JP2000246056A - 排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化装置 - Google Patents

排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化装置

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JP2000246056A
JP2000246056A JP11051499A JP5149999A JP2000246056A JP 2000246056 A JP2000246056 A JP 2000246056A JP 11051499 A JP11051499 A JP 11051499A JP 5149999 A JP5149999 A JP 5149999A JP 2000246056 A JP2000246056 A JP 2000246056A
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aqueous solution
oil
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deflector
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Tetsuo Nishimoto
徹郎 西本
Kiyohiro Nishimoto
清宏 西本
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  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Treating Waste Gases (AREA)
  • Gas Separation By Absorption (AREA)
  • Separation Of Particles Using Liquids (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 浮遊粒子状物質、粒子状物質、および各種の
有害化学物質などの汚染物質を含む排気ガスを浄化する
排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化装置を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 吸入ファンが備えられた吸入口から容器
内に排気ガスを吸入し、当該吸入口から排出口に向かう
排気ガス流を当該容器内に貯留された排気ガス吸収性薬
液を毛細管現象により吸収するそらせ板であって排気ガ
スを通す流通孔をその主要面に有するものを通過させ
て、当該排気ガス流中の汚染物質を除去し、浄化した排
気ガスを排出口から排出する排気ガス浄化方法および排
気ガス浄化装置を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浮遊粒子状物質、
粒子状物質、および各種の有害化学物質などの汚染物質
を含む排気ガスを浄化する排気ガス浄化方法及び排気ガ
ス浄化装置に関する。より詳細には、外気を吸入して機
内を通過させながら、浮遊粒子状物質や有害化学物質な
どを、これらの吸着除去作用を有する貯留薬液およびこ
の薬液が浸透したそらせ板に接触させて、上記の浮遊粒
子状物質や有害化学物質などを除去する自動車排気ガス
の浄化方法及び浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】1940年代後半に、米国のロサンゼル
スで多発した光化学スモッグの原因が、自動車の排気ガ
ス中に含まれる炭化水素(以下、HCという)と窒素酸
化物(以下、NOxという)がであることが明らかにな
って以来、自動車の排気ガスを浄化するために様々な触
媒の研究が進められてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ガソリンエンジン車に
使用する触媒としては、初期にはアルミナなどのペレッ
ト状の担持触媒が用いられたが、最近は、アルミナ、シ
リカ、マグネシアなどから作られたハニカム状の担体に
Ptなどの貴金属をつけたモノリスの三元触媒が用いら
れている。こうした三元触媒としては、Pt/Rh系、
Pt/Pd/Rh系、Pd/Rh系、およびPd系のも
のを挙げることができ、Pt/Rh系のものが使用され
てきている。
【0004】米国では1974年から、また日本では1
975年から表1に示す規制値を上限とする排気ガス規
制が採用され、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)
および窒素酸化物(NOx)の濃度が規制されている。
【0005】また、これまでのところ、ガソリンエンジ
ンを使用する場合の排気ガスの浄化が問題とされてきた
が、ディーゼル車の排気ガス濃度は触媒を装着していな
いガソリン車に比べてHC、CO、NOxの濃度がいず
れも低いとして排気ガスの浄化は問題とされてこなかっ
た。
【0006】しかし、地球環境問題への関心が高まるな
かで、ディーゼルエンジン車についてもパティキュレー
ト(PM)、NOxの規制が実施され、次第に強化され
る方向にある(表2)。
【0007】
【表1】
【0008】
【表2】 #1:PMおよびNOxの濃度はg/km#2 :PMおよびNOxの濃度はg/kw・h*1 :2002年から適用される規制値*2 :2003年から適用される規制値*3 :2004年から適用される規制値
【0009】ここでPMとは、微粒子状物質の総称であ
り、その成分はSOF(Soluble Organic Fraction)、
イオウ酸化物(サルフェート)などで、その構成割合は
エンジンタイプ、運転条件、燃料性状等により異なる。
ここで、SOFとはC15〜C 35程度の粒子状炭化水素で
あり、ジクロルメタンで抽出できるものをいう。PMの
大きさは通常数十μm以下であるが、大気汚染の原因物
質といわれる直径十μm以下の粒子を浮遊粒子状物質
(SPM)といい、この中でも特に小さい直径2.5μ
