JP2000214823A5 - - Google Patents
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Description
【発明の名称】AC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】走査電極および維持電極が形成された基板と、データ電極が形成された別の基板とを対向配置してAC型プラズマディスプレイパネルとし、複数のサブフィールドにより1フィールド期間を構成して階調表示を行う駆動方法において、複数のサブフィールドは、少なくとも走査電極および維持電極に電圧を印加して初期化放電を起こす初期化期間と、この初期化期間後に前記走査電極に走査パルス電圧を印加するとともにデータ電極に書き込みパルス電圧を印加する書き込み期間と、この書き込み期間後に走査電極および維持電極に維持パルス電圧を印加して維持放電を起こす維持動作を行う維持期間とを有し、複数のサブフィールドのうち少なくとも1つのサブフィールドにおける維持期間の最終の維持動作時に、データ電極と走査電極との間に放電開始電圧を超える電圧を印加することにより、そのサブフィールドに続く次のサブフィールドにおける初期化動作を行わせ、直前のサブフィールドで維持放電を行った放電セルにおいてのみ初期化放電を起こすように制御するAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項2】複数のサブフィールドのうち少なくとも1つのサブフィールドの初期化期間は、前のサブフィールドおける維持期間の最終の維持動作時にデータ電極と走査電極との間に放電開始電圧を超える電圧を印加し、その維持動作終了後、維持電極に正電圧を印加するとともに走査電極に維持電極に対して放電開始電圧以下となる電圧から放電開始電圧を超える電圧に向かって変化する電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載のAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はテレビジョン受像機およびコンピュータ端末等の画像表示に用いるAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のAC型プラズマディスプレイパネル(以下、パネルという)の一部斜視図を図2に示す。図2に示すように、第一のガラス基板1上には誘電体層2および保護膜3で覆われた走査電極4と維持電極5とが対を成して互いに平行に付設されている。第二のガラス基板6上には絶縁体層7で覆われた複数のデータ電極8が付設され、これらデータ電極8の各間の絶縁体層7上にはデータ電極8と平行して隔壁9が設けられている。また、絶縁体層7の表面および隔壁9の両側面に蛍光体10が形成されている。第一のガラス基板1と第二のガラス基板6とは、走査電極4および維持電極5とデータ電極8とが直交するように、放電空間11を挟んで対向して配置されている。放電空間11には、放電ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴンおよびキセノンのうち少なくとも1種類の希ガスが封入されている。隣接する二つの隔壁9に挟まれ、データ電極8と対向する対をなす走査電極4と維持電極5との交差部の放電空間には放電セル12が構成されている。
【0003】
次に、このパネルの電極配列図を図3に示す。図3に示すように、このパネルの電極配列はM×Nのマトリックス構成であり、列方向にはM列のデータ電極D1〜DMが配列されており、行方向にはN行の走査電極SCN1〜SCNNおよび維持電極SUS1〜SUSNが配列されている。また、図2に示した放電セル12は図3に示すような領域に設けられている。
【0004】
このパネルを駆動するための従来の駆動方法の動作駆動タイミング図を図4に示す。この駆動方法は256階調の階調表示を行うためのものであり、1フィールド期間を8個のサブフィールドで構成している。以下、従来のパネルの駆動方法について図2ないし図4を用いて説明する。
【0005】
図4に示すように、第1ないし第8のサブフィールドは初期化期間、書き込み期間、維持期間および消去期間からそれぞれ構成されている。まず、第1のサブフィールドにおける動作について説明する。
【0006】
図4に示すように、初期化期間の前半の初期化動作において、全てのデータ電極D1〜DMおよび全ての維持電極SUS1〜SUSNを0(V)に保持し、全ての走査電極SCN1〜SCNNには、全ての維持電極SUS1〜SUSNに対して放電開始電圧以下の電圧Vp(V)から、その放電開始電圧を越える電圧Vr(V)に向かって緩やかに上昇するランプ電圧を印加する。このランプ電圧が上昇する間に、全ての放電セル12において、全ての走査電極SCN1〜SCNNから全てのデータ電極D1〜DMおよび全ての維持電極SUS1〜SUSNにそれぞれ一回目の微弱な初期化放電が起こり、全ての走査電極SCN1〜SCNN上の保護膜3の表面に負の壁電圧が蓄積されるとともに、全てのデータ電極D1〜DM上の絶縁体層7の表面および全ての維持電極SUS1〜SUSN上の保護膜3の表面には正の壁電圧が蓄積される。
【0007】
さらに、初期化期間の後半の初期化動作において、全ての維持電極SUS1〜SUSNを正電圧Vh(V)に保ち、全ての走査電極SCN1〜SCNNには、全ての維持電極SUS1〜SUSNに対する放電開始電圧以下の電圧Vq(V)から放電開始電圧を越える0(V)に向かって緩やかに下降するランプ電圧を印加する。このランプ電圧が下降する間に、再び全ての放電セル12において、全ての維持電極SUS1〜SUSNから全ての走査電極SCN1〜SCNNにそれぞれ二回目の微弱な初期化放電が起こり、全ての走査電極SCN1〜SCNN上の保護膜3表面に蓄積された負の壁電圧および全ての維持電極SUS1〜SUSN上の保護膜3表面に蓄積された正の壁電圧が弱められる。一方、全てのデータ電極D1〜DM上の絶縁体層7の表面に蓄積された正の壁電圧はそのまま保たれる。
【0008】
以上により初期化期間の初期化動作が終了する。
【0009】
次の書き込み期間の書き込み動作において、全ての走査電極SCN1〜SCNNをVs(V)に保持し、データ電極D1〜DMのうち、一行目に表示すべき放電セル12に対応する所定のデータ電極Dj(jは1〜Mの整数を表す)に正の書き込みパルス電圧+VW(V)を、一行目の走査電極SCN1に走査パルス電圧0(V)をそれぞれ印加する。このとき、所定のデータ電極Djと走査電極SCN1との交差部における絶縁体層7の表面と走査電極SCN1上の保護膜3の表面との間の電圧は、書き込みパルス電圧+VW(V)にデータ電極D1〜DM上の絶縁体層7の表面に蓄積された正の壁電圧が加算されたものとなるため、この交差部において、所定のデータ電極Djと走査電極SCN1との間および維持電極SUS1と走査電極SCN1との間に書き込み放電が起こり、この交差部の走査電極SCN1上の保護膜3表面に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SUS1上の保護膜3表面に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dj上の絶縁体層7の表面に負の壁電圧が蓄積される。
【0010】
