JP2000221872A - 視覚障害者用表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 視覚障害者が確実に表示内容を把握すること
ができる視覚障害者用表示装置を提供すること。 【解決手段】 複数のドット形成部材１３をマトリック
ス状に配置し、これらのドット形成部材を機械的に突出
させることにより、表示面１３における凹凸により文字
または数字を表示するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、視覚障害者用表
示装置に関し、特に、触覚により表示内容を認識できる
ようにした視覚障害者用表示装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、各種の装置における表示部や
表示装置においては、例えば演算結果などを伝達する手
段としては、視覚による表示、すなわち、表示画面上に
文字や数字などを表示し、これを視覚によって認識する
ようにしたものがほとんどである。これに対して、近
時、音または音声によって内容を伝達することも行われ
るようになってきている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記視
覚による表示は、光の存在が必要であり、特に、視覚障
害者においては、その内容が正確に把握できないといっ
た課題がある。また、音または音声による伝達の場合
は、視覚障害者にとって、前記視覚による表示のような
不都合はないものの、振動が伝わるための振動媒体（例
えば空気）が必要であるとともに、伝達すべき内容が制
約されるなどの不都合がある。

【０００４】この発明は、上述の事柄に留意してなされ
たもので、その目的は、視覚障害者が確実に表示内容を
把握することができる視覚障害者用表示装置を提供する
ことである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の視覚障害者用表示装置は、複数のドット
形成部材をマトリックス状に配置し、これらのドット形
成部材を機械的に突出させることにより、表示面におけ
る凹凸により文字または数字を表示するようにしている
（請求項１）。

【０００６】上記視覚障害者用表示装置によれば、表示
面における凹凸を指などでなぞることによって表示内容
を触覚によって認識することができ、視覚障害者におい
てその確認を容易に行うことができる。

【０００７】そして、前記ドット形成部材をピンによっ
て構成し、これを電磁石によって突出させるようにして
もよく（請求項２）、また、ドット形成部材をワイヤに
よって構成し、これを電磁石によって突出させるように
してもよい（請求項３）。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１〜図５は、この発明の第１の
実施の形態を示す。この実施の形態においては、この発
明の視覚障害者用表示装置を、切符自動販売機における
投入金額表示部として適用した例を示している。まず、
図１において、１は例えば鉄道の駅の改札口近傍に設け
られる切符自動販売機で、駅舎の壁面２に複数台設置さ
れている。この切符自動販売機１のフロントパネル３に
は、「発売中」や「発売中止」などと表示する状態表示
部４、紙幣投入口５、コイン投入口６、釣り銭受け部
７、金額入力ボタン８、発光体による投入金額表示部９
などのほかに、視覚障害者用の投入金額表示部１０が紙
幣投入口５およびコイン投入口６の近傍に設けられてい
る。

【０００９】前記視覚障害者用投入金額表示部１０の構
成について、図２〜図４をも参照しながら説明すると、
この視覚障害者用投入金額表示部１０は、図２に示すよ
うに、例えば三角錐形状を水平方向に配置した表示本体
１１の上方から手前側に傾斜した面１２に投入金額を表
す部分が形成されている。この表示面１２は、例えば最
高５桁の数字が表示できるように構成された５つの数字
表示部１２ａからなり、各数字表示部１２ａは互いに同
じように構成されており、例えば４×５個のドット表示
部材１３が表示面１２にマトリックス状に設けられてい
る。

【００１０】そして、この実施の形態においては、前記
複数のドット表示部材１３は、例えばピンよりなり、各
ピン１３の裏面側には、図３に示すように、磁性材料よ
りなる駆動軸１４が設けられ、この駆動軸１４の他端側
には電磁石１５およびばね受け１６によって保持された
ばね１７よりなる駆動機構１８が設けられている。そし
て、電磁石１５がオフで動作していない常時において
は、駆動軸１４がばね１７によって矢印Ａ方向に付勢さ
れ、ピン１３の表面１３ａが、図３（Ａ）に示すよう
に、表示面１２と面一（同一平面）となり、電磁石１５
がオンして動作しているときには、駆動軸１４に磁力が
作用して、ばね１７の前記付勢力に抗して矢印Ｂ方向に
移動し、ピン１３の表面１３ａが、図３（Ｂ）に示すよ
うに、前記表示面１２から突出し、数字をドット表示す
るように構成されている。なお、図２（Ａ）は、視覚障
害者用投入金額表示部１０が非動作状態であるときであ
り、同図（Ｂ）は数字の「５」を表示した動作状態であ
る。

【００１１】図４は、前記電磁石１５を駆動する構成を
概略的に示すもので、この図において、１９は各切符自
動販売機１にそれぞれ設けられたＣＰＵで、金額などの
計算機能や各種制御機能を備えている。２０はＣＰＵ１
９からの指令により複数の電磁石１５を適宜駆動する電
磁石駆動回路である。また、図５は、前記切符自動販売
機１における料金投入から切符購入までの手順の一例を
概略的に示すフローチャートである。

