JP2000238165A - 積層フィルム - Google Patents

積層フィルム

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JP2000238165A
JP2000238165A JP4469099A JP4469099A JP2000238165A JP 2000238165 A JP2000238165 A JP 2000238165A JP 4469099 A JP4469099 A JP 4469099A JP 4469099 A JP4469099 A JP 4469099A JP 2000238165 A JP2000238165 A JP 2000238165A
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film
layer
laminated
cured resin
fine particles
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JP4469099A
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English (en)
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Tatsuichiro Kin
辰一郎 金
Naoya Saito
直也 斎藤
Seiji Tsuboi
誠治 坪井
Kazuo Hachiman
一雄 八幡
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 滑り性と透明性が良好であり、生産性に優れ
た積層フィルムを提供することにある。 【解決手段】 本発明の積層フィルムは、少なくとも熱
可塑性高分子フィルムの片面の最表層が、該フィルムに
滑り性と耐溶剤性を付与する機能を有する膜厚が1〜2
0μmの樹脂架橋物を主成分とする硬化樹脂からなり、
ヘイズが2%以下の積層フィルムであって、該層は表面
に高さが0.01〜0.1μmの範囲にある微細突起が
一様に分散された層であり、該層を積層したフィルム面
どおしを相対させて測定した静止摩擦係数がおよそ1.
0以下であることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、滑り性を有する積
層フィルムに関し、さらに詳しくは、熱可塑性高分子フ
ィルム上に、外観上異物欠点として観察されないような
突起が最表面に多数形成された滑性付与層を有する積層
フィルムに関する。この積層フィルムは、外観が非常に
良好である事の望まれる用途、例えば液晶表示素子やエ
レクトロルミネッセンス素子、エレクトロクロミズム素
子、タッチパネル等の電極フィルムや各種光記録媒体の
表面保護フィルム等として広く使用することが可能であ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、ペイジャー(ポケベル)やセルラ
ー(携帯電話)、電子手帳、ペン入力機器等の携帯機器
利用の拡大につれて、従来のガラス基板に替わってプラ
スチックを基板とする液晶表示素子が実用化され始めて
いる。またこれら各種の情報機器への情報入力手段とし
ては従来よりフィルムによる電極基板を用いた抵抗膜方
式等によるタッチパネルが広く用いられている。
【0003】またパソコンやビデオ等の情報および画像
記録用の光ディスク、もしくは各種の光カード等の分野
では、一般に記録層を保護する表面保護層が必要となる
が、こうした表面保護層としてプラスチックフィルムが
用いられる場合がある。
【0004】ここでプラスチックフィルムには用途に応
じて、透明性、表面平滑性、可撓性(フレキシビリテ
ィ)、光学等方性等の特性が要求される。
【0005】例えば前記のプラスチックフィルムによる
液晶基板の用途には、ポリカーボネート、ポリアリレー
ト等の非晶性の熱可塑性高分子フィルムが好ましく用い
られ、フィルムの面内リタデーションが30nm以下、
更に好ましくは20nm以下の光学等方性のフィルムが
好ましく用いられる。
【0006】またタッチパネルの電極基板としての用途
においては、必ずしも非晶性の熱可塑性高分子フィルム
を用いる必要はなく、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)、ポリエチレンアフタレート(PEN)等の結晶
性の熱可塑性高分子フィルムも好ましく用いられるが、
フィルムの透明性や可撓性に優れた特性が要求される。
ただし最近ではポリカーボネート等の非晶性の熱可塑性
高分子による光学等方性フィルムや、それらを適当な割
合で延伸して得られる位相差フィルムがこの用途に用い
られるようになってきている。
【0007】また光ディスクあるいは光カード等の保護
層の用途においては、特にフィルムの透明性や表面平滑
性、場合によっては光学等方性に優れた特性が要求され
る。この為、ここでもポリカーボネート等の非晶性の熱
可塑性高分子フィルムが好ましく用いられ、特に溶液流
延法を用いて製膜されたフィルムが表面平滑性等の観点
から好ましく用いられる。
【0008】ここで一般に熱可塑性高分子フィルムは、
前記用途での電極パターニング工程、接着工程等で使用
される極性溶媒等への耐性が不十分となる場合が多く、
またフィルム上に直接電極層を積層すると電極層の密着
性や耐摩耗性が不十分になる場合が多い等の理由によ
り、これらの特性を向上させる機能を有する適当な樹脂
架橋物による層をフィルムの両面もしくは片面に積層す
ることが好ましく行われる。これら樹脂架橋物による層
としては、例えば紫外線もしくは電子線等の活性光線の
照射により架橋が進行する活性光線硬化型樹脂層、もし
くは加熱により架橋が進行する熱硬化型樹脂層等が好ま
しく用いられる。
【0009】さてこれらの積層フィルムを実際に生産し
たり、諸々の高次加工を行うに当たっては、好ましくは
積層フィルムの片面が適度な滑り性を有していることが
