JP2000254758A - 鋳鋼品の鋳造方法 - Google Patents

鋳鋼品の鋳造方法

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JP2000254758A
JP2000254758A JP11060088A JP6008899A JP2000254758A JP 2000254758 A JP2000254758 A JP 2000254758A JP 11060088 A JP11060088 A JP 11060088A JP 6008899 A JP6008899 A JP 6008899A JP 2000254758 A JP2000254758 A JP 2000254758A
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cast steel
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Hitoshi Ishida
斉 石田
Kiminori Nakayama
公規 仲山
Koichi Sakamoto
浩一 坂本
Atsuhito Yoshimoto
篤人 吉本
Haruyoshi Kubo
晴義 久保
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 凹部を有する大型鋳鋼品の鋳造方法にお
いて、凹部のニアネット率を50%以上とする一方、鋳造
後の鋳塊に発生する最大ひずみ量が0.12%以下となるよ
うに形成した鋳型を用いて鋳造する。 【効果】 凹部などの形状を有する大型で複雑形状の鋳
鋼品においても、割れの発生しない鋳塊を得ることがで
きる。また、一般的な物理変数である最大ひずみ量をパ
ラメータとしているため、種々の鋳造材料、鋳塊形状、
鋳型材質等に適用可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳鋼品の鋳造方法
に関し、特に比較的大型(縦横長さのそれぞれが少なく
とも 300mm以上の寸法を有する)の鋳鋼品であって、表
面に穴あるいは凹溝などの凹部を有する鋳鋼品の鋳造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋳鋼品は、通常砂型のなかに溶鋼を鋳込
んで作られるため、圧延品、鍛造品と比較して複雑な形
状を作りやすい特徴を持つ。しかしながら、製品の大型
化や形状の複雑化に伴い、鋳鋼内部の欠陥発生が顕著に
なっており、このことが鋳鋼品質の信頼性を低下させる
原因となっている。特に鋳鋼品の欠陥として鋳塊表面の
鋳肌や内部の割れが問題となっている。
【0003】鋳鋼品の製造は、鋳型内に溶鋼を流し込ん
で鋳造することから、鋳鋼の凝固過程又は凝固後の冷却
過程での鋳塊収縮により、複雑形状の部分や鋳塊が鋳型
に拘束される部分において鋳塊に割れが生じる。また、
鋳鋼品の内部品質を改善する方法として、溶鋼の凝固速
度及び冷却速度を早くするため、通常冷し金と呼ばれる
鋼又は鋳鉄のブロックを鋳型の一部に使用する方法が用
いられているが、冷し金を使用すると鋳鋼製品表面に割
れが発生することが問題となっている。更に、鋳鋼品形
状の複雑化に伴い、鋳造後の鋳塊形状から製品形状への
機械加工工程及び機械加工費の増加が問題となってお
り、これらの問題低減には鋳塊鋳仕上げ段階での鋳塊形
状を製品形状に近い形状(ニアネット形状)とし、機械
加工工程を減らすことが最も効果的である。しかしなが
ら、鋳塊形状をニアネット化するには鋳塊が有する凹凸
部分などの複雑形状部をそのままの形で鋳造する必要が
あり、これらの部分に割れが発生する可能性が非常に高
くなる。これらの割れの原因としては、次のような現象
が考えられる。
【0004】鋳鋼の凝固過程又は凝固後の冷却過程では
鋳塊が収縮するため、複雑形状部分や鋳型に拘束される
部分において鋳塊にひずみが生じる。特に鋳塊の凹部に
おいては凝固収縮により鋳塊が収縮するのに対し、凸部
にあたる鋳型部分が鋳塊の拘束部分となるため、大きな
ひずみが発生しやすい。このようにして発生したひずみ
が鋳塊の持つ機械的強度を超える場合に鋳塊表面あるい
は内部に割れが発生する。ここでひずみとは、一般にあ
る長さ Lを持つ物体に力が働き、長さが L+dLへ変化し
た場合のdL/L の比をひずみと呼ぶ。
【0005】また、冷し金を使用した場合には、冷し金
