JP2000226657A - 製膜方法および磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

製膜方法および磁気記録媒体の製造方法

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JP2000226657A
JP2000226657A JP11025037A JP2503799A JP2000226657A JP 2000226657 A JP2000226657 A JP 2000226657A JP 11025037 A JP11025037 A JP 11025037A JP 2503799 A JP2503799 A JP 2503799A JP 2000226657 A JP2000226657 A JP 2000226657A
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順一 神津
Yasushi Sasaoka
泰 笹岡
Yuji Honda
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱フィラメント−プラズマCVD装置を使用
し、炭素が主成分である膜を連続的に製膜するに当た
り、膜厚および膜質がより一定になる様に改良された製
膜方法を提供する。 【解決手段】製膜室内で真空条件下に加熱されたフィラ
メント状カソードとアノードとの間の放電により製膜原
料ガスをプラズマ状態とし、そして、マイナス電位によ
り上記のプラズマを基材表面に加速衝突させて製膜す
る、熱フィラメント−プラズマCVD装置を使用し、製
膜原料ガスとして炭素含有モノマーガスを使用し、炭素
が主成分である膜を製膜するに当たり、カソードとアノ
ード間のプラズマ電圧(VP)を一定にし、カソードへ
の供給電力(Pf)を調節することにより、プラズマ電
流(IP)を一定にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製膜方法および磁
気記録媒体の製造方法に関し、詳しくは、熱フィラメン
ト−プラズマCVD(プラズマ促進化学蒸着)装置を使
用した製膜方法および磁気記録媒体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱フィラメント−プラズマCVD(F−
pCVD)装置は、製膜室内で真空条件下に加熱された
フィラメント状のカソードとアノードとの間の放電によ
り製膜原料ガスをプラズマ状態とし、そして、マイナス
電位により上記のプラズマを基板表面に加速衝突させて
製膜する装置である。カソード及びアノードは、共に金
属で構成されるが、特にフィラメント状のカソードに
は、通常、タングステンやタンタル等の金属が使用され
る。本装置によれば、製膜原料ガスの種類に応じ、炭素
(C)膜、ケイ素(Si)膜、窒素(N)化膜などの製
膜が可能である。
【0003】炭素が主成分である膜を製膜する場合、F
−pCVD装置による製膜方法は、炭素含有モノマー
(液体)を使用することが出来るため、取扱いが容易で
ある等の利点を有する。従って、この製膜方法は、特に
磁気記録媒体の保護層の形成手段として注目され、ま
た、この製膜方法で得られた上記の膜から成る保護層
は、スパッタ膜に比し、薄膜領域で高い耐久性を有す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、F−pCV
D装置を使用した製膜方法においては、膜厚および膜質
の観点から、プラズマ状態を一定に維持することが重要
であり、従来、カソードへの供給電力(Pf)を一定に
し、カソードとアノード間のプラズマ電圧(VP)を調
節することにより、プラズマ電流(IP)を一定にする
方法が採用されている。しかしながら、斯かる従来の制
御方法による場合は、プラズマ電圧(VP)の変動に基
づき炭素含有モノマーガスの解離状態が変動するため、
十分に一定厚さで一定品質の膜を製膜することは困難で
ある。
【0005】本発明は、上記実情に鑑みなされたもので
あり、その目的は、熱フィラメント−プラズマCVD装
置を使用し、炭素が主成分である膜を連続的に製膜する
に当たり、膜厚および膜質がより一定になる様に改良さ
れた製膜方法、および、当該製膜方法を利用した磁気記
録媒体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく種々検討を重ねた結果、特定の制御手段
によれば、炭素含有モノマーガスの解離状態の変動が抑
えられ、十分に一定厚さで一定品質の膜を製膜し得ると
の知見を得た。
【0007】本発明は、上記の知見に基づき完成された