望まれる。
【0010】すなわちフィルムは生産性、加工性を高め
る観点からロールtoロールで連続的に取り扱う事がよ
り好ましいが、フィルムをロールに巻き取る際、フィル
ムの滑り性が不十分であるとロールに巻き取られたフィ
ルムの隣接する面と面が隙間なく密着して動かなくなる
いわゆるブロッキング現象が発生し、フィルム表面に擦
り傷や皺が発生して使用できなくなってしまう問題を生
じるからである。
【0011】尚、こうしたブロッキング現象は、前記の
フィルム面どおしの場合のみならず、フィルムと平板例
えば表面平滑なガラス板や金属板等の間でも発生する場
合がある。例えば各種の高次加工工程(フォトリソグラ
フィーによる電極パターニング、配線のスクリーン印刷
など)で作業台として用いる平板とフィルム間とのブロ
ッキングの発生が挙げられ、これらはフィルムに傷をつ
ける原因になったり、高次加工工程の生産性を低下させ
る結果になる。
【0012】このようなブロッキング現象を防止し、フ
ィルムに適度な滑り性を付与する目的においては従来よ
り、フィルムにエンボス加工を施したり、表面に突起が
多数分散形成された層をフィルム上にコーティングする
方法が多く用いられ、この突起の存在によりフィルム面
どおしの密着を防止し、滑り性を付与する機能を有して
いる。
【0013】例えば、ビデオ、音響用途等に市販されて
いる磁気テープは、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の基板と
なるフィルムの片面に磁性層が積層された構成を有して
いるが、通常磁性層が積層されない側のフィルム面に突
起が多数分散形成されており、必要な滑り性を得てい
る。これらの突起形成の方法については、例えばフィル
ムの片面に粒径がサブミクロンサイズのフィラーを含有
する膜厚が0.1μm前後の極薄の層をコーティングす
る方法や、フィラーを含有したフィルムとフィラーを含
有しないフィルムを共押し出し法を用いて製膜し、片面
が平滑で他面が突起を有する積層フィルムを得る等の方
法が提案されている。
【0014】また本出願者は既出願の特開平10−24
516号において、フィルム上に平均粒径が層の膜厚の
1.1〜3倍の範囲にある微粒子を所定量分散した層を
積層することにより滑り性を付与する提案を行ってい
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上記用途において積層
フィルムは所定の耐溶剤性を有していることが好ましい
が、前記例示の磁気テープにおける一番目の方法ではコ
ーティングされる層の耐溶剤性がさほど優れたものでは
なく、更に層の膜厚が0.1μm前後と非常に薄い事な
どから、該層を積層した事による耐溶剤性の向上効果は
ほとんど望めない。また二番目の方法では熱可塑性高分
子フィルムそれ自身が最表面に存在することから、特に
非晶性の熱可塑性高分子フィルムを用いた場合において
耐溶剤性が不十分になる。
【0016】また前記の本発明者らの既出願特許におけ
る方法では平均粒径が層の膜厚よりも大きい微粒子を分
散しているが、所定の耐溶剤性を得るために層の膜厚を
数ミクロン程度とした場合には、粒径が数ミクロンサイ
ズの微粒子が用いられる事になる。
【0017】本発明者らの検討によれば、分散された微
粒子への樹脂の濡れ性の善し悪し等により若干状況が異
なるものの、層表面に形成される突起の高さが0.2μ
mを超えると次第に目視で外観上の異物欠点として認識
され易くなることがわかっている。
【0018】ここで実際の生産において幅が1mを超え
る広幅のフィルムに層のコーティングを実施する場合、
微粒子の粒径やコーティング層の膜厚等にある程度の分
布が発生することが避けられないことから、コーティン
グ層表面に形成される突起の高さが局所的に大きくなっ
てしまい、この部分が外観上の異物欠点として認識され
てしまうという問題があった。
【0019】本発明は、滑り性と透明性が良好であり、
生産性に優れた積層フィルムを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の積層フィルム
は、少なくとも熱可塑性高分子フィルムの片面の最表層
が、該フィルムに滑り性と耐溶剤性を付与する機能を有
する樹脂架橋物を主成分とする膜厚が1〜20μmの硬
化樹脂からなり、かつヘイズが2%以下の積層フィルム
であって、該層は表面に高さが0.01〜0.1μmの
範囲にある微細突起が一様に形成された層であり、該層
を積層したフィルム面どおしを相対させて測定した静止
摩擦係数がおよそ1.0以下であることを特徴とするも
のである。
【0021】またこの一つの実施形態として、前記の最
表層が樹脂架橋物中に平均粒径(直径)0.005〜
0.3μmの微粒子が0.3〜30%の重量比率で分散
された層であり、微粒子は層内に主として凝集径0.5
μm以下の凝集状態で分散された層である事を特徴とす
るものである。
【0022】すなわち前述のようにフィルム面どおし、
もしくはフィルムと平板等との間のブロッキング現象
(面密着現象)の発生を効果的に防止するためには、フ
ィルムの少なくとも片面が所定以上の滑り性を有してい
る必要がある。本発明者の検討によればこの滑り性を有
したフィルム面どおしを相対させた状態で測定した静止
摩擦係数が少なくとも1.0以下、好ましくは0.8以
下であり、最も好ましくは0.5以下であり、本発明に
おいては少なくとも熱可塑性高分子フィルムの片面の最
表層としてフィルムに滑り性を付与する機能を有する層
を積層することによってこれを実現している。
【0023】この層は表面に多数の非常に微細な突起が
一様に分散形成された層であり、該層が積層されたフィ
ルム面が平坦面に対してほぼ点接触する事により、フィ
ルムのブロッキング現象を防止して良好な滑り性を付与
する機能を有するものである。
【0024】さて、これらの突起の高さは0.005〜
0.5μm、好ましくは0.005〜0.2μm、更に
好ましくは0.01〜0.1μm、最も好ましくは0.
