JP2000239859A - セラミック分散メッキ形成用の噴射粉体、前記噴射粉体の製造方法、及び前記噴射粉体を使用したセラミック分散メッキ方法 - Google Patents

セラミック分散メッキ形成用の噴射粉体、前記噴射粉体の製造方法、及び前記噴射粉体を使用したセラミック分散メッキ方法

Info

Publication number
JP2000239859A
JP2000239859A JP11037607A JP3760799A JP2000239859A JP 2000239859 A JP2000239859 A JP 2000239859A JP 11037607 A JP11037607 A JP 11037607A JP 3760799 A JP3760799 A JP 3760799A JP 2000239859 A JP2000239859 A JP 2000239859A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
ceramic
metal
ceramic particles
treated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11037607A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000239859A5 (ja
Inventor
Yoshio Miyasaka
四志男 宮坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Kihan Co Ltd
Original Assignee
Fuji Kihan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Kihan Co Ltd filed Critical Fuji Kihan Co Ltd
Priority to JP11037607A priority Critical patent/JP2000239859A/ja
Publication of JP2000239859A publication Critical patent/JP2000239859A/ja
Publication of JP2000239859A5 publication Critical patent/JP2000239859A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 一度のブラスト処理により、セラミック粒子
の分散と、金属被膜の形成を同時に行うことができるセ
ラミック分散メッキ用の噴射粉体、前記噴射粉体の製造
方法、及び前記噴射粉体を使用したセラミック分散メッ
キ方法を提供する。 【解決手段】 被処理成品の表面を被覆する金属(被覆
金属)を溶融し、該溶融金属中にセラミック粒子を混合
すると共に、前記セラミック粒子の混合された溶融金属
を粉末状に形成して被覆金属中にセラミック粒子が分散
された噴射粉体を得る。この噴射粉体を金属又は金属を
含む被処理成品の表面にブラストすると、噴射粉体中の
セラミック粒子が被処理成品の表面に分散すると共に、
被覆金属の組成元素が被処理成品の表面に拡散浸透して
セラミック分散メッキが施される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面強化又は潤滑
性、耐摩耗性、耐熱性及び耐食性の向上又は装飾等を目
的として、ブラスト処理により被処理成品の表面にセラ
ミツク分散メッキを行うための噴射粉体、前記噴射粉体
の製造方法、及び前記噴射粉体を用いた金属被膜の形成
方法に関する。
【0002】なお、本明細書において「セラミック分散
メッキ」とは、セラミック粒子が分散されて形成された
セラミツク粒子の分散層を有するメッキをいう。
【0003】
【従来の技術】従来、被処理成品の表面に金属被膜を形
成する金属被覆処理法、すなわちメッキ法には、溶融メ
ッキ法、電気メッキ法、無電界メッキ法、その他真空蒸
着法、溶射法等がある。
【0004】また、被処理成品の表面の強度又は潤滑
性、耐摩耗及び耐熱又は接着性などをより高めるため
に、セラミック粒子(無機非金属材の粒子)を金属被膜
中に包含させる複合メッキ法がある。
【0005】前述のうち例えば、溶融メッキ法は、溶融
している金属浴に被処理成品を浸けて、所定時間後金属
浴から引き上げる作業によって行うメッキ法であり、比
較的融点が低い金属について行われ、溶融亜鉛メッキ、
溶融錫メッキ、溶融アルミニウムメッキ、溶融鉛メッキ
などがある。
【0006】複合メッキ法は、電気メッキ法又は無電解
メッキ法において、メッキ浴中にアルミナ、無水ケイ