m以下のものをPM2.5という。PM2.5は上記の
ようにSPMよりも格段に小さく、SPMよりも肺の奥
まで入り込むため、喘息や気管支炎を起こす確率が高い
といわれている。
【0010】現在、ディーゼルエンジン車のためのPM
やNOxの浄化には、酸化触媒が使用されており、SO
Fの酸化活性と高温におけるサルフェートの抑制能力向
上を同時に行うために、Pt/Al23とPd−Rh/
SiO2−Al23とを組合せた触媒が考案されてい
る。しかし、従来のような触媒を使用する排気ガスの浄
化方法及び浄化装置では、これらを十分に除去すること
はができず、特にコールドスタート時におけるHCの除
去が不十分であった。また、触媒の劣化や耐久性の問
題、そして貴金属資源へも配慮しなければならないとい
った問題があり、新しい方式による自動車排気ガスの浄
化装置が望まれていた。
【0011】従来の自動車排気ガス浄化装置のうち、ガ
ソリンエンジン車に使用するものの例としては、図5に
示す三元触媒システムがある。ここでは、ウィンドウ内
へ入るように制御された排気ガスが三元触媒に送られ、
触媒を通過することにより浄化される。しかし、上述し
た従来の排気ガス浄化装置では、ガソリンエンジン車の
場合にHCとCOとNOxとを同時に除去し得るウィン
ドウ内に空燃比を制御することは困難であり、また、ガ
ソリン中の鉛やリン、イオウによる触媒の被毒、熱によ
る劣化などの問題がある。さらに、ディーゼルエンジン
車で使用する場合には、異なる触媒を使用することが必
要とされている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者らは、以
上の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果本発明を完
成したものであり、その目的とするところは、ガソリン
エンジン車においてもディーゼルエンジン車においても
使用可能な排気ガス浄化方法および浄化装置を提供する
こと、すなわち、HC、CO、NOxをはじめとする各
種汚染物質、およびPMを同時に排気ガス中から除去で
きる排気ガスの浄化方法および浄化装置を提供すること
にある。さらに、触媒によっても取りきれなかった上記
の物質の濃度をさらに大きく低下させ、しかも安価で維
持管理の容易な排気ガス浄化装置を提供することにあ
る。
【0013】すなわち、本発明はある一面において、吸
入ファンが備えられた吸入口から容器内に排気ガスを吸
入する排気ガス吸入工程と、当該吸入口から排出口に向
かう排気ガス流を当該容器内に貯留された排気ガス吸収
性薬液を毛細管現象により吸収するそらせ板であって排
気ガスを通す流通孔をその主要面に有するものを通過さ
せて、当該排気ガス流中の汚染物質を除去する汚染物質
除去工程と、浄化した排気ガスを排出口から排出する排
気ガス排出工程とを有する排気ガス浄化方法である。
【0014】ここで、上記汚染物質除去工程は少なくと
も2つのそらせ板を備え、吸入口から吸入された排気ガ
スが第一のそらせ板の主要面に当たった後にその主要面
に沿って流れて行き上記第一のそらせ板の主要面に設け
られた流通孔を通り、ついで第二のそらせ板の主要面に
当たった後にその主要面に沿って流れて行き上記第二の
そらせ板の流通孔を通って流れるように、排気ガスの流
路が形成されていることを特徴とする。または、上記汚
染物質除去工程は、上記そらせ板が螺旋状に巻装配置さ
れ、吸入口から排出口に向かう排気ガス流が上記そらせ
板の主要面に沿って流れるように流路が形成されている
ことを特徴とする。さらに、上記吸入口の内壁面には、
螺旋状の溝が設けられていてもよい。前記排気ガス吸収
性薬液薬液は、台湾ヒノキ油含有水溶液、豪州産西洋ヒ
ノキ油含有水溶液、チャ油含有水溶液、タケ油含有水溶
液、イチョウ油含有水溶液、ポプラ油含有水溶液、ケフ
ナ油含有水溶液及びスギ油含有水溶液からなる群から選
ばれる少なくとも1以上の水溶液からなるものであるこ
とが好ましい。
【0015】上記汚染物質除去工程で使用するそらせ板
は、吸入口から吸入された排気ガスが排出口から排出さ
れるまでに通過する流路を形成するという作用を有す
る。さらに、このそらせ板は排気ガス吸収性薬液を毛管
現象によって浸透する材質の物質で構成されるため、排
気ガス中の汚染物質を吸着する。そして、排気ガスとの
接触面積が流路の形成によって増加することにより、排
気ガス中の汚染物質をより多く吸着するという作用を有
する。
【0016】上記のような工程を有すると、上記排気ガ
ス流は汚染物質除去工程では排気ガス吸収性薬液が浸透
した第一のそらせ板の主要面のうち流通孔の設けられて
いない部分と接触し、汚染物質が主面に浸透したこの薬
液に吸収されつつそらせ板の主面に沿って移動し、主面
に設けられた流通孔を通り抜けて第二のそらせ板の主面
に当たって第一の主面上を流れたのと同様に移動する。
このようにして複数のそらせ板と接触しながら第一のそ
らせ板では除去しきれなかった汚染物質を、さらに第二
のそらせ板で除去することができる。
【0017】また、吸入口から吸入した排ガスは、排気
ガス吸収性薬液の表面に向かう流れが広がることを最小
限に抑えられてこの薬液表面に吹きつけられるので、P
M2.5以外の粒子その他の汚染物質は、薬液と排気ガ
スとが接触したときに一部吸収される。排気ガス流は液
面にぶつかり、または薬液中に吹き込まれてその方向を
変え、第一のそらせ板の主面に当たり、ここで再度方向
を変えて第一のそらせ板の主面に沿って流れ、この主面
に設けられた流通孔から第二のそらせ板へ向かって流れ
るように流路が形成されているので、そらせ板主面との
接触時間が長くなり汚染物質をより多く除去することが
できる。
【0018】また、この流路を流れる排気ガス中の汚染
物質濃度は、薬液の浸透した第一のそらせ板の主面と接
触した後に低下し、さらに薬液の浸透した第二のそらせ
板の主面との接触でさらに除去されて低下する。上記汚
染除去工程においては、上記排気ガス流は複数のそらせ
板の主面に沿って上述のように方向を変えながら流れ、
その過程において汚染物質が除去されるため、少なくと
も3枚のそらせ板を有することが好ましく、5枚以上の
