JP2000256784A - 高靱性耐摩耗部材用厚鋼板 - Google Patents

高靱性耐摩耗部材用厚鋼板

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JP2000256784A
JP2000256784A JP6361699A JP6361699A JP2000256784A JP 2000256784 A JP2000256784 A JP 2000256784A JP 6361699 A JP6361699 A JP 6361699A JP 6361699 A JP6361699 A JP 6361699A JP 2000256784 A JP2000256784 A JP 2000256784A
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Tatsuya Kumagai
達也 熊谷
Shuji Aihara
周二 粟飯原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 産業廃棄物の破砕・粉砕機や各種建設機械な
どの摩耗部品に用いられる高靱性耐摩耗部材用厚鋼板を
提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.20%超0.40%以下、Si:
0.2%以上1.0%以下、Mn:0.2%以上2.0%以下、P:0.020%以
下、S:0.010%以下、Al:0.010%以下、Ti:0.005%以上0.
30%以下、V:0.30%以下で、且つTi+Vが0.05%以上0.
40%以下、Nb:0.01%以上0.10%以下、Mg:0.0002%以
上0.0050%以下、N:0.003%以上0.020%以下、O:0.0005%
以上0.0080%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物
からなる組成を有し、粒子径が0.005 〜0.1 μmのMgO
を核としてその周辺にTiC 、TiN 、VC及びVNの1種又は
2種以上の炭化物、窒化物を有する大きさが0.1 〜1μ
mの複合析出物を1平方mmあたり5×103 個以上含む
高靱性耐摩耗部材用厚鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、産業廃棄物の破
砕・粉砕機や各種建設機械などの摩耗部品に用いられ
る、高靱性耐摩耗部材用厚鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】資源リサイクルの重要性が高まるなか、
自動車や電化製品等の産業廃棄物の破砕、粉砕をいかに
効率的にかつ経済的に行なうかがますます重要な課題と
なっている。これらの破砕、粉砕機にはさまざまな耐摩
耗部材が用途にあわせて使用されているが、使用環境が
過酷なため、頻繁に交換が必要となる部材も多く、その
耐久性向上と低コスト化は、産業廃棄物処理コスト低減
にとっても大きな課題である。
【0003】例えば産業廃棄物シュレッダーでは、破
砕、粉砕処理中の雰囲気温度が200 〜300 ℃まで高くな
ることがあり、そこに用いられているライナー材等は、
破砕、粉砕の際の激しい衝撃を受けるため著しいガウジ
ング摩耗が生じる。そして、このような部材が最終的に
使用できなくなるのは、ある程度摩耗が進行して板厚が
減少してきた際に、衝撃によって割れを生じるためであ
ることが多い。また、建設機械等に用いられる耐摩耗部
材においても摩擦熱のために表面温度が300 ℃程度以上
になることもあり、やはり減厚してきたときに割れが生
じることで寿命が決定される場合が多い。したがって、
このような過酷な環境において部材の耐久性を高めるた
めには、例えば300 ℃程度の高温域においても十分に高
い耐摩耗性を有していて、かつ摩耗により減厚されても
容易に割れを生じないための高い靱性を有することが重
要となる。
【0004】高温域で高い耐摩耗性を得るには、高温で
の硬さを高くすることが有効である。そのため、高温で
用いられる耐摩耗部材には、Cの他、Si、Cr、Mo等の合
金元素が多く添加される。その例として、低合金系の鋳
造材料(例えば、特開昭52-86916、特開昭54-118320 、
特開平1-219145など)があるが、C、Si、Cr等の合金元
素が高いことから、ある程度靱性を高めるためには鍛造
工程を必要とするために製造コストが高くなる。熱間圧
延で製造できる鋼材で、特開昭59-107066 は高温耐摩耗
性と靱性に優れると称されるものであるが、高温耐摩耗
性を重視しているために、素地の硬さを高めるC、Siの
含有量を、熱間圧延材としてはかなり高くしており、さ
らに高温硬さを向上させるCr、Mo多く添加されている。
これらはいずれも靱性を低下させる元素であり、著しい
ガウジング摩耗が生じるような過酷な環境を考慮する
と、靱性は十分ではないと推定される。また、特開平3-
343743は中常温域で高い強度を有する鋼と称されるもの