酸、或いは炭化ケイ素などのセラミック粒子を浮遊させ
て、陰極に析出する金属中に前記セラミック粒子を埋め
込み、金属被膜中に包含複合化させる方法であり、摺動
部材の表面処理などに用いられている。
【0007】これらの金属被膜処理法にあっては、 (1)例えば、溶融メッキ法では、固体金属の被処理成
品を浸漬するための、溶融した液体金属が必要であるの
で、液体金属を常に溶融状態に維持するための高価な加
熱整備が必要であり、また、被膜の密着力不足による不
良率が高いためにコスト高であるという問題があった。
例えば、鉄鋳物のクロムメッキやアルミダイカスト成品
の溶融ニッケルメッキは密着力不足による不良率が高
く、メッキが安定しないという問題があった。
【0008】(2)また、電気メッキ法や無電界メッキ
法にあっては、電界液ないしは浸漬液に有害な化学薬品
を使用し、金属被覆処理のときに発生する有害な蒸気に
より環境汚染や公害発生のおそれがある。
【0009】(3)複合メッキ法は、設備費が高価であ
ることに加え、電気メッキまたは無電界メツキにより被
処理成品の表面に形成される金属被膜中に前述のセラミ
ック粒子を包含させるものであるために、上記(2)の
理由により公害発生の問題を有する。
【0010】また、セラミック粒子を金属被膜に包含さ
せるために金属被膜が厚くなり、また、セラミック粒子
が被処理成形品の表面に付着された状態を維持するため
には金属被膜自体に強力な剥離強度が要求される。さら
に、該方法により処理された被処理成品は後加工が困難
であるという問題があった。
【0011】加えて、摺動部に複合メッキを施した場
合、セラミック粒子が金属被膜の表面に露出する場合に
は、該セラミック粒子と接触する相手方の部材を摩耗さ
せてしまうという問題点があった。
【0012】(4)さらに、従来の金属被覆処理法にあ
っては、金属被膜が剥離すると、メッキとしての効果が
得られないばかりでなく、同時にセラミック粒子も剥離
するためセラミック粒子の分散による効果も同時に失う
という問題点があった。
【0013】以上の問題点に鑑み、本発明の出願人は、
比較的簡単な装置及び方法により、公害を発生すること
なくかつ表面強化又は潤滑性、耐摩耗性、耐熱性及び耐
食性の向上又は装飾等を図ることのできる金属被膜の形
成方法として、特願平10−3221号の「セラミック
分散メッキ方法」をすでに出願している。
【0014】この「セラミック分散メッキ方法」は、金
属又は金属成分を含む被処理成品の表面に、ブラスト処
理にてセラミック粒子を噴射し、さらにその後ブラスト
処理にて被覆金属粉体を噴射して、被処理成品の表面に
セラミック粒体を分散させると共に金属被膜を形成する
もので、ブラスト処理にてセラミック粒子を噴射する
と、被処理成品の表面付近の温度が上昇して軟化し、セ
ラミック粒子が被処理成品の表面内部に分散してセラミ
ック粒子の分散層が形成され、さらにセラミック粒子の
分散後の被処理成品の表面に被膜となる金属の粉体を噴
射すると、同様に温度上昇が起こり、前記被覆金属粉体
の組成物中の元素が前記セラミック粒子の分散層の表面
に拡散浸透し、金属被膜が形成される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】以上のように構成され
た特願平10−3221号の「セラミック分散メッキ
法」によれば、ブラスト処理という公害等の発生のおそ
れのない、比較的簡単な方法により金属被覆処理を行う
ことができ、被処理成品の耐熱性、耐摩耗性等の向上等
を図ることのできるメッキを容易かつ安価に行うことが
でき、しかも密着力の高い金属被膜を得ることができ
る。
【0016】しかし、この方法により金属被膜を形成す
るには、セラミック粒子の噴射と、その後に行われる被
覆金属粉体の噴射という二度にわたるブラスト処理を行
う必要があり、作業が煩雑で該加工に長時間を要し、セ
ラミック分散メッキを施すためのコストがかさむ。
【0017】そこで、本発明の目的は、上記従来技術と
して示した特開平10−3221号に記載の「セラミッ
ク分散メッキ法」と同様、ブラスト処理により公害発生
のおそれがなく、かつ安価に製造でき、さらに被処理品
の耐熱性、耐摩耗性等を向上させることができると共
に、一度のブラスト処理により、セラミック粒子の分散
と、金属被膜の形成を同時に行うことができ、従ってよ
り短時間で、かつ安価にメッキ処理を行うことができる
セラミック分散メッキ用の噴射粒体、前記噴射粒体の製
造方法、及び前記噴射粒体を用いたセラミック分散メッ
キ方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のセラミック分散メッキ用の噴射粉体は、金
