JP2000205507A - 流体混合器およびボイラ - Google Patents

流体混合器およびボイラ

Info

Publication number
JP2000205507A
JP2000205507A JP11003346A JP334699A JP2000205507A JP 2000205507 A JP2000205507 A JP 2000205507A JP 11003346 A JP11003346 A JP 11003346A JP 334699 A JP334699 A JP 334699A JP 2000205507 A JP2000205507 A JP 2000205507A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water wall
fluid mixer
furnace water
furnace
heat transfer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11003346A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Marumoto
隆弘 丸本
Tomokazu Fukuyado
具和 福宿
Junichiro Matsuda
順一郎 松田
Hidehisa Yoshizako
秀久 吉廻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Babcock Hitachi KK filed Critical Babcock Hitachi KK
Priority to JP11003346A priority Critical patent/JP2000205507A/ja
Publication of JP2000205507A publication Critical patent/JP2000205507A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 火炉水壁出口における流体の乾き度が1付近
になるように設計された火炉においても、エンタルピ偏
差を生じさせることがなく、火炉水壁を構成する管間で
の温度差を低減し、火炉耐圧部の障害を防止する流体混
合器およびボイラを提供する。 【解決手段】 火炉水壁が上下に分割されるとともに、
下側の火炉水壁1を構成する伝熱管の出口に接続された
下側火炉水壁出口管寄せからの複数本の流入側連絡管
4、及び上側の火炉水壁2を構成する伝熱管入口に接続
された上側火炉水壁入口管寄せに接続される流出側連絡
管5が円筒形の流体混合器本体の周囲に配置された流体
混合器3において、流体混合器本体のほぼ中心に、ミス
トを分散させる内挿物6を設置した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、事業用及
び産業用ボイラ火炉の水壁管内の流体の管毎のエンタル
ピ偏差を低減する流体混合器及びボイラに係り、特に火
炉高さ方向に分割された火炉水壁間に設けられ、下側火
炉水壁管からの流体のエンタルピ偏差を低減する流体混
合器およびボイラに関する。
【0002】
【従来の技術】事業用または産業用の石炭焚きボイラ
は、おおよそ、図14に示すように、燃料を燃焼させ主
として幅射伝熱により熱量を吸収する火炉9と、燃焼ガ
スを伝熱管群に流通させ主として対流伝熱により熱量を
吸収する横置き伝熱部10と、火炉9からの若干の輻射
伝熱と燃焼ガスの流通による対流とにより熱量を吸収す
る吊下げ伝熱部100とで構成される。火炉9は多数の
チューブより成る水壁で構成されており、この水壁には
下部の水壁入口管寄せ200から供水される。この大部
分の領域ではほぼ均一な熱負荷を受ける。しかしなが
ら、燃焼装置であるバーナ11の近傍では熱負荷が局所
的に高くなるため、火炉水壁出口において、管内流体の
エンタルピに管毎に偏差を生じる。従来型ボイラであれ
ば、火炉水壁出口の流体の乾き度(クオリティ:蒸気含
有率)が0.5〜0.7と低く、飽和状態が維持されて
おりエンタルピ偏差を生じても温度偏差を生じることは
なかつた。一方、火炉水壁出口の流体の乾き度を1付近