そらせ板を有することがさらに好ましい。上記のような
数のそらせ板を備えると、上記排気ガス流は少なくとも
3回は方向が変わって流速が低下し、薬液が浸透したそ
らせ板の主面と接触する機会が大きくなるため、汚染物
質を効率よく除去することができる。
【0019】吸入口の下面には、図には特に示していな
いが、固形物質を除去する除去手段をさらに設けること
が好ましく、この除去手段はステンレススチールや炭素
繊維など、対衝撃性にすぐれる耐熱性の素材からなるも
のであることが好ましい。このような工程を有すること
によって、排気ガス流中に存在する固形物質を除去し、
汚染物質除去工程において浮遊粒子状物質をはじめとす
る汚染物質をさらに効率よく除去することができる。
【0020】また、上記排気ガス吸入工程においては、
吸入ファンによって排気ガスを吸入することが好まし
く、上記排気ガス排出工程においては、浄化された排気
ガスを排気ファンによって排気することがさらに好まし
い。このような構成をとることによって、排気ガスを効
率よく浄化することができる。また、高価な貴金属触媒
を使用せず触媒の被毒を考慮する必要もないだけでな
く、植物精油と水とからなる薬液の交換、処理はともに
容易であり、環境の保護と省エネルギーとに資すること
ができる。
【0021】さらに、上記汚染物質除去工程において使
用する上記排気ガス吸収性薬液は、植物精油と水とから
なる植物精油含有水溶液であることが好ましく、上記植
物精油含有水溶液は、台湾ヒノキ油含有水溶液、オース
トラリア産の西洋ヒノキ油含有水溶液、チャ油含有水溶
液、タケ油含有水溶液、イチョウ油含有水溶液、ポプラ
油含有水溶液、ケフナ油含有水溶液及びスギ油含有水溶
液からなる群から選ばれる少なくとも1以上の水溶液か
らなることが好ましい。上記の植物精油含有水溶液は原
則として植物精油と水とからなる水溶液である。したが
って、界面活性剤等は一切含有しておらず、天然物由来
の成分からなる安全性が高い植物精油を用いているの
で、ヒトをはじめとする動物及び植物に対して高い安全
性を確保することができる。また、こうした精油は排気
ガス中に含まれる各種の汚染物質、特に二酸化炭素とP
Mを排気ガス中から除去する能力に優れ、二種以上を混
合して使用した場合でも化学反応を起こすことはなく、
多種類の汚染物質を除去することができる。
【0022】本発明はまた、別の面において、吸入ファ
ンが備えられた吸入口から吸入された排気ガスを浄化し
て排出口から排出する排気ガス浄化装置であって、薬液
を貯留する容器部材と、当該吸入口から排出口に向かう
排気ガス流を当該容器内に貯留された排気ガス吸収性薬
液薬液を毛細管現象により吸収するそらせ板であって排
気ガスを通す流通孔をその主面に有するものを通過させ
て、当該排気ガス流中の汚染物質を除去する汚染物質除
去手段とを備える排気ガス浄化装置である。
【0023】ここで、上記汚染物質除去手段は少なくと
も2つのそらせ板を備え、吸入口から吸入された排気ガ
スが第一のそらせ板の主要面に当たった後にその主要面
に沿って流れた後に第一の流通孔を通り、ついで第二の
そらせ板の主要面に当たった後に第二のそらせ板の主要
面に沿って流れ、第二のそらせ板の主要面に設けられた
流通孔を通って流れるように排気ガスの流路が形成され
ているか、または上記そらせ板が螺旋状に巻装配置さ
れ、吸入口から排出口に向かう排気ガス流が前記そらせ
板に沿って流れるように流路が形成されていることを特
徴とする。また、上記吸入口の内壁面に、螺旋状の溝が
設けられていてもよい。
【0024】本発明の排気ガス浄化装置で使用する排気
ガス吸収性薬液は、台湾ヒノキ油含有水溶液、オースト
ラリア産の西洋ヒノキ油含有水溶液、チャ油含有水溶
液、タケ油含有水溶液、イチョウ油含有水溶液、ポプラ
油含有水溶液、ケフナ油含有水溶液及びスギ油含有水溶
液からなる群から選ばれる少なくとも1以上の水溶液か
らなることを特徴とする。
【0025】また、上記の排気ガス浄化装置の吸入口の
下面には、図には特に示していないが、排気ガス中に含
まれる固形物、具体的には、排気ガスとともに運ばれて
くる、例えば鉄粉などの金属粉その他の固形物を除去す
る除去手段をさらに設けることが好ましい。この除去手
段はステンレススチールや炭素繊維など、対衝撃性にす
ぐれる耐熱性の素材からなるものであることが好まし
い。除去手段は高温の排気ガスと接触するため、ステン
レスや炭素繊維などの耐熱性に優れる素材から形成され
る網目状構造を有するものであることが好ましく、約1
0〜50メッシュとすると、上記の固形物を効率的に除
去することもできる。このような工程を有することによ
って、排気ガス流中に存在する浮遊粒子状物質を除去
し、汚染物質除去工程において汚染物質をさらに効率よ
く除去することができる。
【0026】ここで、上記排気ガス浄化装置が汚染物質
除去工程において、複数のそらせ板、好ましくは3〜7
枚のそらせ板を備えている場合には、排気ガス浄化方法
のところで述べたと同様に排気ガス流中に含まれる汚染
物質が効率よく除去される。薬液が浸透された第1〜第
7のそらせ板の主面と流通孔とによって形成される流路
を通ることによって流速が低下するとともに、排気ガス
がこれらのそらせ板に浸透した薬液とこれらのそらせ板
の主面上で順次接触してゆくことによって、排気ガス中
の汚染物質がそらせ板に浸透した薬液に吸収されて除去
される。このため、排気ガス中の汚染物質の浄化を効率
的に行うことができる。また、上記除去手段を用いると
排気ガス中に含まれる上記の固形物質を除去できるの
で、薬液中に運び込まれるこれらの物質の量が減少し、
薬液の維持・管理を一層容易にすることができる。
【0027】また、前記吸入口の内側に、螺旋状の溝を
設けておくと浄化装置内に導かれる排気ガス流の流れが
広がることを防止することができ、排気ガス浄化装置の
容器部材に貯留された薬液中に排気ガスをスムーズに送
り込むことができることから好ましい。ここで、上記排
気ガス浄化装置中に配置する流通孔を有する各そらせ板
は以下のような素材から形成され、容器部材中に配列さ
れることが、汚染物質の除去効率を上げる上で好まし