の当たる鋳肌面が急冷され凝固に伴う収縮応力が発生す
る上、砂型と冷し金で凝固速度の差があるため固相の成
長に差が生じ、砂型と冷し金の境界面で強度の低い部分
ができ、冷し金の当たっている面及び砂型と冷し金の境
界面で割れが生じやすい。
【0006】鋳型の拘束により生じる割れを防止するた
めには、鋳型が金型の場合、分割型の金型を使用し、金
型の分割線に段付き隙間を設けて隙間に可縮性の耐火物
を充填することにより収縮可能な金型とした鋳造方法
(特公昭62− 46260号公報)、また砂型内部に可縮性の
物質を埋め込んだ鋳型(特公昭56− 14049号公報)が提
案されている。これらの方法によると、鋳鋼の収縮時に
発生する鋳型拘束による応力が緩和できることから、割
れを防ぐことができるとされている。
【0007】また、冷し金の使用による割れを防止する
技術としては、冷し金の表面に鋳肌の収縮応力を分割す
るための凹凸を形成したものを使用する方法(特公昭60
− 28578号公報)が示されており、この方法によれば割
れ防止が可能とされている。
【0008】しかし、上記のようにいくつかの割れ防止
方法は提案されているものの、これらは鋳鋼品の金型使
用時に発生するひずみを、緩和、分散させることによ
り、割れを防止することを目的とした方法であって、具
体的に鋳鋼の鋳造時に発生するひずみ量を用いて、割れ
の防止が可能なひずみ量を定量的に把握し数値で示した
ものではない。すなわち、これらは割れが発生する条件
下において、割れの原因となるひずみを分散して小さく
し割れを防止する方法であり、割れが発生しない条件を
把握して改善したものではない。
【0009】一方、鋼の連続鋳造においても鋳塊表面や
内部に割れが発生することが問題となっており、その割
れの発生限界が 0.3%以上の領域であることが確認され
ている(鉄と鋼,第76年(1990)第2号,第 214〜221 頁
「連続鋳造スラブの内部割れ発生限界歪みの推定」参
照)。しかし、一般的に鋼の連続鋳造材はスラブ状もし
くは円柱状の単純形状であり、連続鋳造材に発生するひ
ずみ量は複雑形状の鋳鋼品に発生するひずみ量に比べて
小さい。
【0010】逆に、鋳鋼品では形状が複雑であり連続鋳
造材のひずみ量よりも大きなひずみが発生する上、形状
が複雑になると凝固パターンの不均一のため機械的強度
の弱い部分ができ、そこに大きなひずみが発生すると割
れが生じやすくなる。従って、鋳鋼品の割れ発生限界ひ
ずみ量は連続鋳造材と比べて小さく、より厳しい条件下
での鋳造方法が要求されるため、連続鋳造よりも厳しく
ひずみ量の制御をする必要がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上のような観点か
ら、鋳鋼品に発生する割れを防ぐためには、鋳鋼品に発
生するひずみ量を制御する必要がある。そこで、本発明
では鋳鋼品に発生するひずみ量に着目し、割れ発生時の
ひずみ量を明らかにするとともに、新たな鋳鋼品の鋳造
方法を提案するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る鋳鋼品の鋳造方法は、凹部を有する大
型鋳鋼品の鋳造方法において、凹部のニアネット率を50
%以上とする場合、鋳塊に発生する最大ひずみ量が0.12
%以下となるように形成した鋳型を用いて鋳造するもの
である。その詳細を以下に実施例と共に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】鋳鋼の鋳造時に鋳塊に発生するひ
ずみ量と割れの生成の関係を明らかにするため、次のよ
うな検討を行い、割れが発生するときの鋳塊に生じる最
大ひずみ量を検討した。ひずみ量と割れの関係は、鋳鋼
品の一部分を鋳塊を模擬した小型鋳塊に発生する割れ状
況と、小型鋳塊形状での伝熱計算をもとにした熱応力解
析より理論的に求めたひずみ量から検討を行った。
【0014】まず、図1に示すようなコの字型の小型鋳
塊2を対象として、鋳造後の鋳塊2に発生する割れを評
価することとした。この小型鋳塊2の外形寸法は縦 390
mm×横 390mm×高さ 450mmである。また、図1におい
て、符号1は鋳型、2は鋳塊、3はコーナー部、4は凹
溝部、5は可縮材、6は機械加工代をそれぞれ示す。こ
のコの字型の小型鋳塊2では鋳塊部分の凝固時の収縮に
より、凹溝部4の内側が収縮しようとするが、凹溝部4
