JP2000228613A - 電力増幅器 - Google Patents

電力増幅器

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JP2000228613A
JP2000228613A JP11029012A JP2901299A JP2000228613A JP 2000228613 A JP2000228613 A JP 2000228613A JP 11029012 A JP11029012 A JP 11029012A JP 2901299 A JP2901299 A JP 2901299A JP 2000228613 A JP2000228613 A JP 2000228613A
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transistor
circuit
distortion
power
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Takumi Miyashita
工 宮下
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 携帯電話や携帯情報機器等に使用される高周
波用の電力増幅器に関し、広範囲のダイナミックレンジ
で信号の振幅の歪みを抑えてその直線性を保証し、か
つ、トランジスタの消費電力を節減することを目的とす
る。 【解決手段】 少なくとも一つの電力増幅用トランジス
タと同じ半導体プロセスにて形成されたトランジスタを
用いて入力信号の振幅に歪みを与えた信号を、出力段の
電力増幅用トランジスタに入力するように構成される。
好ましくは、入力信号の振幅に歪みを与えるプリディス
トーション回路が、入力信号に基づいて、所定の電流振
幅信号を出力するトランスコンダクタと、電流振幅信号
の電流振幅に対し出力信号の歪みを打ち消すような歪み
を与え、対応する電圧振幅信号として出力するプリディ
ストーション用トランスレジスタとを有し、この電圧振
幅信号を出力段の電力増幅用トランジスタに入力するよ
うに構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CDMA (code d
ivision multiple access : 符号分割多重アクセス)方
式や直交振幅変調方式を利用した携帯電話および携帯情
報機器や、情報端末機器等に使用される高周波用の電力
増幅器に関する。これらの電力増幅器は、特に無線周波
数帯において使用されるために、通常、RF電力増幅器
とよばれている。このRF電力増幅器においては、信号
振幅の広範囲なダイナミックレンジにわたって優れた直
線性が要求されると共に、集積回路化(IC化)を実現
するために電力増幅器内のトランジスタの消費電力をで
きる限り節減することが要求される。
【0002】
【従来の技術】図29は、従来のバイアス生成回路を含
む電力増幅器の構成例を示す回路図である。ただし、こ
こでは、集積回路化が可能なRF電力増幅器の主要部の
構成を成示すこととする。図29に示すような従来の電
力増幅器においては、外部から供給される入力信号IN
を増幅して所定の電圧レベルの出力信号OUTを得るた
めの複数段のトランジスタ(ただし、ここでは、2段の
トランジスタ)204(Q1)、213(Q5)が設け
られている。1段目のトランジスタ204は、2段目
(出力段)のトランジスタを駆動するためのドライバ・
アンプの終段のトランジスタとして動作する。出力段の
トランジスタ213は、広範囲なダイナミックレンジに
わたって入力信号を増幅するための電力増幅用トランジ
スタとして動作する。
【0003】さらに、出力段のトランジスタ213のベ
ースにバイアス電圧を付与するためのバイアス生成回路
200が設けられている。このバイアス生成回路200
は、3つのトランジスタ206(Q2)、208(Q
3)および210(Q4)と、3つの抵抗207、20
9および211により構成される。この場合、バイアス
生成回路200により生成されるバイアス電圧のレベル
を制御するための制御電圧Vcontは、抵抗207を介し
てトランジスタ208のコレクタに供給される。トラン
ジスタ206、210のコレクタは、いずれも高電圧側
の電源(電圧Vcc)に接続され、同トランジスタのエ
ミッタは、抵抗207、211をそれぞれ介して低電圧
側の電源(電圧はアースレベル(GND))に接続され
ている。バイアス生成回路200により生成されるバイ
アス電圧は、トランジスタ210から、信号逆流防止用
のインダクタ212を介してトランジスタ213のベー
スに供給される。
【0004】ここで、入力信号INは、直流成分除去用
のコンデンサ201、およびバイアス電圧供給用の抵抗
202、203を介して1段目のトランジスタ204に
供給される。この1段目のトランジスタ204は、AB
級動作をするようにバイアス電圧が付与されている。上
記の1段目のトランジスタ204から出力された信号
は、コンデンサ214、216およびインダクタ215
からなる整合回路(または結合容量)を介して出力段の
トランジスタ213のベースに供給される。このトラン
ジスタ213のベースに供給された信号は、インダクタ
212によって、バイアス生成回路200内に逆流しな
いようになっている。2段目のトランジスタ213のコ
レクタは、負荷用インダクタ217を介して高電圧側の
電源に接続され、同トランジスタのエミッタは、低電圧
側の電源に直接接続される。この場合、2段目のトラン
ジスタ213のコレクタから出力された信号は、インダ
クタ218およびコンデンサ219からなるインピーダ
ンスマッチング回路(インピーダンス整合回路)を介し
て外部に送出される(出力信号OUT)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図29に示したような
RF電力増幅器を設計するに際しては、高い電力効率と
広範囲の直線性を両立させるために、1段目のトランジ
スタ、すなわち、ドライバ・アンプの終段のトランジス
タをAB級で動作させるようにしていた。この終段のト
ランジスタをAB級で動作させる場合のバイアス条件に
おいて、目的とする直線性が得られるトランジスタ等の
素子や信号のマッチング等の条件が求められる。一般的
にいって、トランジスタ等のバイアス電流を増やすほ
ど、得られる直線性は良好になるが、トランジスタ等の
消費電力が増大すると共に発振しやすくなる。このよう
な不都合な事態を解消するために、余計な付加回路が必
要になり、かつ、RF電力増幅器の利得が減少する傾向
が生じる。
【0006】また一方で、キャリア(搬送波)により振
幅変調または直交振幅変調がなされた被変調信号を取り
扱う場合にも、バイアス電圧が一定もしくは入力信号の
電圧振幅の増大に伴ってわずかに減少する回路が一般に
用いられるが、この場合は、入力信号の電圧振幅の小さ
いときにはA級動作点にバイアスされ、電圧振幅の増大
と共にAB級動作点、B級動作点、さらには、C級動作
点へと変化する。この間に、RF電力増幅器において大
きな利得の変化が生じ、信号の歪みによる被変調信号の
正確な位相からのずれを示すEVM (error vector mag
nitude)の増大と隣接チャネルへの漏洩電力の増大を招
くことになる。
【0007】したがって、従来のRF電力増幅器の構成
では、基本的に高い電力効率と広範囲の直線性との両立
には限度がある。この場合、AB級以上の動作級におい
て、ドライバ・アンプの終段のトランジスタを流れる平
均電流は、信号の電圧振幅の変化と共に増減するため
に、電力増幅用トランジスタの入力端子には、一般に信
号のエンベロープに関係する信号が重畳される。このよ
うにして重畳された信号が、トランジスタの寄生容量と
信号源のインピーダンスによって位相遅れを生じると、
特に振幅変動を伴う直交被変調信号波形を取り扱う場合
にEVMを増加させるおそれがある。このような問題
は、直交被変調方式等のディジタル変調の変調速度を示
すシンボルレート、またはCDMA (code division mu
ltiple access )方式の変調速度を示すチップレートが
大きくなるほど深刻になってくる。
【0008】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、比較的広範囲のダイナミックレンジで信号の振
幅の歪みを抑えてその直線性を保証すると共に、電力増
幅器内のトランジスタの電力効率を高くして同トランジ
スタの消費電力をできる限り節減することが可能な電力
増幅器を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本発明の電力増幅器は、少なくとも一つの電力増
幅用トランジスタを有しており、上記電力増幅用トラン
ジスタと同じ半導体プロセスにて形成されたトランジス
タを用いて入力信号の振幅に歪みを与えた信号を、出力
段に位置する電力増幅用トランジスタに入力するように
構成される。
【0010】好ましくは、本発明の電力増幅器に係る第
1の態様において、上記入力信号の振幅に歪みを与える
プリディストーション回路が、上記入力信号に基づい
て、所定の電流振幅を有する電流振幅信号を出力するト
ランスコンダクタと、上記トランスコンダクタにより得
られる電流振幅信号の電流振幅に対し上記出力段の電力
増幅用トランジスタの出力信号の歪みを打ち消すような
歪みを与え、対応する電圧振幅信号として出力するプリ
ディストーション用トランスレジスタとを有しており、
上記電圧振幅信号を、上記出力段の電力増幅用トランジ
スタに入力するようになっている。
【0011】さらに、好ましくは、本発明の第1の態様
において、上記プリディストーション回路内のトランス
コンダクタが、少なくとも1段のフォロワ回路を有し、
少なくとも終段のフォロワ回路を構成するトランジスタ
がB級動作点の近傍にバイアスされており、上記少なく
とも終段のフォロワ回路により上記入力信号を検波する
ことによって、瞬時の上記電流振幅信号を得るようにな
っている。
【0012】さらに、好ましくは、本発明の第1の態様
において、上記プリディストーション回路内のプリディ
ストーション用トランスレジスタが反転増幅回路を含
み、この反転増幅回路は、上記出力段の電力増幅用トラ
ンジスタと同種のトランジスタによって電流帰還を行う
ように構成される。さらに、好ましくは、本発明の第1
の態様における入力信号は、キャリヤ(搬送波)により
変調された被変調信号である。
【0013】さらに、好ましくは、本発明の第1の態様
において、上記出力段の電力増幅用トランジスタは、上
記入力信号の振幅に歪みを与えた信号により駆動され
る。さらに、好ましくは、本発明の第1の態様におい
て、上記出力段の電力増幅用トランジスタは、プッシュ
プル回路により駆動され、このプッシュプル回路のプル
アップ側およびプルダウン側の少なくとも一方は、上記
トランスコンダクタおよび上記プリディストーション用
トランスレジスタを通して得られる電圧振幅信号により
駆動される。
【0014】さらに、好ましくは、本発明の第1の態様
において、上記出力段の電力増幅用トランジスタがプッ
シュプルで駆動される場合、上記出力段の電力増幅用ト
ランジスタを駆動するトランジスタの少なくとも一方
は、上記トランスコンダクタおよびプリディストーショ
ン用トランスレジスタを用いて駆動される。また一方
で、本発明の電力増幅器に係る第2の態様において、上
記入力信号の振幅に歪みを与えるプリディストーション
回路が、上記入力信号に基づいて、所定の電流振幅を有
する電流振幅信号を出力するトランスコンダクタと、上
記トランスコンダクタにより得られる電流振幅信号の電
流振幅に対し上記出力段の電力増幅用トランジスタの出
力信号の歪みを打ち消すような歪みを与え、対応する電
圧振幅信号として出力するプリディストーション用トラ
ンスレジスタとを有しており、上記入力信号のエンベロ
ープ(またはベースバンド電流振幅信号)を上記プリデ
ィストーション回路に入力し、上記プリディストーショ
ン回路内の上記プリディストーション用トランスレジス
タから出力される電圧振幅信号により上記出力段の電力
増幅用トランジスタにバイアス電圧を付与し、また一方
で、上記入力信号は、整合回路を介して上記出力段の電
力増幅用トランジスタに入力されるように構成される。
【0015】好ましくは、本発明の第2の態様におい
て、上記プリディストーション回路内のトランスコンダ
クタが、少なくとも1段のフォロワ回路を有し、少なく
とも終段のフォロワ回路を構成するトランジスタがB級
動作点の近傍にバイアスされており、上記少なくとも終
段のフォロワ回路により上記入力信号を包絡線検波する
ことによって、上記入力信号のエンベロープを得るよう
になっている。
【0016】さらに、好ましくは、本発明の第2の態様
において、上記トランスコンダクタが有する少なくとも
1段のフォロワ回路における終段のフォロワ回路を構成
するトランジスタがB級動作点の近傍にバイアスされて
おり、上記終段のフォロワ回路の出力側の位置に、コン
デンサを含む平滑回路を設け、上記平滑回路を通して上
記入力信号を包絡線検波することにより上記エンベロー
プの絶対値を得るようになっている。
【0017】さらに、好ましくは、本発明の第2の態様
において、上記エンベロープの絶対値を算出するための
上記平滑回路を含む回路が、位相分波器により駆動され
る2相以上の信号を並列に上記プリディストーション回
路に入力する。さらに、好ましくは、本発明の第2の態
様において、複数の上記トランスコンダクタおよび上記
プリディストーション用トランスレジスタの組を持ち、
上記トランスコンダクタおよび上記プリディストーショ
ン用トランスレジスタの組の各々から出力される電圧振
幅信号の電圧を合計して得られる和を、直接またはフォ
ロア回路を通して上記出力段の電力増幅用トランジスタ
に供給するようになっている。
【0018】要約すれば、本発明の電力増幅器に係る第
1の態様では、入力信号の振幅に歪みを与えるプリディ
ストーション回路内のトランスコンダクタの終段のトラ
ンジスタと、必要に応じてその前段のトランジスタと
を、B級動作点の近傍のAB級動作点で動作させること
によって消費電力の節減を図ると共に発振を抑えるよう
にしている。さらに、このB級動作点の近傍でトランジ
スタを動作させることによって一般的に増加する信号の
振幅の直線性歪みを、これらのトランジスタの出力側の
部分に設けたプリディストーション用トランスレジスタ
が生成する逆の直線性歪みによって打ち消すようにして
いる。
【0019】さらに詳しく説明すると、プリディストー
ション回路内のトランジスタの素子として、特にバイポ
ーラトランジスタ(以後、BJT(bipolar junction t
ransistor )と略記する)やヘテロ接合バイポーラトラ
ンジスタ(以後、HBT(heterojunction bipolar tra
nsistor )と略記する)を用いた場合、トランスコンダ
クタからの入力電流の振幅が小さい範囲では、トランス
レジスタの出力電圧が、上記入力電流に対して対数特性
を有している。この対数特性により、電力増幅用トラン
ジスタの指数関数型の電流−電圧特性を打ち消すことが
できる適正なプリディストーション(歪み)を与えるこ
とが可能になる。
【0020】さらに、電界効果型トランジスタ(以後、
FET(field effect transistor)と略記する)や、
金属半導体電界効果型トランジスタ(以後、MESFE
T(metal semiconductor field effect transistor )
と略記する)や、MOS(metal oxide semiconductor
)トランジスタ、HEMT(high electron mobilityt
ransistor )を用いた場合、トランスコンダクタからの
入力電流の振幅が小さい範囲では、トランスレジスタの
出力電圧が、上記入力電流に対して平方根特性を有して
いる。この平方根特性により、電力増幅用トランジスタ
の2次関数型の電流−電圧特性の逆関数特性を持つこと
になるので、より適正なプリディストーションを与える
ことが可能になる。
【0021】上記のように、使用する素子に応じて適正
なプリディストーションを与えることことができるの
で、さらに一般的に大電流出力時に起きる出力電力の飽
和、または、利得の縮小、すなわち、ゲイン・コンプレ
ッション(gain compression)を補正することが可能に
なる。プリディストーション用トランスレジスタは、電
圧増幅器に対し非線形の電流−電圧特性による電流帰還
を施しており、電圧増幅器の利得が充分に大きいとする
と、プリディストーション用トランスレジスタの入力電
圧はほぼ一定となるので、プリディストーション用トラ
ンスレジスタの出力電圧は Iin=I(Vout ) …(1) Vout =Ir (Iin) …(2) (Ir (Iin)はI(Vout )の逆関数)となる。
【0022】また一方で、本発明の電力増幅器に係る第
