JP2000241095A - 熱伝達材料、放熱材、放熱方法及び電気電子デバイス - Google Patents

熱伝達材料、放熱材、放熱方法及び電気電子デバイス

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JP2000241095A
JP2000241095A JP11042333A JP4233399A JP2000241095A JP 2000241095 A JP2000241095 A JP 2000241095A JP 11042333 A JP11042333 A JP 11042333A JP 4233399 A JP4233399 A JP 4233399A JP 2000241095 A JP2000241095 A JP 2000241095A
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JP
Japan
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heat
heat radiating
present
heat dissipating
base material
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JP11042333A
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English (en)
Inventor
Shunsuke Suzuki
俊輔 鈴木
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TECHNO QUEST KK
Original Assignee
NDC ENGINEERING KK
TECHNO QUEST KK
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  • Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)
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  • Cooling Or The Like Of Semiconductors Or Solid State Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】放熱特性に優れていて、超軽量であり、水等の
冷却液体を内包しうる単一の熱伝達材料および放熱材等
を提供すること。 【解決手段】基材がアルミニウム又はアルミニウム合金
の三次元連通多孔質体によって主として構成され、該基
材の少なくとも一部にアルミナウイスカーを有し、比重
が0.81〜2.43g/cm3であることを特徴とする熱
伝達材料及び放熱材であり、放熱材は、熱輻射率が0.
62以上であること、比重が1.08〜1.75g/cm3
であって、基材内部に液体冷媒を内包してなること等が
好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は軽量で高い放熱特性
を有する熱伝達材料及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】熱伝達材料という概念は広く、高温側と
低温側との熱交換を効率良く且つ短時間に実施できる材
料を意味している。かかる熱伝達材料としては、電子部
品や電気変圧器の通電時に発生する抵抗熱を外部に放出
するヒートシンク、電気電子部品の熱コントロールや各
種機械装置類の不要な熱集中を局所的に放出するヒート
パイプ、さらには昨今幅広く研究されているペルチェ素
子のような高熱側低熱側いずれにあっても吸熱、放熱を
効率的に行える熱デバイスも含まれる。
【0003】従来、ヒートシンクにおいては、1)高熱
伝導率を持つ材料、2)高い放熱面積を持つためのフィ
ン若しくは微小突起の突設、3)熱源とヒートシンクと
の良好な接合面を形成するための材料の開発及び構造の
開発が重要である。
【0004】更に、近年の電気、電子デバイスの軽量化
ニーズの観点も考慮すると、上記の1)〜3)に加え
て、4)経済性、5)加工性も重要であり、これら1)
〜5)のすべてを満足する熱伝達材料は無いのが現状で
ある。
【0005】また、特開平8−316388号公報記載
のヒートシンクでは、そのヒートシンク自体に液体冷媒
を併用する試みもあるが、ヒートシンク内部に冷媒流路
を穿設することは加工上極めて困難である。
【0006】一方、減圧されたパイプ内に水、アルコー
ル、ナトリウムその他の冷媒を封入してなるヒートパイ
プの一端を熱源に近づけ、冷媒の沸騰蒸発による蒸発潜
熱を奪取して、他端における冷却部で蒸気が再度液体と
