JP2000247694A - フッ素を含む製鋼スラグの安定化処理法および安定化剤の製造法 - Google Patents

フッ素を含む製鋼スラグの安定化処理法および安定化剤の製造法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製鋼スラグ中に含有されるフッ素の溶出を効
果的に抑制することができない。 【解決手段】 製鋼スラグ融体にアルミニウム化合物を
添加し、凝固過程において安定なCaO −Al2O3 −F 系化
合物をスラグ中に析出させるとともに、製鋼スラグの雨
水や地下水等への溶解に際して、製鋼スラグから溶出す
るカルシウムイオンおよびアルミニウムイオンを用い
て、製鋼スラグから溶出されるフッ素を捕捉する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製鋼工程で不可避
的に発生する溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ、電気炉
スラグさらには二次精錬スラグといった、フッ素を含む
製鋼スラグを改質することによる、フッ素を含む製鋼ス
ラグの安定化処理法と、この安定化処理の際に用いるの
に好適な安定化剤の製造法とに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば1997年の1年間において、我が国
の製鋼スラグの排出総量は約1370万トンにも達した。こ
の製鋼スラグのうちの約840 万トンが土木工事、路盤材
および埋め立てに用いられた。一方、我が国の高炉スラ
グの排出総量は約2350万トンにも達した。この高炉スラ
グのうちの約1630万トンがセメントおよびコンクリート
に用いられた。
【0003】ところで、製鋼工程においては、スラグの
融点を下げて流動性を向上させ、スラグと溶鋼との反応
性を高めるために、螢石が添加される。この螢石に含有
されるフッ素は、長期間多量に摂取すると歯牙フッ素
症、骨フッ素症さらには運動障害性フッ素症等の各種障
害を引き起こすことが知られており、我が国でも水質環
境基準の指針値が制定されている。このため、製鋼スラ
グを、前述した土木工事や路盤材さらには埋め立てに用
いる場合には、製鋼スラグにフッ素溶出の抑制処理を行
って、埋め立て後の製鋼スラグからのフッ素の溶出に起
因した環境汚染の防止に充分に配慮する必要がある。
【0004】しかし、我が国の産業廃棄物最終処分基準
では、従来、埋め立て処分品についてのフッ素溶出量規
制値が制定されていなかったこともあって、産業廃棄物
からのフッ素溶出の抑制法は全く検討されていなかっ
た。
【0005】製鋼スラグを対象とするものではないが、
溶液中に高濃度に含まれるフッ素を除去する方法とし
て、石灰を溶液に添加することにより、安定なフッ化カ
ルシウムを沈殿させ、フッ素を除去する技術が知られて
いる。しかし、フッ素濃度が低下するに伴って、溶液中
でのフッ化カルシウムの生成反応は進行し難くなる。ま
た、これとは異なる方法として、活性アルミナ粒子にフ
ッ素イオンを吸着させる方法も知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、いずれの方法
においても、いわゆる水質汚濁防止法の排水基準値を下
回ることはできるものの、環境保護を考慮して、工業的
規模で製鋼スラグから溶出するフッ素濃度を所望の程度
に低下させることは、現実には困難である。
【0007】ここに、本発明の目的は、製鋼工程で不可
避的に発生する、例えば溶銑予備処理スラグ、転炉スラ
グ、電気炉スラグさらには二次精錬スラグ等といった、
フッ素を含む製鋼スラグを改質処理することにより、フ
ッ素を含む製鋼スラグからのフッ素溶出を抑制して、製
鋼スラグを確実に安定化処理することができる、フッ素
を含む製鋼スラグの安定化処理法を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、製鋼スラグを
改質することにより、製鋼スラグ中にフッ素を含む安定
な化合物を生成させるとともに、製鋼スラグの雨水や地
下水等への溶解に際して、製鋼スラグから溶出する成分
を用いてフッ素を捕捉する。また、本発明では、改質し
た高炉スラグを、フッ素を含む製鋼スラグの安定化処理
剤として用いる。
【0009】ここに、本発明の要旨とするところは、ア
ルミニウム化合物およびホウ素化合物の1種または2種
の組合せを製鋼スラグ融体に添加することにより製鋼ス
ラグを改質し、フッ素を含む製鋼スラグの安定化処理を
行うことを特徴とするフッ素を含む製鋼スラグの安定化
処理法である。
【0010】上記の本発明にかかる製鋼スラグの安定化
処理法は、具体的には、製鋼スラグ融体にアルミニウ
ム化合物を添加し、凝固過程において安定なCaO−Al2O
3 −F 系化合物をスラグ中に析出させるとともに、製鋼
スラグの雨水や地下水等への溶解に際して、製鋼スラグ
から溶出するカルシウムイオンおよびアルミニウムイオ
ンを用いて、フッ素イオンを捕捉する方法、製鋼スラ
グ融体にアルミニウム化合物およびホウ素化合物を添加
し、製鋼スラグの雨水や地下水等への溶解に際して、製
鋼スラグから溶出するカルシウムイオン、アルミニウム
イオンおよびホウ素イオンを用いて、フッ素イオンを捕
捉する方法、Al2O3 濃度を高めた製鋼スラグについ
て、還元により鉄濃度およびマンガン濃度を低下させる
ことにより、雨水や地下水等への溶解を促進し、製鋼ス
ラグから溶出するカルシウムイオン量およびアルミニウ
ムイオン量を増加させて、フッ素イオンを捕捉する方
法、製鋼スラグ融体にアルミニウム化合物、または、
アルミニウム化合物とシリカを添加し、これを急冷して
ガラス化することにより、製鋼スラグの雨水や地下水等
への溶解を抑制する方法、高炉スラグにカルシウム化
合物およびアルミニウム化合物を添加し、塩基度を上昇
させるとともにAl2O3 濃度を高め、これを微粉砕するこ
とにより、改質された高炉スラグの雨水や地下水等への
溶解を促進し、改質された高炉スラグから溶出するカル
シウムイオン量およびアルミニウムイオン量を増加させ
て、製鋼スラグから溶出したフッ素イオンを捕捉する方
法である。
【0011】上記の本発明では、(i) アルミニウム化合
物が、アルミナレンガ屑、低品位アルミ灰、窯業から発
生するアルミナ廃棄物、フッ素を実質的に含まない二次
精錬スラグおよび天然鉱物の1種または2種以上の組合
せに由来すること、(ii)ホウ素化合物が、合成B2O3およ
び天然鉱物の1種または2種の組合せに由来すること、
(iii) 製鋼スラグが、製鋼工程で発生する溶銑予備処理
スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグまたは二次精錬スラ
グであること、(iv)カルシウム化合物が、石灰石または
生石灰であることが、それぞれ例示される。
【0012】本明細書において、「フッ素を実質的に含
まず」とは、溶出しない程度のフッ素を含むことを意味
する。また、これらの本発明では、溶融スラグ中のAl2O
3 濃度が20〜40重量%であることが、フッ素の安定化を
確実に行うために望ましい。
【0013】また、これらの本発明では、溶融スラグ中
のAl2O3 濃度が20〜60重量%であると同時にB2O3濃度が
2〜5重量%であることが、フッ素の安定化を確実に行
うために望ましい。
【0014】また、これらの本発明では、製鋼スラグ
が、溶融状態でアルミニウム化合物およびホウ素化合物
の1種または2種の組合せをシリカとともに添加された
後、急冷されてガラス化されることにより改質されるこ
とが望ましく、溶融スラグ中のCaO/SiO2 濃度比が0.