ものであり、その第1の要旨は、製膜室内で真空条件下
に加熱されたフィラメント状カソードとアノードとの間
の放電により製膜原料ガスをプラズマ状態とし、そし
て、マイナス電位により上記のプラズマを基板表面に加
速衝突させて製膜する、熱フィラメント−プラズマCV
D装置を使用し、製膜原料ガスとして炭素含有モノマー
ガスを使用し、炭素が主成分である膜を製膜するに当た
り、カソードとアノード間のプラズマ電圧(VP)を一
定にし、カソードへの供給電力(Pf)を調節すること
により、プラズマ電流(IP)を一定にすることを特徴
とする製膜方法に存する。
【0008】そして、本発明の第2の要旨は、非磁性基
板上に少なくとも磁性層を形成した後に炭素が主成分で
ある保護層を形成する磁気記録媒体の製造方法におい
て、上記の成膜方法により保護層を形成することを特徴
とする磁気記録媒体の製造方法に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に基づき
詳細に説明する。図1は、本発明において好適に使用さ
れるF−pCVD装置の一例の概念説明図である。図1
に示されたF−pCVD装置は、基板の両面に同時に製
膜可能な装置であり、左右対称の構成を備えているが、
便宜上、右側の構成の一部は図示を省略している。
【0010】先ず、F−pCVD装置を使用した本発明
の製膜方法について説明する。F−pCVD装置は、基
本的には、前述の通り、製膜室内で真空条件下に加熱さ
れたフィラメント状のカソードとアノードとの間の放電
により製膜原料ガスをプラズマ状態とし、そして、マイ
ナス電位により上記のプラズマを基板の表面に加速衝突
させて製膜する装置である。図1に示したF−pCVD
装置は次の様な構成を備えている。
【0011】円筒状の製膜室(1)は、導電体で形成さ
れた真空チャンバー壁(5)によって気密可能に構成さ
れ、真空チャンバー壁(5)は、その下側中央部に配置
された接続管(6)を介し、トランスファーケース用真
空排気ユニットを備えたトランスファーケース及び製膜
室用真空排気ユニットを備えたダクト(何れも図示せ
ず)に接続されている。そして、接続管(6)の内部に
は、昇降アーム(15)が配置され、昇降アーム(1
5)は、トランスファーケース(図示せず)の内部に配
置されたハンドリングロボット(図示せず)によって操
作される。なお、トランスファーケース用真空排気ユニ
ット及び製膜室用真空排気ユニットは、製膜運転中、常
時稼働している。
【0012】カソード(2)は、真空チャンバー壁
(5)の側部から製膜室(1)内に貫通した2個のソケ
ット(7)の先端部に形成され、交流のカソード電源
(8)に接続されている。アノード(3)は、特別にロ
ート状の形状を有し且つその内周面の中央部付近でカソ
ード(2)を包囲する位置に配置される。そして、アノ
ード(3)は、ソケット(7)と同様に配置されたソケ
ット(9)を介しアノード電源(10)(アノード
(3)側でプラス電位の電流)に接続されている。ま
た、ソケット(7)の表面は、付着した炭素膜の剥離を
防止するため、金属溶射などで表面を粗面化するのが好
ましい。
【0013】ソケット(7)及びソケット(9)は、真
空チャンバー壁(5)に対し、電気絶縁性の気密体とし
て構成されている。また、アノード(3)は、真空チャ
ンバー壁(5)の内周面に対して電気絶縁性の固定手段
(図示せず)により固定されている。斯かる固定手段と
しては、例えば、真空チャンバー壁(5)の内周面およ
びアノード(3)の外周面から突出する各取付片を絶縁
材を介して接続する手段などが挙げられる。
【0014】製膜室(1)の内部には、好ましい態様と
して、円筒状の防着部材(遮蔽部材)(11)が配置さ
れている。防着部材(11)は、真空チャンバー壁
(5)の内周面に対して電気絶縁性の固定手段(図示せ
ず)により固定されている。また、防着部材(11)の
アノード(3)側の周端部には、内側に傾斜し且つアノ
ード(3)の最大内径(先端部内径)より小さい外径の
整流部(12)が設けられ、アノード(3)の先端部と
整流部(12)との間にはガス流路(13)が形成され
ている。
【0015】必要に応じ不活性ガスにより適宜の濃度に
希釈された製膜原料ガスは、真空チャンバー壁(5)の
上部からガス流路(13)の近傍に貫通した製膜原料ガ
ス供給管(14)から供給される。
【0016】円盤状の基板(4)は、昇降アーム(1
5)の先端に固定された支持爪(16)によって垂直に
支持される。すなわち、基板(4)は、カソード(2)
とアノード(3)に対向した位置に保持される。そし
て、昇降アーム(15)により、製膜室(1)内に基板
