JP2000228975A - 藻類培養方法 - Google Patents

藻類培養方法

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JP2000228975A
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Kenji Yamamura
健治 山村
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
Research Institute of Innovative Technology for the Earth RITE
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 藻類培養液を固液分離し、藻体を回収した
後、得られた分離培地を、培養槽に戻すリサイクル藻類
培養方法において、目的藻類以外の微生物汚染を抑える
とともに、藻類増殖に害を与えず、且つエネルギー消費
の少ない培養方法を提供する。 【解決手段】 光合成により増殖する藻類を太陽光を用
いて培養し、藻類培養液を固液分離し、藻体を回収した
後、得られた分離培地(分離液)を紫外線により殺菌
し、殺菌した分離培地を培養槽1に戻してリサイクル培
養する。太陽光に含まれる紫外線を、紫外線のみ集める
ことのできる紫外線集光装置4を用いて集光し、該紫外
線を培養システムの紫外線照射装置3に伝送して、殺菌
に用いてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光合成により増殖
する藻類の、太陽光を用いる培養方法に関し、培養液か
ら藻体を回収分離したあとの分離液を、培養槽に戻して
循環利用するリサイクル培養技術に関する。
【0002】
【従来の技術】藻類を大量に培養するためには、培養液
に藻体を形成するに必要な栄養塩を充分に供給する必要
がある。また、連続的、或いは半連続的に培養するため
には、増殖した藻体を培養液から分離回収して、培養液
中の藻体濃度を適当な濃度範囲内に維持する必要があ
る。この場合、藻体を除いた培養液中には栄養塩が残存
しており、この有効利用を図るため、藻体を除いた培養
液(本明細書において、分離培地という)を培養槽に戻
す培養方法が、特開平6−86667号公報に従来法と
して記載されている。
【0003】太陽光を利用した藻類の培養方法として
は、オープンポンド方式が一般に用いられている。オー
プンポンド方式の培養において、連続或いは半連続で培
養を行う場合、培養液中に、目的とする藻類以外の微生
物の繁殖、即ち、他の微生物による汚染が生じる可能性
が高くなる。とくに、藻体を分離回収した後の、分離培
地を循環利用するリサイクル培養では、藻類の分離操作
において分離されない微生物は、培養槽にリサイクルさ
れるため、汚染が増大するという問題を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の藻類のリサ
イクル培養における、目的とする藻類以外の微生物汚染
の問題を解決する方法として、藻体分離後の分離培地を
殺菌して、リサイクルする方法が考えられる。殺菌方法
としては、塩素による殺菌、加熱殺菌などがあるが、塩
素では残留塩素による藻類への影響、加熱では、加熱・
冷却のエネルギーが多大であるなど、いずれも実際の使
用において問題があり、分離培地リサイクル培養が難し
い原因となっている。
【0005】上記の問題点を解決するため、本発明は、
藻類培養液を固液分離し、藻体を回収した後、得られた
分離培地を、培養槽に戻すリサイクル藻類培養方法にお
いて、目的藻類以外の微生物汚染を抑えるとともに、藻
類増殖に害を与えず、且つエネルギー消費の少ない培養
方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の藻類培養方法
は、光合成により増殖する藻類を太陽光を用いて培養
し、藻類培養液を固液分離し、藻体を回収した後、得ら
れた分離培地(分離液)を、培養槽に戻すリサイクル培
養方法において、リサイクルする分離培地(分離液)を
紫外線により殺菌することを特徴とする。本発明のリサ
イクル培養方法によれば、培養槽での目的藻類以外の微
生物汚染を防ぐことができる。
【0007】本発明の培養方法に用いる紫外線は、太陽
光を集光して得られた紫外線を用いることができる。太
陽光に含まれる紫外線を用いることにより、殺菌のため
のエネルギーコストを小さく抑えることができる。太陽
光に含まれる紫外線を、紫外線のみ集めることのできる
集光装置を用いて集光し、該紫外線を培養システムの紫
外線照射装置に伝送して殺菌に用いると、効率よく紫外
線殺菌が行える。このような紫外線集光装置には、太陽
光のうち紫外線のみ反射する反射鏡により反射集光する
紫外線集光装置が好適である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実態の態様を図面により
説明する。図1は、分離培地の紫外線殺菌を行う本発明
のリサイクル藻類培養方法の一例を示すフロー図であ
る。図1中、1は藻類の培養を行う培養槽、2は藻体分
離装置、3は紫外線照射装置、4は紫外線集光装置であ
る。
【0009】藻類を培養するための培養槽1は、オープ
ンポンド、レースウェイ型培養槽などを用いることがで
きる。培養槽1は、培養液を混合する撒水機能を有する
ものが好ましい。なお本発明は、培養槽1の種類を限定
するものではない。培養槽1に、新鮮培地5、二酸化炭
素含有ガス6および太陽光7を供給し、藻類の培養を行
う。太陽光7の供給方法は、オープンポンドのように、
培養液面に直接、太陽光を照射するものであってもよい
し、光合成に有効な可視光を集光して、培養槽1に伝
送、供給するものであってもよい。
【0010】培養液8は、藻体分離装置2に送られ、藻
体11と分離培地9に分離される。藻体分離装置2は、
遠心分離器、膜ろ過装置などを用いることができる。藻
体分離の前に、藻体沈殿槽などの濃縮装置を設けて、藻