なって環流する電子デバイス等からの脱熱システムも、
冷媒がパイプ内を流れる速度に依存し、さらなる性能の
改良が待たれているのが現状である。
【0007】こうした諸問題解決のために、特開平9−
55460号公報記載の技術は、Al-Si合金を急冷凝固
粉として鍛造や焼結方法により固化して製造し、各種機
器から放熱のために用いられる熱素子に係わり、Siを5
0重量%以上含有させるAl合金として熱割れ防止のため
の低膨張係数と良好な放熱性とを兼備したものである
が、依然として放熱特性は瞳目するには至らず、軽量面
でもさらなる工夫が要求される。
【0008】また、特開平8−222669号公報には
ダイヤモンドパウダーとWCを主成分とするヒートシン
ク、及び特開平8−153836号公報にはCuとMoを含
む焼結体からなるヒートシンクの例が記載されている
が、Al合金に比べれば約3倍近い比重であるばかりでな
く、加工面に劣る。
【0009】軽量の例では、特開平9−129792号
公報には炭素繊維に金属メッキを施した例が記載されて
いるが、製造工程において高い管理技術を要し、またコ
スト的にも克服すべき点は多い。
【0010】一方、ヒートパイプの内部側は毛細管現象
を発現しやすくさせるために微小な引っ掻き傷であるウ
ィックを形成することは古くから知られている。
【0011】また、近年では壁面ウィックの形成が面倒
であることから、特開平8−264694号公報記載の
ウィックポールをパイプ内に挿入する例もあり、こうし
たパイプ内部に別挿されるウィック部材も高い吸水性と
耐久性が求められている。しかしながら吸水性を有する
不織布など有機繊維品では耐熱性、耐久性に限界があり
金属で高い吸水性があるウィック部材の市場の要求は強
い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の第1
の課題は、放熱特性に優れていて、超軽量であり、水等
の冷却液体を内包しうる単一の熱伝達材料および放熱材
を提供することにある。
【0013】本発明の第2の課題は、発熱部材との良好
な接着が可能な放熱材とそれを用いた放熱方法を提供す
ることにある。
【0014】本発明の第3の課題は、発熱部の形状に応
じて整形可能な無方向の曲げ性を有することができる上
記放熱材を使ったヒートシンク材を提供することであ
る。
【0015】本発明の第4の課題は、ヒートパイプの内
部に装填するインナーウイック材において、耐熱性、耐
久性が高い金属で且つ高い吸水性がある該装填部材を提
供することにある。
【0016】本発明の第5の課題は、ヒートパイプの外
周に設けられているフィン部材であって内部に液体を内
包することができ、高い放熱特性を持つフィン部材を提
供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の請求項1に記載の熱伝達材料は、基材がアルミニウム
又はアルミニウム合金の三次元連通多孔質体によって主
として構成され、該基材の少なくとも一部にアルミナウ
イスカーを有し、比重が0.81〜2.43g/cm3であ
ることを特徴とする熱伝達材料である。
【0018】上記課題を解決するための請求項2に記載
の放熱材は、基材がアルミニウム又はアルミニウム合金
の三次元連通多孔質体によって主として構成され、該基
材の少なくとも一部にアルミナウイスカーを有し、比重
が0.81〜2.43g/cm3であることを特徴とする放
熱材である。
【0019】上記課題を解決するための請求項3に記載
の放熱材は、熱輻射率が0.62以上であることを特徴
とする請求項2記載の放熱材。
【0020】上記課題を解決するための請求項4に記載
の放熱材は、比重が1.08〜1.75g/cm3であっ
て、基材内部に液体冷媒を内包してなることを特徴とす
る請求項2または3記載の放熱材である。
【0021】上記課題を解決するための請求項5に記載
の放熱材は、放熱材基材の両面に、不透水性の剥離紙を
貼着してなることを特徴とする請求項4記載の放熱材で
ある。
【0022】上記課題を解決するための請求項6に記載
の放熱材は、請求項2、3または4記載の放熱材を板状
に形成し、該板状の放熱材の片面または両面に接着剤層
を介して剥離紙が貼着されてなり、該接着剤層の一部が
放熱材の表面に浸透してなることを特徴とする放熱材で
ある。
【0023】上記課題を解決するための請求項7に記載
の放熱方法は、放熱部に接着剤層を介して請求項2、3
または4記載の放熱材を接触固定し放熱する方法であっ
て、前記接着剤層の一部を放熱材の表面から接合界面部
の空洞に局部浸入させることを特徴とする放熱方法であ
る。
【0024】上記課題を解決するための請求項8に記載
の電気電子デバイスは、請求項2、3または4に記載の
放熱材と、熱的に接触するように組み合わされた電気電
子デバイスである。