02〜0.05μmの範囲になるようにコントロールさ
れる事が好ましい。すなわち前述のように突起の高さが
0.5μmを超えると目視で外観上の異物欠点と認識さ
れ易くなり、本発明の用途には不適となる為である。
【0025】また突起の平均高さがあまりに小さいと、
フィルム面にかかる押し圧によりフィルム自体が若干変
形することにより、突起の周囲で面密着(ブロッキン
グ)が発生してしまう場合が多いので、突起の高さは少
なくとも0.005μm以上、更に好ましくは0.01
μm以上、最も好ましくは0.02μm以上である。
【0026】また該層が積層された積層フィルムのヘイ
ズは少なくとも2%以下である。すなわち層表面に形成
される突起の高さが前記範囲内にあって外観上の異物欠
点として認識されないような場合においても、積層フィ
ルムのヘイズが2%以上であるとフィルムを透過光で観
察した場合に白濁がはっきりと確認される場合が多く、
本発明の目的とする用途に不適となるからである。
【0027】また該層は少なくとも以下の所定の耐溶剤
性を有していることが好ましい。すなわち5%水酸化カ
リウム水溶液、5%塩酸、nメチルピロリドンをそれぞ
れ硬化樹脂層上に滴下して、30℃で10分間放置した
後に滴下部分に肉眼で外観変化がいずれも生じないこと
が少なくとも必要とされる。
【0028】このため、該層は樹脂架橋物を主成分とす
る膜厚が1〜20μm、更に好ましくは2〜10μmの
範囲にある硬化樹脂層とすることが好ましい。ここで層
の膜厚が1μm以下であると前記の耐溶剤性を得る事が
困難になる場合が多く、また20μm以上であると層の
外観や密着性、屈曲性等が不良となる場合が多いからで
ある。
【0029】これらの樹脂架橋物としては、例えば各種
のアクリレート、メタクリレート樹脂、シリコーン樹
脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、メ
ラミン樹脂等に、紫外線、電子線等の活性光線の照射も
しくは加熱等により樹脂の架橋を進行させたものが好ま
しく用いられる。
【0030】アクリレート基を有する樹脂としては、例
えばジメチロールシクロデカンジアクリレート(DCP
A)、1,6−ヘキサジオールジアクリレート、1,9
−ノナンジオールジアクリレート、2−エチル−2−n
−ブチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート等
の各種ジアクリレートを挙げることができる。
【0031】アルコキシシランを前駆体とするシリコー
ン系樹脂としては、例えばエポキシ基含有の珪素アルコ
キシドの加水分解、縮合物からなるものを挙げることが
できる。かかる珪素アルコキシドとしては例えばγーグ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを
例示することができる。上記の珪素アルコキシドは、ア
ミノ基含有の珪素アルコキシドと適当な割合で混合する
事により層の架橋度が向上するので好ましい。ただしア
ミノ基含有の珪素アルコキシドは吸水性が若干高いの
で、両者の混合割合は重量比でおよそ9:1〜3:1の
範囲が好ましい。
【0032】更には触媒もしくは硬化促進剤、および該
層の製膜性、機能性を高めるための各種添加剤(レベリ
ング剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤など)の添加も適時
行われる。尚、これら硬化樹脂層は耐溶剤性を発現する
為、比較的架橋密度を高く形成する必要があり、一般的
に分子内に多数の官能基を有し、反応性が高い樹脂であ
ることが好ましい。
【0033】これらの硬化樹脂層をフィルム上にコーテ
ィングする方法としては、公知のロールコーティング法
が用いられ、より具体的にはグラビヤコート、マイクロ
グラビヤコート、マイヤーバーコート、リバースコート
等の各種の方法が用いられる。この際必要に応じて樹脂
成分を溶剤に適当な濃度で溶解したのちにコーティング
を行う事も好ましい。
【0034】該層は例えば、これらの樹脂架橋物中に平
均粒径0.005〜0.3μmの微粒子が0.3〜30
%の重量比率で分散され、微粒子が層内に主として凝集
径0.5μm以下の凝集状態で分散された層を好ましく
例示することができる。
【0035】この場合、微粒子としては、酸化珪素(シ
リカ)、酸化アルミニウム等の金属酸化物系微粒子やポ
リメチルメタクリレート、ポリスチレン等の樹脂を適度
に架橋してなる樹脂系微粒子が好ましく用いられる。
尚、前者の金属酸化物系微粒子は、各種の金属アルコキ
シ化合物を焼成することによって得られる微粒子も含む
ものとする。
【0036】ところで層の膜厚よりも粒径が小さい微粒
子を分散してなる層において、層の表面に一様に多数の
微細な突起を分散形成するためには、混合したうちの一
定割合の微粒子を層の表面近傍の位置に存在させ、微粒