であるが、その記載内容には靱性値についてはふれられ
ておらず、Siが高いことから靱性値は高くないものと推
察される。
【0005】高温でも安定な炭化物や窒化物など高硬度
の析出物をマトリックス中に生成させることは、常温硬
さをあまり上げないで高温硬さを高めることができるの
で、靱性を低下させないで高温での硬さを高める方法と
して有効である。しかし、これらの析出物は多く添加す
ると粗大になる傾向があり、それが破壊の発生起点とな
って靱性を低下させる。そのために高硬度析出物の利用
には限界があった。
【0006】したがって、摩擦熱や雰囲気温度によって
材料温度が高温にさらされる過酷な環境下において、そ
れに耐える十分な高温耐摩耗性と、かつ摩耗により減厚
されても割れを生じないための高い靱性をあわせて有
し、さらに消耗品として考えた場合にその耐久性と価格
のバランスからみて満足できる鋼材はこれまでなかった
といえる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高温域にお
ける優れた耐摩耗性と高い靱性を兼ね備える部材用厚鋼
板(板厚6mm以上)を提供することを課題とするもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、高温域での
耐摩耗性を大幅に向上させるための手段として、種々の
炭化物および窒化物などの高硬度析出物に着目し、高温
での硬さと靱性とを両立させるために、これら高硬度析
出物をマトリックス中に多量に微細分散させる方法を種
々検討した。その結果、Mg酸化物(MgO) を利用すること
により、TiC 、TiN 、VC、VNの高硬度析出物を多量にか
つ微細均一に析出させることができること、特定範囲の
大きさのこれら高硬度析出物を一定数以上分散析出させ
ることにより、靱性を低下させないで高温での硬さを大
幅に向上させ得ることを知見した。
【0009】本発明の要旨は、(1)重量%で、C:0.
20%超、0.40%以下、Si:0.2%以上、1.0%以下、Mn:0.
2%以上、2.0%以下、P:0.020%以下、S:0.010%以下、
Al:0.010%以下、Ti:0.005%以上、0.30%以下、V:0.
30%以下で、かつTi+Vが0.05%以上、0.40%以下、N
b:0.01%以上、0.10%以下、Mg:0.0002%以上、0.005
0%以下、N:0.003%以上、0.020%以下、O:0.0005%
以上、0.0080%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純
物からなる組成を有する厚鋼板からなる耐摩耗部材であ
って、粒子径が0.005 〜0.1 μmのMgO を核としてその
周辺にTiC 、TiN 、VCおよびVNの1種または2種以上の
炭化物、窒化物を有する大きさが0.1 〜1μmの複合析
出物を1平方mmあたり5×103 個以上含むことを特徴
とする高靱性耐摩耗部材用厚鋼板。
【0010】(2)(1)の鋼に、さらに重量%で、C
u:1.0%以下、Cr:3.0%以下、Mo:2.0%以下、B:0.000
5以上、0.005%以下からなる強化元素群、および靱性向
上元素であるNi:5.0%以下のうちの1種または2種以上
を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有
する厚鋼板からなる耐摩耗部材であって、粒子径が0.00
5 〜0.1 μmのMgO を核としてその周辺にTiC 、TiN 、
VCおよびVNの1種または2種以上の炭化物、窒化物を有
する大きさが0.1 〜1μmの複合析出物を1平方mmあ
たり5×103 個以上含むことを特徴とする高靱性耐摩耗
部材用厚鋼板である。
【0011】以下、本発明について詳細に説明する。靱
性を低下させないで高温での硬さを向上させるために炭
化物や窒化物などの高硬度析出物を活用するためには、
それら高硬度析出物をマトリックス中に多量にかつ微細
均一に分散析出させることが必要である。発明者らは、
種々検討を重ねた結果、微細な酸化物をあらかじめ微細
分散させておき、そこに炭化物や窒化物を生成する元素
を添加する方法で、酸化物を核とする炭化物および窒化
物の複合析出物が生成する場合があり、この複合析出物
は非常に微細均一に生成し得ることを知見した。さらに
元素の組み合わせについて検討を重ねた結果、核となる
酸化物としてMgO 、炭化物および窒化物を生成する元素
としてTiおよびVが特に有効であることを知見した。
【0012】すなわち、MgO をあらかじめ多量に微細分
散析出させ、そこにTiまたはVを添加することで、MgO
を核とするTiC 、TiN 、VCおよびVNの複合析出物が均一
に生成し、これらはTiおよびVを多量に添加した場合に
も粗大化が抑制される。MgOはNaCl型の立方晶の結晶構
造を有するものであり、その格子定数は4.21オングスト
ロームである。一方、TiC 、TiN 、VC、VNもいずれも、
NaCl型の立方晶の結晶構造を有し、格子定数はTiC が4.
