JP2000221459A - 温度制御型光導波路 - Google Patents

温度制御型光導波路

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JP2000221459A
JP2000221459A JP2081199A JP2081199A JP2000221459A JP 2000221459 A JP2000221459 A JP 2000221459A JP 2081199 A JP2081199 A JP 2081199A JP 2081199 A JP2081199 A JP 2081199A JP 2000221459 A JP2000221459 A JP 2000221459A
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JP
Japan
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optical waveguide
core
heating element
heat
temperature
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JP2081199A
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Katsuhiro Kaneko
勝弘 金子
Takeshi Nakai
剛 仲井
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Kyocera Corp
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の温度制御型光導波路では、発熱体によ
りコア部を効率的に加熱することが困難であった。 【解決手段】 温度により屈折率が変化する単一のコア
部2を内蔵するとともに上部にコア部2を加熱する発熱
体4が配設されたコア部2より屈折率が小さいクラッド
部3が、側面と上面との角が面取りされて光回路基板1
上に突出して配置されている温度制御型光導波路であ
る。発熱体4からの熱を発散させることなくコア部2に
伝導させることができ、コア部2を効率的に加熱して動
作させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光通信システム等に
用いられる熱光学効果を利用した光スイッチング素子等
に好適な温度制御型の光導波路に関し、特にコア部に対
する発熱体による加熱効率を高めた温度制御型光導波路
に関する。
【0002】
【従来の技術】光通信システム等に用いられる光部品の
一つとして、2つの光導波路間に配置されて光信号の経
路を切り換えるために用いる光スイッチング素子があ
る。
【0003】このような光スイッチング素子としては、
熱によりコア部の屈折率の変化を生じさせる熱光学効果
を利用したものがあり、温度制御型の光導波路が用いら
れる。このような温度制御型光導波路を用いた光スイッ
チング素子の例を図5に斜視図で、また図6に断面図で
示す。これら図5および図6は、熱光学効果を利用した
三次元導波路形状の温度制御型光導波路による光スイッ
チング素子を用いた、対称マッハツェンダ型光スイッチ
ング素子の例を示すものである。
【0004】これらの図において、1は基板、2および
3は基板1上に形成された三次元導波路形状の光導波路
のそれぞれコア部およびクラッド部であり、コア部2は
クラッド部3内に形成されている。また、4はコア部2
の一部に設ける光スイッチング素子の部分に対応してコ
ア部2の一部を覆うようにクラッド部3上に形成された
発熱体であり、この部分に温度制御型光導波路が形成さ
れて光スイッチング素子として機能する。
【0005】このような温度制御型光導波路を用いた光
スイッチング素子によれば、コア部2に対して入力1の
ポートから入射した光は、分岐部で2分岐されてそれぞ
れの経路を伝搬した後、合部で干渉する。このとき、分
岐部から合部までの2つの経路で位相差がπの偶数倍で
あれば、合部で干渉した光は出力2のポートのみに導か
れる。一方、分岐部から合部までの2つの経路で位相差
がπの奇数倍であれば、合部で干渉した光は出力1のポ
ートのみに導かれる。
【0006】ここで、発熱体4を発熱させない場合は、
発熱体4の下部のコア部2ともう一方の経路のコア部2
とで位相差は0であるので光は出力2のポートに導かれ
る。
【0007】また、発熱体4を発熱させると熱光学効果
により発熱体4の下部の光導波路のコア部2およびクラ
