JP2000251671A - 電子放出素子の製造方法及び電子放出素子 - Google Patents

電子放出素子の製造方法及び電子放出素子

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JP2000251671A
JP2000251671A JP4765499A JP4765499A JP2000251671A JP 2000251671 A JP2000251671 A JP 2000251671A JP 4765499 A JP4765499 A JP 4765499A JP 4765499 A JP4765499 A JP 4765499A JP 2000251671 A JP2000251671 A JP 2000251671A
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electron
substrate
conductive film
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voltage
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Masayuki Kono
公志 河野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一な電子放出特性を有し、画像形成装置の
電子ビーム源として好適な電子放出素子を再現性良く得
られるようにする。 【解決手段】 基板1の表面に形成された溝部分に電極
2,3が埋め込まれて基板表面が面一になるようにした
後、この上に導電性膜4を形成し、この導電性膜4に通
電して電子放出部5を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示装置や露光装
置等の画像形成装置の電子ビーム源として好適な電子放
出素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子には大別して熱電子
放出素子と冷陰極電子放出素子の2種類が知られてい
る。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以下、「FE
型」と称す。)、金属/絶縁層/金属型(以下、「MI
M型」と称す。)や表面伝導型電子放出素子等が有る。
【0003】FE型の例としては、W.P. Dyke
and W.W. Dolan,“Field Em
ission”, Advance in Elect
ron Physics, 8,89(1956)ある
いはC.A. Spindt, “Physical
Properties of thin−filmfi
eld emission cathodes wit
h molybdenum cones”, J. A
ppl. Phys. ,47,5248(1976)
等に開示されたものが知られている。
【0004】MIM型の例としては、C.A. Mea
d, “Operation ofTunnel−Em
ission Devices”, J. Appl.
Phys., 32,646(1961)等に開示され
たものが知られている。
【0005】表面伝導型電子放出素子の例としては、
M.I. Elinson, Radio Eng.
Electron Phys., 10,1290(1
965)等に開示されたものがある。
【0006】表面伝導型電子放出素子は、絶縁性基板上
に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流す
ことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものであ
る。この表面伝導型電子放出素子の典型的な構成例とし
ては、図7に示すように基板1上に設けた一対の素子電
極2,3間を連絡する導電性膜4に、フォーミングと呼
ばれる通電処理によって電子放出部5を形成したものが
挙げられる。
【0007】フォーミングとは、前記導電性膜4の両端
に電圧を印加通電し、導電性膜4を局所的に破壊、変形
もしくは変質させて構造を変化させ、電気的に高抵抗な
状態の電子放出部5を形成する処理である。尚、電子放
出部5では導電性膜4の一部に亀裂が発生しており、そ
の亀裂付近から電子放出が行われる。
【0008】上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が
単純であることから、大面積に亙って多数素子を配列形
成できる利点がある。そこで、この特徴を活かすための
種々の応用が研究されている。例えば、荷電ビーム源、
表示装置等の画像形成装置への利用が挙げられる。
【0009】従来、多数の表面伝導型電子放出素子を配
列形成した例としては、並列に表面伝導型電子放出素子
を配列し、個々の表面伝導型電子放出素子の両端(両素
子電極)を配線(共通配線とも呼ぶ)にて夫々結線した
行を多数行配列(梯子型配置とも呼ぶ)した電子源が挙
げられる(例えば、特開昭64−31332号公報、特
開平1−283749号公報、同2−257552号公
報)。
【0010】また、特に表示装置においては、液晶を用
いた表示装置と同様の平板型表示装置とすることが可能
で、しかもバックライトが不要な自発光型の表示装置と
して、表面伝導型電子放出素子を多数配置した電子源
と、この電子源からの電子線の照射により可視光を発光
する蛍光体とを組み合わせた表示装置が提案されている
(アメリカ特許第5066883号明細書)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記電子放出素子を利
用した表示装置において、高品位・高精細な画像を大画
