JP2000219700A - カルボキシメチル化タンパク質に対する抗体 - Google Patents

カルボキシメチル化タンパク質に対する抗体

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JP2000219700A
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Masakimi Horiuchi
正公 堀内
Tatsuji Nagai
竜児 永井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カルボキシメチル化タンパク質に対する抗体
の提供。 【解決手段】 タンパク質又はペプチド中に存在する、
側鎖のアミノ基がカルボキシメチル化されたアミノ酸と
反応し、側鎖のアミノ基がカルボキシエチル化されたア
ミノ酸と反応しない抗体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンパク質又はペ
プチド中に存在する、側鎖のアミノ基がカルボキシメチ
ル化されたアミノ酸と反応し、側鎖のアミノ基がカルボ
キシエチル化されたアミノ酸と反応しない抗体、該抗体
を用いた糖尿病合併症の検出方法、及び前記抗体の用途
に関する。
【0002】
【従来の技術】生体中のタンパク質は還元糖と非酵素的
に反応して糖化される。この反応は、一般的にメイラー
ド反応と呼ばれており、前期段階及び後期段階の反応か
ら構成される。メイラード反応の前期段階は、タンパク
質を構成するアミノ酸の側鎖アミノ基やN末端アミノ基
が糖のカルボニル基と反応し、シッフ塩基を経由してア
マドリ転位化合物を生成するというものである。この反
応の生成物として、ヘモグロビンA1Cや糖化アルブミン
が知られており、該生成物は糖尿病の臨床マーカーとし
て広く用いられている。基本的には、現在では生体内の
すべてのタンパク質が糖化されると考えられており、そ
の結果としてのタンパク質の機能障害が数多く報告され
ている。
【0003】メイラード反応の後期段階は、前期段階に
より生成したアマドリ転位化合物が、脱水、酸化、縮合
といった複雑な不可逆的反応を経て、蛍光性、褐色変化
あるいは分子内・分子間架橋形成を特徴とするメイラー
ド反応の最終生成物を生じる段階である。そして、後期
段階の最終生成物はAGE(Advanced Glycation End produ
cts)と呼ばれる。AGEは、複数の構造体の集合であると
考えられており、その定量は蛍光強度の測定、機器分
析、抗原抗体反応などにより行われている。現在までに
AGEの構造体として、ピラリン、ペントシジン、クロス
リン、カルボキシメチルリシン(CML)などが提唱されて
いる(Biochemistry vol.35, No.24, 8075-8083, 1996
他)が、反応経路や構造体の存在意義に関しては未だに
詳細になっていない。
【0004】AGEに関する上記物理化学的な特色に加
え、AGEはマクロファージの細胞膜レセプターによって
特異的に認識されるという生物学的な特色を持ち、大い
に注目されている。さらに、糖尿病や老化現象にみられ
る細小血管障害(腎症、網膜症、末梢神経障害など)、
動脈硬化、白内障、皮膚・血管・関節の結合組織の硬化
・肥厚など種々の組織障害部位にAGEの存在が確認され
ている(Horiuchi S. et al., Nephrol. Dial. Transpl
ant. 11(5)(1996))。従って、AGEはこれらの組織障害
の発症に深く関与していると考えられ、AGEに関し、医
学研究や臨床検査の分野での重要性が増している。
【0005】ところで、ブドウ糖由来アマドリ転位化合
物の酸化的開裂による代表的な生成物であるカルボキシ
メチルリシン(CML)は、1986年に同定されて以来(Ahm
ed MU et al.,J. Biol. Chem.261, 4889-94(1986))、
上述したような糖尿病や老化現象との関連で注目を集め
てきた。ヒト皮膚コラーゲン中のCML濃度が、糖尿病患
者で有意に高いとの報告(Dyer DG.et al.,J. Clin. In
vest,91(6),2463-9(1993))をはじめとし、組織中のCML
濃度が糖尿病の進行や加齢により有意に増加するという
報告が多くなされてきた。また、AGEに対する抗体のエ
ピトープに関する研究により、CMLはAGEの主要な構造体
であることが明らかにされてきた(Ikeda K.et al.,Bi
ochem.35,8075-83(1996))。
【0006】一方、近年、AGEの新たな構造体として、C
MLに酷似した構造のカルボキシエチルリシン(CEL)が見
出され、ガスクロマトグラフィー/質量分析法によりヒ
トのレンズ蛋白質中の濃度が加齢に伴い増加することが
明らかとなった(Ahmed MU.et al.,Biochem Journal,32
4, 565-570(1997))。CELは、タンパク質中のリシンの側
鎖がメチルグリオキサール(MGO)によりカルボキシエチ
ル化(CE化)されると考えられている。MGOは、解糖系
におけるトリオースリン酸の分解産物やアセトールの代
謝産物として存在し、糖尿病患者の血液中で増加してい
