JP2000256771A - 冷間加工可能な2相共晶Al−Ge合金とその製造方法 - Google Patents
冷間加工可能な2相共晶Al−Ge合金とその製造方法Info
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- Metal Extraction Processes (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 脆い第2相を大量に含んでいるにも関わら
ず、薄帯状、粒子状、バルク状などの多様な形状の冷間
加工可能な合金とその製造方法を提供することを提供す
る。 【解決手段】 母相が展延性に富み、脆い第2相の体積
含有率が35%以下の2相共晶合金に対して融体急冷処
理し、共晶温度付近で熱処理を施し、第2相を細かく球
状化し、冷間加工可能な合金を製造する。
ず、薄帯状、粒子状、バルク状などの多様な形状の冷間
加工可能な合金とその製造方法を提供することを提供す
る。 【解決手段】 母相が展延性に富み、脆い第2相の体積
含有率が35%以下の2相共晶合金に対して融体急冷処
理し、共晶温度付近で熱処理を施し、第2相を細かく球
状化し、冷間加工可能な合金を製造する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、冷間加工
可能な粉末状、薄帯状またはバルク状の2相共晶合金と
その製造方法に関するものである。さらに詳しくは、こ
の発明は、母相が展延性に富むものの脆い第2相を大量
に含み、しかも冷間加工可能な2相共晶合金とその製造
方法に関するものである。
可能な粉末状、薄帯状またはバルク状の2相共晶合金と
その製造方法に関するものである。さらに詳しくは、こ
の発明は、母相が展延性に富むものの脆い第2相を大量
に含み、しかも冷間加工可能な2相共晶合金とその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、超伝導基盤技術の
基幹材料として、Al−Ge合金、Ai−Si合金、S
n−Cu合金などの検討が進められている。これらのA
l−Ge合金や、Al−Si合金、Sn−Cu合金は、
Nb3 (Al,Ge)極細多芯線やNb3 (Al,S
i)極細多芯線等の形成に応用されるものであり、ま
た、Al−Si合金はシルミン合金としてピストン材な
どの種々の構造材料としても用いられている。
基幹材料として、Al−Ge合金、Ai−Si合金、S
n−Cu合金などの検討が進められている。これらのA
l−Ge合金や、Al−Si合金、Sn−Cu合金は、
Nb3 (Al,Ge)極細多芯線やNb3 (Al,S
i)極細多芯線等の形成に応用されるものであり、ま
た、Al−Si合金はシルミン合金としてピストン材な
どの種々の構造材料としても用いられている。
【0003】しかしながら、実際には、これら合金に
は、母相は展延性に富むとともに、非常に高濃度の脆い
第2相、もしくは硬い第2相を多量に含んだ共晶合金と
なることが一般的であることから、その加工は容易では
ないという問題点がある。このような共晶合金は、通常
のままでは、冷間加工が不可能である。そして、鋳造で
作られていることから、その加工特性の向上のためには
冷間加工性を付与することが必要になる。実際、超伝導
技術の分野では、Nb3 (Al,Ge)極細多芯線やN
b3 (Al,Si)極細多芯線の製造プロセスにおい
て、冷間加工可能なAl−Ge合金や、Al−Si合金
が必要不可欠となる。
は、母相は展延性に富むとともに、非常に高濃度の脆い
第2相、もしくは硬い第2相を多量に含んだ共晶合金と
なることが一般的であることから、その加工は容易では
ないという問題点がある。このような共晶合金は、通常
のままでは、冷間加工が不可能である。そして、鋳造で
作られていることから、その加工特性の向上のためには
冷間加工性を付与することが必要になる。実際、超伝導
技術の分野では、Nb3 (Al,Ge)極細多芯線やN
b3 (Al,Si)極細多芯線の製造プロセスにおい
て、冷間加工可能なAl−Ge合金や、Al−Si合金
が必要不可欠となる。
【0004】このような共晶合金への冷間加工性の付加
については、これまでにも検討がなされてきている。た
とえば、脆い第2相を粉砕し球状化する方法、つまり、
軽度の冷間加工と球状化熱処理を数十回繰り返し行う方
法が、一般的なものになってきている。だが、この方法
においては、粉砕過程をスムーズに進めるために、液体
窒素温度で冷間加工を加える等の工夫もされているもの
の、数多くの冷間加工と球状化熱処理を繰り返さなくて
はならず、その効率性は非常に低いのが実情である。
については、これまでにも検討がなされてきている。た
とえば、脆い第2相を粉砕し球状化する方法、つまり、
軽度の冷間加工と球状化熱処理を数十回繰り返し行う方
法が、一般的なものになってきている。だが、この方法
においては、粉砕過程をスムーズに進めるために、液体
窒素温度で冷間加工を加える等の工夫もされているもの
の、数多くの冷間加工と球状化熱処理を繰り返さなくて
はならず、その効率性は非常に低いのが実情である。
【0005】さらに、このような軽度冷間加工と球状化
熱処理を繰り返す方法では、体積率で20%程度までの
脆い第2相を含む合金しか対象となっておらず、脆い第
2相を体積率で20%以上含む合金については、実質
上、冷間加工が不可能であった。そこで、特開昭52−
124406号公報記載の方法のように、Al−Si−
Cu合金の溶湯を5℃/秒以上の速度で冷却し、針状も
しくは板状(54m幅)の第2相を持たせ、この組織を
成長させないよう焼鈍を入れながら加工する方法が提案
されてもいる。しかしこの方法では、得られる組織の形
状や寸法には、制限があり、薄膜状、粒子状、バルク状
などの多様な形状の冷間加工が可能な合金は得られない
という問題がある。
熱処理を繰り返す方法では、体積率で20%程度までの
脆い第2相を含む合金しか対象となっておらず、脆い第
2相を体積率で20%以上含む合金については、実質
上、冷間加工が不可能であった。そこで、特開昭52−
124406号公報記載の方法のように、Al−Si−
Cu合金の溶湯を5℃/秒以上の速度で冷却し、針状も
しくは板状(54m幅)の第2相を持たせ、この組織を
成長させないよう焼鈍を入れながら加工する方法が提案
されてもいる。しかしこの方法では、得られる組織の形
状や寸法には、制限があり、薄膜状、粒子状、バルク状
などの多様な形状の冷間加工が可能な合金は得られない
という問題がある。
【0006】この出願の発明は、以上の通りの従来技術
の問題点に鑑みてなされたものであり、脆い第2相を大
量に含んでいるにも関わらず、薄帯状、粒子状、バルク
状などの多様な形状として、冷間加工が可能な新しい2
相共晶合金とその製造方法を提供することを課題として
いる。
の問題点に鑑みてなされたものであり、脆い第2相を大
量に含んでいるにも関わらず、薄帯状、粒子状、バルク
