JP2000261201A - 非接触型高周波伝達装置 - Google Patents

非接触型高周波伝達装置

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JP2000261201A JP11065889A JP6588999A JP2000261201A JP 2000261201 A JP2000261201 A JP 2000261201A JP 11065889 A JP11065889 A JP 11065889A JP 6588999 A JP6588999 A JP 6588999A JP 2000261201 A JP2000261201 A JP 2000261201A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温且つ真空に保たれた容器内の超伝導フィ
ルタに電気的信号を伝達し、しかも熱伝導を遮断する高
周波伝達装置の開発。 【解決手段】 第1内部導体11と、これと同軸線路を
形成する第1外部導体12と、両導体間で第1内部導体
11に共振可能に対向する第2内部導体21と、この第
2内部導体21と第1外部導体12の間で第1外部導体
12に共振可能に対向する第2外部導体22と、を備え
た装置であり、第1内部導体と第1外部導体との一端が
誘電体31により充填され、且つ他端が開放されてお
り、第2内部導体と第2外部導体との間も同様に構成さ
れてλ/4共振器を形成する。これを介して室温の気密
アダプタと低温の真空断熱容器41内の超伝導フィルタ
43とは電気的に接続され、熱的に遮断される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低温(70K程度
の温度)で、しかも真空に保たれた容器内に存する超伝
導フィルタ回路に非接触的に接続する高周波伝達手段に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、無線通信機の高周波回路において
は、通常、電波信号をアンテナで受け、デュプレクサ回
路で送信・受信信号を分離した後、バンドパスフィルタ
で余分な周波数をカットした受信信号をアンプで増幅さ
せて信号処理している。また、近時、移動体通信系の基
地局等においては、微弱電波を受信可能とするため、そ
こに使用されるバンドパスフィルタを高性能フィルタ、
例えば超伝導フィルタ(High Tc(臨界温度) Supercondu
cting Filter: HTSフィルタと略記することがあ
る)に置き換える技術が検討されている。この場合、例
えば超伝導フィルタを真空断熱容器内に収納し、低温状
態を維持する必要があり、そのフィルタのインターフェ
ースに用いる同軸ケーブル等にも熱伝導を抑えることが
要求される。
【0003】この場合、HTSフィルタ回路と真空断熱
容器外の回路とを電気的に接続する手段は、小さな冷却
能力で低温に保持するため、受信電力の損失が低くなけ
ればならない上に、熱の流入を防ぐため断熱性も良好
で、しかも輻射熱対策としても小型化が必要となる。
【0004】ところで、このような条件において、電気
的に接続する手段は、非接触で高周波信号を伝えること
の可能な容量結合を使用することが先ず考えられる。も
っとも、この方法で低損失を図るには、容量結合値を大
きくする必要があり、結合する部分(対向面積)を拡げ
るか、又は結合間隙を狭めるかの選択が不可欠である。
しかるに、かような手法で非接触の高周波(容量結合
型)伝達装置を作成すると、以下のような不具合が生じ
てしまう。 (1)商業設備を想定すると、この高周波伝達装置は大
型化が避けられない。そうだとすると、輻射熱が大きく
なり、別にその対策が要る。 (2)容量結合値を大きくすると、結合間隙が狭くな
る。組付けの際、位置決めが困難となる。もしも接触す
ると大量の熱流入と大きな電気性能の変化が発生する。
【0005】従来技術は、容量結合による高周波信号の
伝達において、一応の成果を得ていたのであるが、これ
は小規模の試験設備の場合であって、上述の少なくとも
2点の問題が存することが判明した。殊に、試験設備か
ら商業規模の設備に移行しようとするとき、設備規模に
起因する難しい課題が発生しそうである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】而して、小型で、組立
時に位置決めが容易である高周波信号伝達装置を開発す
ることが本発明の解決すべき課題である。
【0007】基本的には、容量結合の原理を踏襲し、し
かも、線路を構成する部材製作の精密性や組付の際の精
度の問題から開放されることが必要であろう。本発明
は、このような従来の課題を解決することを発明の目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者は、共振
状態にある高周波信号は非接触状態で信号伝達ができる
うえに、容量結合の場合に較べて、容量調整に配慮しな
くてよい点に着眼し、共振器の開発を鋭意検討したとこ
ろ、容量結合装置に形状が比較的類似している同軸共振
素子において実用性のある信号伝達手段を見出すことが
出来、本発明を完成した。