るという報告がある(Mclellan AC et al., Clinical S
cience87, 21-29 (1994))。また、in vitroでも、高濃
度の糖を含む培地で赤血球を培養すると細胞中のMGO濃
度が上昇することが知られている。
【0007】上述したように、CMLおよびCELは、AGE構
造体として重要であることが示されつつある。しかしな
がら、両者の構造が炭素数で1つ異なるのみという非常
に類似しているものであるため、簡便に両者を識別して
測定する方法がなく、糖尿病合併症や老化に関連した種
々の生理学的側面について明確になっていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、タンパク質
又はペプチド中に存在する、側鎖のアミノ基がカルボキ
シメチル化されたアミノ酸と反応し、側鎖のアミノ基が
カルボキシエチル化されたアミノ酸と反応しない抗体、
該抗体を用いた糖尿病合併症の検出方法、及び前記抗体
の用途を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意研究行った結果、アミノ酸側鎖のアミ
ノ基がカルボキシメチル化されたタンパク質又はペプチ
ドを抗原として用い、さらに、カルボキシエチル化され
たタンパク質又はペプチドをスクリーニングに用いるこ
とにより、タンパク質又はペプチド中に存在する、側鎖
のアミノ基がカルボキシメチル化されたアミノ酸と反応
し、側鎖のアミノ基がカルボキシエチル化されたアミノ
酸と反応しない抗体、すなわち、カルボキシエチル化さ
れたタンパク質又はペプチドとの識別が可能な抗体の作
製に成功し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、タンパク質又はペプ
チド中に存在する、側鎖のアミノ基がカルボキシメチル
化されたアミノ酸と反応し、側鎖のアミノ基がカルボキ
シエチル化されたアミノ酸と反応しない抗体である。カ
ルボキシメチル化されたアミノ酸としては、例えばN-ε
-カルボキシメチルリシンが挙げられる。また、前記抗
体はポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよ
い。モノクローナル抗体としては、例えば受託番号がFE
RM P-17153であるハイブリドーマにより産生されるもの
が挙げられる。
【0011】さらに、本発明は、前記抗体と、側鎖のア
ミノ基がカルボキシメチル化されたアミノ酸を少なくと
も一部に含むタンパク質又はペプチドとを反応させるこ
とを特徴とする前記タンパク質又はペプチドの測定方法
である。さらに、本発明は、前記抗体と、前記タンパク
質またはペプチドとを反応させることを特徴とする糖尿
病合併症の検出方法である。糖尿病合併症としては、糖
尿病性腎症、網膜症、神経障害などの糖尿病性細血管合
併症、あるいは動脈硬化症に代表される糖尿病大血管合
併症等が挙げられる。
【0012】さらに、本発明は、前記抗体と、側鎖のア
ミノ基がカルボキシメチル化されたアミノ酸を少なくと
も一部に含むタンパク質又はペプチドとを反応させ、得
られる反応産物から前記タンパク質又はペプチドを採取
することを特徴とする前記タンパク質又はペプチドの製
造方法である。さらに、本発明は、前記抗体を含む、側
鎖のアミノ基がカルボキシメチル化されたアミノ酸を少
なくとも一部に含むタンパク質又はペプチドの検出用試
薬である。さらに、本発明は、前記抗体を含む、糖尿病
合併症検出用試薬又は免疫組織染色用試薬である。以
下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者は、側鎖のアミノ基がカ
ルボキシメチル化されたアミノ酸を少なくとも一部に含
むタンパク質又はペプチド(以下、「カルボキシメチル
化タンパク質」又は「CM化タンパク質」という)が糖尿
病合併症の発症や老化現象に深く関与していることに着
目した。一方、別のAGE構造体の一つとして、側鎖のア
ミノ基がカルボキシエチル化(CE化)されたアミノ酸が挙
げられるが、CM化されたアミノ酸とCE化されたアミノ酸
との構造は非常に酷似している。
【0014】そこで、本発明者は、CM化タンパク質が糖
尿病合併症の発症や老化現象に与える生理学的な機能を
明らかにするには、CM化タンパク質を、CE化タンパク質
と識別して検出、測定する方法が必要であると考えた。
従って、本発明は、CM化タンパク質と特異的に反応する
が、CE化タンパク質とは反応しない抗体を提供するもの
であり、この抗体によって非常に酷似した構造であるCE
化タンパク質との分別又は識別することを可能とする手
法を提供するものである。
【0015】本発明において「カルボキシメチル化タン
パク質」又は「CM化タンパク質」とは、タンパク質又は
ペプチドを構成するアミノ酸において、側鎖のアミノ基
がカルボキシメチル化されたアミノ酸を少なくとも一部
に含むものを意味する。「少なくとも一部」とは、当該
タンパク質又はペプチドを構成するアミノ酸であって側
鎖にアミノ基を有するアミノ酸全体のうち、アミノ基が
1個CM化されている限り個数に制限はないことを意味す
る。従って、1個のアミノ基がCM化されているものでも
よく、全部のアミノ基がCM化されているものでもよく、