(4)が搬入された場合、接続管(6)と前記トランス
ファーケースの接続部に配置されたソフトシール(図示
せず)が昇降アーム(15)と接することにより、製膜
室(1)と上記トランスファーケースとが実質的に遮断
される。なお、製膜室(1)内の真空状態は、引き続
き、製膜室用真空排気ユニットにより維持される。
【0017】基板(4)の支持位置の両サイドには、好
ましい態様として、膜厚補正板(17)が配置される。
基板(4)が円盤状の場合、その外周部と中心部は、薄
膜が厚く形成される傾向があり、また、基板(4)の両
面に同時に製膜する際に左右のプラズマが互いに影響し
合う領域となる。膜厚補正板(17)は、円盤状の基板
(4)の中心部と外周部を覆う様なドーナツ形状を有
し、基板(4)の全体に亘り、形成される薄膜の厚さを
均一にする機能を有する。
【0018】膜厚補正板(17)の外周部は、防着部材
(11)の端部に固定され、内周部(17a)は、外周
部に設けられた支持アーム(18)に支持される。その
結果、膜厚補正板(17)は、防着部材(11)と同
様、真空チャンバー壁(5)の内周面に対して電気絶縁
性の状態である。すなわち、膜厚補正板(17)は、防
着部材(11)と共に、電気的に浮いて独立した状態
(フロート電位)に維持されている。
【0019】真空チャンバー壁(5)のアノード(3)
側近傍の内部には、真空チャンバー壁(5)の異常加熱
防止のため、冷却水循環路(19)が設けられ、冷却水
供給管(20)から冷却水が供給される。
【0020】カソード電源(8)の一端はアース(2
1)に接続され、また、真空チャンバー壁(5)はアー
ス(22)に接続されている。そして、カソード電源
(8)のアース側と基板(4)との間は、基板(4)側
でマイナス電位となる直流のイオン加速用電源(23)
で接続されている。
【0021】通常、カソード電源(8)には0〜20v
(0〜50A)、アノード電源(10)には0〜200
v(0〜5000mA)、イオン加速用電源(23)に
は0〜1500v(0〜200mA)が適用される。な
お、製膜運転中、カソード(2)は、常時、通電加熱さ
れている。
【0022】上記の様なF−pCVD装置による連続的
な製膜方法は、次の様に、主として、製膜室(1)への
基板(4)の搬入、製膜、基板(4)の搬出から成る操
作を順次に繰り返して行われる。
【0023】先ず、ハンドリングロボット(図示せず)
の昇降アーム(15)を上昇して基板(4)を製膜室
(1)内に搬入する。
【0024】次いで、製膜原料ガス供給管(14)から
製膜原料ガスを供給する。これにより、製膜原料ガスは
ガス流路(13)を通して製膜室(1)に流れ込む。以
上の操作はガス安定化と呼ばれる。なお、この際の製膜
室(1)内の圧力は、前述の製膜室用真空排気ユニット
の能力によって決定される。
【0025】次いで、アノード(3)及び基板(4)に
対し、夫々アノード電源(10)及びイオン加速用電源
(23)から所定の電位を印加する。これにより、常に
高温に加熱されたカソード(2)からアノード(3)に
向かって多量の熱電子が放出され、両電極の間でグロー
放電が開始される。そして、放電によって生じた熱電子
は、製膜原料ガスをイオン化してプラズマ状態にする。
プラズマ状態の製膜原料イオンは、基板(4)のマイナ
ス電位によって加速され、基板(4)に衝突して付着
し、炭素が主成分である膜が製膜される。なお、例えば
トルエンを使用した場合、プラズマ領域においては次の
(I)の反応が起こり、基板(4)の表面では次の(I
I)の反応が起こっていると考えられる。
【0026】
【化1】 C78 + e- → C78 + + 2e- ・・・(I) C78 + + e- → C72 + 3H2↑ ・・・(II)
【0027】次いで、製膜原料ガスの供給を停止して製
膜を終了する。その後、前述の製膜室用真空排気ユニッ
トにて製膜室(1)内に残留する原料ガスが排気されて
製膜室(1)内の圧力が原料ガスの供給前のレベルに復
帰するのを待った後、昇降アーム(15)を降下させる
ことにより、製膜室(1)から前述のトランスファーケ
ースに基板(4)を搬出する。
【0028】本発明においては、前記の製膜原料ガスと
して炭素含有モノマーガスを使用する。炭素含有モノマ
ーの具体例としては、メタン、エタン、プロパン、エチ
レン、アセチレン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素、
アルコール類、窒素含有炭化水素、フッ素含有炭化水素
などが挙げられる。特に、ベンゼン、トルエン又はピロ
ールが好適に使用される。また、必要に応じ、炭素含有
モノマーの濃度調節および膜質調節のために使用される