属又は金属成分を含む被処理成形品の表面にブラスト処
理により噴射され、被処理成品の表面に拡散浸透して被
膜を形成する噴射粉体において、前記噴射粉体は、被処
理成品の表面に形成される被膜となる金属(本明細書に
おいて「被覆金属」という。)中にセラミック粒子を分
散して成ることを特徴とする(請求項1)。
【0019】前記噴射粉体は、被覆金属を溶融し、該溶
融金属中に、形成される噴射粉体の平均粒径の1/3以
下、好ましくは1/5以下の平均粒径のセラミック粒子
を、噴射粉体100%に対して体積比で30%以下の割
合で混合すると共に、前記セラミック粒子の混合された
溶融金属を、ガス噴霧法、水噴霧法等の噴霧法、その他
の方法により平均粒径20〜200μm、好ましくは2
0〜100μmの粉末状に形成して製造する(請求項
2,請求項3,請求項6,請求項7,請求項8)。
【0020】前記噴射粉体及びセラミック粒子の形状は
特に限定されないが、好ましくは球状又は多角形状であ
り(請求項4,請求項9)、前記セラミック粒子は好ま
しくは多角形状とする(請求項5,請求項10)。
【0021】また、本発明のセラミック分散メツキ方法
は、前述の噴射流体を、金属又は金属成分を含む被処理
成品の表面にブラスト処理にて、一例として噴射速度8
0m/sec以上又は噴射圧力0.3Mpa以上(請求項12)
で噴射し、噴射粉体中のセラミック粒子を被処理成品の
表面に分散すると共に、噴射粉体中の被覆金属の組成物
中の元素を金属又は金属成分を含む被処理成品の表面に
拡散浸透して行うことを特徴とする(請求項11)。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明のセラミック分散メッキ方
法は、ブラスト処理により被処理成品の表面に噴射粉体
を噴射して、被処理成品の表面にセラミック粒子を分散
させると共に金属被膜の形成を行うもので、噴射される
噴射粉体は、被処理成品の表面を被覆する金属被膜を成
す被覆金属内にセラミック粒子が分散されて形成されて
いる。
【0023】〔噴射粉体〕被処理成品の表面に噴射され
る噴射粉体は、被覆金属内にセラミック粉体が分散され
て成り、平均粒径20〜200μm、好ましくは20〜
100μmの噴射粉体内に、前記噴射粉体の平均粒径の
1/3以下、好ましくは1/5以下の平均粒径のセラミ
ック粒子が分散されている。
【0024】前記噴射粉体を構成する被覆金属は、加工
後の被処理成品の用途に応じて各種のものを使用するこ
とができ、被処理成品よりも低融点、低硬度のもののみ
ならず、高融点、高硬度のものを使用することもでき
る。
【0025】噴射粉体内に分散されるセラミック粒子
は、炭化けい素(SiC)、酸化アルミナ(Al2O3)、その
他各種無機非金属材の粒子であり、その形状としては各
種形状のものを使用することができるが、好ましくは多
角形状のものを使用することにより、被処理成品の表面
内部に好適に分散される。
【0026】噴射粉体の形状は、特に限定されないが、
好ましくは略球状又は多角形状とする。
【0027】このような噴射粉体は、被覆金属を溶融し
この溶融金属中に、形成される噴射粉体の粒径の1/3
以下、好ましくは1/5以下の平均粒径のセラミック粒
子を、噴射粉体100%に対して体積比で30%以下混
合し、このセラミック粒子を混合した後の溶融金属を粉
末状に形成して製造される。
【0028】セラミック粒子の混合された溶融金属は、
これを例えば噴霧法により粉末状に形成する。噴霧法
は、流体ジェットや高速の回転子等により溶融金属を飛
散させて粉末状に形成する方法であり、本実施形態にあ
ってはガス噴霧法、液体(本実施形態では特に水)噴霧
法により粉末状に形成しているが、溶融金属中にセラミ
ック粒態が分散された状態で粉末状とすることのできる
方法であれば、回転子を使用した遠心噴霧法、その他の
噴霧法の他、既知の方法により粉末状とすることができ
る。
【0029】以上のように、セラミック粒子の混合され
た溶融金属を粉末状に形成し、被覆金属中にセラミック
粒体の分散された噴射粉体が形成される。
【0030】〔セラミック分散メッキ法〕このようにし
て形成された噴射粉体をブラスト処理により金属又は金
属成分を含む被処理成品の表面に噴射して、被処理成品
にセラミック分散メッキが施される。
【0031】被処理成品の表面に対するセラミック粒子
の分散と金属被膜の形成は、概ね以下の通りにして行わ
れる。
【0032】被処理成品の表面にセラミック粒子の分散
された被覆金属より成る噴射粉体を高速で噴射すると、
被処理成品の表面に対する該噴射粉体の衝突前後の速度
変化により、エネルギー不変の法則を考慮すると、熱エ
ネルギーが生じる。
【0033】このエネルギー変換は、噴射粉体が衝突し