CM化されたものとCE化されたものとが混在してもよい。
少なくとも1個のアミノ基がCM化されたアミノ酸がペプ
チド又はタンパク質中に存在する限り、残りのアミノ基
がCE化されたアミノ酸が含まれていても、そのようなペ
プチド又はタンパク質は本発明におけるCM化タンパク質
に含まれる。この場合、本発明の抗体は当該ペプチド又
はタンパク質中に存在するアミノ酸のうち、側鎖のアミ
ノ基がCM化されたアミノ酸と反応することができる。ま
た、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸の種類は特に限定
されるものではなく、例えばリシン、アルギニン、アス
パラギン、グルタミンが挙げられるが、リシン(例えば
N-ε-カルボキシメチル化リシン)が好ましい。
【0016】一方、本発明において「CE化タンパク質」
とは、少なくとも一部の側鎖のアミノ基がカルボキシエ
チル化されているアミノ酸を含むタンパク質又はペプチ
ドであって、カルボキシメチル化されたアミノ酸を含ま
ないタンパク質又はペプチドをいう(「カルボキシエチ
ル化タンパク質」ともいう)。
【0017】1.CM化タンパク質の調製 CM化する対象となるタンパク質は特に限定されるもので
はなく、複合タンパク質、単純タンパク質、糖タンパク
質、リポタンパク質などいずれのものでもよい。これら
のタンパク質としては、例えばアルブミン(BSA等)、
ヘモグロビン、キーホールリンペットヘモシアニン(KL
H)、リボヌクレアーゼ(RNase)、β2マイクログロブリ
ン、ヒストン、コラーゲン、血球膜タンパク質、又は低
密度若しくは高密度リポタンパク質などが挙げられる。
また、タンパク質に限らずペプチド、例えばオリゴペプ
チドでもポリペプチドでも良く、タンパク質から修飾や
分解を受けて合成されたものも使用可能である。
【0018】これらのタンパク質又はペプチドをCM化す
るには、BSAなどのタンパク質数十mg/ml(例えば10〜80
mg/ml)と数十mM(例えば10〜80 mg/ml)のグリオキシ
ル酸をリン酸緩衝液中(グリオキシル酸の5倍のモル量
のNaCNBH3を含む、pH 7.4)で、37℃の条件下、24時間
程度反応させる方法などが採用される。上記方法によっ
て得られたCM化タンパク質は、透析、液体カラムクロマ
トグラフィーなどによって精製された後、ポリクローナ
ル抗体又はモノクローナル抗体の作製に供される。
【0019】2.CM化タンパク質に対する抗体 本発明において「抗体」とは、抗原である前記CM化タン
パク質に結合し得る抗体分子全体またはその断片(例え
ば、Fab又はF(ab')2断片)を意味し、ポリクローナル抗
体であってもモノクローナル抗体であってもよい。本発
明の抗体(ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗
体)は、種々の方法のいずれかによって製造することが
できる。このような抗体の製造法は当該分野で周知であ
る[例えばSambrook, J et al., Molecular Cloning, Co
ld Spring Harbor Laboratory Press(1989)を参照]。
【0020】(1) CM化タンパク質に対するモノクローナ
ル抗体の作製 (i) 抗体産生細胞の採取 前記のようにして作製したCM化タンパク質又はその断片
を抗原として、哺乳動物、例えばラット、マウス、ウサ
ギなどに投与する。抗原の動物1匹当たりの投与量は、
アジュバントを用いないときは0.1〜100mgであり、アジ
ュバントを用いるときは1〜100μgである。アジュバン
トとしては、フロイント完全アジュバント(FCA)、フロ
イント不完全アジュバント(FIA)、水酸化アルミニウム
アジュバント等が挙げられる。免疫は、主として静脈
内、皮下、腹腔内に注入することにより行われる。ま
た、免疫の間隔は特に限定されず、数日から数週間間
隔、好ましくは2〜5週間間隔で、1〜10回、好ましくは
2〜5回免疫を行う。そして、最終の免疫日から1〜60日
後、好ましくは1〜14日後に抗体産生細胞を採集する。
抗体産生細胞としては、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢
血細胞等が挙げられるが、脾臓細胞又は局所リンパ節細
胞が好ましい。
【0021】(ii)細胞融合 ハイブリドーマを得るため、抗体産生細胞とミエローマ
細胞との細胞融合を行う。抗体産生細胞と融合させるミ
エローマ細胞として、マウスなどの動物の一般に入手可
能な株化細胞を使用することができる。使用する細胞株
としては、薬剤選択性を有し、未融合の状態ではHAT選
択培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジンを
含む)で生存できず、抗体産生細胞と融合した状態での
み生存できる性質を有するものが好ましい。ミエローマ
細胞としては、例えば P3X63-Ag.8.U1(P3U1)、NS-Iなど
のマウスミエローマ細胞株が挙げられる。
【0022】次に、上記ミエローマ細胞と抗体産生細胞
とを細胞融合させる。細胞融合は、血清を含まないDME
M、RPMI-1640培地などの動物細胞培養用培地中で、1×