面で得るためには、電子放出素子の行・列の数がそれぞ
れ数百〜数千となり、非常に多くの電子放出素子を配列
する必要がある。また、このような表示装置では、各電
子放出素子の電気特性が均一で制御し易いことが望まれ
る。
【0012】しかしながら、図7に示したような従来の
電子放出素子では、導電性膜4を例えばスパッタ法で形
成すると、基板1と素子電極2,3との間に段差がある
ために図8(a)のような形状に形成される。またスピ
ンナー法若しくはディピング法で形成すると、スピンナ
ー法では遠心力を利用して塗布するため、図8(b)の
ように内側の壁(素子電極2による段差部分)より外側
の壁(素子電極3による段差部分)に導電性膜が多めに
付着される。同様にディピング法においては膜材料の自
重により図8(c)のように下側の壁(図においては素
子電極3による段差部分)に導電性膜が多めに付着され
る。このように導電性膜4が均一に形成されないと、前
述のフォーミング処理を均一に行うことが難しく、個々
の電子放出素子の特性のばらつきが生じる問題があっ
た。
【0013】本発明の目的は、均一な電子放出特性を有
する電子放出素子を安定して得られるようにすることに
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
成された本発明は、基板に設けられた電極間に跨がる導
電性膜に電子放出部を有する電子放出素子の製造方法に
おいて、基板表面に形成された溝部分に電極材料が埋め
込まれて該基板表面が面一になるようにした後、この上
に導電性膜を形成する工程を有することを特徴とする電
子放出素子の製造方法にある。
【0015】また本発明は、上記方法により製造された
ことを特徴とする電子放出素子にある。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の電子放出素子の
一構成例を示す模式図であり、図1(a)は平面図、図
1(b)は縦断面図である。図1において、1は基板、
2と3は電極(素子電極)、4は導電性膜、5は電子放
出部である。
【0017】基板1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、アルミナ
等のセラミックス及びSi基板等を用いることができ
る。
【0018】対向する素子電極2,3の材料としては、
一般的な導体材料を用いることができ、例えばNi、C
r、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等
の金属或は合金及びPd、Ag、Au、RuO2 、Pd
−Ag等の金属或は金属酸化物とガラス等から構成され
る印刷導体、In23 −SnO2 等の透明導電体及び
ポリシリコン等の半導体導体材料等から適宜選択され
る。
【0019】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
膜4の形状等は、応用される形態等を考慮して、設計さ
れる。素子電極間隔Lは、好ましくは、数百nmから数
百μmの範囲とすることができ、より好ましくは、素子
電極間に印加する電圧等を考慮して数μmから数十μm
の範囲とすることができる。素子電極長さWは、電極の
抵抗値、電子放出特性を考慮して、数μmから数百μm
の範囲とすることができる。素子電極2,3の膜厚d
は、数十nmから数μmの範囲とすることができる。
【0020】尚、図1に示した構成だけでなく、例えば
図2に示すように、素子電極2,3を導電性膜4によっ
て完全に覆った構成とすることもできる。
【0021】導電性膜4を構成する材料としては、例え
ばPd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,
Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、P
dO,SnO2 ,In23 ,PbO,Sb23 等の
酸化物導電体、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,CeB
6 ,YB4 ,GdB4 等の硼化物、TiC,ZrC,H
fC,TaC,SiC,WC等の炭化物、TiN,Zr
N,HfN等の窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボ
ン等の中から選ばれる。
【0022】導電性膜4には、良好な電子放出特性を得
るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好
ましい。その膜厚は、素子電極3へのステップカバレー
ジ、素子電極2,3間の抵抗値等を考慮して適宜設定さ
れるが、通常は、数Å〜数百nmの範囲とするのが好ま
しく、より好ましくは1nm〜50nmの範囲とするの
が良い。その抵抗値は、Rsが102 Ωから107 Ωの
値であるのが好ましい。なお、Rsは、幅がwで長さが
lの薄膜の長さ方向に測定した抵抗Rを、R=Rs(l
/w)と置いたときに現れる値である。
【0023】ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子
が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に
分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あ
るいは重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、
全体として島状構造を形成している場合も含む)をとっ
ている。微粒子の粒径は、数Å〜数百nmの範囲、好ま
しくは、1nm〜20nmの範囲である。
【0024】なお、本明細書では頻繁に「微粒子」とい