い。3枚のそらせ板が配置される場合を例にとって説明
する。
【0028】本発明の排気ガス浄化装置で使用するそら
せ板は、セルロース、不織布、吸水紙、吸水性ポリマー
製のシートなどからなるものであることが、任意の大き
さの流通孔を形成しやすく、また、薬液を浸透させ易い
こと、および低コストであることから好ましい。これら
の素材からなるそらせ板の大きさは、本発明の排気ガス
浄化装置の貯留槽の多きさによって適宜選択すればよ
く、厚みは10mm程度とすることが触排気ガスの浄化
効率の面から好ましい。それぞれのそらせ板において、
複数の流通孔を設けることもできるが、吸入口に配置し
たファンの排気ガスを吸入する面積と同じ面積となるよ
うに流通孔を設けると、その主要面に設けた流通孔の位
置が互いに重ならないように各そらせ板を配置したとき
に、排気ガス中の汚染物質を効率的に除去することがで
きる。
【0029】吸入口から取り込まれ、第一のそらせ板の
主要面に沿って薬液と接触しつつ流れてきた排気ガス流
は第一のそらせ板に設けられた流通孔を通って第二のそ
らせ板の表面へと送られ、第二のそらせ板の主要面にあ
たって方向を変えて第一のそらせ板のときと同様に第二
のそらせ板の主要面に沿って流れる。第二のそらせ板の
主要面に沿って流れた排気ガスは、上記と同様に第二の
そらせ板に設けられた流通孔を通って第三のそらせ板の
主要面にあたって向きを変え、第三のそらせ板の主要面
に沿って流れ、第三のそらせ板に設けられた流通孔を通
って、排出口から排出される。本発明の排気ガス浄化装
置では、このように構成される流路を通って排気ガスが
流れるために、排気ガスの流速が低下し、そらせ板の主
要面との接触時間が長くなることから、排気ガス中に含
まれる汚染物質を十分に除去することができる。
【0030】以上のような構成をとる本発明の排気ガス
浄化装置は、小型のファンを使用するため、稼動の際の
消費電力量も少なく、省スペース、省エネルギーに資す
ることができる。加えて、本発明の排気ガス浄化装置を
使用すると排気ガスの温度が従来の触媒のみを使用した
場合に比べて大幅に低下し、自動車の車外に放出される
熱量が減少するという利点がある。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。なお、同じ部
材については同じ符号を付して説明を省略する。 〔第1実施形態〕図1は、本発明の排気ガス浄化装置の
第1実施形態を概略的に示したものである。図1に例示
する排気ガス浄化装置10は、板金製もしくは合成樹脂
製の箱型の容器部材11と、容器部材内で吸入口14から
排出口15に向かう排気ガス流に直交するように置かれ
た汚染物質除去工程17〜19とを有し、容器部材11
の底部は、後述するように薬液20が貯留される貯留槽
12となっている。この装置の平面図および断面図を図
2および図3に示す。
【0032】上記容器部材の上面には、排気ガスを吸入
するファン13、吸入口14および排出口15が設けら
れている。この排気ガス浄化装置10においては、上記
吸入口14よりファン13によって容器部材11内に吸
入された排気ガスが、図1および図4において仮想線の
白抜き矢印で示されるように、容器部材11の貯留槽1
2に貯留された薬液20の表面上方で第一のそらせ板1
7の主要面に当たってこの面に沿って流れて第一のそら
せ板の主要面に設けられた流通孔17’のある方へと流
れ、この流通孔17’から第二のそらせ板18の主要面
に送られる。第一のそらせ板の主要面を流れるときと同
じように排気ガスは第二のそらせ板の主要面に沿って流
れて、第二のそらせ板18の主要上に設けられた流通孔
18’から第三のそらせ板19へと送られる。そして上
記の第一、第二のそらせ板の場合と同様に、第三のそら
せ板の主要面に沿って流れ、第三のそらせ板の主要面に
設けられた流通孔を通るという流路が形成されている。
【0033】このような排気ガス流を形成して第三のそ
らせ板に設けられた流通孔を通ってきた浄化された排気
ガスは、排出口15から車外へと排出されるようになっ
ている。なお、排気ガスは排出口15から、図には示し
ていないがファンによって車外へと排出するようにして
もよい。そして、本実施形態において除去される化学物
質としては、二酸化炭素、炭化水素、NOxその他のも
のを挙げることができる。なお、特に図示はしないが、
上記吸入口14や排出口15には、必要に応じて排気ガ
スを吸い込むための管状部材、排出するための管状部材
等が取り付けられ、また、上記容器部材11には、上記
薬液20やそらせ板17〜19を点検等するための開閉
部が設けられる。
【0034】このような構成をとる実施形態の排気ガス
浄化装置10においては、吸入口14よりファン13に
よって容器部材11内に吸入された排気ガスは、そらせ
板17〜19の主要面においてこれらのそらせ板に浸透
した排気ガス吸収性の薬液と接触しつつ排出口15へ向
かう排気ガス流を形成し、さらに貯留されている薬液と
も接触しつつ汚染物質が除去されながら流れる。本実施
形態の排気ガス浄化装置10においては、上記排気ガス
流を完全に物理的に遮るようなそらせ板は設けられてい
ないため、そらせ板を排気ガス流に抗するように配置し
た従来のものに比べて、そらせ板による排気ガス抵抗が
格段に減じられる。したがって、小型のファンでも要求
される処理能力を得ることができ、コスト、スペース、
騒音等を大幅に低減することができる。なお、本実施形
態において使用するファンとしては、風量は小さいが風
速が大きく、吸入した排気ガスのガス流が広がらないシ
ロッコファンを使用することが好ましい。また、本発明
の排気ガス除去装置で使用するそらせ板の数は、複数で
あれば特に限定されないが、3〜7枚とすることが排気
ガス中の汚染物質が十分に除去されるために好ましく、
5枚とするともっとも除去効果が高い。
【0035】上述した排気ガス浄化装置10で使用する
排気ガス吸収性の薬液20は、上述した汚染物質を除去
する植物精油と水とからなるものであれば良く、特に限
定されない。具体的には、台湾ヒノキ油、オーストラリ
ア産西洋ヒノキ油、タケ油、スギ油、チャ油、イチョウ