106〜1×107個/mlの抗体産生細胞と2×105〜2×106
個/mlのミエローマ細胞とを混合し(抗体産生細胞とミ
エローマ細胞との細胞比5:1が好ましい)、細胞融合
促進剤存在のもとで融合反応を行う。細胞融合促進剤と
して、平均分子量1000〜6000ダルトンのポリエチレング
リコール等を使用することができる。また、電気刺激
(例えばエレクトロポレーション)を利用した市販の細胞
融合装置を用いて抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融
合させることもできる。
【0023】(iii) ハイブリドーマの選別及びクローニ
ング 細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを
選別する。その方法として、細胞懸濁液を例えばウシ胎
児血清含有RPMI-1640培地などで適当に希釈後、マイク
ロタイタープレート上に3×105個/well程度まき、各ウ
エルに選択培地を加え、以後適当に選択培地を交換して
培養を行う。その結果、選択培地で培養開始後、14日前
後から生育してくる細胞をハイブリドーマとして得るこ
とができる。
【0024】次に、増殖してきたハイブリドーマの培養
上清中に、CM化タンパク質に反応する抗体が存在するか
否かをスクリーニングする。ハイブリドーマのスクリー
ニングは、通常の方法に従えばよく、特に限定されるも
のではない。例えば、ハイブリドーマとして生育したウ
エルに含まれる培養上清の一部を採集し、酵素免疫測定
法、放射性免疫測定法等によってスクリーニングするこ
とができる。
【0025】前述の通り、CMLとCELとは構造が非常に類
似したものである。従って、CMLと反応するモノクロー
ナル抗体をスクリーニングしたとしても、得られるモノ
クローナル抗体はCE化タンパク質と反応してしまう可能
性が高い。そこで、本発明においては、CM化タンパク質
に反応する抗体を産生するハイブリドーマを選択した
後、CE化タンパク質には反応しない抗体を産生するもの
をさらに選択する。
【0026】すなわち、CM化およびCE化タンパク質(BS
Aなど)を用い、ELISA法などでハイブリドーマの培養上
清中のモノクローナル抗体の反応性を測定する。この中
から、CM化タンパク質に強い反応性を示し、かつ、CE化
タンパク質には反応性を示さないものを選択する。この
際、CM化およびCE化された数種のタンパク質を用いて反
応性を検討するのが好ましい。
【0027】融合細胞のクローニングは、限界希釈法等
により行う。そして、最終的に、CM化タンパク質とは反
応するがCE化タンパク質とは反応しないモノクローナル
抗体を産生する細胞であるハイブリドーマを樹立する。
なお、本発明において、上記モノクローナル抗体を産生
するハイブリドーマCMS-10及びCMS-96が得られ、このう
ちCMS-10(「Mouse-Mouse hybridoma CMS-10」と称す
る)は、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つ
くば市東1丁目1番3号)に、平成11年1月20日付でFERM P
-17153として寄託されている。
【0028】(iv)モノクローナル抗体の採取 樹立したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取
する方法として、通常の細胞培養法又は腹水形成法等を
採用することができる。細胞培養法においては、ハイブ
リドーマを10%ウシ胎児血清含有RPMI-1640培地、MEM培
地又は無血清培地等の動物細胞培養培地中で、通常の培
養条件(例えば37℃、5% CO2濃度)で7〜14日間培養
し、その培養上清から抗体を取得する。
【0029】腹水形成法の場合は、ミエローマ細胞由来
の哺乳動物と同種系動物の腹腔内にハイブリドーマを約
1×107個投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させ
る。そして、1〜2週間後に腹水を採集する。上記抗体
の採取方法において抗体の精製が必要とされる場合は、
硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾
過、アフィニティークロマトグラフィーなどの公知の方
法を適宜選択して、又はこれらを組み合わせることによ
り精製することができる。
【0030】(2) CM化タンパク質に対するポリクローナ
ル抗体の作製 前記CM化タンパク質又はその断片を抗原として、これを
哺乳動物、例えばラット、マウス、ウサギなどに投与す
る。抗原の動物1匹当たりの投与量は、アジュバントを
用いないときは0.1〜100mgであり、アジュバントを用い
るときは1〜100μgである。アジュバントとしては、フ
ロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全ア
ジュバント(FIA)、水酸化アルミニウムアジュバント等
が挙げられる。免疫は、主として静脈内、皮下、腹腔内
等に注入することにより行われる。また、免疫の間隔は
特に限定されず、数日から数週間間隔、好ましくは2〜5
週間間隔で、1〜10回、好ましくは2〜5回免疫を行う。