状などの多様な形状として、冷間加工が可能な新しい2
相共晶合金とその製造方法を提供することを課題として
いる。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、母相が展延性に富み、脆い第2
相の体積含有率が35%以下の2相共晶合金であって、
第2相が細かく球状化されて冷間加工可能とされている
ことを特徴とする冷間加工可能な2相共晶合金(請求項
1)を提供する。
を解決するものとして、母相が展延性に富み、脆い第2
相の体積含有率が35%以下の2相共晶合金であって、
第2相が細かく球状化されて冷間加工可能とされている
ことを特徴とする冷間加工可能な2相共晶合金(請求項
1)を提供する。
【0008】また、この出願の発明は、母相が展延性に
富み、脆い第2相の体積含有率が35%以下の2相共晶
合金であって、第2相が細かく球状化されて冷間加工性
を有する薄帯または粉末であることを特徴とする冷間加
工性を有する2相共晶合金(請求項2)や、Al−Ge
合金、Al−Ai合金もしくはSn−Cu合金である前
記のいずれかの合金(請求項3)も提供する。
富み、脆い第2相の体積含有率が35%以下の2相共晶
合金であって、第2相が細かく球状化されて冷間加工性
を有する薄帯または粉末であることを特徴とする冷間加
工性を有する2相共晶合金(請求項2)や、Al−Ge
合金、Al−Ai合金もしくはSn−Cu合金である前
記のいずれかの合金(請求項3)も提供する。
【0009】そして、この出願の発明は、母相が展延性
に富み、脆い第2相の体積含有率が35%以下の第2相
共晶合金の製造において、融体急冷し、次いで共晶温度
付近で熱処理して第2相を細かく球状化し、冷間加工可
能とすることを特徴とする冷間加工可能な2相共晶合金
の製造方法(請求項4)を提供する。さらには、前記製
造方法について、融体急冷処理した後の薄帯または粉末
を共晶温度付近でバルク状に一体化するための圧縮処理
を施す方法(請求項5)をはじめ、母相が展延性に富
み、脆い第2相の体積含有率が35%以下の2相共晶合
金の製造において、融体急冷し、次いで共晶温度付近で
熱処理して、冷間加工性を有する薄帯または粉末とする
ことを特徴とする冷間加工性を有する2相共晶合金の製
造方法(請求項6)、融体急冷処理に共晶温度付近で熱
処理し、次いで冷間加工と共晶温度付近での熱処理を複
数回行い、母相と第2相とを一体化して冷間加工可能と
することを特徴とする冷間加工可能な2相共晶合金の方
法(請求項7)をも提供する。
に富み、脆い第2相の体積含有率が35%以下の第2相
共晶合金の製造において、融体急冷し、次いで共晶温度
付近で熱処理して第2相を細かく球状化し、冷間加工可
能とすることを特徴とする冷間加工可能な2相共晶合金
の製造方法(請求項4)を提供する。さらには、前記製
造方法について、融体急冷処理した後の薄帯または粉末
を共晶温度付近でバルク状に一体化するための圧縮処理
を施す方法(請求項5)をはじめ、母相が展延性に富
み、脆い第2相の体積含有率が35%以下の2相共晶合
金の製造において、融体急冷し、次いで共晶温度付近で
熱処理して、冷間加工性を有する薄帯または粉末とする
ことを特徴とする冷間加工性を有する2相共晶合金の製
造方法(請求項6)、融体急冷処理に共晶温度付近で熱
処理し、次いで冷間加工と共晶温度付近での熱処理を複
数回行い、母相と第2相とを一体化して冷間加工可能と
することを特徴とする冷間加工可能な2相共晶合金の方
法(請求項7)をも提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記のとおり
の特徴をもつものであるが、次にその実施の形態につい
て説明する。まず、この発明においては、前記のとお
り、融体急冷と共晶温度付近での熱処理することで、展
延性に富んだ母相中、脆いが細かい球状の第2相が分散
された合金とする。この場合の第2相は、体積率が35
%以下とする。融体急冷処理は、たとえば合金原料を溶
解した後に冷却することで作製した合金を溶融状態と
し、この状態の融体を急冷処理することにより実現され
る。急冷処理には様々な方法を考慮することができ、こ
の急冷のための方法によって、薄帯(リボン)状の合金
や、粉末状合金等の形態とすることができる。
の特徴をもつものであるが、次にその実施の形態につい
て説明する。まず、この発明においては、前記のとお
り、融体急冷と共晶温度付近での熱処理することで、展
延性に富んだ母相中、脆いが細かい球状の第2相が分散
された合金とする。この場合の第2相は、体積率が35
%以下とする。融体急冷処理は、たとえば合金原料を溶
解した後に冷却することで作製した合金を溶融状態と
し、この状態の融体を急冷処理することにより実現され
る。急冷処理には様々な方法を考慮することができ、こ
の急冷のための方法によって、薄帯(リボン)状の合金
や、粉末状合金等の形態とすることができる。
【0011】急冷処理は、好ましくは、500℃/秒以
上の冷却速度とすることができる。より好ましくは、5
000℃/秒である。500℃/秒未満の場合には、第
2相が粗くなり冷間加工には好ましくない。急冷処理の
後には、この発明においては共晶温度付近での熱処理を
行う。この熱処理によって、展延性に富む母相中に細か
い球状の第2相が分散されることになり、冷間加工性が
あらわれる。なお、急冷処理すると第2相は細かくなる
が、形状が凸凹でかならずしも優れた冷間加工性を示す
とは限らない。この合金を共晶温度付近で熱処理すると
結晶粒の粗大化が起こらず、形状が球に近くなり、冷間
加工性を示すようになる。
上の冷却速度とすることができる。より好ましくは、5
000℃/秒である。500℃/秒未満の場合には、第
2相が粗くなり冷間加工には好ましくない。急冷処理の
後には、この発明においては共晶温度付近での熱処理を
行う。この熱処理によって、展延性に富む母相中に細か
い球状の第2相が分散されることになり、冷間加工性が
あらわれる。なお、急冷処理すると第2相は細かくなる
が、形状が凸凹でかならずしも優れた冷間加工性を示す
とは限らない。この合金を共晶温度付近で熱処理すると
結晶粒の粗大化が起こらず、形状が球に近くなり、冷間
加工性を示すようになる。
【0012】また、この発明において展延性に富む母相
を構成するものとしては、具体的に例示すれば、Al,
Cu,Ag等であって、一般的に定義すると、「展延性
に富む」とは、焼鈍なしに数十%の断面断少率の冷間加
工を加えても亀裂、破断等が生じない状態を意味してい
る。脆い第2相については、これを構成するものとし
て、Si,Ge等の単体金属やCu−Sn化合物等が例
示され、一般的に定義すると、「脆い」とは、室温で塑
性変形しない性質を意味する。
を構成するものとしては、具体的に例示すれば、Al,
Cu,Ag等であって、一般的に定義すると、「展延性
に富む」とは、焼鈍なしに数十%の断面断少率の冷間加
工を加えても亀裂、破断等が生じない状態を意味してい
る。脆い第2相については、これを構成するものとし