ッド部3の屈折率を変化させることができ、これによっ
て位相差が生じるため、その位相差がπの奇数倍であれ
ば合部で干渉した光は出力1のポートに導かれる。この
ような動作原理により、光のスイッチング動作を得るこ
とができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図5お
よび図6に示すような従来の温度制御型光導波路におい
ては、発熱体4からの熱はクラッド部3内を発散しなが
ら伝導するために、発熱体4の下部の光導波路のコア部
2およびクラッド部3のみを効率的に加熱することがで
きず、コア部2に対する発熱体4による加熱効率が悪い
という問題点があった。
【0009】本発明は上記従来技術における問題点に鑑
みてなされたものであり、その目的は、熱光学効果を利
用してコア部の屈折率を変化させる際に、発熱体からの
熱を発散させることなく効率的にコア部に伝導すること
ができ、発熱体の下部に位置する光導波路のコア部およ
びクラッド部を効率的に加熱することができる温度制御
型光導波路を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の温度制御型光導
波路は、温度により屈折率が変化する単一のコア部を内
蔵するとともに上部にこのコア部を加熱する発熱体が配
設された前記コア部より屈折率が小さいクラッド部が、
側面と上面との角が面取りされて光回路基板上に突出し
て配置されていることを特徴とするものである。
【0011】すなわち、本発明の温度制御型光導波路
は、光回路基板等の基板上に突出して配置され、側面と
上面との角が面取りされたクラッド部と、このクラッド
部内に形成された屈折率が前記クラッド部より大きくか
つ温度により変化する単一のコア部と、前記クラッド部
上に形成された前記コア部を加熱するための発熱体とか
ら成ることを特徴とするものである。
【0012】本発明の温度制御型光導波路によれば、温
度により屈折率が変化する単一のコア部を内蔵するとと
もに上部にこのコア部を加熱する発熱体が配設されたコ
ア部より屈折率が小さいクラッド部が、側面と上面との
角が面取りされて光回路基板上に突出して配置されてい
ることから、従来の温度制御型光導波路のように発熱体
からの熱が基板の横方向に沿ってクラッド部内を広く発
散してしまうことがない。また、発熱体からの熱は熱伝
導のよい媒質中を伝搬する性質があるために、クラッド
部の周囲に存在する空気よりも熱伝導性の高いクラッド
部内を伝搬し、基板から突出して形成され側面が露出し
たクラッド部の側面から空気に発散することもないの
で、発熱体からの熱は発熱体の下部の光導波路のみに閉
じ込められて伝播することとなる。さらに、基板上に突
出して配置されたクラッド部の側面と上面との角が面取
りされ、上部の両角が除去された断面形状としたことに
より、加熱する必要がない部分であるクラッド部の上角
に熱が伝搬することがなくなるので、発熱体からの熱の
伝搬方向を発熱体の下方に位置するコア部の方向へより
効率よく集中させることができる。
【0013】従って、本発明の温度制御型光導波路によ
れば、従来の温度制御型光導波路に比べて、発熱体から
の熱を発散させることなく効率的にコア部に伝導するこ
とができ、発熱体の下方に位置する光導波路のコア部お
よびクラッド部を効率的に加熱することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の温度制御型光導波
路について図面を参照しつつ説明する。
【0015】図1は本発明の温度制御型光導波路の実施
の形態の一例を示す断面図である。
【0016】図1において、1は光回路基板としての基
板、2および3は光導波路のそれぞれコア部およびクラ
ッド部である。クラッド部3は基板1上に突出して配置
され、その側面が空気中に露出している。ここで、クラ
ッド部3は側面と上面との角が面取りされており、その
断面形状において矩形形状の上部の両角が除去されたよ
うなものとなっている。また、クラッド部3は、その屈
折率がコア部2の屈折率より小さい媒質により形成され
ている。クラッド部3内に形成されて内蔵されたコア部
2は、屈折率がクラッド部3より大きくかつ温度により
屈折率が変化する媒質で形成されており、クラッド部3
内に単一のコア部として形成されている。
【0017】4はクラッド部3の上部に配設された発熱
体であり、この例では角が面取りされたクラッド部3の
上面に被着形成されている。このような構成により、こ
の発熱体4からの熱によりコア部2の温度を加熱して制
御し、その屈折率を変化させることによって、例えば光