そして、最終の免疫日から6〜60日後に、酵素免疫測定
法(ELISA(enzume-linked immunosorbent assy)又は EIA
(enzyme immunoassay))、放射性免疫測定法(RIA;radio
immuno assay)等で抗体価を測定し、最大の抗体価を示
した日に採血し、抗血清を得る。
【0031】その後は、CM化およびCE化タンパク質(BS
Aなど)を用い、これらタンパク質に対する抗血清中の
ポリクローナル抗体の反応性をELISA法などで測定す
る。そして、CM化タンパク質に強い反応性を示し、か
つ、CE化タンパク質には反応性を示さないものを選択す
る。この際、CM化およびCE化された数種のタンパク質を
用いて反応性を検討するのが好ましい。例えば、まず、
抗血清中のポリクローナル抗体を、CM化タンパク質で固
定されたアフィニティカラムにかけてCM化タンパク質と
反応する抗体(カラム吸着画分)を採取する。次に、得
られた抗体を、CE化タンパク質で固定されたアフィニテ
ィカラムにかけて、吸着せずに溶出する抗体を採取す
る。そして、最終的に得られた抗体がCM化タンパク質と
は反応するがCE化タンパク質とは反応しないことを、EL
ISA等により確認する。
【0032】3.CM化タンパク質の製造 以上のようにして本発明の抗体が得られた後は、これを
リガンドとして、CE化タンパク質と反応させることなく
CM化タンパク質を精製することができる。すなわち、ま
ず、固体担体に本発明の抗体を結合させることにより抗
体アフィニティークロマトグラフィーカラムを作製し、
目的タンパク質のCM化反応混合物を供する。次に、反応
混合物中のCM化タンパク質と本発明の抗体との反応を行
わせた後、不要成分をカラムから除去する。最後に、目
的とするCM化タンパク質溶出画分を得るため溶離液をカ
ラムにかけることにより、目的のCM化タンパク質をCE化
タンパク質と区別して採取することができる。なお、本
発明の抗体は、CM化タンパク質を検出するためにウエス
タンブロッティング、組織免疫染色、免疫沈降等に用い
ることもできる。
【0033】4. CM化タンパク質の測定方法 本発明においては、前記抗体を用いてCM化タンパク質を
測定(例えば定量)することができる。例えば、本発明
のモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体とCM化タ
ンパク質とを反応させ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(H
RP)などで標識した抗マウスIgG抗体を用いることによ
り、CM化タンパク質を定量することが可能である。
【0034】5.糖尿病合併症の検出方法 本発明の抗体を生体試料中のCM化タンパク質と反応させ
ることにより、糖尿病合併症を検出することができる。
糖尿病合併症としては、糖尿病性腎症、網膜症、神経障
害などの糖尿病性細血管合併症、あるいは動脈硬化症に
代表される糖尿病大血管合併症等が挙げられる。本発明
において、これらの合併症の検出となる疾患は、1種類
でもよく2種類以上が併発したものでもよい。
【0035】糖尿病合併症患者、例えば糖尿病性腎症、
糖尿病性網膜症などであると疑われる患者から血液、
尿、組織等を採取し、適切な前処理を施してCM化タンパ
ク質測定試料を調製する。なお、CM化タンパク質測定試
料は、糖尿病合併症の臨床マーカーとして利用すること
ができる。次いで、前記測定試料と前記抗体とを反応さ
せる。反応後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)など
で標識した抗マウスIgG抗体を用いて常法によりCM化タ
ンパク質を検出、定量する。検出結果が陽性である場合
又は定量値が高い場合には、何らかの糖尿病合併症を有
しているか否かを検出するための判断資料(例えば合併
症の進行度の指標)とすることができる。
【0036】6.本発明の抗体を含む試薬 本発明においては、CM化タンパク質に対する抗体を、各
種試薬として使用することができる。例えば、CM化タン
パク質検出用試薬として使用する場合は、前記4.に記
載の測定方法を用いて検出が行われ、糖尿病合併症検出
用試薬として使用する場合は、前記5.に記載の方法に
より検出が行われる。また、本発明の抗体を免疫組織染
色用試薬として用いる場合は、通常の免疫組織染色法に
従って検出が行われる。
【0037】例えば、糖尿病患者のバイオプシーから得
られる種々の組織切片を常法により調製し、本発明の抗
体を結合させる。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標
識した抗マウスIgG抗体を二次抗体として本発明の抗体
に結合させ、3,3'-ジアミノベンジジン(3,3'-diamonob
enzidine)処理を施して染色する。染色後顕微鏡観察を
行い、褐色に染色された領域がCM化を受けたものと判断
することができる。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範
囲が限定されるものではない。 〔実施例1〕モノクローナル抗体の調製 (1) 抗原の調製 (i) カルボキシメチル化タンパク質 本実施例においては、カルボキシメチル化タンパク質と
