JP2000241715A - 粒子移動/固定ユニット - Google Patents
粒子移動/固定ユニットInfo
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- JP2000241715A JP2000241715A JP11046200A JP4620099A JP2000241715A JP 2000241715 A JP2000241715 A JP 2000241715A JP 11046200 A JP11046200 A JP 11046200A JP 4620099 A JP4620099 A JP 4620099A JP 2000241715 A JP2000241715 A JP 2000241715A
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Abstract
性、交換性、操作性等に優れた構造の粒子移動/固定ユ
ニットを提供すること。 【解決手段】 この粒子移動/固定ユニットUN1は、
粒子移動/固定装置2とホルダ3とを備える。装置2
は、基材15に形成された電極17への電圧印加時に発
生する電界のもたらす誘電泳動力により、媒質13中の
粒子12を移動または固定させる。ホルダ3は、その装
置2を顕微鏡ステージ5に取り付ける際に用いられると
ともに、媒質13を満たしておくための容器を兼ねる。
ユニットUN1には、電極17から引き出された導体部
19に対して圧接される導電性のコンタクト61,62
が設けられている。
Description
動または固定させる粒子移動/固定装置と、同装置を顕
微鏡ステージに取り付ける際に用いられるホルダとを備
えるユニットに関するものである。
マイクロマニピュレーション技術の一種として、マイク
ロインジェクションという技術が知られている。
ラス管を加工してなるマイクロピペットと呼ばれる注射
針を用い、細胞内にDNA、RNA、オルガネラ、各種
蛋白質、各種薬液等を注入する手法のことを指す。この
ような技術は、特定遺伝子などを細胞内に選択的に導入
しうる有効な手法として近年特に注目を浴びている。か
かる手法は、類似の手法であるレーザーインジェクショ
ン等に比べて導入効率が高くてしかも安価といった利点
を有している。
る細胞に対してマイクロピペットを突き刺した状態で細
胞内に液体を注入するため、突き刺し時には細胞を何ら
かの手段により固定しておく必要がある。また、細胞に
おける特定の部位に遺伝子等を導入したい場合には、ピ
ペットを突き刺しやすい所定の方向に当該部位を向けた
状態で細胞を固定する必要がある。そして、従来では、
突き刺し用のマイクロピペットと別のピペットを用いて
その先端に細胞を吸い付けることにより、細胞の固定を
図っていた。
従来方法は、面倒で時間がかかるため、生産性の向上を
期待することが難しかった。そこで、これに代わるもの
として、本発明者らは図6に示すような細胞移動/固定
装置81を備えるユニットを想到した。同図において細
胞移動/固定装置81は、媒質82を満たすための容器
を兼ねる取り付け用ホルダ83内にて支持されている。
装置81を構成する基材84の中央部には、細胞85を
1つ1つ収容するための細胞チャンバ86が設けられて
いる。粒子収容部である細胞チャンバ86は、基材84
の両側面にて開口するテーパ状の貫通孔である。細胞チ
ャンバ86の周囲には複数の電極87が隣接して配置さ
れている。電極87は配線パターン88を介してパッド
89に接続されていて、それらのパッド89にはリード
線90が接合されている。また、同装置81はホルダ8
3とともに顕微鏡の観察ステージ91上に固定される。
ステージ91の下方には対物レンズ92が配置されてい
て、ステージ91の上方にはマイクロピペット93が配
置されている。
7へ高周波電圧を印加すると、細胞チャンバ86内に電
界が発生し、その電界が細胞85に対して好適な誘電泳
動力をもたらす。よって、細胞85を細胞チャンバ86
内にて移動させて位置修正した後、その細胞85を固定
させることが可能である。ゆえに、オペレータは装置8
1の下方側から細胞85の観察を行ないながら、マイク
ロピペット93を操作してその先端を細胞85に突き刺