て、Si,Ge等の単体金属やCu−Sn化合物等が例
示され、一般的に定義すると、「脆い」とは、室温で塑
性変形しない性質を意味する。
【0013】このような脆い第2相の体積含有率は35
%以下である。35%を超えると実用的に重要な優れた
展延性を示さなくなる。第2相については、この発明で
はその大きさを10μm以下とするのが好ましく、さら
には3μm以下とするのが好ましい。そして形状は突起
が少なく、なめらかで球状に近いことが望ましい。
%以下である。35%を超えると実用的に重要な優れた
展延性を示さなくなる。第2相については、この発明で
はその大きさを10μm以下とするのが好ましく、さら
には3μm以下とするのが好ましい。そして形状は突起
が少なく、なめらかで球状に近いことが望ましい。
【0014】融体急冷処理により脆い第2相は、通常細
かく、凸凹に富んだ状態となる。前記の融体急冷処理に
より得られた薄帯や粉末を共晶温度付近において熱処理
すると、展延性に富んだ冷間加工性を有する薄帯や粉末
とすることができる。共晶温度直下での圧縮加工によ
り、粉末や薄帯はバルク状に一体化され、さらに第2相
は球状化される。これにより冷間加工性に富む合金を作
製することができる。
かく、凸凹に富んだ状態となる。前記の融体急冷処理に
より得られた薄帯や粉末を共晶温度付近において熱処理
すると、展延性に富んだ冷間加工性を有する薄帯や粉末
とすることができる。共晶温度直下での圧縮加工によ
り、粉末や薄帯はバルク状に一体化され、さらに第2相
は球状化される。これにより冷間加工性に富む合金を作
製することができる。
【0015】この発明においては、合金の母相が良好な
塑性加工性を持つことは、最終的に冷間加工性を示す合
金を得る上で必要不可欠な条件である。共晶温度付近の
熱処理により第2相は、できるだけ細かい球状になるこ
とが好ましい。バルク状に一体化するための圧縮加工の
ための方法としては、プレス加工や粉末合金法で採用さ
れる種々の方法がある。これらの場合、加工時の温度に
ついては、望ましくは共晶温度付近、さらに望ましくは
共晶温度直下である。
塑性加工性を持つことは、最終的に冷間加工性を示す合
金を得る上で必要不可欠な条件である。共晶温度付近の
熱処理により第2相は、できるだけ細かい球状になるこ
とが好ましい。バルク状に一体化するための圧縮加工の
ための方法としては、プレス加工や粉末合金法で採用さ
れる種々の方法がある。これらの場合、加工時の温度に
ついては、望ましくは共晶温度付近、さらに望ましくは
共晶温度直下である。
【0016】たとえばより具体的にこの発明の合金につ
いてその製造工程は、次のように例示することができ
る。 <1>原料の溶解と冷却 <2>加熱溶融 <3>融体急冷処理による薄帯状、もしくは粉末状合金
の作製 <4>集束もしくは集合状態でのプレス圧縮処理による
バルク状合金の作製。
いてその製造工程は、次のように例示することができ
る。 <1>原料の溶解と冷却 <2>加熱溶融 <3>融体急冷処理による薄帯状、もしくは粉末状合金
の作製 <4>集束もしくは集合状態でのプレス圧縮処理による
バルク状合金の作製。
【0017】前記のとおり、圧縮処理を共晶温度付近で
行うことが好ましいが、この発明においては、共晶温度
付近で熱処理した後に、同様に共晶温度付近で熱間加工
を加えてもよいし、冷間加工と共晶温度付近での熱処理
を複数回加えるようにしてもよい。この発明では、共晶
温度付近での熱処理で脆い第2相の球状化が起こり、第
2相の平均寸法を2μm以下にすることができる。通常
の鋳造合金では冷却速度が小さいため、第2相の平均寸
法を2μm以下にすることが難しく、さらに、第2相で
割れが発生しやすく非常に脆い。
行うことが好ましいが、この発明においては、共晶温度
付近で熱処理した後に、同様に共晶温度付近で熱間加工
を加えてもよいし、冷間加工と共晶温度付近での熱処理
を複数回加えるようにしてもよい。この発明では、共晶
温度付近での熱処理で脆い第2相の球状化が起こり、第
2相の平均寸法を2μm以下にすることができる。通常
の鋳造合金では冷却速度が小さいため、第2相の平均寸
法を2μm以下にすることが難しく、さらに、第2相で
割れが発生しやすく非常に脆い。
【0018】前記の薄帯状もしくは粉末状の合金は、金
属管に詰め込んで、熱処理や、熱間加工、そして冷間加
工を加えるようにしてもよい。なお、この発明における
共晶温度の「付近」という規定については、±50℃の
温度範囲として定義される。また、この発明において、
「冷間加工が可能」であるとのことは、ロール加工、ス
ウェージ加工、伸線加工等により室温で板材や線材を塑
性変形で作製することができることを意味している。
属管に詰め込んで、熱処理や、熱間加工、そして冷間加
工を加えるようにしてもよい。なお、この発明における
共晶温度の「付近」という規定については、±50℃の
温度範囲として定義される。また、この発明において、
「冷間加工が可能」であるとのことは、ロール加工、ス
ウェージ加工、伸線加工等により室温で板材や線材を塑
性変形で作製することができることを意味している。
【0019】たとえば以上のとおりのこの発明により、
冷間加工が可能な、Al−Si合金、Al−Ge合金、
Ag−Ge合金、Sn−Cu合金等が提供されることに
なる。組成としては、いずれの場合にも、脆い第2相の
体積含有率は35%以下となるようにする。もちろん、
共存添加することが許容される元素は各種であってよ
く、また原料に付随する等の理由により混入する不可避
的不純物もこの発明の合金に含まれてよいことは言うま
でもない。
冷間加工が可能な、Al−Si合金、Al−Ge合金、
Ag−Ge合金、Sn−Cu合金等が提供されることに
なる。組成としては、いずれの場合にも、脆い第2相の
体積含有率は35%以下となるようにする。もちろん、
共存添加することが許容される元素は各種であってよ
く、また原料に付随する等の理由により混入する不可避
的不純物もこの発明の合金に含まれてよいことは言うま
でもない。
【0020】以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発
明について説明する。
明について説明する。
【0021】
【実施例】実施例1 Al−10at%Ge、Al−20at%Ge、およ
び、Al−30at%Ge合金をタンマン溶解で作製
し、次いで、3mm×3mm×20mmの寸法の試料に
切り出し、石英管中に入れ、溶融状態にした後、回転金
属円筒に吹き付けることにより融体急冷(冷却速度10
000℃/秒)し、薄帯状の合金を得た。この合金は極
めて脆かった。
び、Al−30at%Ge合金をタンマン溶解で作製
し、次いで、3mm×3mm×20mmの寸法の試料に
切り出し、石英管中に入れ、溶融状態にした後、回転金
属円筒に吹き付けることにより融体急冷(冷却速度10
000℃/秒)し、薄帯状の合金を得た。この合金は極
めて脆かった。
【0022】次いで、この合金薄帯を共晶温度420℃
