JP2000264610A - 新規なグリコサミノグリカン無機イオン複合体、その製造方法、及びそれを含む医用材料 - Google Patents
新規なグリコサミノグリカン無機イオン複合体、その製造方法、及びそれを含む医用材料Info
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Abstract
ると共に、従来の骨材料と少なくとも同程度の強度を有
し、しかも均一な強度を有する骨材料を提供する。 【解決手段】 少なくともグリコサミノグリカン、リン
酸イオン及びカルシウムイオンが化学的に結合した複合
体からなり、電子線回折において該複合体の粒子の長軸
に対してc軸配向を示す回折像(002n:nは正の整
数)を示すことを特徴とするグリコサミノグリカン無機
イオン複合体。
Description
骨や歯の置換材、接合材、修復材等の骨材料等として有
用な、成形性と強度に優れたグリコサミノグリカン無機
イオン複合体及びその製造方法、並びに前記グリコサミ
ノグリカン無機イオン複合体を含む医用材料に関する。
場合の修復に利用される骨伝導能(骨組織を骨に充填し
た骨材料中に入り込ませる能力)を有する材料(骨材
料)としては、酸化チタンやヒドロキシアパタイト、リ
ン酸三カルシウム等が利用されてきた。さらにこれらの
材料に骨形成能を付与し、あるいはこれらの材料の形状
を保持する等の目的で、コラーゲン、コンドロイチン硫
酸等のグリコサミノグリカン等をさらに含めた材料が知
られている。例えば、特開昭62−64367号には、
ヒドロキシアパタイトと、コラーゲンに結合したコンド
ロイチン硫酸等のグリコサミノグリカンとの複合物から
なる人工骨用組成物が開示されており、この人工骨用組
成物は骨形成能を有すると記載されている。また特開平
3−141956号には、ヒドロキシアパタイトの粉粒
体をコンドロイチン硫酸含有水溶液により流動状態及び
可塑状態とした骨充填材が開示されており、この材料は
骨組織の欠損部や空隙への充填性に優れ、生体親和性が
高い特性を有しており、形状の保持に問題のある粉末状
または粒状のヒドロキシアパタイトの形状の保持及び充
填を容易なものとすることが記載されている。さらに、
特開平7−101708号にはアパタイト・有機物複合
体として、人工骨、人工歯根などに利用しうるアパタイ
トとコラーゲン又は多糖類との複合体が記載されてお
り、強度と弾性の調節が可能である旨、記載されてい
る。
骨や歯の置換材、接合材、修復材等として使用し得る骨
材料について研究が進められてきた。しかし、これまで
の骨材料は、硬度、強度、これらの均一性、生体親和性
等において十分なものではなかった。例えば、これまで
の材料はいずれも生体内に存在する硬組織と硬度が異な
り、硬組織と比較して堅い素材である金属や焼結したア
パタイト等の骨材料は生体内の正常な硬組織を破壊する
こともあった。また、焼結していないヒドロキシアパタ
イト等を主成分とする骨材料は、生体内の硬組織と組成
は類似しているが、十分な硬度を有しておらず、生体内
で壊れる問題点があった。その強度を増すために何らか
の物質をヒドロキシアパタイトに混合する場合、作成し
た骨材料全体にわたって均一な強度を得ることが困難で
あり、強度の高い部分と低い部分での歪みにより、やは
り骨材料が生体内で破壊されてしまうという問題が存在
した。これは、均一で十分な強度を得るために必要な、
原子及び分子、さらに骨材料の粒子や結晶が高い配向性
で配列した構造を得ることが困難であったことによるも
のである。さらに、従来の骨材料等は総じて生体親和性
が低く、硬組織に導入した際に硬組織の再生の促進と硬
組織との融合が十分に起こらず、結果的に生体硬組織の
再生を骨材料が妨げてしまうという問題点があった。従
って、従来から知られている骨材料と少なくとも同程度
の強度を有し、硬組織の再生を促して硬組織と融合する
と共に均一な強度を有する、配向性が高い骨材料の開発
が期待されていた。
来の骨材料の問題点に鑑み、生体の硬組織に導入した際
に導入部近傍において硬組織の再生を促し硬組織と融合
し、また配向性が高く、高い強度と適度な弾性を有する
骨材料として利用し得る新規な物質を鋭意探索した。そ
の結果、通常のリン酸カルシウム系化合物、例えばヒド
ロキシアパタイト(以下「HAp」とも記載する)、リ
ン酸三カルシウム、アモルファスリン酸カルシウム等の
合成におけるリン酸イオンとカルシウムイオンのイオン
結合反応の際にグリコサミノグリカン(以下「GAG」
とも記載する)、さらに任意にコラーゲンを共存させる
ことにより、GAG、リン酸イオン及びカルシウムイオ
ンならびに場合によりコラーゲンが結合した複合体から
なり、各イオン又は分子、あるいはそれによって構成さ
れる結晶が高い配向性で規則正しく配列し、また前記複
合体の粒子自体も高い配向性を有しているため高い強度
と弾性を有し、さらに高い生体親和性を有し、生体内で
硬組織と融合し得、優れた骨材料として使用し得る新規
なGAG無機イオン複合体が得られることを見出した。
そしてこの複合体が、電子線回折において特定の結晶配
向を示し、それにより特徴付けられることを見出した。
従って本発明は、少なくともグリコサミノグリカン、リ
ン酸イオン及びカルシウムイオンが化学的に結合した複
合体からなり、電子線回折において該複合体の粒子の長
軸に対してc軸配向を示す回折像(002n:nは正の
整数)を示すことを特徴とするグリコサミノグリカン無
機イオン複合体を提供するものである(以下、「本発明
物質1」ともいう)。上記本発明物質1の好ましい態様
によれば、電子線回折において前記複合体の粒子の長軸
に対して0±45°及び180±45°の範囲内にc軸
配向を示す回折像(002n:nは正の整数)を示すこ
とを特徴とする上記グリコサミノグリカン無機イオン複
合体;乾燥重量でグリコサミノグリカンを1〜99重量
%含むことを特徴とする上記グリコサミノグリカン無機
イオン複合体;実質的にグリコサミノグリカン、リン酸