た変形部分のみで行われるので、噴射粉体及び被処理成
品の表面付近に局部的に温度上昇が起こる。
【0034】また、温度上昇は噴射粉体の衝突前の速度
に比例するので、噴射粉体の噴射速度を高速にすると、
噴射粉体及び被処理成品の表面の温度を上昇させること
ができる。このとき被処理成品の表面が加熱されるため
に軟化すると共に、噴射粉体中の被覆金属が軟化し、融
点が金属より高いために軟化されずに固状を成すセラミ
ック粒子が被処理成品の表面内部に分散し、或いは被処
理成品の表面に付着したセラミック粒子がその後に噴射
された噴射粒体に衝突して被処理成品の表面内部に打ち
込まれる等して分散される。
【0035】一方、衝突の際の加熱により軟化された被
覆金属内の元素は、被処理成品の表面に活性化吸着して
拡散・浸透すると考えられ、被処理成品の表面に金属被
膜が形成される。
【0036】つまり、被処理成品の表面付近に対する前
記噴射粉体内のセラミック粒子の分散と、被覆金属の拡
散、浸透が、噴射粒体の噴射という一工程により行われ
る。
【0037】したがって、本発明のセラミック分散メッ
キ方法は、噴射粉体が被処理成品の表面に衝突したとき
の温度上昇による被処理成品の表面へのセラミック粒子
及び被覆金属の分散及び拡散・浸透を利用したものであ
る。
【0038】より詳細に説明するために、浸炭を例にし
て考えると、鉄系の金属成品の表面に、COガスが単に
外力や加熱その他の物理的方法によって簡単に除去でき
るような物理的な付着をしただけでは、被処理成品のF
eとCOが反応を起こすことはできないが、さらに熱そ
の他のエネルギーをある一定以上与えるとCOガスはF
e表面に活性化吸着をする。この活性化吸着をしたCO
ガスは二酸化炭素と炭素に熱解離をする。この反応によ
りできた炭素はFeの格子内に拡散して浸炭現象を起こ
すものと考えられている。
【0039】上記の従来の浸炭の現象を考慮すると、本
発明のセラミック分散メッキにおいては金属成品に以下
に示すような拡散・浸透が行われると考えられる。
【0040】例えば、被処理成品の表面に噴射粉体を一
例として噴射速度80m/sec以上又は噴射圧力0.3MPa
以上で噴射し、被処理成品の表面に衝突させると一部は
跳ね返り、また一部は被処理成品の表面に止まるなどし
て衝突後は速度が遅くなる。すなわち、前述のように、
衝突後は運動エネルギーが減少し、エネルギー不変の法
則から、その減少エネルギーは音以外にその大部分は熱
エネルギーに変換される。熱エネルギーは衝突時に被処
理成品の衝突部が変形することによる内部摩擦と考えら
れるが、噴射粉体が衝突した変形部分のみで熱交換が行
われるので部分的には高温になる。このとき被処理成品
の表面が加熱されるためにその表面付近が軟化し、同様
に軟化した噴射粉体の被覆金属中において固状を成すセ
ラミック粒子が被処理成品の内部に、衝突時の衝撃によ
り、または表面に付着した噴射粉体中のセラミック粒子
がその後に衝突する噴射粉体に打ち込まれるなどして被
処理成品の表面内部に、一部は原型を保ったまま、一部
は衝突時の衝撃により粉砕された状態で侵入して分散す
るものと考えられる。また、衝突の際の熱により軟化さ
れた噴射粉体中の被覆金属は、被処理成品の表面のセラ
ミック分散層の上に拡散・浸透して被膜(メツキ層)を
形成するものと考えられる。
【0041】このようにして被処理成品の表面にセラミ
ック粒子を分散させると、被処理成品の表面の耐熱性、
耐摩耗性が向上する。さらに、セラミック粒子が分散し
て形成されたセラミック粒子の分散層の表面に金属被膜
を形成することにより、潤滑性も得られる。
【0042】また、ブラスト処理により被処理成品の表
面に金属被膜を形成するには、被覆金属粉体の硬度又は
融点が被処理成品よりも低硬度又は低融点である必要が
あったが、高融点のセラミック粒子が衝突して分散する
ときに発生する熱は、被覆金属の粉体を単体で噴射した
ときよりも高熱を発生するため、被処理成品の表面に対
する金属被膜の密着強度が強く、また、被処理成品より
も高硬度又は高融点の金属を被覆金属として用いた場合
であっても好適に被膜を形成することができる。さら
に、セラミック粒子の分散層が形成されると被処理成品
の内部方向に対する熱伝導度が悪くなり、被処理成品の
表面付近の温度が上昇しやすくなることから、このこと
も被膜の密着強度の向上と、被処理成品よりも高硬度又
は高融点の被覆金属を使用可能とする要因となっている
ものと考えられる。
【0043】〔実施例〕以下、実施例につき図面を参照
しながら説明する。本発明のセラミック分散メッキは、
ブラスト装置により噴射粉体を噴射して被処理成品の表
面にこの噴射された噴射粉体を衝突させることにより行
