JP2000256403A - 部分アシル化キトサン粒子およびその製造法 - Google Patents

部分アシル化キトサン粒子およびその製造法

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JP2000256403A
JP2000256403A JP11058121A JP5812199A JP2000256403A JP 2000256403 A JP2000256403 A JP 2000256403A JP 11058121 A JP11058121 A JP 11058121A JP 5812199 A JP5812199 A JP 5812199A JP 2000256403 A JP2000256403 A JP 2000256403A
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partially
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Eiichi Tamiya
栄一 民谷
Yuji Murakami
裕二 村上
Norihide Shimizu
範英 清水
Yasushi Shimomura
泰志 下村
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YMC Co Ltd
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YMC Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロマトグラフィ用の充填剤などとして十分
な物理的強度を有し且つ多様な用途がある部分アシル化
キトサン粒子およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 キトサンを酸性水溶液に溶解し、このキ
トサン溶液を粒子化溶媒中に分散させ、さらに攪拌を加
えてアシル化キトサンを形成し、このアシル化キトサン
に中和量を超えるアルカリを加えて加温し、部分的に脱
アシル化した後に架橋反応によって安定化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロマトグラフィ
用の充填剤などとして十分な物理的強度を有し且つ多様
な用途がある部分アシル化キトサン粒子およびその製造
法に関し、または微量物質の定性・定量分析における標
識物質などとして使用可能な着色キトサン粒子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】キチンは化学構造がセルロースに似た多
糖類の一種であり、カニやエビなどの甲殻類、昆虫の外
皮、菌類の細胞壁の構成成分であり、キトサンはキチン
の脱アセチル化物で菌類の細胞壁にも存在する。従来、
キチンとキトサンは、地球上で毎年多量に生物生産され
ながらそのほとんどが廃棄されていたが、最近、特異な
機能をもつ素材として注目されている。例えば、ビーズ
状に加工したキトサンは酵素や血漿たん白の吸着剤とし
て利用され、キチンは生体適合性に優れ、薬物持効性剤
などへの応用が可能なほかに、保湿剤、抗がん剤、血中
コレステロール降下剤、止血剤、無公害農薬等の原料と
しての研究も進められ、最近では健康食品としても市販
されている。
【0003】 また、キチンまたはキトサン粒子は、イ
オン交換クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラ
フィ、ゲルクロマトグラフィ用の充填剤やイオン交換体
などとして有用である。キチンやキトサン粒子は、医薬
品、食品、生化学工業のような各種の製造業において、
タンパク質や核酸などの有用物を精製し、その有用物に
含まれる不純物を除去するために必要である。また、キ
トサン粒子を着色すると、標識物質として各種の微量物
質の定性・定量分析に使用可能であり、例えば免疫反応
の有無測定などに用いることができる。
【0004】 キチン類を粒子化する既存の方法とし
て、特開昭55−167048号や特開昭56−804
号に開示するように、キチンの脱アセチル化物を酸性溶
媒に溶解してから、アセチル化剤を含むキトサン不溶性
溶媒中でアセチル化し、ついでアルコールを加えて粒子
化することが公知であり、キトサンのアミノ基はほぼ完