イオン及びカルシウムイオンのみからなる上記グリコサ
ミノグリカン無機イオン複合体;及び前記粒子の長軸の
長さが60〜1000nmであることを特徴とする上記
グリコサミノグリカン無機イオン複合体が提供される。
上記のグリコサミノグリカン無機イオン複合体の一つの
好ましい態様においては、上記のグリコサミノグリカン
無機イオン複合体は前記3成分の他にさらにコラーゲン
を含み、コラーゲンが複合体各成分と化学的に結合した
複合体(以下、「本発明物質2」ともいう)が提供され
る。上記のさらにコラーゲンを含む本発明物質2の好ま
しい態様によれば、乾燥重量でグリコサミノグリカン及
びコラーゲンの重量%の合計が5〜60重量%であるこ
とを特徴とする前記グリコサミノグリカン無機イオン複
合体;前記粒子の長軸の長さが0.5〜1200μmで
あることを特徴とする前記グリコサミノグリカン無機イ
オン複合体;グリコサミノグリカン無機イオン複合体の
赤外分光分析におけるカルボキシル基(COO)の特性
吸収が、グリコサミノグリカンと比較して低波数側へシ
フトしていることを特徴とする前記グリコサミノグリカ
ン無機イオン複合体;及びグリコサミノグリカンが、コ
ンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸B、及びコン
ドロイチン硫酸Cからなる群から選択される物質である
ことを特徴とする前記グリコサミノグリカン無機イオン
複合体が提供される。また本発明は、別の態様として、
少なくともグリコサミノグリカン、リン酸及び水酸化カ
ルシウムを水性溶媒中で混合し、混合液から析出させる
ことを特徴とするグリコサミノグリカン無機イオン複合
体の製造方法を提供する。上記本発明のグリコサミノグ
リカン無機イオン複合体の製造方法の好ましい態様によ
れば、さらにコラーゲンを混合することを特徴とする前
記グリコサミノグリカン無機イオン複合体の製造方法;
20〜50℃の条件下で混合を行うことを特徴とする前
記グリコサミノグリカン無機イオン複合体の製造方法;
アルカリ性の条件下で混合を行うことを特徴とする前記
グリコサミノグリカン無機イオン複合体の製造方法;及
びグリコサミノグリカンが、コンドロイチン硫酸A、コ
ンドロイチン硫酸B、及びコンドロイチン硫酸Cからな
る群から選択される物質であることを特徴とする前記グ
リコサミノグリカン無機イオン複合体の製造方法が提供
される。さらに別の態様として、本発明は前記本発明の
グリコサミノグリカン無機イオン複合体を含む医用材料
を提供するものである。尚、特開昭62−64367号
に開示されたヒドロキシアパタイトとコラーゲンに結合
したグリコサミノグリカンとの複合物からなる人工骨用
組成物は、ヒドロキシアパタイトとコンドロイチン硫酸
をコラーゲンに添加して得られる混合物を凍結乾燥して
得られる複合物であり、本発明のグリコサミノグリカン
無機イオン複合体とは製造方法が全く異なり、上記先行
技術には、本発明物質のように原子の配列が一軸配向性
を有する複合体については全く記載されておらず、また
それを示唆する記載もない。また、特開平3−1419
56号に開示された骨充填材も同様に本発明のグリコサ
ミノグリカン無機イオン複合体とは製造方法が全く異な
り、上記先行技術には、本発明物質のように原子の配列
が一軸配向性を有する複合体については全く記載されて
おらず、またそれを示唆する記載もない。更に、特開平
7−101708号には本発明物質のグリコサミノグリ
カン無機イオン複合体は記載されていない。また、カル
シウムイオン又はリン酸イオンが規則的に結合する官能
基がGAGには存在するが、コラーゲンにはそのような
官能基が一定間隔毎に存在しないため、コラーゲン、リ
ン酸、及びカルシウムを水性溶媒中で混合したとしても
高い配向性を有する複合体を得ることは不可能である。
明のGAG無機イオン複合体」として説明する。 1−1 本発明物質1 本発明物質1は、少なくともグリコサミノグリカン、リ
ン酸イオン及びカルシウムイオンが化学的に結合した複
合体であり、各成分を含有する溶液から粒子として析出
しうるものであり、電子線回折において該複合体の粒子
の長軸に対してc軸配向を示す回折像(002n:nは
正の整数)を示すことを特徴とする。本発明物質1は、
後述するように電子線回折において前記複合体の粒子の
長軸に対して0±60°及び180±60°、特に0±
45°及び180±45°の範囲内にc軸配向を示す回
折像(002n:nは正の整数)を示すことが好まし
い。一般にグリコサミノグリカン(GAG)とは、ヘキ
スロン酸又はガラクトースとヘキソサミンの二糖単位の
繰り返し構造からなる基本骨格を有する多糖であり、ヒ
アルロン酸及びコンドロイチンを除くGAGは、構成糖
のヒドロキシル基が部分的に硫酸エステル化され、アミ
ノ基がアセチル化又は硫酸化されている。上記ヘキスロ
ン酸としては、例えばグルクロン酸及びイズロン酸が挙
げられ、ヘキソサミンとしては、例えばグルコサミン及
びガラクトサミンが挙げられる。本発明のGAG無機イ
オン複合体に使用することができるグリコサミノグリカ
ンとしては、例えばヒアルロン酸(HA)、コンドロイ
チン、コンドロイチン硫酸(CS)、ヘパリン、ヘパラ
ン硫酸、ケラタン硫酸、ケラタンポリ硫酸等が挙げられ
るが、その中でも骨再生において血管の誘導を促進する
ことが知られているヒアルロン酸または硬組織に広く存
在するコンドロイチン硫酸が好ましく、コンドロイチン
硫酸が最も好ましい。また本発明のGAG無機イオン複
合体に含まれるGAGは、単一の種類のGAGに限定さ
れるわけではなく、上記GAGから選択される複数の種
類のGAGであってもよい。本発明GAG無機イオン複
合体に複数のGAGを含ませる場合は、HAまたはCS
のいずれか、あるいは両方が含まれていることが好まし
く、乾燥重量中のHAとCSの合計重量が他のGAGの
合計重量と比べて多いことが好ましい 上記のコンドロイチン硫酸は、グルクロン酸又はイズロ