直下の400℃で30分間加熱処理したところ、すべて
の合金は全て極めて展延性に富む薄帯となった。この展
延性に富む薄帯をダイス中に詰め込んで、400℃で3
0分間熱間プレス加工により8mmφ×3.5mmの円
盤状に固めた。この処理により、この合金はバルク状に
一体化し、冷間圧延加工が可能な合金となった。また、
共晶温度直下の温度430℃で30分間の熱処理でもほ
ぼ同様の結果が得られた。
直下の400℃で30分間加熱処理したところ、すべて
の合金は全て極めて展延性に富む薄帯となった。この展
延性に富む薄帯をダイス中に詰め込んで、400℃で3
0分間熱間プレス加工により8mmφ×3.5mmの円
盤状に固めた。この処理により、この合金はバルク状に
一体化し、冷間圧延加工が可能な合金となった。また、
共晶温度直下の温度430℃で30分間の熱処理でもほ
ぼ同様の結果が得られた。
【0023】なお、この合金薄帯を、金属チューブに詰
め込んで、冷間加工と400℃付近での焼鈍を繰り返す
ことや、直接400℃付近でHIP処理することで、バ
ルク状に一体化することも可能であった。SEM(走査
型電子顕微鏡)観察およびX線回折によると、急冷処理
したままの薄膜は母相が展延性に富むAl基合金、第2
相が脆いGe基合金から構成される2相合金で、第2相
は多くの突起を備えた海星のような形状をしていた。熱
処理を行うと第2相の突起が消滅し、球状化し、しかも
その寸法は2μm以下の細かい相となった。
め込んで、冷間加工と400℃付近での焼鈍を繰り返す
ことや、直接400℃付近でHIP処理することで、バ
ルク状に一体化することも可能であった。SEM(走査
型電子顕微鏡)観察およびX線回折によると、急冷処理
したままの薄膜は母相が展延性に富むAl基合金、第2
相が脆いGe基合金から構成される2相合金で、第2相
は多くの突起を備えた海星のような形状をしていた。熱
処理を行うと第2相の突起が消滅し、球状化し、しかも
その寸法は2μm以下の細かい相となった。
【0024】一方、通常の溶解鋳造で作製されたAl−
10〜40at%Ge合金はかなり脆い合金であり、そ
のままでは、冷間加工は困難であった。実施例2 Al−20at%Si、および、Al−30at%Si
合金をタンマン溶解で作製し、このインゴットから3m
m×3mm×20mmの寸法の試料を切り出し、石英管
中に入れ、溶融した後、回転金属ドラムに吹き付けるこ
とにより融体急冷(冷却速度10000℃/秒)し、薄
帯状の合金を得た。この合金は極めて脆かった。
10〜40at%Ge合金はかなり脆い合金であり、そ
のままでは、冷間加工は困難であった。実施例2 Al−20at%Si、および、Al−30at%Si
合金をタンマン溶解で作製し、このインゴットから3m
m×3mm×20mmの寸法の試料を切り出し、石英管
中に入れ、溶融した後、回転金属ドラムに吹き付けるこ
とにより融体急冷(冷却速度10000℃/秒)し、薄
帯状の合金を得た。この合金は極めて脆かった。
【0025】次いで、この合金薄帯を共晶温度577℃
直下の550℃で30分間加熱処理したところ、すべて
の合金は全て極めて展延性に富む薄帯となった。この展
延性に富む薄帯をダイス中に詰め込んで、550℃で3
0分間熱間プレス加工により8mmφ×3.5mmの円
盤状に固めた。この処理によりこの合金はバルク状に一
体化し、冷間圧延加工が可能となった。
直下の550℃で30分間加熱処理したところ、すべて
の合金は全て極めて展延性に富む薄帯となった。この展
延性に富む薄帯をダイス中に詰め込んで、550℃で3
0分間熱間プレス加工により8mmφ×3.5mmの円
盤状に固めた。この処理によりこの合金はバルク状に一
体化し、冷間圧延加工が可能となった。
【0026】なお、この合金薄帯を、金属チューブに詰
め込んで、冷間加工と550℃付近での焼鈍を繰り返す
ことや、直接550℃付近でHIP処理することで、バ
ルク状に一体化することが可能であった。SEM(走査
型電子顕微鏡)観察およびX線回折によると、急冷処理
したままの薄帯は母相が展延性に富むAl基合金、第2
相が脆いSi基合金から構成される2相合金で、第2相
は多くの突起を備えた海星のような形状をしていた。熱
処理を行うと第2相の突起が消滅し、球状化し、しかも
その寸法は2μm以下の細かい相となっていた。
め込んで、冷間加工と550℃付近での焼鈍を繰り返す
ことや、直接550℃付近でHIP処理することで、バ
ルク状に一体化することが可能であった。SEM(走査
型電子顕微鏡)観察およびX線回折によると、急冷処理
したままの薄帯は母相が展延性に富むAl基合金、第2
相が脆いSi基合金から構成される2相合金で、第2相
は多くの突起を備えた海星のような形状をしていた。熱
処理を行うと第2相の突起が消滅し、球状化し、しかも
その寸法は2μm以下の細かい相となっていた。
【0027】一方、Al−40at%Siを用いて、同
様に合金を製造した。その結果、第2相が局部的に繋が
り、クラスターを形成しているのが観察された。この発
明の合金が冷間加工を示すのは、脆い第2相のSi基合
金が、2μm以下の寸法で、球状で互に孤立し、展延性
に富むAl基母合金中に分散していることが必要不可欠
であることを確認した。
様に合金を製造した。その結果、第2相が局部的に繋が
り、クラスターを形成しているのが観察された。この発
明の合金が冷間加工を示すのは、脆い第2相のSi基合
金が、2μm以下の寸法で、球状で互に孤立し、展延性
に富むAl基母合金中に分散していることが必要不可欠
であることを確認した。
【0028】なお、通常の溶解鋳造で作製されたAl−
10〜40at%Si合金はかなり脆い合金であり、そ
のままでは、冷間加工は困難であった。実施例3 Ag−20at%Ge合金をタンマン溶解で作製し、こ
のインゴットから3mm×3mm×20mmの寸法の試
料を切り出し、石英管中に入れ、溶融した後、回転金属
ドラムに吹き付けることにより融体急冷(冷却速度10
000℃/秒)し、薄帯状の合金を得た。この合金は非
常に脆かった。
10〜40at%Si合金はかなり脆い合金であり、そ
のままでは、冷間加工は困難であった。実施例3 Ag−20at%Ge合金をタンマン溶解で作製し、こ
のインゴットから3mm×3mm×20mmの寸法の試
料を切り出し、石英管中に入れ、溶融した後、回転金属
ドラムに吹き付けることにより融体急冷(冷却速度10
000℃/秒)し、薄帯状の合金を得た。この合金は非
常に脆かった。
【0029】次いで、この合金薄帯を共晶温度651℃
直下の645℃で30分間加熱処理したところ、極めて
展延性に富む薄帯となった。この展延性に富む薄帯をダ
イス中に詰め込んで、645℃での熱間プレス加工によ
り8mmφ×3.5mmの円盤状に固めた。この処理に
より、この合金はバルク状に一体化し、冷間圧延加工が
可能となった。SEM観察によると銀基含有母相中に球
状化したGe基合金第2相が分散しているのが観察され
た。
直下の645℃で30分間加熱処理したところ、極めて