してカルボキシメチル化ウシ血清アルブミン(以下「CML
-BSA」という)、カルボキシメチル化キーホールリンペ
ットヘモシアニン(以下「CML-KLH」という)及びカルボ
キシメチル化リボヌクレアーゼ(以下「CML-RNase」とい
う)を用いた。
【0039】175 mgの各タンパク質(BSA、KLH及びRNas
e)を、それぞれ0.15 Mグリオキシル酸及び0.45 Mの Na
CNBH3を含む0.2 Mリン酸緩衝液(pH7.8)中、37℃で24時
間反応させた後、PBSにて透析し、CM化タンパク質を得
た (Reddy S et al., Biochemistry 1995, 34, 10872-1
0878)。生成したCM化タンパク質について、アミノ酸分
析を行った結果より、所望のタンパク質(CML-BSA 、CM
L-KLH及びCML-RNase)であることを確認した。
【0040】(ii)カルボキシエチル化タンパク質 40 mgの各タンパク質(BSA、KLH及びRNase)を、それぞ
れ0.2 M ピルビン酸及び0.3 M NaCNBH3を含むPBS中で24
時間反応させた後、PBSにて透析し、CE化タンパク質を
得た(Ahmed MU et al., Biochem J 1997, 324, 565-57
0)。生成したCE化タンパク質についてアミノ酸分析を行
った結果、BSA、LKH及びRNaseがそれぞれカルボキシエ
チル化された所望のタンパク質であることを確認した
(それぞれ「CEL-BSA」、「CEL-KLH」及び「CEL-RNas
e」という)。
【0041】(2) 動物の免疫 1 mg/mlの抗原(CML-KLH)を、等量のフロイントアジュバ
ントと混合してエマルジョンを作製したのち、200μl/
匹ずつ、Balb/cマウスの背中皮内に免疫した。2週間お
きに追加免疫を行い、初回免疫から4回免疫した後に尾
静脈より採血を行い、抗体価の確認を行った。
【0042】(3) 抗体価の測定 抗体価はELISA法を用いて測定した。すなわち、抗原と
してCML-BSA、CML-RNase及び CML-KLHを各5μg/mlの濃
度で50μl/wellずつ、一晩4℃でプレートにコーティン
グした。0.05% Tween 20を含むPBS(PBS-T)で3回洗浄
後、0.5%ゼラチンを含む炭酸緩衝液 (pH 9.5)で1時間
ブロッキングした。洗浄後、PBS-Tで段階希釈したマウ
ス血清を50μl/wellずつ入れて1時間静置した。洗浄
後、PBS-Tで2500倍に希釈した2次抗体(西洋ワサビペル
オキシダーゼ(HRP)標識抗マウスIgG)を50μl/wellず
つ入れて1時間静置した。洗浄後、5.5 mg/10mlのOPD(o
-フェニレンジアミン)を含むクエン酸緩衝液 (pH5.0)を
100μl/wellずつ入れ、10分間反応させた。反応後、1N
硫酸を添加して反応を止め、492nmの吸光度を測定し
た。その結果、抗血清の1万倍希釈溶液において、抗原
と有意な反応性を示した。
【0043】(4) 細胞融合および抗体産生ハイブリドー
マのクローニング 抗体価の上昇が確認されたマウスの脾臓細胞とミエロー
マ細胞P3U1とを、5:1の割合でポリエチレングリコー
ル法により細胞融合し、HAT選択培地で、ハイブリドー
マの選択培養を行った。細胞融合10日目にハイブリドー
マ培養上清を回収し、抗体価の測定を行った手法(前記
(3)参照)と同様の手法でELISAを行い、CML-BSAとの反
応性が陽性であり、CEL-BSAとの反応性が陰性である株
のスクリーニングを行った。上記スクリーニングで陽性
となったハイブリドーマの細胞数を測定後、1 個/well
となるように96ウェルプレートにまきこみ(サブクロー
ニング)、10日後にシングルコロニーのウェルのみ再度
スクリーニングを行った。同様にして、スクリーニング
で陽性となったハイブリドーマについて再度サブクロー
ニングを行い、性質が100%一致するまでスクリーニン
グ操作を続けた。
【0044】その結果、CM化タンパク質と反応するがCE
化タンパク質と反応しないモノクローナル抗体の産生細
胞株2株(CMS-10, CMS-96)を得た。なお、ハイブリドー
マCMS-10(名称:「Mouse-Mouse hybridoma CMS-10」)
は、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば
市東1丁目1番3号)に、平成11年1月20日付でFERM P-171
53として寄託されている。
【0045】〔実施例2〕本発明のモノクローナル抗体
の性質(CML及びCELの識別性)の検討 本実施例では、CMLに特異的なモノクローナル抗体産生
細胞株CMS-10に関してCML及びCELに対する反応性の差を
検討した。モノクローナル抗体産生細胞株に関してCML
とCELの反応性の相違を以下の方法で検討した。すなわ
ち、実施例1の方法と同様の方法で作製した CML-BSA及
び CEL-BSAをそれぞれ5μg/mlの濃度で炭酸緩衝液(pH
9.5)に溶解し、50μl/wellずつELISAプレートにコーテ
ィングした。その後、炭酸緩衝液(pH 9.5)に溶解した0.