ン酸とN−アセチルガラクトサミンがβ1−3結合で結
合した二糖単位が、β1−4結合で結合した繰り返し構
造を基本骨格とする硫酸化多糖である。主に硫酸基が結
合する位置の違いにより、コンドロイチン硫酸は数種類
に分類されるが、その中でも特にコンドロイチン硫酸A
(コンドロイチン4硫酸:基本骨格がグルクロン酸及び
4位ヒドロキシル基が硫酸化されたN−アセチルガラク
トサミンの二糖の繰り返し構造によって形成されたコン
ドロイチン硫酸を主成分とする)、コンドロイチン硫酸
B(デルマタン硫酸:基本骨格がイズロン酸及び4位ヒ
ドロキシル基が硫酸化されたN−アセチルガラクトサミ
ンの二糖の繰り返し構造によって形成されたコンドロイ
チン硫酸を主成分とする)、及びコンドロイチン硫酸C
(コンドロイチン6硫酸:基本骨格がグルクロン酸及び
6位ヒドロキシル基が硫酸化されたN−アセチルガラク
トサミンの二糖の繰り返し構造によって形成されたコン
ドロイチン硫酸を主成分とする)が好ましく、特にコン
ドロイチン硫酸A及びコンドロイチン硫酸Cが硬組織に
より多く分布しているため好ましい。上記の本発明物質
1に含まれるGAGの重量平均分子量は特に限定されな
いが、GAGがコンドロイチン硫酸の場合、一般的には
8,000〜100,000、好ましくは10,000
〜60,000程度であり、GAGがヒアルロン酸の場
合は30,000〜5,000,000、好ましくは1
00,000〜2,000,000程度である。本発明
物質1の構造は、その粒子の中心部にGAGが存在して
おり、リン酸イオン及びカルシウムイオンがGAGに結
合した構造であると推定されるが、GAGと、リン酸イ
オン及びカルシウムイオンからなる結晶とが化学的に結
合していることが好ましい。上記化学的な結合として
は、一般にイオン結合、共有結合、及び配位結合が挙げ
られる。これらの結合が形成されていることは、例えば
実施例に記載するFT−IR(フーリエ変換赤外分光
法)等の赤外分光分析により、グリコサミノグリカンの
分子構造中に存在する、上記結合に関与すると考えられ
る原子団(カルボキシル基(COO)、及び硫酸基を有
するグリコサミノグリカンの場合はさらに硫酸基のスル
フィニル基(SO))の特性吸収が、結合前と比して結
合後に赤方偏移すること、すなわち遊離のGAGにおけ
る、前記各原子団の特性吸収と比較して低波数側へシフ
トしていることにより確認することが可能である。例え
ばGAGとして、最も好ましいコンドロイチン硫酸を用
いる場合、CSとリン酸イオン及びカルシウムイオンと
の結合は、FT−IRによる分析で、SOの特性吸収及
びCOOの特性吸収(1227cm−1及び1653c
m−1がそれぞれ1222cm−1及び1647cm
−1へ赤方偏移することによって確認することが可能で
ある。本発明物質1の粒子を、通常のX線結晶解析装置
により解析した際に得られる回折プロファイルにおいて
は、ブロードなピークが検出される(図2参照)。さら
に、本発明物質1は焼成して有機部分を除去した際に下
記に記載する結晶パラメータを有する六角柱状結晶を含
むことが好ましい。 単斜晶系の場合: 空間群:P21/bまたはPb 格子定数: P21/bの場合、a=0.942nm、b=1.88
4nm、c=0.689nm、γ≧120°、 Pbの場合、a=0.942〜0.953nm、b=
1.884nm、c=0.689nm、γ≧120° 六方晶系の場合: 空間群:P63/mまたはP6 格子定数: P63/mの場合、a=0.942nm、c=0.68
9nm P6の場合、a=0.942〜0.953nm、c=
0.689nm 一般にヒドロキシアパタイト(Ca10(OH)2(P
O4)6)は、合成時に溶液中に溶解していた空気中の
二酸化炭素が若干取り込まれて上記化学式中のリン酸
(PO4)が炭酸(CO3)に部分的に置換したり、ま
た合成時にナトリウムイオンや亜鉛イオン等の2価の金
属陽イオンを共存させることで、上記式中のカルシウム
(Ca)がナトリウム(Na)や亜鉛(Zn)等の金属
に部分的に置換しうることが知られている。本発明GA
G無機イオン複合体においても、部分的に上述の例によ
る置換が起こりうるが、このように部分的な置換を有す
る物質も本発明GAG無機イオン複合体に包含される。
特にCO3置換を含む本発明物質1は上述の結晶パラメ
ータは、晶系が単斜晶系の場合にPb、六方晶系の場合
にP6の空間群を取りうる。また、本発明GAG無機イ
オン複合体は、上述のごとく部分的な置換は起こりうる
が、実質的にグリコサミノグリカン、リン酸イオン及び
カルシウムイオンのみからなることが好ましい。更にG
AG、リン酸イオン、及びカルシウムイオンの化学的な
結合を阻害しない範囲において水を含んでいてもよい。
上記のとおり、本発明物質1は、中心部にGAGが存在
しており、そのGAGと、リン酸イオン及びカルシウム
イオンが化学的に結合した構造を有する粒子として存在
しうるが、該粒子の結晶構造が一定の配向性を有して配
列しているものである。ここで「配向性」とは、一定の
方向性を保って分子または粒子が配列していることを指
称するものである。本発明物質1の粒子においては、上
述の結晶がc軸配向性を有しており、結晶を構成する原
子が形成する格子構造(ブラベ格子(Bravais
lattice))のc軸が上記粒子の長軸に対して平
行となるように結晶が配列していることが好ましい。上
記結晶の配向性は、例えば透過型電子顕微鏡において、
視野に存在する対象物に電子が入射した際に回折される
電子線を利用した電子線回折において、002n(nは
正の整数)の回折像(c軸の向きを示すプロット)が観
察されることで確認することが可能である。このような
結晶の配向により、本発明物質1は骨材料として全体に
わたって均一で優れた強度を有する。上記の002n
(nは正の整数)の回折像は、上記粒子の長軸に対し
て、好ましくは0±60°及び180±60°、より好
ましくは0±45°及び180±45°の範囲内に観察