まで上げ、火炉水壁で蒸発を完結させることで、各伝熱
菅群を簡略化して火炉をコンパクトにできる。このよう
な火炉では、エンタルピ偏差を生じると、エンタルピの
高い側の流体は過熱蒸気となるため、温度が飽和温度以
上になり、エンタルピの低い側の流体との温度差を生じ
る。そして温度差がある値以上になると、水壁を構成す
るメタルに発生する熱応力が過大となり、火炉水壁の設
計強度を超え、最悪の場合、運転を中止することにな
る。従来型ボイラでは、一定負荷時においてはこのよう
な問題を生じないため、特別な対策を講じる必要はない
が、負荷上昇時あるいは下降時には一時的に温度差を生
じるため、火炉水壁の中間高さの部位に図15に示すよ
うな火炉水壁中間管寄せ13を設け、下側の火炉水壁管
12−2からの流体を混合したのち上側の火炉水壁管1
2−1に流す構造が採用されている例もある。また、図
16に示すように火炉水壁を上下に分割し、下側の火炉
水壁1を構成する伝熱管の出口に接続された下側水壁出
口管寄せを設け、流体混合器14で混合したのち、上側
の火炉水壁2を構成する伝熱管入口に接続された上側水
壁入口管寄せに流す構造も採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来型ボイ
ラであれば、温度差を低減するために、火炉水壁出口の
流体の乾き度を0.5〜0.7になるように設計され
る。そうすれば、火炉水壁の熱吸収量のアンバランスを
生じても、火炉水壁出口の流体の乾き度は1を超えるは
ない。したがって、管内流体は常に飽和温度に保たれる
ため、温度差を生じることはない。これに対し、火炉水
壁出口における流体の乾き度が1付近になるように設計
された火炉では、熱吸収量のアンバランスを生じると、
熱吸収量の高い管は乾き度が1を越え、飽和温度以上に
なる。一方、熱吸収量の低い管は常に飽和温度である。
したがって、熱吸収量の高い管と低い管とで温度差を生
じる。管内流体の流動状態は乾き度によって変化する。
流量を一定とすると、乾き度の増大により、管内の流動
状態は図17(a)乃至(c)のように変化する。すな
わち、乾き度の小さい領域では、液相の占める割合が大
きく、管壁に液膜が形成されるスラグ流(図17(b)
参照)もしくは気泡流(図17(a)参照)となるのに
対し、乾き度が大きい領域では、管内を液相がミスト
(微小液滴)となって浮遊する環状噴霧流(図17
(c)参照)となる。また、後述する図4,5に示すよ
うに、流速が大きい中心部へのミストの集中が起こって
分散しない。したがって、乾き度を大きくした構造のも
のでは、流動様式が大きく異なるため、従来の手法をそ
のまま適用することは不可能である。実際に、この手法
を用いてデータを採取した結果、図18に示すように、
ECR負荷(ボイラ負荷)が30%,50%等の部分負
荷時にメタル温度差(℃)が設計許容値を超え問題とな
つた。
【0004】本発明の第1の課題は、火炉水壁出口にお
ける流体の乾き度が1付近になるように設計された火炉
においても、エンタルピ偏差を生じさせることがなく、
火炉水壁を構成する管間での温度差を低減し、火炉耐圧
部の障害を防止する流体混合器およびボイラを提供する
ことにある。本発明の第2の課題は、流体混合器本体の
内部に設けた内挿物または柱のエロージョンによる摩耗
を防止する流体混合器およびその流体混合器を有するボ
イラを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記第1の課題は、火炉
高さ方向に火炉水壁が上下に分割されるとともに、下側
の火炉水壁を構成する伝熱管の出口に接続された下側火
炉水壁出口管寄せからの複数本の流入側連絡管、及び上
側の火炉水壁を構成する伝熱管入口に接続された上側火
炉水壁入口管寄せに接続される流出側連絡管が配置され
た流体混合器において、前記流体混合器本体のほぼ中心
に、ミストを分散させる内挿物を設置した第1の手段に
より解決される。上記第1の課題は、火炉水壁が上下に
分割されるとともに、下側の火炉水壁を構成する伝熱管
の出口に接続された下側火炉水壁出口管寄せからの複数
本の流入側連絡管、及び上側の火炉水壁を構成する伝熱
管入口に接続された上側火炉水壁入口管寄せに接続され