38オングストローム、TiN が4.24オングストローム、VC
が4.16オングストローム、VNが4.13オングストローム、
といずれもMgOと近い。そのため、鋼中にMgO が分散し
ており、固溶状態のTiおよびVとC、Nが存在していれ
ば、MgO の上にTiC 、TiN 、VC、VNが容易に析出できる
ものと考えられる。そのためMgO が存在していない場合
のTiC 、TiN 、VC、VNの析出に比べて、MgO を核とする
TiC 、TiN 、VC、VN等の複合析出物ははるかに微細に析
出するものと発明者らは考えている。Mgは酸素との結び
つきが強く、溶綱O濃度を制御すれば微細なMgO を容易
に析出させられることと、TiC 、TiN 、VC、VNとのいず
れとも格子定数が近いことから、本発明の目的にはMgO
を複合析出物の核とすることが最適であると本発明者ら
は考えている。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明では、Mg酸化物の粒子径を
0.005 〜0.1 μmに限定している。これは、0.005 μm
未満ではTiC 、TiN 、VC、VNとの複合析出が困難にな
り、逆に0.1 μm超では多量の微細分散析出が困難にな
るためである。また、MgO を核とするTiC 、TiN 、VC、
VNとの複合析出物のサイズを0.1 〜1μmに、その個数
を1平方mmあたり5×103 個以上に限定している。こ
れはサイズが0.1 μm以下、あるいは個数が1平方mm
あたり5×103 個未満では、耐摩耗性を向上させる効果
が顕著でなく、またサイズが1 μm超では破壊起点とな
りやすく、靱性低下の原因となり得るからである。ここ
で、MgO を核とするTiC 、TiN 、VCおよびVNとの複合析
出物と呼んでいるものは、TiC 、TiN 、VC、VNがそれぞ
れ単独でMgO 上に析出しているものと、TiC 、TiN 、V
C、VNのうちの2種以上が同時にMgO 上に析出している
ものとを含む。MgO を核とするTiC 、TiN 、VC、VN等の
複合析出物の個数は、例えば鋼板から抽出レプリカを採
取し、透過型電子顕微鏡で観察するなどの方法で測定
し、1平方mm当たりの個数に換算した。
【0014】上記のようなサイズおよび個数の析出物を
鋼中に分散させるためには、Al、Mg、Oを下記のように
限定し、かつTiおよびVを下記範囲で含有することが望
ましい。 Al:Alは、0.010%以下とする。これは、Alを0.01%超と
するとアルミナ主体の酸化物が増加し、MgO の生成が抑
制されるためである。MgO を微細、均一に分散させるた
めには、Alは0.005%以下とすることがより好ましい。
【0015】Mg:Mgは、0.0002%以上、0.0050%とす
る。0.0002%未満では、TiC 、TiN 、VCおよびVNの複合
析出物を微細化させるのに十分なMgO が得られない。ま
た、0.0050%超ではMgO が粗大になり、靱性を低下させ
る原因になる。TiC 、TiN 、VCおよびVNの複合析出物を
微細化させるのに十分なMgO を得るためには、Mgは、さ
らに望ましくは0.0010%以上、0.0030%以下とする。
【0016】O:Oは、0.0005%以上、0.0080%以下と
する。0.0005%未満では、TiC 、TiN 、VCおよびVNの複
合析出物を微細化させるのに十分なMgO が得られない。
また、0.0080%超ではMgO が粗大になり、靱性を低下さ
せる原因になる。TiC 、TiN、VCおよびVNの複合析出物
を微細化させるのに十分なMgO を得るためには、Oは、
さらに望ましくは0.0015%以上、0.0040%以下とする。
【0017】TiおよびV:Ti+Vが0.05%未満では耐摩
耗性を向上させるのに十分な複合析出物を得られない。
また、Ti、Vそれぞれ単独で0.30%を超えるか、Ti+V
の量が0.40%を超えると、1μm超の粗大析出物が生成
しやすく、靱性を低下させる場合がある。また、Tiは複
合析出物を生成させる目的以外にも、脱酸元素として少
なくとも0.005%の添加が必要である。そのため、Tiを添
加する範囲は0.005%以上、0.30%以下、Vを添加する範
囲は0.30%以下とし、かつTi+Vの量を0.05%以上、0.