されるものである。このような回折像が得られる結晶の
配向を有する本発明物質1は分子または原子レベルで配
向性を有している為、骨材料として優れた機械的強度及
び骨に近い適度な弾性(ヤング率20Gpa以下)を有
する。本発明物質1は、乾燥重量に対して上述のGAG
を1〜99重量、好ましくは5〜60重量%、特に7〜
40重量%含むことが好ましい。GAGの上記重量%が
高ければ高いほど、本発明のGAG無機イオン複合体1
の強度は低下する。例えばGAGの重量%が40%の時
には、機械的強度(曲げ強度)は13MPa程度であ
り、GAGの重量%が7%の時の機械的強度は25MP
a程度である。また、GAGの重量%の比率によって弾
性率も変化し、5〜60重量%の範囲内においてはGA
Gの重量%が高くなるに従って弾性率を示すヤング率は
1GPa程度まで低下し、またGAGの重量%が低けれ
ばヤング率は7GPa程度まで高まる。上述のように、
GAGの重量%変化させることで、使用目的に応じて機
械的強度及び弾性率を適宜調節することが可能である。
また電子顕微鏡による観察においては、本発明物質1の
粒子は、リン酸イオン及びカルシウムイオンからなる2
0〜150nm、好ましくは30〜60nmの径を有す
る結晶がGAGを中心として60〜1000nm、好ま
しくは100〜900nmにわたって長軸に沿って配列
したグリカンの分子量によって変化し、例えば分子量が
120万のヒアルロン酸をグリコサミノグリカンとして
使用した際には、3μm以上とすることも可能である。 1−2 本発明物質2 本発明物質2は、少なくともGAG、コラーゲン、リン
酸イオン及びカルシウムイオンが化学的に結合した複合
体からなり、電子線回折において該複合体の粒子の長軸
に対してc軸配向を示す回折像(002n:nは正の整
数)を示すことを特徴とする。すなわち本発明物質2
は、本発明物質1のうち、特にコラーゲンを含むGAG
無機イオン複合体である。本発明物質2に含まれるコラ
ーゲンもGAG、リン酸イオン及びカルシウムイオンと
化学的結合により結合しているものである。本発明物質
2は、本発明物質1と同様に電子線回折において前記複
合体の粒子の長軸に対して一般に0±60°及び180
±60°、特に0±45°及び180±45°の範囲内
にc軸配向を示す回折像(002n:nは正の整数)を
示すことが好ましい。本発明物質2に使用できるコラー
ゲンは、タイプI〜タイプXIX等が挙げられるが、そ
の中でも特にタイプI、タイプII、タイプIX、タイ
プX及びタイプXIコラーゲンが好ましいが特に限定は
されない。本発明物質2に含まれるコラーゲンの分子量
は特に限定されないが、一般的には50,000〜90
0,000、好ましくは200,000〜500,00
0程度である。本発明物質2の構造は電子顕微鏡による
観察等により確認することができ、コラーゲンを中心と
してそれを上述の本発明物質1の粒子が化学的に結合す
ることによって被覆している構造を有しており、本発明
物質1がその粒子の長軸をコラーゲンの繊維軸(繊維の
走行方向)とほぼ平行となるように配列して化学的に結
合している。本発明物質1は上述した通り、結晶体構造
中のc軸配向性が高いため、本発明物質2においても、
本発明物質1で記載した結晶のc軸配向性がほぼ保たれ
ており、例えば透過型電子顕微鏡を使用して観察した際
に視野の本発明物質2への電子が入射した際に回折され
る電子線を利用した電子線回折において、002n(n
は正の整数)の回折像(c軸の向きを示すプロット)が
観察されることで確認することが可能である。上記の0
02n(nは正の整数)の回折像は、本発明物質1と同
様に、上記粒子の長軸に対して、好ましくは0±60°
及び180±60°、より好ましくは0±45°及び1
80±45°の範囲内に観察されるものである。本発明
物質2はこのような特徴的な配向性を示すものであり、
GAGも含まない、アパタイトとコラーゲンのみで製造
した複合体とは、後者においては前述の高い配向性が得
られない点で区別される。このような回折像が得られる
結晶の配向を有する本発明物質2は骨材料として全体に
わたって均一で優れた機械的強度と適度な弾性を有す
る。また、本発明物質2についても本発明物質1と同様
に赤外分光分析法により前記赤方偏移が観察されること
が好ましく、本発明物質2の粒子を、通常のX線結晶解
析装置により解析した際に得られる回折プロファイルに
おいては、ブロードなピークが検出されることが好まし
い。さらに本発明物質2は、本発明物質1と同様の結晶
パラメータを有する六角柱状結晶を含むことが好まし
い。本発明物質1と同様に、本発明物質2においてもカ
ルシウム(Ca)の金属による部分的な置換、及びリン
酸(PO4)の炭酸(CO3)による部分的な置換が起
こりうる。このような部分的な置換を含むものも、本発
明物質2に包含される。電子顕微鏡による観察で確認さ
れる本発明物質2の粒子の長軸の長さは、0.5μm以
上、特に10〜1200μmにわたって配向した繊維状
の構造であることが好ましいが、使用するコラーゲン分
子の分子サイズに従って種々の長さの粒子を得ることが
可能である。本発明物質2におけるコラーゲンの乾燥重
量あたりの含量は20重量%以下、GAGの含量は5〜
50重量%であることが好ましく、特にコラーゲンの含
量が3〜20重量%、GAGの含量が2〜40重量%の
範囲内であることが好ましいが、これらに限定されるも
のではない。また、コラーゲン及びGAGの含量の合計
は5〜60重量であることが好ましく、特に13〜35
重量%であることが好ましいが、同様にこれらに限定さ
れるものではない。本発明物質2は、GAGに対するコ
ラーゲンの比率、及びGAGとコラーゲンとの重量%の
合計を変化させることで、乾固物として測定した機械的
強度を調節することが可能であり、例えば乾燥重量に対
するGAG及びコラーゲンの重量%の合計が一定値の際
には、GAGに対するコラーゲンの比率が高い方が機械
的強度が高くなる。また、GAGとコラーゲンの比率