体分離のためのエネルギー低減を図ることもできる。分
離培地9は、大部分が紫外線照射装置3により紫外線殺
菌され、殺菌分離培地10として培養槽1にリサイクル
される。分離培地9のうち、新鮮培地5の投入量に相当
する分は、系外に排出され、培養槽1内の培養液量は一
定に維持される。
【0011】紫外線照射装置3は、例えば、紫外線を透
過する石英ガラス管の内部に、分離培地9を通し、石英
ガラス管の外部から紫外線を照射するような簡単な装置
でよく、とくに限定するものではない。紫外線は、太陽
光7のうち紫外線部分のみが集光できる紫外線集光装置
4で集められたものが適用できる。
【0012】このような紫外線集光装置4には、例え
ば、図2に示す、太陽光のうち紫外線のみ集光反射する
反射鏡により紫外線を反射集光する紫外線集光装置4が
使用できる。図2において、13は紫外線のみ集光反射
する反射鏡、12は集光された紫外線を伝送する光ファ
イバーであり、該光ファイバー12の端部断面で紫外線
を受光することができ、14は反射鏡13を保持し光フ
ァイバー12の端部に固定するための保持具である。
【0013】このようにして、紫外線により殺菌した分
離培地を培養槽にリサイクルすることで、培地に残存す
る栄養塩類を有効利用できるとともに、培養槽における
目的藻類以外の微生物による汚染を防止、あるいは汚染
増大を抑制することができ、長期の培養が可能となる。
このように本発明では紫外線により分離培地を殺菌して
いるので、塩素を用いた殺菌のように残留塩素が藻類の
増殖を阻害するといった問題がなく、また、加熱による
殺菌のようにエネルギーを膨大に消費するという問題が
ない。
【0014】紫外線殺菌に用いる紫外線には、前記した
ように太陽光の紫外線を利用することが、エネルギーの
消費が少なくてすむが、人口紫外線を用いてもよい。太
陽光に含まれる紫外線は、波長が約300nmから約4
00nmである。一般的に殺菌に用いられる人工紫外線
の波長は253.7nmのものが多く、殺菌力が強い。
しかし、太陽光に含まれる紫外線も、殺菌効果を有する
ことは、古くから経験的に知られており、今日において
も太陽光による殺菌は日光消毒として利用されている。
【0015】図3は、太陽光に近い紫外線部分の分光分
布を有するキセノン光源を用いた、人工紫外線による殺
菌試験の結果を示し、縦軸に生菌数(個/ml)、横軸
に照射時間(h)を採ったグラフである。18日間、太
陽光の下で培養したクロレラ培養液を遠心分離により藻
体を除去した分離培地を供試試料とした。紫外線殺菌装
置として、撹拌翼から紫外線が照射できる内部照射式の
撹拌反応槽を用い、反応槽中に試料を約1L入れて撹拌
しながら、紫外線を照射した。試験に用いた紫外線の波
長域は約250〜450nm、内部照射面の波長365
nmでの紫外線強度は220μW/cm2 (太陽光では
晴天時での実測で約1500μW/cm2)である。生
菌数は市販の生物検査用の測定器を使用し、30℃、4
8時間培養後のコロニー計測により測定した。図3に示
すように、紫外線照射を開始すると共に生菌数が急激に
減少しており、殺菌効果があることが明らかである。
【0016】太陽光の紫外線を集光して紫外線を集める
場合、集められた紫外線の光エネルギー密度は大きくな
る、つまり殺菌力は増大する。例えば、ミラー型集光装
置では、反射鏡の面積と集光した紫外線を集める部分の
光ファイバー断面の面積との比だけ光エネルギー密度が
大きくなる。このように、集光条件や紫外線照射条件に
より紫外線強度を変えることができることも本発明の利
点である。
【0017】
【発明の効果】本発明の分離培地を紫外線により殺菌し
リサイクルする藻類培養方法によれば、残留塩素等が無
いクリーンな殺菌が行え、しかも加熱殺菌のような多大
なエネルギーを必要としないという利点があり、目的藻
類以外の微生物の汚染の増大を防いで藻類を培養するこ
とが可能となる。
【0018】殺菌に使用する紫外線は太陽光から反射集
光により利用できるため、エネルギーコストを低く抑え
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】分離培地の紫外線殺菌を行う本発明のリサイク
ル藻類培養方法の一例を示すフロー図である。
【図2】太陽光のうち紫外線のみ集光反射する反射鏡に
より紫外線を反射集光する紫外線集光装置を示す。
【図3】太陽光に近い紫外線部分の分光分布を有するキ
セノン光源を用いた、人工紫外線による殺菌試験の結果
を示し、縦軸に生菌数(個/ml)、横軸に照射時間
(h)を採ったグラフである。
【符号の説明】
1 培養槽 2 藻体分離装置 3 紫外線照射装置 4 紫外線集光装置 5 新鮮培地 6 二酸化炭素含有ガス 7 太陽光 8 培養液 9 分離培地 10 殺菌分離培地 11 藻体 12 光ファイバー 13 反射鏡 14 保持具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B029 AA02 BB04 CC01 DA04 DF05 DG04 DG06 DG08 4B065 AA83X AC20 BC01 BC16 BC17 BC25 BC48 BC50 BD14 CA41 CA43 CA52

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光合成により増殖する藻類を太陽光を用
    いて培養し、藻類培養液を固液分離し、藻体を回収した
    後、得られた分離培地を、培養槽に戻す藻類のリサイク
    ル培養方法において、リサイクルする分離培地を紫外線
    により殺菌することを特徴とする藻類培養方法。
  2. 【請求項2】 前記紫外線は、太陽光を集光して得られ
    た紫外線であることを特徴とする請求項1記載の藻類培
    養方法。
  3. 【請求項3】 前記紫外線は、太陽光のうち紫外線のみ
    反射する反射鏡により反射集光したものである請求項1
    記載の藻類培養方法。
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