う言葉を用いるので、その意味について説明する。
【0025】小さな粒子を「微粒子」と呼び、これより
も小さなものを「超微粒子」と呼ぶ。「超微粒子」より
もさらに小さく、原子の数が数百個程度以下のものを
「クラスター」と呼ぶことは広く行われている。
【0026】しかしながら、それぞれの境は厳密なもの
ではなく、どの様な性質に注目して分類するかにより変
化する。また「微粒子」と「超微粒子」を一括して「微
粒子」と呼ぶ場合もあり、本明細書中での記述はこれに
沿ったものである。
【0027】例えば、「実験物理学講座14 表面・微
粒子」(木下是雄 編、共立出版1986年9月1日発
行)では、「本稿で微粒子と言うときにはその直径がだ
いたい2〜3μm程度から10nm程度までとし、特に
超微粒子というときは粒径が10nm程度から2〜3n
m程度までを意味することにする。両者を一括して単に
微粒子と書くこともあってけっして厳密なものではな
く、だいたいの目安である。粒子を構成する原子の数が
2個から数十〜数百個程度の場合はクラスターと呼
ぶ。」(195ページ 22〜26行目)と記述されて
いる。
【0028】付言すると、新技術開発事業団の“林・超
微粒子プロジェクト”での「超微粒子」の定義は、粒径
の下限はさらに小さく、次のようなものであった。
【0029】「創造科学技術推進制度の“超微粒子プロ
ジェクト”(1981〜1986)では、粒子の大きさ
(径)がおよそ1〜100nmの範囲のものを“超微粒
子”(ultra fine particle)と呼
ぶことにした。すると1個の超微粒子はおよそ100〜
108 個くらいの原子の集合体という事になる。原子の
尺度でみれば超微粒子は大〜巨大粒子である。」(「超
微粒子−創造科学技術」林主税、上田良二、田崎明
編;三田出版 1988年 2ページ1〜4行目)/
「超微粒子よりさらに小さいもの、すなわち原子が数個
〜数百個で構成される1個の粒子は、ふつうクラスター
と呼ばれる」(同書2ページ12〜13行目)。
【0030】上記のような一般的な呼び方をふまえて、
本明細書において「微粒子」とは多数の原子・分子の集
合体で、粒径の下限は数Å〜1nm程度、上限は数μm
程度のものを指すこととする。
【0031】電子放出部5は、導電性膜4の一部に形成
された高抵抗の亀裂により構成され、その内部には、数
Åから数十nmの範囲の粒径の導電性微粒子が存在する
場合もある。この導電性微粒子は、導電性膜4を構成す
る材料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有するも
のとなる。また、電子放出部5及びその近傍の導電性膜
4には、後述の活性化工程によって形成される炭素ある
いは炭素化合物を有することもできる。
【0032】本発明の電子放出素子の製造方法としては
様々な方法があるが、その一例を図3に基づいて説明す
る。尚、図3においても図1に示した部位と同じ部位に
は図1に付した符号と同一の符号を付している。
【0033】1)まず、基板1に紫外線レーザーを照射
して、所望する電極形状部を薄く除去し、溝2’及び溝
3’を形成する(図3(a))。溝2’及び溝3’の形
成は、特に紫外線レーザービームは波長が短く光子エネ
ルギーが高いため、セラミック、ガラス等の基板を高精
度に効率良く除去することができ、また除去時の熱歪や
バリ等も発生しないため好ましい。
【0034】2)真空蒸着法、スパッタ法、印刷法等に
より電極材料を基板1の全面に堆積・塗布した(図3
(b))後、基板表面を研摩して、溝2’及び3’部分
に電極材料が埋め込まれて基板表面が面一になるように
し、基板1に埋め込まれた状態の素子電極2,3を形成
する(図3(c))。
【0035】3)素子電極2,3を設けた基板1上に、
有機金属溶液を塗布して、有機金属膜4’を形成する
(図3(d))。有機金属溶液には、前述の導電性膜の
材料の金属を主元素とする有機化合物の溶液を用いるこ
とができる。この有機金属膜を加熱焼成処理し、リフト
オフ、エッチング等によりパターニングし、導電性膜4
を形成する(図3(e))。ここでは、有機金属溶液の
塗布法を挙げて説明したが、導電性膜4の形成法はこれ
に限られるものではなく、真空蒸着法、スパッタ法、化
学的気相堆積法、分散塗布法、ディッピング法、スピン
ナー法等を用いることもできる。
【0036】4)次に、フォーミング工程を施す。この
フォーミング工程の方法の一例として通電処理による方
法を説明する。素子電極2,3間に通電を行うと、導電
性膜4の部位に電子放出部5が形成される(図3
(f))。かかる電子放出部5は、導電性膜4を局所的
に破壊、変形もしくは変質せしめ、構造の変化した部位
である。
【0037】通電フォーミングの電圧波形の例を図4に
示す。
【0038】電圧波形は、特にパルス波形が好ましい。
これにはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に
印加する図4(a)に示した手法と、パルス波高値を増
加させながらパルスを印加する図4(b)に示した手法
がある。
【0039】まず、パルス波高値を定電圧とした場合に
ついて図4(a)で説明する。図4(a)におけるT1
及びT2 は電圧波形のパルス幅とパルス間隔である。三
角波の波高値(ピーク電圧)は、電子放出素子の形態に
応じて適宜選択される。このような条件のもと、例え
ば、数秒から数十分間電圧を印加する。パルス波形は、
三角波に限定されるものではなく、矩形波等の所望の波
形を採用することができる。
【0040】次に、パルス波高値を増加させながら電圧
パルスを印加する場合について図4(b)で説明する。
図4(b)におけるT1 及びT2 は、図4(a)に示し
たのと同様とすることができる。三角波の波高値(ピー
ク電圧)は、例えば0.1Vステップ程度づつ、増加さ
