JP2000258649A - 光導波路及びその製造方法 - Google Patents

光導波路及びその製造方法

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JP2000258649A
JP2000258649A JP5818599A JP5818599A JP2000258649A JP 2000258649 A JP2000258649 A JP 2000258649A JP 5818599 A JP5818599 A JP 5818599A JP 5818599 A JP5818599 A JP 5818599A JP 2000258649 A JP2000258649 A JP 2000258649A
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glass
groove
optical waveguide
substrate
refractive index
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JP5818599A
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Atsushi Watabe
敦 渡部
Shiro Takahashi
志郎 高橋
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Hoya Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法精度の良好な光導波路が得られ、生産効
率が非常に良い光導波路の製造方法等を提供する。 【解決手段】 プレス成形によって形成された溝2を備
え、少なくとも前記溝2付近が多成分ガラスからなる基
板1を作製し、前記溝内2に前記多成分ガラスより屈折
率の高いガラスからなる層を形成して光の伝搬領域5と
し、光導波路10を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は通信、計測、情報処理等
に用いられる光導波路及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通信、計測、情報処理等の分野において
は、光をより高度に利用するために種々の機能を有する
光集積回路(OEIC:Opto Electronic Integrated C
ircuits)が研究されており、このような光集積回路を
構成する基本要素としてSiO2あるいはこれに何等か
らのドーパントを加えて屈折率の高い領域(コア領域)
と低い領域(クラッド領域)を形成し、コア領域に光を
閉じ込めて伝搬させる光導波路が考えられている。
【0003】従来、このような光導波路を形成する製造
方法としては、火炎堆積法を利用したものがある。これ
は、図16(a)に示すように、石英ガラス基板上10
1に酸水素バーナによってSiO2を主成分とし、これ
にTiO2 、Al23、GeO2、P25、TaO3など
の屈折率を高くするためのドーパントを添加したスート
102を堆積させ、焼結させて同図(b)に示すように
コア膜103を形成するようにしたものである。
【0004】上記のようにして形成した2次元のコア膜
103に対し、フォトリソグラフィー法によって光導波
路のパターンが描写された金属薄膜をマスクとして反応
性イオンエッチング(RIE)法を施し、同図(c)に
示すように3次元の光伝搬領域104を形成する。その
後、この光伝搬領域104上を含めてガラス基板101
上に屈折率の低いクラッド層105を積層する。このよ
うな火炎堆積法において、屈折率を下げるにはB23
SiF4などをドーパントとして加えればよい。通常こ
のようにして形成された光導波路は、シングルモードの
光ファイバと結合する場合、光伝搬領域の高さ及び幅は
波長1.55μmの場合10μm程度である。
【0005】もっともガラス膜の形成は、CVD法や電
子ビーム蒸着法、あるいはスパッタリング法によっても
可能であるが、これらの方法は、形成速度が遅く、厚さ
1μm以下の薄膜形成には適しているが、10μm程度
の厚膜を形成する場合には、かなりの時間を要するとと
もに、膜内に大きな応力が発生し、均一な膜質を得るこ
とが難しい。このことから、現在のところ、火炎堆積法
は有効な製造方法とされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
火炎堆積法は、ガラス基板あるいは酸水素バーナを移動
しながらガラス基板内にスートを堆積させるので、膜厚
の制御が非常に難しく、膜厚分布が激しくなり、火炎堆
積法をクラッド層の形成に適用する場合にはほとんど問
題はないものの、コア層の形成に適用する場合には精密
な膜厚制御が必要になる。
【0007】特に、2本の導波路を接近させて方向性結
合部を形成し、分岐、分波を行うための素子の形成に
は、導波路寸法を厳密に制御しなければならないため、
コア層形成用の火炎堆積装置は、均一な膜厚を得るため
に制御機構が複雑になって高価になる。
【0008】また、導波路を形成するためにフォトリソ
グラフィー法によって光導波路のパターンが描写された
金属薄膜をマスクとして反応性イオンエッチング(RI
E)法を施し、光伝搬領域104を形成するわけだが、
この際に生じる光導波路の側壁の粗れが導波する光の散
乱要因となり透過損失を引き起こす。
【0009】一方、図16(c)に示すように凸状のコ
ア部を残し、その凸状のコア部を覆うように又は凸状の
コア部を型として軟化したガラスを押さえつけてグラッ
ド部を密着させ、図16(d)に示すような導波路構造