子の一部分が表面上に突き出した形で存在させる事が必
要となる。
【0037】この目的を実現する最も簡単な方法は、凝
集径が層の膜厚以上となるように層内で微粒子を凝集さ
せる方法であるが、一般的に数ミクロン以上の領域で凝
集径がほぼ均一になるようにコントロールすることは困
難であり、従って突起の高さが0.01〜0.1μmの
範囲となるようにコントロールする事も困難である。
【0038】これらの観点から層内において微粒子は主
として凝集径が少なくとも1μm以下、より好ましくは
0.5μm以下の凝集体として分散されている事が好ま
しい。尚、このような微粒子の分散状態は、樹脂と微粒
子表面の親和性、微粒子表面の親水性もしくは疎水性の
度合や表面官能基の種類、表面エネルギー等の要因によ
って、あるいは微粒子の帯電(荷電)状態によって、も
しくは微量添加された界面活性剤(分散剤)の種類等に
よって、もしくは塗膜の溶剤乾燥の条件等によって様々
に変化するので、前記の分散状態が実現できるような条
件を用いることが肝要である。
【0039】また本発明者らの検討によれば、ミクロン
サイズ以上の比較的大きな粒径の微粒子を用いた場合に
は樹脂層の膜厚方向で下地に近い側ほど微粒子が高い分
布密度を有する傾向が観られるが、0.3μm以下の小
さい粒径の微粒子を分散させた場合には前記傾向が弱ま
って、膜厚方向に微粒子の比較的均一な分布密度が得ら
れ、層の最表面に一定の割合で微粒子を存在させ得る事
を見い出した。この事から、本発明に用いる微粒子の平
均粒径はおよそ0.3μm以下、更に好ましくは0.2
μm以下とすることが好ましいが、微粒子の平均粒径が
0.005μm以下であると凝集体の凝集径のバラツキ
が大きくなる傾向が観られるのであまり好ましくない。
【0040】尚、微粒子の分散割合がおよそ0.3重量
%より少ないと静止摩擦係数1.0以下の良好な滑り性
を得る事は難しく、またおよそ30重量%より多いと塗
膜にクラックを生じたり、塗膜の密着性が低下したりす
るので好ましくない。これらの事から微粒子の樹脂に対
する分散割合は0.3〜30重量%、より好ましくは
0.5〜5重量%、最も好ましくは0.7〜3重量%の
範囲にある事が好ましい。
【0041】尚、このような耐溶剤性と滑り性を熱可塑
性高分子フィルムに付与する機能を有する層としては、
前記の層の他にも例えば、酸化珪素、酸化インジウム等
の金属酸化物もしくはアルミニウム、銀等の金属等によ
る膜厚がおよそ0.03〜0.3μm程度の層を真空蒸
着もしくはスパッタリング等の方法で製膜した高分子フ
ィルムと先の熱可塑性高分子フィルムとの間に活性光線
硬化型の樹脂前駆液を挟持させた状態でいずれかのフィ
ルムを透して活性光線を照射して層を硬化させ、その後
に金属酸化物層もしくは金属層等が形成された高分子フ
ィルムを剥離させる事によって得られる硬化樹脂層が好
ましく使用できる場合がある。すなわち本方法では金属
酸化物層もしくは金属層等の表面の形状が硬化樹脂層の
表面にそのまま転写される。一般にこれらの金属酸化物
層もしくは金属層等の表面には多数の微細な凹凸形状が
自然形成される場合が多く、製膜条件等によっては前記
形状を転写して得られる硬化樹脂層表面の突起の高さを
最適範囲にコントロールすることも可能である。
【0042】尚、これと全く同様の原理で、先の金属酸
化物もしくは金属層等の製膜された高分子フィルムの代
わりに、あらかじめ表面に微細な凹凸形状を形成してあ
る金属もしくはセラミック製のローラーを用いる事も可
能である。
【0043】さて該層はフィルムの片面の最表層として
設けられるが、該層とフィルムとの間もしくは該層上
(該層より更に表面側)に、例えば該層と熱可塑性高分
子フィルムとの密着性を向上させる機能を有するアンカ
ー層や、フィルムを透過する空気や水蒸気を遮断する機
能を有するようなガスバリヤ層や、電極として機能する
導電層等の各種の機能層が好ましく積層される。
【0044】また該層が積層されたフィルム面と反対の
フィルム面に、これらの上記機能層を積層することも可
能であり好ましく行われる。ただしこの場合、このフィ
ルム面の耐溶剤性を向上させる目的で、前記と同様な硬
化樹脂層からなる膜厚が1〜20μm程度の層を積層す
ることが好ましい。尚、この層は必ずしも滑り性を付与
する機能を有している必要はなく、微粒子等を混合させ
ずに、平坦性が極めて高い層として積層することも好ま
しく行われる。
【0045】導電層としては例えば、酸化インジウム、
酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物およびまたは銀、アル
ミニウム等の金属層等による層が好ましく用いられ、少
なくとも前記の耐溶剤性を有する硬化樹脂層を介してフ
ィルム上に積層されることが好ましい。
【0046】ガスバリヤ層としては例えば、酸化珪素、