次に、データ電極D1〜DMのうち、二行目に表示すべき放電セル12に対応する所定のデータ電極Djに正の書き込みパルス電圧+VW(V)を、二行目の走査電極SCN2に走査パルス電圧0(V)をそれぞれ印加する。このとき、所定のデータ電極Djと走査電極SCN2との交差部における絶縁体層7の表面と走査電極SCN2上の保護膜3の表面との間の電圧は、書き込みパルス電圧+VW(V)に所定のデータ電極Dj上の絶縁体層7の表面に蓄積された正の壁電圧が加算されたものとなるため、この交差部において、所定のデータ電極Djと走査電極SCN2との間および維持電極SUS2と走査電極SCN2との間に書き込み放電が起こり、この交差部の走査電極SCN2上の保護膜3表面に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SUS2上の保護膜3表面に負の壁電圧が蓄積される。
【0011】
同様な動作が引き続いて行われ、最後に、データ電極D1〜DMのうち、N行目に表示すべき放電セル12に対応する所定のデータ電極Djに正の書き込みパルス電圧+VW(V)を、N行目の走査電極SCNNに走査パルス電圧0(V)をそれぞれ印加する。このとき、所定のデータ電極Djと走査電極SCNNとの交差部において、所定のデータ電極Djと走査電極SCNNとの間および維持電極SUSNと走査電極SCNNとの間に書き込み放電が起こり、この交差部の走査電極SCNN上の保護膜3表面に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SUSN上の保護膜3表面に負の壁電圧が蓄積され、所定のデータ電極Dj上の絶縁体層7の表面に負の壁電圧が蓄積される。
【0012】
以上により書き込み期間における書き込み動作が終了する。
【0013】
続く維持期間において、先ず、全ての走査電極SCN1〜SCNNおよび維持電極SUS1〜SUSNを0(V)に一旦戻した後、全ての走査電極SCN1〜SCNNに正の維持パルス電圧+Vm(V)を印加すると、書き込み放電を起こした放電セル12における走査電極SCNi(iは1〜Nの整数とする)上の保護膜3の表面と維持電極SUSi上の保護膜3の表面との間の電圧は、維持パルス電圧+Vm(V)に、書き込み期間において蓄積された走査電極SCNi上の保護膜3表面に蓄積された正の壁電圧および維持電極SUSi上の保護膜3表面に蓄積された負の壁電圧が加算されたものとなり、放電開始電圧を超える。このため、書き込み放電を起こした放電セルにおいて、走査電極SCNiと維持電極SUSiとの間に維持放電が起こり、この放電セルにおける走査電極SCNi上の保護膜3表面には負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUSi上の保護膜3表面には正の壁電圧が蓄積される。その後、維持パルス電圧は0(V)に戻る。
【0014】
続いて、全ての維持電極SUS1〜SUSNに正の維持パルス電圧+Vm(V)を印加すると、書き込み放電を起こした放電セルにおける維持電極SUSi上の保護膜3の表面と走査電極SCNi上の保護膜3の表面との間の電圧は、維持パルス電圧+Vm(V)に、直前の維持放電によって蓄積された走査電極SCNi上の保護膜3表面の負の壁電圧および維持電極SUSi上の保護膜3表面の正の壁電圧が加算されたものとなる。このため、書き込み放電を起こした放電セルにおいて、維持電極SUSiと走査電極SCNiとの間に維持放電が起こることにより、その放電セルにおける維持電極SUSi上の保護膜3表面に負の壁電圧が蓄積され、走査電極SCNi上の保護膜3表面に正の壁電圧が蓄積される。その後、維持パルス電圧は0(V)に戻る。
【0015】
以降同様に、全ての走査電極SCN1〜SCNNと全ての維持電極SUS1〜SUSNとに正の維持パルス電圧+Vm(V)を交互に印加することにより、維持放電が継続して行われ、維持期間の最終において、全ての走査電極SCN1〜SCNNに正の維持パルス電圧+Vm(V)を印加すると、書き込み放電を起こした放電セルにおける走査電極SCNi上の保護膜3の表面と維持電極SUSi上の保護膜3の表面との間の電圧は、維持パルス電圧+Vm(V)に、直前の維持放電によって蓄積された走査電極SCNi上の保護膜3表面の正の壁電圧と維持電極SUSi上の保護膜3表面の負の壁電圧が加算されたものとなる。このため、書き込み放電を起こした放電セルにおいて、走査電極SCNiと維持電極SUSiとの間に維持放電が起こることにより、その放電セルにおける走査電極SCNi上の保護膜3表面に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUSi上の保護膜3表面に正の壁電圧が蓄積される。その後、維持パルス電圧は0(V)に戻る。以上により維持期間の維持動作が終了する。この維持放電により発生する紫外線で励起された蛍光体10からの可視発光を表示に用いている。
【0016】
続く消去期間において、全ての維持電極SUS1〜SUSNに0(V)から+Ve(V)に向かって緩やかに上昇するランプ電圧を印加すると、維持放電を起こした放電セル12において、走査電極SCNi上の保護膜3の表面と維持電極SUSi上の保護膜3の表面との間の電圧は、維持期間の最終時点における、走査電極SCNi上の保護膜3表面に蓄積された負の壁電圧および維持電極SUSi上の保護膜3表面に蓄積された正の壁電圧がこのランプ電圧に加算されたものとなる。このため、維持放電を起こした放電セルにおいて、維持電極SUSiと走査電極SCNiとの間に微弱な消去放電が起こり、走査電極SCNi上の保護膜3表面に蓄積された負の壁電圧と維持電極SUSi上の保護膜3表面に蓄積された正の壁電圧が弱められて維持放電は停止する。
【0017】
以上により消去期間における消去動作が終了する。
【0018】
ただし、以上の動作において、表示が行われない放電セルに関しては、初期化期間に初期化放電は起こるが、書き込み放電、維持放電および消去放電は行われず、表示が行われない放電セルの走査電極SCNiと維持電極SUSiの保護膜3の表面に蓄積された壁電圧、およびデータ電極Dj上の絶縁体層7の表面に蓄積された壁電圧は、初期化期間の終了時の状態のまま保たれる。
【0019】
以上の全ての動作により第1のサブフィールドにおける一画面が表示される。以下、同様な動作が、第2のサブフィールドから第8のサブフィールドにわたって行われる。これらのサブフィールドにおいて表示される放電セルの輝度は、維持パルス電圧+Vm(V)の印加回数により定まる。したがって、例えば、各サブフィールドにおける維持パルス電圧の印加回数を適宜設定して、1フィールド期間に維持放電による輝度が20、21、22、・・・27である8個のサブフィールドで構成することにより、28=256階調の階調表示が可能になる。
【0020】
以上説明した従来の駆動方法においては、パネルに表示する放電セルが全くない、いわゆる黒画面の表示においては、書き込み期間の書き込み放電、維持期間の維持放電および消去期間の消去放電が起こらず、初期化期間の初期化放電のみが起こり、この初期化放電が微弱であり、その放電発光もまた微弱であるために、パネルのコントラストが高いという特長がある。例えば、480行、852×3列のマトリックス構成を成す42インチAC型プラズマディスプレイパネルにおいて、1フィールド期間を8個のサブフィールドで構成して256階調表示を行った場合、各サブフィールドの初期化期間における二回の初期化放電による発光輝度は0.15cd/m2であった。したがって、8個のサブフィールドでの合計は0.15×8=1.2cd/m2となり、最大輝度は420cd/m2であるので、このパネルのコントラストは420/1.2:1=350:1となり、かなり高い値のコントラストが得られる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の従来の駆動方法においては、通常の照明下でパネル表示を行った場合にはかなり高いコントラストが得られているが、サブフィールド毎に必ず二回の初期化放電が起こるため、周囲が暗い所でパネル表示する場合には、この微弱な初期化放電による発光でさえも目立つほど輝度が高く、あまり明るくない場所でパネル表示する場合の黒表示の視認性が悪いという大きな課題があった。