(重量比)が一定の場合は、GAGとコラーゲンの重量
%の合計が大きいほど本発明物質2の機械的強度は下が
る。例えば上記合計の値が5〜60重量%の範囲内にお
いては、前記値が低下するに従って、機械的強度は55
MPa程度(曲げ強度)まで高まる。また、GAG及び
コラーゲンの重量%の合計値の増減によって、本発明物
質2の弾性率も本発明物質1と同様に変化し、上記合計
値が5〜60重量%の範囲内において前記値が低くなる
に従ってヤング率は5GPa程度まで高まり、また前記
値が高ければヤング率も0.5GPa程度まで低下す
る。従って、GAGとコラーゲンの比率、及びそれらの
重%の合計を変化させることで、使用目的に応じて機械
的強度及び弾性率を適宜調節することが可能である。 2.本発明のGAG無機イオン複合体の製造方法 本発明の製造方法は、少なくともGAG、リン酸及び水
酸化カルシウム、及び所望によりコラーゲンを水性溶媒
中で混合し、析出させることを特徴とする本発明のGA
G無機イオン複合体の製造方法である。本発明の製造方
法における水性溶媒とは水を含む溶媒を指称し、例えば
水、溶質を含む水、緩衝剤水溶液、水溶性有機溶媒を含
む水などが挙げられ、水が最も好ましいが、本発明GA
G無機イオン複合体の形成を妨げない限りにおいて限定
はされない。本発明の製造方法におけるGAG、リン酸
と水酸化カルシウムの混合は、水性溶媒中で行うが、例
えば予めリン酸水溶液にGAGを溶解しておき、当該
溶液と水酸化カルシウム水溶液とを混合する方法、G
AGの溶液にリン酸水溶液及び水酸化カルシウム水溶液
を加えて混合する方法、水酸化カルシウム水溶液にG
AGを溶解しておき、当該溶液とリン酸水溶液とを混合
する方法等が挙げられるが、リン酸水溶液または水酸化
カルシウム水溶液にGAGを予め溶解しておく方法(
又は)が製造されたGAG無機イオン複合体中のGA
Gの重量%を制御しやすいため好ましい。GAGをリン
酸水溶液に予め溶解するか、または水酸化カルシウム水
溶液に予め溶解するかの選択は、GAGの溶液中におけ
る安定性等を考慮して決定され、例えば、アルカリ性条
件下において構造が不安定であり、酸性条件下で高い安
定性を有することが知られているヒアルロン酸をGAG
として使用する場合は、酸性のリン酸水溶液に予め溶解
することが好ましく、またアルカリ性条件下においても
酸性条件下においても比較的安定性が保たれるコンドロ
イチン硫酸をGAGとして使用する場合は、リン酸水溶
液及び水酸化カルシウム水溶液のいずれに予め溶解して
も本発明製造方法を実施することが可能である。また、
特にコンドロイチン硫酸は、コラーゲンと共存すること
で共沈することが知られているため、後述するように本
発明物質2を合成する際にはコラーゲンを含む溶液とコ
ンドロイチン硫酸を含む溶液とを別々に調製し、本発明
物質2を析出させる際に両者を混合することが好まし
い。リン酸水溶液または水酸化カルシウム水溶液にGA
Gを予め溶解しておく場合は、GAGは0.05〜2.
5%(w/v)、より好ましくは0.1〜2.0%(w
/v)の濃度で溶解しておくことが好ましいが、目的の
本発明物質中に含まれるGAGの重量%に応じて適宜調
節することができる。またこの場合は、水酸化カルシウ
ム水溶液及びリン酸水溶液の混合において、後述するよ
うに混合時のカルシウムイオンとリン酸イオンの比が
5:3となるそれぞれの水溶液の濃度、及び混合時の流
速を設定するため、それに応じて上記GAGの濃度も適
宜設定することが好ましい。本発明の製造法において
は、アルカリ性条件下、例えばpH7.0〜12.0、
好ましくはpH7.3〜10.5、特にpH8.0〜
9.0程度において構成各成分を溶液中で混合すること
が好ましい。コラーゲンを含む本発明のGAG無機イオ
ン複合体である「本発明物質2」を製造する場合は、G
AG、コラーゲン、リン酸及び水酸化カルシウムを水性
溶媒中で混合する。コラーゲンは酸性の溶液への溶解性
が高いため、予めリン酸水溶液に溶解しておくことが好
ましい。リン酸水溶液にコラーゲンを溶解する場合は、
コラーゲンを0.01〜1.0%(w/v)、好ましく
は0.05〜8.0%(w/v)で溶解することが好ま
しいが、目的の本発明物質2中のコラーゲンの重量%に
応じて適宜調節することが可能であり、さらにリン酸水
溶液及び水酸化カルシウム水溶液の混合において、混合
した溶液中において後述するようにカルシウムイオンと
リン酸イオンのモル比が、5:3となるそれぞれの水溶
液の濃度、及び混合時の流速を設定するため、それに応
じて上記コラーゲンの濃度も適宜設定することが好まし
い。リン酸水溶液としては、pH2.0〜3.5、好ま
しくはpH2.5〜3.2の0.01〜0.20mol
/l、特に0.02〜0.15mol/lの濃度の水溶
液が好ましい。水酸化カルシウム水溶液は、0.02〜
0.20mol/l、特に0.03〜0.18mol/
lの濃度の水溶液が好ましい。ここで、水酸化カルシウ
ム水溶液は、必ずしも水酸化カルシウムが完全には水に
溶解していない懸濁液の状態でも使用することが可能で
あり、懸濁液中の水酸化カルシウムの全モル数を懸濁液
の容量で除した値が前記のとおりであればよい。すなわ
ち、本明細書中における水酸化カルシウム水溶液は、水
酸化カルシウム懸濁液も概念的に包含する。本発明製造
方法におけるリン酸水溶液と水酸化カルシウム水溶液と
の混合は、カルシウムイオンとリン酸イオンのモル比が
混合した溶液中において常に5:3となるように流速を
調整して行う。例えば上述のリン酸水溶液の濃度を0.
09mol/l、水酸化カルシウム水溶液の濃度を0.
15mol/lと設定した場合は、リン酸水溶液と水酸
化カルシウム水溶液のそれぞれの流速は同じ流速に設定
する。しかし、その流速は常に10〜100ml/分、
特に40〜90ml/分程度であることが好ましいが、
リン酸水溶液と水酸化カルシウム水溶液の混合によりp
Hが急激に変化して特に混合液のpHが7.0〜12.