を形成するための砂型1Aが有って凝固収縮の抵抗となる
ため、凹溝部4(特にコーナー部3)に大きなひずみが
発生する。このひずみが材料の持つ機械的強度を越える
場合に割れが発生する。そこで、このときのコーナー部
3の曲率や凹溝部4を形成する砂型1Aの材質を変えるこ
とによって鋳塊2に発生するひずみ量を変化させ、割れ
の生成状況の違いを確認した。
【0015】なお、この小型鋳塊2の仕上げ形状は、図
1に二点鎖線で示してあるように、鋳塊2の凹部である
凹溝部分において鋳造後の形状の内側表面から30mm削っ
た部分としてある。すなわち、凹溝部分の機械加工代6
は30mmである。またこのときの機械加工代のパラメータ
としてニアネット率を次のように定義する。凹溝部4の
鋳型部分1Aの溝方向の断面積S1、機械加工代6の溝方向
の断面積をS2とした場合の、S1とS1+S2の比〔S1/(S1
+S2)〕を百分率で示した値をニアネット率とする。図
1に示す小型鋳塊2の場合、ニアネット率を算出すると
約60%程度となる。
【0016】上記のような形状としたコの字型の小型鋳
塊2はコーナー部3の曲率を 0mm,20mm, 40mm, 60mmの
4種類とし、鋳型1の材質は砂型でその凹溝部4の鋳型
部分1Aは砂型+冷し金あるいは砂型+可縮材5の2種類
の合計8ケースの鋳型1を用意した(後記の表1参
照)。なお、冷し金は常法に従い取付けた。また可縮材
5は発泡スチロールなどの熱可縮性材料で長さ 200mm×
高さ 450mm×厚さ 5mmのものを凹溝部4の鋳型部分1Aの
中央部に埋め込んだ。この可縮材5の厚さについては、
鋳鋼品の形状にもよるが、鋳造後の凝固収縮に伴う鋳型
部分1Aの拘束を緩和するため、最低限、鋳鋼品の凝固収
縮量以上の厚さで設けることが好ましい。このようにし
て用意した8ケース鋳型1内に所定温度の鋳鋼溶湯を流
し込み、冷やして固めた後、鋳塊2を取り出した。
【0017】鋳造後の鋳塊2について凹溝部4のコーナ
ー部3に発生した割れの量を定量的に評価するため、磁
粉探傷試験を実施した。鋳塊2に発生した欠陥の割れ状
況を確認した後、割れ率をパラメータとして用いた。こ
こで割れ率とは鋳塊2の長さに対する割れの長さで表し
たものである。本実験では鋳塊2の凹溝部4の内側表面
に割れが確認されたため、鋳塊高さ 450mmに対する割れ
の総長さの比を割れ率として求めた。その割れ率を後記
する表1に併せて示す。
【0018】一方、小型鋳造実験時に発生するひずみ量
を求めるため、小型鋳塊2と同様の形状での伝熱解析と
熱応力解析を実施した。熱応力解析は次の手順で行っ
た。まず鋳塊の凝固過程を伝熱解析により計算し、鋳塊
内部の温度変化を求めた。伝熱解析は図1に示した鋳塊
2及び鋳型1部分の水平2次元平面を解析範囲として、
その範囲内を数mm単位の要素にメッシュ分割して行っ
た。伝熱解析は下記(1) 式の熱伝導の微分方程式をもと
に計算を行った。
【数1】 ここで、x, y, z は位置座標、 tは時間、 Tは温度、ρ
は密度、Cは比熱、kx, ky, kzは熱伝導率、 Lは潜熱、
fsは固相率である。なお、計算では有限要素法を用いて
行い、潜熱の発生についてはエンタルピ法を適用した。
物性値は熱伝導率、比熱、密度、凝固潜熱、熱伝達係
数、各物質の初期温度を与えて、凝固時の温度変化を計
算した。
【0019】次にこの2次元平面での鋳塊凝固時の熱伝
導解析をもとに、凝固収縮により発生するひずみを弾塑
性解析により求めた。まず、凝固時の体積変化により発
生する収縮ひずみ(ε)は下記式(2) で求められる。 ε=α(T)( T−TO) −α(Ti)(Ti −TO) (2) ここで、α(T) は熱膨張係数、 Tは現在の温度、T0は基
準温度、Tiは初期温度である。この収縮ひずみにより鋳
塊内部全体に発生するひずみは、鋳塊を弾塑性体として
解析することにより求められる。弾塑性体に対しては一
般に下記(3) 式のロイスの式が用いられる。 dεij=(dσij/2G)+σijdλ (3) ここで、εは偏差ひずみ、σは偏差応力、dλはラグラ
ンジエの乗数、Gは剪断弾性係数、i, jはx, y, z 方向
を表している。上式を用いて、熱膨張率、ヤング率、ポ
アソン比、応力−ひずみ曲線などの物性値を与え、鋳塊
の鋳造後から冷却終了後までのひずみ発生状況を計算し
た。
【0020】上記の解析により鋳塊各部分に発生するひ
ずみ量の時間変化を確認したところ、鋳塊のコーナー部