2の態様では、プリディストーション回路内のトランス
コンダクタの終段のトランジスタと、必要に応じてその
前段のトランジスタとを、B級動作点の近傍のAB級動
作点で動作させて入力信号を包絡線検波することによっ
て、上記入力信号のエンベロープを得るようにしてい
る。このようにして得られた信号のエンベロープ(また
はベースバンド電流振幅信号)は、電力増幅用トランジ
スタと同種のトランジスタを含むプリディストーション
用トランスレジスタを通過させることによって、入力電
流の振幅の増減に応じて適切に増加または減少するバイ
アス電圧となって電力増幅用トランジスタの入力端子に
供給される。すなわち、入力電流の振幅が増大したとき
には、バイアス電圧を増加させて電力増幅器の直線性が
保証されるようにするようにし、入力電流の振幅が減少
したときには、バイアス電圧を減少させて消費電力の節
減を図るようにしている。
【0023】上記のように、適切に制御されたバイアス
電圧に基づいて電力増幅用トランジスタのバイアス電流
を制御することにより、電力増幅器が発生する直線性歪
みを低減すると共に、電力増幅用トランジスタの入力端
子に派生する信号のエンベロープを制御することが可能
になる。すなわち、信号のエンベロープを帰還制御する
ことによって、入力電流の振幅の変動が速い場合にも出
力信号の平均の電圧がほぼ一定になるように制御し、E
VMを低く抑えることが可能になる。
【0024】かくして、本発明では、電力増幅用トラン
ジスタと同種のトランジスタを含むプリディストーショ
ン回路を用いて電力増幅用トランジスタの出力信号の振
幅の歪みを打ち消すか、または、入力信号のエンベロー
プを抽出してプリディストーション回路を通すことによ
り電力増幅用トランジスタのバイアス電流を適切に制御
しているので、比較的広範囲のダイナミックレンジで信
号の振幅の歪みを抑えてその直線性を保証すると共に、
電力増幅器内のトランジスタの消費電力を最小限に抑え
ることが可能になる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、添付図面(図1〜図28)
を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態を説明す
る。ここで、図1〜図5の第1〜第5の実施例は、前述
の本発明の第1の態様に基づく幾つかの好ましい実施例
を示しており、図6〜図11の第6〜第11の実施例
は、前述の本発明の第2の態様に基づく幾つかの好まし
い実施例を示している。
【0026】図1は、本発明の第1の実施例の構成を示
すブロック図である。ただし、本発明の第1の態様に基
づく第1の実施例として、マイクロ波用の広帯域電力増
幅器の構成を例示することとする。さらに、この広帯域
電力増幅器には、直交振幅変調により変調された非変調
信号のような高周波成分を含む信号が入力されるものと
する。
【0027】図1に示す電力増幅器の入力端子は、非変
調信号等の入力信号INに基づいて、非反転信号および
反転信号を生成する分相器(すなわち、位相分波器)1
−1に接続されている。また一方で、上記電力増幅器の
出力端子は、所定の電圧レベルに増幅された出力信号O
UTを生成するための出力段の電力増幅用トランジスタ
1−8のコレクタに接続されている。
【0028】さらに、図1に示す電力増幅器において
は、分相器1−1からの非反転信号および反転信号がそ
れぞれ入力される2つのトランスコンダクタ(tc)1
−2、1−3が設けられている。これらのトランスコン
ダクタ1−2、1−3は、上記の非反転信号および反転
信号を、所定の電流振幅を有する電流振幅信号にそれぞ
れ変換するものである。上記のトランスコンダクタ1−
2、1−3は少なくとも1段のフォロア回路を有してお
り、終段のフォロア回路を構成するトランジスタを用い
て上記非反転信号および反転信号を検波(例えば、AM
検波)することによって、瞬時の電流振幅信号を得るよ
うにしている。
【0029】さらに、図1に示す電力増幅器において
は、上記のトランスコンダクタ1−2、1−3からの2
種類の電流振幅信号がそれぞれ入力される2つのプリデ
ィストーション用トランスレジスタ(tra)1−4、
1−5が設けられている。これらのプリディストーショ
ン用トランスレジスタ1−4、1−5の各々は、出力段
の電力増幅用トランジスタ1−8と同じ半導体プロセス
にて形成されたトランジスタを含む反転増幅回路を有し
ており、この反転増幅回路のトランジスタにより電流帰
還を行うことによって、出力段の電力増幅用トランジス
タ1−8の出力信号OUTの直線性歪みを打ち消すよう
な歪みを電流振幅信号の電流振幅に与えるようにしてい
る。上記のトランスコンダクタ1−2、1−3およびプ
リディストーション用トランスレジスタ1−4、1−5
は、本発明の特徴的な構成要素であるプリディストーシ
ョン回路を構成する。
【0030】さらに、図1に示す電力増幅器において
は、これらのプリディストーション用トランスレジスタ
1−4、1−5の出力側に、バッファとして機能するプ
ルアップ側のトランジスタ1−5、およびプルダウン側
のトランジスタ1−6からなるプッシュプル回路が設け
られている。プリディストーション用トランスレジスタ
1−4、1−5からそれぞれ出力される電圧振幅信号
は、プルアップ側のトランジスタ1−5、およびプルダ
ウン側のトランジスタ1−6をそれぞれ介して電力増幅
用トランジスタ1−8のベースに入力される。
【0031】本発明の第1の実施例においては、トラン
スコンダクタ1−2、1−3の終段のフォロア回路(必
要に応じて、終段のフォロア回路とその前段のフォロア
回路)を構成するトランジスタを、B級動作点の近傍の
AB級動作点で動作させることによって消費電力の節減
を図ると共に発振を抑えるようにしている。さらに、こ
のようなトランジスタのAB級動作によって増加する信
号の振幅の直線性歪みを、プリディストーション用トラ
ンスレジスタ内のトランジスタが生成する逆の直線性歪
みによって打ち消すようにしている。この結果、広範囲
のダイナミックレンジで良好な直線性を有する出力信号
OUTが、出力段の電力増幅用トランジスタのコレクタ
から取り出される。
【0032】図2は、本発明の第2の実施例の構成を示
すブロック図である。ただし、本発明の第1の態様に基
づく第2の実施例として、マイクロ波用の広帯域電力増
幅器の構成を例示することとする。さらに、この広帯域
電力増幅器には、直交振幅変調により変調された非変調
信号のような高周波成分を含む信号が入力されるものと
する。
【0033】図2に示す電力増幅器の入力端子には、非
変調信号等の入力信号INに基づいて、非反転信号およ
び反転信号を生成する分相器2−1が接続されている。
また一方で、上記電力増幅器の出力端子には、所定の電
圧レベルに増幅された出力信号OUTを生成するための
出力段の電力増幅用トランジスタ2−6のエミッタが接
続されている。
【0034】さらに、図2に示す電力増幅器において
は、分相器2−1からの非反転信号および反転信号がそ
れぞれ入力される2つのトランスコンダクタ2−2、2
−5が設けられている。これらのトランスコンダクタ2
−2、2−5は、上記の非反転信号および反転信号を、
所定の電流振幅を有する電流振幅信号にそれぞれ変換す
るものである。上記のトランスコンダクタ2−2、2−
5は少なくとも1段のフォロア回路を有しており、終段
のフォロア回路を構成するトランジスタを用いて上記非
反転信号および反転信号を検波することによって、瞬時
の高周波の電流振幅信号を得るようにしている。
【0035】さらに、図2に示す電力増幅器において
は、非反転信号の経路にあるトランスコンダクタ2−2
からの電流振幅信号が入力されるプリディストーション
用トランスレジスタ2−3が設けられている。このプリ
ディストーション用トランスレジスタ2−3は、出力段
の電力増幅用トランジスタ2−6と同じ半導体プロセス
にて形成されたトランジスタを含む反転増幅回路を有し
ており、この反転増幅回路のトランジスタにより電流帰
還を行うことによって、出力段の電力増幅用トランジス
タ2−6の出力信号OUTの直線性歪みを打ち消すよう
な歪みを電流振幅信号の電流振幅に与えるようにしてい
る。上記のトランスコンダクタ2−2、1−5およびプ
リディストーション用トランスレジスタ2−3は、本発
明の特徴的な構成要素であるプリディストーション回路
を構成する。
【0036】さらに、プリディストーション用トランス
レジスタ2−3から出力される電圧振幅信号は、エミッ
タフォロアのトランジスタ2−4を介して電力増幅用ト
ランジスタ2−6のベースに入力される。すなわち、プ
リディストーション用トランスレジスタ2−3は、エミ
ッタフォロアを介して電力増幅用トランジスタ2−6を
駆動する。
【0037】また一方で、反転信号の経路にあるトラン
スコンダクタ2−5からの電流振幅信号は、出力段の電
力増幅用トランジスタ2−6の入力端子のベースをプル
ダウンする。ここで、非反転信号の経路にあるトランス
コンダクタ2−2とプリディストーション用トランスレ
ジスタ2−3による位相遅れは、数GHz程度の周波数
の信号を取り扱う場合は小さいので、無視することがで
きる。
【0038】本発明の第2の実施例においても、前述の
第1の実施例の場合と同じように、トランスコンダクタ
2−2、2−5の終段のフォロア回路を構成するトラン
ジスタを、B級動作点の近傍のAB級動作点で動作させ
ることによって消費電力の節減を図ると共に発振を抑え
るようにしている。さらに、このようなトランジスタの
AB級動作によって増加する信号の振幅の直線性歪み
を、プリディストーション用トランスレジスタ内のトラ
ンジスタが生成する逆の直線性歪みによって打ち消すよ
うにしている。この結果、広範囲のダイナミックレンジ
で良好な直線性を有する出力信号OUTが、出力段の電
力増幅用トランジスタのコレクタから取り出される。
【0039】これまでの第1および第2の実施例では、
広帯域電力増幅器を示したが、ドライバ・アンプとして
も機能するプリディストーション回路の終段のトランジ
スタと出力段のトランジスタとの間にインピーダンス整
合回路を設けることによって、高効率の狭帯域電力増幅
器が構成できることは明らかである。図3は、本発明の
第3の実施例の構成を示すブロック図である。ここで
は、本発明の第1の態様に基づく第3の実施例として、
タンク回路を用いた狭帯域電力増幅器の構成を例示する
こととする。
【0040】図3に示す電力増幅器の出力端子には、所
定の電圧レベルに増幅された出力信号OUTを生成する
ための出力段の電力増幅用トランジスタ3−7のコレク
タが接続されている。さらに、この出力段の電力増幅用
トランジスタ3−7の入力端子のベースには、エミタフ
ォロアの電力増幅用トランジスタ3−3のエミッタが接
続されている。
【0041】さらに、図3に示す電力増幅器において
は、被変調信号等の入力信号INが同相にて入力される
2つのトランスコンダクタ3−1、3−4が設けられて
いる。これらのトランスコンダクタ3−1、3−4は、
上記の入力信号INを、所定の電流振幅を有する電流振
幅信号に変換するものである。これらのトランスコンダ
クタ3−1、3−4は少なくとも1段のフォロア回路を
有しており、終段のフォロア回路を構成するトランジス
タを用いて上記入力信号INを検波することによって、
瞬時の高周波の電流振幅信号を得るようにしている。
【0042】さらに、図3に示す電力増幅器において
は、一方のトランスコンダクタ3−1からの電流振幅信
号が入力されるプリディストーション用トランスレジス
タ3−2が設けられている。このプリディストーション
用トランスレジスタ3−2は、2つの電力増幅用トラン
ジスタ3−3、3−7と同じ半導体プロセスにて形成さ
れたトランジスタを含む反転増幅回路を有しており、こ
の反転増幅回路のトランジスタにより電流帰還を行うこ
とによって、これらの電力増幅用トランジスタの出力信
号の直線性歪みを打ち消すような歪みを電流振幅信号の
電流振幅に与えるようにしている。上記のトランスコン
ダクタ3−1、3−4およびプリディストーション用ト
ランスレジスタ3−2は、本発明の特徴的な構成要素で
あるプリディストーション回路を構成する。
【0043】さらに、プリディストーション用トランス
レジスタ3−2から出力される電圧振幅信号は、エミッ
タフォロアの電力増幅用トランジスタ3−3を介して出
力段の電力増幅用トランジスタ3−7のベースに入力さ
れる。上記のプリディストーション用トランスレジスタ
3−2は、エミッタフォロアを介して電力増幅用トラン
ジスタ3−7を駆動すると共に、コンデンサ3−5およ
びインダクタ3−6からなるタンク回路の一方の端を駆
動する。
【0044】また一方で、他方のトランスコンダクタ3
−4からの電流振幅信号は、上記タンク回路の他方の端
を駆動する。このタンク回路の一方の端は、出力段の電
力増幅用トランジスタ3−7のベースに接続されてお
り、上記トランスコンダクタ3−4および上記タンク回
路を含むドライバ回路を介して、狭帯域の電圧振幅信号
が電力増幅用トランジスタ3−7に入力される。
【0045】本発明の第3の実施例においては、トラン
スコンダクタ3−1、3−4の終段のフォロア回路を構
成するトランジスタを、B級動作点の近傍のAB級動作
点で動作させることによって消費電力の節減を図ると共
に発振を抑えるようにしている。さらに、このようなト
ランジスタのAB級動作によって増加する信号の振幅の
直線性歪みを、プリディストーション用トランスレジス
タ内のトランジスタが生成する逆の直線性歪みによって
打ち消すようにしている。さらに、タンク回路を含むド
ライバ回路により出力段の電力増幅用トランジスタを駆
動することによって、良好な直線性を有する狭帯域の出
力信号が、出力段の電力増幅用トランジスタのコレクタ
から取り出される。
【0046】図4は、本発明の第4の実施例の構成を示
すブロック図である。ここでは、本発明の第1の態様に
基づく第4の実施例として、タンク回路を用いた狭帯域
電力増幅器の構成を例示することとする。図4に示す電
力増幅器の出力端子には、所定の電圧レベルに増幅され
た出力信号OUTを生成するための出力段の電力増幅用
トランジスタ4−6のコレクタが接続されている。さら
に、この出力段の電力増幅用トランジスタ4−6の入力
端子のベースには、エミタフォロアの電力増幅用トラン
ジスタ4−3のコレクタが接続されている。
【0047】さらに、図4に示す電力増幅器において
は、被変調信号等の入力信号INが入力されるトランス
コンダクタ4−1が設けられている。このトランスコン
ダクタ4−1は、上記の入力信号INを、所定の電流振
幅を有する電流振幅信号に変換するものである。このト
ランスコンダクタ4−1は少なくとも1段のフォロア回
路を有しており、終段のフォロア回路を構成するトラン
ジスタを用いて上記入力信号INを検波することによっ
て、瞬時の高周波の電流振幅信号を得るようにしてい
る。
【0048】さらに、図4に示す電力増幅器において
は、トランスコンダクタ4−1からの電流振幅信号が入
力されるプリディストーション用トランスレジスタ4−
2が設けられている。このプリディストーション用トラ
ンスレジスタ4−2は、2つの電力増幅用トランジスタ
4−3、4−6と同じ半導体プロセスにて形成されたト
ランジスタを含む反転増幅回路を有しており、この反転
増幅回路のトランジスタにより電流帰還を行うことによ
って、これらの電力増幅用トランジスタの出力信号の直
線性歪みを打ち消すような歪みを電流振幅信号の電流振
幅に与えるようにしている。上記のトランスコンダクタ
4−1およびプリディストーション用トランスレジスタ
4−2は、本発明の特徴的な構成要素であるプリディス
トーション回路を構成する。
【0049】さらに、プリディストーション用トランス
レジスタ4−2から出力される電圧振幅信号は、エミッ
タフォロアの電力増幅用トランジスタ4−3を介して出
力段の電力増幅用トランジスタ4−6のベースに入力さ
れる。上記のプリディストーション用トランスレジスタ
4−2は、エミッタフォロアを介して電力増幅用トラン
ジスタ4−6を駆動すると共に、インダクタ4−4およ
びコンデンサ4−5からなるタンク回路を駆動する。
【0050】さらに、図4に示す電力増幅器において
は、バイアス電圧bが、タンク回路のインダクタ4−4
を介して出力段の電力増幅用トランジスタ4−6のベー
スに供給される。ここで、タンク回路は、出力段の電力
増幅用トランジスタ4−6のベースに接続されており、
上記プリディストーション回路および上記タンク回路を
介して、狭帯域の電圧振幅信号が電力増幅用トランジス
タ4−6に入力される。ただし、バイアス電圧bを供給
する回路(図示していない)とプリディストーション回
路とは、タンク回路内のインダクタ4−4により完全に
分離されている。
【0051】本発明の第4の実施例においては、トラン
スコンダクタの終段のフォロア回路を構成するトランジ
スタを、B級動作点の近傍のAB級動作点で動作させる