【0025】上記課題を解決するための請求項9に記載
のヒートシンク材は、請求項2、3または4に記載の放
熱材により構成され、放熱部の形状に応じて整形可能な
無方向の曲げ性を有することを特徴とするヒートシンク
材である。
【0026】上記課題を解決するための請求項10に記
載のヒートパイプのインナーウィック材は、ヒートパイ
プの内部に装填するインナーウイック材において、該装
填部材が請求項2、3または4に記載の放熱材であるこ
とを特徴とするヒートパイプのインナーウイック材であ
る。
【0027】上記課題を解決するための請求項11に記
載のヒートパイプのフィン部材は、ヒートパイプの外周
にフィン部材として設けられているフィン部材が請求項
2、3、または4に記載の放熱材であることを特徴とす
るヒートパイプのフィン部材である。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0029】本発明の熱伝達材料および放熱材として用
いられる基材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金
の三次元連通多孔質体であって、該基材の少なくとも1
部にアルミナウイスカーを有していることに特徴があ
る。
【0030】本発明においては三次元連通孔をもつもの
を三次元連通多孔質体とよび、三次元連通多孔質体はア
ルミニウム及びアルミニウム合金の粉末または微粉末の
焼結体である。
【0031】本発明において、該焼結体は1μm〜10
00μmのアルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉
末をセラミックス板上に散布し、無加圧で非酸化性雰囲
気中で焼成することによって、アルミニウムの真密度
2.7g/cm3よりも十分に軽量に作成することができ
る。
【0032】また本発明において、該焼結体は上述の粉
粒径範囲で比較的大きい粉粒径範囲の粉末を使用するこ
とによって、無加圧で散布された粉末は、粉末と隣接す
る粉末間の空隙が大きくなることから、より軽量に作成
することができる
【0033】しかし、単に三次元連通孔を有するこの状
態に軽量であることに加えて熱伝達材料としての十分な
機能と内部空孔への積極的吸水性を持たせるためには以
下のようにしてウイスカーを構成することが肝要であ
る。
【0034】まず前記のようにして得られたアルミニウ
ム焼結体を純水中に浸漬し、煮沸すると、基材表面のみ
ならず多孔質体内部の金属面にオングストロームオーダ
ーの水酸化アルミニウム皮膜が形成される。
【0035】そして、前記水酸化アルミニウム皮膜を伴
う基材を120℃以上500℃以内、好ましくは120
℃〜160℃で加熱すると、基材のアルミニウム金属面
からγ型のAl2O3ウイスカーが全面に構成される。
【0036】また、本発明に係る熱伝達材料および放熱
材の密度は、基材としての熱伝達性能を維持するために
は0.81g/cm3以上であることが好ましく、また、軽
量化の課題を満足するためには2.43g/cm3以下であ
ることが好ましい。
【0037】以下、この群生したAl2O3ウイスカーによ
る特性について具体的に述べる。
【0038】本発明において、このアルミナウイスカー
を伴う多孔質アルミニウム焼結体は、BET法によれば10m
2/g以上の高比表面積を有しており、また電子顕微鏡観
察によるウイスカーの所有面積と観察倍率から計算する
と、平板の5万〜50万倍もの表面積を持つことが特徴
である。
【0039】本発明において、アルミニウム基地から連
続的に発生しているアルミナウイスカーは、多孔質体内
部の三次元空洞内部全域に亘って群生しており、多孔質
体内も一種のミクロなフィンが形成されている態様とな
るので、放熱特性に優れており、本発明に係る放熱材
は、通常のアルミニウム平板の6倍にあたる0.62〜
0.88という高い熱輻射率を持つことが可能になっ
た。
【0040】かかる放熱材は、アルミナウイスカーの存
在により、スポイトで水やアルコールなどの冷媒液体を
滴下すると、毛細管現象のように極めて急速に該液体を
吸水することが可能である。十分な吸水性能を発揮する
ためには、放熱材の密度は1.08g/cm3〜1.75g/c
m3であることが好ましい。
【0041】さらに、吸水された液体を三次元連通多孔
質体内部にホールディングすることも可能なため、基材
内部に液体冷媒を内包した放熱材として用いることがで
きる。
【0042】本発明において、内部に水を封水した放熱
材をソリッド放熱板として不要な熱源に当接すれば、高
放熱面と共に水の530cal/gという高い蒸発潜熱によ
る高い奪熱作用を持つ複合放熱板として機能することが
可能になる。
【0043】本発明の放熱材は、電子部品や電気変圧器
の通電時に発生する抵抗熱を外部に放出するヒートシン