スイッチング素子等に好適な温度制御型光導波路とな
る。
【0018】このような本発明の温度制御型光導波路
は、光導波路のクラッド部3の側面が基板1上に露出し
た、いわゆるリッジ型構造であり、さらに、クラッド部
3の側面と上面との角が面取りされて、その上部の両角
が除去された断面形状を有していることを特徴としてい
る。このような構成により、発熱体4からの熱は熱伝導
の良い媒質中を伝搬する性質があるために、空気よりも
熱伝導性の高いクラッド部3内を伝搬し、基板から突出
して配置され側面が露出したクラッド部3の側面から空
気中に発散することもないので、発熱体4からの熱は発
熱体の下部の光導波路のみに閉じ込められて伝導してい
くこととなる。さらに、基板1上に突出して配置された
クラッド部3の断面が面取りによって矩形形状から上部
の両角が除去されたような形状とされていることによ
り、加熱する必要がない部分であるクラッド部3の上部
の角部に熱が伝搬することがなくなるので、発熱体4か
らの熱の伝導方向を発熱体4の下部に位置するコア部2
の方向へより効率よく集中させることができる。
【0019】従って、本発明の温度制御型光導波路によ
れば、従来の温度制御型光導波路に比べて、発熱体4か
らの熱を発散させることなく効率的にコア部2に伝導す
ることができ、発熱体4の下部に位置する光導波路のコ
ア部2およびクラッド部3を効率的に加熱することがで
きる。
【0020】本発明の温度制御型光導波路において、基
板1には、光集積回路基板や光電子混在基板等の光信号
を扱う光回路基板として使用される種々の基板、例えば
シリコン基板やアルミナ基板・ガラスセラミック基板・
多層セラミック配線基板等が使用できる。
【0021】基板1上に形成されて基板1から突出する
ように配置される光導波路は、クラッド部3中にコア部
2が形成された三次元導波路形状の光導波路であり、そ
の形成材料としては、例えばシリカ・ニオブ酸リチウム
・GaAs・ポリイミド・フッ素樹脂・フッ化ポリイミ
ド・シロキサン系ポリマ・PMMA(ポリメチルメタア
クリレート)・オレフィン系樹脂等を用いればよい。中
でも、ポリイミド・フッ素樹脂・フッ化ポリイミド・シ
ロキサン系ポリマ・オレフィン系樹脂等の有機系材料
は、シリカなどの無機系材料に比べて熱膨張係数が大き
いために大きな熱光学効果を有するので、温度制御型光
導波路を駆動する際の消費電力を小さくすることができ
るといった点で好適なものとなる。
【0022】また、発熱体4としては、Al・Cu・T
a・Au・Ag・W・Ti・Cr・Ni等からなる金属
抵抗体等を用いることができる。
【0023】発熱体4とコア部2の上面との間のクラッ
ド部3の厚さとしては、厚いほど発熱体4からの熱が発
散して伝搬するためにコア部2およびコア部2近傍のク
ラッド部3を効率的に加熱することができなくなるの
で、できる限り薄くする方がよい。
【0024】しかしながら、クラッド部3の厚さが十分
でなく伝搬する光の電磁界成分が発熱体4にかかるよう
な場合は、金属等で構成される発熱体4で光が吸収され
ることにより光信号の損失を発生させることとなるの
で、コア部2およびコア部2近傍のクラッド部3を伝搬
する光の電磁界成分が発熱体4の位置では充分に小さく
なるような厚さが必要である。実際には、周知の光導波
路理論による計算を行なって必要な厚さを求めればよ
い。
【0025】なお、クラッド部3の上部に発熱体4を配
設する場合には、図1あるいは図2(a)に示したよう
にクラッド部3の上面の平坦な部分に形成するほかに
も、図2(b)に示したようにクラッド部3の上面の曲
面の部分に形成しても、図1に示したクラッド部3の斜
面の部分や図2(a)に示したクラッド部3の曲面の部
分にまで延長させて形成してもよい。いずれの場合も、
発熱体4はコア部2により導波光が伝搬される方向にお
いてコア部2の一部に対向させて形成される。
【0026】また、発熱体4の幅としては、発熱体4と
クラッド部3表面との密着性を確保でき、発熱した際の
熱の横方向への発散が小さくコア部2を効率よく加熱す
ることができることを考慮して、例えばコア部2と同程
度の幅とすればよい。
【0027】基板1上に突出して配置されたクラッド部
3の断面形状、すなわちその側面と上面との角が面取り
され、上部の両角が除去された断面形状としては、温度
制御型光導波路において加熱する必要がない部分である
クラッド部3の上両角部がないようにするのが目的であ
るので、図1に示したような矩形断面の上角部が斜面に
よって直線的に除去されたような断面形状の他にも、図
1と同様の断面図で図2(a)に示すような矩形断面の