5%ゼラチン(200μl/well)でブロッキングした。CMS-10
の細胞培養上清を50μl/well添加して1時間反応させた
のち、HRP標識抗マウスIgG抗体を50μl/well添加して1
時間反応させた。次に、1,2-フェニレンジアミンジヒド
ロクロライド(1,2-phenylenediamine dihydrochlorid
e)を添加して発色反応を行い、492nmの吸光度をELISA
リーダーによって測定した。
【0046】この際、対照として、既存の抗CMLモノク
ローナル抗体である6D12(和光純薬工業)の培養上清を
用いた。その結果、本発明のモノクローナル抗体(CMS-1
0)は、CML-BSAとは反応するが、CEL-BSAとは反応性を示
さないことを確認した。一方、6D12は、CML-BSAおよびC
EL-BSAとほぼ同等に反応し、両者を区別できないことが
明らかとなった。従って、本発明のモノクローナル抗体
は、明らかに既存の抗AGEモノクローナル抗体とは異な
り、CMLにのみ特異的に反応し、CELとは反応しないこと
が分かった(図1)。なお、本発明のモノクローナル抗体
のサブタイプは、市販のタイピングキットによりIgG1で
あることを確認した。
【0047】〔実施例3〕既存の抗CMLポリクローナル
抗体のCML及びCELに対する反応性 (1)免疫 1 mgの抗原(CML-KLH)を、50%のフロイントアジュバント
と混合してエマルジョンを作製し、日本白兎の背中皮内
に免疫した。2週間おきに4回追加免疫を行い、最終免
疫の10日後、耳静脈より採血を行い、抗体価の確認を行
った。その後、耳静脈より50ml採血を行い、血清を得
た。
【0048】(2) 抗体の精製 BSAをホルミルセルロファイン(生化学工業)にカップ
リングさせ、BSAアフィニティーカラム(2.0×12cm)を
作製した。PBSで2倍に希釈したCML-BSA抗血清10mlを該
カラムに供与し、その非吸着画分を、上記と同様に作製
したCML-BSAアフィニティーカラム(2.0×12cm)カラム
に吸着させた。続いて、この吸着画分を0.1Mクエン酸(p
H 3)で溶出し、溶出画分を1M TrisでpH 7.2に調製した
後、PBSで24時間透析を行った。
【0049】(3) ポリクローナル抗体の反応性 実施例1と同様の方法で得られたCML-BSAを0.1mM炭酸バ
ッファー(pH9.6)に溶解し、1μg/mlとした。これを100
μl/wellずつELISAプレートに加え、コーティングし
た。60分放置し、0.1% Tween 20を含むPBS(PBS-T)で
3回洗浄した後、炭酸バッファー (pH9.6)に溶解した0.
5%ゼラチン(200μl/well)でブロッキングした。再びPBS
-Tで3回洗浄した後、各濃度の阻害物質(CML-BSAおよ
びCEL-BSA)50μlと5μg/mlのポリクローナル抗体を50
μl/well添加して1時間反応させた。PBS-Tで3回洗浄
した後、HRP標識抗ウサギIgG抗体を100μl/well添加し
て1時間反応させた。続いて1,2-フェニレンジアミンジ
ヒドロクロライドを添加して発色反応を行い、O.D. 492
nmをELISAリーダーによって測定した。その結果、既存
の抗CMLポリクローナル抗体のCML-BSAに対する反応は、
CEL-BSAによって強く阻害された。従って、既存のポリ
クローナル抗体は、CMLだけでなくCELをも認識してしま
うことが判明した(図2)。
【0050】〔実施例4〕抗CMLポリクローナル抗体の
精製と各画分の反応性 (1) 抗体の精製 CML-BSAをホルミルセルロファイン(生化学工業)にカ
ップリングさせ、CML-BSAアフィニティーカラム(2.0×
12cm)を作製した。PBSで2倍に希釈したCML-KLH抗血清1
0mlを該カラムに供与し、その吸着画分を0.1Mクエン酸
(pH3)で溶出し、さらに溶出画分を1M TrisでpH 7.2に調
製して抗CMLポリクローナル抗体を得た。次に、得られ
た抗CMLポリクローナル抗体(1530μg/ml)5mlを、CML-BS
Aアフィニティーカラムを作製したときと同様に作製さ
れたCEL-BSAアフィニティーカラム(2.0×12cm)に供与
した(図3)。その非吸着画分(画分番号12〜35)、及
び0.1Mクエン酸(pH 3)で溶出した溶出画分(画分番号50
〜65)を1M TrisでpH7.2に調製した後、PBSで24時間透
析を行った。
【0051】(2)各画分の反応性 吸着画分および非吸着画分に関してCML及びCELとの反応
性の相違を以下の方法で検討した。すなわち、実施例1
の方法と同様の方法で作製した CML-RNase及びCEL-RNas
eおよび非修飾RNaseをそれぞれ5μg/mlの濃度で炭酸緩
衝液(pH 9.5)に溶解し、50μl/wellずつELISAプレート
にコーティングした。その後、炭酸緩衝液(pH 9.5)に溶
解した0.5%ゼラチン(200μl/well)でブロッキングし
た。両画分を段階希釈し、50μl/well添加して1時間反
応させたのち、HRP標識抗ウサギIgG抗体を50μl/well添
加して1時間反応させた。次に、1,2-フェニレンジアミ
ンジヒドロクロライドを添加して発色反応を行い、492n
mの吸光度をELISAリーダーによって測定した(図4およ
び5)。その結果、CEL-アフィニティーカラム吸着画分
はCML-RNase及びCEL-RNaseのいずれにも反応するのに対
し(図4)、CEL-アフィニティーカラム非吸着画分はCM
L-RNaseとは反応するがCEL-RNaseと反応しないことから
(図5)、非吸着画分に含まれている抗体は目的のもの
であることが分かった。
【0052】〔実施例5〕抗CMLモノクローナル抗体の
反応性 既存の抗CMLモノクローナル抗体である6D12(和光純薬
工業)の反応性を以下の方法で検討した。実施例1と同
様の方法で得られたCML-BSAを0.1mM炭酸バッファー(pH
9.6)に溶解し、1μg/mlとした。これを100μl/wellずつ
ELISAプレートに加え、コーティングした。60分放置
し、0.1% Tween 20を含むPBS(PBS-T)で3回洗浄した
後、炭酸バッファー (pH9.6)に溶解した0.5%ゼラチン(2