を作製する方法(特開平8−304649号公報)が知
られているが、この方法では、コア部の変形を引き起こ
し、所望の導波路構造を得づらい。
【0010】また、特開平7−261040号公報に
は、2枚のガラス基板の一方の片面に光の伝搬領域(コ
ア)となる溝を形成し、2枚のガラス基板の間にガラス
基板よりも屈折率が高く軟化温度が低いガラス材料を挟
み込み、ガラス基板を両側から加圧しながらガラス材料
を加熱溶融させてガラス基板同志を密着させ、ガラス材
料を溝内に充填して光の伝搬領域を形成する光導波路の
製造方法が開示されている。しかしながら、特開平7−
261040号公報記載の方法においては、幅及び深さ
が共に6μmの溝をフォトリソグラフィ−法及びドライ
エッチング法によって形成しているので、溝の寸法精度
や側壁の平滑性が悪く、精度の高い光導波路を得ること
ができないこと、及び、この傾向は溝が深くなる(例え
ば10μm)と顕著になることを本発明者らは突き止め
た。また、同公報記載の方法においては、2枚のガラス
基板の間に挟み込むガラス材料が、0.4mmの厚さに
スライスしたガラス薄板であるので、溝の部分にだけガ
ラス材料を効率良く供給することが困難であるととも
に、精度の非常に高い光導波路を得ることができないこ
とを本発明者らは突き止めた。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく本
発明は以下の構成としてある。 (構成1)プレス成形によって形成された溝を備え、少
なくとも前記溝付近が多成分ガラスからなる基板と、前
記溝内に光の伝搬領域として形成される層であって、前
記多成分ガラスより屈折率の高いガラス又は樹脂からな
る層とを有することを特徴とする光導波路。
【0012】(構成2)前記多成分ガラスが、ケイ酸塩
系ガラス、燐酸系ガラス、フツ燐酸系ガラス、フッ化物
系ガラスからなる群より選ばれる少なくとも一つのガラ
スであることを特徴とする構成1に記載の光導波路。
【0013】(構成3)プレス成形によって形成された
溝を備え、少なくとも前記溝付近が多成分ガラスからな
る基板を得る工程と、前記溝内に前記多成分ガラスより
屈折率の高いガラスからなる層を形成して光の伝搬領域
とする工程とを含むことを特徴とする光導波路の製造方
法。
【0014】(構成4)前記多成分ガラスより屈折率の
高いガラスからなる層を、前記溝内に前記多成分ガラス
より屈折率の高いガラスの融液をキャストして形成する
ことを特徴とする構成3に記載の光導波路の製造方法。
【0015】(構成5)前記多成分ガラスより屈折率の
高いガラスからなる層を、前記溝内に前記多成分ガラス
より屈折率の高いガラスからなるガラスファイバを挿入
し、このガラスファイバを熱軟化して形成することを特
徴とする構成3に記載の光導波路の製造方法。
【0016】(構成6)前記多成分ガラスより屈折率の
高いガラスからなる層を、前記溝内に前記多成分ガラス
より屈折率の高いガラスを分散させたフリットを塗布
し、このフリットを熱軟化しガラス化して形成すること
を特徴とする構成3に記載の光導波路の製造方法。
【0017】(構成7)前記多成分ガラスより屈折率の
高いガラスからなる層を、前記溝内に前記多成分ガラス
より屈折率の高いガラスの微粉末を塗布し、この微粉末
を熱軟化しガラス化して形成することを特徴とする構成
3に記載の光導波路の製造方法。
【0018】(構成8)前記多成分ガラスのガラス転移
点が530℃以下であり、かつ屈伏点が565℃以下で
あることを特徴とする構成3〜7のいずれか一項に記載
の光導波路の製造方法。
【0019】
【作用】上記構成1の光導波路によれば、少なくとも溝
付近が多成分ガラスからなる基板であって、プレス成形
によって溝を形成した基板を有しており、したがって、
エッチングでは良好な溝を形成することが困難な多成分
ガラスに良好な溝を形成した基板を用いることが可能と
なる。この溝が光の伝搬領域となるので、寸法精度の良
好な光導波路が得られる。特に、精密な光学レンズのプ
レス方法により基板内に精密な溝を形成することが可能
である組成の多成分ガラスを用いると、寸法精度の高い
光導波路が得られる。プレス成型後研削や研磨等の工程
を経ない精密な光学レンズのプレス方法を用いると、効
率が良い。なお、RIE法などのドライエッチング法で
は、石英ガラスのような単一組成のガラス系の加工は高
精度に可能であるが、多成分ガラス(特にアルカリ金属
やアルカリ土類金属を含む多成分ガラス)系の場合、選
択的なエッチングが起こるので溝の寸法精度や側壁の平
滑性が悪く、精度の高い光導波路を得ることができな
い。また、石英ガラスにプレス法で溝を形成するのは難
しい。本発明では、コアとなる溝内には、多成分ガラス
基板より屈折率の高いガラス又は樹脂(接着剤など)を
満たすことができる。なお、「少なくとも溝付近が多成
分ガラスからなる基板」とは、基板全体が多成分ガラス
からなるものであってもよいし、溝付近だけが多成分ガ
ラスの基板であってもよいことを意味する。溝付近だけ
が多成分ガラスからなる基板を用いると、多成分ガラス
でない基板を用いた導波路及び部品との接合が容易にな
り、溝部以外の基板部にRIE法などで加工したものと
組み合わすことができる。
【0020】また、本発明では、任意のガラスを光の導
波路となるコア部分のガラスとすることができ、様々な
特性を付加した光導波路を得ることができる。例えば、
Pr、Nd、Er、Yb、Ho、Tmのうちの少なくと
も一種類の希土類元素を含有したリン酸塩ガラスを光の
導波路となるコア部分のガラスとした場合、光の増幅作
用を持った光導波路型増幅器を形成することができる。
【0021】さらに、本発明では、次の利点がある。す