上角部が滑らかに円弧状に除去されたような断面形状
や、図2(b)に示すような矩形断面の上部がコア部2
を中心とした半円状に除去されたような断面形状など、
種々の断面形状とすることができる。
【0028】このようにクラッド部3を基板1から突出
させて形成し、その側面が露出したいわゆるリッジ型構
造とし、さらにクラッド部3の側面と上面との角が面取
りされた光導波路を形成するには、クラッド部3の側面
を機械的な切削により形成したり、反応性ドライエッチ
ングやエキシマレーザによりクラッド部3をエッチング
するなどしてリッジ型構造を形成し、その後に、リッジ
型構造のクラッド部3の上角部を機械的に切削したり、
反応性ドライエッチングやエキシマレーザによりエッチ
ングするなどして、上部の両角が除去された所望の断面
形状を有するものとすればよい。
【0029】また、クラッド部3の側面を機械的な切削
により形成したり、反応性ドライエッチングやエキシマ
レーザによりクラッド部3をエッチングするなどしてリ
ッジ型構造を形成した後に、等方的なエッチング条件で
の反応性ドライエッチングやウエットエッチングを行な
うことにより、リッジ型構造の上角部が優先的に除去さ
れるので、本発明で提案する構造の光導波路を得ること
ができる。
【0030】さらに、金属等からなるレジストマスクパ
ターンをクラッド部3上に形成した後、まず等方的なエ
ッチング条件、すなわちレジストマスクパターン下のク
ラッド部3もエッチングされ断面が台形状となるような
条件での反応性ドライエッチングを行ない、その後、異
方性の強い条件で反応性ドライエッチングを行なってリ
ッジ型構造とする加工を行なえば、リッジ型構造の上部
の等方的なエッチング条件で加工した領域は斜面とな
り、リッジ型構造の下部の異方性の強い条件で加工した
領域はほぼ垂直な側面となるので、これによっても本発
明で提案する構造の光導波路を得ることができる。
【0031】コア部2の側面とリッジ型側面との間のク
ラッド部3の厚さとしては、厚いほど発熱体4からの熱
が発散して伝搬するためにコア部2およびコア部2近傍
のクラッド部3を効率的に加熱することができなくなる
ので、できる限り薄くする方がよい。実際には、周知の
光導波路理論により、コア部2・クラッド部3・クラッ
ド部3の外側の空気との3部の構造で所望の光導波路構
造を設計して厚さを決定すればよい。
【0032】クラッド部3が基板1から突出した高さ、
すなわちリッジ部の深さとしては、リッジ部の深さが深
いほど発熱体4からの熱は発散することなくリッジ部内
のクラッド部3中に閉じ込められるので、リッジ部内の
クラッド部3およびコア部2を効率的に加熱することが
できる。
【0033】これに関して、図3にこのクラッド部3の
突出高さによるコア部2の加熱効率の改善効果を線図で
示す。なお、ここでは基板1をシリコンとし、光導波路
のクラッド部3・コア部2ともシリカで形成して、コア
部2を幅8μm×高さ8μmとし、コア部2の上面と発
熱体4との間のクラッド部3の厚さを12μmとし、ま
た、基板1とコア部2との間のクラッド部3の厚さを12
μmとした。また、コア部2の上方の位置でクラッド部
3の上面に幅8μmの発熱体4を形成し、一定の熱を放
出する構造とした。
【0034】図3において、横軸は基板1からのクラッ
ド部3の突出高さ(単位:μm)を、縦軸はコア部2の
中心部の温度上昇の相対値を、クラッド部3の突出高さ
が0すなわち図6に示すような従来の構造のものを基準
として表している。また、図中の黒四角で示した点は得
られた結果を、特性曲線はその変化の様子を示すもので
ある。
【0035】図3に示す結果より、クラッド部3の突出
高さが高いほど、すなわちリッジ部の深さが深いほどク
ラッド部3内のコア部2を効率的に加熱することができ
ることが分かる。とりわけ、クラッド部3の突出高さが
コア中心部の高さに相当する16μmに達すると、コア部
2の中心部の温度上昇の相対値は、突出高さが0、すな
わちリッジ形状の深さが0の場合である従来構造に比べ
て1.5 倍の値となり、コア部2を効率よく加熱できてい
ることが分かる。
【0036】さらに、突出高さが32μmに達し、リッジ
部の深さがクラッド部3の最下部に達すると、コア部2
の中心部の温度上昇の相対値は従来構造に比べて約2.2
倍の値となる。これは同様の熱光学効果を得るのに必要
な発熱体4の発熱量が従来の構造に比べて1/2.2 とな
ること、つまり消費電力が従来の0.45倍となる低消費電
力化が図れることを示すものである。
【0037】また、突出高さが6μmの場合にも、コア
部2の中心部の温度上昇の相対値は従来構造に比べて1.