クや、電気電子部品の熱コントロールや各種機械装置類
の不要な熱集中を局所的に放出するヒートパイプなどの
ように、放熱部に熱的に接触する電気電子デバイスとし
て使用する事が可能である。
【0044】以下に、本発明におけるヒートシンク及び
ヒートパイプの様態を示す。
【0045】図1に本発明に係るヒートシンクの一実施
形態縦断面図を示す。
【0046】図1において1は本発明に係る放熱材を用
いたヒートシンク材であり、2は電気電子デバイスの放
熱部である。
【0047】また、3はヒートシンク材1と放熱部2を
固定する接着剤であり、3aはヒートシンク材1と接着
剤3との界面層であり、該界面層3aでは、接着剤3の
一部がヒートシンク材1の接合界面部の空洞部に局部浸
入している。
【0048】本発明に係るヒートシンクは、放熱部2の
形状に応じて無方向に整形が可能なヒートシンク材1と
放熱部2とが接着剤3を介して層状に設けられており、
放熱部2の熱は接着剤3を介してヒートシンク材1に伝
わり、ヒートシンク材1から放熱される。
【0049】本発明に係る放熱材は多孔質体であるため
に、上記のようにヒートシンク材1として使用し、放熱
部2と接着剤3を介して固定する際、該接着剤3を放熱
材であるヒートシンク材1との接合界面部の空洞部に局
部浸入させるように設けると、接着面積の拡大による一
種のアンカー効果があるので、強固に固定されると共に
熱伝達効果を向上させることができるので、放熱方法と
して好ましい態様である。
【0050】かかる放熱方法において使用される接着剤
としては、Siゲル、ゴム質体、エポキシ、ポリイミド、
ポリイミドアミドなどの無機並びに有機接着剤が挙げら
れる。また、これらの無機、有機接着剤には、ダイヤモ
ンド粉、ボロンナイトライド粉、窒化硅素粉、炭素粉、
銀粉、銅粉などのセラミックス及び金属粉を一種または
複数種含有させて、接着剤の熱伝導性や熱耐久性を向上
させることも可能である。
【0051】また、図示しないが、板状に形成された放
熱材の片面に、前述のような接着剤の層を設けて、該接
着剤層に剥離紙を貼着することによって該接着剤層を保
護すれば、この状態で放熱材製品とすることも出来る。
【0052】さらに、該製品の状態であって基材内部に
液体冷媒を内包させるときは剥離紙が不透水性であるこ
とが好ましい。
【0053】本発明に係る放熱材が有する高い吸水性能
は、ヒートパイプのインナーウィック材として用いた場
合にも好適に機能する。
【0054】図2に本発明に係るヒートパイプの一実施
形態の断面図を示す。
【0055】4は本発明に係る放熱材を用いたインナー
ウィック材である。また、5は中空部であり、該中空部
5は沸騰蒸気の通路である。6はヒートパイプの外筒で
ある。
【0056】インナーウィック材4は中空部5を持つ円
筒状の外形を持つ。そして、インナーウィック材4の外
周面を覆うように外筒6が設けられており、ヒートパイ
プ内部は冷媒が封入され且つ減圧されている。
【0057】本発明において、インナーウィック材4の
構造は必ずしも円筒状でなくとも歯車状、スパイラル状
等であってもよく、単に平板の本発明の放熱材をもって
加工すればよく、ヒートパイプが使用される温度環境、
冷媒の質、大きさなどによって種々のインナーウィック
形状とすることができる。この点焼結方法をもって放熱
材を製造することは、所要形状を簡便に成形しうる利点
もある。
【0058】また、本発明に係る放熱材は、打ち抜き、
曲げ、ビス締結も可能であるため、所要形状に成形する
ために、焼結時に一体成形する方法に限らず、打ち抜い
て歯車状などのインナーウィックに加工したり、折り曲
げ加工によってスパイラル状などのインナーウィックに
したり、あるいは、複数の板状の放熱材をビス締結する
ことにより放射状あるいはハニカム状などの所望形状に
加工成形することも可能である。
【0059】図3は本発明に係るヒートパイプの他の一
実施形態を示す。
【0060】図3において、7は本発明に係る放熱材を
用いたフィン部材であり、8はヒートパイプの外筒であ
る。
【0061】図3において、ヒートパイプの放熱端の外
周部、即ちヒートパイプの外筒8の外周部にフィン部材
7が固定されており、いわゆる放熱フィンとして機能し
ている。
【0062】本発明において、本放熱材の高い放熱特性
に加えて、このフィン部材に水分を含浸させて、その蒸
発潜熱による奪熱作用を加味することもまた可能であ
る。
【0063】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
係る実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0064】実施例1)平均粒径200μmのアルミニ
ウム粉末97.5重量%と20μm以下のSi粉末1.0
重量%並びにMn粉末1.5重量%を混合し、このアルミ