【0009】上述の目的を達成するために、請求項1に
記載の発明は、第1内部導体と、これと共に同軸線路を
形成する第1外部導体と、両導体間で形成される空間に
填め込まれる、第2内部導体と、第2外部導体とからな
る二重円筒形状の共振器と、を備え、該第1内部導体と
該第1外部導体との一端が誘電体により充填され、他端
が開放面となり、該第2内部導体と該第2外部導体との
間も一端が誘電体により充填され、他端が開放面を形成
しており、しかも該共振器の筒長が使用する周波数の4
分の1波長を満足するような長さと成した非接触型の高
周波伝達装置である。
【0010】また、請求項2に記載の発明は、前記第1
内部導体および前記第1外部導体が同軸ケーブルの一部
を構成し、これに前記第2内部導体および前記第2外部
導体からなる共振器が組み込まれ、そのいずれか一端を
所定の超伝導フィルタ回路に接続していることを特徴と
するものである。
【0011】更に、請求項3に記載された発明は、第1
内部導体11と、これと共に同軸線路を形成する第1外
部導体12と、両導体間に形成される空間に填め込まれ
た二重円筒形状の第2内部導体21と、第2外部導体2
2とからなり、第1内部導体11と第1外部導体12と
の一端が誘電体31により封止され、且つ他端が開放さ
れており、第2内部導体21と第2外部導体22との間
は一端が誘電体32により封止され、しかも他端が開放
されて空洞共振器を形成し、室温の真空断熱容器の気密
アダプタと低温の真空断熱容器内の超伝導フィルタ43
とを電気的に接続し、しかも熱的に遮断されていること
を特徴とする超伝導フィルタシステムである。
【0012】これら請求項1乃至3に開示された発明か
ら、前記第1内部導体および前記第1外部導体が同軸ケ
ーブルの一部を構成し、これに前記第2内部導体および
前記第2外部導体から形成されるλ/4共振器が組み込
まれ、そのいずれか一端を所定の超伝導フィルタ回路に
接続していると、該超伝導フィルタ回路への同軸線路を
介した熱伝導を遮断することができるという課題を完全
に解決でき、しかも伝達装置の各部材の製作や組立に熟
練を要することなく、容易に実施できる利点がある。
【0013】そして、本発明装置を、例えば、移動体通
信系の基地局に設けられる超伝導フィルタシステムのイ
ンターフェースに適用することができる。
【0014】
【作用】前述の第2内部導体及び第2外部導体から形成
される空洞共振器は、円筒形状の長さを、容量値に無関
係に、使用する周波数の4分の1に設定するだけでよ
く、この非接触型高周波伝達装置は1/4波長で低損失
となる、両端開放の共振を利用している。従って、結合
部分を拡げる必要性や結合間隙を狭める必要性もなく、
容量結合器固有の要件からの制約を受けない。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は本発明に係る高周波信号伝達
装置を構成する同軸共振器の一実施形態を示す図であ
る。
【0016】図1において、11は軸線方向に第1線路
を形成する第1内部導体であり、12は第1内部導体1
1と共に同軸2線の線路(同軸線路)を形成する円筒状
の第1外部導体である。これら第1内部導体11と第1
外部導体12との空間には、第2内部導体21と第2外
部導体22からなる一方の端部が開放された二重円筒状
の共振器が形成され、前記空間に第1外部導体内面に接
触しないように填め込まれている。また、第2内部導体
21は第1内部導体11に対し非接触状態に離間して、
該第1内部導体11を覆い込む。
【0017】そして、第2内部導体21及び第2外部導
体22で形成される円筒の長さが、使用する周波数の4
分の1となるように調整し、λ/4共振素子とする。こ
の場合第2内部導体や第2外部導体とから形成される容
量値に捕らわれる必要はない。共振は第2の二重円筒の
長さによって決まり、共振が生じるとき、高周波信号は
低損失に伝達される。
【0018】本発明の高周波伝達装置は、例えば図2に
開示した超伝導フィルタシステムに利用できる。
【0019】図2において、第1内部導体11及び第1
外部導体12は、所定の超伝導フィルタ回路におけるイ
ンターフェース44の一部になっており、例えば真空断
熱容器の気密アダプタへ接続される。第2内部導体21
及び第2外部導体22は、所定の特性インピーダンスと
なるよう径寸が設定されており、同じくインターフェー
ス44の一部になっている。そして、所定の超伝導フィ
ルタ回路を形成するマイクロストリップ線路(詳細は図
示していない)との間に介在し、例えばストリップ線路
変換器に接続されている。また、これらはすべて真空断
熱容器41内に設けられており、超伝導フィルタ43に
は空気等の対流による伝熱や導体を介した熱伝導も全く
ない状態となっている。本発明の高周波伝達装置は、気
密アダプタと超伝導フィルタとを逆向きに接続した場合
でも、電気的、熱的の性能に差はなく、本発明の高周波
伝達装置を超伝導フィルタのインターフェース44の両
端に配置すれば、真空断熱容器からの熱伝導は完全に遮
断できる。
【0020】図2によれば、アンテナより受信した不要
な高出力信号を超伝導フィルタへ送る前に減衰させるフ
ィルタをインターフェース44の一部に置き換えること