0から逸脱しない流速であれば特に限定はされない。上
記の各溶液の混合は、25〜50℃、好ましくは30〜
45℃、特に35〜42℃で撹拌しながら行うことが好
ましい。本発明方法において、GAG、リン酸及び水酸
化カルシウムを水性溶媒中で混合し、白色の沈殿及び微
細粒子として本発明のGAG無機イオン複合体を析出さ
せることにより得られる。特にコラーゲンを加えない本
発明方法の態様においては、本発明GAG無機イオン複
合体が単分散のゾルを形成する微細粒子として析出す
る。この析出した白色沈殿及び微細粒子を反応混液から
単離して本発明のGAG無機イオン複合体を得るが、反
応混液の状態で1〜48時間、好ましくは10〜35時
間、より好ましくは20〜30時間程度、20〜50
℃、好ましくは35〜42℃で静置しておくことで、リ
ン酸イオンとカルシウムイオンが結合してなる結晶がよ
り緻密に配列した本発明のGAG無機イオン複合体を製
造することができるため好ましい。本発明製造法におい
てはGAG、リン酸、及びカルシウムを混合することに
より、GAGの繰り返し構造中、二糖残基毎に存在する
カルボキシル基、及びGAGの種類によってはそのヒド
ロキシル基又はアミノ基に結合した硫酸基と、カルシウ
ムイオンがイオン的に規則的に結合し、そのカルシウム
イオンにリン酸イオンが結合して本発明物質1が形成さ
れると考えられる。更にコラーゲンが共存している場合
は、上記本発明物質1がコラーゲンの螺旋構造に沿って
配列して化学的に結合し、本発明物質2が形成されると
考えられる。 3.本発明の医用材料 本発明の医用材料は、上記本発明のGAG無機イオン複
合体を含む医用材料である。本発明の医用材料は、生体
内の硬組織に適用するための材料であって、例えば置換
材、接合材、修復材等の骨材料等として使用できる。上
記硬組織とは、例えば軟骨、骨及び歯が挙げられ、本発
明の医用材料はいずれに対しても適用しうる。特に本発
明のGAG無機イオン複合体の組成、及び配向性の高い
構造が特に骨及び軟骨と近似しているため、骨または軟
骨へ適用した際には、骨及び軟骨と一体となるばかりで
なく、骨及び軟骨と同様の代謝(破骨細胞による分解と
骨の再構築)がなされる為、骨または軟骨へ適用するこ
とが好ましい。本発明の医用材料の骨への適用の具体的
例としては、例えば骨またはその欠損部の形状に成形し
た医用材料を骨の代用として骨折及び骨欠損等の部位へ
導入する人工代用骨としての適用例の他、骨折の釘固定
法(nailing)で通常使用される固定釘(nai
l)として利用する例や骨板(bone plate)
の形状に成形あるいは既存の固定釘及び/または骨板の
表面を被覆して利用する適用例が挙げられる。また、骨
の形成時はまず軟骨性仮骨が形成され、軟骨性仮骨が骨
性仮骨となった後に骨となる工程が存在することが知ら
れているが、特に軟骨程度の強度(機械的強度10〜3
0MPa)を有する本発明の医用材料は、軟骨性仮骨と
同様に骨性仮骨を経て骨となるため、骨形成促進材とし
て骨に対してより幅広く使用することが可能である。さ
らに、骨への適用例の別の態様としては、微細粒子とし
て得られる本発明物質1を注射用水又はリン酸緩衝生理
的食塩水(PBS)に懸濁した注射剤が挙げられ、例え
ば骨折部や骨欠損部に対して直接投与して投与部位での
骨再生を促す医用材料が挙げられる。また、本発明の医
用材料の軟骨への適用の具体例としては、人工関節にお
ける可動部へ本発明の医用材料を被覆することが挙げら
れ、例えば外科手術において骨軸に作成する人工関節に
おいて、関節軟骨の代用として人工関節の基材同士また
は基材と生体の関節軟骨が接触する部分に、基材表面を
被覆して使用することができる。このように使用される
本発明のGAG無機イオン複合体は、軟骨程度の機械的
強度と高い弾性を有する本発明のGAG無機イオン複合
体が好ましく、特にGAGを20重量%以上含む本発明
物質1及びGAGを10重量以上含む本発明物質2を使
用することができる。本発明の医用材料の製造は、前記
の本発明の製造方法で沈殿として得られる本発明のGA
G無機イオン複合体の沈殿をデキャンテーション、濾
過、遠心分離等の通常の固液分離手段によって回収した
後、必要に応じた形状に成形し、または既存の固定釘、
骨板、または人工関節の基材の表面に塗布した後、乾
燥、研磨することで、成形された医用材料を得ることが
できる。上記の成形は例えば透析膜等に充填して乾燥す
る方法や、プレスにより水分をのぞく等の操作により上
記沈殿を乾燥させることにより行うことができるが、1
0〜60℃、特に20〜50℃で行うことが好ましい。
また、乾固の際に微細振動(1KHz〜1MHz、より
好ましくは20KHz〜100KHz)をかけること
で、本発明のGAG無機イオン複合体の粒子をより密
に、その粒子の長軸がそれぞれ平行となるように配列し
やすくするため好ましいが、これに限定はされない。例
えば上述のプレスを使用する成形の方法としては、一軸
プレス等を用いて脱水した後、20〜50℃条件下で上
述の微細振動を加えながら等方加圧(CIP)すること
で行うことが可能であるが、これに限定はされない。特
にプレスを用いた場合は、粒子が密に、また長軸がそれ
ぞれ平行となるように配列して、弾性を有する高強度緻
密体の医用材料を得ることができる。また、上記プレス
を成形に用いた場合は、その圧力及び圧力をかける時間
によって含水率を調節することが可能である。等方加圧
前のGAG無機イオン複合体は、沈殿または微細粒子の
状態であるため、その含水率は45%以上であり、50
%以上であることが好ましい。例えば200MPaで5
〜10時間圧力を加え続けることで得られる医用材料
は、含水率が10〜15%程度となり、50MPaで2
時間圧力を加え続けることで得られる医用材料の含水率
はおよそ50%程度となる。含水率の調節は適宜行うこ
とが可能である。例えば人工軟骨等、軟骨素材として適
用する本発明の医用材料は、含水率が50%程度である
ことが好ましいが、これに限定はされない。さらに、多
孔体の医用材料も製造することが可能である。この場合
は、得られた本発明物質の沈殿を凍結乾燥することによ
って多孔体の医用材料を製造することができる。このよ
うにして得られた多孔体の医用材料を、公知の硬組織再
生促進能を有する物質(例えば繊維芽細胞成長因子(F
GF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)、イ
ンターロイキン6、血小板由来軟骨成長因子、コンドロ
モジュリン、骨形成タンパク(BMP)、骨由来成長因