【0022】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために本発明のAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法は、走査電極および維持電極が形成された基板と、データ電極が形成された別の基板とを対向配置してAC型プラズマディスプレイパネルとし、複数のサブフィールドにより1フィールド期間を構成して階調表示を行う駆動方法において、複数のサブフィールドは、少なくとも走査電極および維持電極に電圧を印加して初期化放電を起こす初期化期間と、この初期化期間後に前記走査電極に走査パルス電圧を印加するとともにデータ電極に書き込みパルス電圧を印加する書き込み期間と、この書き込み期間後に走査電極および維持電 極に維持パルス電圧を印加して維持放電を起こす維持動作を行う維持期間とを有し、複数のサブフィールドのうち少なくとも1つのサブフィールドにおける維持期間の最終の維持動作時に、データ電極と走査電極との間に放電開始電圧を超える電圧を印加することにより、そのサブフィールドに続く次のサブフィールドにおける初期化動作を行わせ、直前のサブフィールドで維持放電を行った放電セルにおいてのみ初期化放電を起こすように制御するものである。この方法により、第2のサブフィールド以降のサブフィールドでは、直前のサブフィールドで表示を行った放電セルにおいてのみ初期化放電を起こし、表示を行わない放電セルにおいては初期化放電を起こらなくすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるAC型プラズマディスプレイパネル(以下、パネルという)は従来例として図2に示したものと同じである。また、このパネルの電極配列図は図3に示したものと同じである。したがって、それらの説明は省略する。
【0024】
このパネルを駆動するための、本発明の一実施の形態であるパネルの駆動方法について説明する。図1はその駆動方法の動作駆動タイミング図を示している。
【0025】
図1に示すように、1フィールド期間は、初期化期間、書き込み期間、維持期間および消去期間を有する第1ないし第8のサブフィールドで構成されており、これによって256階調の表示を行うものである。これら8個のサブフィールドのうち、第1のサブフィールドを除く7個のサブフィールドにおいて、初期化期間の初期化動作を、前のサブフィールドの維持期間の最終の維持動作と同時に行うようにしている。すなわち、第1のサブフィールドにおいては、初期化期間が独立して設けられており、さらに書き込み期間、維持期間が設けられているが、消去期間が設けられていない。また、維持期間の最終の維持パルス電圧印加による維持動作と同時に、第2のサブフィールドの初期化期間の初期化動作が行われている。続く第3ないし第7のサブフィールドにおいても同様に初期化期間、書き込み期間、維持期間が設けられているが、消去期間が設けられておらず、初期化期間の初期化動作は、前のサブフィールドの維持期間の最終の維持動作と同時に行われている。また、第8のサブフィールドにおいては、維持期間が独立して設けられており、維持期間の後に消去期間が設けられている。さらに、第8のサブフィールドの初期化期間の初期化動作は、第7のサブフィールドの維持期間の最終の維持動作と同時に行われている。
【0026】
図1において、第1のサブフィールドの初期化期間、書き込み期間および維持期間の最終部までの動作は、従来例で説明した動作と同じであるので、それらの説明は省略する。維持期間の最終部の動作と第2のサブフィールドの初期化期間の動作とが同時に行われている点については、本発明の主眼であるので図1ないし図3を用いて以下に詳しく説明する。
【0027】
図1に示すように、第1のサブフィールドの維持期間の最終部と、第2のサブフィールドの初期化期間の前半とが重なっており、この重なった期間において、全ての走査電極SCN1〜SCNNに正のパルス電圧Vr(V)を印加し、全ての維持電極SUS1〜SUSNに(Vr−Vm)(V)の正のパルス電圧を印加する。引き続いて、第2のサブフィールドの初期化期間の後半において、全ての維持電極SUS1〜SUSNに正電圧Vh(V)を印加し、全ての走査電極SCN1〜SCNNに、電圧Vq(V)から0(V)に向かって緩やかに下降するランプ電圧を印加する。
【0028】
以上の動作において、第1のサブフィールドの維持期間の最終部の動作に着目すると、全ての走査電極SCN1〜SCNNと全ての維持電極SUS1〜SUSNとの間の電圧は、Vr−(Vr−Vm)=Vm(V)となり、全ての走査電極SCN1〜SCNNと全ての維持電極SUS1〜SUSNとの間の関係は、維持期間の最終部よりも前の動作と同様に、全ての維持電極SUS1〜SUSNを0(V)とし、全ての走査電極SCN1〜SCNNに正の維持パルス電圧Vm(V)を印加している場合と等価になる。このため、従来例において説明したように、書き込み放電を起こした放電セル12における走査電極SCNi(iは1〜Nの整数とする)上の保護膜3の表面と維持電極SUSi上の保護膜3の表面との間の電圧は、維持パルス電圧Vm(V)に、その放電セル12における走査電極SCNi上の保護膜3表面に蓄積された正の壁電圧と維持電極SUSi上の保護膜3表面に蓄積された負の壁電圧が加算されたものとなり放電開始電圧を超える。このため、書き込み放電を起こした放電セル12において、走査電極SCNiと維持電極SUSiとの間に維持放電が起こり、その放電セル12における走査電極SCNi上の保護膜3表面に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUSi上の保護膜3表面に正の壁電圧が蓄積される。したがって、従来例で述べたものと同様に最終の維持動作が行われる。また、書き込みがなかった放電セルについてはこのような維持放電は起こらない。
【0029】
次に、第2のサブフィールドの初期化期間に着目すると、この初期化期間の前半の初期化動作において、全ての走査電極SCN1〜SCNNと全てのデータ電極D1〜DMとの間の電圧はVr(V)となり、全ての走査電極SCN1〜SCNNと全ての維持電極SUS1〜SUSNとの間の電圧はVm(V)となる。書き込み放電を起こした放電セルでは、データ電極Dj上の絶縁体層7の表面と走査電極SCNi上の保護膜3の表面の電圧は、Vr(V)と走査電極SCNi上の保護膜3の表面に蓄積された正の壁電圧とを加算したものから、データ電極Dj上の絶縁体層7の表面に書き込み動作時に蓄積された負の壁電圧を引いたもの、すなわち絶対値で加算したものとなり、放電開始電圧を超える。このため、書き込み放電を起こした放電セルでは、走査電極SCNiからデータ電極Djに放電が起こり、この放電に引きずられて走査電極SCN1〜SCNNから全ての維持電極SUS1〜SUSNに放電が起こり、これが一回目の初期化放電となり、走査電極SCNi上の保護膜3の表面に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dj上の絶縁体層7の表面および維持電極SUSi上の保護膜3の表面には正の壁電圧が蓄積される。
ただし、この一回目の初期化放電は微弱なものではなく、やや強い放電である。
【0030】