ことによって消費電力の節減を図ると共に発振を抑える
ようにしている。さらに、このようなトランジスタのA
B級動作によって増加する信号の振幅の直線性歪みを、
プリディストーション用トランスレジスタ内のトランジ
スタが生成する逆の直線性歪みによって打ち消すように
している。さらに、プリディストーション回路およびタ
ンク回路により出力段の電力増幅用トランジスタを駆動
することによって、良好な直線性を有する狭帯域の出力
信号OUTが、出力段の電力増幅用トランジスタのコレ
クタから取り出される。
【0052】図5は、本発明の第5の実施例の構成を示
すブロック図である。ここでは、本発明の第1の態様に
基づく第5の実施例として、タンク回路を用いた狭帯域
電力増幅器の構成を例示することとする。図5に示す電
力増幅器の出力端子には、所定の電圧レベルに増幅され
た出力信号OUTを生成するための2段目(出力段)の
電力増幅用トランジスタ5−6のコレクタが接続されて
いる。さらに、この出力段の電力増幅用トランジスタ5
−6の入力端子のベースには、1段目の電力増幅用トラ
ンジスタ5−3のコレクタが接続されている。
【0053】さらに、図5に示す電力増幅器において
は、被変調信号等の入力信号INが入力されるトランス
コンダクタ5−1が設けられている。このトランスコン
ダクタ5−1は、上記の入力信号INを、所定の電流振
幅を有する電流振幅信号に変換するものである。このト
ランスコンダクタ5−1は少なくとも1段のフォロア回
路を有しており、終段のフォロア回路を構成するトラン
ジスタを用いて上記入力信号INを検波することによっ
て、瞬時の高周波の電流振幅信号を得るようにしてい
る。
【0054】さらに、図5に示す電力増幅器において
は、トランスコンダクタ5−1からの電流振幅信号が入
力されるプリディストーション用トランスレジスタ5−
2が設けられている。このプリディストーション用トラ
ンスレジスタ5−2は、2つの電力増幅用トランジスタ
5−3、5−6と同じ半導体プロセスにて形成されたト
ランジスタを含む反転増幅回路を有しており、この反転
増幅回路のトランジスタにより電流帰還を行うことによ
って、これらの電力増幅用トランジスタの出力信号の直
線性歪みを打ち消すような歪みを電流振幅信号の電流振
幅に与えるようにしている。上記のトランスコンダクタ
5−1およびプリディストーション用トランスレジスタ
5−2は、本発明の特徴的な構成要素であるプリディス
トーション回路を構成する。
【0055】さらに、プリディストーション用トランス
レジスタ5−2から出力される電圧振幅信号は、1段目
の電力増幅用トランジスタ5−3を介して出力段の電力
増幅用トランジスタ5−6のベースに入力される。上記
のプリディストーション用トランスレジスタ5−2は、
1段目の電力増幅用トランジスタ5−3を介して出力段
の電力増幅用トランジスタ5−6を駆動すると共に、イ
ンダクタ5−4およびコンデンサ5−5からなるタンク
回路を駆動する。
【0056】さらに、図5に示す電力増幅器において
は、バイアス電圧bが、タンク回路のインダクタ5−4
を介して出力段の電力増幅用トランジスタ5−6のベー
スに供給される。ここで、タンク回路は、出力段の電力
増幅用トランジスタ5−6のベースに接続されており、
上記プリディストーション回路および上記タンク回路を
介して、狭帯域の電圧振幅信号が電力増幅用トランジス
タ5−6に入力される。ただし、バイアス電圧bを供給
する回路(図示していない)とプリディストーション回
路とは、タンク回路内のインダクタ5−4により完全に
分離されている。
【0057】本発明の第5の実施例においても、前述の
第4の実施例の場合と同じように、トランスコンダクタ
の終段のフォロア回路を構成するトランジスタを、B級
動作点の近傍のAB級動作点で動作させることによって
消費電力の節減を図ると共に発振を抑えるようにしてい
る。さらに、このようなトランジスタのAB級動作によ
って増加する信号の振幅の直線性歪みを、プリディスト
ーション用トランスレジスタ内のトランジスタが生成す
る逆の直線性歪みによって打ち消すようにしている。さ
らに、プリディストーション回路およびタンク回路によ
り出力段の電力増幅用トランジスタを駆動することによ
って、良好な直線性を有する狭帯域の出力信号OUT
が、出力段の電力増幅用トランジスタのコレクタから取
り出される。
【0058】上記の第1〜第5の実施例のいずれにおい
ても、トランスコンダクタは実質的に整流特性を有し、
入力信号の極性が正の場合に入力電圧に概略比例した電
流をシンクすることにより、入力信号を検波して瞬時の
電流振幅信号を生成するように構成される。図6は、本
発明の第6の実施例の構成を示すブロック図である。た
だし、本発明の第2の態様に基づく第6の実施例とし
て、タンク回路を用いた狭帯域電力増幅器の構成を例示
することとする。
【0059】図6に示す電力増幅器の出力端子は、所定
の電圧レベルに増幅された出力信号OUTを生成するた
めの出力段の電力増幅用トランジスタ6−7のコレクタ
に接続されている。さらに、図6に示す電力増幅器の出
力端子には、所定の電圧レベルに増幅された出力信号O
UTを生成するための出力段の電力増幅用トランジスタ
6−7のコレクタが接続されている。さらに、この出力
段の電力増幅用トランジスタ6−7の入力端子のベース
には、インダクタ6−4およびコンデンサ6−6からな
るタンク回路が接続されると共に、整合回路6−5が接
続されている。
【0060】さらに、図6に示す電力増幅器において
は、被変調信号等の入力信号IN1が入力されるトラン
スコンダクタ6−1が設けられている。このトランスコ
ンダクタ6−1は、上記の入力信号IN1を、所定の電
流振幅を有する電流振幅信号に変換するものである。こ
のトランスコンダクタ6−1は少なくとも1段のフォロ
ア回路を有しており、終段のフォロア回路を構成するト
ランジスタを用いて上記入力信号INを包絡線検波する
ようになっている。
【0061】さらに、図6に示す電力増幅器において
は、トランスコンダクタ6−1からの電流振幅信号が入
力されるプリディストーション用トランスレジスタ6−
2が設けられている。このプリディストーション用トラ
ンスレジスタ6−2は、電力増幅用トランジスタ6−7
と同じ半導体プロセスにて形成されたトランジスタを含
む反転増幅回路を有しており、この反転増幅回路のトラ
ンジスタにより電流帰還を行うことによって、これらの
電力増幅用トランジスタの出力信号の直線性歪みを打ち
消すような歪みを電流振幅信号の電流振幅に与えるよう
にしている。上記のトランスコンダクタ6−1およびプ
リディストーション用トランスレジスタ6−2は、本発
明の特徴的な構成要素であるプリディストーション回路
を構成する。
【0062】さらに、図6に示す電力増幅器において
は、プリディストーション用トランスレジスタ6−2の
出力側とタンク回路のインダクタ6−4との間に、ロー
パスフィルタ6−3からなる平滑回路が設けられてい
る。この平滑回路を用いて、プリディストーション用ト
ランスレジスタ6−2から出力される電圧振幅信号を平
滑化することにより、入力信号のエンベロープの絶対値
が得られる。ローパスフィルタとしては、一般に知られ
ているセーレン・キーフィルタ等を使用することができ
る。上記の平滑回路から出力される入力信号のエンベロ
ープは、バイアス電圧として、タンク回路内のインダク
タ6−4を介して電力増幅用トランジスタ6−7に供給
される。また一方で、他の入力信号IN2は、整合回路
6−5を介して出力段の電力増幅用トランジスタ6−7
のベースに入力される。ただし、バイアス電圧を供給す
る回路(図示していない)とプリディストーション回路
とは、タンク回路内のインダクタ6−4により完全に分
離されている。
【0063】本発明の第6の実施例においては、トラン
スコンダクタの終段のフォロア回路(必要に応じて、終
段のフォロア回路とその前段のフォロア回路)を構成す
るトランジスタを、B級動作点の近傍のAB級動作点で
動作させることによって消費電力の節減を図ると共に発
振を抑えるようにしている。さらに、上記終段のフォロ
ア回路の出力側の位置に、ローパスフィルタからなる平
滑回路を設け、この平滑回路を通して入力信号を平滑化
することにより入力信号のエンベロープの絶対値を得る
ようにしている。
【0064】換言すれば、本発明の第6の実施例では、
入力信号のエンベロープの絶対値を抽出することによっ
て、入力信号の電流振幅が増大したときには、バイアス
電圧を増加させて電力増幅器の直線性が保証されるよう
にし、入力電流の振幅が減少したときには、バイアス電
圧を減少させて消費電力の節減を図るようにしている。
このバイアス電圧に基づいて出力段の電力増幅用トラン
ジスタのバイアス電流を制御することにより、電力増幅
器が発生する直線性歪みを低減すると共に、電力増幅用
トランジスタの入力端子に派生する信号のエンベロープ
を制御することが可能になる。
【0065】図7は、本発明の第7の実施例の構成を示
すブロック図である。ただし、本発明の第2の態様に基
づく第7の実施例として、タンク回路を用いた狭帯域電
力増幅器の構成を例示することとする。図7に示す電力
増幅器の出力端子には、所定の電圧レベルに増幅された
出力信号OUTを生成するための出力段の電力増幅用ト
ランジスタ7−9のコレクタが接続されている。さら
に、この出力段の電力増幅用トランジスタ7−9の入力
端子のベースには、エミッタフォロアの電力増幅用トラ
ンジスタ7−8のコレクタが接続されている。さらにま
た、この出力段の電力増幅用トランジスタ7−9の入力
端子のベースには、インダクタ7−4およびコンデンサ
7−5からなるタンク回路が接続されている。
【0066】さらに、図7に示す電力増幅器において
は、被変調信号等の入力信号IN1が入力されるトラン
スコンダクタ7−1が設けられている。このトランスコ
ンダクタ7−1は、上記の入力信号IN1を、所定の電
流振幅を有する電流振幅信号に変換するものである。こ
のトランスコンダクタ7−1は少なくとも1段のフォロ
ア回路を有しており、終段のフォロア回路を構成するト
ランジスタを用いて上記入力信号IN1を包絡線検波す
るようになっている。
【0067】さらに、図7に示す電力増幅器において
は、トランスコンダクタ7−1からの電流振幅信号が入
力されるプリディストーション用トランスレジスタ7−
2が設けられている。このプリディストーション用トラ
ンスレジスタ7−2は、電力増幅用トランジスタ7−
8、7−9と同じ半導体プロセスにて形成されたトラン
ジスタを含む反転増幅回路を有しており、この反転増幅
回路のトランジスタにより電流帰還を行うことによっ
て、これらの電力増幅用トランジスタの出力信号の直線
性歪みを打ち消すような歪みを電流振幅信号の電流振幅
に与えるようにしている。上記のトランスコンダクタ7
−1およびプリディストーション用トランスレジスタ7
−2は、本発明の特徴的な構成要素であるプリディスト
ーション回路を構成する。
【0068】さらに、図7に示す電力増幅器において
は、プリディストーション用トランスレジスタ7−2の
出力側とタンク回路のインダクタ7−4との間に、ロー
パスフィルタ7−3からなる平滑回路が設けられてい
る。この平滑回路を用いて、プリディストーション用ト
ランスレジスタ7−2から出力される電圧振幅信号を平
滑化することにより、入力信号のエンベロープの絶対値
が得られる。ローパスフィルタとしては、一般に知られ
ているセーレン・キーフィルタ等を使用することができ
る。上記の平滑回路から出力される入力信号IN1のエ
ンベロープは、タンク回路内のインダクタ7−4を介し
て出力段の電力増幅用トランジスタ7−9に供給され
る。ここで、バイアス電圧bは、抵抗7−7およびエミ
ッタフォロアの電力増幅用トランジスタ7−8を介して
出力段の電力増幅用トランジスタ7−9のベースに付与
されている。したがって、ローパスフィルタ7−3から
の電圧振幅信号の電圧振幅に応じて、電力増幅用トラン
ジスタ7−5のバイアス電流を制御することが可能にな
る。また一方で、他の入力信号IN2は、整合回路7−
6およびエミッタフォロアの電力増幅用トランジスタ7
−8を介して、出力段の電力増幅用トランジスタ7−9
のベースに入力される。
【0069】本発明の第7の実施例においては、トラン
スコンダクタの終段のフォロア回路を構成するトランジ
スタを、B級動作点の近傍のAB級動作点で動作させる
ことによって消費電力の節減を図ると共に発振を抑える
ようにしている。さらに、上記終段のフォロア回路の出
力側の位置に、ローパスフィルタからなる平滑回路を設
け、この平滑回路を通して入力信号を平滑化することに
より入力信号のエンベロープの絶対値を得るようにして
いる。
【0070】換言すれば、本発明の第7の実施例におい
ても、前述の第6の実施例の場合と同じように、入力信
号のエンベロープの絶対値を抽出することによって、入
力信号の電流振幅が増大したときには、バイアス電圧を
増加させて電力増幅器の直線性が保証されるようにし、
入力電流の振幅が減少したときには、バイアス電圧を減
少させて消費電力の節減を図るようにしている。このバ
イアス電圧に基づいて出力段の電力増幅用トランジスタ
のバイアス電流を制御することにより、電力増幅器が発
生する直線性歪みを低減すると共に、電力増幅用トラン
ジスタの入力端子に派生する信号のエンベロープを制御
することが可能になる。
【0071】図8は、本発明の第8の実施例の構成を示
すブロック図である。ただし、本発明の第2の態様に基
づく第8の実施例として、タンク回路を用いた狭帯域電
力増幅器の構成を例示することとする。図8に示す電力
増幅器の出力端子には、所定の電圧レベルに増幅された
出力信号OUTを生成するための出力段の電力増幅用ト
ランジスタ8−9のコレクタが接続されている。さら
に、この出力段の電力増幅用トランジスタ8−9の入力
端子のベースには、エミッタ接地型の電力増幅用トラン
ジスタ8−8のコレクタが接続されている。さらにま
た、この出力段の電力増幅用トランジスタ8−9の入力
端子のベースには、互いに並列に接続されたインダクタ
8−4およびコンデンサ8−5からなるタンク回路が接
続されている。
【0072】さらに、図8に示す電力増幅器において
は、被変調信号等の入力信号IN1が入力されるトラン
スコンダクタ8−1が設けられている。このトランスコ
ンダクタ8−1は、上記の入力信号IN1を、所定の電
流振幅を有する電流振幅信号に変換するものである。こ
のトランスコンダクタ8−1は少なくとも1段のフォロ
ア回路を有しており、終段のフォロア回路を構成するト
ランジスタを用いて上記入力信号IN1を包絡線検波す
るようになっている。
【0073】さらに、図8に示す電力増幅器において
は、トランスコンダクタ8−1からの電流振幅信号が入
力されるプリディストーション用トランスレジスタ8−
2が設けられている。このプリディストーション用トラ
ンスレジスタ8−2は、電力増幅用トランジスタ8−
8、8−9と同じ半導体プロセスにて形成されたトラン
ジスタを含む反転増幅回路を有しており、この反転増幅
回路のトランジスタにより電流帰還を行うことによっ
て、これらの電力増幅用トランジスタの出力信号の直線
性歪みを打ち消すような歪みを電流振幅信号の電流振幅
に与えるようにしている。上記のトランスコンダクタ8
−1およびプリディストーション用トランスレジスタ8
−2は、本発明の特徴的な構成要素であるプリディスト
ーション回路を構成する。
【0074】さらに、図8に示す電力増幅器において
は、プリディストーション用トランスレジスタ8−2の
出力側とタンク回路との間に、ローパスフィルタ8−3
からなる平滑回路が設けられている。この平滑回路を用
いて、プリディストーション用トランスレジスタ8−2
から出力される電圧振幅信号を平滑化することにより、
入力信号のエンベロープの絶対値が得られる。上記の平
滑回路から出力される入力信号IN1のエンベロープ
は、タンク回路を介して出力段の電力増幅用トランジス
タ8−9に供給される。ここで、バイアス電圧bは、抵
抗8−7およびエミッタ接地型の電力増幅用トランジス
タ8−8を介して電力増幅用トランジスタ8−9のベー
スに付与されている。したがって、ローパスフィルタ8
−3からの電圧振幅信号の電圧振幅に応じて、出力段の
電力増幅用トランジスタ8−9のバイアス電流を制御す
ることが可能になる。また一方で、他の入力信号IN2
は、整合回路8−6およびエミッタ接地型の電力増幅用
トランジスタ8−8を介して、出力段の電力増幅用トラ
ンジスタ8−9のベースに入力される。
【0075】本発明の第8の実施例においては、トラン
スコンダクタの終段のフォロア回路を構成するトランジ
スタを、B級動作点の近傍のAB級動作点で動作させる
ことによって消費電力の節減を図ると共に発振を抑える
ようにしている。さらに、上記終段のフォロア回路の出
力側の位置に、ローパスフィルタからなる平滑回路を設
け、この平滑回路を通して入力信号を平滑化することに
より入力信号のエンベロープの絶対値を得るようにして
いる。