不活性ガスとしては、Ar、He、H2、N2、O2等が
挙げられる。
【0029】本発明の特徴は、上記の様にして、炭素が
主成分である膜を連続的に製膜するに当たり、カソード
とアノード間のプラズマ電圧(VP)を一定にし、カソ
ードへの供給電力(Pf)を調節することにより、プラ
ズマ電流(IP)を一定にする点にある。斯かる制御方
法によれば、カソードへの供給電力(Pf)を一定に
し、カソードとアノード間のプラズマ電圧(VP)を調
節することにより、プラズマ電流(IP)を一定にする
従来の制御方法に比し、後述の実施例および比較例によ
って明らかにされている通り、膜厚および膜質がより一
定な製膜が可能となる。
【0030】次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法に
ついて説明する。本発明の特徴は、非磁性基板上に少な
くとも磁性層を形成した後に炭素が主成分である保護層
を形成する磁気記録媒体の製造方法において、上記の製
膜方法により保護層を形成する点にある。
【0031】非磁性基板としては、通常、無電解メッキ
法によりNi−P層を設けたAl合金板が使用される
が、その他、Cu、Ti等の金属基板、ガラス基板、セ
ラミック基板、炭素質基板または樹脂基板なども使用す
ることが出来る。
【0032】磁性層、すなわち、強磁性金属薄膜層は、
無電解メッキ、スパッタリング、蒸着などの方法によっ
て形成される。磁性層の具体例としては、Co−P、C
o−Ni−P、Co−Ni−Cr、Co−Cr−Ta、
Co−Ni−Pt、Co−Cr−Pt、Co−Cr−P
t−Ta系合金などの強磁性金属薄膜が挙げられる。磁
性層の厚さは通常10〜70nm程度とされる。また、
必要に応じ、複数層の磁性層を構成することも出来る。
【0033】非磁性基板上に形成する他の層としては、
非磁性基板と磁性層の間に設ける下地層や中間層などが
挙げられる。下地層としては、通常、スパッタリングに
より形成した5〜200nm厚さのCr層が使用され
る。下地層の上に設けられる中間層の材料は、公知の材
料から適宜選択される。
【0034】本発明において、保護層は、通常、磁性層
の表面に設けられるが、必要に応じて他の層を介して設
けてもよい。また、保護層の表面には、通常、パーフル
オロポリエーテル、高級脂肪酸またはその金属塩などの
潤滑層が形成される。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
【0036】なお、以下の例においては、保護層として
炭素膜を有する磁気記録媒体を連続的に製造した。保護
層の製膜の際には図1に示したF−pCVD装置を使用
した。また、基板として、表面平均粗さ1.5nm、直
径3.5インチのNi−Pメッキ被覆Al合金ディスク
基板を使用した。そして、基板上に表面粗さが1.0n
mになる様に機械テキスチャー加工(表面処理)を施し
た後にCSSゾーンにレーザーテキスチャを施して使用
した。
【0037】実施例1 先ず、スパッタリング法により、基板温度240℃で、
Cr下地層(厚さ40nm)、Co合金磁性層(厚さ3
0nm)を形成した。
【0038】次いで、図1に示すF−pCVD装置を使
用し、製膜原料ガスとしてトルエンガスを使用し、搬入
−ガス安定化−製膜−排気−搬出の一連の操作を繰り返
し、C保護層(厚さ4nm)を形成した。上記の製膜操
作は、カソードとアノード間のプラズマ電圧(VP)を
一定にし、カソードへの供給電力(Pf)を調節するこ
とにより、プラズマ電流(IP)を一定にする様に制御
した。また、上記の製膜操作は、基板(4)の温度を2
00℃、トルエンの供給量を3.5SCCM(標準条件
における1分当たりのCC数)、製膜室(1)内の圧力
を0.1Pa、アノード(3)の印加電圧を75Vと
し、プラズマ電流が1500mAとなる様にカソード電
源(8)を調整し、イオン加速用電源(23)には電位
差が400Vとなる様にバイアス電圧を印加し、2.5
秒間行った。
【0039】ただし、上記の製膜の前に、製膜室(1)
内にトルエンを75SCCM(標準条件における1分当
たりのCC数)の供給量で流し、圧力を0.2Paと
し、放電を行わずに、カソード電源(8)に通常の製膜
条件よりも最大100Wまで高くなる様に徐々に電圧を
印可し、カソード(2)のカーバイド化を1時間行っ
た。
【0040】次いで、C保護層の表面にパーフルオロポ
リエーテル液体潤滑剤を2nmの厚さで塗布し、磁気記
録媒体とした。
【0041】以上の連続操作により、2万枚の磁気記録
媒体を連続的に製造した。そして、1千枚毎にC保護層
の厚さを測定し、その結果を図2に示した。また、2千
枚毎にラマン分光により膜中の蛍光強度を測定すると共