一方、書き込みが行われていない放電セルでは、データ電極Dj上の絶縁体層7の表面と走査電極SCNi上の保護膜3の表面の電圧は、Vr(V)と走査電極SCNi上の保護膜3の表面に蓄積された正の壁電圧とを加算したものから、データ電極Dj上の絶縁体層7の表面に蓄積された正の壁電圧を引いたものとなり、放電開始電圧を超えない。このため、第1のサブフィールドで書き込みがなかった放電セルでは、一回目の初期化放電は起こらない。
【0031】
さらに、初期化期間の後半の初期化動作は、第1のサブフィールドにおける初期化期間の後半の動作と同様であり、全ての維持電極SUS1〜SUSNに正電圧Vh(V)を印加し、全ての走査電極SCN1〜SCNNに、全ての維持電極SUS1〜SUSNに対して放電開始電圧以下となる電圧Vq(V)から放電開始電圧を超える0(V)に向かって緩やかに下降するランプ電圧を印加している。このランプ電圧が下降する間に、一回目の初期化放電が起こった放電セル12において、維持電極SUSiから走査電極SCNiに二回目の微弱な初期化放電が起こり、走査電極SCNi上の保護膜3の表面に蓄積された負の壁電圧および維持電極SUSiの表面に蓄積された正の壁電圧が弱められる。一方、データ電極Dj上の絶縁体層7の表面の正の壁電圧はそのまま保たれる。一回目の初期化放電が起こらなかった放電セルについては、第1のサブフィールドにおける初期化期間の後半の動作により、走査電極SCNiと維持電極SUSi上の保護膜3の表面の壁電圧はすでに弱められているため上述の二回目の初期化放電は起こらない。
【0032】
以上の説明からわかるように、第2のサブフィールドにおける初期化期間の後半の初期化動作は、第1のサブフィールドの最後の維持放電終了後直ちに行われており、表示を行っている放電セル12において、維持電極SUS1〜SUSNから走査電極SCN1〜SCNNに微弱な初期化放電が起こることにより、走査電極SCN1〜SCNN上の保護膜3の表面に蓄積された負の壁電圧および維持電極SUS1〜SUSN上の保護膜3の表面に蓄積された正の壁電圧が弱められるので、維持放電の消去動作が行われたことになり、あえて消去期間を設ける必要がなくなる。
【0033】
このとき、第1のサブフィールドで表示している放電セルにおいて、第2のサブフィールドでの初期化期間の前半の初期化動作による一回目の初期化放電は微弱ではなく、この初期化放電による輝度は、初期化期間の後半の初期化動作による二回目の微弱な初期化放電の輝度に比べてかなり高くなる。しかし、これら二回の初期化放電は表示する放電セル12においてのみ行われるので、第2のサブフィールドでの初期化放電の輝度は維持放電の輝度に上乗せされるだけである。
【0034】
また、表示が行われない放電セルに関しては、第1のサブフィールドの初期化期間に初期化放電は起こるが、書き込み放電、維持放電および消去放電が行われず、その放電セルに対応する走査電極SCN1〜SCNNと維持電極SUS1〜SN上の保護膜3の表面の壁電圧およびデータ電極D1〜DM上の絶縁体層7の表面の壁電圧は、第1のサブフィールドの初期化期間の終了時のまま保たれる。
【0035】
以上の説明で明らかなように、第2ないし第7のサブフィールドにおいても消去期間が設けられていないが、書き込み動作、維持動作および消去動作と次のサブフィールドの初期化動作が確実に行われる。また、第2のサブフィールド以降の各サブフィールドにおいて、表示が行われない放電セルに関しては、初期化放電、書き込み放電、維持放電および消去放電は行われず、その放電セルに対応する走査電極SCN1〜SCNNと維持電極群SUS1〜SUSN上の保護膜3の表面の壁電圧およびデータ電極D1〜DM上の絶縁体層7の表面の壁電圧は、各サブフィールドの前のサブフィールドの初期化期間の終了時のまま保たれる。
【0036】
また、第8のサブフィールドについては、単独の維持期間と消去期間を設け、従来例と同様に、通常の維持動作と引き続き消去動作が行われる。すなわち、図1に示した第8のサブフィールドの維持期間、消去期間から、再び次の第1のサブフィールドの初期化期間に至る動作は、従来例に示した動作と同じである。
【0037】
以上説明したように、図1に示した本発明の一実施の形態では、第1のサブフィールドにおける初期化期間の微弱な初期化放電は、パネルの表示の有無に関わらず行われるが、第2のサブフィールド以降のサブフィールドにおいては、初期化期間の初期化放電は、パネルの表示を行う放電セルに対してのみ次のサブフィールドに対する初期化動作として行われ、また、この放電の輝度は維持放電の輝度に上乗せされるだけであり、表示しない放電セルに対してはこのような初期化放電は起こらない。
【0038】
例えば、480行、852×3列のマトリックス構成を成す42インチAC型プラズマディスプレイパネルにおいて、1フィールド期間を8個のサブフィールドで構成して256階調の表示を行った場合、最大輝度が420cd/m2となったのに対し、第1のサブフィールドの初期化期間における二回の初期化放電による輝度は0.15cd/m2であった。ここで、Vp=Vq=Vm=190V、Vr=370V、Vs=70V、Vh=210Vとした。この結果、パネルに表示すべき放電セルが全くない、いわゆる黒画面の表示においては、第1のサブフィールドの初期化放電の発光のみが行われるので、黒表示の輝度が0.15cd/m2と従来の1/8となり、薄暗い所でパネルを表示した場合、従来に比べて黒表示の視認性が極めて向上した。また、本実施の形態によるパネルのコントラストは420/0.15:1=2800:1となり、極めて高い値のコントラストが得られた。
【0039】
以上の実施の形態では、第1のサブフィールドの初期化期間において印加している電圧Vr(V)と第2ないし第8のサブフィールドの初期化期間において印加している電圧Vr(V)を同じ値とした場合について説明したが、異なる値としてもよい。
【0040】
また、以上の実施の形態では、1フィールド期間を、初期化期間、書き込み期間および維持期間を有する8個のサブフィールドで構成して階調表示を行うAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法において、8個のサブフィールドのうちの7個のサブフィールドについて、維持期間の最終部の維持動作と次のサブフィールドの初期化期間の初期化動作とを同時に行う駆動方法について説明したが、1フィールド期間を構成しているサブフィールドの数、消去期間を設けないサブフィールドの数および維持期間の最終部の維持動作と次のサブフィールドの初期化期間の初期化動作とを同時に行うサブフィールドの数を限定するものではない。また、サブフィールドにおける駆動波形も限定されるものではない。さらに、本発明は、他の構成のAC型プラズマディスプレイパネルに対しても実施することができるものである。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法によれば、1フィールドを構成している複数のサブフィールドのうち少なくとも1つのサブフィールドにおける維持期間の最終の維持動作と、そのサブフィールドに続くサブフィールドの初期化期間の初期化動作とを同時に行うことにより、パネルに表示のない、いわゆる黒画面表示における輝度が極めて低くなるので黒の視認性が大幅に向上するとともに、パネルのコントラストを非常に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法を示す動作駆動タイミング図
【図2】従来のAC型プラズマディスプレイパネルの部分切欠斜視図
【図3】従来のAC型プラズマディスプレイパネルの電極配列図
【図4】従来のAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法を示す動作駆動タイミング図
【符号の説明】
1 第一のガラス基板
2 誘電体層
3 保護膜
4 走査電極
5 維持電極