酸化アルミニウム等の金属酸化物による層、もしくはポ
リビニルアルコール(PVA)、エチレンビニルアルコ
ール共重合体(EVOH)その他の有機高分子による層
等が好ましく用いられる。
【0047】アンカー層としては例えば、各種のウレタ
ン樹脂、アクリル樹脂等が好適に用いられる。
【0048】本発明の基板として好適な熱可塑性高分子
フィルムとしては、例えばビスフェノールA、ビスフェ
ノールフルオレン、ビスフェノールイソホロン等の一種
類または2種類以上をビスフェノール成分として含むポ
リカーボネートおよび共重合体、変性物等からなるフィ
ルム(例えば帝人化成製「C1400」やバイエル製
「APEC−HT9371」等によるフィルム)、ポリ
アリレートおよびその共重合物もしくは変性物等による
フィルム(例えばユニチカ製「Uポリマー」やロンザ製
「ARYPHAN15、25フィルム」等)、非晶性ポ
リオレフィンによるフィルム(例えば日本合成ゴム製
「アートンフィルム」)等の各種の非晶性フィルムが好
ましく挙げられ、特に光学等方性を必要としない用途に
おいては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート等の結晶性のフィルムも用いることができ
る。尚、こうしたフィルムの製膜方法としては溶液流延
法もしくは溶融押し出し法等が好ましく挙げられる。
【0049】
【実施例】以下実施例をもって本発明を更に詳しく説明
する。尚、以下において耐溶剤性の試験は、硬化樹脂層
の積層されたフィルム面(比較例1においてはポリカー
ボネートフィルム面)に5%水酸化カリウム水溶液、5
%塩酸、n−メチルピロリドン、アセトンをそれぞれ滴
下して、30℃で10分間放置した後に滴下部分に肉眼
で外観変化が生じない場合に、良好な耐溶剤性を有する
と判断した。
【0050】また静止摩擦係数の測定には、新東科学製
表面性測定装置HEIDON−14のASTM平面圧子
(面接触部分63.5mm四方)を用い、2つのフィル
ムを、測定面が互いに向かい合うように、平面圧子およ
びステージ上にそれぞれ固定した後に、圧子への垂直荷
重500gf、ステージの移動速度240mm/分の条
件にて測定を行った。
【0051】尚、ここでフィルム表面に多くの傷がつい
ていたり、フィルム間にゴミが介在したりしていると測
定結果に誤差を生じるので注意が必要である。
【0052】前記表面性測定装置(歪みゲージ)からの
出力電圧はオシロスコープ(横河電機製DL1200、
クロック周波数100MHz)上でモニターし、測定開
始当初に立ち上がる出力電圧のピーク値と、装置定数か
ら、実際に系に働いた力に換算し、これを圧子への垂直
荷重で割った値を静止摩擦係数とした。
【0053】また積層フィルムのヘイズ、全光線透過率
は日本電色工業製デジタル濁度計300Aを用いて測定
した。
【0054】[実施例1]熱可塑性高分子フィルムとし
て、溶液流延法により製膜された厚みが約100μm、
面内リタデーション約8nm、ガラス転移温度約156
℃のポリカーボネートフィルム(帝人製ピュアエースC
110)を用いた。
【0055】このフィルムの片面に、耐溶剤性と滑り性
を付与する機能を有する層として以下の層を積層した。
【0056】すなわち紫外線硬化型樹脂としてジメチロ
ールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学製
「ライトアクリレートDCPA」)70重量部およびポ
リエステルアクリレート(東亜合成化学製「アロニック
スM8560」)30重量部、微粒子としてエチレング
リコール分散シリカ微粒子(触媒化成製「オスカル17
26L」。平均粒径0.1μm前後)1.2重量部(固
形分換算)、光開始剤としてチバガイギー製「イルガキ
ュア187」5重量部、レベリング剤として東レ・ダウ
シリコーン製「SH28PA」0.1重量部、希釈溶剤
1メトキシ2プロパノール120重量部、イソプロピル
アルコール40重量部からなる塗液を乾燥膜厚が約5μ
mになるようにロールコーティングし、60℃で30秒
乾燥後、強度160W/cmの高圧水銀ランプにより積
算光量600mJ/cm2の紫外線を照射して硬化樹脂
層を積層した。
【0057】この硬化樹脂層の形成された表面を数箇
所、5μm四方の面積を原子間力顕微鏡(セイコー電子
工業製SFA−300)により観察を行ったところ、観
察面積内において高さがおよそ0.01〜0.04μm
程度の突起が平均20個程度の密度で分散形成されてい
るのが観察された。尚、150μm四方に観察面積を拡
大した場合において、高さが0.1μmを超える突起は
ほとんど観察されなかった。
【0058】またこの硬化樹脂層を厚み方向に十数箇所
割断した断面を、走査型電子顕微鏡(日立製S900)
を用いて十万倍の倍率で観察を行ったところ、10〜2
0個程度の微粒子が凝集した微粒子の二次凝集体(最大