われるものであり、該噴射粉体の加速は既知のブラスト
装置を使用して行うことができる。
【0044】このブラスト装置としては各種の型式のも
のを使用することができ、例えば噴射粉体の投入された
タンク内に圧縮空気を供給し該圧縮空気により搬送され
た噴射粉体を別途与えられた圧縮空気の空気流に乗せて
ブラストガンより噴射する直圧式のブラスト装置、噴射
粉体のタンクから重力により落下した噴射粉体を圧縮空
気に乗せて噴射する重力式のブラスト装置、圧縮空気の
噴射により生じた負圧により噴射粉体を吸引して圧縮空
気と共に噴射するサイフォン式のブラスト装置等の各種
のブラスト装置を使用することができる。
【0045】なお、本実施形態にあっては、上記ブラス
ト装置のうち直圧式及び重力式のものを使用した例を紹
介し、他の型式のものについてはその説明を省略する。
【0046】〔実施例1〕本実施例にあっては、ショッ
トの加速装置の一例として重力式のブラスト装置を使用
した例を示す。
【0047】図1において、重力式ブラスト装置30
は、被処理成品Wを出し入れする出入口35を備えたキ
ャビネット31内に噴射粒体を噴射するノズル32が設
けられ、このノズル32は管44を連結し、この管44
は図示せざる圧縮機に連通しており、この圧縮機から圧
縮空気が供給される。キャビネット31の下部にはホッ
パ38が設けられ、ホッパ38の最下端は導管43を介
してキャビネット31の上方に設置された回収タンク3
3の上方側面に連通し、回収タンク33の下端は管41
を介して前記ノズル32へ連通される。回収タンク33
内の噴射粉体は重力あるいは所定の圧力を受けて回収タ
ンク33から落下し、前記管44を介してノズル32へ
供給された圧縮空気と共にキャビネット31内へ噴射さ
れる。
【0048】噴射された噴射粉体及びこのとき発生した
粉塵は、キャビネット31の下部のホッパ38に落下
し、導管43内に生じている上昇気流によって上昇し
て、回収タンク33内に回収される。回収タンク33内
の粉塵は回収タンク33内の気流によって回収タンク3
3の上端から管42を介してダストコレクタ34へ導か
れ、ダストコレクタ34の底部に集積され、清浄な空気
がダストコレクタ34の上部に設けられた排風機39か
ら放出される。
【0049】以上の重力式ブラスト装置により、被処理
成品であるアルミダイカスト品(ピストン)に噴射粒体
を噴射してセラミック分散メッキを施した。このときの
加工条件を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】上記処理にてセラミック分散メッキを行っ
たところ、炭化けい素(SiC) が被処理成品の表面から約
10μmの深さにわたり、2〜3μmの大きさに粉砕さ
れた状態で分散し、さらにこの分散層表面に2〜3μm
のすずメッキ層が形成された。
【0052】上記方法により加工されたアルミダイカス
ト製のピストンは、従来(電気すずメッキ)のピストン
の2倍以上の寿命とピストンヘッド部の耐熱性の向上が
得られた。
【0053】なお、上記方法によるセラミック分散メッ
キの施された被処理成品は、セラミック粒体と被覆金属
粒体を二工程に分けて噴射して行われる従来のセラミッ
ク分散メッキが施された被処理成品に比較しても耐摩耗
性、耐熱性の向上が得られている。
【0054】一般にセラミックは金属に比べて溶融温度
が高く、セラミック粒子と衝突した被処理成品の表面
は、金属の粉体が衝突したときよりも高温となる。その
ため、被覆金属の粉体を単体で噴射して被処理成形品の
表面に衝突させたときに生ずる熱よりもセラミック粒子
が分散されている噴射粒体が被処理成品の表面に衝突し
たときに発生する熱の方が高いために耐摩耗性、耐熱性
の向上が得られていると考えられる。
【0055】すなわち、被覆金属の粉体のみを単独で噴
射してすずのメッキ層を形成する従来技術に比較してよ
り高温下ですず(Sn)のメッキ層が形成されるために、
被処理成品の表面に対するメッキ層の密着強度がより強
力になり、また、このときの熱によりすずの表面の酸化
が促進されるために、被処理成品の耐摩耗性と耐熱性の
一層の向上が得られたものと考えられる。
【0056】〔実施例2〕本実施例にあっては、噴射粉
体の加速装置の一例として直圧式のブラスト装置を使用
する例を示す。図2に示す直圧式ブラスト装置30は、
被処理成品Wを出し入れする出入口35を備えたキャビ
ネット31内に噴射粉体を噴出するノズル32が設けら
れ、キャビネット31の下部にはホッパ38が設けら
れ、ホッパ38の最下端は導管43を介してキャビネッ
ト31とは別途隣接して設置された回収タンク33の上
方側面に連通している。
【0057】さらに、上方に回収タンク33と、該回収