分で最も大きなひずみが発生することが分かった。ここ
で、鋳造後から鋳塊の凝固・冷却が終了するまでの間
で、最も大きなひずみが発生したときのひずみ量を最大
ひずみとした。このようにして上記8ケースの鋳造方案
での最大ひずみ量を解析により求めた。
【0021】この熱応力解析により求めた最大ひずみ量
と先に行った小型鋳造実験の割れ率との関係を整理し、
表1及び図2にこの関係を示した。図2では縦軸に小型
鋳造実験で求めた割れ率を、横軸に熱応力解析で求めた
ひずみ量を示している。この図より割れが発生した鋳塊
と発生しなかった鋳塊に発生したひずみ量を調べると、
ひずみ量が0.12%以上になると割れが発生することが確
認できる。また、コーナー部3の曲率が 0mm, 20mm, 40
mm, 60mmと大きくなるにしたがい、冷し金あるいは可縮
材の何れのばあいであっても、割れ率及び最大ひずみ量
は共に減少する傾向がみられる。すなわち、コーナー部
3の曲率を大きくするほど、割れの低減効果が大きい。
また、冷し金の場合にはコーナー部3の曲率を大きくし
ても割れが完全にゼロにはならなかったが、可縮材の場
合にはコーナー部3の曲率を20mm以上にすれば割れの発
生がなくなることが分かった。
【0022】
【表1】
【0023】以上のように、鋳鋼品の製造時に割れが発
生しないひずみ量は0.12%以下であること、及び、鋳造
時の鋳塊のひずみ量がこの値以下となるように鋳塊のコ
ーナー部の曲率、鋳型の凹部分の材質、可縮材などを適
宜選択して組合せ鋳造方案を作成すれば、鋳塊に割れの
発生しない鋳鋼品の鋳造ができることが明らかとなっ
た。
【0024】上記のように、鋳鋼品において凹部のよう
な割れの発生しやすい部分を有し、機械加工代が少な
い、あるいはニアネット率の高い鋳塊形状の場合に、鋳
塊の伝熱解析及び熱応力解析を行い、鋳塊に発生する最
大ひずみ量を計算により予測する。この最大ひずみ量が
0.12%以下となるような鋳塊形状、鋳型形状・材質を選
定し、鋳造方案を決定する。このように決定した鋳造方
案に基づいて鋳造を実施することにより、鋳造時に割れ
のない鋳塊を得ることが可能となる。なお、本発明にお
いてニアネット率を50%以上とする理由は、鋳造後の機
械加工の省力及びコスト低減を図るためで、より好まし
くは70%以上がよい。
【0025】また鋳鋼製造時にひずみ量を0.12%以下に
するための手段としては、鋳型内の要部、特に鋳型の凹
部にあたる鋳型の内部に、例えば発泡スチロールのよう
な高温で溶融、収縮する物質を埋め込んだ鋳型、あるい
は鋳型内の要部に空洞を有する鋳型を使用する方法が有
効であると考えられる。その他の手段としては鋳型内の
要部に数10mm程度の曲率を与えた鋳型を使用する方法も
効果的である。このときの曲率は望ましくは20mm以上の
曲率とすることにより、最大ひずみ量を0.12%以下にし
て割れを低減することが可能となる。
【0026】
【実施例】以下に、本発明に係る鋳鋼品の鋳造方法を大
型形状の鋳鋼品に適用した例を説明する。図3乃至図5
は、本発明に係る鋳鋼品の鋳造方法を適用した大型形状
の鋳鋼品の説明図であって、図3は上面図、図4は正面
図、図5は側面図である。また、この図に示す大型鋳塊
12の形状は、上記図1に示したコの字型の小型鋳塊2と
基本的には同形状のもので、その外形寸法が縦1500mm×
横1500mm×高さ1000mmである。また、図3乃至図5にお
いて、符号11は鋳型、12は鋳塊、13はコーナー部、14は
凹溝部、15は可縮材、16は機械加工代をそれぞれ示す。
なお、このときの機械加工代16は50mmとし、従ってニア
ネット率は約80%となっている。
【0027】まず最初に、凹溝部14の内側部分の砂型11
A を全て砂型とした場合の伝熱解析及び熱応力解析を実
施し、鋳造後からの冷却過程において鋳塊12に発生する
最大ひずみ量を求めたところ、鋳塊12の凹溝部14のコー
ナー部13において最も大きなひずみが発生し、その値は
0.32%であった。そこで、最も大きなひずみが発生する
鋳塊12のコーナー部13の最大ひずみ量が0.12%以下とな
るように、鋳塊12と鋳型11の形状を検討した。鋳型11は
クロマイト製の砂型を使用し、凹溝部14の内側部分の砂
型11A 内に熱収縮性のある発泡スチロール15(寸法:長
さ 950mm×高さ1000mm×厚さ10mm)を埋め込んだ。ま
た、コーナー部13の曲率を20mmとした。このときの鋳塊