05倍の値となり、突出高さが低くリッジ部の深さが浅い
場合であっても、従来に比べて発熱体4の下部に位置す
るコア部2を効率的に加熱する効果が得られることが分
かる。
【0038】次に、図4に、このクラッド部3の上角部
を除去した場合のコア部2の加熱効率の改善効果を線図
で示す。なお、ここでは基板1をシリコンとし、光導波
路のクラッド部3・コア部2ともシリカで形成して、コ
ア部2を幅8μm×高さ8μmとし、コア部2の上面と
発熱体4との間のクラッド部3の厚さを12μmとし、ま
た、基板1とコア部2との間のクラッド部3の厚さを12
μmとし、クラッド部3の基板1からの突出高さを32μ
mとした。また、コア部2の上方の位置でクラッド部3
の上面に幅8μmの発熱体4を形成し、一定の熱を放出
する構造とした。
【0039】クラッド部3の上角部をなくした形状とし
ては、同図中に断面図を示したように、クラッド部3の
矩形断面において、コア部2の中心部から矩形上側頂点
を結んだ直線に垂直となる線を斜辺として有するような
構造のものとした。
【0040】図4において、横軸は、同図中に断面図で
示したように、コア部2の中心部からクラッド部3の斜
面までの距離、すなわちクラッド部3の矩形断面におい
てコア部2の中心部から矩形上側頂点を結んだ直線に垂
直な斜辺までの距離X(単位:μm)を、縦軸はコア部
2の中心部の温度上昇の相対値を、距離Xが22.6μmす
なわち矩形断面の構造のものを基準として表している。
また、図中の黒四角で示した点は得られた結果を、特性
曲線はその変化の様子を示すものである。
【0041】図4に示す結果より、距離Xが短いほど、
すなわちクラッド部3の上角部をなくす量が多いほどク
ラッド部3内のコア部2を効率的に加熱することができ
ることが分かる。とりわけ、距離Xが13.6μmの場合に
は斜辺の端部が発熱体4の端部に達することとなり、コ
ア部2の中心部の温度上昇の相対値は矩形断面の構造の
場合に比べて1.065 倍の値となって、コア部2を効率よ
く加熱できていることが分かる。
【0042】また、このようにクラッド部3の上部の両
角を斜面によって除去する場合は、その斜面の下端がコ
ア部2の上面とほぼ同じ高さとなるようにすると、加熱
効率の向上の効果がもっとも良好なものとなる。このと
き、斜面の角度は、発熱体4の寸法やクラッド部3の熱
伝導率等の仕様に応じて、適宜変化させて最適化すれば
よい。
【0043】
【実施例】次に、本発明の温度制御型光導波路について
具体例を説明する。
【0044】〔例1〕図1に示す構成の本発明の温度制
御型光導波路として、シリコンから成る基板1上に、ク
ラッド部3がシロキサンポリマから成り、コア部2がチ
タン含有シロキサンポリマから成るステップインデック
ス型光導波路を形成した。このときコア部2およびクラ
ッド部3の屈折率をそれぞれ1.444 および1.440 とし
て、コア部2を幅8μm×高さ8μmとし、コア部2の
上面と発熱体4との間のクラッド部3の厚さを12μm、
基板1とコア部2との間のクラッド部3の厚さを12μm
とした。
【0045】次いで、これをRIE(Reactive Ion Etc
hing:反応性イオンエッチング)によりエッチング加工
してクラッド部3の側面を形成し、クラッド部3を基板
1から突出させてリッジ形状を形成した。このとき、コ
ア部2の側面とリッジ型側面との間のクラッド部3の厚
さは12μmとし、リッジ形状の深さすなわちクラッド部
3の突出高さは12μmとした。さらに、ブレード先端の
形状がテーパー状のダイヤモンドブレードによりリッジ
型の上角部を切削して図1に示すような断面形状の光導
波路を形成した。
【0046】次に、クラッド部3上にタングステン薄膜
をスパッタリング法により形成した後、フォトリソグラ
フィならびにエッチングを行ない、タングステンから成
る発熱体4を形成した。
【0047】このようにして図1に示す構成の本発明の