すことができるようになっている。
接続されるパッド89は複数個存在し、かつリード線9
0は個々のパッド89に対して導電性接着剤94等を用
いて接合される。また、媒質82との電気的な絶縁を図
るために、導電性接着剤94はさらに樹脂層95によっ
て全体的に被覆されることで保護される。従って、図6
のものにおいては上記の面倒なリード線接続作業を装置
81ごとに実施しなければならず、組み付け性に劣って
いた。また、パッド89に対してリード線90を一旦接
合してしまうと、装置81の交換が不能になるという欠
点があった。
たリード線90がマイクロピペット93による細胞操作
の邪魔になったり、装置81の下面側から引き出された
リード線90が対物レンズ92による観察の邪魔になる
等の欠点もあった。
であり、その目的は、リード線接続作業が不要であっ
て、組み付け性、交換性、操作性等に優れた構造の粒子
移動/固定ユニットを提供することにある。
めに、請求項1に記載の発明では、基材に形成された電
極への電圧印加時に発生する電界のもたらす誘電泳動力
により、媒質中の粒子を移動または固定させる粒子移動
/固定装置と、同装置を顕微鏡ステージに取り付ける際
に用いられるとともに前記媒質を満たしておくための容
器を兼ねるホルダとを備えるユニットであって、前記電
極から引き出された導体部に対して圧接される導電性の
コンタクトを設けたことを特徴とした粒子移動/固定ユ
ニットをその要旨とする。
て、前記ホルダは、前記基材を両面側から挟み込むこと
で同基材を着脱可能に保持する一対の治具からなり、前
記コンタクトは、前記治具に設けられるとともに両治具
による挟み込み動作に伴い前記導体部に対して圧接する
とした。
2において、前記コンタクトは、前記ホルダに前記装置
を保持して媒質を満たした場合、前記媒質の満たされて
いる領域からシール部材を介して隔離される領域に配設
されているとした。
のいずれか1項において、前記ホルダは、絶縁性の樹脂
成形材料内に前記コンタクトをインサートしてなるイン
サート成形品であるとした。
る。請求項1に記載の発明によると、導電性のコンタク
トが導体部に対して圧接したとき、給電側と装置側とが
電気的に接続され、誘電泳動力をもたらす電界を発生さ
せるための電圧が電極に印加される。この構成である
と、導体部に対する面倒なリード線接続作業が不要にな
ることから、ユニットの組み付け性が向上する。また、
装置にはリード線が直かに接続されているわけではな
く、単にコンタクトが圧接されているにすぎないので、
後に装置を交換することが可能である。さらに、リード
線はコンタクトに対して接続されるものであって、装置
から直接引き出されるわけではないので、操作時に特に
邪魔になることもない。
よる挟み込み動作に伴ってコンタクトが導体部に対して
圧接するため、挟み込み動作と圧接動作とをそれぞれ独
立して行なう必要がない。この点において、本発明のユ
ニットは組み付け性に優れたものとなっている。また、
治具にコンタクトを設けた構成であれば、操作時にコン
タクト自体が邪魔になることも回避される。
材のシール作用によって、コンタクトや導電部等の通電
部分が媒質に晒される心配がなくなる。ゆえに、それら
を保護する構造を別段設けなくてもショート不良等が未
然に回避され、ユニットの信頼性も向上する。
ト成形法によれば比較的簡単にホルダを製造できるとと
もに、治具とコンタクトとの間の絶縁性も確保される。
置取り付け用ホルダを具体化した一実施形態のセルマニ
ピュレーションシステム1を図1〜図4に基づき詳細に
説明する。
は、細胞移動/固定装置2、取り付け用ホルダ3、下部
観察手段としての対物レンズ4、顕微鏡ステージ5、マ
イクロピペット6、マニピュレータ(図示略)、光源(図
示略)等を含んで構成されている。また、細胞移動/固
定装置2及び取り付け用ホルダ3によって、1つの細胞
移動/固定ユニットUN1が構成されている。
の中央部には透孔11が設けられている。この透孔11
の下方には対物レンズ4が上向き状態で配設されてい
る。対物レンズ4は、図示しない操作手段を操作するこ
とにより垂直方向に移動することができる。光源は透孔
11の上方に離間して配置されている。マイクロピペッ
ト6は、顕微鏡ステージ5の上側に配置されている。マ