子(BDGF)、骨格成長因子(SGF)、ビタミンD
(活性型/非活性型)、カルシトニン、インターロイキ
ン4、エストロジェン、アメロゲニン、エナメリン等)
の溶液に浸漬することで、本発明の医用材料を前記物質
の徐放製剤として使用することが可能となる。さらに、
GAGは金属イオンや、適当な架橋剤を用いることで架
橋体を製造することが可能であることが広く知られてい
るが、本発明のGAG無機イオン複合体も架橋体を形成
することが可能であり、上記成形をした後、あるいは成
形を行う際に、架橋体を製造するための金属イオンや架
橋剤を添加することで、機械的強度及び/または弾性の
より優れた医用材料を製造することも可能である。ウサ
ギの大腿骨及び関節軟骨に本発明の医用材料を適用した
場合、適用後2週間程度で骨芽細胞の適用部への移動が
見られ、周辺硬組織との融合が適用後4週間程度で観察
され、さらに8週後には完全な融合が観察されたこと、
及び皮下投与した際には8週程度で分解され、またアレ
ルギー反応等の異物反応は観察されなかったため、本発
明の医用材料のほ乳類に対する安全性は高い。
説明する。 実施例1 本発明のGAG無機イオン複合体の製造 水酸化カルシウムを水1リットルに溶解し、水酸化カル
シウム水溶液を製造し、コンドロイチン硫酸ナトリウム
A(生化学工業(株)製)を溶解した(Ca−CS溶
液)。リン酸水溶液のpH2.7の水溶液を1リットル
調製した(P溶液)。本発明物質1の製造にはP溶液を
そのまま使用した。本発明物質2の製造のためのリン酸
水溶液にはコラーゲン(タイプII)を溶解した(P−
Col溶液)。製造した各本発明物質のサンプルと、上
記溶液の製造において水溶液の調製に使用した水酸化カ
ルシウム及びリン酸、各水溶液に添加したコンドロイチ
ン硫酸ナトリウム及びコラーゲンの量を下記表1に記載
した。Ca−CS溶液及びP溶液(P−Col溶液)を
それぞれ70ml/min、70ml/minの流速で
撹拌しながら40℃で混合した。反応中のpHは9.0
となるように、pHメーターを使用してpHをモニター
しながら上記流速を適宜調節した。反応終了後、40℃
で24時間反応混液を静置した。その後、濾過により沈
殿及び微細粒子を回収して、GAG無機イオン複合体を
製造した(サンプル1〜4)。
3.375g(19%)、H2PO48.78g、ヒア
ルロン酸0.375g(1%)(ヒアルロン酸はリン酸
水溶液に溶解した)を使用して、上記製造方法に準じて
GAG無機イオン複合体を製造した。このGAG無機イ
オン複合体は、コンドロイチン硫酸を20重量含有する
サンプル1と比して、圧力によるクラックを生じにくい
性質を有していた。 実施例2 各本発明物質の物性分析 2−1 フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)による
分析 拡散反射法を用いて、上記実施例1で得られたサンプル
1〜4の赤外吸収を測定した。すなわち、実施例1の各
サンプルを一軸プレスで脱水した後、50KHz程度の
微細振動を加えながら等方加圧して製造した成形硬化物
を破砕して紛状とした後、50mgを採取して臭化カリ
ウム500mgと混合した、この混合粉末を赤外フーリ
エ変換分光光度計(SPECTRUM2000:パーキ
ンエルマー社製)で測定した。得られた赤外吸収スペク
トルの一例としてサンプル1の赤外吸収スペクトルを図
1に示す。各サンプルの結果において、赤方偏移したS
Oの特性吸収(1222cm−1)、赤方偏移したCO
Oの特性吸収(1647cm−1)が存在し、各サンプ
ルはすべてコンドロイチン硫酸、リン酸、カルシウムが
化学結合により一体化していることが明らかとなった。 2−2 X線結晶解析 実施例1で得られたサンプル1〜4のX線結晶解析を常
法に従って行った。その結果すべてのサンプルにおい
て、ブロードなピークが26及び32(いずれも2θ)
に観察された。さらに、各サンプルを800℃で3時間
焼成した後、上記同様X線結晶解析を行った。その結
果、焼成前と比較して大きく変化し、有機部分が消失
し、鋭いピークが観察された。焼成前及び焼成後のX線
結晶解析の一例を図2に示す(サンプル1)。焼成後の
物質は下記の通りの結晶パラメータを有する六角柱状結
晶の集合体であった。 単斜晶系の場合: 空間群:P21/bまたはPb 格子定数: P21/bの場合、a=0.942nm、b=1.88
4nm、c=0.689nm、γ≧120°、 Pbの場合、a=0.942〜0.953nm、b=
1.884nm、c=0.689nm、y≧120° 六方晶系の場合: 空間群:P63/mまたはP6 格子定数: P63/mの場合、a=0.942nm,c=0.68
9nm P6の場合、a=0.942〜0.953nm、c=
0.689nm 2−3 透過型電子顕微鏡(TEM)解析 常法に従って実施例1において製造したサンプル1、2
及び3を使用して、透過型電子顕微鏡サンプルを調製
し、透過型電子顕微鏡で観察を行った(×20,00
0)。得られた透過型電子顕微鏡像を図3〜5に示す
(サンプル1:図3、サンプル2:図4、サンプル3:
図5)。また、電子顕微鏡観察において、電子顕微鏡に
備え付けの電子線解析装置により、図3の中央の粒子及
び図4の○印を付した粒子及び図5中の粒子の中央部に
ついて、電子線回折解析を行った。得られた回折像を図
6〜8に示す(サンプル1:図6、サンプル2:図7、
サンプル3:図8)。また、これらの回折像における各
スポットの位置及び配向性を示す概略図を図9〜11に
示す(サンプル1:図9、サンプル2:図10、サンプ
ル3:図11)。これらの回折像及びその概略図から明
らかな通り、コラーゲンを含まないサンプル1及び2に
おいてはc軸上に明確なスポットが認められ、各サンプ
ルのc軸配向性が明確に確認された。またサンプル1及
び2においてはa軸上にもスポットが認められ、a軸配
向性も確認された。またサンプル3においてはc軸を中
心としてその約±45°の範囲において三日月形のスポ
ットが認められ、同様にc軸配向性が確認された。 2−4 機械的強度の測定 上記実施例1で得られた各サンプルの機械的強度を測定
した。すなわち、実施例1のサンプルを一軸プレスで脱
水した後、50KHz程度の微細振動を当てながら等方
加圧して製造した3mm×5mm×20mmのサンプル
を万能試験機(島津製作所社製)を用いて三点曲げ試験
を行った(表2)。その結果、コンドロイチン硫酸とコ
ラーゲンの重量%の合計が一定の場合は、コラーゲンの
比率が高まるにつれて機械的強度が増すことが明らかと
なった。