せることができる。
【0041】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2 中に、導電性膜4を局所的に破壊,変形しない程
度の電圧を印加し、電流を測定して検知することができ
る。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる電流を
測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示した
時、通電フォーミングを終了させる。
【0042】5)フォーミングを終えた素子には活性化
工程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程と
は、この工程により、素子電流If 、放出電流Ie が、
著しく変化する工程である。
【0043】活性化工程は、例えば、有機物質のガスを
含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、素子
電極2,3間にパルス電圧の印加を繰り返すことで行う
ことができる。
【0044】この雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロー
タリーポンプなどを用いて真空容器内を排気した場合に
雰囲気内で残留する有機ガスを利用して形成することが
できる他、イオンポンプなどにより一旦十分に排気した
真空中に適当な有機物質のガスを導入することによって
も得られる。このときの好ましい有機物質のガス圧は、
前述の素子の形態、真空容器の形状や、有機物質の種類
などにより異なるため場合に応じ適宜設定される。適当
な有機物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの
脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、
アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カル
ボン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることが出来、
具体的には、メタン、エタン、プロパンなどCn2n+2
で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレン、アセ
チレンなどCn2nやCn2n-2等の組成式で表される
不飽和炭化水素、ベンゼン、メタノール、エタノール、
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノ
ール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等が使用できる。
【0045】この活性化処理により、雰囲気中に存在す
る有機物質から、炭素或は炭素化合物が素子上に堆積
し、素子電流If ,放出電流Ie が著しく変化するよう
になる。
【0046】ここで、炭素及び炭素化合物とは、例えば
グラファイト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含す
るもので、HOPGはほぼ完全なグラファイト結晶構
造、PGは結晶粒が200Å程度で結晶構造がやや乱れ
たもの、GCは結晶粒が20Å程度になり結晶構造の乱
れがさらに大きくなったものを指す。)、非晶質カーボ
ン(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボン
と前記グラファイトの微結晶の混合物を指す。)であ
り、その膜厚は、50nm以下の範囲とするのが好まし
く、30nm以下の範囲とすることがより好ましい。
【0047】活性化工程の終了判定は、素子電流If
測定しながら、適宜行うことができる。
【0048】6)このような工程を経て得られた電子放
出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程
は、電子放出素子が配置された真空容器内の有機物質を
排気する工程である。真空容器を排気する真空排気装置
は、装置から発生するオイルが素子の特性に影響を与え
ないように、オイルを使用しないものを用いるのが好ま
しい。具体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ
等の真空排気装置を挙げることが出来る。真空容器内の
有機成分の分圧は、上記炭素あるいは炭素化合物がほぼ
新たに堆積しない分圧で1.3×10-6Pa以下が好ま
しく、さらには1.3×10-8Pa以下が特に好まし
い。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全
体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着し
た有機物質分子を排気し易くするのが好ましい。このと
きの加熱条件は、80℃以上、好ましくは150℃以上
で、できるだけ長時間処理するのが望ましいが、特にこ
の条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、
電子放出素子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条
件により行う。真空容器内の圧力は極力低くすることが
必要で、1.3×10-5Pa以下が好ましく、さらには
1.3×10-6Pa以下が特に好ましい。
【0049】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な
特性を維持することが出来る。このような真空雰囲気を