イクロピペット6は、加熱溶融したガラス管を細く引き
延ばすことによって製造される。マイクロピペット6の
先端部は、直径数十μm〜数百μm程度の植物細胞12
を突き刺すことができるように尖った形状に形成されて
いる。なお、マイクロピペット6はマニピュレータを操
作することにより三次元的に駆動される。マニピュレー
タの駆動方式としては、例えば油圧式、エア式、機械式
などがある。マイクロピペット6の基端部は、図示しな
いシリンジ等の加圧器に接続されている。加圧器からは
例えばDNAを含む溶液等が圧送されてくる。
3は、観察ステージ5の上面中央部に対して取り付けら
れている。ホルダ3の取り付け時には、透孔11の上部
開口は塞がれた状態となる。ホルダ3は、装置2を顕微
鏡ステージ5に取り付けるためのものであって、媒質で
ある培養液13を満たすための容器をも兼ねている。
固定装置2を構成する基材15は、円盤状をなしてい
る。本実施形態では、透過性材料の一種であるガラス
(具体的にはほう珪酸ガラス)製の基材15が用いられ
ている。ほう珪酸ガラス製基材15の厚さは0.2mm
〜1mm程度に設定されている。この基材15の中央部
には、粒子状対象物である植物細胞12を1つ1つ収容
するための細胞チャンバ42が形成されている。粒子収
容部である細胞チャンバ42は、基材15に複数個設け
られていてもよい。この細胞チャンバ42は、基材15
の上側面のみにて開口する非貫通の凹部である。この凹
部は等方性エッチングにより断面円形状に形成されてい
る。エッチング凹部の内側面下部は、基材15の厚さ方
向に対して0°〜90°の角度をなすアール面となって
いる。また、エッチング凹部の底面は、基材15の面方
向に対して略平行になっている。この細部チャンバ42
はいわば略椀状をなしている。また、エッチング凹部か
らなる細胞チャンバ42の深さは50μm〜150μm
程度に設定され、その直径は150μm〜300μm程
度に設定されている。
に、基材15において細胞チャンバ42の付近には、複
数個の電極17が隣接して配置されている。本実施形態
では、基材15の上面側及び下面側にそれぞれ4個ずつ
電極17が形成されている。各電極17の位置関係を説
明する便宜上、図4(b)では基材15の上面側におけ
る4つの電極17にU1,U2,U3,U4が付されて
いる。同図では、基材15の下面側における4つの電極
17に、D1,D2,D3,D4が付されている。これ
によると、電極U1−D1、U2−D2、U3−D3、
U4−D4がそれぞれ対応する位置関係にあることがわ
かる。
成されている。各電極17は、これらのパッド19に対
し配線パターン18を介して電気的に接続されている。
パッド19以外の導体部分は、ポリイミド等のような絶
縁性材料からなる絶縁層21によって保護されている。
3は、基材15を両面側から挟み込むことで基材15を
着脱可能に保持する一対の治具43,44を主要な構成
要素としている。下治具43及び上治具44はともに環
状をなしている。下治具43は顕微鏡ステージ5上に水
平に固定された状態で使用される。顕微鏡ステージ5上
かつ透孔11の周囲には、下治具43を位置決めした状
態で固定するための嵌合凹部5aが形成されている。下
治具43はこの嵌合凹部5aに嵌脱可能な寸法となるよ
うに形成されている。上治具44は下治具43の上端面
側に対して嵌合された状態で使用される。下治具43の
内周縁上側には、その全周にわたって基材挟持部45が
設けられている。上治具44の内周縁下側には、その全
周にわたって基材挟持部46が設けられている。基材挟
持部45,46同士はちょうど対向する位置関係にあ
る。基板挟持部45,46の外周側には、それぞれ環状
溝47,48が形成されている。
る部位(ここでは下端縁)には、全周にわたって環状凹
部49が形成されている。その環状凹部49内には、シ
ール部材としてのOリング50が装着されている。Oリ
ング50は無端状かつ断面楕円形状であって、ゴム等の
弾性体からなる。図2(a)にて二点鎖線で示されるよ
うに、Oリング50は、基材15において配線パターン
18の形成領域(言い換えると各電極17と各パッド1
9との間の領域)に当接する位置関係にある。