なわち、フッ化物光ファイバは、石英系光ファイバより
も長い波長領域で伝送損失が極めて低く、優れた性能を
有することが期待され、超遠距離用として研究開発が進
められている(Shiro Takahashi,J.Non-Crystalline So
lids,140(1992)172-178 )。しかしながら、このフッ化
物光ファイバに対しては、石英系の光導波路は適用でき
ない。これは、フッ化物光ファイバが2〜3μmの波長
領域で使用されるのに対し、石英系光ファイバでは1〜
2μmで用いられるためである。即ち、石英系の光導波
路は2〜3μmの波長領域では光損失が極めて高く、ま
た導波路パターンの設計法も異なるからである。従っ
て、この波長領域で動作する光導波路が必要となるが、
従来、このような導波路は製造されていない。赤外透過
酸化物ガラスには、酸化ゲルマニウム、酸化ビスマス、
酸化鉛など極めて多くのガラス系がある。本発明によれ
ば、これらのガラス系の導波路も作製可能となる。
【0022】上記構成2の光導波路によれば、基板とな
るガラスとしては、プレス成形できる様々なガラスを使
用することができるが、本発明における多成分ガラスと
しては、例えば、ケイ酸塩系ガラス、燐酸系ガラス、フ
ツ燐酸系ガラス、フッ化物系ガラスからなる群より選ば
れる少なくとも一つのガラス等が挙げられる。
【0023】上記構成の光導波路においては、前記基板
の溝内に設けられた光の伝搬領域となる層を覆うよう
に、前記多成分ガラスと同等の屈折率を有する層を形成
することで、光の伝搬領域であるコア部をグラッド層で
完全に覆うことが可能となる。この場合、多成分ガラス
と同等の屈折率を有する層は、ガラス基板であってもよ
いし、樹脂硬化層であってもよい。
【0024】上記構成3の光導波路の製造方法によれ
ば、少なくとも溝付近が多成分組成のガラスからなる基
板であって、プレス成形によって溝を形成した基板を得
る工程を有しているので、エッチングでは良好な溝を形
成することが困難な多成分ガラスに良好な溝を形成する
ことが可能となる。この溝が光の伝搬領域となるので、
寸法精度の良好な光導波路が得られる。加えて、プレス
成形は製造効率が良い。詳しくは、特開平7−2610
40号公報記載の方法では、溝形成にフォトリソグラフ
ィーとエッチングを用いるが、この方法では側壁粗れが
生じ、それにより透過光の損失を招くことが知られてい
る。また、各導波路毎にエッチング等で溝を形成する必
要があるので、導波路の一つ一つの溝にばらつきを生じ
る。これに対し本発明の方法では、成形型を最低一個作
ることにより複数個(例えば数百)の導波路を形成で
き、たとえ、成形型作成時に側壁粗れ生じてもこの粗れ
は凸型である故に除去しやすい。したがって、透過光の
損失要因となりうる導波路の側壁粗れを従来法に比べ少
なくでき、また、同じ成形型を用いることから、導波路
の一つ一つのばらつきが小さい。なお、エッチングによ
り形成された成形型表面と、エッチングにより溝を形成
した多成分ガラスの表面を比較すると、多成分ガラスは
多成分故に表面粗れが大きくなる。成形型表面の粗れは
小さいので、転写成形される溝の表面の粗れも小さくす
ることができる。また、成形型表面に粗れがあったとし
ても、溝を形成する部分は凸状なので、粗れの確認、粗
れの改善を容易に行うことができるが、特開平7−26
1040号公報記載の方法では、溝の側壁の粗れを事前
に評価し改善することは困難である。また、溝を形成後
にコア部となるガラス層を形成するため、上述した凸状
のコア部を先に形成する場合(特開平8−304649
号公報)に比べ、得られる導波路構造は精密に作製する
ことができ、光の導波路としての性能が高くなる。
【0025】上記構成4の光導波路の製造方法によれ
ば、前記多成分ガラスより屈折率の高いガラスからなる
層を、前記溝内に前記多成分ガラスより屈折率の高いガ
ラスの融液をキャスティングし冷却固化させて形成する
ことによって、コアとなる光の伝搬領域を形成する。な
お、キャストするガラスは、基板よりも低融点なものが
求められる。低融点ガラスとしてはPbO−B23−S
iO2系ガラス、PbO−ZnO−B23系ガラス、Z
nO−B23−SiO2系ガラス、PbO−Al23
SiO2系ガラスなどを挙げることができる。キャスト
するガラスとしては、その他燐酸系、フツ燐酸系、フッ
化物系、それらを含む光学ガラスや、その他あらゆるガ
ラスを用いることができる。特開平7−261040号
公報記載の方法では、板状のガラスを軟化させ加圧する
ため、溝内にガラスが行き渡りづらい。また、加圧手段
を用いるため、導波路及び導波光を劣化させ、さらに、
形成したコアに内部応力が残り、導波光の損失及び導波
光に複屈折を誘起する。これに対し本発明の方法では、
ガラス融液のキャストやガラスファイバ挿入などにより
溝内のガラスを軟化させ自重で溝内に行き渡り、溝との
融着も確実となり、導波光の劣化要因がない。
【0026】上記構成5の光導波路の製造方法では、上
記で形成した溝内にガラスファイバを挿入しこのガラス
ファイバを熱軟化して光の伝搬領域を形成することで、
溝内へのガラス材料の導入が容易になるとともに、溝に
沿って均一にガラス材料を導入できる。詳しくは、溝の
中に入り得る外径を持つ様に加工したガラスファイバを
溝に挿入し、基板ごと加熱し、挿入したファイバのみを
軟化させて溝内にガラスを容易かつ均一に満たすことが
できる。
【0027】上記構成6の光導波路の製造方法によれ
ば、上記で形成した溝内(及び基板上)にガラスを分散
させたフリットを塗布し、これを加熱乾燥、軟化させて
溝内を軟化したフリットガラスで満たし、冷却固化させ
て光の伝搬領域を形成することで、溝内へのガラス材料