温度制御型光導波路を作製した。
【0048】〔例2〕次に、〔例1〕の本発明の温度制
御型光導波路を用いた光スイッチを作製した。〔例1〕
と同様に、シリコンから成る基板1上に、コア部2が屈
折率が1.444で幅8μm×高さ8μmのチタン含有シロ
キサンポリマから成り、クラッド部3が屈折率が1.440
のシロキサンポリマから成り、コア部2の上面のクラッ
ド部3の厚さを12μm、基板1とコア部2との間のクラ
ッド部3の厚さを12μmとして、上面に発熱体を有しな
いステップインデックス型光導波路を形成して、マッハ
ツェンダ型光回路を形成した。
【0049】次いで、このマッハツェンダ型光回路の2
つのアームのうち一方のクラッド部3を、等方的なエッ
チング条件と異方性の強いエッチング条件の2つの条件
でRIE加工を行ない、上部の両角に斜面を有し、矩形
の上角部が除去された形状の断面を有する図1に示す形
状のリッジ型構造を形成した。このとき、コア部2の側
面とリッジ型側面との間のクラッド部3の厚さは12μ
m、深さは32μm、コア部2の中心部から斜面までの距
離を約14μm、長さは1cmとした。
【0050】次に、タングステン薄膜をスパッタリング
法により形成した後、フォトリソグラフィならびにエッ
チングを行ない、タングステンからなる発熱体4を形成
した。これにより、本発明の温度制御型光導波路と、上
面に発熱体を有しない光導波路とによるマッハツェンダ
型光回路の光スイッチを作製した。
【0051】このようにして作製した本発明の温度制御
型光導波路を用いた光スイッチについての特性を評価す
るため、入力側ポートの1つにLD(レーザダイオー
ド)光を入射し、発熱体4に通電して発熱させ、通電消
費電力に対する出力側ポートからの出射光強度の変化を
測定したところ、出射光のON−OFFスイッチングに
必要な最小電力は約280 Wであった。これは、従来構造
のものに比べて1/2以下の低消費電力化を示す結果で
あった。
【0052】〔例3〕〔例2〕で示した本発明の温度制
御型光導波路を用いた光スイッチとの比較のために、従
来の温度制御型光導波路を用いた同様の光スイッチを作
製した。
【0053】シリコンから成る基板上に、コア部が屈折
率が1.444 で幅8μm×高さ8μmのチタン含有シロキ
サンポリマから成り、クラッド部が屈折率が1.440 のシ
ロキサンポリマから成り、コア部の上面のクラッド部の
厚さを12μm、基板とコア部との間のクラッド部の厚さ
を12μmとして、ステップインデックス型光導波路を形
成した。
【0054】次に、タングステン薄膜をスパッタリング
法により形成した後、フォトリソグラフィならびにエッ
チングを行ない、タングステンから成る発熱体を形成し
て、図5・図6に示す構成のマッハツェンダ型光回路を
形成した。
【0055】このようにして作製した従来構造の温度制
御型光導波路を用いた光スイッチについての特性を評価
するため、入力側ポートの1つにLD光を入射し、発熱
体に通電して発熱させ、通電消費電力に対する出力側ポ
ートからの出射光強度の変化を測定したところ、出射光
のON−OFFスイッチングに必要な最小電力は650W
であった。これは〔例2〕で示した本発明の温度制御型
光導波路を用いた場合の光スイッチに比べて消費電力が
2倍以上の値となっており、本発明の温度制御型光導波
路によれば、コア部を効率的に加熱することができ、消
費電力を低減できることが確認できた。
【0056】以上により、本発明の温度制御型光導波路
によれば、発熱体からの熱を発熱体が接しているクラッ
ド部内に閉じ込めて、しかも余分な部分に伝搬させるこ
となくクラッド部内に伝搬させて発熱体の下方に位置す
るコア部に効率的に伝導させることができることから、
従来構造の温度制御型光導波路に比べて高効率かつ低消
費電力の光スイッチング素子を得ることができることが
確認できた。
【0057】なお、以上はあくまで本発明の実施の形態