凝集径0.4μm程度、平均凝集径0.2〜0.3μm
程度)が硬化樹脂層の膜厚方向に同様の分布密度で存在
しているのが観察された。
【0059】この積層フィルムの外観は非常に良好で異
物欠点はほとんど認められなかった。またフィルムのの
ヘイズは0.6%と非常に透明性に優れていた。また前
記硬化樹脂層が積層されたフィルム面は良好な耐溶剤性
を示し、該フィルム面どおしを相対させて測定した静止
摩擦係数は約0.35であった。
【0060】[実施例2]実施例1同様にして、ポリカ
ーボネートフィルムの片面に、耐溶剤性と滑り性を付与
する機能を有する層として以下の層を積層した。
【0061】すなわち紫外線硬化型樹脂としてポリエス
テルアクリレート(東亜合成化学製「M8060」)1
00重量部、微粒子としてイソプロパノール分散シリカ
微粒子(触媒化成製「オスカル1472」。平均粒径
0.01μm前後)20重量部(ただし固形分換算)、
光開始剤としてチバガイギー製「イルガキュア187」
5重量部、レベリング剤として東レ・ダウシリコーン製
「SH28PA」0.1重量部、希釈溶剤1メトキシ2
プロパノール200重量部からなる塗液を乾燥膜厚が約
4.2μmになるようにロールコーティングし、75℃
で30秒乾燥後、強度160W/cmの高圧水銀ランプ
により積算光量600mJ/cm2の紫外線を照射して
硬化樹脂層を積層した。
【0062】この硬化樹脂層の形成された表面を数箇
所、5μm四方の面積を原子間力顕微鏡により観察を行
ったところ、観察面積内において高さがおよそ0.01
〜0.08μmの突起が平均100個程度の密度で分散
形成されているのが観察された。尚、150μm四方に
観察面積を拡大した場合において、高さが0.1μmを
超える突起はほとんど観察されなかった。
【0063】この積層フィルムの外観は非常に良好で異
物欠点はほとんど認められなかった。またフィルムのヘ
イズは1.1%と優れた透明性を示した。また前記硬化
樹脂層が積層されたフィルム面は良好な耐溶剤性を示
し、該フィルム面どおしを相対させて測定した静止摩擦
係数は約0.45であった。
【0064】[比較例1]実施例1において用いたポリ
カーボネートフィルムの静止摩擦係数については、著し
い面密着(ブロッキング)の発生の為、測定することが
困難であった。圧子への垂直荷重を100gfに減少さ
せた場合でも静止摩擦力は2000gを超える値とな
り、静止摩擦係数は20を超える非常に大きな値になっ
た。またフィルムの耐溶剤性に関しても不良であり、n
−メチルピロリドンの滴下部分でフィルムは激しく膨潤
し、場合によっては貫通孔ができる場合もあった。また
アセトンの滴下部分ではフィルムの著しい白化が観察さ
れた。
【0065】[比較例2]ポリカーボネートフィルムの
片面に、実施例1で用いた塗液に微粒子を混合させなか
った以外は実施例1と全く同様に層を積層した。
【0066】すなわち紫外線硬化型樹脂としてジメチロ
ールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学製
「ライトアクリレートDCPA」)70重量部およびポ
リエステルアクリレート(東亜合成化学製「アロニック
スM8560」)30重量部、光開始剤としてチバガイ
ギー製「イルガキュア187」5重量部、レベリング剤
として東レ・ダウシリコーン製「SH28PA」0.1
重量部、希釈溶剤1メトキシ2プロパノール120重量
部、イソプロピルアルコール40重量部からなる塗液を
乾燥膜厚が約5μmになるようにロールコーティング
し、60℃で30秒乾燥後、強度160W/cmの高圧
水銀ランプにより積算光量600mJ/cm2の紫外線
を照射して硬化樹脂層を積層した。
【0067】この硬化樹脂層の形成された表面を数箇
所、5μm四方ならびに150μm四方の面積を原子間
力顕微鏡により観察を行ったところ、観察面積内におい
て高さが0.005μm以上の突起はほとんど観察され
なかった。
【0068】この積層フィルムのヘイズは0.2%と非
常に優れ、前記硬化樹脂層が積層されたフィルム面は良
好な耐溶剤性を示したが、該フィルム面どおしを相対さ
せて測定した静止摩擦係数は比較例1と同様に20を超
える大きな値となり、フィルムの面密着(ブロッキン
グ)が非常に生じやすかった。
【0069】[比較例3]ポリカーボネートフィルムの
片面に、実施例2で用いた塗液に微粒子を混合させなか
った以外は実施例2と全く同様に層を積層した。
【0070】すなわち紫外線硬化型樹脂としてポリエス
テルアクリレート(東亜合成化学製「M8060」)1
00重量部、光開始剤としてチバガイギー製「イルガキ
ュア187」5重量部、レベリング剤として東レ・ダウ
シリコーン製「SH28PA」0.1重量部、希釈溶剤
1メトキシ2プロパノール200重量部からなる塗液を
乾燥膜厚が約4.2μmになるようにロールコーティン