の導入が容易になるとともに、溝に沿って均一にガラス
材料を導入できる。詳しくは、ガラスフリットを溝内に
塗布し、加熱乾燥、軟化させて溝内を軟化したフリット
ガラスで容易かつ均一に満たすことができる。なお、ガ
ラスフリットは微細ガラスを有機溶媒中に分散した溶液
であり、このガラスフリットは、スピンコート法、ドク
ターブレード法や印刷法により溝内に容易かつ均一に塗
布できる。
【0028】上記構成7の光導波路の製造方法によれ
ば、上記で形成した溝内(及び基板上)に、ガラス微粉
末を塗布し、軟化させて溝内を軟化したガラスで満た
し、冷却固化させて光の伝搬領域を形成することで、溝
内へのガラス材料の導入が容易になるとともに、溝に沿
って均一にガラス材料を導入できる。
【0029】上記構成8の光導波路の製造方法によれ
ば、前記多成分ガラスのガラス転移点(Tg)が530
℃以下とし、かつ屈伏点(Ts)が565℃以下とする
ことで、炭化珪素または窒化珪素などからなる成形型の
材料に対して、ガラスが型寿命に影響を及ぼすことを回
避でき、成形型を著しく長寿命化できるる。なお、成形
型には硬質炭素膜やi−カーボン膜などを被覆できる。
【0030】上記構成の光導波路においては、前記基板
の溝内に設けられた光の伝搬領域となる層(コア)を覆
うように、前記多成分ガラスと同等の屈折率を有する層
を形成する工程を有することで、コアをグラッド層で完
全に覆うことが可能となる。この場合、2枚のガラス基
板の少なくとも一方のガラス基板の面内に溝を形成し、
この溝内にガラス層を形成し、他方のガラス基板を重ね
て密着させながら加熱し、溝内に光の伝搬領域を形成す
ると同時に、2枚のガラス基板を融着することができ
る。あるいは、1枚のガラス基板の面内に溝を形成し、
この溝内にガラス層を形成し、さらにその面上に基板と
同等の屈折率を持つUV硬化樹脂を塗布し、硬化させて
溝内に光の伝搬領域を形成することもできる。UV硬化
樹脂の代わりに基板と同等の屈折率を持つガラス層を形
成することもできる。なお、2枚のガラス基板を融着す
る場合にあっては、溝内に充分ガラス融液等を満たした
後、2枚のガラス基板を融着することで、余分なガラス
融液は溝の両端から排出され、溝内が完全にガラス融液
で満たされる。したがって、均一な層厚を有する光の伝
搬領域が得られる。加えて、2枚のガラス基板を融着す
ることで、グラッド層の形成工程が省略できる。また、
2枚のガラス基板の間に光の伝搬領域が形成されている
ので、端面を研磨する際に導波路端面の欠けが生じな
い。さらに、2枚のガラス基板の間に光の伝搬領域が形
成されているので、光導波路側に接続するために充分な
面積を確保することができ、充分な接続強度が得られ
る。
【0031】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0032】(実施の形態1)図1は実施の形態1に係
る光導波路の製造過程を示す説明図、図2は実施の形態
1に係る光導波路の斜視図である。実施の形態1に係る
光導波路の製造方法では、まず、図1(a)に示すよう
に多成分ガラス基板1の片面内に、幅及び深さがともに
10μmの凹型の溝2を形成する。ここで、溝2は、次
に示す方法で成形型を作製し、この成形型の形状をガラ
スに転写することによって、形成した。
【0033】成形型の作製の一態様を図3及び図4にも
とづき説明する。先ず、図3において、成形用型の基盤
としてCVD法により作成した炭化ケイ素(βーSi
C)材を、研削、研磨して平面精度がニュートン1本以
内の鏡面に仕上げ、基盤41とした(図3(a))。な
お、基盤41は、表面層のみがCVD法によって形成さ
れた炭化ケイ素であってもよいが、本態様では基盤全体
がCVD法によって形成された炭化ケイ素を用いた。こ
の鏡面仕上げした基盤41の表面にイオン注入処理を行
い、表面上に非晶質層42を形成した(図3(b))。
さらに、非晶質層42が形成された表面への微細パター
ンの形成は、非晶質層42の表面にレジスト43を塗布
し(図3(c))、レジスト43に電子線描画装置を用
いてゾーンプレートパターンの潜像を形成した後、露光
し現像してパターン部のレジストの厚さ0.3μmのレ
ジストパターン44を形成した(図3(d))。さら
に、平行平板型RIE装置を使用し、CH4ガスを用い
て露出した非晶質層42をエッチングした後、レジスト
パターン44を除去し、非晶質層42に深さ10μmの
凸形状の溝型が形成されたガラス成形用型46を得た
(図3(e))。得られたガラス成形用型46の表面に
形成されたパターン45には、表面粗れがなく、カケや
剥離も認められなかった。
【0034】なお、前記非晶質層42を形成するイオン
注入処理は、図4に示す、イオン注入機能と炭素被膜の
成膜機能を有するイオンプレーティング装置を用いて行
った。装置内には、炭化ケイ素製の基盤41がヒーター
50を内蔵するホルダー51に保持されている。イオン
源52は図の左側下方に位置し、アノード電極とカソー
ド電極(図示を省略)を内蔵している。先ず、イオン源
52に供給された窒素ガスはイオン化された後、質量分
析器53でイオン注入に使用するイオン源が選択され
る。選択されたイオン種は加速器54、収束レンズ55
によって100keVの加速電圧が印加され、ホルダー
51へ、1×1016ions/cm2のイオン密度で照
射され、基盤41の表面に非晶質層が形成される。
【0035】次に、上記で得られたガラス成形用型の表
面粗度を、触針式粗度計を用いて測定した結果、微細パ
ターンを形成したガラス成形用型のエッチング前の表面
粗度は、イオン注入処理の有無を問わず、いずれもR
z:45オンク゛ストローム、Rmax:53オンク゛ストロームであった
のに対して、エッチング後の表面粗度は、イオン注入処