展延性に富む薄帯となった。この展延性に富む薄帯をダ
イス中に詰め込んで、645℃での熱間プレス加工によ
り8mmφ×3.5mmの円盤状に固めた。この処理に
より、この合金はバルク状に一体化し、冷間圧延加工が
可能となった。SEM観察によると銀基含有母相中に球
状化したGe基合金第2相が分散しているのが観察され
た。
【0030】実施例4 Sn−10at%Cu合金をタンマン溶解で作製し、こ
のインゴットから3mm×3mm×20mmの寸法の試
料を切り出し、石英管中に入れ、溶融した後、回転金属
ドラムに吹き付けることにより融体急冷(冷却速度50
00℃/秒)し、薄帯状の合金を得た。この状態の合金
は非常に脆かった。
のインゴットから3mm×3mm×20mmの寸法の試
料を切り出し、石英管中に入れ、溶融した後、回転金属
ドラムに吹き付けることにより融体急冷(冷却速度50
00℃/秒)し、薄帯状の合金を得た。この状態の合金
は非常に脆かった。
【0031】次いで、この合金薄帯を共晶温度(227
℃)直下の220℃で30分間加熱処理したところ、極
めて展延性に富む薄帯となった。また、同様の方法でバ
ルク状の冷間加工性に富む合金を作ることができた。S
EM観察等によると、母相はSn基合金、第2相はCu
Snの1対1の金属間化合物で、この処理により第2相
が球状化および細粒化することが観察された。
℃)直下の220℃で30分間加熱処理したところ、極
めて展延性に富む薄帯となった。また、同様の方法でバ
ルク状の冷間加工性に富む合金を作ることができた。S
EM観察等によると、母相はSn基合金、第2相はCu
Snの1対1の金属間化合物で、この処理により第2相
が球状化および細粒化することが観察された。
【0032】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この発明に
より、母相は展延性に富み、脆い第2相を大量に含んで
いるにも関わらず、薄帯状、粒子状、バルク状などの多
様な形状の冷間加工可能な合金とその製造方法を提供す
ることが可能となり、超伝導材料の分野において、Nb
3 Sn線材やNb3 Al線材の大幅な特性向上がもたら
される。
より、母相は展延性に富み、脆い第2相を大量に含んで
いるにも関わらず、薄帯状、粒子状、バルク状などの多
様な形状の冷間加工可能な合金とその製造方法を提供す
ることが可能となり、超伝導材料の分野において、Nb
3 Sn線材やNb3 Al線材の大幅な特性向上がもたら
される。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年3月6日(2000.3.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 冷間加工可能な2相共晶Al−Ge合
金とその製造方法
金とその製造方法
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、冷間加工
可能な粉末状、薄帯状またはバルク状の2相共晶Al−
Ge合金とその製造方法に関するものである。さらに詳
しくは、この発明は、母相が展延性に富むものの脆い第
2相を大量に含み、しかも冷間加工可能な2相共晶Al
−Ge合金とその製造方法に関するものである。
可能な粉末状、薄帯状またはバルク状の2相共晶Al−
Ge合金とその製造方法に関するものである。さらに詳
しくは、この発明は、母相が展延性に富むものの脆い第
2相を大量に含み、しかも冷間加工可能な2相共晶Al
−Ge合金とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、超伝導基盤技術の
基幹材料として、Al−Ge合金の検討が進められてい
る。
基幹材料として、Al−Ge合金の検討が進められてい
る。
【0003】Al−Ge合金は、Nb3 (Al,Ge)
極細多芯線等の形成に応用されるものである。
極細多芯線等の形成に応用されるものである。
【0004】しかしながら、実際には、この合金には、
母相は展延性に富むとともに、非常に高濃度の脆い第2
相、もしくは硬い第2相を多量に含んだ共晶合金となる
ことから、その加工は容易ではないという問題がある。
母相は展延性に富むとともに、非常に高濃度の脆い第2
相、もしくは硬い第2相を多量に含んだ共晶合金となる
ことから、その加工は容易ではないという問題がある。
【0005】この共晶合金は、通常のままでは、冷間加
工が不可能であり、そして、鋳造で作られていることか
ら、その加工特性の向上のためには冷間加工性を付与す
ることが必要になる。実際、超伝導技術の分野では、N
b3 (Al,Ge)極細多芯線の製造プロセスにおい
て、冷間加工可能なAl−Ge合金が必要不可欠とな
る。
工が不可能であり、そして、鋳造で作られていることか
ら、その加工特性の向上のためには冷間加工性を付与す
ることが必要になる。実際、超伝導技術の分野では、N
b3 (Al,Ge)極細多芯線の製造プロセスにおい
て、冷間加工可能なAl−Ge合金が必要不可欠とな
る。
【0006】一方、共晶合金への冷間加工性の付加につ
いては、Al−Si合金等についてこれまでにも検討が
なされてきている。たとえば、脆い第2相を粉砕し球状
化する方法、つまり、軽度の冷間加工と球状化熱処理を
数十回繰り返し行う方法が、一般的なものになってきて
いる。
いては、Al−Si合金等についてこれまでにも検討が
なされてきている。たとえば、脆い第2相を粉砕し球状
化する方法、つまり、軽度の冷間加工と球状化熱処理を
数十回繰り返し行う方法が、一般的なものになってきて
いる。
【0007】だが、この方法においては、粉砕過程をス
ムーズに進めるために、液体窒素温度で冷間加工を加え
る等の工夫もされているものの、数多くの冷間加工と球
状化熱処理を繰り返さなくてはならず、その効率性は非
常に低いのが実情である。
ムーズに進めるために、液体窒素温度で冷間加工を加え
る等の工夫もされているものの、数多くの冷間加工と球
状化熱処理を繰り返さなくてはならず、その効率性は非
常に低いのが実情である。
【0008】さらに、このような軽度冷間加工と球状化
熱処理を繰り返す方法では、体積率で20%程度までの
脆い第2相を含む合金しか対象となっておらず、脆い第
2相を体積率で20%以上含む合金については、実質
上、冷間加工が不可能であった。
熱処理を繰り返す方法では、体積率で20%程度までの
脆い第2相を含む合金しか対象となっておらず、脆い第
2相を体積率で20%以上含む合金については、実質
上、冷間加工が不可能であった。
【0009】そこで、特開昭52−124406号公報
記載の方法のように、Al−Si−Cu合金の溶湯を5
℃/秒以上の速度で冷却し、針状もしくは板状(54m
幅)の第2相を持たせ、この組織を成長させないよう焼
鈍を入れながら加工する方法が提案されてもいる。しか
しこの方法では、得られる組織の形状や寸法には、制限
があり、薄膜状、粒子状、バルク状などの多様な形状の