6 第二のガラス基板
7 絶縁体層
8 データ電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】走査電極および維持電極が形成された基板と、データ電極が形成された別の基板とを対向配置してAC型プラズマディスプレイパネルとし、複数のサブフィールドにより1フィールド期間を構成して階調表示を行う駆動方法において、複数のサブフィールドは、少なくとも走査電極および維持電極に電圧を印加して初期化放電を起こす初期化期間と、この初期化期間後に前記走査電極に走査パルス電圧を印加するとともにデータ電極に書き込みパルス電圧を印加する書き込み期間と、この書き込み期間後に走査電極および維持電極に維持パルス電圧を印加して維持放電を起こす維持動作を行う維持期間とを有し、複数のサブフィールドのうち少なくとも1つのサブフィールドにおける維持期間の最終の維持動作時に、データ電極と走査電極との間に放電開始電圧を超える電圧を印加することにより、そのサブフィールドに続く次のサブフィールドにおける初期化動作を行わせ、直前のサブフィールドで維持放電を行った放電セルにおいてのみ初期化放電を起こすように制御するAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項2】複数のサブフィールドのうち少なくとも1つのサブフィールドの初期化期間は、前のサブフィールドおける維持期間の最終の維持動作時にデータ電極と走査電極との間に放電開始電圧を超える電圧を印加し、その維持動作終了後、維持電極に正電圧を印加するとともに走査電極に維持電極に対して放電開始電圧以下となる電圧から放電開始電圧を超える電圧に向かって変化する電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載のAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はテレビジョン受像機およびコンピュータ端末等の画像表示に用いるAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のAC型プラズマディスプレイパネル(以下、パネルという)の一部斜視図を図2に示す。図2に示すように、第一のガラス基板1上には誘電体層2および保護膜3で覆われた走査電極4と維持電極5とが対を成して互いに平行に付設されている。第二のガラス基板6上には絶縁体層7で覆われた複数のデータ電極8が付設され、これらデータ電極8の各間の絶縁体層7上にはデータ電極8と平行して隔壁9が設けられている。また、絶縁体層7の表面および隔壁9の両側面に蛍光体10が形成されている。第一のガラス基板1と第二のガラス基板6とは、走査電極4および維持電極5とデータ電極8とが直交するように、放電空間11を挟んで対向して配置されている。放電空間11には、放電ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴンおよびキセノンのうち少なくとも1種類の希ガスが封入されている。隣接する二つの隔壁9に挟まれ、データ電極8と対向する対をなす走査電極4と維持電極5との交差部の放電空間には放電セル12が構成されている。
【0003】
次に、このパネルの電極配列図を図3に示す。図3に示すように、このパネルの電極配列はM×Nのマトリックス構成であり、列方向にはM列のデータ電極D1〜DMが配列されており、行方向にはN行の走査電極SCN1〜SCNNおよび維持電極SUS1〜SUSNが配列されている。また、図2に示した放電セル12は図3に示すような領域に設けられている。
【0004】
このパネルを駆動するための従来の駆動方法の動作駆動タイミング図を図4に示す。この駆動方法は256階調の階調表示を行うためのものであり、1フィールド期間を8個のサブフィールドで構成している。以下、従来のパネルの駆動方法について図2ないし図4を用いて説明する。
【0005】
図4に示すように、第1ないし第8のサブフィールドは初期化期間、書き込み期間、維持期間および消去期間からそれぞれ構成されている。まず、第1のサブフィールドにおける動作について説明する。
【0006】
図4に示すように、初期化期間の前半の初期化動作において、全てのデータ電極D1〜DMおよび全ての維持電極SUS1〜SUSNを0(V)に保持し、全ての走査電極SCN1〜SCNNには、全ての維持電極SUS1〜SUSNに対して放電開始電圧以下の電圧Vp(V)から、その放電開始電圧を越える電圧Vr(V)に向かって緩やかに上昇するランプ電圧を印加する。このランプ電圧が上昇する間に、全ての放電セル12において、全ての走査電極SCN1〜SCNNから全てのデータ電極D1〜DMおよび全ての維持電極SUS1〜SUSNにそれぞれ一回目の微弱な初期化放電が起こり、全ての走査電極SCN1〜SCNN上の保護膜3の表面に負の壁電圧が蓄積されるとともに、全てのデータ電極D1〜DM上の絶縁体層7の表面および全ての維持電極SUS1〜SUSN上の保護膜3の表面には正の壁電圧が蓄積される。
【0007】
さらに、初期化期間の後半の初期化動作において、全ての維持電極SUS1〜SUSNを正電圧Vh(V)に保ち、全ての走査電極SCN1〜SCNNには、全ての維持電極SUS1〜SUSNに対する放電開始電圧以下の電圧Vq(V)から放電開始電圧を越える0(V)に向かって緩やかに下降するランプ電圧を印加する。このランプ電圧が下降する間に、再び全ての放電セル12において、全ての維持電極SUS1〜SUSNから全ての走査電極SCN1〜SCNNにそれぞれ二回目の微弱な初期化放電が起こり、全ての走査電極SCN1〜SCNN上の保護膜3表面に蓄積された負の壁電圧および全ての維持電極SUS1〜SUSN上の保護膜3表面に蓄積された正の壁電圧が弱められる。一方、全てのデータ電極D1〜DM上の絶縁体層7の表面に蓄積された正の壁電圧はそのまま保たれる。
【0008】
以上により初期化期間の初期化動作が終了する。
【0009】
次の書き込み期間の書き込み動作において、全ての走査電極SCN1〜SCNNをVs(V)に保持し、データ電極D1〜DMのうち、一行目に表示すべき放電セル12に対応する所定のデータ電極Dj(jは1〜Mの整数を表す)に正の書き込みパルス電圧+VW(V)を、一行目の走査電極SCN1に走査パルス電圧0(V)をそれぞれ印加する。このとき、所定のデータ電極Djと走査電極SCN1との交差部における絶縁体層7の表面と走査電極SCN1上の保護膜3の表面との間の電圧は、書き込みパルス電圧+VW(V)にデータ電極D1〜DM上の絶縁体層7の表面に蓄積された正の壁電圧が加算されたものとなるため、この交差部において、所定のデータ電極Djと走査電極SCN1との間および維持電極SUS1と走査電極SCN1との間に書き込み放電が起こり、この交差部の走査電極SCN1上の保護膜3表面に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SUS1上の保護膜3表面に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dj上の絶縁体層7の表面に負の壁電圧が蓄積される。
【0010】
次に、データ電極D1〜DMのうち、二行目に表示すべき放電セル12に対応する所定のデータ電極Djに正の書き込みパルス電圧+VW(V)を、二行目の走査電極SCN2に走査パルス電圧0(V)をそれぞれ印加する。このとき、所定のデータ電極Djと走査電極SCN2との交差部における絶縁体層7の表面と走査電極SCN2上の保護膜3の表面との間の電圧は、書き込みパルス電圧+VW(V)に所定のデータ電極Dj上の絶縁体層7の表面に蓄積された正の壁電圧が加算されたものとなるため、この交差部において、所定のデータ電極Djと走査電極SCN2との間および維持電極SUS2と走査電極SCN2との間に書き込み放電が起こり、この交差部の走査電極SCN2上の保護膜3表面に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SUS2上の保護膜3表面に負の壁電圧が蓄積される。