【0076】換言すれば、本発明の第8の実施例におい
ても、前述の第6および第7の実施例の場合と同じよう
に、入力信号のエンベロープの絶対値を抽出することに
よって、入力信号の電流振幅が増大したときには、バイ
アス電圧を増加させて電力増幅器の直線性が保証される
ようにし、入力電流の振幅が減少したときには、バイア
ス電圧を減少させて消費電力の節減を図るようにしてい
る。このバイアス電圧に基づいて出力段の電力増幅用ト
ランジスタのバイアス電流を制御することにより、電力
増幅器が発生する直線性歪みを低減すると共に、電力増
幅用トランジスタの入力端子に派生する信号のエンベロ
ープを制御することが可能になる。
【0077】図9は、本発明の第9の実施例の構成を示
すブロック図である。ただし、本発明の第2の態様に基
づく第9の実施例として、狭帯域電力増幅器の構成を例
示することとする。図9に示す電力増幅器の出力端子に
は、所定の電圧レベルに増幅された出力信号OUTを生
成するための出力段の電力増幅用トランジスタ9−7の
コレクタが接続されている。さらに、この出力段の電力
増幅用トランジスタ9−7の入力端子のベースには、エ
ミッタフォロアの電力増幅用トランジスタ9−4のエミ
ッタが接続されている。さらにまた、この出力段の電力
増幅用トランジスタ9−7の入力端子のベースには、コ
ンデンサ9−5およびインダクタ9−6からなる整合回
路が接続されている。
【0078】さらに、図9に示す電力増幅器において
は、被変調信号等の入力信号IN1が入力されるトラン
スコンダクタ9−1が設けられている。このトランスコ
ンダクタ9−1は、上記の入力信号IN1を、所定の電
流振幅を有する電流振幅信号に変換するものである。こ
のトランスコンダクタ9−1は少なくとも1段のフォロ
ア回路を有しており、終段のフォロア回路を構成するト
ランジスタを用いて上記入力信号IN1を包絡線検波す
るようになっている。
【0079】さらに、図9に示す電力増幅器において
は、トランスコンダクタ9−1からの電流振幅信号が入
力されるプリディストーション用トランスレジスタ9−
2が設けられている。このプリディストーション用トラ
ンスレジスタ9−2は、電力増幅用トランジスタ9−
4、9−7と同じ半導体プロセスにて形成されたトラン
ジスタを含む反転増幅回路を有しており、この反転増幅
回路のトランジスタにより電流帰還を行うことによっ
て、これらの電力増幅用トランジスタの出力信号の直線
性歪みを打ち消すような歪みを電流振幅信号の電流振幅
に与えるようにしている。上記のトランスコンダクタ9
−1およびプリディストーション用トランスレジスタ9
−2は、本発明の特徴的な構成要素であるプリディスト
ーション回路を構成する。
【0080】さらに、図9に示す電力増幅器において
は、エミッタフォロアの電力増幅用トランジスタ9−4
のベース−エミッタ間の寄生容量Csを利用し、この寄
生容量Csと抵抗9−3との組み合せによりローパスフ
ィルタを形成している。このローパスフィルタを用いて
プリディストーション用トランスレジスタ9−2から出
力される電圧振幅信号を平滑化することにより、入力信
号のエンベロープの絶対値が得られる。上記のローパス
フィルタから出力される入力信号IN1のエンベロープ
は、エミッタフォロアの電力増幅用トランジスタ9−4
を介して、出力段の電力増幅用トランジスタ9−7に供
給される。ここでは、上記のローパスフィルタからの電
圧振幅信号の電圧振幅に応じて、出力段の電力増幅用ト
ランジスタ9−7のバイアス電流を制御することが可能
になる。また一方で、他の入力信号IN2は、コンデン
サ9−5およびインダクタ9−6からなる整合回路を介
して、出力段の電力増幅用トランジスタ9−7のベース
に入力される。
【0081】本発明の第9の実施例においては、トラン
スコンダクタの終段のフォロア回路を構成するトランジ
スタを、B級動作点の近傍のAB級動作点で動作させる
ことによって消費電力の節減を図ると共に発振を抑える
ようにしている。さらに、上記終段のフォロア回路の出
力側の位置に、トランジスタのベース−エミッタ間の寄
生容量を利用したローパスフィルタを形成し、このロー
パスフィルタを通して入力信号を平滑化することにより
入力信号のエンベロープの絶対値を得るようにしてい
る。
【0082】換言すれば、本発明の第9の実施例におい
ては、前述の第6〜第8の実施例よりも簡単な回路構成
により入力信号のエンベロープの絶対値を抽出すること
によって、入力信号の電流振幅が増大したときには、バ
イアス電圧を増加させて電力増幅器の直線性が保証され
るようにし、入力電流の振幅が減少したときには、バイ
アス電圧を減少させて消費電力の節減を図るようにして
いる。このバイアス電圧に基づいて出力段の電力増幅用
トランジスタのバイアス電流を制御することにより、電
力増幅器が発生する直線性歪みを低減すると共に、電力
増幅用トランジスタの入力端子に派生する信号のエンベ
ロープを制御することが可能になる。
【0083】図10は、本発明の第10の実施例の構成
を示すブロック図である。ただし、本発明の第2の態様
に基づく第10の実施例として、マイクロ波用の広帯域
電力増幅器の構成を例示することとする。図10に示す
電力増幅器の出力端子には、所定の電圧レベルに増幅さ
れた出力信号OUTを生成するための出力段の電力増幅
用トランジスタ10−6のコレクタが接続されている。
さらに、この出力段の電力増幅用トランジスタ10−6
の入力端子のベースには、エミッタフォロアの電力増幅
用トランジスタ10−5のエミッタが接続されている。
さらにまた、この出力段の電力増幅用トランジスタ10
−6の入力端子のベースには、後述の第2のトランスコ
ンダクタが接続されている。ここでは、被変調信号等の
入力信号IN1は、エミッタフォロアの電力増幅用トラ
ンジスタ10−5を介して、出力段の電力増幅用トラン
ジスタ10−6に供給される。
【0084】さらに、図10に示す電力増幅器において
は、被変調信号等の入力信号IN1が入力される第1の
トランスコンダクタ10−1が設けられている。この第
1のトランスコンダクタ10−1は、上記の入力信号I
N1を、所定の電流振幅を有する電流振幅信号に変換す
るものである。このトランスコンダクタ10−1は少な
くとも1段のフォロア回路を有しており、終段のフォロ
ア回路を構成するトランジスタを用いて上記入力信号I
N1を包絡線検波するようになっている。
【0085】さらに、図10に示す電力増幅器において
は、第1のトランスコンダクタ10−1からの電流振幅
信号が入力されるプリディストーション用トランスレジ
スタ10−2が設けられている。このプリディストーシ
ョン用トランスレジスタ10−2は、電力増幅用トラン
ジスタ10−5、10−6と同じ半導体プロセスにて形
成されたトランジスタを含む反転増幅回路を有してお
り、この反転増幅回路のトランジスタにより電流帰還を
行うことによって、これらの電力増幅用トランジスタの
出力信号の直線性歪みを打ち消すような歪みを電流振幅
信号の電流振幅に与えるようにしている。上記の第1の
トランスコンダクタ10−1およびプリディストーショ
ン用トランスレジスタ10−2は、本発明の特徴的な構
成要素であるプリディストーション回路を構成する。
【0086】さらに、図10に示す電力増幅器において
は、プリディストーション用トランスレジスタ10−2
の出力側に、ローパスフィルタ10−3からなる平滑回
路が設けられている。この平滑回路を用いて、プリディ
ストーション用トランスレジスタ10−2から出力され
る電圧振幅信号を平滑化することにより、入力信号のエ
ンベロープの絶対値が得られる。上記の平滑回路から出
力される入力信号INのエンベロープは、第2のトラン
スコンダクタ10−4を介して、出力段の電力増幅用ト
ランジスタ10−6に供給される。
【0087】一般に、入力信号INの振幅が増大するに
つれて、出力段の電力増幅用トランジスタ10−6のベ
ース−エミッタ間に蓄えられる電荷も増加していく。し
かしながら、図10の電力増幅器の構成では、第1のト
ランスコンダクタ10−1、プリディストーション用ト
ランスレジスタ10−2およびローパスフィルタ10−
3を通して出力される信号のエンベロープを、第2のト
ランスコンダクタ10−4に供給し、この第2のトラン
スコンダクタ10−4により出力段の電力増幅用トラン
ジスタ10−6のバイアス電流をシンクするようになっ
ている。このために、出力段の電力増幅用トランジスタ
10−6のベース−エミッタ間に蓄えられる電荷も放出
され、このような電荷蓄積の効果を相殺することが可能
になる。
【0088】上記のような機能を有する第2のトランス
コンダクタの中で、簡単に実現されるものとして、BJ
T、または、エミッタに直列に抵抗を接続したBJTを
用いることが好ましいが、JFET(junction field e
ffect transistor) や、MESFETや、MOSトラン
ジスタや、HEMTでも同様に効果がある。なお、第1
0の実施例では、広帯域電力増幅器を示したが、出力段
の電力増幅用トランジスタとの前の位置にインピーダン
ス整合回路を設けることによって、高効率の狭帯域電力
増幅器が構成できることは明らかである。
【0089】本発明の第10の実施例においては、第1
のトランスコンダクタの終段のフォロア回路を構成する
トランジスタを、B級動作点の近傍のAB級動作点で動
作させることによって消費電力の節減を図ると共に発振
を抑えるようにしている。さらに、上記終段のフォロア
回路の出力側の位置に、ローパスフィルタからなる平滑
回路を設け、この平滑回路を通して入力信号を平滑化す
ることにより入力信号のエンベロープの絶対値を得るよ
うにしている。さらに、第1のトランスコンダクタを用
いて出力段の電力増幅用トランジスタのベース−エミッ
タ間に電荷が蓄えられるのを抑止しているので、前述の
実施例の場合よりも高い電力効率でもって出力段の電力
増幅用トランジスタを駆動することが可能になる。
【0090】換言すれば、本発明の第10の実施例にお
いては、比較的高精度にて入力信号のエンベロープの絶
対値を抽出することによって、入力信号の電流振幅が増
大したときには、バイアス電圧を増加させて電力増幅器
の直線性が保証されるようにし、入力電流の振幅が減少
したときには、バイアス電圧を減少させて消費電力の節
減を図るようにしている。このバイアス電圧に基づいて
出力段の電力増幅用トランジスタのバイアス電流を制御
することにより、電力増幅器が発生する直線性歪みを低
減すると共に、電力増幅用トランジスタの入力端子に派
生する信号のエンベロープを制御することが可能にな
る。
【0091】図11は、本発明の第11の実施例の構成
を示すブロック図である。ただし、本発明の第2の態様
に基づく第11の実施例として、分相器を用いて入力信
号のエンベロープを抽出する機能を備えたマイクロ波用
の電力増幅器の構成を例示する。さらに、ここでは、プ
リディストーション用トランスレジスタより後に位置す
る出力段の電力増幅用トランジスタ等の構成要素は省略
して示す。
【0092】図11に示す電力増幅器の入力端子には、
非変調信号等の入力信号INに基づいて、非反転信号お
よび反転信号を生成する分相器11−1が接続されてい
る。さらに、図11に示す電力増幅器においては、分相
器11−1からの非反転信号および反転信号がそれぞれ
入力される2つのトランスコンダクタ11−2、11−
3が設けられている。これらのトランスコンダクタ11
−2、11−5は、上記の非反転信号および反転信号
を、所定の電流振幅を有する電流振幅信号にそれぞれ変
換するものである。上記のトランスコンダクタ11−
2、11−3は少なくとも1段のフォロア回路を有して
おり、終段のフォロア回路を構成するトランジスタを用
いて上記非反転信号および反転信号を検波するようにな
っている。
【0093】さらに、図11に示す電力増幅器において
は、2つのトランスコンダクタ11−2、11−3から
の電流振幅信号の各々が入力されるプリディストーショ
ン用トランスレジスタ11−4が設けられている。ここ
では、分相器11−1により駆動される非反転信号およ
び反転信号を用いて2つのトランスコンダクタ11−
2、11−3を補間動作させ、これらのトランスコンダ
クタ11−2、11−3から出力される2相(または3
相以上)の信号を並列にプリディストーション用トラン
スレジスタ11−4に入力するようにしている。上記の
第1のトランスコンダクタ11−2、11−3およびプ
リディストーション用トランスレジスタ11−4は、本
発明の特徴的な構成要素であるプリディストーション回
路を構成する。
【0094】上記のように、本発明の第11の実施例に
おいては、2つのトランスコンダクタ11−2、11−
3を補間動作させて2相の信号をプリディストーション
用トランスレジスタに供給することによって、入力信号
のエンベロープを比較的忠実に抽出することが可能にな
る。本発明の第11の実施例においても、前述の第6〜
第10の実施例の場合と同じように、入力信号のエンベ
ロープの絶対値を抽出することによって、入力信号の電
流振幅が増大したときには、バイアス電圧を増加させて
電力増幅器の直線性が保証されるようにし、入力電流の
振幅が減少したときには、バイアス電圧を減少させて消
費電力の節減を図るようにしている。このバイアス電圧
に基づいて出力段の電力増幅用トランジスタのバイアス
電流を制御することにより、電力増幅器が発生する直線
性歪みを低減すると共に、電力増幅用トランジスタの入
力端子に派生する信号のエンベロープを制御することが
可能になる。
【0095】つぎに、図12〜図19に基づいて、本発
明の実施例に使用されるような主なる要素回路の具体的
な構成例を説明する。図12は、本発明の実施例に使用
されるバイアス電圧供給回路の具体例を示す回路図であ
る。図12に示すバイアス電圧供給回路は、図28にて
説明した従来のバイアス生成回路と基本的に同じであ
り、一般に知られている回路である。
【0096】図12のバイアス電圧供給回路20は、エ
ミッタフォロアのトランジスタ22と、このトランジス
タ22のベースおよびエミッタにそれぞれ接続される抵
抗21、23と、同トランジスタ22のコレクタに接続
される入力端子(ベース)を有するエミッタ接地型のト
ランジスタ24とを設けている。ここでは、バイアス電
圧供給回路の制御端子において、節電時に低電圧レベル
になる制御電圧cが供給される。上記のバイアス電圧供
給回路においては、抵抗21を介して、上記制御電圧c
をエミッタフォロアのトランジスタ22のベースに入力
し、このトランジスタ22およびエミッタ接地型のトラ
ンジスタ24により所望の電圧レベルのバイアス電圧b
を得るようになっている。
【0097】図13は、本発明の実施例に使用されるト
ランスコンダクタの第1の具体例を示す回路図であり、
図14は、本発明の実施例に使用されるトランスコンダ
クタの第2の具体例を示す回路図である。図13に示す
トランスコンダクタ30aは、1段のフォロア回路と、
このフォロア回路に接続されるエミッタ接地型のトラン
ジスタ36とを設けている。上記のフォロア回路は、エ
ミッタフォロアのトランジスタ33と、このトランジス
タ33の入力端子のベースに接続される抵抗31および
コンデンサ32と、同トランジスタ33のエミッタに接
続される定電流源34とを有する。上記のエミッタ接地
型のトランジスタ36の入力端子のベースには、エミッ
タフォロアのトランジスタ33のエミッタ、および、定
電流源34が接続されると共に、トランジスタ36のエ
ミッタには、抵抗35が接続されている。定電流源34
は省略可能であり、また、抵抗で代用することも可能で
ある。
【0098】図13のトランスコンダクタ30aにおい
ては、入力される信号(tin)を、抵抗31およびコ
ンデンサ32を介してエミッタフォロアのトランジスタ
33に入力し、入力信号の電圧の半波を電流として出力
するようにしている。すなわち、このエミッタフォロア
のトランジスタ33を用いて入力信号(tin)を検波
するようにしている。さらに、このようにした検波され
た信号は、トランジスタ36を通すことによって、適切
なレベルの電流振幅信号として出力される(信号tou
t)。
【0099】また一方で、図14に示すトランスコンダ
クタ30bは、前述の図13に示したトランスコンダク
タ30aの構成とほぼ同じであるが、図13に平滑用コ
ンデンサ37を、トランジスタ36のベース−エミッタ
間容量(ベース−エミッタ間の寄生容量)Cbeに加え
て設けている点が異なる。図14のトランスコンダクタ
30bにおいては、エミッタフォロアのトランジスタ3
3に付加したコンデンサ37によって、効果的に信号
(tin)のピークホールドが行われ、より忠実な信号
のエンベロープが得られる。
【0100】図13および図14のいずれのトランスコ
ンダクタにおいても、エミッタフォロアのトランジスタ
33を、B級動作点の近傍のAB級動作点で動作させる
ことによって消費電力の節減を図ると共に発振を抑える
ようにしている。さらに、このようなトランジスタのA