5 〜1.5 、Al2O3 濃度が15〜40重量%であることが、フ
ッ素の安定化を確実に行うためには望ましい。
【0015】また、これらの本発明では、製鋼スラグ
が、製鋼スラグ融体にアルミニウム化合物およびホウ素
化合物の1種または2種の組合せを添加された後、炭素
またはアルミ灰を添加されて酸化鉄および酸化マンガン
を還元除去されることにより、例えば、スラグ中の全Fe
濃度およびMnO濃度をそれぞれ3重量%以下、Al2O3
度を20〜60重量%、B2O3濃度を2〜5重量%に、改質す
ることが、フッ素の安定化を確実に行うためには望まし
い。
【0016】また、これらの本発明では、高炉スラグ融
体にカルシウム化合物およびアルミニウム化合物を添加
した後、必要に応じて、融点を降下させるために例えば
ホウ素化合物や塩化カルシウム等の融点降下剤を添加す
ることによって、スラグ中のSiO2 濃度を20重量%以
下、Al2O3 濃度を30〜50重量%にした後、粉砕して得ら
れる改質された高炉スラグを、安定化剤として用いるこ
とが、製鋼スラグから溶出したフッ素の安定化を確実に
行うために望ましい。
【0017】さらに、別の観点からは、本発明は、高炉
スラグ融体に、カルシウム化合物およびアルミニウム化
合物を添加することにより改質を行うことを特徴とす
る、フッ素を含む製鋼スラグの安定化剤の製造法であ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるフッ素を含
む製鋼スラグの安定化処理法、および安定化剤の製造法
の実施形態を、添付図面を参照しながら、詳細に説明す
る。
【0019】図1は、本実施形態の安定化処理法によ
り、融体の製鋼スラグ1a〜1dに改質処理を施す状況を模
式的に示す説明図である。また、図2は、本実施形態の
安定化処理法により、融体の製鋼スラグ1a〜1dの組成を
変化させた後、急冷しガラス化処理することにより、融
体の製鋼スラグ1a〜1dに改質処理を施す状況を模式的に
示す説明図である。さらに、図3は、本実施形態の安定
化処理法により、融体の高炉スラグ7に改質処理を施す
状況を模式的に示す説明図である。
【0020】図1に示す本実施形態では、アルミナレン
ガ屑2a、低品位アルミ灰2b、窯業から発生するアルミナ
廃棄物2c、フッ素を実質的に含まない二次精錬スラグ2
d、アルミナを含む天然鉱物2e、酸化ホウ素合成物2f、
酸化ホウ素を含む天然鉱物2g、黒鉛2h、アルミ灰2iの粒
子または粉末2を改質剤として用い、フッ素を含む製鋼
スラグ融体1の安定化処理を行っている。
【0021】図2に示す本実施形態では、アルミナレン
ガ屑2a、低品位アルミ灰2b、窯業から発生するアルミナ
廃棄物2c、フッ素を実質的に含まない二次精錬スラグ2
d、アルミナを含む天然鉱物2e、酸化ホウ素合成物2f、
酸化ホウ素を含む天然鉱物2g、脱珪スラグ2j、珪石2kの
粒子または粉末2を改質剤として用い、フッ素を含む製
鋼スラグ融体1の安定化処理を行っている。
【0022】さらに、図3に示す本実施形態では、アル
ミナレンガ屑2a、低品位アルミ灰2b、窯業から発生する
アルミナ廃棄物2c、フッ素を実質的に含まない二次精錬
スラグ2d、アルミナを含む天然鉱物2e、石灰石2m、生石
灰2n、酸化ホウ素合成物2f、酸化ホウ素を含む天然鉱物
2g、塩化カルシウム2pの粒子または粉末2’を改質剤と
して用いて、高炉スラグ7の成分調整を行った後、粉砕
を行っている。そこで、以降の説明では、製鋼スラグ
1、改質剤2、製鋼スラグ1の改質処理、高炉スラグ
7、改質剤2’、高炉スラグ7の改質処理について、順
次説明する。
【0023】[製鋼スラグ1]本実施形態において改質処
理が行われる製鋼スラグ融体1は、フッ素を含む溶銑予
備処理スラグ1a、フッ素を含む転炉スラグ1b、フッ素を
含む電気炉スラグ1cおよびフッ素を含む二次精錬スラグ
1dの4種である。
【0024】本実施形態では、製鋼スラグ1を発生する
製鋼プロセスの形態に関しては、何ら限定を要さない。
このような製鋼スラグ1として、例えば、トーピー
ド、溶銑鍋または転炉において生成される溶銑予備処理
スラグ1a、上吹き操業、底吹き操業または上下吹き操
業等により生成される転炉スラグ1b、高周波加熱また
はアーク加熱により生成される電気炉スラグ1c、高周
波加熱またはアーク加熱により生成される二次精錬スラ
グ1dが例示される。
【0025】製鋼スラグ1の組成は、当然のことなが
ら、例えば操業法や溶鋼組成等の各種要因により変動す
る。しかし、溶銑予備処理スラグ1a、転炉スラグ1b、電
気炉スラグ1c、二次精錬スラグ1dのいずれもがフッ素を
含んでいる。例えば、溶銑予備処理スラグ1aでは0.1 〜
7.1 重量%のフッ素を、転炉スラグ1bは0.2 〜3.5 重量
%のフッ素を、電気炉スラグ1cは1.0 〜8.9 重量%のフ
ッ素を、さらに二次精錬スラグ1dでは0.1 〜5.7 重量%
のフッ素を、それぞれ含有する。
【0026】[改質剤2]本発明では、改質剤の粒子また
は粉末2のうち、アルミニウム系改質剤として、アルミ
ナレンガ屑2a、低品位アルミ灰2b、窯業から発生するア
ルミナ廃棄物2c、フッ素を実質的に含まない二次精錬ス
ラグ2d、アルミナを含む天然鉱物2e、ホウ素系改質剤と
して、酸化ホウ素合成物2f、酸化ホウ素を含む天然鉱物
2g、シリコン系改質剤として、脱珪スラグ2j、珪石2k、
還元剤として黒鉛2h、アルミ灰2iの粒子または粉末2を
改質剤として用いる。
【0027】本発明では、アルミナレンガ屑2aとは、ア
ルミナを含むレンガからなる産業廃棄物であり、例えば
高アルミナレンガ屑の場合には90重量%以上のAl2O3
含んでいる。
【0028】アルミ灰2iとは、アルミニウム地金、スク
ラップの溶解に際して発生するアルミニウムドロス (ス
ラグ) であり、40〜60重量%の金属Alを含んでいる。ま
た、低品位アルミ灰2bとは、このアルミニウムドロスか
ら金属アルミニウムを回収した後の残灰およびダスト灰
であり、その主成分は約39重量%以上のAl2O3 、約35重
量%以下のAlN、約10重量%以下の金属Alである。
【0029】フッ素を実質的に含まない二次精錬スラグ
2dとは、螢石等のフッ素を含む原料を添加せずに、真空
精錬法、取鍋精錬法または簡易取鍋精錬法等の二次精錬
(炉外精錬) を行った際に生成されたスラグを意味し、
アルミナを20〜35重量%含むものである。二次精錬スラ
グについて、X線回折法等の適宜方法により鉱物相を同
定すると、二次精錬スラグ中のCaO 濃度およびAl2O3
度が高い場合には、CaO・Al2O3 相、12CaO・7Al2O3相お
よび3CaO・7Al2O3相が主要鉱物相として認められる。
【0030】アルミナを含む天然鉱物2eとしては、例え
ば、NaAl11O17 組成の鉱物としてDiaoyudaoiteが、CaAl
12O19 組成の鉱物としてHiboniteが、12CaO・7Al2O3
成の鉱物としてMayeniteが、CaO・Al2O3・8.5H2O組成の
鉱物としてTunisiteがある。
【0031】酸化ホウ素合成物2fとは、約70重量%のB2