は、ねじ挿通孔51が透設されている。下治具43の外
周部において前記各ねじ挿通孔51に対応する箇所に
は、めすねじ穴52が設けられている。締結手段である
ねじ53は、各ねじ挿通孔51に挿通された状態で各め
すねじ穴52に螺着される。従って、上治具44を下治
具43に嵌合した状態で各ねじ53を締め付けることに
より、両治具43,44の固定が図られる。下治具43
の上面側には、基材15の外形寸法にほぼ等しい内径を
有する嵌合凹部54が形成されている。従って、粒子移
動/固定装置2は嵌合凹部54に嵌合することが可能で
ある。粒子移動/固定装置2の嵌合時において、同装置
2は基材挟持部45上に水平に支持されるとともに、位
置決めされた状態で下治具43に固定される。
44はコンタクト61,62を複数本ずつ備えている。
コンタクト61,62は、導電性を有するばね材料を用
いて形成されている。ばね材料の具体例としては銅系の
合金が挙げられる。下治具43の有するコンタクト61
は略直線状であり、内端側に略C字状の屈曲部61aを
持つ。上治具44の有するコンタクト62は2箇所を直
角に屈曲させた形状であり、内端側に略C字状の屈曲部
62aを持つ。各屈曲部61a,62aにおける凸面は
パッド19側を向いている。コンタクト61,62は、
両治具43,44による挟み込み動作に伴い、各パッド
19に対して圧接される。コンタクト61,62の屈曲
部61a,62aは、ホルダ3に装置2を保持させて培
養液13を満たした場合、培養液13の満たされている
領域A1からOリング50を介して隔離される領域A2
に配設されている。具体的にいうと、領域A1とはOリ
ング50よりも内周側となる領域をいい、領域A2とは
Oリング50よりも外周側となる領域をいう。なお、本
実施形態のホルダ3を構成する治具43,44は、絶縁
性の樹脂成形材料内にコンタクト61,62をインサー
トしてなるインサート成形品である。絶縁性の樹脂成形
材料の具体例としては、エポキシのほか、ナイロン等の
ポリエステルやPBT等が挙げられる。
3,44の外周面から突出していて、そこにはリード線
20の先端に設けられためす型ソケット63が着脱可能
になっている。そして、ソケット63の装着時には、各
リード線20を介して各コンタクト61,62に数10
kHz〜数MHzの高周波交流電圧を印加できるように
なっている。
4,D1〜D4)に対する通電の仕方を説明するための
表である。植物細胞12を右回転させたい場合には、U
1→U2→U3→U4というように、特定の1つの電極
17のみに対してプラス電圧を印加することを、右回り
で順に行なえばよい。これをU4→U3→U2→U1と
いうように反対回りで順に行なえば、植物細胞12を左
回転させることができる。植物細胞12を上昇させたい
場合には、U1及びU2にプラスの電圧を印加し、U3
及びU4にマイナスの電圧を印加すればよい。植物細胞
12を下降させたい場合には、U1〜U4にプラスの電
圧を印加すればよい。また、植物細胞12を動かさずに
固定したい場合には、U1〜U4,D1〜D4に印加す
る電圧値を固定すればよい。
タクト61,62を介して電極17へ高周波電圧を印加
すると、細胞チャンバ42内に電界が発生し、その電界
が植物細胞12に対して好適な誘電泳動力をもたらすか
らである。この場合、粒子状対象物である植物細胞12
の誘電率は、一般的に媒質である培養液13の誘電率と
異なるため、電界が働くことで植物細胞12が静電分極
を起こす。上記のごとく細胞チャンバ42の内側面は基
材15の厚さ方向に対して所定の角度をなしているの
で、電圧を印加すると、電界の強さにアンバランスが生
じる。その結果、細胞チャンバ42内にて好適な誘電泳
動力が発生し、静電分極した植物細胞12が電界の強い
ほうへと引き寄せられる。
2を製造する方法を述べる。まず、ほう珪酸ガラスから
なる基材15を準備するとともに、この基材15に対し
て従来公知の手法によりパターニングを行ない、電極1
7、配線パターン18及びパッド19等の導体部分をそ
れぞれ形成する(図3(a)参照)。パターニングの手法
としては、一般的なめっき法のほか、焼成印刷法、スパ
ッタリング、CVD等がある。導体部分の形成に用いら
れる導電性金属材料としては、例えば銅、スズ、ニッケ