タンク33の下方にダンプバルブ52を介して噴射粉体
圧送用のタンク51が設けられ、このタンク51の下端
が、調整器53を介して管54に連通され、該管54は
キャビネット31内に設けた前記ノズル32に連通して
いる。
【0058】回収タンク33内には、噴射粉体を投入
し、被処理成品Wである油圧ポンプのロータを出入口3
5からキャビネット内へ投入し、図示せざるフットスイ
ッチ又はマイクロスイッチ等を作動すると、電磁弁が作
動してタンク51内のダンプバルブ52が上がり回収タ
ンク33とタンク51との連通が遮断される。と同時
に、図示せざる圧縮空気の供給源よりタンク51内に、
圧縮空気が充満してこの圧縮空気に押されたタンク51
内の噴射粉体と圧縮空気とがタンク51の調整器53内
に入り、この調整器53で圧縮空気と噴射粉体とが適当
に混合されて管54内に入りノズル32より噴射圧力
0.4Mpa、噴射距離200mmで被処理成品Wである油
圧ポンプのロータの表面に噴射される。
【0059】1のロータに対して40秒づつ噴射粉体の
噴射を行った後、前記スイッチを元に戻すと、タンク5
1内の圧縮空気が回収タンク33内に逃げ出し、タンク
51内は大気圧になる。その直前にダンプバルブ52が
下方に押し下げられると、直ちに噴射粉体の噴出は止ま
る。と同時に回収タンク33とダンプバルブ52との間
隙から、回収タンク33の底部に集積されている噴射粉
体が一気にタンク51内に落下する。
【0060】なお、噴射された噴射粉体及びこのとき発
生した粉塵は、キャビネット31の下部ホッパ38に落
下し、導管43内に生じている上昇気流によって上昇し
て噴射粉体が回収タンク33内に回収される。回収タン
ク33内の粉塵は回収タンク33内の気流によって回収
タンク33の上端から管42を介してダストコレクタ3
4へ導かれ、ダストコレクタ34の底部に集積され、清
浄な空気がダストコレクタ34の上部に設けられた排風
機39から放出される。
【0061】前述の直圧式ブラスト装置を使用し、被処
理成品である鉄焼結金属成品(油圧ポンプのロータ)に
噴射粒体を噴射してセラミック分散メッキを施した。こ
のときの加工条件を表1に示す。
【0062】
【表2】
【0063】上記処理にてセラミック分散メッキを行っ
たところ、炭化けい素(SiC)が被処理成形品の表面から
約5μmの深さにわたり、2μm以下の大きさに粉砕され
た状態で分散し、さらに分散層表面に1〜2μmのニッ
ケルメッキ層が形成された。
【0064】上記方法により加工された鉄焼結金属製の
油圧ポンプのロータは、従来(メツキ無し)のロータの
2倍以上の寿命と焼付の防止効果を得た。
【0065】なお、上記方法によるセラミック分散メッ
キの施された被処理成品は、前記実施例1の場合と同様
に、セラミック粒体と被覆金属の粒体を二工程に分けて
セラミック分散メッキが行われた被処理成品に比較して
より高い耐摩耗性と耐熱性を得ることができた。これ
は、前述の実施例1の場合と同様の理由により、ニツケ
ルメッキ層が高温下において形成され、高温下で形成さ
れたニツケルメッキ層は密着強度が高く、また、ニッケ
ルメッキ層表面の酸化促進によるものと考えられる。
【0066】
【発明の効果】以上説明した本発明の構成により、公害
発生のおそれがなく、低コストにて行うことのできるブ
ラスト処理によりセラミック分散メッキを行うことがで
きると共に、被覆金属内にセラミック粒体の分散された
噴射粒体を使用することにより、従来はセラミック粒体
の噴射と、被覆金属の噴射の二工程により行っていたセ
ラミック分散メッキを、一工程により行うことができ、
従ってセラミック分散メッキを短時間でかつ低コストで
行うことができた。
【0067】また、前記噴射粒体の噴射によりセラミッ
ク分散メッキを行うことにより、メッキ層の形成に際し
てセラミック粉体の衝突により被処理成品の表面付近を
より高温とすることができ、被処理成品の表面に対する
密着強度の高いメッキ層を形成することができ、また、
耐熱性、耐摩耗性も向上するセラミック分散メッキを行
うことができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例において使用した重力式ブラ
スト装置の全体図。
【図2】 本発明の実施例において使用した直圧式ブラ
スト装置の全体図。
【符号の説明】
30 ブラスト装置 31 キャビネット 32 ノズル 33 回収タンク 34 ダストコレクタ 38 ホッパ 39 排風機 41 導管 42 管 43 導管 44 導管 51 圧送用タンク 52 ダンプバルブ 53 調整器 54 管

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属又は金属成分を含む被処理成形品の