O3を含む化学合成品である。ホウ酸を含む天然鉱物2gは
数多く存在し、例えば、Na2B4O5(OH)4・8H2O組成の鉱物
としてBorax が、Ca2B6011・7H2O組成の鉱物としてMeye
rhofferiteが、NaCaB5O9・5H2O組成の鉱物としてProber
titeが、Mg2B12O20・15H2O 組成の鉱物としてAdmontite
が、CaAlB3O7組成の鉱物としてJohachidolite が、CaM
gB2O5組成の鉱物としてKurchatoviteがある。
【0032】脱珪スラグ2jとは、高炉から出銑された溶
銑への酸化鉄添加または酸素吹き付けにより溶銑中のシ
リコンを除去する操作を行った際に生成されたスラグを
意味し、SiO2を主成分として含むものである。
【0033】本実施形態では、アルミナレンガ屑2a、低
品位アルミ灰2b、窯業から発生するアルミナ廃棄物2c、
フッ素を実質的に含まない二次精錬スラグ2d、アルミナ
を含む天然鉱物2eの1種または2種の組合せをアルミニ
ウム系改質剤として用い、製鋼スラグ融体に添加する。
添加後の製鋼スラグ中のAl2O3 濃度が25重量%以上であ
ることにより、製鋼スラグの凝固に際して11CaO・7Al2O
3・CaF2相が析出し、フッ素が固定化される。また、12C
aO・7Al2O3、3CaO・Al2O3 相が析出し、雨水や地下水等
への製鋼スラグの溶解に際して、カルシウムイオンおよ
びアルミニウムイオンが溶出し易くなるため、これらイ
オンとフッ素イオンとの反応によりフッ素が捕捉され
る。しかし、過度のアルミニウム系改質剤の添加は、雨
水や地下水等への製鋼スラグの溶解性を逆に損ねるため
に、製鋼スラグ中のAl2O3 濃度は40重量%以下であるこ
とが望ましい。
【0034】逆に、急冷により製鋼スラグをガラス化す
る際には、雨水や地下水等への製鋼スラグの溶解性を極
力抑制することが要求されるため、製鋼スラグ中のAl2O
3 濃度は高いほうが望ましいが、過度にAl2O3 濃度を上
昇させることにより製鋼スラグ融体の粘性が上昇し、ま
た体積が増加して、作業性の悪化を招くことから、60重
量%以下にすることが望ましい。
【0035】本実施形態では、酸化ホウ素合成物2f、酸
化ホウ素を含む天然鉱物2gをホウ素系改質剤として用
い、製鋼スラグ融体に添加する。添加後の製鋼スラグ中
のB2O3濃度が2重量%以上であることにより、雨水や地
下水等への製鋼スラグの溶解に際して、ホウ酸イオンが
溶出し、水中でカルシウム等の金属イオンおよびフッ素
イオンと反応して、フッ素が捕捉される。しかし、過度
のホウ素系改質剤の添加によって、雨水や地下水等への
製鋼スラグからのホウ素溶出量が過剰になり、水質環境
基準値である1mg/Lを超過するため、製鋼スラグ中のB2
O3濃度は5重量%以下であることが望ましい。
【0036】本実施形態では、急冷により製鋼スラグを
ガラス化する際には、脱珪スラグ2j、珪石2kをシリコン
系改質剤として用い、製鋼スラグ融体に添加することが
できる。製鋼スラグの簡便で確実なガラス化のために
は、製鋼スラグ中のSiO2濃度は高いほうが望ましいが、
過度にSiO2濃度を上昇させることにより製鋼スラグ融体
の粘性が上昇し作業性の悪化を招くことから、溶融スラ
グ中のCaO/SiO2濃度比は0.5 〜1.5 とすることが望まし
い。この際の製鋼スラグ中のAl2O3 濃度は高いほうが望
ましいが、過度にAl2O3 濃度を上昇させることにより製
鋼スラグ融体の粘性が上昇するとともに体積が増加し、
作業性の悪化を招くことから、15〜40重量%にすること
が望ましい。
【0037】本実施形態では、製鋼スラグ中の酸化鉄濃
度および酸化マンガン濃度を低下させることにより、雨
水や地下水等への製鋼スラグの溶解性を向上させて、カ
ルシウムイオンおよびアルミニウムイオンを溶出し易く
し、これらイオンとフッ素イオンとの反応によりフッ素
が捕捉される。このために、スラグ中の全Fe濃度および
MnO 濃度がそれぞれ3重量%以下になるように、還元剤
として黒鉛2hおよびアルミ灰2iの1種または2種の組合
せを製鋼スラグ融体中に添加する。その際、アルミニウ
ム系改質剤またはホウ素系改質剤を添加し、Al2O3 濃度
を25〜40重量%、B2O3濃度を2〜5重量%にすることに
より、雨水や地下水等への二次精錬スラグの溶解におい
て溶出したフッ素の安定化が確実に行われる。また、こ
の方法で得られた、Al2O3 濃度が高く、酸化鉄および酸
化マンガンをほとんど含まない製鋼スラグは、カルシウ
ムイオンおよびアルミニウムイオンが溶出し易く、これ
らイオンとフッ素イオンとの反応によりフッ素を捕捉す
る能力が大きいため、これを粉砕し、改質処理を施さな
い製鋼スラグと混和することにより、改質処理を施さな
い製鋼スラグから雨水や地下水等によって溶出したフッ
素イオンを固定化する安定化剤として用いることができ
る。
【0038】[製鋼スラグの改質処理] [ガラス化処理を伴わない改質処理]図1に示すように、
本実施形態では、上述した粒子または粉末2を用い、溶
銑予備処理スラグ1a、転炉スラグ1b、電気炉スラグ1c、
または、二次精錬スラグ1dの改質処理を行う。
【0039】製鋼スラグである溶銑予備処理スラグ1a、
転炉スラグ1b、電気炉スラグ1c、または、二次精錬スラ
グ1dの改質処理は、これらスラグが溶融状態で存在する
改質炉3に粒子または粉末2を適量添加した後、攪拌混
合することにより改質し、これをのろ畑4で冷却・凝固
する処理である。
【0040】本実施形態では、製鋼スラグ1を改質する
改質炉3の形態に関しては、何ら限定を要さない。この
ような改質炉3として、例えば、トーピード、溶銑鍋、
転炉、取鍋またはスラグ鍋が例示され、当然のことなが
ら、例えば操業スケジュール等の各種要因により変動す
る。簡便な手段として、出銑・出鋼した後に、トーピー
ド、溶銑鍋または転炉等にそのまま溶融スラグを残留さ
せることによって、改質処理が行われる。あるいは、ス
ラグ鍋に出銑された後に、スラグ鍋内で改質処理が行わ
れる。
【0041】特に、酸化ホウ素合成品2fまたは酸化ホウ
素を含む天然鉱物2gを添加する場合には、出銑した後に
残留するスラグが次に装入する溶鋼と反応して、溶鋼中
のホウ素濃度が上昇し、鋼材特性に悪影響を及ぼす可能
性があることから、スラグ鍋においてこれらホウ素系改
質剤を添加することが望ましい。
【0042】また、本実施形態では、改質剤2を添加し
た後に製鋼スラグ融体を攪拌混合する方法に関しては、
何ら限定を要さない。このような攪拌方法としては、機
械的攪拌やガスバブリング等が例示される。
【0043】また、本実施形態では、改質された製鋼ス
ラグの冷却・凝固工程に関しては、何ら限定を要さず、
直接のろ畑4に搬送し出銑して冷却・凝固する方法、一
旦ドライピット5で凝固させた後のろ畑4に搬送する方
法が例示される。
【0044】[ガラス化による改質処理]図2に示すよう
に、本実施形態では、ガラス化処理を伴わない改質処理
で行われたと同様の方法により、製鋼スラグ融体の成分
調整を行った後、急冷により製鋼スラグをガラス化す
る。