ニウム合金粉末をセラミックス平板に散布し、無加圧状
態で560℃の真空炉にて焼成した。このアルミニウム
粉末は、焼成後、多孔率48%の三次元連通孔を持ち、
密度1.41g/cm3の軽量な焼結体となった。そして、
この焼結体を純水中に投入して煮沸した後、大気中12
0℃で再加熱すると、γ−Al2O3ウイスカーが基地アル
ミニウム面より成長していることが電子顕微鏡で観察さ
れた。このアルミナウイスカーは前工程の煮沸で焼結体
を局部浸漬すると、浸漬された部位にのみ存在する。
【0065】50mm×50mm×2.5mmのアルミニウム
平板を比較例とし、同一寸法の本発明材を37℃恒温熱
板上に載置し、輻射温度計にて両材の表面からの輻射温
度を計測した。放熱材は有風下、無風下を問わず熱輻射
効率が高いことが優位なことは自明で、上記両材料の熱
輻射率εも併せて計測した。
【0066】表1にその結果を示す。
【0067】
【表1】
【0068】様々の温度条件で熱輻射率ε計測すると、
Al平板ではε=0.12〜0.17の輻射率が得られ、
本発明材は概ねε=0.62〜0.88の輻射率が得ら
れた。
【0069】以上のテストにより、アルミナウイスカー
を含む本発明材は、高輻射率つまり熱放射特性に優れた
材料であることが判った。本発明材の輻射率のばらつき
はウイスカーの生成条件である再加熱時の温度と時間に
よるものである。
【0070】実施例2)実施例1と同様に本発明の放熱
材(50mm×50mm×2.5mm、重量39g)を恒熱板
37℃の上に載置し、比較材として外形50mm×50mm
×8.5mmでかつ柱状放熱フィン140本(各高さ6m
m)をもち、さらに輻射率を向上するために黒染め処理
を施した市販のAlヒートシンク33gを同様に前記恒温
板に載置した。本発明材表面からの放射温度計による輻
射温度は本発明材が実施例1とほぼ同様に34.4℃に
対して、前記市販ヒートシンクからは32.5℃という
値が計測され、ほぼ同寸法の黒染め処理済み実用市販品
に対しても放熱効果が勝ることが判った。
【0071】次に固体接触温度計で、両材料の温度を計
測すると、37℃恒温熱板上における温度ははいずれも
36℃であって、これを恒温熱板から離し、無風下室温
18℃の条件下で両材料の自然放冷温度を計測した。
【0072】図4にその結果を示す。
【0073】図4からも判るように、以上のテストによ
り、本発明の放熱材は放冷効果が優れた材料であること
が判った。
【0074】実施例3)セラミックス基板と本発明の放
熱材との接合界面に、BN粉末をSiゲルに分散させた接着
剤を介し、ヒートシンク集合体を得た。接着剤は放熱材
の内部に浸入し、多孔質のアンカリング効果を伴って接
着剤浸入界面を形成し、強固に一体化されている。
【0075】このセラミックス基板を一体化したヒート
シンク集合体100mm×100mm×5mmを比較例として
同一寸法を持つAl板ステンレス板とともに200℃加熱
オーブンに入れ、均一温度とした後無風下で自然放冷し
た。計測温度は各供試体の中央部に熱電対を固定し連続
的に計測している。
【0076】以上のテストにより、その自然放冷曲線を
示す図5からも明らかなように、ヒートシンク体として
一体化した態様にあっても圧倒的に放冷効果に優れてい
ることが判る。
【0077】実施例4)アルミナウイスカーを伴う三次
元連通アルミニウム焼結体で、比重1.48g/ccの本発
明材100mm×100mm×5mmと、アルミナウイスカー
を伴わない同一比重同一寸法のアルミニウム焼結体を比
較材として準備した。材料にスポイトによる水の滴下を
行ったところ、本発明材は瞬時に滴下水を吸収し、他
方、アルミナウイスカーを伴わない比較材は該表面上に
水滴となって吸水することがなかった。
【0078】また、重量74g、体積50ccの本発明材
を水中に完全に水没させ、そして引き上げ、水滴落下が
ない状態で全体重量を計測すると98gであり、基材重
量比約32%、体積比で約50%の水分を基材内部に内
包し得ることが判った。
【0079】さらに、多孔体の骨格部と空洞部の空間構
造、つまり焼成体密度によって吸水効率が異なると思わ
れるため、様々な多孔率の異なる焼成体を作成し吸水テ
ストを行った。
【0080】以上のテストから、アルミナウイスカーは
基材重量比約32%以上、体積比で約50%以上の水分
を基材内部に内包でき、その吸水性能を発揮するために
は焼成体密度は1.08〜1.75g/ccであることが好
ましいことが判った。
【0081】実施例5)実施例4では、放熱材に水など
に冷媒を含浸させた態様について詳述しているが、本実
施例では、水分を含浸させた本発明に係る放熱材の放冷
効果について説明する。
【0082】比重1.45g/cc、100mm×100mm×
7.5mmの本発明に係る放熱材と、比較材として同一外