ル、鉛、鉄、クロム、チタン、金、白金等がある。ガラ
スに対する等方性エッチングを行なう場合、前記金属材
料はエッチャントであるふっ酸に耐性のものであること
が望ましい。このことに鑑み、本実施形態では、金及び
クロムの2種からなる金/クロム層(即ちクロム層を下
地とする金層)を採用している。
面のほぼ全域に感光性ポリイミド樹脂を均一に塗布しか
つ乾燥させる。この状態でフォトマスクを配置して露光
・現像を行ない、電極17及び配線パターン18を保護
するための絶縁層21を形成する(図3(b)参照)。基
材15の中央部や各パッド19は、絶縁層21で被覆さ
れておらず、外部に露出している。
にエッチングマスク65を設ける(図3(c)参照)。
このエッチングマスク65は、基材15の上面側中央
部、即ち細胞チャンバ42が形成されるべき箇所に開口
部66を備えている。開口部66の径は細胞チャンバ4
2の内径よりも小さく(数十μm程度に)設定される。
なお、エッチングマスク65の形成材料としては、エッ
チャントであるふっ酸に耐えうるものであることが望ま
しい。
等方性エッチングを行なうことにより、基材15の上面
側に細胞チャンバ42となる非貫通のエッチング凹部を
形成する(図3(d)参照)。その後、不要となったエッ
チングマスク65を除去すれば、所望の細胞移動/固定
装置2が完成する(図3(e)参照)。
組み付け手順を説明する。まず、下治具43の嵌合凹部
54に対して、細胞移動/固定装置2を嵌合させる。装
置2はこのとき基材挟持部45上に水平に支持される。
次に、各ねじ挿通孔51とめすねじ穴52とを位置合わ
せして、上治具44を下治具43の上端面側に嵌合す
る。この状態で各ねじ53を締め付けることにより、両
治具43,44を固定する。その際、対向する位置関係
にある基材挟持部45,46によって基材15が上下両
面側から挟み込まれる結果、装置2がホルダ3に確実に
保持される。
ることにより、Oリング50が自身の軸線方向へ圧縮さ
れる。その結果、Oリング50が弾性変形した状態で装
置2の上面に密着する。この密着により、領域A1と領
域A2との間に高いシール性が得られる。つまり、パッ
ド19やコンタクト61,62の屈曲部61a,62a
等のある領域A2に、領域A1の培養液13が浸入して
こなくなる。
とにより、対応するパッド19に対して各屈曲部61
a,62aが圧接した状態となる。この圧接により、ホ
ルダ3側の導電部分(即ちコンタクト61,62)と、
装置2側の導電部分(パッド19、配線パターン18、
電極17)とが導通する。ゆえに、各コンタクト61,
62の外端にソケット63を装着して通電を行なえば、
各電極17に対して高周波電圧を印加することが可能と
なる。
一例を述べておく。顕微鏡ステージ5上にホルダ3をセ
ットし、かつそのホルダ3の内底面に細胞移動/固定装
置2を固定しておく。この状態でホルダ3内を滅菌した
培養液13で満たしておく。その結果、基材15の上側
面及び下側面がともに培養液13のある環境となり、細
胞チャンバ42内が確実に培養液13で満たされた状態
となる。よって、乾燥に弱い植物細胞12の死滅が未然
に回避される。植物細胞12は、プロトプラストや花粉
等のような単細胞であってもよいほか、胚珠などの特定
器官やカルス等のような細胞群(即ち多細胞)であって
もよい。
ットにより細胞チャンバ42内に1つの植物細胞12を
移し入れる。次いで、オペレータは顕微鏡観察を行ない
ながら電極17に高周波電圧を印加し、植物細胞12の
位置修正を行なう。この場合、特定遺伝子を導入したい
部位が例えば胚であれば、胚の部分をマイクロピペット
6の先端部に向けるように調整する。
らマイクロピペット6を駆動操作して、その先端部をタ
ーゲットである植物細胞12に向けてゆっくりと前進さ
せる。マイクロピペット6の先端部が植物細胞12の胚
に突き刺さったことを顕微鏡により確認した後、オペレ
ータはシリンジの頭部を静かに押圧し、外部にDNAの
入った液体を押し出すようにする。すると、マイクロピ
ペット6を経由してその先端部から当該液体が吐出され
る。従って、植物細胞12の胚にDNAを注入すること
ができる。上記のような導入処理が終了した後、オペレ
ータはマイクロピペット6を後退させて、その先端部を