【0045】ガラス化による改質処理は、改質炉3中に
おいて、改質剤2を添加することによって改質された製
鋼スラグ融体を、急冷凝固装置6によって急冷し、ガラ
ス化した後、のろ畑4に搬送する処理である。
【0046】ここで、改質剤2のうち、アルミニウム系
改質剤2a〜2e、シリコン系改質剤2j〜2kの両者を兼ね備
えた改質剤として、石炭灰 (SiO250〜65重量%−Al2O3
20〜30重量%) を使用することもできる。
【0047】本実施形態では、改質された製鋼スラグ融
体をガラス化する急冷凝固装置6の形態に関しては、何
ら限定を要さない。このような急冷凝固装置6として、
エアスプレーによる風砕処理装置や、吹製缶内での高圧
水スプレーによる冷却装置等が例示される。
【0048】[高炉スラグ7]高炉スラグ7の組成は、例
えば操業法や溶銑組成等の各種要因によって若干変動す
るに過ぎず、本実施形態に影響を与えない。
【0049】[改質剤2']本実施形態では、アルミニウ
ム系改質剤として、アルミナレンガ屑2a、低品位アルミ
灰2b、窯業から発生するアルミナ廃棄物2c、フッ素を実
質的に含まない二次精錬スラグ2d、アルミナを含む天然
鉱物2e、カルシウム系改質剤として、石灰石2m、生石灰
2n、融点降下剤として、酸化ホウ素合成物2f、酸化ホウ
素を含む天然鉱物2g、塩化カルシウム2pの粒子または粉
末2' を改質剤として用いる。
【0050】本実施形態では、アルミナレンガ屑2a、低
品位アルミ灰2b、窯業から発生するアルミナ廃棄物2c、
フッ素を実質的に含まない二次精錬スラグ2d、アルミナ
を含む天然鉱物2eの1種または2種以上の組合せをアル
ミニウム系改質剤として用い、さらに、石灰石2mおよび
生石灰2nの1種または2種の組合せをカルシウム系改質
剤として用い、高炉スラグ融体に添加する。添加後の高
炉スラグ中のAl2O3 濃度が35〜50重量%、CaO 濃度が40
〜55重量%となり、改質剤により高炉スラグが希釈され
てSiO2濃度が20重量%以下であることにより、雨水や地
下水等への製鋼スラグの溶解に際して、カルシウムイオ
ンおよびアルミニウムイオンが溶出し易くなるため、こ
れらイオンが製鋼スラグから溶出したフッ素イオンと反
応することによりフッ素が捕捉される。
【0051】本実施形態では、通常の高炉スラグ組成で
ある40〜48重量%CaO −35〜38重量%SiO2−15〜20重量
%Al2O3 から、Al2O3 濃度が35〜50重量%、CaO濃度が4
0〜55重量%、SiO2濃度が20重量%以下の組成まで変化
させる際に、1549℃の高融点領域を通過する必要があ
る。このため、酸化ホウ素合成物2f、酸化ホウ素を含む
天然鉱物2g、塩化カルシウム2pの1種または2種以上の
組合せを融点降下剤として用い、高炉スラグ融体の融点
を低下させ、より低温で高炉スラグ組成の調整を可能に
する。高炉スラグ融体の融点を低下させるのに有効な融
点降下剤の量は、例えば添加後の高炉スラグ中のB2O3
度が2〜5重量%またはCaCl2 濃度が0.5〜2重量%で
ある。この際、成分調整された高炉スラグ中にB2O3が含
まれることにより、付随的な効果として、雨水や地下水
等への高炉スラグの溶解に際して、ホウ素イオンが溶出
し、水中でカルシウム等の金属イオンおよびフッ素イオ
ンと反応して、フッ素が捕捉される。
【0052】[高炉スラグの改質処理]図3に示すよう
に、本実施形態では、上述した粒子または粉末2を用
い、高炉スラグ7の改質処理を行う。
【0053】高炉スラグ7の改質処理は、高炉スラグが
溶融状態で存在する改質炉3に粒子または粉末2を適量
添加した後、攪拌混合することにより改質し、これをの
ろ畑4で冷却・凝固した後、粉砕機8により粉砕する処
理である。
【0054】本実施形態では、高炉スラグ1を改質する
改質炉3の形態に関しては、何ら限定を要さない。この
ような改質炉3として、スラグ鍋または溶銑鍋が例示さ
れる。
【0055】また、本実施形態では、改質剤2を添加し
た後に製鋼スラグ融体を攪拌混合する方法に関しては、
何ら限定を要さない。このような攪拌方法としては、機
械的攪拌やガスバブリング等が例示される。
【0056】また、本実施形態では、改質された製鋼ス
ラグの冷却・凝固工程に関しては何ら限定を要さず、直
接のろ畑4に搬送し出滓して冷却・凝固する方法、一旦
ドライピット5で凝固させた後のろ畑4に搬送する方法
が例示される。また、本実施形態では、粉砕機8に関し
ては何ら限定を要さず、ローラーミルによる粗粉砕とボ
ールミルによる微粉砕とを組み合わせた工程が例示され
る。
【0057】[安定化の作用] [アルミニウム化合物による改質作用]このような改質処
理により、図1に示す溶銑予備処理スラグ1a、転炉スラ
グ1b、電気炉スラグ1c、または、二次精錬スラグ1dに含
まれるフッ素が、製鋼スラグ融体の冷却・凝固の際に固
定化される機構を説明する。
【0058】本発明者らは、製鉄所で採取した溶銑予備
処理スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグおよび二次精錬
スラグのそれぞれを再溶解し、Al2O3 試薬またはアルミ
ナレンガ屑を添加することにより、Al2O3 濃度を種々変
化させた。これを溶解炉内で徐冷して得たスラグ試料を
研磨し、X線マイクロアナライザーにより、スラグ断面
における各鉱物相の面積率の変化を測定した。その結
果、改質処理を行わない製鋼スラグ中において、フッ素
はCaF2、Ca5F(PO4)3、3CaO・2SiO2・CaF2、(2CaO・Si
O2)2・CaF2、(3CaO・SiO2)3・CaF2または11CaO・7Al2O3
・CaF2の各鉱物相として存在したが、改質処理によりAl
2O3 濃度が高くなるにつれて、CaF2相、3CaO・SiO2・Ca
F2相、 (2CaO・SiO2)2・CaF2相、 (3CaO・SiO2)3・CaF2
相が減少・消失し、11CaO・7Al2O3・CaF2相の量が増加
することを見出した。また、12CaO・7Al2O3相または3Ca
O・Al2O3 相の量も増加した。
【0059】本発明者らは、CaF2試薬粉末、Ca5F(PO4)3
試薬粉末、および、固相焼結によって合成した3CaO・2S
iO2・CaF2粉末および11CaO・7Al2O3・CaF2粉末を水溶液
に添加し、pH調整を行いながら、これらフッ素化合物の
溶解度を求めた。その結果、11CaO・7Al2O3・CaF2化合
物からのフッ素溶出量が他のフッ素化合物と比べて著し
く低いことを見出した。
【0060】以上の実験結果から、製鋼スラグ融体にア
ルミニウム化合物を添加し、製鋼スラグ中の含フッ素相
を主に11CaO・7Al2O3・CaF2とすることにより、製鋼ス
ラグからのフッ素溶出は抑制される。さらに、12CaO・7
Al2O3相または3CaO・Al2O3相の量が増加することによ
り、水溶液中へのカルシウムおよびアルミニウムの溶出
量が多くなる。
【0061】また、本発明者らは、製鉄所で採取した製
鋼スラグを再溶解し、Al2O3 試薬またはアルミナレンガ
屑を添加することによりAl2O3 濃度を種々変化させた