全にアセチル化されている。また、特開昭61−765
04号では、低分子量のキトサン溶液を塩基性溶液中に
落下させて粒子化し、ヘキサメチレンジンイソシアネー
トなどの有機イソシアネート類で架橋反応を行い、多孔
質のキトサンを調製することを開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】キトサン粒子をクロマ
トグラフィ用充填剤に使用する場合、物理的強度と耐薬
品性のほかに、標識化合物の導入可能性などについて応
用性が広いことが必要である。一般に、キトサン粒子に
関して、その強度とアミノ基の含有率とはほぼ逆比例の
関係にあり、遊離のアミノ基の存在によって標識化合物
を導入しやすくしかも物理的強度の高いキトサン粒子を
得ることは非常に困難である。
【0006】 一方、架橋したキチンやN−アセチル化
キトサンでは、アミノ基が既にアセチル化されているの
で、標識化合物との結合反応は水酸基を介して行われ、
しかも活性化化合物も水酸基に導入することになる。こ
のため、標識化合物および活性化化合物の結合比率の正
確な調整が必要になり、その実用化に重大な問題が生じ
がちである。
【0007】 本発明は、架橋したキチン粒子に関する
前記の問題点を改善するために提案されたものであり、
粒子表面にアミノ基が配位され且つ粒子内部のアミノ基
が十分にアシル化されている部分アシル化キトサン粒子
を提供することを目的としている。本発明の他の目的
は、部分脱アシル化の後に遊離のアミノ基または水酸基
に色素分子を結合させて標識物質として使用できる着色
キトサン粒子を提供することである。
【0008】 また、本発明の別の目的は、出発物質の
キトサンをアシル化した後に部分的に脱アシル化するこ
とにより、アミノ基と水酸基が遊離した状態で安定して
いる部分アシル化キトサン粒子の製造法を提供すること
である。本発明のさらに別の目的は、標識化合物である
色素分子をアミノ基または水酸基と結合させた着色キト
サン粒子の製造法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る部分アシル化キトサン粒子は、まず出
発物質のキトサンをアシル化し、ついでアシル化キトサ
ンを部分的に脱アシル化して得る。部分的に脱アシル化
したキトサンは、例えば、有機ジイソシアナート類によ
る架橋反応によって安定化する。得た部分アシル化キト
サン粒子は、粒子表面にアミノ基が配位され且つ粒子内
部のアミノ基が十分にアシル化されているので疎水性を
有する。この部分アシル化キトサン粒子は、エンドトキ
シンつまり内毒素と結合できる。
【0010】 本発明の着色キトサン粒子は、粒子表面
のアミノ基または遊離の水酸基を色素分子と結合させ、
疎水性であって陰イオン交換能を有しない。この際に、
用いる色素分子は一般に反応染料であり、キトサンを含
む溶液を弱酸性にすると、反応染料は部分アシル化キト
サン粒子のアミノ基との共有結合し、炭酸ナトリウムな
どでアルカリ性にすると、反応染料はキトサン粒子の水
酸基との共有結合が可能である。
【0011】 着色キトサン粒子は、その粒度分布や分
散安定性などの性能により、標識物質として臨床診断試
薬用、農薬分析試薬、環境汚染物質分析試薬などに応用
できる可能性があり、この場合には高精度な制御を必要
とする。例えば、着色キトサン粒子を免疫測定法におけ
る診断試薬とするには、免疫活性物質を着色キトサン粒
子に固定化することを要する。着色キトサン粒子は、各
種の添加剤、例えば、調節剤および防腐剤などを添加し
てインクとしても使用できる可能性がある。
【0012】 本発明の部分アシル化キトサン粒子の製
造方法では、キトサンを酸性水溶液に溶解し、このキト
サン溶液を粒子化溶媒中に分散させ、さらに攪拌を加え
て粒子化とともにアシル化反応によってアシル化キトサ
ンを形成する。このアシル化キトサンには、中和量を超
えるアルカリを加えて加温し、部分的に脱アシル化した
後に架橋反応によって安定化させる。出発物質のキトサ
ンは、キチンの脱アセチル化物であり、希酸に溶解する
性質を有し、キチン、O−アシル化キチン、N−,O−
アシル化キトサンとの混合物などであってもよい。用い
るキトサンは、市販品であっても、カニやエビなどの節
足動物の甲殻類から分離精製されるキチンから製造して
もよい。
【0013】 着色キトサン粒子の製造方法では、アシ