で損失要因である特定周波数減衰フィルタを省くことが
できる。さらに、第1内部導体11および第1外部導体
12が同軸ケーブルの一部を構成し、これに第2内部導
体21および第2外部導体22が組み込まれ、そのいず
れか一端を所定の超伝導フィルタ回路に接続するので、
超伝導フィルタ回路に対する熱の伝導を確実に遮断する
ことができ、フィルタ特性の向上を図ることができる。
【0021】
【実施例】図1の伝達装置において、第1,第2の外部
導体及び第1,第2の内部導体はそれぞれ容量結合をし
ている。そのとき、第2内部及び外部導体(共振器)の
筒長は図1の矢印の通りであるが、共振周波数2GHz
に合わせるようにこの筒長を37.5mmに設定し、1
GHzから3GHzまでの周波数において通過特性を測
定したところ、図3に示したような信号伝達特性を得
た。グラフから設定した2GHz帯で減衰量が少なくな
り、そこから外れると減衰量が大きくなり不要な高出力
信号を減衰できるので、本発明の高周波伝達装置が支障
なく使用できることが判明した。
【0022】なお、本実施形態においては、高周波伝達
装置を超伝導フィルタシステムのインターフェースに適
用したものであったが、本発明はこれに限らず、同軸線
路を用いて高周波信号を伝送するような場合に広く適用
することができ、使用温度範囲が低温域に制限されるも
のでないことはいうまでもない。また、容量結合部が非
接触であることから、第1内部導体11および第1外部
導体12が第2内部導体21および第2外部導体22に
対して相対回転するような場合にも用いることができ
る。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、これら請求項1乃至3
に開示された発明から、前記第1内部導体および前記第
1外部導体が同軸ケーブルの一部を構成し、これに前記
第2内部導体および前記第2外部導体から形成されるλ
/4共振器が組み込まれ、そのいずれか一端を所定の超
伝導フィルタ回路に接続していると、該超伝導フィルタ
回路への同軸線路を介した熱伝導を遮断することができ
ると言う課題を完全に解決でき、しかも伝達装置の各部
材の製作や組立に熟練を要することなく、容易に実施で
きる利点がある。
【0024】また、第1内部導体および第1外部導体が
同軸ケーブルの一部を構成し、これに第2内部導体およ
び第2外部導体を組み込み、そのいずれか一端を所定の
超伝導フィルタ回路に接続する変換器に接続されるよう
にすれば、共振によって超伝導フィルタ回路に対する熱
伝導を確実に遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高周波伝達装置を説明するための概略
図である。
【図2】本発明の高周波伝達装置を含む超伝導フィルタ
を使用したシステムのを説明するための概略図である。
【図3】本発明の高周波伝達装置が2GHz帯の信号伝
達特性を示すグラフである。
【符号の説明】
11 第1内部導体 12 第1外部導体 21 第2内部導体 22 第2外部導体 31 誘電体 32 誘電体 41 真空断熱容器 43 超伝導フィルタ 44 インターフェース

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1内部導体と、これと共に同軸線路を形
    成する第1外部導体と、両導体間で第1内部導体に容量
    結合可能に対向する第2内部導体と、この第2内部導体
    と第1外部導体の間で第1外部導体に容量結合可能に対
    向する第2外部導体と、を備え、第1内部導体と第1外
    部導体との一端が誘電体により充填され、他端が開放面
    となり、第2内部導体と第2外部導体との間も一端が誘
    電体により充填され、他端が開放面を形成して、第2内
    部導体と第2外部導体との筒長が使用する周波数の4分
    の1波長(波長:λ)を満足するようにλ/4共振器を
    構成することからなる非接触型高周波伝達装置。
  2. 【請求項2】前記第1内部導体および前記第1外部導体
    が同軸ケーブルの一部を構成し、 これに前記第2内部導体および前記第2外部導体が組み
    込まれ、そのいずれか一端を所定の超伝導フィルタ回路
    に接続してなる非接触型高周波伝達装置。
  3. 【請求項3】第1内部導体と、これと共に同軸線路を形
    成する第1外部導体と、両導体間で形成される空間に填
    め込まれて共振可能に対向する第2内部導体と第2外部
    導体とからなる二重円筒形の共振器と、を備えた装置で
    あり、 該第1内部導体と該第1外部導体との一端が誘電体によ
    り充填され、且つ他端が開放されており、該第2内部導
    体と該第2外部導体との間も一端が誘電体により充填さ
    れ、しかも他端が開放されて所定の筒長を有するλ/4
    共振器を形成し、 室温の真空断熱容器の気密アダプタと低温の真空断熱容
    器内の超伝導フィルタ43を電気的に接続し、しかも熱
    的に遮断されていることを特徴とする超伝導フィルタシ
    ステム。
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