B級動作によって増加する信号の振幅の直線性歪みを、
プリディストーション用トランスレジスタ(後述の図1
5参照)内のトランジスタが生成する逆の直線性歪みに
よって打ち消すようにしている。この結果、広範囲のダ
イナミックレンジで良好な直線性を有する出力信号が、
出力段の電力増幅用トランジスタのコレクタから取り出
される。
【0101】図15は、本発明の実施例に使用されるプ
リディストーション用トランスレジスタの具体例を示す
回路図である。図15に示すプリディストーション用ト
ランスレジスタ40は、1段目のエミッタ接地型のトラ
ンジスタ41と、2段目のエミッタ接地型のトランジス
タ42とを設けている。さらに、1段目のエミッタ接地
型のトランジスタ41のコレクタには、節電時に低電圧
レベルになる制御電圧cを供給するための抵抗42が接
続されている。さらにまた、2段目のエミッタ接地型の
トランジスタ44のエミッタと、1段目のトランジスタ
41のベースとの間に、トランジスタ44を含む反転増
幅回路に対し電流帰還を行うための抵抗43が接続され
ている。
【0102】図15のプリディストーション用トランス
レジスタ40において、前述のトランスコンダクタ(図
13または図14参照)からの電流振幅信号(すなわ
ち、シンク電流)を上記トランスレジスタ40の左側の
入力端子へ入力すると、抵抗43を含む電流帰還経路に
使用されるトランジスタ41の電流−電圧特性の逆の歪
みを持つ電圧振幅信号が得られる。この電流帰還経路の
抵抗43は、電圧振幅信号の出力電圧の歪み特性を補正
するために用いられており、回路を簡単にするために省
略してもよい。
【0103】さらに詳しく説明すると、上記のエミッタ
接地型のトランジスタ41、44の各々は、出力段の電
力増幅用トランジスタと同じ半導体プロセスにて形成さ
れたものであり、このような特性のトランジスタにより
電流帰還を行うことによって、出力段の電力増幅用トラ
ンジスタの出力信号の直線性歪みを打ち消すような歪み
を電流振幅信号の電流振幅に与えるようにしている。
【0104】図16は、本発明の実施例に使用される補
正付回路の具体例を示す回路図である。ここでは、トラ
ンスコンダクタおよびプリディストーション用トランス
レジスタの組を、無信号時動作点モニター部(図の上半
部)と信号経路(図の下半部)の2組用意し、上記モニ
ター部に流れるオフセット電流を、カレントミラー56
−1、56−2によって信号経路から差し引くことによ
り、出力電圧Vout に現われるオフセットを補正してい
る。さらに、オフセット補正された出力電圧を、直接ま
たはフォロア回路を通して出力段の電力増幅用トランジ
スタに供給するようにしている。
【0105】図16のトランスコンダクタおよびプリデ
ィストーション用トランスレジスタの組に使用されるト
ランスコンダクタは、前述の図13に示したトランスコ
ンダクタとほぼ同様の構成を有する。また一方で、上記
のトランスコンダクタおよびプリディストーション用ト
ランスレジスタの組に使用されるプリディストーション
用トランスレジスタは、前述の図15に示したプリディ
ストーション用トランスレジスタとほぼ同様の構成を有
する。簡単には、無信号時動作点モニター部中のトラン
スレジスタの構成要素である抵抗57−1およびトラン
ジスタ58−1、59−1は省略できる。
【0106】より具体的には、無信号時動作点モニター
部のトランスコンダクタは、図16の上半部に示すよう
に、1段のフォロア回路と、このフォロア回路に接続さ
れるエミッタ接地型のトランジスタ53−1とを設けて
いる。上記のフォロア回路は、エミッタフォロアのトラ
ンジスタ52−1と、このトランジスタ52−1のベー
スに接続される抵抗50−1およびコンデンサ51−1
とを有する。上記のトランジスタ53−1のエミッタに
は、エミッタ抵抗54−1が接続されている。
【0107】また一方で、信号経路のトランスコンダク
タは、図16の下半部に示すように、1段のフォロア回
路と、このフォロア回路に接続されるエミッタ接地型の
トランジスタ53−2とを設けている。上記のフォロア
回路は、エミッタフォロアのトランジスタ52−2と、
このトランジスタ52−2のベースに接続される抵抗5
0−2およびコンデンサ51−2とを有する。上記のト
ランジスタ53−2の入力端子のエミッタには、エミッ
タ抵抗54−2が接続されている。
【0108】さらに、信号経路のプリディストーション
用トランスレジスタは、1段目のエミッタ接地型のトラ
ンジスタ58−2と、2段目のエミッタ接地型のトラン
ジスタ59−2とを設けている。さらに、1段目のエミ
ッタ接地型のトランジスタ58−2のコレクタには、節
電時に低電圧レベルになる制御電圧cを供給するための
抵抗57−2が接続されている。さらにまた、2段目の
エミッタ接地型のトランジスタ59−2のエミッタは、
1段目のトランジスタ58−2のベースに直接接続され
ている。
【0109】図16に示す補正付回路は、上記の無信号
時動作点モニター部および信号経路を構成するトランス
コンダクタおよびプリディストーション用トランスレジ
スタの組に加えて、無信号時動作点モニター部に流れる
オフセット電流を信号経路から差し引く機能を有するカ
レントミラー(トランジスタ)56−1、56−2と、
これらのカレントミラーの入力端子をそれぞれプルアッ
プするためのプルアップ抵抗55−1、55−2とを設
けている。
【0110】上記のような構成では、トランジスタの動
作条件の変動や製造上のばらつき等があっても、プリデ
ィストーション用トランスレジスタの出力電圧(電圧振
幅信号)Vout に関して最適値を得ることができる。こ
の場合、トランスコンダクタおよびプリディストーショ
ン用トランスレジスタのレプリカから得たオフセット電
流を信号経路から差し引くことによって、オフセットが
補正された出力電圧Vout が得られることになる。この
ような構成の補正付回路は、瞬時の電流振幅信号を補正
する場合(本発明の第1の形態)にも、信号のエンベロ
ープを補正する場合(本発明の第2の形態)にも用いる
ことができる。
【0111】上記のカレントミラー56−1、56−2
を構成する2つのトランジスタとして、互いに異なる大
きさのトランジスタを用いるか、または、同トランジス
タのベース抵抗やエミッタ抵抗を調整することによっ
て、出力段の電力増幅用トランジスタのバイアス電流を
調整することが可能になる。同様に、バイアス電流を調
整する目的でプルアップ抵抗55−1、55−2の抵抗
値を調整するか、または、プルアップ抵抗の端子に電流
源を追加してもよい。ここでは、同じ大きさのトランス
コンダクタとプリディストーション用トランスレジスタ
を想定して説明したが、2組のトランスコンダクタとプ
リディストーション用トランスレジスタの大きさを変え
てもよいことは明らかである。
【0112】図17は、本発明の実施例に使用されるロ
ーパスフィルタの具体例を示す回路図である。図17に
示すローパスフィルタは、よく知られたセーレン・キー
フィルタであり、2つの抵抗60、63およびコンデン
サ62からなる低域フィルタ部と、この低域フィルタ部
を通過した信号の低周波成分を取り出すためのエミッタ
フォロアのトランジスタ66とを有する。このエミッタ
フォロアのトランジスタ66の入力端子のベースには、
コンデンサ64が接続され、同トランジスタ66のエミ
ッタには、抵抗65が接続されている。
【0113】上記のローパスフィルタは、入力信号のエ
ンベロープを利用して出力段の電力増幅用トランジスタ
のバイアス電流を制御する場合等に、図15に示したよ
うなプリディストーション用トランスレジスタ40の出
力電圧の低周波成分を取り出す際に用いることが可能で
ある。図18は、図15のプリディストーション用トラ
ンスレジスタと図17のローパスフィルタとを融合した
回路構成を示す回路図である。図18に示す回路におい
ては、図15に示した構成とほぼ同様のプリディストー
ション用トランスレジスタと、図17に示した構成とほ
ぼ同様のローパスフィルタとを組み合わせた回路が例示
されている。
【0114】より具体的には、図18に示す回路は、エ
ミッタ接地型のトランジスタ70と、エミッタフォロア
のトランジスタ76とを設けており、これらのトランジ
スタ70、76によりプリディストーション用トランス
レジスタを構成する。さらに、エミッタ接地型のトラン
ジスタ70のコレクタには、節電時に低電圧レベルにな
る制御電圧cを供給するための抵抗71が接続されてい
る。さらにまた、エミッタフォロアのトランジスタ76
のエミッタと、エミッタ接地型のトランジスタ70のベ
ースとの間に、電流帰還を行うための抵抗73が接続さ
れている。
【0115】また一方で、図18の回路は、2つの抵抗
72、75およびコンデンサ74からなる低域フィルタ
部と、この低域フィルタ部を通過した信号の低周波成分
を取り出すためのエミッタフォロアのトランジスタ76
とを設けており、これらの低域フィルタ部およびトラン
ジスタ76によりローパスフィルタが構成される。この
エミッタフォロアのトランジスタ76の入力端子のベー
スには、低域フィルタ部内の抵抗75とコンデンサ77
とが接続され、同トランジスタ76のエミッタには、電
流帰還を行うための抵抗73が接続されている。
【0116】図18に示す回路では、元来はローパスフ
ィルタに使用されているエミッタフォロアのトランジス
タ76を、電流帰還を行うための電流帰還経路に用いる
ことによって、電流振幅信号にプリディストーションを
与えている。すなわち、この場合は、エミッタフォロア
のトランジスタ76を共用させることによって、回路の
簡略化を図るようにしている。それゆえに、図18に示
す回路は、省電力設計等を行う場合に適している。
【0117】図19は、本発明の実施例に使用される分
相器の具体例を示す回路図である。図19においては、
コモンモードによるフィードバックを用いて数GHz程
度までの信号の正確な反転信号を生成するための具体的
な回路が例示されている。図19に示す分相器は、コン
デンサ88−1を介して入力される入力信号INを増幅
して第1の信号(入力信号INを反転増幅して得られる
信号)oを出力する第1の増幅用トランジスタ80−1
と、この第1の増幅用トランジスタ80−1のエミッタ
から取り出される信号をフィードバックして得られる信
号を増幅して第2の信号(第1の信号を反転した信号)
oiを出力する第2の増幅用トランジスタ80−2とを
有する。さらに詳しく説明すると、第1の増幅用トラン
ジスタ80−1のエミッタには第1のエミッタ抵抗82
−1が接続されると共に、第2の増幅用トランジスタ8
0−2のエミッタには第2のエミッタ抵抗82−2が接
続されており、第1の増幅用トランジスタ80−1の入
力信号と同相の信号が、第1のエミッタ抵抗82−1お
よび第2のエミッタ抵抗82−2を通して第2の増幅用
トランジスタ80−2にフィードバックされる。
【0118】さらに、図19の分相器の第1の信号oを
生成する側において、第1の増幅用トランジスタ80−
1のベースには、バイアス電圧bを供給するための抵抗
87−1が接続されている。さらに、第1の増幅用トラ
ンジスタ80−1のコレクタには、電源電圧を供給する
ための抵抗81−1と、第1の信号oのレベルを調整す
るためのエミッタフォロアのトランジスタ84−1のベ
ースが接続されている。さらに、第1の信号を生成する
側においては、一対のトランジスタ83−1およびトラ
ンジスタ86−1を有する第1のカレントミラー回路が
設けられている。上記トランジスタ84−1のエミッタ
は、抵抗85−1を介してトランジスタ86−1のベー
スおよびコレクタに接続され、上記第1の増幅用トラン
ジスタ80−1のエミッタは、抵抗82−1を介してト
ランジスタ83−1のコレクタに接続されている。
【0119】また一方で、図19に示す第2の信号oi
を生成する側において、第2の増幅用トランジスタ80
−2のベースには、バイアス電圧bを供給するための抵
抗87−2、およびコンデンサ88−2が接続されてい
る。さらに、第2の増幅用トランジスタ80−2のコレ
クタには、電源電圧を供給するための抵抗81−2と、
第2の信号oiのレベルを調整するためのエミッタフォ
ロアのトランジスタ84−2のベースが接続されてい
る。さらに、第2の信号を生成する側においては、一対
のトランジスタ83−2およびトランジスタ86−2を
有する第2のカレントミラー回路が設けられている。上
記トランジスタ84−2のエミッタは、抵抗85−2を
介してトランジスタ86−2のベースおよびコレクタに
接続され、上記第2の増幅用トランジスタ80−2のエ
ミッタは、抵抗82−2を介してトランジスタ83−2
のコレクタに接続されている。
【0120】図19の分相器から出力される第1の信号
oと第2の信号oiは互いに反転した関係にあり、か
つ、第1および第2のカレントミラー回路によって第1
および第2の信号の電圧レベルが正確に一致するように
調整される。この結果、電圧レベルが同じであって互い
に反転した関係にある2つの信号を生成することが可能
になる。
【0121】上記のような分相器よりも簡単な回路構成
の分相器として、一つの増幅用トランジスタのエミッタ
側とコレクタ側にそれぞれ接続される対称的な負荷を用
いて非反転信号および反転信号を取り出すような回路を
使用することもできる。図20は、本発明の構成をWC
DMA用MICに適用した第1の具体例を示す回路図で
ある。ここで、WCDMA(wide band code division
multiple access )は「広帯域CDMA」を意味し、M
IC (microwave integrated circuit)は「マイクロ波
集積回路」を意味する。
【0122】図20に示す電力増幅器の回路構成は、前
述の本発明の第2の形態に基づく実施例(特に、図7に
示した第7の実施例)の構成と基本的に同じであり、上
記電力増幅器の動作も、本発明の第2の形態に基づく実
施例の動作と基本的に同じである。より具体的には、図
20の電力増幅器を含むMICは、図12のバイアス電
圧供給回路20と、図13のトランスコンダクタ30b
と、図15のプリディストーション用トランスレジスタ
40と、タンク回路90aと、エミッタフォロアの電力
増幅用トランジスタ48と、出力段の電力用増幅用トラ
ンジスタ49とを集積回路化することによって形成され
る。上記のバイアス電圧供給回路やトランスコンダクタ
やプリディストーション用トランスレジスタ等の要素回
路の各々は、対応図面に基づいて既に説明しているの
で、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0123】図20に示す電力増幅器において、バイア
ス電圧供給回路20により生成されたバイアス電圧は、
抵抗31を介して、トランスコンダクタ30bに供給さ
れる。このトランスコンダクタ30bでは、エミッタフ
ォロアのトランジスタ33の入力端子のベースに対し、
第1の入力信号IN1がコンデンサ32を介して入力さ
れると共に、抵抗31を介してバイアス電圧bが入力さ
れる。
【0124】さらに、図20に示す電力増幅器におい
て、トランスコンダクタ30bにより検波された信号の
エンベロープは、プリディストーション用トランスレジ
スタ40に入力される。このプリディストーション用ト
ランスレジスタ40は、トランジスタ44および抵抗4
3を含む電流帰還経路を通して電流帰還を行うことによ
り、出力段の電力増幅用トランジスタ49の出力信号の
直線性歪みを打ち消すような歪みを与えた電圧振幅信号
を生成する。
【0125】さらに、図20に示す電力増幅器におい
て、プリディストーション用トランスレジスタ40の出
力側には、エミッタフォロアのトランジスタ46と、こ
のトランジスタ46のエミッタに接続される入力端子
(ベース)を有するエミッタ接地型のトランジスタ93
と、このトランジスタ93のコレクタに接続されるタン
ク回路90aとが設けられている。このタンク回路90
aは、コンデンサ91と、その一方の端が同コンデンサ
91に接続されると共に、その他方の端が出力段の電力
増幅用トランジスタ49のベースに接続されるインダク
タ92とを備えている。プリディストーション用トラン
スレジスタ40により生成された電圧振幅信号は、抵抗
45を介して、エミッタフォロアのトランジスタ46の
ベースに入力される。この場合、トランジスタ46のベ
ース−エミッタ間の寄生容量とを利用したローパスフィ
ルタが形成されており、このローパスフィルタを通して
電圧振幅信号を平滑化することにより信号のエンベロー
プの絶対値が得られる。
【0126】さらに、上記のトランジスタ46のエミッ
タから取り出された信号(すなわち、信号のエンベロー
プの絶対値)は、エミッタ接地型のトランジスタ93の
ベースに入力される。このトランジスタ93のエミッタ
には、エミッタ抵抗93が接続され、同トランジスタ9
3のコレクタには、抵抗94が接続されている。このト
ランジスタ93により増幅された信号は、タンク回路9
0a内のインダクタ92を介して、出力段の電力増幅用