【0011】
同様な動作が引き続いて行われ、最後に、データ電極D1〜DMのうち、N行目に表示すべき放電セル12に対応する所定のデータ電極Djに正の書き込みパルス電圧+VW(V)を、N行目の走査電極SCNNに走査パルス電圧0(V)をそれぞれ印加する。このとき、所定のデータ電極Djと走査電極SCNNとの交差部において、所定のデータ電極Djと走査電極SCNNとの間および維持電極SUSNと走査電極SCNNとの間に書き込み放電が起こり、この交差部の走査電極SCNN上の保護膜3表面に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SUSN上の保護膜3表面に負の壁電圧が蓄積され、所定のデータ電極Dj上の絶縁体層7の表面に負の壁電圧が蓄積される。
【0012】
以上により書き込み期間における書き込み動作が終了する。
【0013】
続く維持期間において、先ず、全ての走査電極SCN1〜SCNNおよび維持電極SUS1〜SUSNを0(V)に一旦戻した後、全ての走査電極SCN1〜SCNNに正の維持パルス電圧+Vm(V)を印加すると、書き込み放電を起こした放電セル12における走査電極SCNi(iは1〜Nの整数とする)上の保護膜3の表面と維持電極SUSi上の保護膜3の表面との間の電圧は、維持パルス電圧+Vm(V)に、書き込み期間において蓄積された走査電極SCNi上の保護膜3表面に蓄積された正の壁電圧および維持電極SUSi上の保護膜3表面に蓄積された負の壁電圧が加算されたものとなり、放電開始電圧を超える。このため、書き込み放電を起こした放電セルにおいて、走査電極SCNiと維持電極SUSiとの間に維持放電が起こり、この放電セルにおける走査電極SCNi上の保護膜3表面には負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUSi上の保護膜3表面には正の壁電圧が蓄積される。その後、維持パルス電圧は0(V)に戻る。
【0014】
続いて、全ての維持電極SUS1〜SUSNに正の維持パルス電圧+Vm(V)を印加すると、書き込み放電を起こした放電セルにおける維持電極SUSi上の保護膜3の表面と走査電極SCNi上の保護膜3の表面との間の電圧は、維持パルス電圧+Vm(V)に、直前の維持放電によって蓄積された走査電極SCNi上の保護膜3表面の負の壁電圧および維持電極SUSi上の保護膜3表面の正の壁電圧が加算されたものとなる。このため、書き込み放電を起こした放電セルにおいて、維持電極SUSiと走査電極SCNiとの間に維持放電が起こることにより、その放電セルにおける維持電極SUSi上の保護膜3表面に負の壁電圧が蓄積され、走査電極SCNi上の保護膜3表面に正の壁電圧が蓄積される。その後、維持パルス電圧は0(V)に戻る。
【0015】
以降同様に、全ての走査電極SCN1〜SCNNと全ての維持電極SUS1〜SUSNとに正の維持パルス電圧+Vm(V)を交互に印加することにより、維持放電が継続して行われ、維持期間の最終において、全ての走査電極SCN1〜SCNNに正の維持パルス電圧+Vm(V)を印加すると、書き込み放電を起こした放電セルにおける走査電極SCNi上の保護膜3の表面と維持電極SUSi上の保護膜3の表面との間の電圧は、維持パルス電圧+Vm(V)に、直前の維持放電によって蓄積された走査電極SCNi上の保護膜3表面の正の壁電圧と維持電極SUSi上の保護膜3表面の負の壁電圧が加算されたものとなる。このため、書き込み放電を起こした放電セルにおいて、走査電極SCNiと維持電極SUSiとの間に維持放電が起こることにより、その放電セルにおける走査電極SCNi上の保護膜3表面に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUSi上の保護膜3表面に正の壁電圧が蓄積される。その後、維持パルス電圧は0(V)に戻る。以上により維持期間の維持動作が終了する。この維持放電により発生する紫外線で励起された蛍光体10からの可視発光を表示に用いている。
【0016】
続く消去期間において、全ての維持電極SUS1〜SUSNに0(V)から+Ve(V)に向かって緩やかに上昇するランプ電圧を印加すると、維持放電を起こした放電セル12において、走査電極SCNi上の保護膜3の表面と維持電極SUSi上の保護膜3の表面との間の電圧は、維持期間の最終時点における、走査電極SCNi上の保護膜3表面に蓄積された負の壁電圧および維持電極SUSi上の保護膜3表面に蓄積された正の壁電圧がこのランプ電圧に加算されたものとなる。このため、維持放電を起こした放電セルにおいて、維持電極SUSiと走査電極SCNiとの間に微弱な消去放電が起こり、走査電極SCNi上の保護膜3表面に蓄積された負の壁電圧と維持電極SUSi上の保護膜3表面に蓄積された正の壁電圧が弱められて維持放電は停止する。
【0017】
以上により消去期間における消去動作が終了する。
【0018】
ただし、以上の動作において、表示が行われない放電セルに関しては、初期化期間に初期化放電は起こるが、書き込み放電、維持放電および消去放電は行われず、表示が行われない放電セルの走査電極SCNiと維持電極SUSiの保護膜3の表面に蓄積された壁電圧、およびデータ電極Dj上の絶縁体層7の表面に蓄積された壁電圧は、初期化期間の終了時の状態のまま保たれる。
【0019】
以上の全ての動作により第1のサブフィールドにおける一画面が表示される。以下、同様な動作が、第2のサブフィールドから第8のサブフィールドにわたって行われる。これらのサブフィールドにおいて表示される放電セルの輝度は、維持パルス電圧+Vm(V)の印加回数により定まる。したがって、例えば、各サブフィールドにおける維持パルス電圧の印加回数を適宜設定して、1フィールド期間に維持放電による輝度が20、21、22、・・・27である8個のサブフィールドで構成することにより、28=256階調の階調表示が可能になる。
【0020】
以上説明した従来の駆動方法においては、パネルに表示する放電セルが全くない、いわゆる黒画面の表示においては、書き込み期間の書き込み放電、維持期間の維持放電および消去期間の消去放電が起こらず、初期化期間の初期化放電のみが起こり、この初期化放電が微弱であり、その放電発光もまた微弱であるために、パネルのコントラストが高いという特長がある。例えば、480行、852×3列のマトリックス構成を成す42インチAC型プラズマディスプレイパネルにおいて、1フィールド期間を8個のサブフィールドで構成して256階調表示を行った場合、各サブフィールドの初期化期間における二回の初期化放電による発光輝度は0.15cd/m2であった。したがって、8個のサブフィールドでの合計は0.15×8=1.2cd/m2となり、最大輝度は420cd/m2であるので、このパネルのコントラストは420/1.2:1=350:1となり、かなり高い値のコントラストが得られる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の従来の駆動方法においては、通常の照明下でパネル表示を行った場合にはかなり高いコントラストが得られているが、サブフィールド毎に必ず二回の初期化放電が起こるため、周囲が暗い所でパネル表示する場合には、この微弱な初期化放電による発光でさえも目立つほど輝度が高く、あまり明るくない場所でパネル表示する場合の黒表示の視認性が悪いという大きな課題があった。