ル化キトサンに中和量を超えるアルカリを加えて加熱
し、部分的に脱アシル化した後に架橋反応によって安定
化させる。得た部分アシル化キトサン粒子には、色素分
子を加えてアミノ基または水酸基と共有結合させる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明方法において、出発物質の
キトサンを30〜200倍量好ましくは80〜200倍
量の酸性水溶液に溶解し、ほぼ均一になるまで攪拌す
る。この酸性水溶液は、例えば0.2〜5%の酢酸水溶
液であると好ましく、酢酸以外にも塩酸などの希酸類の
水溶液が使用できる。用いるキトサンは、平均分子量1
0000〜3000000、脱アセチル化度50%以上
であると好ましい。キトサンの酢酸水溶液はさらに有機
溶媒で希釈して粘度を調整する。この有機溶媒として、
酢酸水溶液の0.5〜2倍量のメタノール、エタノー
ル、n−プロパノール、イソプロパノールなどを用い
る。
【0015】 このキトサン溶液に対して、別個に粒子
化溶媒を調製する。粒子化溶媒には、公知の懸濁剤10
〜50倍量をトルエンなどの有機溶媒に溶解すればよ
く、この有機溶媒は前記の水置換に用いた有機溶媒と同
一または異なる非極性溶媒である。この懸濁剤は、非イ
オン系のものが好ましく、ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノオレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタンモノオ
レートなどが例示できる。
【0016】 粒子化溶媒には、使用キトサンの5〜1
00倍モル量のアシル化剤例えばアセチル化剤をさらに
添加する。このアシル化剤として、有機酸無水物が使用
でき、例えば、酢酸、コハク酸、プロピオン酸、酪酸ま
たは吉草酸の無水物が好適であり、これらを単独または
2種以上混合して使用してもよい。
【0017】 キトサン溶液は、前記の粒子化溶媒中に
分散させ、常温好ましくは15〜30℃で0.5〜2時
間攪拌してアシル化する。この結果、溶液中のキトサン
がほぼ均一に粒状化されるとともに、キトサンのアシル
化反応が進行する。この際に、キトサン溶液の濃度が粒
子の細孔容積や細孔直径などに影響を与え、懸濁剤の添
加量によってキトサン粒子の細孔分布を調節できる。
【0018】 この反応溶液を有機溶媒で希釈し、該有
機溶媒として粒子化溶媒の0.5〜2倍量のメタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール
などを用いる。希釈した反応溶液は、常温好ましくは1
5〜30℃でさらに0.5〜2時間攪拌することによ
り、アシル化反応および粒状化を完了させる。この反応
溶液は、公知のフィルタによって濾過し、形成されたア
シル化キトサン粒子を回収する。アシル化キトサン粒子
は、有機溶媒例えばメタノール、エタノール、n−プロ
パノール、イソプロパノールなどのアルコール類で洗浄
する。
【0019】 得たアシル化キトサン粒子は、中和量を
超えるアルカリを加えて加温し、使用するアルカリは一
般に水酸化ナトリウムや水酸化カリウムであるが、他の
アルカリ水溶液であってもよい。例えば、アルカリとし
て1〜10%水酸化ナトリウム水溶液を用い、この水溶
液中でアシル化キトサン粒子を25〜80℃で1〜20
時間処理し、部分的に脱アシル化する。
【0020】 この反応溶液は、通常、公知のフィルタ
によって濾過し、部分的に脱アシル化したキトサン粒子
を回収する。得た部分アシル化キトサン粒子は、水で洗
浄してから、有機溶媒例えばメタノール、エタノール、
n−プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール
類に置換する。この部分アシル化キトサン粒子は、メタ
ノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノ
ールなどのアルコール類に浸漬し、これに架橋剤を添加
して部分アシル化キトサン粒子を架橋すると好ましい。
【0021】 用いる架橋剤は、ヘキサメチレンジイソ
シアナート(HMDI)、4,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナー
ト、イソホロンジイソシアナート、2,4−トリレンジ
イソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、1,4
−シクロヘキサンジイソシアナート、4,4’−ジシク
ロヘキシルメタンジイソシアナート、キシリレンジイソ
シアナートなどの有機ジイソシアナート類が好ましく、
例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート、4,4−ジ
フェニルメタンジイソシアナートについて実用化の可能
性が高い。この架橋により、部分アシル化キトサン粒子
の物理的強度が良化して安定化する。
【0022】 部分アシル化キトサンを十分に洗浄した
後にカラムに充填し、該カラムに所定量のエンドトキシ
ンを通過させると、エンドトキシンは部分アシル化キト
サンと結合し、溶出液のエンドトキシン量は検出限界以
下になる。エンドトキシンつまり内毒素は、その生理活
性の主なものとして発熱、白血球や血小板の減少、血糖
降下、骨髄出血壊死、網内系機能亢進、インターフェロ
ン誘発などがあり、これらの作用を部分アシル化キトサ
ンによって抑制できる可能性がある。
【0023】 部分アシル化キトサン粒子に関して、そ
の水酸基に色素分子を共有結合させる場合、例えば、炭
酸ナトリウム5〜30g/lに溶解した1〜10%の反
応染料を使用し、この反応染料に前記キトサン粒子を3
0〜80℃で0.5〜2時間浸漬する。また、アミノ基
に色素分子を共有結合させるならば、0.5〜5%酢酸
水溶液に溶解した0.5〜5%の反応染料を使用し、こ
の反応染料に前記キトサン粒子を30〜80℃で20〜
60分間浸漬すればよい。
【0024】 その後、反応温度を約100℃まで上昇
し、さらに20〜60分間浸漬する。次に、着色キトサ
ン粒子を水洗し、アンモニア水0.5〜5g/lに40
〜80℃で10〜30分間浸漬する。反応終了後に水洗
し、希薄酸を通した後にさらに水洗すればよい。
【0025】 必要に応じて、着色キトサン粒子を飽和
重炭酸ナトリウムに浸漬し、これに無水酢酸を5〜20
%の酸度になるように添加し、室温下で0.5〜2時間
放置して残存アミノ基をアシル化すると、着色キトサン
粒子から陰イオン交換能を完全に除去できる。得た着色
キトサン粒子は水洗し、余分の無水酢酸および重炭酸ナ
トリウムを除去する。
【0026】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0027】実施例1 キトサン(平均分子量500000、脱アセチル化度8
0%)10gに1%酢酸水溶液800mlを加えて攪拌
槽に入れ、均一になるまで十分に攪拌する。次に、酸性
溶液にイソプロパノール750mlを加えて粘度を調整
し、さらに攪拌を加えてキトサン溶液を調製しておく。
【0028】 一方、トルエン5リットル、ポリオキシ
エチレンソルビタンモノオレート(商品名:Tween
80)350g、アセチル化剤の無水酢酸100gを含
む粒子化溶媒を調製する。この粒子化溶媒に前記のキト
サン溶液を加え、攪拌翼を毎分500回転して常温で1
時間攪拌する。この反応溶液にイソプロパノール4リッ
トルを加えて希釈し、さらに1時間攪拌してアセチル化
反応および粒状化を完了させる。粒子化の完了後、反応
溶液を濾過してアセチル化キトサン粒子を回収する。さ
らにイソプロパノール1リットルで洗浄し、約100m
lのアセチル化キトサン粒子を得る。
【0029】 得たアセチル化キトサン粒子は、5%水
酸化ナトリウム200mlを加えて50℃で6時間加熱
することにより、部分的に脱アセチル化する。この反応
溶液を濾過し、部分的に脱アセチル化したキトサン粒子
を回収し、得た部分脱アセチル化キトサン粒子を水で洗
浄してからイソプロパノールに置換する。この部分脱ア
セチル化キトサン粒子は部分的にアセチル化が残ってお
り、つまり部分アセチル化キトサン粒子である。この部
分アセチル化キトサン粒子をイソプロパノール200m
lに浸漬し、これにヘキサメチレンジイソシアナート1
0gを添加して室温下で1時間反応させ、架橋した部分
アセチル化キトサン粒子を得る。
【0030】 得た部分脱アセチル化キトサン粒子は、
平均粒子径50〜500μmの透明な球形ゲル体であ
り、1N−塩酸水溶液および1N−水酸化ナトリウム水
溶液に溶けず、含水状態で弾力性を有する。また、赤外
分光分析において、3000〜4000cm−1の水酸