形寸法のAl平板及びステンレス平板を準備した。3種の
供試体を100℃の熱湯中に浸漬し、引き上げ、その放
冷曲線を計測した結果を図6に示す。
【0083】これは、本発明の放熱材が100℃の熱湯
を基材重量の約32%内包し、蒸発潜熱奪取による放熱
作用がさらに顕著になった例である。
【0084】図6から比較材との差は極端で、本実施例
は短時間で効果的な放熱作用が示される。
【0085】以上のテストから、放熱材に水などの冷媒
を含ませると、蒸発潜熱奪取により、放熱作用がさらに
高まることが判った。
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、放熱特性に優れてい
て、超軽量であり、水等の冷却液体を内包しうる単一の
熱伝達材料および放熱材を提供し、また発熱部材との良
好な接着が可能な放熱材と放熱方法を提供し、さらに上
記放熱材を使ったヒートシンク材やヒートパイプの内部
に装填するインナーウイック材などを提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るヒートシンクの一実施形態を示す
断面図
【図2】本発明に係るヒートパイプの一実施形態を示す
断面図
【図3】本発明に係るヒートパイプの他の一実施形態を
示す図
【図4】無風下における経過時間に対する放熱材の温度
変化を示すグラフ
【図5】200℃加熱オーブンから無風下に晒したとき
の、経過時間に対する放熱材の温度変化を示すグラフ
【図6】100℃熱湯中に浸漬し引き上げたときの自然
放冷したときの、経過時間に対する放熱材の温度変化を
示すグラフ
【符号の説明】
1 :ヒートシンク材 2 :放熱部 3 :接着剤 3a :界面層 4 :インナーウィック材 5 :中空部 6 :ヒートパイプ外筒 7 :フィン部材 8 :ヒートパイプ外筒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 23/427 H01L 23/46 B Fターム(参考) 4K020 AA02 AC01 BB08 5E322 AA01 AA11 DB10 FA06 5F036 AA01 BB01 BB05 BB60 BD03

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材がアルミニウム又はアルミニウム合金
    の三次元連通多孔質体によって主として構成され、該基
    材の少なくとも一部にアルミナウイスカーを有し、比重
    が0.81〜2.43g/cm3であることを特徴とする熱
    伝達材料。
  2. 【請求項2】基材がアルミニウム又はアルミニウム合金
    の三次元連通多孔質体によって主として構成され、該基
    材の少なくとも一部にアルミナウイスカーを有し、比重
    が0.81〜2.43g/cm3であることを特徴とする放
    熱材。
  3. 【請求項3】熱輻射率が0.62以上であることを特徴
    とする請求項2記載の放熱材。
  4. 【請求項4】比重が1.08〜1.75g/cm3であっ
    て、基材内部に液体冷媒を内包してなることを特徴とす
    る請求項2または3記載の放熱材。
  5. 【請求項5】基材の両面に、不透水性の剥離紙を貼着し
    てなることを特徴とする請求項4記載の放熱材。
  6. 【請求項6】請求項2、3または4記載の放熱材を板状
    に形成し、該板状の放熱材の片面又は両面に接着剤層を
    介して剥離紙が貼着されてなり、該接着剤層の一部が放
    熱材の表面に浸透してなることを特徴とする放熱材。
  7. 【請求項7】放熱部に接着剤層を介して請求項2記載の
    放熱材を接触固定し放熱する方法であって、前記接着剤
    層の一部を放熱材の表面から接合界面部の空洞に局部浸
    入させることを特徴とする放熱方法。
  8. 【請求項8】請求項2、3または4に記載の放熱材と、
    熱的に放熱部が接触するように組み合わされた電気電子
    デバイス。
  9. 【請求項9】請求項2、3または4に記載の放熱材によ
    り構成され、放熱部の形状に応じて整形可能な無方向の
    曲げ性を有することを特徴とするヒートシンク材。
  10. 【請求項10】ヒートパイプの内部に装填するインナー
    ウイック材において、該装填部材が請求項2、3または
    4に記載の放熱材であることを特徴とするヒートパイプ
    のインナーウイック材。
  11. 【請求項11】ヒートパイプの外周にフィン部材として
    設けられているフィン部材が請求項2、3、または4に
    記載の放熱材であることを特徴とするヒートパイプのフ
    ィン部材。
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