理が行われていなかったものがRz:457オンク゛ストロー
ム、Rmax:534オンク゛ストロームと大きく表面が粗れてい
たのに対して、イオン注入処理が行われたものはRz:
48オンク゛ストローム、Rmax:57オンク゛ストロームであり、エッ
チング前の表面粗度とほとんど差がなかった。なお、イ
オン注入による非晶質化層の深さは1μm以下であるた
め、これよりも深い溝を形成する場合は、イオン注入と
エッチングを繰り返すことにより、表面粗れを生じるこ
となく深溝(例えば10μm)を形成することができ
る。
【0036】成形条件は以下のとおりである。 被成形ガラス形状:マーブル形状に熱間 成形した予備成形体(体積250mm3) 成形型(平板):上記で作製した成形型 雰囲気:2%H2+98%N2 成形温度:ガラス粘度が106.9ポアズに相当する温度
(通常のプレス条件よりやや低粘度である) 成形圧力:120kg/cm2 成形時間:60秒 冷却速度:110℃/min
【0037】使用した多成分ガラスの組成、屈折率n
d、屈伏点Ts、を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】以上のようにして幅及び深さがともに10
μmの凹型の溝2をもつ基板を形成する(図1
(a))。次いで、図1(b)に示すようにガラス基板
1の溝2を形成した面上に、シリケート、ボロシリケー
ト、フォスフェート、フルオロフォスフェート、フルオ
レート等のガラス融液を流し込む。これらのガラス系を
選ぶことにより、ガラス基板1よりも屈折率を高くする
と同時に融点を低くすることができる。
【0040】その後、図1(c)に示すようにガラス融
液3上に基板1と同じ材料からなるガラス基板4を重ね
て密着させながら加熱し、図1(d)に示すように光伝
搬領域5を形成する。
【0041】このようにして形成される光導波路は、ガ
ラス基板1に形成した溝2が光伝搬領域5になるので、
高精度の光伝搬領域が得られる。また、ガラス基板4が
光伝搬領域5を取り囲むクラッドの一面をなす。
【0042】本実施の形態では光伝搬領域5を形成する
コアガラスとして、表2に示すP25:20wt%のガ
ラスに光の増幅作用をもたらす活性元素として0.2w
t%のEr23及び増感材として2wt%のYb25
含有されているガラスを用いる。このガラス材料の屈折
率は波長1.5μm帯において1.77であった。一
方、クラッド層となるガラス基板1、4のガラス(表
1)の波長1.5μm帯における屈折率は1.76で、
コアガラス屈折率よりも小さい。
【0043】
【表2】
【0044】以上のようにして、光増幅作用を伴うコア
とそれを埋め込むクラッドからなるガラス導波路を容易
に製造できる。
【0045】なお、上記実施の形態では、ガラス基板1
のみに光伝搬領域用の溝2を形成しているが、ガラス基
板5にも同様の溝を形成して、ガラス融液を挟んでガラ
ス基板同士を接合すれば、双方のガラス基板に光伝搬領
域が形成されるので、より集積度の高い光立体回路が得
られる。
【0046】(実施の形態2)図5は実施の形態2に係
る光導波路の製造過程を示す説明図、図6は図5におけ
る要部の工程の拡大図、図7は実施の形態2で用いた押
出成形型の概略を示す垂直断面図、図8は図7のA−A
線水平断面図、図9は実施の形態2で用いた加熱延伸装
置の概要図である。実施の形態2に係る光導波路の製造
方法は、実施の形態1と同様に図5(a)に示すように
多成分ガラス基板1(具体的組成を表3のNo.1に示
す)の片面内に、成形型を用いて幅及び深さがともに1
0μmの凹型の溝2を形成する。次いで、同図(b)に
示すようにガラス基板1の溝2内にガラスファイバ6を
挿入した。この場合、図6(a)に示すように溝2の深
さと同じ直径のガラスファイバ6を溝2に挿入すること
ができ、図6(b)に示すように溝2の深さより大きい
直径のガラスファイバ6を溝2に挿入することもでき
る。なお、ガラスファイバ6は、次に示す光ファイバ線
引き法等により作製した。
【0047】
【表3】
【0048】ガラスファイバの製法1 ガラス成形原料として直径50mm、高さ50mmの円
柱状を呈する高鉛ガラス(鉛含有量72.5wt%,軟
化点温度520℃)(具体的組成を表3のNo.2に示
す)ビレットを用意し、この高鉛ガラスビレットを図7
に示す押出成形型11の円筒状のコンテナ12に挿入し
た。このコンテナ12は立設されており、その周囲には
当該コンテナ12を加熱するためのバンドヒータ13が
装着されている。また、コンテナ12内部の下方端側に
は口径3mmのノズル14が配設されている。
【0049】次に、コンテナ12に挿入した高鉛ガラス
ビレットの上方にプランジャ16(図7参照)を配置
し、この状態でヒータ13によりコンテナ12を加熱し
た。
【0050】510℃の加熱温度で約1時間保持した
後、引き続き加熱を行いながらプランジャ16に50〜
450kg/cm2の間で荷重を加えて、平均押出速度
(プランジャ16の下降速度)2.5mm/分で軟化し
たガラス成形原料をノズル14から押出した。このと
き、加熱により軟化したガラス成形原料30(図7およ
び図8参照)はプランジャ16により下方に押される。
ノズル14側の端部に連設された円筒状のクリーン冷風
キャンパ17の壁面には多数の貫通孔18が設けられて
おり、必要に応じて、図示を省略したクリーン冷風源か
らの清浄な冷却用ガスが前記の貫通孔18からクリーン
冷風キャンパ17の内側に供給されるようになってい
る。
【0051】この後、上記の押出成形物31を室温まで
自然放冷して、長さが400〜600mmのガラスロッ
ドを得た。
【0052】得られた高鉛ガラス製のロッド(外径4.