採用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の
堆積を抑制でき、また真空容器や基板などに吸着したH
2 O,O2 なども除去でき、結果として素子電流If
放出電流Ie が、安定する。
【0050】上述した工程を経て得られた本発明の電子
放出素子の基本特性について、図5及び図6を参照しな
がら説明する。
【0051】図5は、真空処理装置の一例を示す模式図
であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機能
をも兼ね備えている。図5においても、図1に示した部
位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付し
ている。
【0052】図5において、55は真空容器であり、5
6は排気ポンプである。真空容器55内には電子放出素
子が配されている。また、51は電子放出素子に素子電
圧Vfを印加するための電源、50は素子電極2,3間
を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、54は
素子の電子放出部5より放出される放出電流Ieを捕捉
するためのアノード電極、53はアノード電極54に電
圧を印加するための高圧電源、52は電子放出部5より
放出される放出電流Ieを測定するための電流計であ
る。一例として、アノード電極54の電圧を1kV〜1
0kVの範囲とし、アノード電極54と電子放出素子と
の距離Hを2mm〜8mmの範囲として測定を行うこと
ができる。
【0053】真空容器55内には、不図示の真空計等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになって
いる。
【0054】排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロータ
リーポンプ等からなる通常の高真空装置系と、イオンポ
ンプ等からなる超高真空装置系とにより構成されてい
る。ここに示した電子放出素子基板を配した真空処理装
置の全体は、不図示のヒーターにより加熱できる。
【0055】図6は、図5に示した真空処理装置を用い
て測定された放出電流Ie 及び素子電流If と、素子電
圧Vf との関係を模式的に示した図である。図6におい
ては、放出電流Ie が素子電流If に比べて著しく小さ
いので、任意単位で示している。尚、縦・横軸ともリニ
アスケールである。
【0056】図6からも明らかなように、本発明の電子
放出素子は、放出電流Ie に関して次の3つの特徴的性
質を有する。
【0057】即ち、第1に、本素子はある電圧(閾値電
圧と呼ぶ;図6中のVth)以上の素子電圧を印加すると
急激に放出電流Ie が増加し、一方閾値電圧Vth以下で
は放出電流Ie が殆ど検出されない。つまり、放出電流
e に対する明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子で
ある。
【0058】第2に、放出電流Ie が素子電圧Vf に単
調増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vf で制
御できる。
【0059】第3に、アノード電極54(図5参照)に
捕捉される放出電荷は、素子電圧Vf を印加する時間に
依存する。つまり、アノード電極54に捕捉される電荷
量は、素子電圧Vf を印加する時間により制御できる。
【0060】以上の説明より理解されるように、本発明
の電子放出素子は、入力信号に応じて、電子放出特性を
容易に制御できることになる。この性質を利用すると複
数の電子放出素子を配して構成した電子源、画像形成装
置等、多方面への応用が可能となる。
【0061】図6においては、素子電流If が素子電圧
f に対して単調増加する(MI特性)例を示したが、
素子電流If が素子電圧Vf に対して電圧制御型負性抵
抗特性(VCNR特性)を示す場合もある(不図示)。
これらの特性は、前述の工程を制御することで制御でき
る。
【0062】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を説明する
が、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、
本発明の目的が達成される範囲内での各要素の置換や設
計変更がなされたものをも包含する。
【0063】[実施例]本実施例に係る電子放出素子の
構成は図1と同様であり、その製造方法を図3を用いて
説明する。
【0064】1)基板1として石英基板を用い、これに
紫外線レーザーを照射して、溝2’及び溝3’を形成し
た(図3(a))。
【0065】2)電極材料としてPtをスパッタ法によ
り基板1の全面に堆積した(図3(b))後、基板表面
を研摩して、基板1に埋め込まれた状態の素子電極2,
3を形成した(図3(c))。この素子電極2,3の間
隔Lは10μm、長さWは160μmである。
【0066】3)素子電極2,3を設けた基板1上に、
導電性膜材料をスパッタ法により堆積し(図3
(d))、これをパターニングして導電性膜4を形成し
た(図3(e))。
【0067】このように導電性膜4が形成された素子電
極2,3間の抵抗は、複数の作成において1.3kΩ±
5%であった。
【0068】4)次に、素子電極2,3間に図4(b)
のようなパルス電圧を印加し、通電処理(フォーミング
処理)を行ったところ、導電性膜4の部位に電子放出部
5が形成された(図3(f))。なお、本実施例では、
パルス幅T1 を1msec.、パルス間隔T2 を10m
sec.とし、波高値は0Vから0.1Vステップで徐
々に上昇させ、約1.3×10-4Paの真空雰囲気下で
行った。また、上記のパルスとパルスの間に波高値0.