後、黒鉛棒で攪拌しながら炭素粉またはアルミ灰を添加
して、製鋼スラグ融体からの酸化鉄および酸化マンガン
の還元除去を行った。これを溶解炉内で徐冷して得たス
ラグ試料を研磨し、X線マイクロアナライザーにより、
スラグ断面における各鉱物相の面積率の変化を測定し
た。その結果、改質処理を行わない製鋼スラグ中におい
て存在していたカルシウムフェライトが消失し、12CaO
・7Al2O3相または3CaO・Al2O3 相の量が増加した。この
改質方法によっても、水溶液中へのカルシウムおよびア
ルミニウムの溶出量が多くなる。
【0062】また、図3において、高炉スラグ融体にカ
ルシウム化合物およびアルミニウム化合物を添加して高
炉スラグ組成を調整した後、冷却・凝固することによ
り、スラグ中に12CaO ・7Al2O3相、3CaO・Al2O3 相また
は2CaO・Al2O3・SiO2相を析出させることができる。こ
の改質方法によっても、水溶液中へのカルシウムおよび
アルミニウムの溶出量が多くなる。
【0063】次に、本実施形態の改質処理により、図1
に示す溶銑予備処理スラグ1a、転炉スラグ1b、電気炉ス
ラグ1c、または、二次精錬スラグ1dに含まれるフッ素が
水中に溶出した際に 固定化される機構を説明する。
【0064】フッ化水素酸を蒸留水で希釈した溶液を攪
拌しながら、高温焼成によって合成した3CaO・Al2O3
12CaO・7Al2O3またはCaO・Al2O3 の小塊を浸漬して3〜
12時間反応させ、反応後の3CaO・Al2O3 、12CaO
・7Al2O3またはCaO・Al2O3 の小塊表面の鉱物相をX線
マイクロアナライザーにより同定した。また、フッ化水
素酸を蒸留水で希釈した溶液に、高温焼成によって合成
した3CaO・Al2O3 、12CaO・7Al2O3またはCaO・Al2O3
粉末を添加し、3〜12時間攪拌して、反応後の粉末につ
いて、その鉱物相をX線回折法により同定した。その結
果、12CaO・7Al2O3および3CaO・Al2O3 粉末の場合には3
CaO・Al2O3・Ca(OH)2-x Fx・18H2O 、CaAl(OH)5-x Fx
H2O 、Ca3Al2(OH)12-x Fx 、Ca3Al2(OH)2F10・H2O が、
また、CaO・Al2O3 粉末の場合にはCaAl2(OH)8-X Fx 、C
a3Al2(OH)8-X Fx・yH2O、Ca2Al(OH)7-X Fx ・3H2O、Ca3
Al2(OH)12-X Fx が存在することが認められた。
【0065】カルシウムアルミネートを含有する粉末に
よる、このようなフッ素の安定化は、下記の反応機構に
より説明される。製鋼スラグについて平成3年環境庁告
示第46号による溶出試験を行うと、溶出液のpHは10以上
となるため、溶出液中でアルミニウムイオンはAl3+では
なく、AlO2 - として存在する。
【0066】例えば、3CaO・Al2O3 粉末が水共存下でフ
ッ素イオンと反応してCa3Al2(OH)12-XFx が生成する場
合、3CaO・Al2O3 粉末からカルシウムおよびアルミニウ
ムが溶出してイオンとなる反応(1) 式と、カルシウムイ
オンおよびアルミニウムイオンがフッ素イオンと反応し
てCa3Al2(OH)12-xFxが生成する(2) 式が進行する。
【0067】 3CaO・Al2O3 +2H2O→3Ca2+ +2AlO2 - +4OH - ・・・・・・・(1) 3Ca2+ +2AlO2 - +xF- +(4−x)OH- +4H2O→Ca3Al2(OH)12-XFx ・・・・・・・(2) 一方、12CaO・7Al2O3粉末が水共存下でフッ素イオンと
反応して3CaO・Al2O3・Ca(OH)2-x Fx・18H2O が生成す
る場合、12CaO・7Al2O3粉末からカルシウムおよびアル
ミニウムが溶出してイオンとなる反応(3) 式と、カルシ
ウムイオンおよびアルミニウムイオンがフッ素イオンと
反応して3CaO・Al2O3・Ca(OH)2-x Fx・18H2O が生成す
る(4) 式が進行する。
【0068】 12CaO ・7Al2O3+5H2O→12Ca2++14AlO2 - +10OH- ・・・・・・・(3) 4Ca2+ +2AlO2 - +xF- +(6−x)OH- +16H2O → 3CaO・Al2O3 ・Ca(OH)2-x Fx・18H2O ・・・・・・・(4) また、CaO・Al2O3 粉末が水共存下でフッ素イオンと反
応してCaAl2(OH)8-X Fxが生成する場合、CaO・Al2O3
末からカルシウムおよびアルミニウムが溶出してイオン
となる反応(5) 式と、カルシウムイオンおよびアルミニ
ウムイオンがフッ素イオンと反応してCaAl2(OH)8-X Fx
が生成する(6) 式が進行する。
【0069】 CaO ・Al2O3 →Ca2++2AlO2 - ・・・・・・・(5) Ca2++2AlO2 - +xF- +xH+ +(4−x)H2O →CaAl2(OH)8-X Fx ・・・・・・・(6) 本発明によれば、このようにして、製鋼スラグ中のAl2O
3 濃度を増加させることにより、スラグ中の3CaO・Al2O
3 相または12CaO・7Al2O3相の量が増加し、製鋼スラグ
からのカルシウムおよびアルミニウムの溶出が多くなる
ため、結果的に溶液中に溶出したフッ素が固定化され
る。また、製鋼スラグを還元して酸化鉄および酸化マン
ガンの濃度を著しく低下させることにより、スラグ中の
3CaO・Al2O3 相または12CaO・7Al2O3相の量が増加し、
製鋼スラグからのカルシウムおよびアルミニウムの溶出
が多くなるため、結果的に溶液中に溶出したフッ素が固
定化される。さらに、図3において、高炉スラグ中のCa
O 濃度 およびAl2O3 濃度を増加させることにより、ス
ラグ中の3CaO・Al2O3 相または12CaO・7Al2O3相の量が
増加し、高炉スラグからのカルシウムおよびアルミニウ
ムの溶出が多くなるため、結果的に溶液中に溶出したフ
ッ素が固定化される。
【0070】[ホウ素化合物による改質作用]フッ化水素
酸を蒸留水で希釈した溶液を攪拌しながら、Ca(OH)2
薬を蒸留水に溶解することにより作製したCaイオン溶
液、アルミン酸ナトリウム試薬を蒸留水に溶解すること
により作製したAlイオン溶液、およびH3BO3 試薬を蒸留
水に溶解することにより作製したホウ素イオン溶液を同
時に滴下した。3〜12時間反応させ、溶液を濾過して反
応生成物を回収し、X線回折法およびX線マイクロアナ
ライザーにより同定した。その結果、Ca6Al2B4O6(OH)
18-x Fx・30H2O 、Ca6Al2B2O6(OH)12-xFx・36H2O 、Ca
[B(OH)4-x Fx ] ・yH2Oが存在することが認められた。
【0071】ホウ素によるこのようなフッ素の安定化
は、下記の反応機構により説明される。水溶液のpHによ
ってホウ素イオンの存在形態は大きく変化し、製鋼スラ
グについて環境庁告示第46号による溶出試験を行った際
の溶出液のpHである10〜12では、B4O7 2-またはH2BO3 -
として存在するとみなされる。