グし、75℃で30秒乾燥後、強度160W/cmの高
圧水銀ランプにより積算光量600mJ/cm2の紫外
線を照射して硬化樹脂層を積層した。
【0071】この硬化樹脂層の形成された表面を数箇
所、5μm四方ならびに150μm四方の面積を原子間
力顕微鏡により観察を行ったところ、観察面積内におい
て高さが0.005μm以上の突起の存在はほとんど観
察されなかった。
【0072】この積層フィルムのヘイズは0.2%と非
常に優れ、前記硬化樹脂層が積層されたフィルム面は良
好な耐溶剤性を示したが、該フィルム面どおしを相対さ
せて測定した静止摩擦係数は比較例1および2と同様に
20を超える大きな値になり、フィルムの面密着(ブロ
ッキング)が非常に生じやすかった。
【0073】[比較例4]ポリカーボネートフィルムの
片面に、実施例2で用いた塗液に混合した微粒子に異な
る種類(粒径)の微粒子を用いた以外は実施例2と全く
同様に層を積層した。
【0074】すなわち紫外線硬化型樹脂としてポリエス
テルアクリレート(東亜合成化学製「M8060」)1
00重量部、微粒子としてシリカ微粒子(東芝シリコー
ン製「トスパール145」。平均粒径4.5μm前後)
0.2重量部、光開始剤としてチバガイギー製「イルガ
キュア187」5重量部、レベリング剤として東レ・ダ
ウシリコーン製「SH28PA」0.1重量部、希釈溶
剤1メトキシ2プロパノール200重量部からなる塗液
を乾燥膜厚が約4.2μmになるようにロールコーティ
ングし、75℃で30秒乾燥後、強度160W/cmの
高圧水銀ランプにより積算光量600mJ/cm2の紫
外線を照射して硬化樹脂層を積層した。
【0075】この硬化樹脂層の形成された表面を数箇
所、150μm四方の面積を原子間力顕微鏡により観察
を行ったところ、観察面積内において高さが0.1μm
を超える突起が2〜3個程度の密度で分散形成されてい
るのが観察され、まれには高さが0.5μmを超えるよ
うな巨大な突起が存在する場合があった。
【0076】この積層フィルムのヘイズは0.4%と優
れた透明性を示し、硬化樹脂層の耐溶剤性も良好であ
り、また硬化樹脂層の積層されたフィルム面どおしを相
対させて測定した静止摩擦係数は約0.50であった
が、フィルム面には外観の異物欠点として認識されてし
まう「ぶつ」の存在が肉眼で多数確認された。
【0077】[比較例5]ポリカーボネートフィルムの
片面に、実施例1で用いた塗液に混合した微粒子に異な
る種類、混合量の微粒子を用いた以外は実施例1と全く
同様に層を積層した。
【0078】すなわち紫外線硬化型樹脂としてジメチロ
ールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学製
「ライトアクリレートDCPA」)70重量部およびポ
リエステルアクリレート(東亜合成化学製「アロニック
スM8560」)30重量部、微粒子としてイソプロピ
ルアルコール分散シリカ微粒子(触媒化成製「オスカル
1432」。平均粒径0.01〜0.02μm程度)3
3重量部(固形分換算)、光開始剤としてチバガイギー
製「イルガキュア187」5重量部、レベリング剤とし
て東レ・ダウシリコーン製「SH28PA」0.1重量
部、希釈溶剤1メトキシ2プロパノール120重量部、
イソプロピルアルコール40重量部からなる塗液を乾燥
膜厚が約5μmになるようにロールコーティングし、6
0℃で30秒乾燥後、強度160W/cmの高圧水銀ラ
ンプにより積算光量600mJ/cm2の紫外線を照射
して硬化樹脂層を積層した。この硬化樹脂層の表面は一
面に微細なクラックが生じ、外観が不良となった。
【0079】[比較例6]ポリカーボネートフィルムの
片面に、実施例1で用いた塗液に混合した微粒子の混合
量を少なくした以外は実施例1と全く同様に層を積層し
た。
【0080】すなわち紫外線硬化型樹脂としてジメチロ
ールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学製
「ライトアクリレートDCPA」)70重量部およびポ
リエステルアクリレート(東亜合成化学製「アロニック
スM8560」)30重量部、微粒子としてエチレング
リコール分散シリカ微粒子(触媒化成製「オスカル17
26L」。平均粒径0.1μm前後)0.2重量部(固
形分換算)、光開始剤としてチバガイギー製「イルガキ
ュア187」5重量部、レベリング剤として東レ・ダウ
シリコーン製「SH28PA」0.1重量部、希釈溶剤
1メトキシ2プロパノール120重量部、イソプロピル
アルコール40重量部からなる塗液を乾燥膜厚が約5μ
mになるようにロールコーティングし、60℃で30秒
乾燥後、強度160W/cmの高圧水銀ランプにより積
算光量600mJ/cm2の紫外線を照射して硬化樹脂
層を積層した。
【0081】この積層フィルムの外観は非常に良好で異
物欠点はほとんど認められず、フィルムのヘイズは0.