0mm)を200mmの長さに切り取り、このもの(以
下、プリフォームという)を洗浄した後、図9に示す構
成の加熱延伸装置20によって前記のプリフォーム21
を加熱延伸して、目的とするファイバ22を得た。この
とき、前記のプリフォーム21の一端は加熱炉23の上
方に設けられたチャック24によって固定し、当該プリ
フォーム21の他端は加熱炉23の内部に挿入した。チ
ャック24はロット送り機25によって昇降自在に運動
可能である。加熱炉23内の温度(以下、炉内温度とい
う)は、プリフォーム21の粘度が100ps(ポイ
ズ)になるように635℃に設定した。そしてプリフォ
ーム21が変形し始めてから、加熱炉23の下方に設け
た外径測定器26により測定したファイバ22の外径が
10μmとなるように、プリフォーム21の送り速度を
0.5mm/分、延伸速度を80m/分として延伸を行
って、ファイバ22を得た。なお、図9に示した加熱延
伸装置20では、必要に応じてファイバ22を巻き取り
装置27によって巻き取ることができる。このようにし
て得られたファイバの外径は10μmであった。
【0053】以上のようにして作成したガラスファイバ
6を、図5(b)に示すように溝2内に挿入した後、同
図(c)に示すように多成分ガラス基板1上に基板1と
同じ材料からなる多成分ガラス基板4を重ねて密着させ
ながら加熱し、ガラスファイバを熱軟化させるととも
に、2枚のガラス基板を融着する。この際、2枚のガラ
ス基板を押圧しつつ融着することで、余分なガラス融液
は溝2の両端から排出され、溝内が完全にガラス融液で
満たされる。なお、ガラスファイバ6としては、ガラス
基板1、4の屈折率よりも高い屈折率を持ち、かつガラ
ス基板1、4よりも低融点なガラスを使用している。そ
の後、冷却固化して、光伝搬領域5を形成し、光導波路
10を得る。
【0054】この光導波路10にあっても、上記実施の
態様1で得た光導波路と同様に、高精度の光伝搬領域が
得られ、ガラス基板4が光伝搬領域5を取り囲むクラッ
ドの一面をなすので、クラッド層を新たに形成する必要
がなくなり、また光伝搬領域5はガラス基板1、4内に
完全に埋め込まれるので、端面を研磨して光ファイバと
接続する際にも、光導波路端面の欠けや光ファイバとの
接続不良を生じることがない。
【0055】なお、この光導波路10においても、2枚
のガラス基板1、4の両方に光伝搬領域用の溝を形成す
ることによって、より集積度の高い光立体回路が得られ
る。
【0056】(実施の形態3)図10は実施の形態3に
係る光導波路の製造過程を示す説明図である。実施の形
態3に係る光導波路の製造方法は、実施の形態1と同様
に図10(a)に示すように多成分ガラス基板1(具体
的組成を表4のNo.1に示す)の片面内に、成形型を
用いて幅及び深さがともに10μmの凹型の溝2を形成
する。次いで、同図(b)に示すようにガラス基板1の
溝2を形成した面上及び溝2内に、次に示す方法により
製作したガラスフリット7(具体的組成を表4のNo.
2に示す)を塗布した。
【0057】
【表4】
【0058】ガラスフリットの製法はガラス業界でよく
用いられている様に、バッチ材料を配合して、互いに完
全に混合して、均質な溶融物を確実にし、その混合物を
白金またはシリカのるつぼに装填した。そのるつぼを約
1400℃で運転している炉中にて約1時間バッチを溶
融した。各溶融物を流水浴中に微細な流れとして注ぎ
(この操作はガラス業界で「ドリゲージング(drigagin
g)」と称される)細かなガラス片を得る。その後この
ガラス片を摩砕し細かくするが、本方法では、10μm
の溝中に塗布する目的から、サイズで平均1ミクロンの
粒子までさらに粉砕された微粉砕ガラス粒子を生成し
た。微粉砕ガラス粒子を有機溶媒中に分散した溶液は、
ドクターブレード法や印刷法により基板上および溝内に
塗付され乾燥することでガラス層を形成させる。
【0059】次に、同図(c)に示すようにガラス基板
1上に基板1と同じ材料からなる多成分ガラス基板4を
重ねて密着させながら加熱し、ガラスフリット7からな
るガラス層が熱軟化する温度でガラス層を軟化させ溝内
に充填させるととも、2枚のガラス基板を融着する。こ
の際、2枚のガラス基板を押圧しつつ融着することで、
余分なガラス融液は溝2の両端から排出され、溝内が完
全にガラス融液で満たされる。また、2枚のガラス基板
の間にある軟化したガラスフリットは、2枚のガラス基
板を圧着することで、ガラス基板の端面から排出され、
光の伝搬領域に影響を与えない厚さにまで薄くできる。
その後、冷却固化して、同図(d)に示すように光伝搬
領域5を形成し、光導波路10を得る。なお、実施の形
態3では、溝2内にだけガラスフリット7を塗布するこ
ともできる。
【0060】(実施の形態4)図11は実施の形態4に
係る光導波路の製造過程を示す説明図である。実施の形
態4に係る光導波路の製造方法は、実施の形態1と同様
に図11(a)に示すように多成分ガラス基板1(具体
的組成を表4のNo.1に示す)の片面内に、成形型を
用いて幅及び深さがともに10μmの凹型の溝2を形成
する。次いで、同図(b)に示すようにガラス基板1の
溝2を形成した面上及び溝2内に、次に示す方法により
製作したガラス微粉末8(具体的組成を表4のNo.2
に示す)を塗布した。
【0061】ガラス微粉末の製法はガラス業界でよく用
いられている様に、バッチ材料を配合して、互いに完全
に混合して、均質な溶融物を確実にし、その混合物を白
金またはシリカのるつぼに装填した。そのるつぼを約1
400℃で運転している炉中にて約1時間バッチを溶融
した。各溶融物を流水浴中に微細な流れとして注ぎ(こ
の操作はガラス業界で「ドリゲージング(drigagin
g)」と称される)細かなガラス片を得る。その後この