冷間加工が可能な合金は得られないという問題がある。
記載の方法のように、Al−Si−Cu合金の溶湯を5
℃/秒以上の速度で冷却し、針状もしくは板状(54m
幅)の第2相を持たせ、この組織を成長させないよう焼
鈍を入れながら加工する方法が提案されてもいる。しか
しこの方法では、得られる組織の形状や寸法には、制限
があり、薄膜状、粒子状、バルク状などの多様な形状の
冷間加工が可能な合金は得られないという問題がある。
【0010】この出願の発明は、以上の通りの従来技術
の問題点に鑑みてなされたものであり、脆い第2相を大
量に含んでいるにも関わらず、薄膜状、粒子状、バルク
状などの多様な形状として、冷間加工が可能な新しい2
相共晶Al−Ge合金とその製造方法を提供することを
課題としている。
の問題点に鑑みてなされたものであり、脆い第2相を大
量に含んでいるにも関わらず、薄膜状、粒子状、バルク
状などの多様な形状として、冷間加工が可能な新しい2
相共晶Al−Ge合金とその製造方法を提供することを
課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、母相が展延性に富み、脆い第2
相の体積含有率が35%以下の2相共晶Al−Ge合金
であって、第2相が2μm以下に細かく球状化されて冷
間加工可能とされていることを特徴とする冷間加工可能
な2相共晶Al−Ge合金(請求項1)を提供する。
を解決するものとして、母相が展延性に富み、脆い第2
相の体積含有率が35%以下の2相共晶Al−Ge合金
であって、第2相が2μm以下に細かく球状化されて冷
間加工可能とされていることを特徴とする冷間加工可能
な2相共晶Al−Ge合金(請求項1)を提供する。
【0012】また、この出願の発明は、母相が展延性に
富み、脆い第2相の体積含有率が35%以下の2相共晶
Al−Ge合金であって、第2相が2μm以下に細かく
球状化されて冷間加工性を有する薄帯または粉末である
ことを特徴とする冷間加工可能な2相共晶Al−Ge合
金(請求項2)も提供する。
富み、脆い第2相の体積含有率が35%以下の2相共晶
Al−Ge合金であって、第2相が2μm以下に細かく
球状化されて冷間加工性を有する薄帯または粉末である
ことを特徴とする冷間加工可能な2相共晶Al−Ge合
金(請求項2)も提供する。
【0013】そして、この出願の発明は、母相が展延性
に富み、脆い第2相の体積含有率が35%以下の2相共
晶Al−Ge合金の製造において、融体急冷し、次いで
共晶温度付近で熱処理して第2相を2μm以下に細かく
球状化し、冷間加工可能とすることを特徴とする冷間加
工可能な2相共晶Al−Ge合金の製造方法(請求項
3)を提供する。
に富み、脆い第2相の体積含有率が35%以下の2相共
晶Al−Ge合金の製造において、融体急冷し、次いで
共晶温度付近で熱処理して第2相を2μm以下に細かく
球状化し、冷間加工可能とすることを特徴とする冷間加
工可能な2相共晶Al−Ge合金の製造方法(請求項
3)を提供する。
【0014】さらには、前記製造方法について、融体急
冷処理した後の薄帯または粉末を共晶温度付近でバルク
状に一体化するための圧縮処理を行う方法(請求項4)
をはじめ、融体急冷処理後に共晶温度付近で熱処理し、
次いで冷間加工と共晶温度付近での熱処理を複数回行う
方法(請求項6)をも提供する。
冷処理した後の薄帯または粉末を共晶温度付近でバルク
状に一体化するための圧縮処理を行う方法(請求項4)
をはじめ、融体急冷処理後に共晶温度付近で熱処理し、
次いで冷間加工と共晶温度付近での熱処理を複数回行う
方法(請求項6)をも提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記のとおり
の特徴をもつものであるが、次にその実施の形態につい
て説明する。
の特徴をもつものであるが、次にその実施の形態につい
て説明する。
【0016】まず、この発明においては、前記のとお
り、融体急冷と共晶温度付近での熱処理することで、展
延性に富んだ母相中、脆いが細かい球状の第2相が分散
されたAl−Ge合金とする。この場合の第2相は、体
積率が35%以下とする。融体急冷処理は、たとえば合
金原料を溶解した後に冷却することで作製した合金を溶
融状態とし、この状態の融体を急冷処理することにより
実現される。急冷処理には様々な方法を考慮することが
でき、この急冷のための方法によって、薄帯(リボン)
状の合金や、粉末状合金等の形態とすることができる。
り、融体急冷と共晶温度付近での熱処理することで、展
延性に富んだ母相中、脆いが細かい球状の第2相が分散
されたAl−Ge合金とする。この場合の第2相は、体
積率が35%以下とする。融体急冷処理は、たとえば合
金原料を溶解した後に冷却することで作製した合金を溶
融状態とし、この状態の融体を急冷処理することにより
実現される。急冷処理には様々な方法を考慮することが
でき、この急冷のための方法によって、薄帯(リボン)
状の合金や、粉末状合金等の形態とすることができる。
【0017】急冷処理は、好ましくは、500℃/秒以
上の冷却速度とすることができる。より好ましくは、5
000℃/秒である。500℃/秒未満の場合には、第
2相が粗くなり冷間加工には好ましくない。
上の冷却速度とすることができる。より好ましくは、5
000℃/秒である。500℃/秒未満の場合には、第
2相が粗くなり冷間加工には好ましくない。
【0018】急冷処理の後には、この発明においては共
晶温度付近での熱処理を行う。この熱処理によって、展
延性に富む母相中に細かい球状の第2相が分散されるこ
とになり、冷間加工性があらわれる。なお、急冷処理す
ると第2相は細かくなるが、形状が凸凹でかならずしも
優れた冷間加工性を示すとは限らない。この合金を共晶
温度付近で熱処理すると結晶粒の粗大化が起こらず、形
状が球に近くなり、冷間加工性を示すようになる。
晶温度付近での熱処理を行う。この熱処理によって、展
延性に富む母相中に細かい球状の第2相が分散されるこ
とになり、冷間加工性があらわれる。なお、急冷処理す
ると第2相は細かくなるが、形状が凸凹でかならずしも
優れた冷間加工性を示すとは限らない。この合金を共晶
温度付近で熱処理すると結晶粒の粗大化が起こらず、形
状が球に近くなり、冷間加工性を示すようになる。
【0019】また、この発明において展延性に富む母相
を構成するものは、Alであって、一般的に定義する
と、「展延性に富む」とは、焼鈍なしに数十%の断面断
少率の冷間加工を加えても亀裂、破断等が生じない状態
を意味している。脆い第2相については、これを構成す
るものとして、Geが示され、一般的に定義すると、
「脆い」とは、室温で塑性変形しない性質を意味する。
を構成するものは、Alであって、一般的に定義する
と、「展延性に富む」とは、焼鈍なしに数十%の断面断
少率の冷間加工を加えても亀裂、破断等が生じない状態
を意味している。脆い第2相については、これを構成す
るものとして、Geが示され、一般的に定義すると、