トランジスタ49に供給される。ここで、バイアス電圧
は、抵抗45およびエミッタフォロアの電力増幅用トラ
ンジスタ48を介して、出力段の電力増幅用トランジス
タ48のベースに付与されている。したがって、プリデ
ィストーション用トランスレジスタ40からの電圧振幅
信号の電圧振幅に応じて、出力段の電力増幅用トランジ
スタ49のバイアス電流を制御することが可能になる。
また一方で、第2の入力信号IN2は、整合回路として
機能するコンデンサ47と電力増幅用トランジスタ48
を介して、出力段の電力増幅用トランジスタ49に入力
される。
【0127】図20の電力増幅器によれば、入力信号の
エンベロープの絶対値を抽出することによって、入力信
号の電流振幅が増大したときには、タンク回路90aに
より電力増幅用トランジスタ49の入力端子のバイアス
電流を大きくして電力増幅器の直線性が保証されるよう
にし、入力電流の振幅が減少したときには、バイアス電
流を小さくして消費電力の節減を図るようにしている。
このようにして、出力段の電力増幅用トランジスタのバ
イアス電流を制御することにより、電力増幅器が発生す
る直線性歪みを低減すると共に、電力増幅用トランジス
タの入力端子に派生する信号のエンベロープを制御する
ことが可能になる。
【0128】図21は、図20において2つの入力信号
を供給した場合の各部のシミュレーション電圧波形を示
す図である。ただし、ここでは、電源電圧を3.5Vに
設定すると共に動作周波数を2GHz±10MHzに設
定し、かつ、2つの入力信号を入力した場合の各部のシ
ミュレーション電圧波形を示すこととする。図21のシ
ミュレーション電圧波形から明らかなように、トランス
コンダクタ30bの出力段のエミッタ抵抗35の電圧降
下に応じて、プリディストーション用トランスレジスタ
の出力段のトランジスタ44のベース電圧が忠実に変化
していることがわかる。さらに、このトランジスタ44
のベース電圧の増減に応じて、電力増幅器の出力段の電
力増幅用トランジスタ49のベース電圧が忠実に変化し
ていることがわかる。
【0129】図22は、図20の出力段の電力増幅用ト
ランジスタの動作状態を示すグラフである。ただし、こ
こでは、入力信号の電圧(入力電圧)Vinの代表的な
値に対して、電力増幅器の出力段の電力増幅用トランジ
スタ49の等負荷曲線、すなわち、コレクタ電圧対コレ
クタ電流特性の変化の様子を示すこととする。図22の
グラフから明らかなように、入力信号の電圧が大きくな
ると(0.01V→0.05V→0.1V→0.5V→
1V)、出力段の電力増幅用トランジスタ49の等負荷
曲線が右上に移動していくことがわかる。一般に、入力
信号の電圧振幅が大きくなるにつれて、出力信号の電圧
レベルが上昇して消費電力が増えると共に発振が起こり
やすくなる。本発明の第2の形態に基づく実施例によれ
ば、入力信号の電圧振幅が大きくなるに従ってバイアス
電圧を増加させ、出力信号の平均の電圧がほぼ一定にな
るように制御しているので、出力信号の直線性歪みを顕
著に低減することが可能になる。
【0130】図23は、図20における入力電圧波形と
出力電圧波形(入力信号IN1の電圧波形と出力信号O
UTの電圧波形)を示すグラフである。ただし、入力信
号IN1が入力される側のインピーダンス、および、出
力信号OUTが出力される側のインピーダンスは、いず
れも50Ωであるとする。図23のグラフから明らかな
ように、出力信号OUTの電圧波形は、直線性歪みを生
じることなく入力信号IN1を忠実に増幅して得られる
波形であることがわかる。
【0131】図24は、本発明の構成をWCDMA用M
ICに適用した第2の具体例を示す回路図である。図2
4に示す第2の具体例に係る電力増幅器においては、タ
ンク回路90bの構成が前述の図20の電力増幅器(第
1の具体例)の構成と異なるのみであり、その他の要素
回路の構成は図20の場合と同じである。したがって、
ここでは、タンク回路90b以外の要素回路の説明は省
略する。
【0132】図24におけるタンク回路90bは、互い
に並列に接続されるコンデンサ95およびインダクタ9
6と、このコンデンサ95(およびインダクタ96)と
電源との間に接続される他のコンデンサ97とを備えて
いる。すなわち、タンク回路90bは、前述の図20の
タンク回路90aと異なり、単極にて構成される。図2
4に示す電力増幅器においても、前述の図20の電力増
幅器と同じように、入力信号のエンベロープの絶対値を
抽出することによって、入力信号の電流振幅が増大した
ときには、タンク回路90bにより電力増幅用トランジ
スタ49の入力端子のバイアス電流を大きくして電力増
幅器の直線性が保証されるようにし、入力電流の振幅が
減少したときには、バイアス電流を小さくして消費電力
の節減を図るようにしている。このようにして、出力段
の電力増幅用トランジスタのバイアス電流を制御するこ
とにより、電力増幅器が発生する直線性歪みを低減する
と共に、電力増幅用トランジスタの入力端子に派生する
信号のエンベロープを制御することが可能になる。
【0133】これまで述べた本発明の代表的な実施例
や、本発明の実施例が適用される具体例においては、入
力信号の電圧振幅に応じてトランジスタの動作級(AB
級〜C級)を自由に制御することができるので、広範囲
の信号振幅のダイナミックレンジで良好な直線性を有す
る出力信号を、出力段の電力増幅用トランジスタのコレ
クタから取り出すと共に、この電力増幅用トランジスタ
の消費電力を大幅に節減することが可能になる。
【0134】さらに、従来の電力増幅器では使用に適さ
ない直線性の劣悪なトランジスタであっても、このトラ
ンジスタと同種のトランジスタを含むプリディストーシ
ョン回路によって出力信号の直線性歪みを打ち消すこと
ができるので、このトランジスタを用いて要求特性に応
じた直線性を有する増幅器を実現することが可能にな
る。例えば、ディジタル回路を集積回路化するために最
適化されたトランジスタ等の素子を用いて、マイクロ波
用の電力増幅器を、DSP (digital signal processo
r) のような音声信号処理用の増幅器と共に集積回路化
することも可能になる。
【0135】さらにまた、信号振幅が小さい場合であっ
ても、バイアス電圧を適切に制御することにより、キャ
リアの周期で出力段の電力増幅用トランジスタがカット
オフする期間を作ることができる。これによって、出力
段の電力増幅用トランジスタによる発振が成長するのを
防止し、無調整にて常に発振の危険がない電力増幅器を
提供することが可能になる。
【0136】さらにまた、入力信号の電圧振幅が変化し
た場合でも、入力信号の電圧が入力容量の急激な変化の
影響が大きく現れない範囲になるように、バイアス電圧
を適切に制御することができるので、入力容量の非直線
性による出力段の電力増幅用トランジスタの歪みの発生
を抑えることも可能になる。ところで、本発明の特徴で
あるプリディストーション用トランスレジスタの出力特
性は、使用する半導体素子の電流−電圧特性の逆関数に
なっており、特にBJTを用いた場合、または、FET
のサブスレッショールド領域を用いた場合に、上記プリ
ディストーション用トランスレジスタの出力電圧は入力
電圧の対数となることを利用して電力増幅器に掛け算機
能を持たせることができる。この掛け算機能を持たせる
例を図25〜図27に示す。
【0137】図25は、本発明の構成を適用した混合器
の構成を示す回路図である。ただし、ここでは、本発明
の電力増幅器を用いて送信器または受信器に用いられる
混合器(ミクサ)を構成した例を示すこととする。図2
5に示す混合器は、本発明の特徴である第1のプリディ
ストーション回路を構成するトランスコンダクタ101
と、プリディストーション用トランスレジスタ102と
を備えている。この第1のプリディストーション回路
は、高周波信号rfにプリディストーションを与える機
能を有する。また一方で、図25に示す混合器は、本発
明の特徴である第2のプリディストーション回路を構成
するトランスコンダクタ104と、プリディストーショ
ン用トランスレジスタ105とを備えている。この第2
のプリディストーション回路は、低周波信号loにプリ
ディストーションを与える機能を有する。
【0138】上記のトランスコンダクタ101、104
の各々は、好ましくは、図14に示したようなエミッタ
フォロアのトランジスタを含むトランスコンダクタ(3
0b)により構成される。したがって、トランスコンダ
クタ101、104の各々は、図14のトランスコンダ
クタと同じように、エミッタフォロアのトランジスタを
用いて入力信号(高周波信号rfおよび低周波信号l
o)を検波し、同入力信号の電圧の半波を電流として出
力する。
【0139】また一方で、上記のプリディストーション
用トランスレジスタ102、105の各々は、好ましく
は、図15に示したようなトランジスタおよび抵抗によ
る電流帰還経路を含むプリディストーション用トランス
レジスタ(40)により構成される。したがって、プリ
ディストーション用トランスレジスタ102、105の
各々の出力特性は、図15のプリディストーション用ト
ランスレジスタと同じように、出力段の電力増幅用トラ
ンジスタ112の電流−電圧特性の逆関数になってい
る。すなわち、プリディストーション用トランスレジス
タ102、105の各々では、出力段の電力増幅用トラ
ンジスタの出力電圧とは逆の歪みを有する電圧振幅信号
が得られる。
【0140】さらに、上記の第1および第2のプリディ
ストーション用トランスレジスタ102、105の出力
端子には、第1の抵抗103および第2の抵抗106の
一方の端がそれぞれ接続されている。これらの第1の抵
抗103および第2の抵抗106の他端は、互いに連結
され、エミッタフォロアのトランジスタ107のベース
に接続されている。ここで、高周波信号rfおよび低周
波信号loは、第1および第2のプリディストーション
用トランスレジスタ102、105によってプリディス
トーションを与えられた後に、互いに掛け算されてトラ
ンジスタ107のベースに入力される。
【0141】さらに、図25に示す混合器は、エミッタ
フォロアのトランジスタ107のエミッタに接続される
入力端子を有するエミッタ接地型のトランジスタ108
と、このトランジスタ108のコレクタに接続されるタ
ンク回路とを設けている。このタンク回路は、図20の
場合と同じように、コンデンサ109およびインダクタ
110を備えている。第1および第2のプリディストー
ション用トランスレジスタ102、105からそれぞれ
出力される信号を互いに掛け算して得られる信号(中間
周波信号)は、エミッタフォロアのトランジスタ107
のベースに入力される。この場合、トランジスタ107
のベース−エミッタ間の寄生容量を利用したローパスフ
ィルタが形成されており、このローパスフィルタを通し
て信号を平滑化することにより信号のエンベロープが得
られる。
【0142】さらに、上記のトランジスタ107のベー
スから取り出された信号は、エミッタフォロアの電力増
幅用トランジスタ111のベースに入力される。このエ
ミッタフォロアの電力増幅用トランジスタ111のエミ
ッタから取り出された信号は、出力段の電力増幅用トラ
ンジスタ112のベースに入力され、同電力増幅用トラ
ンジスタ112を駆動するために使用される。最終的
に、高周波信号rfと低周波信号loとを掛け算した中
間周波信号ifが、電力増幅用トランジスタ112のコ
レクタから出力される。電力増幅用トランジスタ112
のコレクタには、インピダンス整合の機能を有するイン
ダクタ113が接続されている。
【0143】また一方で、上記のトランジスタ107の
ベースから取り出された信号のエンベロープは、エミッ
タ接地型のトランジスタ108のベースに入力される。
このトランジスタ108により増幅された信号のエンベ
ロープは、タンク回路内のインダクタ110を介して、
出力段の電力増幅用トランジスタ112に供給される。
ここでは、出力段の電力増幅用トランジスタ112のベ
ースに入力される信号のエンベロープの大きさに応じ
て、同電力増幅用トランジスタ112のバイアス電流が
制御される。
【0144】上記のような構成の混合器は、送信器にお
いて中間周波信号をアナログ−ディジタル変換(A/D
変換)する場合や、受信器において比較的大きな振幅の
中間周波信号が要求される場合等に使用される。図26
は、本発明の構成を適用した利得可変の増幅器の構成例
を示す回路図である。ただし、ここでは、本発明の電力
増幅器を用いて送信器に用いられる利得可変の増幅器を
構成した例を示すこととする。
【0145】図26に示す利得可変の増幅器は、本発明
の特徴である第1のプリディストーション回路を構成す
るトランスコンダクタ121と、プリディストーション
用トランスレジスタ122とを備えている。この第1の
プリディストーション回路は、高周波信号rfにプリデ
ィストーションを与える機能を有する。また一方で、図
26に示す利得可変の増幅器は、本発明の特徴である第
2のプリディストーション回路を構成するトランスコン
ダクタ124と、プリディストーション用トランスレジ
スタ125とを備えている。この第2のプリディストー
ション回路は、増幅器の利得を可変制御するための利得
制御信号cgにプリディストーションを与える機能を有
する。
【0146】上記のトランスコンダクタ121、124
の各々は、好ましくは、図14に示したようなエミッタ
フォロアのトランジスタを含むトランスコンダクタ(3
0b)により構成される。したがって、トランスコンダ
クタ121、124の各々は、図14のトランスコンダ
クタと同じように、エミッタフォロアのトランジスタを
用いて入力信号(高周波信号rfおよび利得制御信号c
g)を検波し、同入力信号の電圧の半波を電流として出
力する。
【0147】また一方で、上記のプリディストーション
用トランスレジスタ122、125の各々は、好ましく
は、図15に示したようなトランジスタおよび抵抗によ
る電流帰還経路を含むプリディストーション用トランス
レジスタ(40)により構成される。したがって、プリ
ディストーション用トランスレジスタ122、125の
各々の出力特性は、図15のプリディストーション用ト
ランスレジスタと同じように、出力段の電力増幅用トラ
ンジスタ132の電流−電圧特性の逆関数になってい
る。すなわち、プリディストーション用トランスレジス
タ122、125の各々では、出力段の電力増幅用トラ
ンジスタの出力電圧とは逆の歪みを有する電圧振幅信号
が得られる。
【0148】さらに、上記の第1および第2のプリディ
ストーション用トランスレジスタ122、125の出力
端子には、第1の抵抗123および第2の抵抗126の
一方の端がそれぞれ接続されている。これらの第1の抵
抗123および第2の抵抗126の他方の端は、互いに
連結され、エミッタフォロアのトランジスタ127のベ
ースに接続されている。ここで、高周波信号rfおよび
利得制御信号cgは、第1および第2のプリディストー
ション用トランスレジスタ122、125によってプリ
ディストーションを与えられた後に、互いに掛け算され
てトランジスタ127のベースに入力される。
【0149】さらに、図26に示す利得可変の増幅器
は、エミッタフォロアのトランジスタ127のエミッタ
に接続される入力端子を有するエミッタ接地型のトラン
ジスタ128と、このトランジスタ128のコレクタに
接続されるタンク回路とを設けている。このタンク回路
は、図20の場合と同じように、コンデンサ129およ
びインダクタ130を備えている。第1および第2のプ
リディストーション用トランスレジスタ122、125
からそれぞれ出力される信号を互いに掛け算して得られ
る信号(利得調整後の高周波信号Sout)は、エミッ
タフォロアのトランジスタ127のベースに入力され
る。この場合、トランジスタ127のベース−エミッタ
間の寄生容量を利用したローパスフィルタが形成されて
おり、このローパスフィルタを通して信号を平滑化する
ことにより信号のエンベロープが得られる。
【0150】さらに、上記のトランジスタ127のベー
スから取り出された信号は、エミッタフォロアの電力増
幅用トランジスタ131のベースに入力される。このエ
ミッタフォロアの電力増幅用トランジスタ131のエミ
ッタから取り出された信号は、出力段の電力増幅用トラ
ンジスタ132のベースに入力され、同電力増幅用トラ
ンジスタ132を駆動するために使用される。最終的
に、高周波信号rfと利得制御信号cgとを掛け算する
ことにより利得を調整されて増幅された高周波信号So
utが、電力増幅用トランジスタ132のコレクタから
出力される。電力増幅用トランジスタ132のコレクタ
には、インピダンス整合の機能を有するインダクタ13
3が接続されている。
【0151】また一方で、上記のトランジスタ127の
ベースから取り出された信号のエンベロープは、エミッ
タ接地型のトランジスタ128のベースに入力される。
このトランジスタ128により増幅された信号のエンベ
ロープは、タンク回路内のインダクタ131を介して、