40%以下とする。Tiの添加については、特にTiを0.015%
以上添加する場合に、添加方法に留意が必要である。溶
綱へのTi添加は、溶綱のO濃度を0.010%以下とした状態
で、まず0.005%以上、0.015%以下を添加して脱酸を行な
い、引き続いてMgを添加して微細なMgO を鋼中に生成さ
せ、その後に残りのTiを添加するようにする。これは、
0.015%超のTiをMgより先に添加した場合には、MgO の微
細分散が不十分となり、その結果、MgO を核とするTiC
およびTiN が微細分散析出しないためである。
【0018】さらに、Al、Mg、O、Ti、V以外の元素の
本発明の鋼成分の限定理由を述べる。 C:Cは鋼の常温および高温硬さを上昇させ、耐摩耗性
を高めるうえで重要である。本発明では、TiC 、TiN 、
VC、VNなどの高硬度の析出相の効果によって、C量は低
めに抑えるが、それでも0.20%以下では十分な耐摩耗性
を維持できない。また、0.40%を超えると延性および靱
性が低下するので、C含有量は、0.20%超、0.40%以下
に限定した。
【0019】Si:Siは常温硬さを上昇させるとともに、
鋼の軟化抵抗を高めることから、400 ℃程度までの高温
での耐摩耗性向上に効果もある。0.2%未満ではこの効果
は少なく、逆に1.0%を超えると靱性を低下させるので、
Siの含有量を0.2%以上、1.0%以下とした。
【0020】Mn:Mnは焼入性を高めて硬度を上昇させる
ので耐摩耗性には有効である。0.2%未満の添加では硬さ
上昇はあまり大きくなく、また2.0%を超えて添加すると
靱性を低下させる。このため含有量は0.2%以上、2.0%以
下とする。
【0021】Nb:Nbは圧延前の加熱時におけるオーステ
ナイト粒の粗大化抑制と再結晶温度を高める効果によっ
て制御圧延の効果を助長して結晶粒の微細化に寄与し、
靱性向上のために必要である。この効果を発揮するため
には0.01%以上の添加が必要である。ただし、0.10%を
超えて添加すると、粗大なNb析出物を生じてかえって靱
性が低下する。このためNb含有量は0.01%以上、0.10%
以下とした。
【0022】N:NはTiまたはVと結びついてTiN また
はVNを生成する。0.003%未満ではTiN またはVNの生成が
不十分であるが、0.020%超ではTiN またはVNは粗大にな
りやすく、靱性を低下させる。従ってNの含有量は0.00
3%以上、0.020%以下とする。
【0023】以上は本発明における鋼の基本成分である
が、さらに本発明では上記成分の他に、Cu、Cr、Mo、
B、Niのうち一種または二種以上添加することができ
る。 Cu:Cuは硬さを高めて耐摩耗性を向上させる。しかし、
多量の添加は靱性からはかえって有害となるため、Cuを
添加する場合の上限を1.0%とした。 Cr:Crは高温耐摩耗性向上効果が大きい元素である。し
かし、多量の添加は靱性からはかえって有害となるた
め、Crを添加する場合の上限を3.0%とした。 Mo:Moも高温耐摩耗性向上効果が大きい元素である。し
かし2%を超えると靱性に対しては有害となるので、Moを
添加する場合の上限を2.0%とした。 B:Bは焼入性を高めて硬さを上昇させ、高温耐摩耗性
向上にも寄与する。その効果を発揮するには0.0005%以
上必要であるが、0.005%超では靱性を低下させる。した
がって、Bの含有量は0.0005%以上、0.005%以下とす
る。 Ni:Niは高温耐摩耗性にはあまり寄与しないが、靱性向
上には有効である。ただし、あまり多量に添加するとオ
ーステナイトが生成して耐摩耗性を低下させるので、Ni
を添加する場合の上限を5%とした。下限は特に限定する
ものではないが、靱性を向上させるには1%以上の添加が
好ましい。
【0024】上記の成分の他に不可避的不純物として、
P、Sは、靱性を低下させる有害な元素であるので、そ
の量は少ないほうが良く、P:0.020%以下、S:0.010%
以下、さらに望ましくはP:0.010%以下、S:0.005%以
下とする。
【0025】鋼の製造方法は、本発明鋼ではMgO を核と
するTiC 、TiN 、VCおよびVNの複合析出物が所定量存在
すれば良いので、鋳造後の加熱、圧延、熱処理条件は適
宜選択すれば良い。
【0026】
【実施例】表1に示す組成を有する鋼を溶製して得られ
た鋼片を、表2に示す本発明と比較法のそれぞれの製造
条件に基づいて板厚6mm〜100mm 鋼板に製造した。これ
らについて母材の靱性と、常温および高温硬さ、0.1 〜
1μmのMgO を核とするTiC 、TiN 、VC、VNとの複合析
出物の個数、および耐摩耗性について調査した。靱性は
−40℃におけるシャルピー衝撃試験の吸収エネルギー値
で評価した(JIS Z2201 4号試験片、試験片の板厚方向
採取位置:1/4t、試験片採取方向は板厚方向に直角)。