ガラス片を摩砕し細かくするが、本方法では、10μm
の溝中に塗布する目的から、サイズで平均1ミクロンの
粒子までさらに粉砕された微粉末ガラス粒子を生成し
た。微粉末ガラス粒子を基板上および溝内に塗付し乾燥
することでガラス層を形成させる。
【0062】次に、同図(c)に示すようにガラス基板
1上に基板1と同じ材料からなる多成分ガラス基板4を
重ねて密着させながら加熱し、ガラス微粉末8からなる
ガラス層が熱軟化する温度でガラス層を軟化させ溝内に
充填させるととも、2枚のガラス基板を融着する。この
際、2枚のガラス基板を押圧しつつ融着することで、余
分なガラス融液は溝2の両端から排出され、溝内が完全
にガラス融液で満たされる。また、2枚のガラス基板の
間にある軟化したガラス微粉末は、2枚のガラス基板を
圧着することで、ガラス基板の端面から排出され、光の
伝搬領域に影響を与えない厚さにまで薄くできる。その
後、冷却固化して、同図(d)に示すように光伝搬領域
5を形成し、光導波路10を得る。なお、実施の形態4
では、溝2内にだけガラス微粉末8を塗布することもで
きる。
【0063】(実施の形態5)図12は実施の形態5に
係る光導波路の製造過程を示す説明図である。実施の形
態5に係る光導波路の製造方法は、図12(a)に示す
ように多成分ガラス基板1(具体的組成を表4のNo.
1に示す)の片面内に、成形型を用いて幅及び深さがと
もに10μmの凹型の溝2を形成する。次いで、同図
(b)に示すようにガラス基板1の溝2を形成した面上
及び溝内に、シリケート、ボロシリケート、フォスフェ
ート、フルオロフォスフェート、フルオレート等のガラ
ス融液3を流し込み、これを冷却固化する。これらのガ
ラス系を選ぶことにより、多成分ガラス基板1よりも屈
折率を高くすると同時に融点を低くすることができる。
なお、ガラス融液は、ロート(漏斗)や、ディスペンサ
ー、マイクロシリンジなどを使用してキャストできる。
【0064】次に、同図(c)に示すようにガラス融液
3上にガラス基板1と同等の屈折率を持つUV硬化樹脂
9を塗布する。その後、UV硬化樹脂9をUV硬化させ
て、光伝搬領域5を形成し、光導波路10を得る。な
お、実施の形態5では、図13に示すように、溝内にだ
けガラス融液を流し込み、光伝搬領域5を形成すること
もできる。また、実施の形態1と同様にガラス基板1上
にガラス融液3をキャスト後、他の平坦基板等を重ね押
圧して、溝2及びガラス基板1上の余分なガラス融液を
除去し、他の平坦基板等を取り除いた後、UV硬化樹脂
9を塗布しUV硬化させることもできる。
【0065】このようにして形成される光導波路は、ガ
ラス基板1に形成した溝2が光伝搬領域5になるので、
高精度の光伝搬領域が得られる。また、UV硬化樹脂9
が光伝搬領域5を取り囲むクラッドの一面をなす。
【0066】さらに、コアとなるガラス融液キャスティ
ングは、従来の光導波路のコア膜形成のスート堆積より
も製造時間が大幅に短縮される。また、光伝搬領域5は
ガラス基板1とUV硬化樹脂との間に完全に埋め込まれ
るので、端面を研磨して光ファイバと接続する際にも、
光導波路端面の欠けや光ファイバとの接続不良を生じる
ことがない。
【0067】(実施の形態6)表1に示す組成のガラス
の代わりに、表5〜表8に示す組成のガラスを用いたこ
と以外は実施の形態1と同様にして光導波路を作製し
た。
【0068】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0069】その結果、表5〜表7に示すガラスを用い
た場合は、溝の寸法精度や側壁の平滑性が良く、精度の
高い光導波路を得ることができた。また、成形型も長寿
命であった。表8に示すガラスを用いた場合は、Tg,
Tsが高いので成形型の寿命が極端に短く、プレス成形
が困難であった。
【0070】なお、上記実施の形態1〜6では、ガラス
基板1にだけ光伝搬領域用の溝2を形成しているが、図
14に示すように、ガラス基板4にも同様の溝を形成し
て、ガラス融液を挟んでガラス基板同士を接合すれば、
双方のガラス基板に光伝搬領域5が形成されるので、よ
り集積度の高い光立体回路が得られる。また、図15に
示すように、ガラス基板1、4の双方に溝を形成し、ガ
ラス融液を挟んでガラス基板同士を接合して、一つの光
伝搬領域5を形成することもできる。
【0071】(参考例)成形型を使用せず、ドライエッ
チング法によって溝2を形成したこと以外は実施の形態
1〜6と同様にして光導波路を形成した。その結果、多
成分ガラスにドライエッチング法で形成された溝2は、
寸法精度や側壁の平滑性が悪く、精度の高い光導波路を
得ることができなかった。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、少
なくとも溝付近が多成分組成のガラスからなる基板であ
って、プレス成形によって溝を形成した基板を得る工程
を有しているので、エッチングでは良好な溝を形成する
ことが困難な多成分ガラスに良好な溝を形成することが
可能となる。この溝が光の伝搬領域となるので、寸法精
度の良好な光導波路が得られる。プレス成形によって溝
をすると生産効率が非常に良い。また、本発明では、任
意のガラスを光の導波路となるコア部分のガラスとする
ことができ、様々な機能特性を付与された機能性光導波
路を得ることができる。さらに、フッ化物光ファイバの
波長領域で動作する光導波路が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る光導波路の製造過程を示す
説明図である。
【図2】実施の形態1に係る光導波路を示す斜視図であ
る。
【図3】実施の形態1で使用した表面に微細パターンが
形成されたガラス成形用型の製造過程の一例を示す断面
図である。
【図4】イオン注入機能と炭素被膜成膜機能を有するイ