【0022】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために本発明のAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法は、走査電極および維持電極が形成された基板と、データ電極が形成された別の基板とを対向配置してAC型プラズマディスプレイパネルとし、複数のサブフィールドにより1フィールド期間を構成して階調表示を行う駆動方法において、複数のサブフィールドは、少なくとも走査電極および維持電極に電圧を印加して初期化放電を起こす初期化期間と、この初期化期間後に前記走査電極に走査パルス電圧を印加するとともにデータ電極に書き込みパルス電圧を印加する書き込み期間と、この書き込み期間後に走査電極および維持電 極に維持パルス電圧を印加して維持放電を起こす維持動作を行う維持期間とを有し、複数のサブフィールドのうち少なくとも1つのサブフィールドにおける維持期間の最終の維持動作時に、データ電極と走査電極との間に放電開始電圧を超える電圧を印加することにより、そのサブフィールドに続く次のサブフィールドにおける初期化動作を行わせ、直前のサブフィールドで維持放電を行った放電セルにおいてのみ初期化放電を起こすように制御するものである。この方法により、第2のサブフィールド以降のサブフィールドでは、直前のサブフィールドで表示を行った放電セルにおいてのみ初期化放電を起こし、表示を行わない放電セルにおいては初期化放電を起こらなくすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるAC型プラズマディスプレイパネル(以下、パネルという)は従来例として図2に示したものと同じである。また、このパネルの電極配列図は図3に示したものと同じである。したがって、それらの説明は省略する。
【0024】
このパネルを駆動するための、本発明の一実施の形態であるパネルの駆動方法について説明する。図1はその駆動方法の動作駆動タイミング図を示している。
【0025】
図1に示すように、1フィールド期間は、初期化期間、書き込み期間、維持期間および消去期間を有する第1ないし第8のサブフィールドで構成されており、これによって256階調の表示を行うものである。これら8個のサブフィールドのうち、第1のサブフィールドを除く7個のサブフィールドにおいて、初期化期間の初期化動作を、前のサブフィールドの維持期間の最終の維持動作と同時に行うようにしている。すなわち、第1のサブフィールドにおいては、初期化期間が独立して設けられており、さらに書き込み期間、維持期間が設けられているが、消去期間が設けられていない。また、維持期間の最終の維持パルス電圧印加による維持動作と同時に、第2のサブフィールドの初期化期間の初期化動作が行われている。続く第3ないし第7のサブフィールドにおいても同様に初期化期間、書き込み期間、維持期間が設けられているが、消去期間が設けられておらず、初期化期間の初期化動作は、前のサブフィールドの維持期間の最終の維持動作と同時に行われている。また、第8のサブフィールドにおいては、維持期間が独立して設けられており、維持期間の後に消去期間が設けられている。さらに、第8のサブフィールドの初期化期間の初期化動作は、第7のサブフィールドの維持期間の最終の維持動作と同時に行われている。
【0026】
図1において、第1のサブフィールドの初期化期間、書き込み期間および維持期間の最終部までの動作は、従来例で説明した動作と同じであるので、それらの説明は省略する。維持期間の最終部の動作と第2のサブフィールドの初期化期間の動作とが同時に行われている点については、本発明の主眼であるので図1ないし図3を用いて以下に詳しく説明する。
【0027】
図1に示すように、第1のサブフィールドの維持期間の最終部と、第2のサブフィールドの初期化期間の前半とが重なっており、この重なった期間において、全ての走査電極SCN1〜SCNNに正のパルス電圧Vr(V)を印加し、全ての維持電極SUS1〜SUSNに(Vr−Vm)(V)の正のパルス電圧を印加する。引き続いて、第2のサブフィールドの初期化期間の後半において、全ての維持電極SUS1〜SUSNに正電圧Vh(V)を印加し、全ての走査電極SCN1〜SCNNに、電圧Vq(V)から0(V)に向かって緩やかに下降するランプ電圧を印加する。
【0028】
以上の動作において、第1のサブフィールドの維持期間の最終部の動作に着目すると、全ての走査電極SCN1〜SCNNと全ての維持電極SUS1〜SUSNとの間の電圧は、Vr−(Vr−Vm)=Vm(V)となり、全ての走査電極SCN1〜SCNNと全ての維持電極SUS1〜SUSNとの間の関係は、維持期間の最終部よりも前の動作と同様に、全ての維持電極SUS1〜SUSNを0(V)とし、全ての走査電極SCN1〜SCNNに正の維持パルス電圧Vm(V)を印加している場合と等価になる。このため、従来例において説明したように、書き込み放電を起こした放電セル12における走査電極SCNi(iは1〜Nの整数とする)上の保護膜3の表面と維持電極SUSi上の保護膜3の表面との間の電圧は、維持パルス電圧Vm(V)に、その放電セル12における走査電極SCNi上の保護膜3表面に蓄積された正の壁電圧と維持電極SUSi上の保護膜3表面に蓄積された負の壁電圧が加算されたものとなり放電開始電圧を超える。このため、書き込み放電を起こした放電セル12において、走査電極SCNiと維持電極SUSiとの間に維持放電が起こり、その放電セル12における走査電極SCNi上の保護膜3表面に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUSi上の保護膜3表面に正の壁電圧が蓄積される。したがって、従来例で述べたものと同様に最終の維持動作が行われる。また、書き込みがなかった放電セルについてはこのような維持放電は起こらない。
【0029】
次に、第2のサブフィールドの初期化期間に着目すると、この初期化期間の前半の初期化動作において、全ての走査電極SCN1〜SCNNと全てのデータ電極D1〜DMとの間の電圧はVr(V)となり、全ての走査電極SCN1〜SCNNと全ての維持電極SUS1〜SUSNとの間の電圧はVm(V)となる。書き込み放電を起こした放電セルでは、データ電極Dj上の絶縁体層7の表面と走査電極SCNi上の保護膜3の表面の電圧は、Vr(V)と走査電極SCNi上の保護膜3の表面に蓄積された正の壁電圧とを加算したものから、データ電極Dj上の絶縁体層7の表面に書き込み動作時に蓄積された負の壁電圧を引いたもの、すなわち絶対値で加算したものとなり、放電開始電圧を超える。このため、書き込み放電を起こした放電セルでは、走査電極SCNiからデータ電極Djに放電が起こり、この放電に引きずられて走査電極SCN1〜SCNNから全ての維持電極SUS1〜SUSNに放電が起こり、これが一回目の初期化放電となり、走査電極SCNi上の保護膜3の表面に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dj上の絶縁体層7の表面および維持電極SUSi上の保護膜3の表面には正の壁電圧が蓄積される。
ただし、この一回目の初期化放電は微弱なものではなく、やや強い放電である。
【0030】
一方、書き込みが行われていない放電セルでは、データ電極Dj上の絶縁体層7の表面と走査電極SCNi上の保護膜3の表面の電圧は、Vr(V)と走査電極SCNi上の保護膜3の表面に蓄積された正の壁電圧とを加算したものから、データ電極Dj上の絶縁体層7の表面に蓄積された正の壁電圧を引いたものとなり、放電開始電圧を超えない。このため、第1のサブフィールドで書き込みがなかった放電セルでは、一回目の初期化放電は起こらない。