基および1500〜1530cm−1のアミノ基の吸収
バンドが測定できる。
【0031】実施例2 実施例1で得た部分アセチル化キトサン粒子を0.2N
水酸化ナトリウムおよび1%酢酸で洗浄した後に、エン
ドトキシンフリー水で洗浄し、その内の10mlを内径
1cmのカラムに充填する。このカラムに、pH4.5
の酢酸緩衝液1mlに溶解した200μgのエンドトキ
シン標準品(商品名:E.coli,UKT・B、和光
純薬製)を通過させ、溶出液のエンドトキシン量をリム
ラステストによって測定する。測定結果は検出限界以下
であった。
【0032】実験例1 実施例1で得た部分アセチル化キトサン粒子10mlを
イソプロパノール20mlに浸漬し、クロロホルムに溶
解したDABITC試薬0.4gを加え、室温下に2時
間放置する。この後にイソプロパノールで洗浄すると、
部分アセチル化キトサン粒子の着色によって、明らかに
DABITC試薬が結合している。したがって、部分ア
セチル化キトサン粒子の表面に遊離のアミノ基が存在す
ることを確認できる。DABITC試薬は、溶液の酸性
度に依存して紫−青−赤と色が変化するため、溶液に指
示薬を溶解することなく、その酸性度を測定することが
可能となる。
【0033】比較例1 部分的な脱アセチル化前のアセチル化キトサン粒子につ
いて、実験例1と同様に処理する。この結果、アセチル
化キトサン粒子は全く着色せず、DABITC試薬が結
合していないことが確認できる。
【0034】実験例2 実施例1で得た部分アセチル化キトサン粒子10ml
を、2%酢酸水溶液に溶解した5%反応染料(商品名:
Sumifix Brilliant Supra Yellow 3GF 150%gran)50
mlに浸漬し、50℃で40分間加熱し、さらに80℃
で50分間加熱する。反応終了後に、部分アセチル化キ
トサン粒子を水洗し、0.1N塩酸を通した後にさらに
水洗すると、部分アセチル化キトサン粒子は黄色に着色
する。
【0035】比較例2 部分的な脱アセチル化前のアシル化キトサン粒子につい
て、実験例2と同様に染色処理する。この結果、アセチ
ル化キトサン粒子は全く着色せず、実験例2の反応染料
が部分アセチル化キトサン粒子のアミノ基に結合してい
ることが判る。
【0036】実験例3 実施例1で得た部分アセチル化キトサン粒子10ml
を、炭酸ナトリウム20g/lに溶解した5%反応染料
(商品名:Sumifix Brilliant Supra Yellow 3GF150%gr
an)50mlに浸漬し、60℃で1時間加熱する。反応
終了後に、部分アセチル化キトサン粒子を水洗し、0.
1N塩酸を通した後にさらに水洗すると、部分アセチル
化キトサン粒子は黄色に着色する。
【0037】比較例3 部分的な脱アセチル化前のアセチル化キトサン粒子につ
いて、実験例3と同様に染色処理する。この結果、アセ
チル化キトサン粒子も同様に着色し、実験例3の反応染
料が部分アセチル化キトサン粒子の水酸基に結合してい
ることが判る。
【0038】実験例4 実験例1および実験例2で得た着色キトサン粒子につい
て、それぞれ10mlに水10mlおよび2N水酸化ナ
トリウム25mlを加え、さらにエピクロルヒドリン
0.2mlを添加して40℃で1時間加熱する。加熱終
了後に、それぞれの溶液を濾過して反応溶媒を除去し、
各溶液が中性になるまで水洗し、エポキシ化した着色キ
トサン粒子つまり活性化キトサン粒子を得る。
【0039】 2種のエポキシ化した活性化キトサン粒
子5mlについて、それぞれpH9.0の0.1Nトリ
ス塩酸緩衝液に溶解した1%牛血清アルブミン5mlを
加え、室温下で20時間振盪する。この後に、水、pH
8.0の0.1M炭酸緩衝液およびpH4.0の酢酸緩
衝液で洗浄する。濾液中のBSA残量を測定してBSA
結合量を求めると、それぞれ30mg/mlの結合量を
得る。
【0040】
【発明の効果】本発明の部分アシル化キトサン粒子は、
アシル化キトサンが部分的に脱アシル化されて粒子表面
にアミノ基が露出し、このアミノ基の存在によって標識
化合物を導入しやすい。しかも、この部分アシル化キト
サン粒子は、粒子内部ではアミノ基がアシル化されたま
まで疎水性を有し、高い物理的強度によってクロマトグ
ラフィ用の充填剤として好適である。このキトサン粒子
は、エンドトキシンつまり内毒素と結合することによ
り、その生理活性である発熱、白血球や血小板減少、血