1Vの抵抗測定用のパルスを挿入して電流を測ることに
より抵抗を検知し、抵抗値が1MΩを越えたところでフ
ォーミング処理を終了した。この時のパルス波高値は、
複数の素子において10V±1Vの範囲内に収まってい
た。
【0069】上記のようにして得られた電子放出素子の
特性を図5に示した測定系により測定した。なお、真空
容器55内は約1.3×10-4Paの真空度とし、アノ
ード電極54と素子の距離Hは4mm、アノード電圧は
1kV、素子電極2と3の間に素子電圧を印加して、そ
の時に流れる素子電流If 及び放出電流Ie を測定し
た。
【0070】その結果、本実施例の素子は図6に示した
ようなI−V特性を示し、素子電流If が10mA±1
mAであった。
【0071】また、電子放出部5の位置(亀裂発生位
置)を観察したところ、位置のバラツキは±1μmの範
囲内であった。
【0072】[比較例]図7に示したような構成を有す
る比較用素子を作成した。
【0073】本比較用素子も、前記実施例の素子と同
様、素子電極2,3の間隔Lは10μm、長さWは16
0μmである。また、前記実施例と同様に素子電極2,
3間の抵抗が1.3kΩ±5%となるように導電性膜4
をスパッタ法により形成した。
【0074】しかしながら、実施例と同様にフォーミン
グ処理を行ったところ、フォーミング処理終了時のパル
ス波高値は、複数の素子において10V±2Vとバラツ
キが大きかった。
【0075】また、実施例と同様に特性を評価したとこ
ろ、素子電流If が10mA±3mAであった。また、
電子放出部5の位置(亀裂発生位置)を観察したとこ
ろ、位置のバラツキは±3μmとバラツキが大きかっ
た。
【0076】以上の結果から、本発明の製造方法によっ
て、形態的にも特性的にもより均一な電子放出素子が得
られることが確認された。
【0077】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、特
性の揃った電子放出素子を安定して作製することができ
る。このため、多数の電子放出素子を配列形成し、入力
信号に応じて電子を放出する電子源においては、各電子
放出素子の電子放出特性の均一化が実現され、更に、か
かる電子源を画像形成装置に用いれば、輝度むらによる
画像品位の低下の問題も解消され、高品位な画像形成装
置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子放出素子の一例を示す模式図であ
る。
【図2】本発明の電子放出素子の別の例を示す模式図で
ある。
【図3】本発明の電子放出素子の製造方法を説明するた
めの図である。
【図4】本発明の電子放出素子の製造に際して採用でき
る通電処理における電圧波形の一例を示す模式図であ
る。
【図5】本発明の電子放出素子の製造に用いることので
きる真空処理装置(測定評価装置)の一例を示す概略構
成図である。
【図6】本発明の電子放出素子の電子放出特性を示す図
である。
【図7】従来例の表面伝導型電子放出素子の模式図であ
る。
【図8】従来例の表面伝導型電子放出素子の製造時の問
題を説明するための図である。
【符号の説明】 1 基板 2,3 素子電極 2’,3’ 溝 4 導電性膜 5 電子放出部 50 素子電流Ifを測定するための電流計 51 電子放出素子に素子電圧Vfを印加するための電
源 52 電子放出部5より放出される放出電流Ieを測定
するための電流計 53 アノード電極54に電圧を印加するための高圧電
源 54 電子放出部5より放出される電子を捕捉するため
のアノード電極 55 真空容器 56 排気ポンプ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に設けられた電極間に跨がる導電性
    膜に電子放出部を有する電子放出素子の製造方法におい
    て、 基板表面に形成された溝部分に電極材料が埋め込まれて
    該基板表面が面一になるようにした後、この上に導電性
    膜を形成する工程を有することを特徴とする電子放出素
    子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記基板上に紫外線レーザーを照射し
    て、前記溝を形成することを特徴とする請求項1に記載
    の電子放出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記電子放出素子が、表面伝導型電子放
    出素子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    電子放出素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の方法に
    より製造されたことを特徴とする電子放出素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007088205A (ja) * 2005-09-22 2007-04-05 Tokyo Univ Of Agriculture & Technology 金属材料層の製造方法及び電子デバイスの製造方法
US7722424B2 (en) 2005-01-05 2010-05-25 Seiko Epson Corporation Electron emitter, method of manufacturing electron emitter, electro-optical device, and electronic apparatus

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007088205A (ja) * 2005-09-22 2007-04-05 Tokyo Univ Of Agriculture & Technology 金属材料層の製造方法及び電子デバイスの製造方法

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