【0031】
さらに、初期化期間の後半の初期化動作は、第1のサブフィールドにおける初期化期間の後半の動作と同様であり、全ての維持電極SUS1〜SUSNに正電圧Vh(V)を印加し、全ての走査電極SCN1〜SCNNに、全ての維持電極SUS1〜SUSNに対して放電開始電圧以下となる電圧Vq(V)から放電開始電圧を超える0(V)に向かって緩やかに下降するランプ電圧を印加している。このランプ電圧が下降する間に、一回目の初期化放電が起こった放電セル12において、維持電極SUSiから走査電極SCNiに二回目の微弱な初期化放電が起こり、走査電極SCNi上の保護膜3の表面に蓄積された負の壁電圧および維持電極SUSiの表面に蓄積された正の壁電圧が弱められる。一方、データ電極Dj上の絶縁体層7の表面の正の壁電圧はそのまま保たれる。一回目の初期化放電が起こらなかった放電セルについては、第1のサブフィールドにおける初期化期間の後半の動作により、走査電極SCNiと維持電極SUSi上の保護膜3の表面の壁電圧はすでに弱められているため上述の二回目の初期化放電は起こらない。
【0032】
以上の説明からわかるように、第2のサブフィールドにおける初期化期間の後半の初期化動作は、第1のサブフィールドの最後の維持放電終了後直ちに行われており、表示を行っている放電セル12において、維持電極SUS1〜SUSNから走査電極SCN1〜SCNNに微弱な初期化放電が起こることにより、走査電極SCN1〜SCNN上の保護膜3の表面に蓄積された負の壁電圧および維持電極SUS1〜SUSN上の保護膜3の表面に蓄積された正の壁電圧が弱められるので、維持放電の消去動作が行われたことになり、あえて消去期間を設ける必要がなくなる。
【0033】
このとき、第1のサブフィールドで表示している放電セルにおいて、第2のサブフィールドでの初期化期間の前半の初期化動作による一回目の初期化放電は微弱ではなく、この初期化放電による輝度は、初期化期間の後半の初期化動作による二回目の微弱な初期化放電の輝度に比べてかなり高くなる。しかし、これら二回の初期化放電は表示する放電セル12においてのみ行われるので、第2のサブフィールドでの初期化放電の輝度は維持放電の輝度に上乗せされるだけである。
【0034】
また、表示が行われない放電セルに関しては、第1のサブフィールドの初期化期間に初期化放電は起こるが、書き込み放電、維持放電および消去放電が行われず、その放電セルに対応する走査電極SCN1〜SCNNと維持電極SUS1〜SN上の保護膜3の表面の壁電圧およびデータ電極D1〜DM上の絶縁体層7の表面の壁電圧は、第1のサブフィールドの初期化期間の終了時のまま保たれる。
【0035】
以上の説明で明らかなように、第2ないし第7のサブフィールドにおいても消去期間が設けられていないが、書き込み動作、維持動作および消去動作と次のサブフィールドの初期化動作が確実に行われる。また、第2のサブフィールド以降の各サブフィールドにおいて、表示が行われない放電セルに関しては、初期化放電、書き込み放電、維持放電および消去放電は行われず、その放電セルに対応する走査電極SCN1〜SCNNと維持電極群SUS1〜SUSN上の保護膜3の表面の壁電圧およびデータ電極D1〜DM上の絶縁体層7の表面の壁電圧は、各サブフィールドの前のサブフィールドの初期化期間の終了時のまま保たれる。
【0036】
また、第8のサブフィールドについては、単独の維持期間と消去期間を設け、従来例と同様に、通常の維持動作と引き続き消去動作が行われる。すなわち、図1に示した第8のサブフィールドの維持期間、消去期間から、再び次の第1のサブフィールドの初期化期間に至る動作は、従来例に示した動作と同じである。
【0037】
以上説明したように、図1に示した本発明の一実施の形態では、第1のサブフィールドにおける初期化期間の微弱な初期化放電は、パネルの表示の有無に関わらず行われるが、第2のサブフィールド以降のサブフィールドにおいては、初期化期間の初期化放電は、パネルの表示を行う放電セルに対してのみ次のサブフィールドに対する初期化動作として行われ、また、この放電の輝度は維持放電の輝度に上乗せされるだけであり、表示しない放電セルに対してはこのような初期化放電は起こらない。
【0038】
例えば、480行、852×3列のマトリックス構成を成す42インチAC型プラズマディスプレイパネルにおいて、1フィールド期間を8個のサブフィールドで構成して256階調の表示を行った場合、最大輝度が420cd/m2となったのに対し、第1のサブフィールドの初期化期間における二回の初期化放電による輝度は0.15cd/m2であった。ここで、Vp=Vq=Vm=190V、Vr=370V、Vs=70V、Vh=210Vとした。この結果、パネルに表示すべき放電セルが全くない、いわゆる黒画面の表示においては、第1のサブフィールドの初期化放電の発光のみが行われるので、黒表示の輝度が0.15cd/m2と従来の1/8となり、薄暗い所でパネルを表示した場合、従来に比べて黒表示の視認性が極めて向上した。また、本実施の形態によるパネルのコントラストは420/0.15:1=2800:1となり、極めて高い値のコントラストが得られた。
【0039】
以上の実施の形態では、第1のサブフィールドの初期化期間において印加している電圧Vr(V)と第2ないし第8のサブフィールドの初期化期間において印加している電圧Vr(V)を同じ値とした場合について説明したが、異なる値としてもよい。
【0040】
また、以上の実施の形態では、1フィールド期間を、初期化期間、書き込み期間および維持期間を有する8個のサブフィールドで構成して階調表示を行うAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法において、8個のサブフィールドのうちの7個のサブフィールドについて、維持期間の最終部の維持動作と次のサブフィールドの初期化期間の初期化動作とを同時に行う駆動方法について説明したが、1フィールド期間を構成しているサブフィールドの数、消去期間を設けないサブフィールドの数および維持期間の最終部の維持動作と次のサブフィールドの初期化期間の初期化動作とを同時に行うサブフィールドの数を限定するものではない。また、サブフィールドにおける駆動波形も限定されるものではない。さらに、本発明は、他の構成のAC型プラズマディスプレイパネルに対しても実施することができるものである。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法によれば、1フィールドを構成している複数のサブフィールドのうち少なくとも1つのサブフィールドにおける維持期間の最終の維持動作と、そのサブフィールドに続くサブフィールドの初期化期間の初期化動作とを同時に行うことにより、パネルに表示のない、いわゆる黒画面表示における輝度が極めて低くなるので黒の視認性が大幅に向上するとともに、パネルのコントラストを非常に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法を示す動作駆動タイミング図
【図2】従来のAC型プラズマディスプレイパネルの部分切欠斜視図
【図3】従来のAC型プラズマディスプレイパネルの電極配列図
【図4】従来のAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法を示す動作駆動タイミング図
【符号の説明】
1 第一のガラス基板
2 誘電体層
3 保護膜
4 走査電極
5 維持電極
6 第二のガラス基板
7 絶縁体層
8 データ電極
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