植物細胞12から抜き去る必要がある。以上の結果、特
定遺伝子を植物細胞12内に選択的にかつ効率よく導入
することができる。この後、遺伝子導入がなされた植物
細胞12は、再び別のマイクロピペットによって細胞チ
ャンバ42から静かに吸い出される。
効果を得ることができる。 (1)本実施形態のセルマニピュレーションシステム1
によると、電極17に電圧を印加することにより、好適
な誘電泳動力が植物細胞12に作用する。その結果、固
定用マイクロピペット等の器具を植物細胞12に対して
何ら接触させることなく、その植物細胞12を細胞チャ
ンバ42内にて移動または固定させることができる。よ
って、粒子状対象物を吸い付けて固定するという従来方
法とは異なり、柔らかい植物細胞12にダメージを与え
ることなく各種の操作を行なうことができる。また、こ
のシステム1によれば、面倒な固定用マイクロピペット
の操作を伴わないため、生産性の向上も期待できる。
電極17から引き出された各パッド19に対して圧接さ
れる導電性のコンタクト61,62が複数本設けられて
いる。従って、各コンタクト61,62が各パッド19
に対して圧接したとき、給電側と装置2側とが電気的に
接続され、高周波電圧が電極17に印加されるようにな
っている。この構成であると、複数あるパッド19に対
する面倒なリード線接続作業が不要になることから、ユ
ニットUN1の組み付け性が向上する。また、装置2の
各パッド19には、リード線20が直かに接続されてい
るわけではなく、単にコンタクト61,62が圧接され
ているにすぎない。よって、後にホルダ3から装置2を
取り外して別のものに交換することも勿論可能である。
さらに、本実施形態においてリード線20は、コンタク
ト61,62の基端部に対して接続されていて、装置2
から直接引き出されているわけではない。つまり、リー
ド線20はホルダ3の外周面側に位置しているものの、
装置2の上面側にも下面側にも位置してはいない。ゆえ
に、リード線20がマイクロピペット6による細胞操作
の邪魔になったり、対物レンズ4による観察の邪魔にな
ることが回避される。即ち、本実施形態のユニットUN
1は、操作性及び観察性に優れたものとなっている。
を上下両面側から挟み込むことで同基材15を着脱可能
に保持する一対の治具43,44からなる。また、治具
43,44に設けられたコンタクト61,62は、両治
具43,44による挟み込み動作に伴い、各パッド19
に対して圧接する。従って、挟み込み動作と圧接動作と
をそれぞれ独立して行なう必要がなく、この点において
同ユニットUN1は組み付け性に優れたものとなってい
る。また、治具43,44にコンタクト61,62を内
蔵した構成であれば、操作時や観察時にコンタクト6
1,62自体が邪魔になることも回避される。
1,62やパッド19は、ホルダ3に装置2を保持して
培養液13を満たした場合、領域A1からOリング50
を介して隔離される領域A2に配設されている。従っ
て、領域A1側に満たされている培養液13に通電部分
が晒される心配がなくなる。ゆえに、コンタクト61,
62等を保護する構造を別段設けなくてもショート不良
等が未然に回避され、ユニットUN1の信頼性も確実に
向上する。また、培養液13の漏洩が防止されることに
より、ホルダ3に容器としての機能が付与される。
樹脂成形材料内にコンタクト61,62をインサートし
てなるインサート成形品である。このようなインサート
成形法によれば、比較的簡単に所望のホルダ3を製造す
ることができる。また、治具43,44とコンタクト6
1,62との間の絶縁性も確保することができる。
更してもよい。 ・ 図5(a)に示される別例のシステム71では、リ
ード線20の先端に設けられるソケット構造がメス型か
らオス型に変更されている。ピンを有するオス型ソケッ
ト72の採用に伴って、コンタクト61,62の外端に
はメス型ソケット構造としてのピン嵌合穴61b,62
bが設けられている。従って、各ピン嵌合穴61b,6
2bに対して各ソケット72を着脱することができる。
53以外の締結手段を用いてもよく、さらには締結手段
に代わる別の手段を用いてもよい。例えば、図5(b)
に示す別例のシステム76では、上治具44の外周部下