4%と非常に透明性に優れ、硬化樹脂層が積層されたフ
ィルム面は良好な耐溶剤性を示したが、該フィルム面ど
おしを相対させて測定した静止摩擦係数は約1.8であ
り、場合によってフィルムの面密着(ブロッキング)を
生じる場合があった。
【0082】[比較例7]ポリカーボネートフィルムの
片面に、実施例1で用いた塗液に混合した微粒子に異な
る種類(粒径)の微粒子を用いた以外は実施例1と全く
同様に層を積層した。
【0083】すなわち紫外線硬化型樹脂としてジメチロ
ールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学製
「ライトアクリレートDCPA」)70重量部およびポ
リエステルアクリレート(東亜合成化学製「アロニック
スM8560」)30重量部、微粒子としてエチレング
リコール分散シリカ微粒子(触媒化成製「オスカル17
22」。平均粒径0.01μm前後)1.2重量部(固
形分換算)、光開始剤としてチバガイギー製「イルガキ
ュア187」5重量部、レベリング剤として東レ・ダウ
シリコーン製「SH28PA」0.1重量部、希釈溶剤
1メトキシ2プロパノール120重量部、イソプロピル
アルコール40重量部からなる塗液を乾燥膜厚が約5μ
mになるようにロールコーティングし、60℃で30秒
乾燥後、強度160W/cmの高圧水銀ランプにより積
算光量600mJ/cm2の紫外線を照射して硬化樹脂
層を積層した。
【0084】この積層フィルムのヘイズは1.1%と比
較的良好で、硬化樹脂層の耐溶剤性も良好であり、また
硬化樹脂層の積層されたフィルム面どおしを相対させて
測定した静止摩擦係数は約0.34と優れていが、フィ
ルム面には外観の異物欠点として認識されてしまう「ぶ
つ」の存在が多数確認された。
【0085】また、この硬化樹脂層の形成された表面を
数箇所、150μm四方の面積を原子間力顕微鏡により
観察を行ったところ、観察面積内において高さが0.1
μmを超える突起が10〜20個前後の密度で観察され
た。尚、これらの突起は凝集径が1μm以上の微粒子に
よる二次凝集体が層表面に存在する事により形成された
ものである。
【0086】[実施例3]実施例1で作成した積層フィ
ルムにおいて硬化樹脂層を積層したフィルム面と反対の
面に、実施例1で用いた塗液に微粒子を混合させなかっ
た以外は全く同様にして膜厚が約5μmの硬化樹脂層を
積層した。この層の表面は非常に平坦であり、高さが
0.01μm以上の突起はほとんど観察されず、また耐
溶剤性も良好であった。
【0087】この平坦性が非常に高い層の上に、DCマ
グネトロンスパッタリングにより膜厚が約30nmの酸
化珪素によるガスバリヤ層を積層し、更にDCマグネト
ロンスパッタリングにより膜厚が約120nmで面積抵
抗が40Ω/□の錫ドープ酸化インジウム(In/Sn
=95:5wt)による透明導電層を積層した。
【0088】このフィルムの全光線透過率は85.2%
であり透明性に大変優れており、更にロールtoロール
での取り扱い性(フィルム搬送性、巻き取り性等)が大
変優れていた。
【0089】[比較例8]比較例2で作成した積層フィ
ルムにおいて硬化樹脂層を積層したフィルム面と反対の
面にも、これと全く同様の硬化樹脂層を積層した。この
フィルムは両面ともに非常に平坦で、高さが0.005
μm以上の突起はほとんど観察されなかった。
【0090】この一方の硬化樹脂層の上に、DCマグネ
トロンスパッタリングにより膜厚が約30nmの酸化珪
素によるガスバリヤ層を積層し、更にDCマグネトロン
スパッタリングにより膜厚が約120nmで面積抵抗が
40Ω/□の錫ドープ酸化インジウム(In/Sn=9
5:5wt)による透明導電層を積層した。
【0091】このフィルムの全光線透過率は85.6%
であり透明性に大変優れていたが、ロールtoロールで
フィルムを取り扱う際にフィルム面どおしの密着現象
(ブロッキング)に起因して多数の皺が発生し、また透
明導電層に局所的にこすり傷が生じた。
【0092】
【発明の効果】本発明の積層フィルムは、良好な滑り性
と透明性、耐溶剤性を兼ね備え、フィルムの外観欠点が
非常に少ない特徴を有し、ロールtoロールでの連続生
産および高次加工適性に優れたフィルムとして用途に応
じた各種の機能層の積層が為され、情報や画像の表示や
入力、記録等といった広範囲の分野において好適に用い
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坪井 誠治 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内 (72)発明者 八幡 一雄 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内 Fターム(参考) 4F071 AA33 AA33X AA50 AA78 AB26 AD02 AE06 AE15 AF28Y AF30Y AG02 AG05 AG15 AH16 BC01 BC02 BC12 BC15 4F100 AA17D AA20 AB01D AK01A AK01B AK01C AK25 AK25K AK45A BA02 BA04 BA07 BA10A BA10B BA10D DD07B DE01B GB41 JB07C JB12B JB12C JB16A JG01D JK16 JN01 JN01D JN02 JN30 YY00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性高分子フィルムの少なくとも片
    面の最表層が、樹脂架橋物を主成分とする膜厚が1〜2
    0μmの硬化樹脂層であり、かつヘイズが2%以下の積
    層フィルムであって、該層は表面に高さがおよそ0.0
    1〜0.1μmの微細突起が一様に形成された層であ
    り、該層を積層したフィルム面どおしを相対させて測定
    した静止摩擦係数がおよそ1.0以下であることを特徴
    とする積層フィルム。
  2. 【請求項2】 前記の硬化樹脂層は、樹脂架橋物中に平
    均粒径0.005〜0.3μmの微粒子が0.3〜30
    %の重量比率で分散された層であり、微粒子は層内に主
    として凝集径0.5μm以下の凝集状態で分散されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
  3. 【請求項3】 前記の熱可塑性高分子フィルムとしてポ
    リカーボネートからなるフィルムを用いたことを特徴と
    する請求項1または2の積層フィルム。
  4. 【請求項4】 前記の硬化樹脂層が設けられた面と反対
    のフィルム面に、少なくとも、耐溶剤性を有する膜厚が
    1〜20μmの硬化樹脂層と金属酸化物および/または
    金属からなる透明導電層とがこの順に積層されているこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フ
    ィルム。
  5. 【請求項5】 前記の硬化樹脂層が設けられたフィルム
    面に、少なくとも、前記の層と金属酸化物および/また
    は金属からなる透明導電層とがこの順に積層されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層
    フィルム。
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