    表面にブラスト処理にて噴射され、被処理成品の表面に
    拡散浸透して被膜を形成する噴射粉体において、 前記噴射粉体は、被覆金属中にセラミック粒子を分散し
    て成ることを特徴とするセラミック分散メッキ形成用の
    噴射粉体。
  2. 【請求項2】 前記セラミック粒子は、前記噴射粉体の
    平均粒径の1/3以下、好ましくは1/5以下の平均粒
    径であり、前記噴射粉体は、平均粒径20〜200μ
    m、好ましくは20〜100μmであることを特徴とする
    請求項1記載のセラミック分散メッキ形成用の噴射粉
    体。
  3. 【請求項3】 前記セラミック粒子を、噴射粉体100
    %に対して体積比で30%以下で分散したことを特徴と
    する請求項1又は2記載のセラミック分散メッキ形成用
    の噴射粉体。
  4. 【請求項4】 前記噴射粉体が球状又は多角形状である
    請求項1〜3のいずれか1項記載のセラミック分散メッ
    キ形成用の噴射粉体。
  5. 【請求項5】 前記セラミック粒子が多角形状である請
    求項1〜4のいずれか1項記載のセラミック分散メッキ
    形成用の噴射粉体。
  6. 【請求項6】 金属又は金属成分を含む被処理成形品の
    表面にブラスト処理にて噴射され、被処理成品の表面に
    拡散浸透して被膜を形成する噴射粉体において、 被覆金属を溶融し、該溶融金属中にセラミック粒子を混
    合すると共に、前記セラミック粒子の混合された溶融金
    属を粉末状に形成したことを特徴とするセラミック分散
    メッキ形成用の噴射粉体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記セラミック粒子を、形成される噴射
    粉体の平均粒径の1/3以下、好ましくは1/5以下の
    平均粒径となし、前記噴射粉体を平均粒径20〜200
    μm、好ましくは20〜100μmに形成することを特徴
    とする請求項6記載のセラミック分散メッキ形成用の噴
    射粉体。
  8. 【請求項8】 前記セラミック粒子を、噴射粉体100
    %に対して体積比で30%以下の割合で混合することを
    特徴とする請求項6又は7記載のセラミック分散メッキ
    形成用の噴射粉体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記噴射粉体を球状又は多角形状に形成
    することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項記載
    のセラミック分散メッキ形成用の噴射粉体。
  10. 【請求項10】 前記セラミック粒子が多角形状である
    請求項6〜9のいずれか1項記載のセラミック分散メッ
    キ形成用の噴射粉体の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜5いずれか1項記載の噴射
    粉体を、金属又は金属成分を含む被処理成品の表面にブ
    ラスト処理にて噴射し、噴射粉体中のセラミック粒子を
    被処理成品の表面に分散すると共に被覆金属の組成物中
    の元素を前記被処理成品の表面に拡散浸透することを特
    徴とするセラミック分散メッキ方法。
  12. 【請求項12】 前記噴射粒体の噴射を、噴射速度80
    m/sec以上又は噴射圧力0.3Mpa以上で行うことを特徴
    とする請求項11記載のセラミック分散メッキ方法。
JP11037607A 1999-02-16 1999-02-16 セラミック分散メッキ形成用の噴射粉体、前記噴射粉体の製造方法、及び前記噴射粉体を使用したセラミック分散メッキ方法 Pending JP2000239859A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11037607A JP2000239859A (ja) 1999-02-16 1999-02-16 セラミック分散メッキ形成用の噴射粉体、前記噴射粉体の製造方法、及び前記噴射粉体を使用したセラミック分散メッキ方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11037607A JP2000239859A (ja) 1999-02-16 1999-02-16 セラミック分散メッキ形成用の噴射粉体、前記噴射粉体の製造方法、及び前記噴射粉体を使用したセラミック分散メッキ方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000239859A true JP2000239859A (ja) 2000-09-05