糖降下、骨髄出血壊死などを抑制できる可能性がある。
【0041】 また、本発明の部分アシル化キトサン粒
子は、アシル化の後に遊離のアミノ基または水酸基に色
素分子を結合させることにより、微量物質の定性・定量
分析において標識物質として使用できる。この着色キト
サン粒子は、標識物質として臨床診断試薬用、農薬分析
試薬、環境汚染物質分析試薬などに応用でき、さらに各
種の添加剤、例えば調節剤および防腐剤などを添加して
インクや塗料などとしても使用できる可能性もある。
【0042】 本発明のキトサン粒子の製造法は、出発
物質のキトサンをアシル化した後に部分的に脱アシル化
することにより、アミノ基と水酸基が遊離した状態で安
定し、部分的な脱アシル化の後にアミノ基は粒子表面に
配位された状態で存在する。本発明の製造法を使用する
と、得た部分アシル化キトサンには粒子内部でアミノ基
がアシル化されたままで疎水性を有するので強度的に優
れ、しかも遊離のアミノ基や水酸基を色素分子などと結
合させることができる。
フロントページの続き (72)発明者 下村 泰志 石川県小松市国府台5丁目28番 株式会社 ワイエムシィ技術開発センター内 Fターム(参考) 4C090 AA03 AA07 BA47 BD04 BD24 BD31 CA06 CA25 CA31 CA32 CA33 CA35 CA38 DA21 DA22 DA27 DA31

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アシル化キトサンを部分的に脱アシル化
    した後の架橋反応によって安定しており、粒子表面にア
    ミノ基が配位され且つ粒子内部のアミノ基がアシル化さ
    れたままで疎水性を有する部分アシル化キトサン粒子。
  2. 【請求項2】 エンドトキシンと結合する請求項1記載
    のキトサン粒子。
  3. 【請求項3】 アシル化キトサンを部分的に脱アシル化
    した後の架橋反応によって安定しており、粒子表面にア
    ミノ基が配位され且つ粒子内部のアミノ基がアシル化さ
    れたままで疎水性を有し、粒子表面のアミノ基が色素分
    子と結合し且つ陰イオン交換能を有しない着色キトサン
    粒子。
  4. 【請求項4】 アセチル化キトサンを部分的に脱アセチ
    ル化した後の架橋反応によって安定しており、粒子内部
    のアミノ基がアセチル化されたままで疎水性を有し、水
    酸基が色素分子と結合し且つ陰イオン交換能を有しない
    着色キトサン粒子。
  5. 【請求項5】 キトサンを酸性水溶液に溶解し、このキ
    トサン溶液を粒子化溶媒中に分散させ、さらに攪拌を加
    えて粒子化とともにアシル化反応によってアシル化キト
    サンを形成し、このアシル化キトサンに中和量を超える
    アルカリを加えて加温し、部分的に脱アシル化した後に
    架橋反応によって安定化させる部分アシル化キトサン粒
    子の製造方法。
  6. 【請求項6】 キトサンを酸性水溶液に溶解し、このキ
    トサン溶液を粒子化溶媒中に分散させ、さらに攪拌を加
    えて粒子化とともにアシル化反応によってアシル化キト
    サンを形成し、このアシル化キトサンに中和量を超える
    アルカリを加えて加温し、部分的に脱アシル化した後に
    架橋反応によって安定化させ、ついで色素分子を加えて
    アミノ基または水酸基と結合させてから、残存のアミノ
    基をアシル化する着色キトサン粒子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008095072A (ja) * 2006-09-15 2008-04-24 Miyazaki Tlo:Kk 貴金属イオン捕集剤として有用なポリマー
JP2010031218A (ja) * 2008-07-24 2010-02-12 Shokuhin Kogyo Hatten Kenkyusho 水相におけるキトサンナノ粒子の調製方法
JP2015511663A (ja) * 2012-03-23 2015-04-20 メッドトレイド プロダクツ リミテッドMedtrade Products Limited 低エンドトキシンのキトサン製造方法

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