出力段の電力増幅用トランジスタ132に供給される。
ここでは、出力段の電力増幅用トランジスタ132のベ
ースに入力される信号のエンベロープの大きさに応じ
て、同電力増幅用トランジスタ132のバイアス電流が
制御される。
【0152】図27は、本発明の構成を適用した3入力
の掛け算機能を有する増幅器の構成例を示す回路図であ
る。ただし、ここでは、本発明の電力増幅器を用いて送
信器または受信器に用いられる3入力の掛け算機能を有
する増幅器を構成した例を示すこととする。図27に示
す3入力の掛け算機能を有する増幅器は、本発明の特徴
である第1のプリディストーション回路を構成するトラ
ンスコンダクタ141と、プリディストーション用トラ
ンスレジスタ142とを備えている。この第1のプリデ
ィストーション回路は、ベースバンド信号bbにプリデ
ィストーションを与える機能を有する。さらに、図27
に示す増幅器は、本発明の特徴である第2のプリディス
トーション回路を構成するトランスコンダクタ144
と、プリディストーション用トランスレジスタ145と
を備えている。この第2のプリディストーション回路
は、低周波信号loにプリディストーションを与える機
能を有する。さらに、図27に示す増幅器は、本発明の
特徴である第3のプリディストーション回路を構成する
トランスコンダクタ147と、プリディストーション用
トランスレジスタ148とを備えている。この第3のプ
リディストーション回路は、増幅器の利得を可変制御す
るための利得制御信号cgにプリディストーションを与
える機能を有する。
【0153】上記のトランスコンダクタ141、144
および147の各々は、好ましくは、図14に示したよ
うなエミッタフォロアのトランジスタを含むトランスコ
ンダクタ(30b)により構成される。したがって、ト
ランスコンダクタ141、144および147の各々
は、図14のトランスコンダクタと同じように、エミッ
タフォロアのトランジスタを用いて3つの入力信号(ベ
ースバンド信号bb、低周波信号loおよび利得制御信
号cg)を検波し、各入力信号の電圧の半波を電流とし
て出力する。
【0154】また一方で、上記のプリディストーション
用トランスレジスタ142、145および148の各々
は、好ましくは、図15に示したようなトランジスタお
よび抵抗による電流帰還経路を含むプリディストーショ
ン用トランスレジスタ(40)により構成される。した
がって、プリディストーション用トランスレジスタ14
2、145および148の各々の出力特性は、図15の
プリディストーション用トランスレジスタと同じよう
に、出力段の電力増幅用トランジスタ142の電流−電
圧特性の逆関数になっている。すなわち、プリディスト
ーション用トランスレジスタ142、145および14
8の各々では、出力段の電力増幅用トランジスタの出力
電圧とは逆の歪みを有する電圧振幅信号が得られる。
【0155】さらに、上記の第1および第2のプリディ
ストーション用トランスレジスタ142、145および
148の出力端子には、第1の抵抗143、第2の抵抗
146および第3の抵抗149の一方の端がそれぞれ接
続されている。これらの第1、第2および第3の抵抗1
43、146および149の他方の端は、互いに連結さ
れ、エミッタフォロアのトランジスタ150のベースに
接続されている。ここで、ベースバンド信号bb、低周
波信号loおよび利得制御信号cgは、第1、第2およ
び第3のプリディストーション用トランスレジスタ14
2、145および148によってプリディストーション
を与えられた後に、互いに掛け算されてトランジスタ1
50のベースに入力される。
【0156】さらに、図27に示す増幅器は、エミッタ
フォロアのトランジスタ150のエミッタに接続される
入力端子を有するエミッタ接地型のトランジスタ151
と、このトランジスタ151のコレクタに接続されるタ
ンク回路とを設けている。このタンク回路は、図20の
場合と同じように、コンデンサ152およびインダクタ
153を備えている。第1、第2および第3のプリディ
ストーション用トランスレジスタ142、145および
148からそれぞれ出力される信号を互いに掛け算して
得られる信号(ベースバンド信号bbで変調されると共
に利得制御信号cgで利得を調整された信号Mout)
は、エミッタフォロアのトランジスタ150のベースに
入力される。この場合、トランジスタ150のベース−
エミッタ間の寄生容量を利用したローパスフィルタが形
成されており、このローパスフィルタを通して信号を平
滑化することにより信号のエンベロープが得られる。
【0157】さらに、上記のトランジスタ150のベー
スから取り出された信号は、エミッタフォロアの電力増
幅用トランジスタ154のベースに入力される。このエ
ミッタフォロアの電力増幅用トランジスタ154のエミ
ッタから取り出された信号は、出力段の電力増幅用トラ
ンジスタ155のベースに入力され、同電力増幅用トラ
ンジスタ155を駆動するために使用される。最終的
に、ベースバンド信号bbで変調されると共に利得制御
信号cgで利得を調整された信号Moutが、電力増幅
用トランジスタ155のコレクタから出力される。電力
増幅用トランジスタ155のコレクタには、インピダン
ス整合の機能を有するインダクタ156が接続されてい
る。
【0158】また一方で、上記のトランジスタ150の
ベースから取り出された信号のエンベロープは、エミッ
タ接地型のトランジスタ151のベースに入力される。
このトランジスタ151により増幅された信号のエンベ
ロープは、タンク回路内のインダクタ153を介して、
出力段の電力増幅用トランジスタ155に供給される。
ここでは、出力段の電力増幅用トランジスタ155のベ
ースに入力される信号のエンベロープの大きさに応じ
て、同電力増幅用トランジスタ155のバイアス電流が
制御される。
【0159】上記のような構成の3入力の掛け算機能を
有する増幅器は、送信器に使用した場合、ベースバンド
信号bbで低周波信号loを変調すると共に利得制御信
号cgで利得を調整した信号(Mout)を出力する。
また一方で、上記の増幅器は、ベースバンド信号bbの
代わりに、高周波信号rfまたは中間周波信号ifをそ
れぞれ入力することによって、利得調整機能を有する受
信器内の復調器として使用することができる。
【0160】図28は、本発明の第12の実施例の構成
を示す回路図である。ここでは、本発明の電力増幅器に
おいて、信号のエンベロープの抽出するためのエンベロ
ープ抽出回路160と、信号のエンベロープのオフセッ
トを補正するためのエンベロープオフセット補正回路1
80と、高周波の入力信号(IN)を増幅するための出
力段の電力増幅トランジスタ310およびタンク回路を
含む電力増幅回路300とが設けられている例を示すこ
ととする。
【0161】図28に示す電力増幅器においては、前述
の図20と同じ構成のバイアス電圧供給回路20が設け
られている。このバイアス電圧供給回路20から、約
2.6Vのバイアス電圧と約1.3Vのバイアス電圧
が、コンデンサ25を通してエンベロープ抽出回路16
0に供給されると共に、エンベロープオフセット補正回
路180および電力増幅回路300に供給される。バイ
アス電圧供給回路20においては、トランジスタ22の
入力端子のベースに供給される制御電圧cを低電圧出力
レベル(“L(low )”レベル)にすることによって、
回路全体の消費電力をほぼ零(0)にすることができ
る。また、制御電圧cの上昇波形および下降波形によ
り、高周波の出力信号(OUT)の立ち上がりおよび立
ち下がりを制御することができる。この場合、制御電圧
cの高電圧出力レベル(“H(high)”レベル)を調整
してもよいが、簡単には、比較的小さな内部インピーダ
ンス(<0.1〜0.5Ω)のスイッチにより電源の立
ち上がりおよび立ち下がりだけを調整して高周波の出力
信号の立ち上がりおよび立ち下がりを制御できる。
【0162】図28におけるエンベロープ抽出回路16
0は、図13に示したような構成のトランスコンダクタ
と、図18に示したようなプリディストーション用トラ
ンスレジスタおよびローパスフィルタの融合回路と、抽
出したエンベロープのオフセット補正用のトランジスタ
167、および、制御電圧cを供給するための抵抗16
8とを備えている。
【0163】より詳しくいえば、エンベロープ抽出回路
160内のトランスコンダクタは、1段のフォロア回路
と、このフォロア回路に接続されるエミッタ接地型のト
ランジスタ166とを設けている。上記のフォロア回路
は、エミッタフォロアのトランジスタ163と、このト
ランジスタ163の入力端子のベースに接続される抵抗
161およびコンデンサ162と、同トランジスタ16
3のエミッタに接続される抵抗164とを有する。上記
のエミッタ接地型のトランジスタ166の入力端子のベ
ースには、エミッタフォロアのトランジスタ162のエ
ミッタが接続されると共に、電流源のトランジスタ16
4のコレクタが接続される。また一方で、上記トランジ
スタ166のエミッタには、抵抗165が接続されてい
る。
【0164】図28のトランスコンダクタにおいても、
前述の図13のトランスコンダクタと同様に、エミッタ
フォロアのトランジスタ163を用いて、コンデンサ1
62を介して入力される入力信号を検波(包絡線検波)
するようにしている。さらに、このようにした検波され
た信号は、トランジスタ166を通すことによって、適
切なレベルの電流振幅信号としてプリディストーション
用トランスレジスタに供給される。
【0165】さらに、エンベロープ抽出回路175内の
プリディストーション用トランスレジスタおよびローパ
スフィルタの融合回路は、エミッタ接地型のトランジス
タ170と、エミッタフォロアのトランジスタ176と
を設けており、これらのトランジスタ170、176に
よりプリディストーション用トランスレジスタを構成す
る。さらに、エミッタ接地型のトランジスタ170のコ
レクタには、制御電圧cを供給するための抵抗171が
接続されている。さらにまた、エミッタフォロアのトラ
ンジスタ176のエミッタは、エミッタ接地型のトラン
ジスタ170のベースに直接接続されている。
【0166】また一方で、上記の融合回路は、2つの抵
抗172、175およびコンデンサ174からなる低域
フィルタ部と、この低域フィルタ部を通過した信号の低
周波成分を取り出すためのエミッタフォロアのトランジ
スタ176とを設けており、これらの低域フィルタ部お
よびトランジスタ176によりローパスフィルタが構成
される。このエミッタフォロアのトランジスタ176の
入力端子のベースには、低域フィルタ部内の抵抗175
とコンデンサ177とが接続されている。
【0167】さらに、図28におけるエンベロープオフ
セット補正回路180は、エンベロープ抽出回路160
内のトランスコンダクタと同じ構成のトランスコンダク
タと、エンベロープ抽出回路160により抽出される信
号のエンベロープのオフセットを正確に補正するための
2つのトランジスタ188、189とを有する。一方の
トランジスタ189のベースには、他方のトランジスタ
188のベースが接続され、上記トランジスタ189の
コレクタには、抵抗190が接続されている。
【0168】より詳しくいえば、エンベロープオフセッ
ト補正回路180内のトランスコンダクタは、1段のフ
ォロア回路と、このフォロア回路に接続されるエミッタ
接地型のトランジスタ186とを設けている。上記のフ
ォロア回路は、エミッタフォロアのトランジスタ183
と、このトランジスタ183の入力端子のベースに接続
される抵抗181およびコンデンサ182と、同トラン
ジスタ183のエミッタに接続される抵抗184とを有
する。上記のエミッタ接地型のトランジスタ186の入
力端子のベースには、エミッタフォロアのトランジスタ
182のエミッタが接続されると共に、電流源のトラン
ジスタ184のコレクタが接続される。さらに、上記ト
ランジスタ186のエミッタには、抵抗185が接続さ
れている。さらにまた、上記トランジスタ186のコレ
クタには、制御電圧cを供給するための抵抗187が接
続されている。
【0169】上記のエンベロープ抽出回路160内のト
ランジスタ167、170と、エンベロープオフセット
補正回路180内のトランジスタ188、189とがそ
れぞれ対応しており、エミッタサイズの比を等しくする
ことによって信号のエンベロープのオフセットを正確に
補正することができる。その上で、エンベロープ抽出回
路160内のトランジスタ178によって電力増幅回路
300のアイドル電流を補正することができる。このト
ランジスタ178のベースは、抵抗301を介して、電
力増幅回路300内のトランジスタ305のベースに接
続されている。
【0170】図28の電力増幅回路300は、エンベロ
ープオフセット補正回路180により信号のエンベロー
プのオフセットが補正された信号を入力するエミッタフ
ォロアのトランジスタ303と、このトランジスタ30
3のエミッタに接続される入力端子(ベース)を有する
エミッタ接地型のトランジスタ306と、このトランジ
スタ306のコレクタに接続されるタンク回路とが設け
られている。このタンク回路は、前述の図20の場合と
同じように、コンデンサ307と、その一方の端が同コ
ンデンサ307に接続されると共に、その他方の端が出
力段の電力増幅用トランジスタ310のベースに接続さ
れるインダクタ308とを備えている。信号のエンベロ
ープのオフセットが補正された電圧振幅信号は、トラン
ジスタ303のベースを介して、エミッタフォロアのト
ランジスタ304のベースに入力される。
【0171】さらに、上記のトランジスタ303のエミ
ッタから取り出された信号(すなわち、信号のエンベロ
ープのオフセットが補正された信号)は、エミッタ接地
型のトランジスタ306のベースに入力される。このト
ランジスタ306により増幅された信号は、タンク回路
内のインダクタ308を介して、出力段の電力増幅用ト
ランジスタ310に供給される。ここで、バイアス電圧
は、抵抗301およびトランジスタ305、309を介
して、出力段の電力増幅用トランジスタ310のベース
に付与されている。したがって、信号のエンベロープの
オフセットが補正された電圧振幅信号の電圧振幅に応じ
て、出力段の電力増幅用トランジスタ310のバイアス
電流を制御することが可能になる。また一方で、高周波
の入力信号(IN)は、コンデンサ302およびトラン
ジスタ305、309を介して、出力段の電力増幅用ト
ランジスタ310に入力される。
【0172】図28の電力増幅回路300においては、
タンク回路の片側(他方の端)から、エンベロープ抽出
回路160内のエミッタフォロアのトランジスタ176
によりプリディストーション(歪み)を付与したエンベ
ロープバイアス電流を出力段の電力増幅用トランジスタ
310に供給し、出力段の電力増幅用トランジスタ31
0と同様にバイアスされたトランジスタ306を用い
て、タンク回路の反対側(一方の端)を駆動している。
出力段の電力増幅用トランジスタ310と、タンク回路
の反対側を駆動するトランジスタ306は、高周波の入
力信号によりAB級動作点にバイアスされた小さなトラ
ンジスタ304、303によりそれぞれ駆動される。
【0173】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電力増幅
器によれば、第1に、出力段の電力増幅用トランジスタ
と同じ半導体プロセスにて形成されたトランジスタを用
い、入力信号の振幅に歪みを与えた信号を上記電力増幅
用トランジスタに入力して出力信号の振幅の歪みを打ち
消すようにしているので、比較的広範囲のダイナミック
レンジで信号の振幅の歪みを抑えてその直線性を保証す
ると共に、電力増幅器内のトランジスタの消費電力を最
小限に抑えることが可能になる。
【0174】さらに、本発明の電力増幅器によれば、第
2に、入力信号が入力されるトランスコンダクタにより
生成される電流振幅信号の電流振幅に基づいて、出力信
号の振幅の歪みを打ち消すような歪みを与えた電圧振幅
信号を出力するプリディストーション用トランスレジス
タを用いてプリディストーション回路を構成しているの
で、簡単な回路構成により、電力増幅器が発生する直線
性歪みを低減すると共に、比較的広範囲のダイナミック
レンジで出力段の電力増幅用トランジスタの消費電力を
節減することが可能になる。
【0175】さらに、本発明の電力増幅器によれば、第
3に、トランスコンダクタ内のフォロワ回路を構成する
トランジスタを、B級動作点の近傍のAB級動作点で動
作させて入力信号を検波しているので、上記トランジス
タの消費電力の節減が図れると共に発振が抑止され、こ
れによって一般的に増加する信号の振幅の直線性歪み
を、プリディストーション用トランスレジスタが生成す
る逆の直線性歪みによって打ち消すようにしているの
で、比較的広範囲のダイナミックレンジで出力信号の振
幅の歪みが抑えられてその直線性が保証される。
【0176】さらに、本発明の電力増幅器によれば、第
4に、プリディストーション用トランスレジスタ内の反