油、ポプラ油、およびケフナ油等を挙げることができ、
特に、台湾ヒノキ油、オーストラリア産西洋ヒノキ油、
タケ油、スギ油、イチョウ油、ポプラ油、およびケフナ
油からなる群から選ばれる精油と、これらを水蒸気蒸留
して得られる水性画分と水とを所定の割合で混合して使
用すると、汚染物質の除去効果が高い。
【0036】これらの精油のうちでも、比較的親水性の
成分を多く含む台湾ヒノキ油などの精油を用いる場合に
は、排気ガス中からのPMや二酸化炭素の除去効率を高
するために、ロジンなどを適宜添加するとよい。本明細
書においては、台湾ヒノキ油とは、台湾産ヒノキの根の
部分、または枝の部分などを常法に従ってチップにし、
これを水蒸気蒸留して得られた精油画分をいい、ヒノキ
チオールを特有成分として含有する。オーストラリア
(豪州)産西洋ヒノキ油とは、豪州産西洋ヒノキの幹の
部分(材)を台湾ヒノキ油を得る場合と同様にしてチッ
プにし、水蒸気蒸留によって得た精油画分をいい、特有
成分としてグアイオールを含有するものをいう。
【0037】タケ油とは竹の材もしくは葉から上述のよ
うに抽出された精油画分をいい、また、スギ油とは杉の
材もしくは葉から上述のように抽出された精油画分をい
う。イチョウ油とは、イチョウの枝もしくは葉等から上
述のように抽出された精油画分をいい、ポプラ油とはポ
プラの枝や葉から得られる精油画分をいう。また、ケフ
ナ油は、二酸化炭素の吸収量が多いことで知られるケフ
ナの枝や葉から同様にして得られる精油画分をいう。
【0038】これらの精油は、それぞれに汚染物質の除
去能が異なるため、本発明の排気ガス浄化装置を搭載す
る車種に応じて適宜選択すれば良く、PMの多いディー
ゼル車には豪州産西洋ヒノキ油含有水溶液を、また、2
000cc程度の排気量のガソリン車には台湾ヒノキ油
含有水溶液を使用するといったように使い分けると、排
気ガス中の汚染化学物質の除去効果が高い。
【0039】これらの精油は、単独で使用してもよく、
または2種以上を適宜組合わせて使用してもよい。例え
ば、豪州産西洋ヒノキ油含有水溶液に、上述したスギ
油、イチョウ油、ポプラ油、ケフナ油など適宜添加して
使用することもできる。
【0040】上述の植物精油の製造方法を、台湾ヒノキ
を用いる場合を例に挙げて説明する。原料としては台湾
ヒノキの根の部分を原料として使用する。これらを常法
に従って裁断し、適当な大きさのチップとする。つい
で、これらのチップを水蒸気蒸留装置にかけ、所定の温
度と圧力で所定の時間水蒸気蒸留を行い、精油画分と水
溶性の成分とを含む画分(以下、水画水という)とを得
る。
【0041】ついで、水画水と精油画分とを所定の割合
で混合し、攪拌子と1本の吹き出しノズルとを備える一
次攪拌装置中で所定の時間攪拌して粗混合液を得る。こ
の粗混合液を、3本のノズルから吹き出された混合液の
ミストが互いに衝突するように配置されたノズルを備え
る二次攪拌装置中でさらに所定の時間混合して、台湾ヒ
ノキ油含有水溶液を製造する。この台湾ヒノキ油含有水
溶液には、必要に応じて適宜、ワックス類を添加しても
よい。ワックス類には、天然ワックスと合成ワックスと
に大別され、天然ワックスには、カルナウバワックス、
木ろう、サトウロウなどの植物ワックス;ミツロウ、昆
虫ロウ、鯨ロウ、羊毛ロウなどの動物ワックス;パラフ
ィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石
油ワックス;モンタンワックス、オゾケライトなどの鉱
物ワックスが含まれる。また、合成ワックスには、カー
ボワックス、ポリエチレンワックス、塩素化ナフタレン
ワックスなどが含まれる。なお、水画水と精油画分との
混合割合は、精油画分の粘稠度によって適宜、増減すれ
ばよい。
【0042】ヒノキは、南限が台湾の阿里山、北限が福
島県といわれる分布域を有するヒノキ科の常緑高木であ
る。単にヒノキといえば日本特産種を指し、台湾産のも
のを台湾ヒノキという。台湾ヒノキは台湾の山地に自生
し、高さは60mにも達する。台湾ヒノキからは、多くの
テルペン類を含み、芳香成分であるヒノキチオールを含
む精油が得られる。このような芳香成分はヒノキの心材
の部分に存在するが、樹齢60年以上のヒノキになると心
材の割合が80%に達するため、樹齢の古いものの方が精
油を多く得ることができる。台湾ヒノキについては、樹
齢が2千年とも3千年ともいわれるものを伐採した根の
部分から、精油を水蒸気蒸留により抽出して後述する方
法に従いヒノキ油を得る。
【0043】すなわち、伐採した木の根を掘り起こし、
クラッシャーなどを用いて0.5〜1mm角程度の大き
さのチップにする。こうして得たチップ約500kgを
蒸留装置に入れ、所定の温度で、チップに含まれる水分
を利用して水蒸気蒸留を行う。具体的には、約100〜
120℃の温度で4〜8時間程度蒸し、チップに含有さ
れている精油成分を蒸気とともに留出させる。温度およ
び時間は、チップにした木の含水量などにより適宜調節
する。精油成分を含む蒸気を水に通すことにより冷却
し、水と精油とに分離させ、精油を得ることができる。
なお、使用するヒノキのチップの量によって、抽出時
間、蒸留釜の大きさ、上流時間などは適宜調整すればよ
い。
【0044】約1tのチップを上記のようにして処理す
ると、5kg〜10kgの精油、すなわち、ヒノキ油を得る
ことができ、これらには以下の成分が含まれる。台湾ヒ
ノキを原料とした場合には、α−ピネン、β−ピネン、
カンフェン、p−シメン、γ−テルピネン、d−サビネ
ン、テルピネオール、リナロール、ツヨプセン、β−エ
レメン、α−セドレン、エレモールなどの他、ビドロー
ル、セドロール、ヒノキチオール、α−ツヤプリシン、
トロポイド、ヒノキチンなどが含まれる。この方法によ
ると香り成分が沸点よりかなり低い温度で留出するた
め、香り成分の熱による変性を抑えることができる。ま
た、本発明のヒノキ油の製造に使用するヒノキは、建築
用材として使用できない台湾ヒノキの根の部分から得ら
れるものであるため、森林資源の有効利用が可能とな
る。特に、台湾ヒノキの根の部分は主要な産業を持たな
い山間地に住む人々にとっては重要な収入源ともなって
おり、根を掘り起こした跡地を農地として開墾できると