面側に係止手段としてのフック77が設けられている。
下治具43の外周部上面側においてフック77に対応す
る箇所には、被係止部としての係止溝78が設けられて
いる。従って、フック77が係止溝78に係止すること
により、上治具43が下治具44に対して着脱可能に固
定される。
のような絶縁材料のみに限定されない。従って、ステン
レス鋼等のような導電性材料を用いて治具43,44を
作製することも許容される。この場合、コンタクト6
1,62の外表面を絶縁膜等により被覆しておく等の対
策をあらかじめ講じておけばよい。
みに設けた構成や、上治具44のみに設けた構成を採用
することも可能である。 ・ コンタクト61,62の形状は実施形態のような棒
状ないし板状に限定されることはなく、必要に応じて任
意の形状に変更されることが可能である。例えば、コン
タクト61,62を導電性材料からなるコイルばね等の
ようなものに置き換えてもよい。
3,44はインサート成形法以外の方法により製造され
たものであっても構わない。即ち、あらかじめ作製され
た治具43,44に対して孔をあけ、後からそこにコン
タクト61,62を挿通させる等の製造手順を採ること
も可能である。
3を媒質として用いるのみならず、養分を殆ど含まない
単なる蒸留水等を媒質として用いても構わない。勿論、
媒質は粒子の種類の変更に応じて、適宜変更することが
可能である。また、本発明に適用される粒子は、植物、
動物、微生物等のような生物のみに限定されることはな
く、例えば非生物であってもよい。
思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技
術的思想をその効果とともに以下に列挙する。 (1) 請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、前記
導体部は前記基材の外周部に配置されたパッドであっ
て、前記パッドは配線パターンを介して前記電極に電気
的に接続されていること。従って、この技術的思想1に
記載の発明によれば、コンタクトをパッドに圧接させる
ことにより、配線パターンを介して電極に高周波電圧を
印加することができる。
いずれか1つにおいて、前記コンタクトは導電性を有す
るばね材からなること。従って、この技術的思想2に記
載の発明によれば、ばね力によりコンタクトが導電部に
対して確実に圧接でき、かつその状態で電気を良く流す
ことができる。
2のいずれか1つにおいて、前記ホルダは上治具と下治
具とからなり、前記コンタクトは各治具にそれぞれ設け
られていること。従って、この技術的思想3に記載の発
明によれば、挟み込み動作に伴い、基材の上下両面側に
ある導体部に対して各コンタクトを同時に圧接させるこ
とができる。
至3のいずれか1つにおいて、前記コンタクトの外端は
前記ホルダの外周面側に配置されていること。従って、
この技術的思想4に記載の発明によれば、外端にリード
線を接続したときでも、操作や観察の邪魔にならない。
至4のいずれか1つにおいて、前記コンタクトの外端は
ソケット構造を備えること。従って、この技術的思想5
に記載の発明によれば、リード線の先端に対応するソケ
ット構造を設けておけば、リード線をコンタクト側に着
脱することができる。
鏡ユニットと、請求項1乃至4、技術的思想1乃至5の
いずれか1つに記載された粒子移動/固定ユニットと、
細胞操作用のマイクロピペットとを備えたセルマニピュ
レーションシステム。
載の発明によれば、リード線接続作業が不要であって、
組み付け性、交換性、操作性等に優れた構造の粒子移動
/固定ユニットを提供することができる。
性及び操作性にいっそう優れたユニットとすることがで
きる。請求項3に記載の発明によれば、ショート不良等
が未然に回避される結果、ユニットの信頼性向上を図る
ことができる。
優れるとともに製造が比較的簡単なユニットとすること
ができる。
定装置を備えるユニットを利用したセルマニピュレーシ
ョンシステムを示す概略断面図。
図、(b)は同装置の断面図。
置を製造する手順を説明するための断面図。
ための表、(b)は各電極の位置関係を説明するための
概略図。
トを示す部分概略断面図。
を備えるユニットを利用したセルマニピュレーションシ
ステムを示す概略断面図。