【0072】例えば、溶液中でカルシウムイオン、アル
ミニウムイオンおよびホウ素イオンがフッ素イオンと反
応してCa6Al2B4O6(OH)18-x Fx・30H2O が生成する場
合、その反応式は(7) 式または(8) 式で表される。
【0073】 6Ca2++2AlO2 - +B4O7 2-+xF- +(8−x)OH- +35H2O → Ca6Al2B4O6(OH)18-x Fx・30H2O ・・・・・・・(7) 6Ca2++2AlO2 - +4H2BO3 - +xF- +(6−x)OH- +32H2O → Ca6Al2B4O6(OH)18-x Fx・30H2O ・・・・・・・(8) また、溶液中でカルシウムイオン、アルミニウムイオン
およびホウ素イオンがフッ素イオンと反応してCa6Al2B2
O6(OH)12-xFx・36H2O が生成する場合、その反応式は
(9) 式または(10)式で表される。
【0074】 12Ca2+ +4AlO2 - +B4O7 2-+2xF - + (18−2x)OH - +75H2O → 2[Ca6Al2B2O6(OH)12-x Fx・36H2O] ・・・・・・・(9) 6Ca2++2AlO2 - +2H2BO3 - +xF- +(8−x)OH- +36H2O → Ca6Al2B2O6(OH)12-x Fx・36H2O ・・・・・・・(10) 本発明によれば、このようにして、製鋼スラグ中にB
をアルミニウム化合物とともに添加することによ
り、製鋼スラグからのカルシウムおよびアルミニウムの
溶出と同時にホウ素が溶出するため、結果的に溶液中に
溶出したフッ素が固定化される。また、製鋼スラグ融体
および高炉スラグ融体中にB2O3が含まれることにより、
これらスラグ融体の融点を降下させる作用が大きい。
【0075】[ガラス化処理による改質作用]本発明者ら
は、製鉄所で採取した溶銑予備処理スラグ、転炉スラ
グ、電気炉スラグおよび二次精錬スラグのそれぞれを再
溶解し、Al2O3 試薬およびSiO2試薬を添加することによ
り製鋼スラグ中のAl2O3 濃度およびSiO2濃度を種々変化
させた。これを水冷銅板上で急冷し、ガラス試料とし
た。得られたガラス状製鋼スラグの小塊を白金線に固定
し、ポリプロピレンビーカ内の蒸留水に浸漬して、超音
波を印加しながら、ガラス状製鋼スラグの単位表面積当
たりの重量減少の経時変化を求めた。その結果、改質処
理を行わない製鋼スラグと比較して、ガラス化処理した
製鋼スラグの重量減少は著しく遅かった。また、スラグ
を浸漬した水溶液中のCa、Al、Siおよびフッ素濃度を定
量した結果からも、ガラス化した製鋼スラグが水に溶解
し難いことが明らかとなった。
【0076】これらの実験結果から、図2に示す本実施
形態により、溶銑予備処理スラグ1a、転炉スラグ1b、電
気炉スラグ1c、または、二次精錬スラグ1dに、アルミニ
ウム系改質剤2a〜2e、または、アルミニウム系改質剤2a
〜2eとシリコン系改質剤2j〜2k、または、アルミニウム
系改質剤2a〜2eとシリコン系改質剤2j〜2kとホウ素系改
質剤2f〜2gを添加した後、急冷してガラス化することに
より、製鋼スラグ1a〜1dは水に溶解し難くなり、結果的
に製鋼スラグからのフッ素溶出は抑制される。
【0077】このように、本発明によれば、溶銑予備処
理スラグ1a、転炉スラグ1b、電気炉スラグ1cおよび二次
精錬スラグ1dといった、フッ素を含む製鋼スラグを、確
実に安定化処理することができる。また、この処理に際
して、低コストのフッ素を含まない二次精錬スラグ2c、
高炉スラグ7 を用いることもできるため、処理コストの
低減が可能となる。
【0078】
【実施例】さらに、本発明を実施例を参照しながら詳細
に説明する。 (実施例1)スラグヤードで採取された溶銑予備処理スラ
グ、転炉スラグ、電気炉スラグ、および、二次精錬スラ
グの化学組成を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】これらの各スラグについて、平成3年環境
庁告示第46号で規定された溶出試験を行った。フッ素の
溶出量と、水質環境基準の指針値との対比を表2に示
す。
【0081】
【表2】
【0082】表2に示す結果から、溶銑予備処理スラ
グ、転炉スラグ、電気炉スラグおよび二次精錬スラグの
いずれも、フッ素の溶出量が水質環境基準の指針値を大
幅に超えるため、環境保護を考慮してスラグ改質処理に
よるフッ素の安定化を行うことが望ましいことが明らか
であった。
【0083】そこで、本発明にしたがい、これらの製鋼
スラグのうちで溶銑予備処理スラグまたは二次精錬スラ
グBを、黒鉛発熱体を有する高周波炉でマグネシアるつ
ぼを用いて再溶解し、アルミナレンガ屑を添加して機械
攪拌を行った後、炉内で徐冷し冷却・凝固させた。得ら
れた処理品について、平成3年環境庁告示第46号で規定
された溶出試験を行った。溶出液中のフッ素濃度とスラ
グ中のAl2O3 濃度との関係を図4にグラフで示す。
【0084】図4に示すグラフから、スラグ中のAl2O3
濃度が25重量%以上であれば、溶出液中のフッ素濃度
は、水質環境基準の指針値である0.8mg/L を下回ること
がわかる。
【0085】(実施例2)溶銑予備処理スラグ融体に、低
品位アルミ灰、アルミナレンガ屑、窯業から発生したア
ルミナ廃棄物、およびフッ素を実質的に含まない二次精
錬スラグの1種または2種の組合せを添加し、窒素ガス
のバブリングにより攪拌した後、エアスプレーにより風
砕処理し、水中に落下させた。得られたガラス試料を乾
燥し、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験
を行った。溶銑予備処理スラグ融体と、低品位アルミ
灰、アルミナレンガ屑、窯業から発生するアルミナ廃棄
物、またはフッ素を実質的に含まない二次精錬スラグと
の配合量と、溶出液中のフッ素濃度との関係を表3に示
す。
【0086】
【表3】
【0087】表3に示す結果から、溶銑予備処理スラグ
融体にアルミニウム化合物を添加し、急冷してガラスに
することにより、溶出液中のフッ素濃度は、水質環境基
準の指針値である0.8mg/L を下回ることがわかる。
【0088】(実施例3)溶銑予備処理スラグを黒鉛発熱
体を有する高周波炉で、マグネシアるつぼを用いて溶解
し、これに低品位アルミ灰またはアルミナレンガ屑を添
加し、さらに脱珪スラグまたは珪石を添加して、機械的
に攪拌した後、ステンレス鋼板上に注いで急冷すること
により、ガラス試料とした。二次精錬スラグAについて
も同様のガラス化処理を行った。
【0089】得られたガラス試料について、平成3年環
境庁告示第46号で規定された溶出試験を行った。溶銑予
備処理スラグ融体または二次精錬スラグA融体と、低品
位アルミ灰、アルミナレンガ屑、脱珪スラグ、珪石との
配合量と、溶出液中のフッ素濃度との関係を表4に示
す。
【0090】
【表4】
【0091】表4に示す結果から、溶銑予備処理スラグ
融体および二次精錬スラグA融体にアルミニウム化合物
およびシリカを添加し、急冷してガラスにすることによ
り、溶出液中のフッ素濃度は、水質環境基準の指針値で