【００１２】上記構成の切符自動販売機１においては、
図５に示すような手順により、切符を購入することがで
きるが、視覚障害者用投入金額表示部１０においては、
次のようにして合計金額の表示が行われる。すなわち、
視覚障害者用投入金額表示部１０においては、常時、ピ
ン１３は図３（Ａ）に示す状態となっている。そして、
紙幣またはコインを５２０円分投入すると、図５におけ
るステップＳ１からステップＳ４までの手順により、投
入された金額の合計が求められる。ＣＰＵ１９からは、
前記演算結果に基づいて電磁石駆動回路２０に対して所
定の指令が出力され、これに基づいて、各数字表示部１
２ａにおけるピン１３が図３（Ｂ）に示すように適宜突
出し、図１に示すように、例えば「５２０」という数字
が視覚障害者用投入金額表示部１０にドット表示され、
目の不自由な人は、この視覚障害者用投入金額表示部１
０を指でなぞることにより、投入金額を確認することが
できる。このとき、発光体による投入金額表示部９に
も、「５２０」という数字が表示されることは言うまで
もない。

【００１３】なお、前記ドット表示は、前記確認後、切
符購入のためのボタンを押すことによりクリアされ、各
ピン１３は図３（Ａ）に示す状態に復帰する。

【００１４】図６は、この発明の第２の実施の形態を示
すもので、この図において、２１は数字をドット表示す
るためにマトリックス状に設けられたワイヤーで、２２
は各ワイヤーの他端側に設けられる駆動部で、前記第１
の実施の形態と同様に、電磁石１５およびばね１７より
なる複数の駆動機構１８よりなる。この実施の形態にお
いても、ＣＰＵ１９からの指令に基づいて電磁石駆動回
路２０が動作し、ワイヤー２１が前面に突出し、所定の
数字が凸表示され、上記第１の実施の形態と同様に、指
など触覚によって表示内容を認識することができる。

【００１５】図７は、この発明の第３の実施の形態を示
すもので、図７（Ａ）において、２３は表示面で、この
表示面２３には、桁単位に数字をドット表示するための
複数のピン表示部２４が設けられて、各ピン表示部２４
には、複数のピン２５が水平方向に移動自在に設けられ
ている。すなわち、各ピン２５の背面には、これを適宜
前面に突出させるための押し出し部材２６が移動自在に
設けられるとともに、ピン２５には、図７（Ｂ）に示す
ように、ピン２５を復帰用のばね２７が設けられてい
る。そして、前記押し出し部材２６その前面には数字
１，２，３，…などがそれぞれ凸表示させてある。そし
て、各押し出し部材２６には、これを前方に押し出すた
めの電磁石などのプランジャ部２８と、押し出し部材２
６を復帰させるためのばね２９が設けられている。

【００１６】この実施の形態においては、押し出し部材
２６を前面（ピン２３側）に移動させ、これを裏面側か
ら押圧することにより、その前面に凸表示してある数字
と同じ形状となるようにピン２５が突出し（図７（Ｂ）
参照）、これによって所定の数字が凸表示され、この場
合も、上記各実施の形態と同様に、指など触覚によって
表示内容を認識することができる。

【００１７】上述した各実施の形態においては、切符自
動販売機１における金額表示を例示しているが、この発
明はこれに限られるものではなく、銀行などのキャッシ
ュディスペンサにおける金額表示や、時計の文字盤表示
などにも適用することができる。

【００１８】また、上記実施の形態においては、複数の
ピン１３，２５や複数のワイヤー２１によって数字を表
すようにしていたが、英文字を表すようにしてもよく、
さらには、片仮名や平仮名などを表すようにしてもよ
い。特に、第３の実施の形態においては、片仮名や平仮
名などのほか、一つの表示部２４におけるピン２５の数
を多く設けることにより、簡単な漢字についても表示さ
せることができる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように、この発明において
は、複数のドット形成部材をマトリックス状に配置し、
これらのドット部材を機械的に突出させることにより、
表示面における凹凸により文字または数字を表示するよ
うにしているので、表示面における凹凸を指などでなぞ
ることによって表示内容を触覚によって認識することが
でき、視覚障害者においてその確認を容易に行うことが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第１の実施の形態を説明するための
図で、部分拡大図とともに、駅の切符自動販売機を概略
的に示す図である。

【図２】前記切符自動販売機における視覚障害者用投入
金額表示部を拡大して示す図で、（Ａ）は非動作状態を
示し、（Ｂ）は動作状態を示している。

【図３】前記視覚障害者用投入金額表示部の動作を説明
するための図で、（Ａ）は非動作状態を示し、（Ｂ）は
動作状態を示している。

【図４】前記視覚障害者用投入金額表示部を駆動させる
ための構成を概略的に示す図である。

【図５】前記切符自動販売機における料金投入から切符
購入までの手順の一例を概略的に示すフローチャートで
ある。

【図６】この発明の第２の実施の形態における表示部を
示す斜視図である。

【図７】この発明の第３の実施の形態における表示部を
示す図で、（Ａ）は斜視図、（Ｂ）は縦断面図である。

【符号の説明】 １２…表示面、１３…ドット形成部材、１５…電磁石、
２１…ドット形成部材、２３…表示面、２５…ドット形
成部材、２８…電磁石。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のドット形成部材をマトリックス状
   に配置し、これらのドット部材を機械的に突出させるこ
   とにより、表示面における凹凸により文字または数字を
   表示するようにしたことを特徴とする視覚障害者用表示
   装置。
2. 【請求項２】 ドット形成部材をピンによって構成し、
   これを電磁石によって突出させるようにした請求項１に
   記載の視覚障害者用表示装置。
3. 【請求項３】 ドット形成部材をワイヤによって構成
   し、これを電磁石によって突出させるようにした請求項
   １に記載の視覚障害者用表示装置。