いう利点もある。
【0045】上述のようにして得た精油は、水に不溶の
成分からなるため、下記の様にして水画水および精製水
と混合して組成物とする。ヒノキ油の場合を例にとって
説明する。すなわち、上記の用にして得たヒノキ油と水
画水と水とを、0.5〜2:2〜4:4〜8の割合で混
合し、通常、22〜28℃、好ましくは室温にて、図
に示す装置を用いて保持部材24を上下させて攪拌棒2
3を上下に動かすことにより0.5〜数時間攪拌し、粗
混合液を得る。
【0046】粗混合液を3等分し、図7に示す装置を用
いて、通常、22〜28℃、好ましくは室温にてさらに
混合を行い、ヒノキ油含有水溶液を調製する。なお、タ
ケ油、スギ油その他の精油を得る場合にも、ヒノキ油の
場合と同様にチップとしてから適当な条件下で水蒸気蒸
留を行って得ることができる。上述の様にして得たヒノ
キ油含有水溶液を排気ガス浄化装置10で使用する場合
には、10〜100倍に水で希釈して使用することがで
きるが、約50倍程度とするとCO2やPM等の汚染物
質の除去効果が高い。具体的には、例えば、ヒノキ油含
有水溶液100mLを水道水1〜10Lで希釈すればよ
く、5Lの水道水で希釈した場合にもっとも除去効果の
高い薬液を調製することができる。
【0047】ヒノキ油含有水溶液を薬液として使用した
ときに除去することができる排ガス中の化学物質の代表
的なものとしては、例えば、二酸化炭素(CO2)、浮
遊粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOx)、イオウ
酸化物(SOx)などを挙げることができる。とりわ
け、本発明においては、従来の触媒ではほとんど除去で
きなかったCO2およびPMの中でも粒子径の小さいP
M2.5などを除去することができるという利点があ
る。
【0048】上述のようにして調製したヒノキ油含有水
溶液を、上述した排気ガス浄化装置10の貯留槽に入れ
て排気ガス浄化装置10を稼動させると、上記のような
排気ガス中の有害化学物質がヒノキ油含有水溶液中に捕
捉され、またはヒノキ油含有水溶液中に含まれる化合物
と結合して排気ガス中から除去される。 〔第2実施形態〕図2は、本発明の排気ガス浄化装置の
第2実施形態を概略的に示したものである。図に例示す
る排気ガス浄化装置20は、汚染物質除去工程の配置構
成が異なるだけで、他の構成は第1実施形態と同じであ
る。図2に示す排気ガス浄化装置20においては、排出
口15の真下に汚染物質除去工程が設けられている。こ
の排気ガス浄化装置20においては、貯汚染物質除去手
段の構成が、1枚のそらせ板26が、容器部材中に貯留
された薬液中にその一端を漬けたまま、支持部材27の
まわりをらせん状に複数回巻くように設けられているた
め、排気ガスは排出口から排出される前に、このそらせ
板によって形成された流路を、薬液が浸透したそらせ板
の面と接触しながら流れて、排気ガス中の汚染物質が除
去される。
【0049】このような構成をとる本実施形態の排気ガ
ス浄化装置20においても、吸入口14より容器部材1
1内に吸入された排気ガスは、貯留されている排気ガス
吸収性の薬液およびそらせ板26に浸透したこの薬液と
そらせ板26の主要面と接触しつつ、汚染物質が除去さ
れながら、図4の仮想線の白抜き矢印で示されるように
流れ、第一の実施形態のものと同様の汚染物質を除去す
るという効果が得られる。本実施形態においては、そら
せ板は1枚であるから、支持部材27を引き上げること
によってそらせ板の交換が容易になるというさらなる利
点がある。
【0050】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限さ
れるものではない。 (実施例1)排気ガス中の窒素酸化物量の変化 本発明の排気ガス浄化装置の効果を調べるために、この
排気ガス浄化装置を実際にディーゼル車(三菱リベロ
(平成3年式)、排気量2000cc)のマフラーから排
気ガスを直接に導入し、エンジンを30時間稼動させ、
液の性状の変化を目視観察し、窒素酸化物の量を北川式
検知管により測定した。薬液としては、上述の様にして
得たオーストラリア産西洋ヒノキ油含有水溶液100m
Lを5Lの水道水で希釈して使用した。対照としては5
Lの水を使用した。
【0051】豪州産西洋ヒノキ油含有水溶液は、使用前
は白濁状態でpHは6.9であった。水(水道水)は無
色透明でpHは6.9であった。30時間後、豪州産西
洋ヒノキ油含有水溶液は薬液の表面を覆うようにカーボ
ンと思われる黒い物質が浮いていたが、液の色自体には
大きな変化は認められなかった。pHは8.7となって
いた。一方、水では、水面の2/3を覆う程度にカーボ
ンと思われる黒い物質が浮いていた。
【0052】
【表3】
【0053】表3に示したように、水を用いた場合の排
気ガス中に残存する窒素酸化物の割合は85.9%と高く、
わずかに除去されたに過ぎなかった。一方、豪州産西洋
ヒノキ油含有水溶液を用いた場合には、排気ガス中に残
存する窒素酸化物の割合は45.5%まで低下し、本発明の
排気ガス除去装置が窒素酸化物を除去する効果が高いこ
とが示された。
【0054】(実施例2)排気ガス中のカーボン量の変
化 本発明の排気ガス浄化装置を(実施例1)で使用したと
同じディーゼル車を用いて、マフラーから直接排気ガス
を本発明の排気ガス浄化装置に導入し、液中に捕捉され
たカーボン量および液の消耗状態を調べた。カーボン
は、豪州産西洋ヒノキ油含有水溶液については、液50
0mLを灯油用のサイフォンを用いて採取し、スクリー
ン印刷用の200〜300メッシュのスクリーンを通し
て濾別し、上皿電子天秤で秤量し湿重量を求めた。水に
ついては、液500mLを上記同様にサイフォンで採取
し、上記のように濾別して電子天秤で秤量して湿重量を
求めた。結果を表4に示す。
【0055】
【表4】
【0056】表4に示すように、水を使用した場合と比
較して、約3.5倍のカーボンが捕捉された。このこと
から、本発明の排気ガス除去装置は、窒素酸化物のみな
らず、カーボンも排気ガス中から除去することが明らか
になった。なお、西洋ヒノキ含有水溶液を使用した場合