ある0.8mg/L を下回ることがわかる。
【0092】しかし、二次精錬スラグA融体80重量部に
脱珪スラグ20重量部のみを添加した場合には、ガラス化
処理を施してもスラグのガラス化が充分ではなく、溶出
液中のフッ素濃度は、水質環境基準の指針値である0.8m
g/L を下回ることができなかった。
【0093】(実施例4)表1に示した組成の二次精錬
スラグAを、黒鉛発熱体を有する高周波炉においいて黒
鉛るつぼを用いて溶解し、酸化鉄および酸化マンガンを
還元除去した後、炉内で徐冷した。また、二次精錬スラ
グA90重量部を、黒鉛発熱体を有する高周波炉において
マグネシアるつぼを用いて溶解し、アルミ灰10重量部を
添加して酸化鉄および酸化マンガンを還元除去した後、
炉内で徐冷した。得られた処理品について、平成3年環
境庁告示第46号で規定された溶出試験を行った。溶出液
中のフッ素濃度を表5に示す。
【0094】
【表5】
【0095】表5に示す結果から、二次精錬スラグA融
体中の酸化鉄および酸化マンガンを還元除去することに
より、溶出液へのカルシウムおよびアルミニウムの溶出
が促進され、溶出液中のフッ素濃度は、水質環境基準の
指針値である0.8mg/L を下回ることがわかる。
【0096】(実施例5)表1に示した組成の二次精錬
スラグAを、黒鉛発熱体を有する高周波炉において黒鉛
るつぼを用いて溶解し、酸化鉄および酸化マンガンを還
元除去した後、炉内で徐冷した。得られたスラグを、振
動ミルにより粉砕し、ふるい分けることにより、150 〜
250 μm、100 〜150 μm、100 μm以下の3種類のス
ラグ粉末を得た。さらに、ボールミルにより粉砕し、10
μm以下のスラグ粉末を得た。
【0097】これらのスラグ粉末50重量部と、2mm以下
に破砕した溶銑予備処理スラグ100重量部とを混合し、
平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験を行っ
た。溶出液中のフッ素濃度と、改質した二次精錬スラグ
粉末の最大粒度との関係を図5にグラフで示す。
【0098】図5に示すグラフから、改質した二次精錬
スラグ粒度が150 μm以下であれば、溶出液中のフッ素
濃度は、水質環境基準の指針値である0.8mg/L を下回る
ことがわかる。このことからも、改質した二次精錬スラ
グ粉末は、フッ素を含む製鋼スラグの安定化剤としても
用いることができる。
【0099】(実施例6)表1に示した組成の二次精錬
スラグA90重量部とアルミナレンガ屑10重量部とを、黒
鉛発熱体を有する高周波炉において黒鉛るつぼを用いて
溶解し、酸化鉄および酸化マンガンを還元除去した後、
炉内で徐冷した。また、二次精錬スラグA90重量部とア
ルミナレンガ屑10重量部とを、黒鉛発熱体を有する高周
波炉においてマグネシアるつぼを用いて溶解し、アルミ
灰10重量部を添加して酸化鉄および酸化マンガンを還元
除去した後、炉内で徐冷した。得られた処理品につい
て、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験を
行った。溶出液中のフッ素濃度を表6に示す。
【0100】
【表6】
【0101】表6に示す結果から、二次精錬スラグ融体
にアルミナを加え、さらに、スラグ中の酸化鉄および酸
化マンガンを還元除去することにより、溶出液へのカル
シウムおよびアルミニウムの溶出が促進され、溶出液中
のフッ素濃度は、水質環境基準の指針値である0.8mg/L
を大きく下回ることがわかる。
【0102】(実施例7)表1に示した組成の二次精錬
スラグA90重量部とアルミナレンガ屑10重量部とを、黒
鉛発熱体を有する高周波炉において黒鉛るつぼを用いて
溶解し、酸化鉄および酸化マンガンを還元除去した後、
炉内で徐冷した。得られたスラグを、振動ミルにより粉
砕し、ふるい分けることにより、150 〜250 μm、100
〜150 μm、100 μm以下の3種類のスラグ粉末を得
た。さらに、ボールミルにより粉砕し、10μm以下のス
ラグ粉末を得た。
【0103】これらのスラグ粉末25重量部または50重量
部と、2mm以下に破砕した溶銑予備処理スラグ100 重量
部とを混合し、平成3年環境庁告示第46号で規定された
溶出試験を行った。溶出液中のフッ素濃度と、改質した
二次精錬スラグ粉末の最大粒度との関係を図6にグラフ
で示す。
【0104】図6に示すグラフから、改質した二次精錬
スラグ粉末25重量部と、2mm以下に破砕した溶銑予備処
理スラグ100 重量部とを混合した場合、粒度が150 μm
以下であれば、溶出液中のフッ素濃度は、水質環境基準
の指針値である0.8mg/L を下回ることがわかる。このこ
とからも、改質した二次精錬スラグ粉末は、フッ素を含
む製鋼スラグの安定化剤としても用いることができる。
【0105】(実施例8)高炉スラグ50重量部を、黒鉛
発熱体を有する高周波炉において黒鉛るつぼを用いて溶
解した後、これにアルミナレンガ屑25重量部および石灰
石25重量部とを添加し、機械的に攪拌した後、炉内で徐
冷した。得られた処理品を、振動ミルにより粉砕し、10
0 μm以下のスラグ粉末を得た。
【0106】これらのスラグ粉末と、2mm以下に破砕し
た溶銑予備処理スラグとを種々の重量比で混合し、平成
3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験を行った。
溶出液中のフッ素濃度と、改質した高炉スラグ粉末/溶
銑予備処理スラグ重量比との関係を図7にグラフで示
す。
【0107】図7に示すグラフから、溶銑予備処理スラ
グ100 重量部に、改質した高炉スラグ粉末を50重量部以
上加えることにより、溶出液中のフッ素濃度は、水質環
境基準の指針値である0.8mg/L を下回ることがわかる。
【0108】(実施例9)電気炉スラグまたは二次精錬
スラグAを、黒鉛発熱体を有する高周波炉でマグネシア
るつぼを用いて溶解し、酸化ホウ素合成品を添加して機
械攪拌を行った後、炉内で徐冷し冷却・凝固させた。得
られた処理品について、平成3年環境庁告示第46号で規
定された溶出試験を行った。溶出液中のフッ素濃度と、
スラグ中のAl2O3 濃度およびB2O3濃度との関係を表7に
示す。
【0109】
【表7】
【0110】表7に示す結果から、スラグ中のAl2O3
度が2重量%以上であれば、溶出液中のフッ素濃度は、
水質環境基準の指針値である0.8mg/L を下回ることがわ
かる。
【0111】(実施例10)溶銑予備処理スラグまたは二
次精錬スラグBを、黒鉛発熱体を有する高周波炉でマグ
ネシアるつぼを用いて溶解し、これにアルミナレンガ屑
および酸化ホウ素合成品を添加して機械攪拌を行った
後、炉内で徐冷し冷却・凝固させた。得られた処理品に
ついて、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試
験を行った。溶出液中のフッ素濃度と、スラグ中のAl2O
3 濃度およびB2O3濃度との関係を表8に示す。
【0112】
【表8】
【0113】表8に示す結果から、スラグ中のAl2O3
度が20重量%と低くても、B2O3濃度が2重量%以上であ