の例示であって、本発明はこれらに限定されるものでは
なく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や改
良を加えることは何ら差し支えない。例えば、露出させ
たクラッド部の外側は空気である以外に、窒素やアルゴ
ンなどの不活性ガスで満たされていてもよく、真空であ
ればさらに高い断熱効果が得られる。また、クラッド部
よりも熱伝導性の小さい材料で被覆されていてもよい。
【0058】
【発明の効果】以上のように、本発明の温度制御型光導
波路によれば、温度により屈折率が変化する単一のコア
部を内蔵するとともに上部にこのコア部を加熱する発熱
体が配設されたコア部より屈折率が小さいクラッド部
が、側面と上面との角が面取りされて光回路基板上に突
出して配置されていることから、従来の温度制御型光導
波路のように発熱体からの熱が基板の横方向に沿ってク
ラッド部内を広く発散してしまうことがなく、発熱体か
らの熱は発熱体の下部の光導波路のみに閉じ込められて
伝搬することとなり、さらに、突出して配置されたクラ
ッド部の側面と上面との角が面取りされ、上部の両角が
除去された断面形状となっていることから、加熱する必
要がない部分であるクラッド部の上角に熱が伝搬するこ
とがなくなるので、発熱体からの熱の伝搬方向を発熱体
の下部のコア部方向へとより集中させることができ、発
熱体の下方に位置する光導波路のコア部およびクラッド
部を効率的に加熱することができた。
【0059】以上により、本発明によれば、熱光学効果
を利用してコア部の屈折率を変化させる際に、発熱体か
らの熱を発散させることなく効率的にコア部に伝導する
ことができ、発熱体の下部に位置する光導波路のコア部
およびクラッド部を効率的に加熱することができる温度
制御型光導波路を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の温度制御型光導波路の実施の形態の一
例を示す断面図である。
【図2】(a)および(b)は、それぞれ本発明の温度
制御型光導波路の実施の形態の他の例を示す断面図であ
る。
【図3】本発明の温度制御型光導波路におけるクラッド
部の突出高さに対するコア部の中心部の温度上昇の相対
値の変化を示す線図である。
【図4】本発明の温度制御型光導波路におけるクラッド
部の上角部を除去した場合のコア部の加熱効率の改善効
果を示す線図である。
【図5】従来の温度制御型光導波路を用いた光スイッチ
の例を示す斜視図である。
【図6】従来の温度制御型光導波路の例を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1・・・基板(光回路基板) 2・・・光導波路のコア部 3・・・光導波路のクラッド部 4・・・発熱体

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度により屈折率が変化する単一のコア
    部を内蔵するとともに上部に該コア部を加熱する発熱体
    が配設された前記コア部より屈折率が小さいクラッド部
    が、側面と上面との角が面取りされて光回路基板上に突
    出して配置されていることを特徴とする温度制御型光導
    波路。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004151700A (ja) * 2002-10-07 2004-05-27 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 平面回路型光学素子およびその製造方法
JP2011150297A (ja) * 2009-12-25 2011-08-04 Keio Gijuku 導波路型光ゲートスイッチ

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