には、この水溶液を入れた容器の内壁面にもカーボンと
思われる黒い粉末が付着していたが、掻き落として集め
ることができなかったため、水溶液の液面に浮遊してい
た分のみを測定した。水の場合にも容器の内壁面に若干
の黒い粉末の付着は認められたが、容器の壁面を外側か
らたたくとこの黒い粉は内壁面からはずれて液面に浮遊
した。また、排気ガス浄化装置中に入れた溶液のアイド
リング開始30時間後の消耗状態を測定した。結果を表
5に示す。
【0057】
【表5】
【0058】(実施例3)実施例1と同じ自動車でアイ
ドリングを6時間行い、浄化前後の排気ガス中の二酸化
炭素濃度を北川式検知管で測定した。豪州産西洋ヒノキ
油含有水溶液を使用した場合と、水を使用した場合の結
果を表6に示す。
【0059】
【表6】
【0060】表6に示すように、排気ガス中の二酸化炭
素濃度は、本発明の排気ガス除去装置を使用しない場合
に比べて、約10%以下まで減少した。単に水に通した
だけでも約70%の二酸化炭素は除去されるが、本発明
の排気ガス浄化装置を使用するとさらに除去率が高まる
ことが明らかになった。
【0061】(実施例4)走行時における排気ガスの浄
化効果 実施例1〜4ではアイドリング時の排気ガスの浄化を検
討し、窒素酸化物、カーボンおよび二酸化炭素がかなり
の割合で除去されることが明らかになった。このため、
実際に自動車(ソアラ(昭和58年式)、排気量200
0cc)に本発明の排気ガス浄化装置を搭載し、走行前
と8時間走行した後の排気ガス中の二酸化炭素濃度を測
定した。図8に示すようにしてサンプリングを行い、ガ
スクロマトグラフィーで分析した。ガスクロマトグラフ
ィーの分析条件は以下の通りである。
【0062】 使用機器:GC−3BT(島津製作所) カラム:Porapak N(内径3mm×2m、ステ
ンレス製) カラム温度:65℃ 注入口温度:95℃ 検出器温度:95℃ キャリアーガス:ヘリウム 検出器:TCD(熱伝導度型検出器) ブリッジ電流:70mA 結果を表7に示す。
【0063】
【表7】
【0064】表7に示すように、本発明の排気ガス除去
装置を使用すると、使用直後であっても、8時間走行後
であっても、排気ガス中の二酸化炭素濃度は装着しない
場合のそれと比べて約14%程度まで低下することが明
らかになった。この走行試験が終了した後の排気ガス浄
化装置の貯留槽の底には、金属粉の沈殿も見られた。分
析の結果この金属粉は鉄と判明し、マフラーの内表面が
腐食して排気ガスとともに排出されたものと思われた。
また、このときの豪州産西洋ヒノキ油含有水溶液液のp
Hは、JIS K0102(1993)−12.1に従っ
て行い、試験開始前が6.9(17℃)であったのに対
し、8.2(17℃)まで上昇していた。
【0065】(実施例5)二酸化炭素の吸収 上記の実施例から、アイドリングのときでも、また、走
行後であっても排気ガス中の二酸化炭素濃度が大きく減
少することが明らかになった。しかし、排気ガス中に存
在していた二酸化炭素が、二酸化炭素として液中に溶解
しているのか、あるいは豪州産西洋ヒノキ油含有水溶液
中の成分と何らかの反応をして化合しているのかどうか
は不明であった。このため、排気ガス中から除去された
二酸化炭素がどのような形で溶液中に存在するのかを以
下のようにして確認した。
【0066】試験溶液としては、水と、実施例1で使用
した豪州産ヒノキ油含有水溶液とを用いた。これら2つ
の被験試料を、500mLずつ2本のガラスビンに入れ
た。二酸化炭素(30kgボンベ)のノズルにチューブ
をつなぎ、ふたまたで2つに分岐させてポリプロピレン
製チューブ(内径10mm)と接続して、それぞれのチ
ューブを被験試料中に入れた。二酸化炭素ボンベのバル
ブをわずかに開けて、ポコポコと泡が上がる程度にガス
の流速を調節して、二酸化炭素約20kgを終夜で吹き
込んだ。被験試料が水の場合には、試料を入れた容器の
底に白色の沈殿が見られた。しかし、豪州産西洋ヒノキ
油含有水溶液の場合には、こうした沈殿は見られず、液
が薄い白色に着色した。二酸化炭素を吹き込む前後の豪
州産西洋ヒノキ油含有水溶液に含まれる無機体炭素(I
C)、有機体炭素(TOC)および全炭素(TC)の量
を、JIS K 0102−22の方法に従って測定し
た。結果を表8に示す。
【0067】
【表8】
【0068】表中の無機体炭素(IC)は豪州産西洋ヒ
ノキ含有水溶液中に溶け込んでいる二酸化炭素の量を表
し、有機体炭素(TOC)は豪州産西洋ヒノキ含有水溶
液中に存在する各種の炭素を含有する化合物および炭素
自身を表す。全炭素量(TC)は無機体炭素と有機体炭
素との合計量をいう。表8に示すように、二酸化炭素を
吹き込んだ後には、無機体炭素が減少し、有機体炭素が
著しく増加した。これは、豪州産西洋ヒノキ含有水溶液
中に含まれるポリフェノール系の物質が、二酸化炭素を
吹き込む際のバブリングによって重合し、スカベンジャ
ー効果を発揮して炭素を大量に吸着したものと思われ
る。
【0069】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発
明の排気ガス浄化方法と排気ガス浄化装置によれば、従
来の触媒のみを使用した場合に比べて、HC、PM、お
よび二酸化炭素を格段に減じることができるので、電気
量の小さい小型のファンを使用して、今後要求されるで
あろう環境基準に応えることが可能となる。さらに、コ
ストおよび占有スペースも効果的に低減することがで
き、また、排気ガスの熱排出も低下させることができ
る。
【0070】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気ガス浄化装置の第1実施形態を示
す斜視断面図である。
【図2】本発明の排気ガス浄化装置の第1実施形態を示
す平面図である。
【図3】本発明の排気ガス浄化装置の第1実施形態を示
す断面図である。
【図4】本発明の排気ガス浄化装置の第2実施形態を示
す断面図である。
【図5】従来の三元系触媒システムを表す斜視図であ
る。
【図6】本発明の排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化装