aの圧力で50KHz程度の微細振動を加えながら2時
間、等方加圧して成形した後、ダイヤモンドカッター及
び旋盤により、人工関節用の人工関節軟骨を製造した。 2.骨板 実施例1で得られたサンプル4の30gを、200MP
aの圧力で50KHz程度の微細振動を加えながら2時
間、等方加圧して成形した後、ダイヤモンドカッター及
び旋盤により骨板を製造した。 3.骨固定釘の被覆 市販品の酸化チタン製の骨固定釘(キュンチャー釘:K
untscher nail)に実施例1で得られたサ
ンプル3の120gを塗布して風乾した。その後旋盤に
より研磨して固定釘を製造した。
等として適用することが可能であって、原子が高い配向
性で配列しており高い強度を均一に有する新規なグリコ
サミノグリカン無機イオン複合体が提供される。
1)の赤外吸収スペクトルを示す図である。
1)のX線結晶解析を示す図である。
1)の透過型電子顕微鏡写真である。
プル2)を透過型電子顕微写真である。
(サンプル3)を透過型電子顕微鏡写真である。
真である。
る。
過型電子顕微鏡により観察した際に得られた電子線回折
像を解説する模式図である。
2)を透過型電子顕微鏡により観察した際に得られた電
子線回折像を解説する模式図である。
プル3)を透過型電子顕微鏡により観察した際に得られ
た電子線回折像を解説する模式図である。
Claims (17)
- 【請求項1】 少なくともグリコサミノグリカン、リン
酸イオン及びカルシウムイオンが化学的に結合した複合
体からなり、電子線回折において該複合体の粒子の長軸
に対してc軸配向を示す回折像(002n:nは正の整
数)を示すことを特徴とするグリコサミノグリカン無機
イオン複合体。 - 【請求項2】 電子線回折において前記複合体の粒子の
長軸に対して0±45°及び180±45°の範囲内に
c軸配向を示す回折像(002n:nは正の整数)を示
すことを特徴とする請求項1に記載のグリコサミノグリ
カン無機イオン複合体。 - 【請求項3】 乾燥重量でグリコサミノグリカンを1〜
99重量%含むことを特徴とする請求項1または2に記
載のグリコサミノグリカン無機イオン複合体。 - 【請求項4】 実質的にグリコサミノグリカン、リン酸
イオン及びカルシウムイオンのみからなる請求項1〜3
のいずれかに記載のグリコサミノグリカン無機イオン複
合体。 - 【請求項5】 前記粒子の長軸の長さが60〜1000
nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
記載のグリコサミノグリカン無機イオン複合体。 - 【請求項6】 コラーゲンをさらに含み、コラーゲンが
該複合体に化学的に結合していることを特徴とする請求
項1〜5のいずれかに記載のグリコサミノグリカン無機
イオン複合体。 - 【請求項7】 乾燥重量でグリコサミノグリカン及びコ
ラーゲンの重量%の合計が5〜60重量%であることを
特徴とする請求項6に記載のグリコサミノグリカン無機
イオン複合体。 - 【請求項8】 前記粒子の長軸の長さが0.5〜120
0μmであることを特徴とする請求項6または7に記載
のグリコサミノグリカン無機イオン複合体。 - 【請求項9】 グリコサミノグリカン無機イオン複合体
の赤外分光分析におけるカルボキシル基(COO)の特
性吸収が、グリコサミノグリカンと比較して低波数側へ
シフトしていることを特徴とする請求項1〜8のいずれ
かに記載のグリコサミノグリカン無機イオン複合体。 - 【請求項10】 グリコサミノグリカンが、コンドロイ
チン硫酸A、コンドロイチン硫酸B、及びコンドロイチ
ン硫酸Cからなる群から選択される物質であることを特
徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のグリコサミノ
グリカン無機イオン複合体。 - 【請求項11】 少なくともグリコサミノグリカン、リ
ン酸及び水酸化カルシウムを水性溶媒中で混合し、混合
液から析出させることを特徴とするグリコサミノグリカ
ン無機イオン複合体の製造方法。 - 【請求項12】 さらにコラーゲンを混合することを特
徴とする請求項11に記載のグリコサミノグリカン無機
イオン複合体の製造方法。 - 【請求項13】 20〜50℃の条件下で混合を行うこ
とを特徴とする請求項11または12に記載のグリコサ
ミノグリカン無機イオン複合体の製造方法。 - 【請求項14】 アルカリ性の条件下で混合を行うこと
を特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のグリ
コサミノグリカン無機イオン複合体の製造方法。 - 【請求項15】 グリコサミノグリカンが、コンドロイ
チン硫酸A、コンドロイチン硫酸B、及びコンドロイチ
ン硫酸Cからなる群から選択される物質であることを特
徴とする請求項11〜14のいずれかに記載のグリコサ
ミノグリカン無機イオン複合体の製造方法。 - 【請求項16】 グリコサミノグリカンを水酸化カルシ
ウム水溶液に溶解した溶液を調製し、該溶液とリン酸水
溶液とを20〜50℃のアルカリ性条件下において混合
し、混合液を20〜50℃で1〜48時間静置した後
に、固液分離手段により固相を分離することを含む請求
項15に記載のグリコサミノグリカン無機イオン複合体
の製造方法。 - 【請求項17】 請求項1〜10のいずれかに記載のグ
リコサミノグリカン無機イオン複合体を含む医用材料。
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2008041774A1 (en) * | 2006-10-02 | 2008-04-10 | National Institute For Materials Science | Sustained-release preparation having bone conduction ability |
-
1999
- 1999-03-15 JP JP11270899A patent/JP4216946B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2008041774A1 (en) * | 2006-10-02 | 2008-04-10 | National Institute For Materials Science | Sustained-release preparation having bone conduction ability |
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