転増幅器が、出力段の電力増幅用トランジスタと同種の
トランジスタによって電流帰還経路を形成し、この電流
帰還経路を利用して逆の直線性歪みを生成することによ
り出力信号の振幅の直線性歪みを打ち消すようにしてい
るので、余計な付加回路を必要とせずに比較的広範囲の
ダイナミックレンジで出力信号の歪みを抑えてその直線
性を保証することが可能になる。
【0177】さらに、本発明の電力増幅器によれば、第
5に、出力信号の振幅の歪みを打ち消すような歪みを与
えた信号によって出力段の電力増幅用トランジスタを駆
動しているので、入力信号の振幅が大きく変化した場合
でも出力信号の振幅の歪みを抑えてその直線性を維持す
ることが可能になる。さらに、本発明の電力増幅器によ
れば、第6に、出力段の電力増幅用トランジスタを駆動
するプッシュプル回路のプルアップ側およびプルダウン
側の少なくとも一方を、トランスコンダクタおよびプリ
ディストーション用トランスレジスタを通して得られる
電圧振幅信号により駆動しているので、電力増幅器内の
トランジスタの消費電力を最小限に抑えつつ要求特性に
応じた直線性を有する電力増幅器を実現することが可能
になる。
【0178】さらに、本発明の電力増幅器によれば、第
7に、出力段の電力増幅用トランジスタを駆動するプッ
シュプル形のトランジスタの一方が、トランスコンダク
タおよびプリディストーション用トランスレジスタによ
り駆動されるので、高い電力効率でもって、比較的広範
囲のダイナミックレンジで出力信号の振幅の歪みを抑え
てその直線性を保証することが可能になる。
【0179】さらに、本発明の電力増幅器によれば、第
8に、トランスコンダクタにより入力信号を包絡線検波
して得られる信号のエンベロープを、電力増幅用トラン
ジスタと同種のトランジスタを含むプリディストーショ
ン用トランスレジスタを通過させ、入力信号の振幅の増
減に応じて増加または減少するバイアス電圧を生成し、
このバイアス電圧に基づき出力段の電力増幅用トランジ
スタのバイアス電流を制御しているので、入力信号の振
幅が大きく変化した場合でも、電力増幅器が発生する直
線性歪みを低減すると共に、電力増幅用トランジスタの
入力端子に派生する信号のエンベロープを制御すること
が可能になる。
【0180】さらに、本発明の電力増幅器によれば、第
9に、トランスコンダクタ内のフォロワ回路を構成する
トランジスタを、B級動作点の近傍のAB級動作点で動
作させて信号のエンベロープを抽出しているので、上記
トランジスタの消費電力の節減が図れると共に発振が抑
止され、上記の信号のエンベロープを、プリディストー
ション用トランスレジスタを通過させて得られるバイア
ス電圧に基づき電力増幅用トランジスタのバイアス電流
を制御しているので、比較的広範囲のダイナミックレン
ジで出力信号の振幅の歪みが抑えられてその直線性が保
証される。
【0181】さらに、本発明の電力増幅器によれば、第
10に、トランスコンダクタ内のフォロワ回路を構成す
るトランジスタを、B級動作点の近傍のAB級動作点で
動作させて信号のエンベロープを抽出しているので、上
記トランジスタの消費電力の節減が図れると共に発振が
抑止され、上記の信号のエンベロープを平滑化して得ら
れる信号のエンベロープの絶対値に基づき電力増幅用ト
ランジスタのバイアス電流を制御しているので、入力信
号の振幅の変化が速い場合でも、出力信号の振幅の歪み
を抑えてその直線性が保証することが可能になる。
【0182】さらに、本発明の電力増幅器によれば、第
11に、位相分波器により駆動される2相以上の信号を
並列にプリディストーション回路に入力することによっ
て信号のエンベロープの絶対値を算出するようにしてい
るので、より忠実に信号のエンベロープを抽出して電力
増幅用トランジスタのバイアス電流を正確に制御するこ
とが可能になる。
【0183】さらに、本発明の電力増幅器によれば、第
12に、複数のトランスコンダクタおよびプリディスト
ーション用トランスレジスタの組の各々から出力される
電圧振幅信号の電圧を合計して得られる和を、出力段の
電力増幅用トランジスタに供給しているので、トランジ
スタの動作条件の変動や製造上のばらつき等があって
も、出力信号の振幅の歪みを正確に打ち消すような電圧
振幅信号を生成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の構成を示す回路図であ
る。
【図2】本発明の第2の実施例の構成を示す回路図であ
る。
【図3】本発明の第3の実施例の構成を示す回路図であ
る。
【図4】本発明の第4の実施例の構成を示す回路図であ
る。
【図5】本発明の第5の実施例の構成を示す回路図であ
る。
【図6】本発明の第6の実施例の構成を示す回路図であ
る。
【図7】本発明の第7の実施例の構成を示す回路図であ
る。
【図8】本発明の第8の実施例の構成を示す回路図であ
る。
【図9】本発明の第9の実施例の構成を示す回路図であ
る。
【図10】本発明の第10の実施例の構成を示す回路図
である。
【図11】本発明の第11の実施例の構成を示す回路図
である。
【図12】本発明の実施例に使用されるバイアス電圧供
給回路の具体例を示す回路図である。
【図13】本発明の実施例に使用されるトランスコンダ
クタの第1の具体例を示す回路図である。
【図14】本発明の実施例に使用されるトランスコンダ
クタの第2の具体例を示す回路図である。
【図15】本発明の実施例に使用されるプリディストー
ション用トランスレジスタの具体例を示す回路図であ
る。
【図16】本発明の実施例に使用される補正付回路の具
体例を示す回路図である。
【図17】本発明の実施例に使用されるローパスフィル
タの具体例を示す回路図である。
【図18】図15のプリディストーション用トランスレ
ジスタと図17のローパスフィルタとを融合した回路構
成を示す回路図である。
【図19】本発明の実施例に使用される分相器の具体例
を示す回路図である。
【図20】本発明の構成をWCDMA用MICに適用し
た第1の具体例を示す回路図である。
【図21】図20において2つの入力信号を供給した場
合の各部のシミュレーション電圧波形を示す図である。
【図22】図20の出力段の電力増幅用トランジスタの
動作状態を示すグラフである。
【図23】図20における入力電圧波形と出力電圧波形
を示すグラフである。
【図24】本発明の構成をWCDMA用MICに適用し
た第2の具体例を示す回路図である。
【図25】本発明の構成を適用した混合器の構成を示す
回路図である。
【図26】本発明の構成を適用した利得可変の増幅器の
構成例を示す回路図である。
【図27】本発明の構成を適用した3入力の掛け算機能
を有する増幅器の構成例を示す回路図である。
【図28】本発明の第12の実施例の構成を示す回路図
である。
【図29】従来のバイアス生成回路を含む電力増幅器の
構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
1−1…分相器 1−2、1−3…トランスコンダクタ 1−4、1−5…プリディストーション用トランスレジ
スタ 1−6、1−7…トランジスタ 1−8…電力増幅用トランジスタ 2−1…分相器 2−2、2−5…トランスコンダクタ 2−3…プリディストーション用トランスレジスタ 2−4…トランジスタ 2−6…電力増幅用トランジスタ 3−1、3−4…トランスコンダクタ 3−2…プリディストーション用トランスレジスタ 3−3、3−7…電力増幅用トランジスタ 3−5…コンデンサ 3−6…インダクタ 4−1…トランスコンダクタ 4−2…プリディストーション用トランスレジスタ 4−3、4−6…電力増幅用トランジスタ 4−4…インダクタ 4−5…コンデンサ 5−1…トランスコンダクタ 5−2…プリディストーション用トランスレジスタ 5−3…トランジスタ 5−4…インダクタ 5−5…コンデンサ 5−6…電力増幅用トランジスタ 6−1…トランスコンダクタ 6−2…プリディストーション用トランスレジスタ 6−3…ローパスフィルタ 6−4…インダクタ 6−5…整合回路 6−6…コンデンサ 6−7…電力増幅用トランジスタ 7−1…トランスコンダクタ 7−2…プリディストーション用トランスレジスタ 7−3…ローパスフィルタ 7−4…インダクタ 7−5…コンデンサ 7−6…整合回路 7−7…抵抗 7−8、7−9…電力増幅用トランジスタ 8−1…トランスコンダクタ 8−2…プリディストーション用トランスレジスタ 8−3…ローパスフィルタ 8−4…インダクタ 8−5…コンデンサ 8−6…整合回路 8−7…抵抗 8−8、8−9…電力増幅用トランジスタ 9−1…トランスコンダクタ 9−2…プリディストーション用トランスレジスタ 9−3…抵抗 9−4、9−7…電力増幅用トランジスタ 9−5…コンデンサ 9−6…インダクタ 10−1、10−4…トランスコンダクタ 10−2…プリディストーション用トランスレジスタ 10−3…ローパスフィルタ 10−5、10−6…電力増幅用トランジスタ 11−1…分相器 11−2、11−3…トランスコンダクタ 11−4…プリディストーション用トランスレジスタ 20…バイアス電圧供給回路 22、24…トランジスタ 30a、30b…トランスコンダクタ 33、36…トランジスタ 40…プリディストーション用トランスレジスタ 41、44…トランジスタ 48、49…電力増幅用トランジスタ 52−1、53−1、58−1および59−1…トラン
ジスタ 52−2、53−2、58−2および59−2…トラン
ジスタ 56−1、56−2…カレントミラー 60、63…抵抗 62、64…コンデンサ 66…トランジスタ 70…トランジスタ 72、75…抵抗 74、77…コンデンサ 76…トランジスタ 80−1、83−1、84−1および86−1…トラン
ジスタ 80−2、83−2、84−2および86−2…トラン
ジスタ 90a、90b…タンク回路 101、104…トランスコンダクタ 102、105…プリディストーション用トランスレジ
スタ 107、108…トランジスタ 111、112…電力増幅用トランジスタ 121、124…トランスコンダクタ 122、125…プリディストーション用トランスレジ
スタ 127、128…トランジスタ 131、132…電力増幅用トランジスタ 141、144および147…トランスコンダクタ 142、145および148…プリディストーション用
トランスレジスタ 150、151…トランジスタ 154、155…電力増幅用トランジスタ 160…エンベロープ抽出回路 180…エンベロープオフセット補正回路 200…バイアス生成回路 204…1段目のトランジスタ 206、208および210…トランジスタ 213…2段目のトランジスタ
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Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つの電力増幅用トランジス
    タを有する電力増幅器であって、該電力増幅用トランジ
    スタと同じ半導体プロセスにて形成されたトランジスタ
    を用いて入力信号の振幅に歪みを与えた信号を、出力段
    に位置する電力増幅用トランジスタに入力することを特
    徴とする電力増幅器。
  2. 【請求項2】 前記入力信号の振幅に歪みを与えるプリ
    ディストーション回路が、該入力信号に基づいて、所定
    の電流振幅を有する電流振幅信号を出力するトランスコ
    ンダクタと、該トランスコンダクタにより得られる電流
    振幅信号の電流振幅に対し前記出力段の電力増幅用トラ
    ンジスタの出力信号の歪みを打ち消すような歪みを与
    え、対応する電圧振幅信号として出力するプリディスト
    ーション用トランスレジスタとを有しており、該電圧振
    幅信号を、前記出力段の電力増幅用トランジスタに入力
    する請求項1記載の電力増幅器。
  3. 【請求項3】 前記トランスコンダクタが、少なくとも
    1段のフォロワ回路を有し、少なくとも終段のフォロワ
    回路を構成するトランジスタがB級動作点の近傍にバイ
    アスされており、前記少なくとも終段のフォロワ回路に
    より前記入力信号を検波することによって、瞬時の前記
    電流振幅信号を得る請求項2記載の電力増幅器。
  4. 【請求項4】 前記プリディストーション用トランスレ
    ジスタが反転増幅回路を含み、該反転増幅回路は、前記
    出力段の電力増幅用トランジスタと同種のトランジスタ
    によって電流帰還を行うように構成される請求項2記載
    の電力増幅器。
  5. 【請求項5】 前記入力信号が、キャリヤにより変調さ
    れた被変調信号である請求項1記載の電力増幅器。
  6. 【請求項6】 前記出力段の電力増幅用トランジスタ
    が、前記入力信号の振幅に歪みを与えた信号により駆動
    される請求項1記載の電力増幅器。
  7. 【請求項7】 前記出力段の電力増幅用トランジスタ
    が、プッシュプル回路により駆動され、該プッシュプル
    回路のプルアップ側およびプルダウン側の少なくとも一
    方は、前記トランスコンダクタおよび前記プリディスト
    ーション用トランスレジスタを通して得られる前記電圧
    振幅信号により駆動される請求項2記載の電力増幅器。
  8. 【請求項8】 前記出力段の電力増幅用トランジスタが
    プッシュプルで駆動される場合、前記出力段の電力増幅
    用トランジスタを駆動するトランジスタの少なくとも一
    方は、前記トランスコンダクタおよびプリディストーシ
    ョン用トランスレジスタを用いて駆動される請求項2記
    載の電力増幅器。
  9. 【請求項9】 前記入力信号の振幅に歪みを与えるプリ
    ディストーション回路が、該入力信号に基づいて、所定
    の電流振幅を有する電流振幅信号を出力するトランスコ
    ンダクタと、該トランスコンダクタにより得られる電流
    振幅信号の電流振幅に歪みを与え、対応する電圧振幅信
    号として出力するプリディストーション用トランスレジ
    スタとを有しており、前記入力信号のエンベロープを前
    記プリディストーション回路に入力し、該プリディスト
    ーション回路内の前記プリディストーション用トランス
    レジスタから出力される電圧振幅信号により前記出力段
    の電力増幅用トランジスタにバイアス電圧を付与し、ま
    た一方で、前記入力信号は、整合回路を介して前記出力
    段の電力増幅用トランジスタに入力される請求項1記載
    の電力増幅器。
  10. 【請求項10】 前記トランスコンダクタが、少なくと
    も1段のフォロワ回路を有し、少なくとも終段のフォロ
    ワ回路を構成するトランジスタがB級動作点の近傍にバ
    イアスされており、前記少なくとも終段のフォロワ回路
    により前記入力信号を包絡線検波することによって、前
    記入力信号のエンベロープを得る請求項9記載の電力増
    幅器。
  11. 【請求項11】 前記トランスコンダクタが有する少な
    くとも1段のフォロワ回路における終段のフォロワ回路
    を構成するトランジスタがB級動作点の近傍にバイアス
    されており、前記終段のフォロワ回路の出力側の位置
    に、コンデンサを含む平滑回路を設け、該平滑回路を通
    して前記入力信号を包絡線検波することにより前記エン
    ベロープの絶対値を得る請求項9または10記載の電力
    増幅器。
  12. 【請求項12】 前記プリディストーション用トランス
    レジスタが反転増幅回路を含み、該反転増幅回路は、前
    記出力段の電力増幅用トランジスタと同種のトランジス
    タによって電流帰還を行うように構成される請求項10
    または11記載の電力増幅器。
  13. 【請求項13】 前記エンベロープの絶対値を算出する
    ための前記平滑回路を含む回路が、位相分波器により駆
    動される2相以上の信号を並列に前記プリディストーシ
    ョン回路に入力する請求項10または11記載の電力増
    幅器。
  14. 【請求項14】 複数の前記トランスコンダクタおよび
    前記プリディストーション用トランスレジスタの組を持
    ち、該トランスコンダクタおよび該プリディストーショ
    ン用トランスレジスタの組の各々から出力される電圧振
    幅信号の電圧を合計して得られる和を、直接またはフォ
    ロア回路を通して前記出力段の電力増幅用トランジスタ
    に供給する請求項10記載の電力増幅器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6437649B2 (en) 2000-05-19 2002-08-20 Fujitsu Limited Microwave amplifier

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