置で使用する植物精油含有水溶液を調整する攪拌装置を
示す図である。
【図7】本発明の排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化装
置で使用する植物精油含有水溶液を調製する攪拌装置を
示す図である。
【図8】本発明の排気ガス浄化装置によるCO2除去効
果を調べるための各装置の配置を示す図である。
【符号の説明】 10、20 各実施形態の排気ガス浄化装置 11 容器部材 12、 貯留槽 13 ファン 14 吸気口 15 排出口 L 排気ガス吸収性薬液 30 攪拌装置 32、42 攪拌槽 33 攪拌棒 34 保持部材 36、38 気体供給装置 44、46、48 管 44’、46’、48’ ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 53/77 F01N 3/04 J 53/34 ZAB B01D 53/34 E 53/77 ZAB ZABD F01N 3/04 Fターム(参考) 3G091 AA02 AA17 AA18 AB15 BA13 BA14 BA15 BA19 BA20 4D002 AA02 AA09 AA12 AA40 BA02 BA14 BA16 CA07 CA11 CA20 DA35 DA70 4D020 AA03 AA05 AA06 AA08 AA10 BA15 BA23 BA30 BB03 BB07 CB33 CC03 CC07 CC13 CC16 4D032 AA03 AB02 AB07 AB09 AB10 BA03 BB05 BB17 DA02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸入ファンが備えられた吸入口から容器
    内に排気ガスを吸入する排気ガス吸入工程と、 当該吸入口から排出口に向かう排気ガス流を当該容器内
    に貯留された排気ガス吸収性薬液を毛細管現象により吸
    収するそらせ板であって排気ガスを通す流通孔をその主
    要面に有するものを通過させて、当該排気ガス流中の汚
    染物質を除去する汚染物質除去工程と、 浄化した排気ガスを排出口から排出する排気ガス排出工
    程とを有する排気ガス浄化方法。
  2. 【請求項2】 前記汚染物質除去工程は少なくとも2つ
    のそらせ板を備え、吸入口から吸入された排気ガスが第
    一のそらせ板の主要面に当たった後にその主要面に沿っ
    て流れて行き前記第一そらせ板の主要面に設けられた流
    通孔を通り、ついで第二のそらせ板の主要面に当たった
    後にその主要面に沿って流れて行き前記第二のそらせ板
    の主要面に設けられた流通孔を通って流れるように、排
    気ガスの流路が形成されていることを特徴とする請求項
    1に記載の排気ガス浄化方法。
  3. 【請求項3】 前記汚染物質除去工程は、前記そらせ板
    が螺旋状に巻装配置され、吸入口から排出口に向かう排
    気ガス流が前記そらせ板の主要面に沿って流れるように
    流路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載
    の排気ガス浄化方法。
  4. 【請求項4】 前記吸入口の内壁面に、螺旋状の溝を設
    けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    排気ガス浄化方法。
  5. 【請求項5】 前記排気ガス吸収性薬液薬液は、台湾ヒ
    ノキ油含有水溶液、豪州産西洋ヒノキ油含有水溶液、チ
    ャ油含有水溶液、タケ油含有水溶液、イチョウ油含有水
    溶液、ポプラ油含有水溶液、ケフナ油含有水溶液及びス
    ギ油含有水溶液からなる群から選ばれる少なくとも1以
    上の水溶液からなることを特徴とする請求項5に記載の
    排気ガス浄化方法。
  6. 【請求項6】 吸入ファンが備えられた吸入口から吸入
    された排気ガスを浄化して排出口から排出する排気ガス
    浄化装置であって、 薬液を貯留する容器部材と、 当該吸入口から排出口に向かう排気ガス流を当該容器内
    に貯留された排気ガス吸収性薬液薬液を毛細管現象によ
    り吸収するそらせ板であって排気ガスを通す流通孔をそ
    の主要面に有するものを通過させて、当該排気ガス流中
    の汚染物質を除去する汚染物質除去手段とを備える排気
    ガス浄化装置。
  7. 【請求項7】 前記汚染物質除去手段は少なくとも2つ
    のそらせ板を備え、吸入口から吸入された排気ガスが第
    一のそらせ板の主要面に当たった後にその主要面に沿っ
    て流れて行きその主要面に設けられた流通孔を通り、つ
    いで第二のそらせ板の主要面に当たった後にその主要面
    に沿って流れて行き前記第二のそらせ板の主要面に設け
    られた流通孔を通って流れるように、排気ガスの流路が
    形成されていることを特徴とする請求項6に記載の排気
    ガス浄化装置。
  8. 【請求項8】 前記汚染物質除去手段は、前記そらせ板
    が螺旋状に巻装配置され、吸入口から排出口に向かう排
    気ガス流が前記そらせ板の主要面に沿って流れるように
    流路が形成されていることを特徴とする請求項6に記載
    の排気ガス浄化装置。
  9. 【請求項9】 前記吸入口の内壁面に、螺旋状の溝を設
    けたことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の
    排気ガス浄化装置。
  10. 【請求項10】 台湾ヒノキ油含有水溶液、オーストラ
    リア産の西洋ヒノキ油含有水溶液、チャ油含有水溶液、
    タケ油含有水溶液、イチョウ油含有水溶液、ポプラ油含
    有水溶液、ケフナ油含有水溶液及びスギ油含有水溶液か
    らなる群から選ばれる少なくとも1以上の水溶液からな
    ることを特徴とする請求項9に記載の排気ガス浄化装
    置。
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