12に発生する最大ひずみ量を熱応力解析により求めたと
ころ0.09%であり、最大ひずみ量が0.12%以下である鋳
塊の割れの発生しない条件を満たしていることを確認し
た。
【0028】上記のように設計した鋳造方案をもとに所
定の温度で溶解した鋳鋼を鋳造し、十分に冷却がなされ
た時点で鋳型11より鋳塊12を取り出した。取り出し後の
鋳塊12の表面及び内部の磁粉探傷試験やマクロ、ミクロ
組織観察により割れを調査したが、割れは全く確認され
ず非常に健全な鋳塊が得られた。従って、本発明方法に
より、このような大型形状の鋳鋼品においても割れのな
い健全な鋳塊12が得られることが確認できた。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る鋳鋼
品の鋳造方法によれば、凹部などの形状を有する大型で
複雑形状の鋳鋼品においても、割れの発生しない鋳塊を
得ることができる。また、一般的な物理変数である最大
ひずみ量をパラメータとしているため、種々の鋳造材
料、鋳塊形状、鋳型材質等に適用可能である。
【0030】更に、製品形状に近い状態でのニアネット
鋳造も可能となり、鋳塊の機械加工工程の省略、機械加
工費の低減などによる製造コスト削減効果も期待でき
る。また、鋳造方案の決定にあたっても、実施に鋳鋼品
を製造して割れの生成状況を確認しながら割れの発生し
にくい鋳造方案を決定していく場合には製造コストも時
間も要するが、本発明によると、鋳塊の熱応力解析を用
いて検討することで、試作品の製造個数の低減及び鋳造
方案の策定が容易となり、鋳造方案の決定に関するコス
ト低減も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鋳鋼品の鋳造方法を適用した小型
形状の鋳鋼品の説明図であって、aは上面図、bは正面
図、cは側面図である。
【図2】鋳塊の割れ率と熱応力解析で求めたひずみ量と
の関係を示すグラフ図であって、縦軸に小型鋳造実験で
求めた割れ率を、横軸に熱応力解析で求めたひずみ量を
示す。
【図3】本発明に係る鋳鋼品の鋳造方法を適用した大型
形状の鋳鋼品の上面図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】図3の側面図である。
【符号の説明】
1, 11:鋳型 1A, 11A:鋳塊の凹溝部を形成
する鋳型の凸部 2, 12:鋳塊 3, 13:コーナー部
4, 14:凹溝部 5:可縮材 6, 16:機械加工代 1
5:発泡スチロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 浩一 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 吉本 篤人 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内 (72)発明者 久保 晴義 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内 Fターム(参考) 4E093 TA10 UC02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹部を有する大型鋳鋼品の鋳造方法にお
    いて、凹部のニアネット率を50%以上とする場合、鋳塊
    に発生する最大ひずみ量が0.12%以下となるように形成
    した鋳型を用いて鋳造することを特徴とする鋳鋼品の鋳
    造方法。
  2. 【請求項2】 凹部を有する大型鋳鋼品の鋳造方法にお
    いて、凹部のニアネット率を50%以上とする場合、その
    凹部を形成する鋳型凸部分に砂型を用い又は/及びその
    内部に可縮材を設け、鋳塊に発生する最大ひずみ量が0.
    12%以下となるように形成した鋳型を用いて鋳造するこ
    とを特徴とする鋳鋼品の鋳造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020116623A (ja) * 2019-01-25 2020-08-06 太平洋セメント株式会社 鋳物用砂型、およびその製造方法
CN112122530A (zh) * 2020-09-10 2020-12-25 王兆举 一种槽钢锻造用成型设备及使用方法

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