れば、溶出液中のフッ素濃度は、水質環境基準の指針値
である0.8mg/L を下回ることがわかる。
【0114】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、請求項1〜
請求項9の本発明によれば、製鋼工程で不可避的に発生
する溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグさ
らには二次精錬スラグ等といった、フッ素を含む製鋼ス
ラグを、確実に安定化処理することが可能となった。ま
た、この処理に際して、低コストのフッ素を含まない二
次精錬スラグあるいは高炉スラグを用いることもできる
ため、処理コストの上昇も可及的に低減される。かかる
効果を有する本発明の意義は、極めて著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の安定化処理法により、製鋼スラグに
改質処理を施す状況を模式的に示す説明図である。
【図2】実施形態の安定化処理法により、製鋼スラグを
ガラス化する状況を模式的に示す説明図である。
【図3】実施形態の安定化処理法により、高炉スラグに
改質処理を施す状況を模式的に示す説明図である。
【図4】実施例1において、溶出液中のフッ素濃度と溶
銑予備処理スラグまたは二次精錬スラグ中のAl2O3 濃度
との関係を示すグラフである。
【図5】実施例5において、溶出液中のフッ素濃度と二
次精錬スラグの粒度との関係を示すグラフである。
【図6】実施例7において、溶出液中のフッ素濃度と二
次精錬スラグの粒度との関係を示すグラフである。
【図7】実施例8において、溶出液中のフッ素濃度と、
改質された高炉スラグ/溶銑予備処理スラグ重量比との
関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 製鋼スラグ 1a 溶銑予備処理スラグ 1b 転炉スラグ 1c 電気炉スラグ 1d 二次精錬スラグ 2 改質剤 2a アルミナレンガ屑 2b 低品位アルミ灰 2c 窯業から発生するアルミナ廃棄物 2d フッ素を実質的に含まない二次精錬スラグ 2e アルミナを含む天然鉱物 2f 酸化ホウ素合成物 2g 酸化ホウ素を含む天然鉱物 2h 黒鉛 (炭素) 2i アルミ灰 2j 脱珪スラグ 2k 珪石 2m 石灰石 2n 生石灰 2p 塩化カルシウム 3 改質炉 4 のろ畑 5 ドライピット 6 急冷凝固装置 7 高炉スラグ融体 8 粉砕機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21C 7/00 C21C 7/00 J 4K063 F27D 15/00 F27D 15/00 A (72)発明者 遊佐 一巳 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内 (72)発明者 甲田 憲司 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 水渡 英昭 宮城県仙台市太白区八木山本町1丁目25番 1号 (72)発明者 井上 亮 宮城県仙台市泉区南中山4丁目29番4号 Fターム(参考) 4G012 JC06 JL02 JM04 4K002 AE01 AE05 4K012 AA01 4K013 CF01 EA04 EA05 FA05 4K014 AE01 4K063 AA03 CA02 HA15 HA17

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともアルミニウム化合物を製鋼ス
    ラグ融体に添加することにより製鋼スラグを改質し、フ
    ッ素を含む製鋼スラグの安定化処理を行うことを特徴と
    するフッ素を含む製鋼スラグの安定化処理法。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム化合物は、アルミナレ
    ンガ屑、低品位アルミ灰、窯業から発生するアルミナ廃
    棄物、フッ素を実質的に含まない二次精錬スラグおよび
    天然鉱物の1種または2種以上の組合せからなる請求項
    1記載のフッ素を含む製鋼スラグの安定化処理法。
  3. 【請求項3】 前記製鋼スラグは、溶融状態で少なくと
    もアルミニウム化合物を添加された後、急冷されてガラ
    ス化されることにより改質される請求項1または請求項
    2記載のフッ素を含む製鋼スラグの安定化処理法。
  4. 【請求項4】 前記製鋼スラグは、溶融状態で少なくと
    もアルミニウム化合物をシリカとともに添加された後、
    急冷されてガラス化されることにより改質される請求項
    1から請求項3までのいずれか1項に記載のフッ素を含
    む製鋼スラグの安定化処理法。
  5. 【請求項5】 前記製鋼スラグは、製鋼工程で発生する
    溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグまたは
    二次精錬スラグである請求項1から請求項4までのいず
    れか1項に記載のフッ素を含む製鋼スラグの安定化処理
    法。
  6. 【請求項6】 前記製鋼スラグは、製鋼スラグ融体に少
    なくともアルミニウム化合物を添加された後、炭素また
    はアルミ灰を添加されて酸化鉄および酸化マンガンを還
    元除去されることにより、改質される請求項1から請求
    項5までのいずれか1項に記載のフッ素を含む製鋼スラ
    グの安定化処理法。
  7. 【請求項7】 高炉スラグ融体にカルシウム化合物およ
    びアルミニウム化合物を添加することにより改質された
    高炉スラグを、安定化剤として用いる請求項1から請求
    項6までのいずれか1項に記載のフッ素を含む製鋼スラ
    グの安定化処理法。
  8. 【請求項8】 さらに、ホウ素化合物を、前記アルミニ
    ウム化合物とともに前記製鋼スラグ融体に添加する請求
    項1から請求項7までのいずれか1項に記載のフッ素を
    含む製鋼スラグの安定化処理法。
  9. 【請求項9】 前記ホウ素化合物は、合成品および天然
    鉱物のうちの1種または2種の組合せである請求項8記
    載のフッ素を含む製鋼スラグの安定化処理法。
  10. 【請求項10】 高炉スラグ融体に、カルシウム化合物
    およびアルミニウム化合物を添加することにより改質を
    行うことを特徴とする、フッ素を含む製鋼スラグの安定
    化剤の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019151547A (ja) * 2018-02-28 2019-09-12 Jfeスチール株式会社 鉄鋼スラグの処理方法及び鉄鋼スラグの再利用品製造方法
CN114058858A (zh) * 2021-11-16 2022-02-18 秦皇岛信宝资源循环科技有限公司 一种铝灰无害化处理并回收利用的方法

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