことから、長期間、風雪等に耐える頑強な建物であ
るということがいえる。つまりこのことによって「長寿
命」ということの、いわゆる本義が達成できるのであ
る。また、これら壁の制震構造、CFT柱、そして上記
したフラットスラブにより、本発明に係る長寿命建物は
SI対応となるものである。すなわちCFT柱及び階高
可変なフラットスラブはスケルトンを構成し、この内部
に上記壁を初めとする取り替え可能なインフィル、ある
いはクラディングを一体的に構成することで、SI思想
に基づく長寿命化建物が実現できるのである。
【0036】最後に請求項5記載の長寿命建物の構法
は、上までに記した長寿命建物の構法として最も適した
ものの一つであるということが言える。なお上述した
「解体」は、この構法の逆を行えば、容易に行えること
が明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る長寿命建物を示す平面図であ
る。
【図2】 図1に示す長寿命建物において、柱及びフラ
ットスラブとの支持関係を示す側面図である。
【符号の説明】
1 CFT柱(柱) 1a 水平貫通孔 2 フラットスラブ 3 閂 4 壁 5 剛性形成用プレート

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平面を埋め尽くすことが可能な多角形を
    構成する辺に沿って配される複数の柱と、前記多角形と
    同一形状となり前記柱に支持されるフラットスラブとを
    少なくとも有するユニットにおいて、 該ユニットの複数が、その各々における前記多角形を構
    成する辺を互いに沿わせて連結された構造を有すること
    を特徴とする長寿命建物。
  2. 【請求項2】 前記柱の長手方向において随所に形成さ
    れる水平貫通孔に差し込まれ前記フラットスラブを地面
    に平行な状態で支持する閂を有することを特徴とする請
    求項1記載の長寿命建物。
  3. 【請求項3】 前記複数の柱間かつ前記多角形を構成す
    る辺上に配される壁が、制震構造を備えていることを特
    徴とする請求項1又は2記載の長寿命建物。
  4. 【請求項4】 前記柱が充填鋼管コンクリート柱である
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の長
    寿命建物。
  5. 【請求項5】 平面を埋め尽くすことが可能な多角形を
    構成する辺に沿って複数の柱を配し、現地にて前記多角
    形と同一形状となるフラットスラブを施工構成し、該フ
    ラットスラブを前記柱を案内としつつ該柱の長手方向に
    おいて随所に形成される水平貫通孔のうちの所定の水平
    貫通孔よりも上となる位置に持ち上げるとともに、前記
    所定の水平貫通孔に閂を差し込んで前記フラットスラブ
    を地面に平行な状態で保持することにより、ユニットを
    構成し、 該ユニットの複数を、その各々における前記多角形を構
    成する辺に沿わせて配し、隣り合う前記フラットスラブ
    を互いに連結することを特徴とする長寿命建物の構法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7519758B2 (en) 2002-02-22 2009-04-14 Robert Bosch Gmbh Method and apparatus for transmitting measurement data between an object detection device and an evaluation device
JP2019138053A (ja) * 2018-02-09 2019-08-22 清水建設株式会社 スケルトン耐震建物、スケルトン耐震建物の建設方法および更新方法

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JP2019138053A (ja) * 2018-02-09 2019-08-22 清水建設株式会社 スケルトン耐震建物、スケルトン耐震建物の建設方法および更新方法

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