硬さ測定はビッカース硬さ試験方法(JIS Z2244)によ
り、常温硬さは25℃、高温硬さは300 ℃で測定した。Mg
O を核とするTiC 、TiN 、VCおよびVNの複合析出物の個
数は、鋼板から抽出レプリカを採取して透過型電子顕微
鏡で観察し、1平方mm当たりの個数に換算した。耐摩
耗性は、同一形状試験片について、25℃で1時間、およ
び雰囲気温度300 ℃の炉内で30分間のガウジング摩耗試
験を行ない、試験片の摩耗減量を測定し、同時に測定し
た標準試験片(SM400)の摩耗減量との比(標準試験片の
摩耗減量/試験材の摩耗減量)により評価した。この指
数が高いほど高い耐摩耗性を示すことになる。
【0027】表中、下線を付した数値は、本発明外の成
分値および特性が不十分なものを示す。MgOを核とするT
iC 、TiN 、VCおよびVNの0.1 〜1μmの大きさの複合
析出物の個数が1平方mmあたり5×103 個以上である
本発明鋼(表2のA〜I)においては、靱性、常温およ
び高温耐摩耗性とも高いレベルにある。これに対し、本
発明により限定された化学組成範囲を逸脱した比較鋼に
おいては、鋼JはC量が低いため常温および高温耐摩耗
性が低い。また、鋼KはCが高いため、鋼PはAlが高い
ため、鋼QはTiが低いため、鋼RはTiが高いため、鋼S
はTi+V量が低いため、鋼WはMgが低いため、鋼XはMg
が高いため、鋼YはNが高いため、鋼ZはOが高いた
め、それぞれMgを核とする複合析出物の個数が少なく、
そのため特に高温耐摩耗性が低い。このうち、鋼K、鋼
Q、鋼R、鋼S、鋼W、鋼X、鋼Y、鋼Zは粗大析出物
のため靱性も低い。また、鋼LはSiが、鋼MはMnが、鋼
NはPが、鋼OはSが、鋼VはNbがそれぞれ高いため靱
性が低い。鋼UはNb量が低いため靱性が低く、また鋼T
はTi+Vが高いため靱性が低い。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、MgO を
核としてその周辺にTiC 、TiN 、VCおよびVNの1種また
は2種以上の炭化物、窒化物を有する大きさが0.1 〜1
μmの複合析出物を鋼中に微細分散させることにより、
摩擦熱や雰囲気温度によって材料温度が高温にさらされ
る過酷な環境下において、それに耐える十分な高温耐摩
耗性と、かつ摩耗により減厚されても割れを生じないた
めの高い靱性をあわせて有する、安価で優れた鋼材が得
られ、その工業上の寄与は極めて大きい。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.20%超、0.40%以下、
    Si:0.2%以上、1.0%以下、Mn:0.2%以上、2.0%以下、
    P:0.020%以下、S:0.010%以下、Al:0.010%以下、T
    i:0.005%以上、0.30%以下、V:0.30%以下で、かつT
    i+Vが0.05%以上、0.40%以下、Nb:0.01%以上、0.1
    0%以下、Mg:0.0002%以上、0.0050%以下、N:0.003
    %以上、0.020%以下、O:0.0005%以上、0.0080%以下
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有
    する厚鋼板からなる耐摩耗部材であって、粒子径が0.00
    5 〜0.1 μmのMgO を核としてその周辺にTiC 、TiN 、
    VCおよびVNの1種または2種以上の炭化物、窒化物を有
    する大きさが0.1〜1μmの複合析出物を1平方mmあ
    たり5×103 個以上含むことを特徴とする高靱性耐摩耗
    部材用厚鋼板。
  2. 【請求項2】 請求項1の鋼に、さらに重量%で、Cu:
    1.0%以下、Cr:3.0%以下、Mo:2.0%以下、B:0.0005%
    以上、0.005%以下からなる強化元素群および靱性向上元
    素であるNi:5.0%以下のうちの1種または2種以上を含
    み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する
    厚鋼板からなる耐摩耗部材であって、粒子径が0.005 〜
    0.1 μmのMgOを核としてその周辺にTiC 、TiN 、VCお
    よびVNの1種または2種以上の炭化物、窒化物を有する
    大きさが0.1 〜1μmの複合析出物を1平方mmあたり
    5×103個以上含むことを特徴とする高靱性耐摩耗部材
    用厚鋼板。
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Cited By (6)

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