オンプレーティング装置の概要を示す部分断面図であ
る。
【図5】実施の形態2に係る光導波路の製造過程を示す
説明図である。
【図6】図5における要部の工程の拡大図である。
【図7】実施の形態2で用いた押出成形型の概略を示す
垂直断面図である。
【図8】図7のA−A線水平断面図である。
【図9】実施の形態2で用いた加熱延伸装置の概要図で
ある。
【図10】実施の形態3に係る光導波路の製造過程を示
す説明図である。
【図11】実施の形態4に係る光導波路の製造過程を示
す説明図である。
【図12】実施の形態5に係る光導波路の製造過程を示
す説明図である。
【図13】実施の形態5の他の態様に係る光導波路の製
造過程を示す説明図である。
【図14】実施の形態1〜5の他の態様に係る光導波路
の製造過程を示す説明図である。
【図15】実施の形態1〜5の他の態様に係る光導波路
の製造過程を示す説明図である。
【図16】従来の光導波路の製造過程の説明図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 溝 3 ガラス融液 4 ガラス基板 5 光伝搬領域 6 ガラスファイバ 7 フリット 10 光導波路 11 押出成形型 12 コンテナ 13 加熱用バンドヒータ 14 ノズル 16 プランジャ 17 クリーン冷風キャンパ 18 貫通孔 20 加熱延伸装置 21 プリフォーム 22 キャピラリ 23 加熱炉 24 チャック 25 プリフォームの送り機 26 外径測定器 27 巻き取り装置 30 軟化したガラス成形原料 31 押出成形物 41 基盤 42 非晶質層 43 レジスト 44 レジストパターン 45 ゾーンプレートパターン 46 ガラス成形用型 50 ヒーター 51 ホルダー 52 イオン源 53 質量分析器 54 加速器 55 収束レンズ 56 カソード電極 57 アノード電極 58 リフレクター 59 排気口

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プレス成形によって形成された溝を備
    え、少なくとも前記溝付近が多成分ガラスからなる基板
    と、 前記溝内に光の伝搬領域として形成される層であって、
    前記多成分ガラスより屈折率の高いガラス又は樹脂から
    なる層とを有することを特徴とする光導波路。
  2. 【請求項2】 前記多成分ガラスが、ケイ酸塩系ガラ
    ス、燐酸系ガラス、フツ燐酸系ガラス、フッ化物系ガラ
    スからなる群より選ばれる少なくとも一つのガラスであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の光導波路。
  3. 【請求項3】 プレス成形によって形成された溝を備
    え、少なくとも前記溝付近が多成分ガラスからなる基板
    を得る工程と、前記溝内に前記多成分ガラスより屈折率
    の高いガラスからなる層を形成して光の伝搬領域とする
    工程とを含むことを特徴とする光導波路の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記多成分ガラスより屈折率の高いガラ
    スからなる層を、前記溝内に前記多成分ガラスより屈折
    率の高いガラスの融液をキャストして形成することを特
    徴とする請求項3に記載の光導波路の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記多成分ガラスより屈折率の高いガラ
    スからなる層を、前記溝内に前記多成分ガラスより屈折
    率の高いガラスからなるガラスファイバを挿入し、この
    ガラスファイバを熱軟化して形成することを特徴とする
    請求項3に記載の光導波路の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記多成分ガラスより屈折率の高いガラ
    スからなる層を、前記溝内に前記多成分ガラスより屈折
    率の高いガラスを分散させたフリットを塗布し、このフ
    リットを熱軟化しガラス化して形成することを特徴とす
    る請求項3に記載の光導波路の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記多成分ガラスより屈折率の高いガラ
    スからなる層を、前記溝内に前記多成分ガラスより屈折
    率の高いガラスの微粉末を塗布し、この微粉末を熱軟化
    しガラス化して形成することを特徴とする請求項3に記
    載の光導波路の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記多成分ガラスのガラス転移点が53
    0℃以下であり、かつ屈伏点が565℃以下であること
    を特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の光導
    波路の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003207661A (ja) * 2002-01-11 2003-07-25 Omron Corp 光導波路装置
US7155103B2 (en) 2001-09-28 2006-12-26 Omron Corporation Optical wave guide and method for producing the same
JP2010226107A (ja) * 2009-03-19 2010-10-07 Northrop Grumman Systems Corp 光ファイバ増幅器およびその作成方法

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