JP2000239859A5 JP2000239859A5 (ja) 2006-03-30

Family

ID=12502281

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11037607A Pending JP2000239859A (ja) 1999-02-16 1999-02-16 セラミック分散メッキ形成用の噴射粉体、前記噴射粉体の製造方法、及び前記噴射粉体を使用したセラミック分散メッキ方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000239859A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016117953A (ja) * 2016-03-28 2016-06-30 学校法人慶應義塾 表面処理装置及び表面処理方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016117953A (ja) * 2016-03-28 2016-06-30 学校法人慶應義塾 表面処理装置及び表面処理方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Shkodkin et al. Metal particle deposition stimulation by surface abrasive treatment in gas dynamic spraying
CN101603175B (zh) 表面氧化耐磨损润滑剂涂层及形成该涂层的方法
CN105256306B (zh) 基于混合粉末的高致密度冷喷涂金属沉积体的制备方法
JPH08333671A (ja) 常温拡散・浸透メッキ方法
EP0988898A2 (en) Thermal spray application of polymeric material
RU2439198C2 (ru) Способ получения износостойкого композиционного наноструктурированного покрытия
JP3403627B2 (ja) セラミック分散メッキ方法
TWI422694B (zh) 改良金屬表面性質之方法及使用該方法製備的具塗覆層之金屬
US6685988B2 (en) Kinetic sprayed electrical contacts on conductive substrates
US7581734B1 (en) Peek coated seal surfaces
JP2000239859A (ja) セラミック分散メッキ形成用の噴射粉体、前記噴射粉体の製造方法、及び前記噴射粉体を使用したセラミック分散メッキ方法
AU2002361533B2 (en) Method of applying coatings
JP2004244709A (ja) 溶射材料、シリンダ及び溶射皮膜の形成方法
KR102211933B1 (ko) 질화물 또는 산질화물이 코팅된 가스분사기 및 코팅방법
JP5647608B2 (ja) 耐溶融金属部材および耐溶融金属部材の製造方法
CN113020592A (zh) 一种陶瓷颗粒表面包裹金属粉复合材料的制备方法及应用
Shkodkin et al. The basic principles of DYMET technology
JP3314030B2 (ja) 浸炭処理における浸炭防止方法
KR20050089250A (ko) 금속 모재의 표면 개질 방법
JPH11302826A (ja) 常温浸炭処理方法
JP3357610B2 (ja) 微窒化成形物及びその成形方法並びにセラミックコーティング成形物及びその成形方法
CN114345970B (zh) 一种高强耐蚀铝合金钻杆及其制备方法
JP3314017B2 (ja) 窒化処理における窒化防止方法
CN113416436B (zh) 一种轨道防腐涂层及其涂覆工艺
JP2004091902A (ja) 希土類磁石の皮膜形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060213

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070412

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070416

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070806