「脆い」とは、室温で塑性変形しない性質を意味する。
【0020】このような脆い第2相の体積含有率は35
%以下である。35%を超えると実用的に重要な優れた
展延性を示さなくなる。
%以下である。35%を超えると実用的に重要な優れた
展延性を示さなくなる。
【0021】第2相については、この発明ではその大き
さを2μm以下とする。
さを2μm以下とする。
【0022】その形状は突起が少なく、なめらかで球状
に近いことが望ましい。
に近いことが望ましい。
【0023】融体急冷処理により脆い第2相は、通常細
かく、凸凹に富んだ状態となる。
かく、凸凹に富んだ状態となる。
【0024】前記の融体急冷処理により得られた薄帯や
粉末を共晶温度付近において熱処理すると、展延性に富
んだ冷間加工性を有する薄帯や粉末とすることができ
る。
粉末を共晶温度付近において熱処理すると、展延性に富
んだ冷間加工性を有する薄帯や粉末とすることができ
る。
【0025】共晶温度直下での圧縮加工により、粉末や
薄帯はバルク状に一体化され、さらに第2相は球状化さ
れる。これにより冷間加工性に富むAl−Ge合金を作
製することができる。
薄帯はバルク状に一体化され、さらに第2相は球状化さ
れる。これにより冷間加工性に富むAl−Ge合金を作
製することができる。
【0026】この発明においては、合金の母相が良好な
塑性加工性を持つことは、最終的に冷間加工性を示すA
l−Ge合金を得る上で必要不可欠な条件である。共晶
温度付近の熱処理により第2相は、できるだけ細かい球
状になることが好ましい。バルク状に一体化するための
圧縮加工のための方法としては、プレス加工や粉末合金
法で採用される種々の方法である。これらの場合、加工
時の温度については、望ましくは共晶温度付近、さらに
望ましくは共晶温度直下である。
塑性加工性を持つことは、最終的に冷間加工性を示すA
l−Ge合金を得る上で必要不可欠な条件である。共晶
温度付近の熱処理により第2相は、できるだけ細かい球
状になることが好ましい。バルク状に一体化するための
圧縮加工のための方法としては、プレス加工や粉末合金
法で採用される種々の方法である。これらの場合、加工
時の温度については、望ましくは共晶温度付近、さらに
望ましくは共晶温度直下である。
【0027】たとえばより具体的にこの発明の合金につ
いてその製造工程は、次のように例示することができ
る。
いてその製造工程は、次のように例示することができ
る。
【0028】<1>原料の溶解と冷却 <2>加熱溶融 <3>融体急冷処理による薄膜状、もしくは粉末状合金
の作製 <4>集束もしくは集合状態でのプレス圧縮処理による
バルク状合金の作製。
の作製 <4>集束もしくは集合状態でのプレス圧縮処理による
バルク状合金の作製。
【0029】前記のとおり、圧縮処理を共晶温度付近で
行うことが好ましいが、この発明においては、共晶温度
付近で熱処理した後に、同様に共晶温度付近で熱間加工
を加えてもよいし、冷間加工と共晶温度付近での熱処理
を複数回加えるようにしてもよい。
行うことが好ましいが、この発明においては、共晶温度
付近で熱処理した後に、同様に共晶温度付近で熱間加工
を加えてもよいし、冷間加工と共晶温度付近での熱処理
を複数回加えるようにしてもよい。
【0030】この発明では、共晶温度付近での熱処理で
脆い第2相の球状化が起こり、第2相の平均寸法を2μ
m以下にすることができる。通常の鋳造合金では冷却速
度が小さいため、第2相の平均寸法を2μm以下にする
ことが難しく、さらに、第2相で割れが発生しやすく非
常に脆い。
脆い第2相の球状化が起こり、第2相の平均寸法を2μ
m以下にすることができる。通常の鋳造合金では冷却速
度が小さいため、第2相の平均寸法を2μm以下にする
ことが難しく、さらに、第2相で割れが発生しやすく非
常に脆い。
【0031】前記の薄帯状もしくは粉末状の合金は、金
属管に詰め込んで、熱処理や、熱間加工、そして冷間加
工を加えるようにしてもよい。
属管に詰め込んで、熱処理や、熱間加工、そして冷間加
工を加えるようにしてもよい。
【0032】なお、この発明における共晶温度の「付
近」という規定については、±50℃の温度範囲として
定義される。
近」という規定については、±50℃の温度範囲として
定義される。
【0033】また、この発明において、「冷間加工が可
能」であるとのことは、ロール加工、スウェージ加工、
伸線加工等により室温で板材や線材を塑性変形で作製す
ることができることを意味している。
能」であるとのことは、ロール加工、スウェージ加工、
伸線加工等により室温で板材や線材を塑性変形で作製す
ることができることを意味している。
【0034】たとえば以上のとおりのこの発明により、
冷間加工が可能な、Al−Ge合金が提供されることに
なる。組成としては、いずれの場合にも、脆い第2相の
体積含有率は35%以下となるようにする。もちろん、
共存添加することが許容される元素は各種であってよ
く、また原料に付随する等の理由により混入する不可避
的不純物もこの発明のAl−Ge合金に含まれてよいこ
とは言うまでもない。
冷間加工が可能な、Al−Ge合金が提供されることに
なる。組成としては、いずれの場合にも、脆い第2相の
体積含有率は35%以下となるようにする。もちろん、
共存添加することが許容される元素は各種であってよ
く、また原料に付随する等の理由により混入する不可避
的不純物もこの発明のAl−Ge合金に含まれてよいこ
とは言うまでもない。
【0035】以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発
明について説明する。
明について説明する。
【0036】
【実施例】実施例1 Al−10at%Ge、Al−20at%Ge、およ
び、Al−30at%Ge合金をタンマン溶解で作製
し、次いで、3mm×3mm×20mmの寸法の試料に
切り出し、石英管中に入れ、溶融状態にした後、回転金
属円筒に吹き付けることにより融体急冷(冷却速度10
000℃/秒)し、薄帯状の合金を得た。この合金は極
めて脆かった。
び、Al−30at%Ge合金をタンマン溶解で作製
し、次いで、3mm×3mm×20mmの寸法の試料に
切り出し、石英管中に入れ、溶融状態にした後、回転金
属円筒に吹き付けることにより融体急冷(冷却速度10
000℃/秒)し、薄帯状の合金を得た。この合金は極
めて脆かった。
【0037】次いで、この合金薄膜を共晶温度420℃
直下の400℃で30分間加熱処理したところ、すべて
の合金は全て極めて展延性に富む薄帯となった。この展
延性に富む薄帯をダイス中に詰め込んで、400℃で3
0分間熱間プレス加工により8mmφ×3.5mmの円
盤状に固めた。
直下の400℃で30分間加熱処理したところ、すべて
の合金は全て極めて展延性に富む薄帯となった。この展
延性に富む薄帯をダイス中に詰め込んで、400℃で3
0分間熱間プレス加工により8mmφ×3.5mmの円
盤状に固めた。
【0038】この処理により、この合金はバルク状に一