00μl/well)でブロッキングした。再びPBS-Tで3回洗浄
した後、各濃度の阻害物質(CML-BSAおよびCEL-BSA)50
μlと2μg/mlの既存の抗CMLモノクローナル抗体(6D1
2、和光純薬工業)を50μl/well添加して1時間反応さ
せた。PBS-Tで3回洗浄した後、HRP標識抗マウスIgG抗
体を100μl/well添加して1時間反応させた。続いて1,2
-フェニレンジアミンジヒドロクロライドを添加して発
色反応を行い、O.D. 492nmをELISAリーダーによって測
定した。その結果、既存の抗CMLモノクローナル抗体のC
ML-BSAに対する反応は、CEL-BSAによって濃度依存的に
阻害された。従って、既存のモノクローナル抗体は、CM
LだけでなくCELをも認識してしまうことが判明した(図
6)。
【0053】
【発明の効果】本発明により、CM化タンパク質に反応す
るがCE化タンパク質に反応しないモノクローナル抗体、
糖尿病合併症の検出方法、及び前記抗体の用途が提供さ
れる。CM化タンパク質は、糖尿病合併症にみられる組織
障害の発症と進展に深く関連していることから、医学研
究や臨床検査の領域で、糖尿病合併症などの臨床マーカ
ーとして使用可能である。また、本発明の抗体の使用に
より、CM化タンパク質をCE化タンパク質と区別して簡便
に測定することができる。これにより、糖尿病合併症又
は老化現象とCM化されたタンパク質等との関連につい
て、より詳細に検討することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモノクローナル抗体のCML-BSA又はCEL
-BSAに対する反応性を示す図である。
【図2】既存の抗CMLポリクローナル抗体の反応性を示
す図である。
【図3】抗CMLポリクローナル抗体のCELアフィニティー
カラムによる精 製結果を示す図である。
【図4】CELアフィニティーカラム吸着画分の反応性を
示す図である。
【図5】CELアフィニティーカラム非吸着画分の反応性
を示す図である。
【図6】既存の抗CMLモノクローナル抗体の反応性を示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/00 A61K 31/00 609 A61K 39/395 39/395 D N C12N 15/02 C12P 21/08 C12P 21/08 C12N 15/00 C (C12P 21/08 C12R 1:91) Fターム(参考) 2G045 AA13 AA25 BB24 CA25 CA26 CB01 DA36 FB01 FB03 FB07 4B024 AA11 BA41 DA02 GA03 HA04 HA15 4B064 AG27 CA10 CA20 CC24 CE12 DA13 4C085 AA13 AA14 BB11 CC02 CC32 4H045 AA11 AA20 AA30 DA76 EA50 FA52 FA72 GA10 GA26

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質又はペプチド中に存在する、
    側鎖のアミノ基がカルボキシメチル化されたアミノ酸と
    反応し、側鎖のアミノ基がカルボキシエチル化されたア
    ミノ酸と反応しない抗体。
  2. 【請求項2】 カルボキシメチル化されたアミノ酸がN-
    ε-カルボキシメチルリシンである請求項1記載の抗
    体。
  3. 【請求項3】 抗体がポリクローナル抗体又はモノクロ
    ーナル抗体である請求項1又は2記載の抗体。
  4. 【請求項4】 受託番号がFERM P-17153であるハイブリ
    ドーマにより産生されるモノクローナル抗体であって、
    タンパク質又はペプチド中に存在する、側鎖のアミノ基
    がカルボキシメチル化されたアミノ酸と反応し、側鎖の
    アミノ基がカルボキシエチル化されたアミノ酸と反応し
    ないモノクローナル抗体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗
    体と、側鎖のアミノ基がカルボキシメチル化されたアミ
    ノ酸を少なくとも一部に含むタンパク質又はペプチドと
    を反応させることを特徴とする前記タンパク質又はペプ
    チドの測定方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗
    体と、側鎖のアミノ基がカルボキシメチル化されたアミ
    ノ酸を少なくとも一部に含むタンパク質又はペプチドと
    を反応させることを特徴とする糖尿病合併症の検出方
    法。
  7. 【請求項7】 糖尿病合併症が糖尿病性細血管合併症及
    び/又は糖尿病大血管合併症である請求項6記載の検出
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗
    体と、側鎖のアミノ基がカルボキシメチル化されたアミ
    ノ酸を少なくとも一部に含むタンパク質又はペプチドと
    を反応させ、得られる反応産物から前記タンパク質又は
    ペプチドを採取することを特徴とする前記タンパク質又
    はペプチドの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗
    体を含む、側鎖のアミノ基がカルボキシメチル化された
    アミノ酸を少なくとも一部に含むタンパク質又はペプチ
    ドの検出用試薬。
  10. 【請求項10】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    抗体を含む、糖尿病合併症検出用試薬。
  11. 【請求項11】 糖尿病合併症が糖尿病性細血管合併症
    及び/又は糖尿病大血管合併症である請求項10記載の
    試薬。
  12. 【請求項12】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    抗体を含む、免疫組織染色用試薬。
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