に製膜1枚目の蛍光強度を1とする相対強度を求め、そ
の結果を図3に示した。図2および図3に示す結果か
ら、C保護層の厚さ変動は±10%以内であり、膜質も
安定していることが分かる。
【0042】比較例1 実施例1において、製膜操作における制御方法として、
カソードへの供給電力(Pf)を一定にし、カソードと
アノード間のプラズマ電圧(VP)を調節することによ
り、プラズマ電流(IP)を一定にする方法を採用した
以外は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を連続的に
製造した。そして、1千枚毎にC保護層の厚さを測定
し、その結果を図4に示した。また、2千枚毎にラマン
分光により膜中の蛍光強度を測定すると共に製膜1枚目
の蛍光強度を1とする相対強度を求め、その結果を図5
に示した。図4および図5に示す結果から、C保護層の
厚さ変動は±10%を超えており、膜質も安定していな
いことが分かる。
【0043】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、炭素が主
成分である膜を連続的に製膜するに当たり、膜厚および
膜質がより一定になる様に改良された製膜方法、およ
び、当該製膜方法を利用した磁気記録媒体の製造方法が
提供され、本発明の工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において好適に使用されるF−pCVD
装置の一例の概念説明図
【図2】実施例1におけるC保護層の厚さ変動を示すグ
ラフ
【図3】実施例1におけるC保護層の蛍光強度相対値
(膜質変動)を示すグラフ
【図4】比較例1におけるC保護層の厚さ変動を示すグ
ラフ
【図5】比較例1におけるC保護層の蛍光強度相対値
(膜質変動)を示すグラフ
【符号の説明】
1:製膜室 2:カソード 3:アノード 4:基板 5:真空チャンバー壁 6:接続管 7:ソケット 8:カソード電源 9:ソケット 10:アノード電源 11:防着部材 12:整流部 13:ガス流路 14:製膜原料ガス供給管 15:昇降アーム 16:支持爪 17:膜厚補正板 17a:膜厚補正板の内周部 18:支持アーム 19:冷却水循環路 20:冷却水供給管 21:アース 22:アース 23:イオン加速用電源
フロントページの続き (72)発明者 笹岡 泰 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 本多 祐二 千葉県流山市西平井956番地の1 株式会 社ユーテック内 Fターム(参考) 4K030 BA06 BA27 BB13 CA02 CA17 FA01 JA16 JA17 LA05 5D112 AA07 AA24 BC05 FA10 FB09 FB21

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製膜室内で真空条件下に加熱されたフィ
    ラメント状カソードとアノードとの間の放電により製膜
    原料ガスをプラズマ状態とし、そして、マイナス電位に
    より上記のプラズマを基板表面に加速衝突させて製膜す
    る、熱フィラメント−プラズマCVD装置を使用し、製
    膜原料ガスとして炭素含有モノマーガスを使用し、炭素
    が主成分である膜を製膜するに当たり、カソードとアノ
    ード間のプラズマ電圧(VP)を一定にし、カソードへ
    の供給電力(Pf)を調節することにより、プラズマ電
    流(IP)を一定にすることを特徴とする製膜方法。
  2. 【請求項2】 非磁性基板上に少なくとも磁性層を形成
    した後に炭素が主成分である保護層を形成する磁気記録
    媒体の製造方法において、請求項1に記載の成膜方法に
    より保護層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の
    製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014025114A (ja) * 2012-07-27 2014-02-06 Yuutekku:Kk プラズマcvd装置、磁気記録媒体の製造方法及び成膜方法

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JP2014025114A (ja) * 2012-07-27 2014-02-06 Yuutekku:Kk プラズマcvd装置、磁気記録媒体の製造方法及び成膜方法

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