体化し、冷間圧延加工が可能な合金となった。また、共
晶温度直下の温度430℃で30分間の熱処理でもほぼ
同様の結果が得られた。
体化し、冷間圧延加工が可能な合金となった。また、共
晶温度直下の温度430℃で30分間の熱処理でもほぼ
同様の結果が得られた。
【0039】なお、この合金薄帯を、金属チューブに詰
め込んで、冷間加工と400℃付近での焼鈍を繰り返す
ことや、直接400℃付近でHIP処理することで、バ
ルク状に一体化することも可能であった。
め込んで、冷間加工と400℃付近での焼鈍を繰り返す
ことや、直接400℃付近でHIP処理することで、バ
ルク状に一体化することも可能であった。
【0040】SEM(走査型電子顕微鏡)観察およびX
線回折によると、急冷処理したままの薄膜は母相が展延
性に富むAl基合金、第2相が脆いGe基合金から構成
される2相合金で、第2相は多くの突起を備えた海星の
ような形状をしていた。熱処理を行うと第2相の突起が
消滅し、球状化し、しかもその寸法は2μm以下の細か
い相となった。
線回折によると、急冷処理したままの薄膜は母相が展延
性に富むAl基合金、第2相が脆いGe基合金から構成
される2相合金で、第2相は多くの突起を備えた海星の
ような形状をしていた。熱処理を行うと第2相の突起が
消滅し、球状化し、しかもその寸法は2μm以下の細か
い相となった。
【0041】一方、通常の溶解鋳造で作製されたAl−
10〜40at%Ge合金はかなり脆い合金であり、そ
のままでは、冷間加工は困難であった。
10〜40at%Ge合金はかなり脆い合金であり、そ
のままでは、冷間加工は困難であった。
【0042】実施例2
【0043】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この発明に
より、母相は展延性に富み、脆い第2相を大量に含んで
いるにも関わらず、薄帯状、粒子状、バルク状などの多
様な形状の冷間加工可能なAl−Ge合金とその製造方
法を提供することが可能となり、超伝導材料の分野にお
いて、線材の大幅な特性向上がもたらされる。
より、母相は展延性に富み、脆い第2相を大量に含んで
いるにも関わらず、薄帯状、粒子状、バルク状などの多
様な形状の冷間加工可能なAl−Ge合金とその製造方
法を提供することが可能となり、超伝導材料の分野にお
いて、線材の大幅な特性向上がもたらされる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 13/00 C22C 13/00 21/02 21/02 // C22F 1/00 621 C22F 1/00 621 622 622 661 661A 1/04 1/04 D (72)発明者 蔡 安邦 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内
Claims (7)
- 【請求項1】 母相が展延性に富み、脆い第2相の体積
含有率が35%以下の2相共晶合金であって、第2相が
細かく球状化されて冷間加工可能とされていることを特
徴とする冷間加工可能な2相共晶合金。 - 【請求項2】 母相が展延性に富み、脆い2相の体積含
有率が35%以下の2相共晶合金であって、第2相が細
かく球状化されて冷間加工性を有する薄帯または粉末で
あることを特徴とする冷間加工性を有する2相共晶合
金。 - 【請求項3】 Al−Ge合金、Al−Ai合金もしく
はSn−Cu合金である請求項1または2の合金。 - 【請求項4】 母相が展延性に富み、脆い第2相の体積
含有率が35%以下の2相共晶合金の製造において、融
体急冷し、次いで共晶温度付近で熱処理して第2相を細
かく球状化し、冷間加工可能とすることを特徴とする冷
間加工可能な2相共晶合金の製造方法。 - 【請求項5】 融体急冷処理した後の薄帯または粉末を
共晶温度付近でバルク状に一体化するための圧縮処理を
施す請求項4の製造方法。 - 【請求項6】 母相が展延性に富み、脆い第2相の体積
含有率が35%以下の2相共晶合金の製造において、融
体急冷し、次いで共晶温度付近で熱処理して、冷間加工
性を有する薄帯または粉末とすることを特徴とする冷間
加工性を有する2相共晶合金の製造方法。 - 【請求項7】 母相が展延性に富み、脆い第2相の体積
含有率が35%以下の2相共晶合金の製造において、融
体急冷処理後に共晶温度付近で熱処理し、次いで冷間加
工と共晶温度付近での熱処理を複数回行い、第2相を細
かく球状化して冷間加工可能とすることを特徴とする冷
間加工可能な2相共晶合金の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP05990799A JP3484491B2 (ja) | 1999-03-08 | 1999-03-08 | 冷間加工可能な2相共晶Al−Ge合金とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP05990799A JP3484491B2 (ja) | 1999-03-08 | 1999-03-08 | 冷間加工可能な2相共晶Al−Ge合金とその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000256771A true JP2000256771A (ja) | 2000-09-19 |
| JP3484491B2 JP3484491B2 (ja) | 2004-01-06 |
Family
ID=13126676
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP05990799A Expired - Lifetime JP3484491B2 (ja) | 1999-03-08 | 1999-03-08 | 冷間加工可能な2相共晶Al−Ge合金とその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3484491B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN109666809A (zh) * | 2018-12-19 | 2019-04-23 | 云南大学 | 一种铝锗合金材料的组织调控方法及该合金材料 |
-
1999
- 1999-03-08 JP JP05990799A patent/JP3484491B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN109666809A (zh) * | 2018-12-19 | 2019-04-23 | 云南大学 | 一种铝锗合金材料的组织调控方法及该合金材料 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3484491B2 (ja) | 2004-01-06 |
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