3…ホルダ、5…顕微鏡ステージ、12…粒子としての
植物細胞、13…媒質としての培養液、15…基材、1
7(U1,U2,U3,U4,D1,D2,D3,D
4)…電極、19…導体部としてのパッド、43…下治
具、44…上治具、50…シール部材としてのOリン
グ、61,62…コンタクト、UN1…粒子移動/固定
ユニット、A1…媒質の満たされている領域、A2…隔
離される領域。
Claims (4)
- 【請求項1】基材に形成された電極への電圧印加時に発
生する電界のもたらす誘電泳動力により、媒質中の粒子
を移動または固定させる粒子移動/固定装置と、同装置
を顕微鏡ステージに取り付ける際に用いられるとともに
前記媒質を満たしておくための容器を兼ねるホルダとを
備えるユニットであって、前記電極から引き出された導
体部に対して圧接される導電性のコンタクトを設けたこ
とを特徴とした粒子移動/固定ユニット。 - 【請求項2】前記ホルダは、前記基材を両面側から挟み
込むことで同基材を着脱可能に保持する一対の治具から
なり、前記コンタクトは、前記治具に設けられるととも
に両治具による挟み込み動作に伴い前記導体部に対して
圧接することを特徴とする請求項1に記載の粒子移動/
固定ユニット。 - 【請求項3】前記コンタクトは、前記ホルダに前記装置
を保持して媒質を満たした場合、前記媒質の満たされて
いる領域からシール部材を介して隔離される領域に配設
されていることを特徴とする請求項1または2に記載の
粒子移動/固定ユニット。 - 【請求項4】前記ホルダは、絶縁性の樹脂成形材料内に
前記コンタクトをインサートしてなるインサート成形品
であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項
に記載の粒子移動/固定ユニット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04620099A JP4199362B2 (ja) | 1999-02-24 | 1999-02-24 | 粒子移動/固定ユニット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04620099A JP4199362B2 (ja) | 1999-02-24 | 1999-02-24 | 粒子移動/固定ユニット |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000241715A true JP2000241715A (ja) | 2000-09-08 |
JP4199362B2 JP4199362B2 (ja) | 2008-12-17 |
Family
ID=12740449
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04620099A Expired - Fee Related JP4199362B2 (ja) | 1999-02-24 | 1999-02-24 | 粒子移動/固定ユニット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4199362B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009204760A (ja) * | 2008-02-27 | 2009-09-10 | Hairokkusu:Kk | 胚サンプルの三次元近接撮影装置用照明手段 |
-
1999
- 1999-02-24 JP JP04620099A patent/JP4199362B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009204760A (ja) * | 2008-02-27 | 2009-09-10 | Hairokkusu:Kk | 胚サンプルの三次元近接撮影装置用照明手段 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP4199362B2 (ja) | 2008-12-17 |
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