る流出側連絡管が配置された流体混合器において、前記
流体混合器本体の底部の中央に、ミストを分散させる柱
を設置した第2の手段により解決される。上記第1の課
題は、第1または2の手段において、前記内挿物または
前記柱の上端の垂直位置を、前記流体混合器本体に複数
段にわたって設置された流出側連絡管の最上段の位置よ
りも高くした第3の手段により解決される。上記第2の
課題は、第1または2の手段において、前記内挿物また
は前記柱の上端の垂直位置を、前記流体混合器本体に複
数段にわたって配置された流出側連絡管の最上段の位置
よりも高くした第4の手段により解決される。上記第2
の課題は、第1または2の手段において、前記内挿物ま
たは前記柱の上面を耐摩耗材で被覆した第5の手段によ
り解決される。上記第1の課題は、火炉水壁が上下に分
割されるとともに、下側の火炉水壁を構成する伝熱管の
出口に接続された下側火炉水壁の出口管寄せからの複数
本の流入側連絡管、及び上側の火炉水壁を構成する伝熱
管入口に接続された上側火炉水壁の入口管寄せに接続さ
れる流出側連絡管が配置された流体混合器において、前
記流入側連絡管を前記流体混合器本体の天井部に上方か
ら接続し、前記流出側連絡管を前記流体混合器本体の囲
りに放射状に配置した第6の手段により解決される。上
記第1,2の課題は、第1〜6の手段のいずれかの流体
混合器を備えた第7の手段により解決される。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。図1は本発明を超臨界圧変圧貫流ボイラに適用し
た例を示す説明図、図2は本発明の第1の実施の形態の
(図1に示す)流体混合器を拡大して示す説明図、図3
は本発明の第1の実施の形態の流体混合器の下部側を拡
大して示す断面図、図4は流体混合器内のミスト濃度分
布を示す説明図、図5は本発明をボイラ火炉に適用して
得られた、エンタルピ偏差の測定値の一例を示す説明図
である。
【0007】まず、図1に示すように、本実施の形態が
適用される超臨界圧変圧貫流ボイラは周囲が多数のチュ
ーブ(伝熱管)よりなる水壁で構成されており、水壁が
火炉の高さの中間部よりも高い位置で上下に分割されて
いる。つまり、火炉の下側火炉水壁1は伝熱管が傾斜し
たスパイラル壁で構成され、火炉の上側火炉水壁2は伝
熱管が垂直な垂直壁で構成されている。このスパライル
壁は、垂直壁にした場合には、出口側での温度偏差が大
になるのを抑制するために設けている。スパライル壁及
び垂直壁は上述したように多数の伝熱管で構成されてい
るが、数十本程度を一つにまとめて管寄せで結合する構
造となっている。スパイラル壁である下側火炉水壁1の
入口管寄せ200より給水が行われる。下側火炉水壁1
の出口管寄せには各々流入側連絡管4が接続され、この
流入側連絡管4は流体混合器3の周囲上部に放射状に接
続される。また、流体混合器3の周囲下部には、上側火
炉水壁2の入口管寄せに接続されている流出側連絡管5
が放射状に配設されている。
【0008】この流体混合器3は図2に示すように円筒
形をしており、複数本の流入側側連絡管4が周囲上部に
放射状に配置され、また複数本の流出側連絡管5が周囲
下部に放射状に配置されている。下側火炉水壁1より延
びる流入側連絡管4を通ってきた流体は流体混合器3内
で混合され、上側火炉水壁2の入口管寄せと接続された
流出側連絡管5に分配され流出する。この流体混合器3
の内部には、図3に示すように、その中心軸L上に内挿
物6として平板を設置している。この内挿物6は流体混
合器3の底部3aに立設された支持棒7の上端に設けら
れ、また内挿物6の上面は流出側連絡管5より高く設定
されている。なお、内挿物6の形状は平板に限定され
ず、円盤や三角錐等でもよく、つまり、ミストが衝突
し、飛散できるものであればどんな形状でも良い。ま
た、内挿物(または後述する柱)の外径を流体混合器内
径の0.5倍以上とすることが好ましい。
【0009】ところで、流体混合器3に流入側連絡管4
より流入するミストは気相に同伴され、慣性力を持って
いるため、ミストは流体混合器3の内部に均一に分散で
きず、図4に示すように流体混合器3の中心部へ密集す
る。つまり、図4に示すように、流体混合器3の中央部
でミスト濃度が高くなっている。
【0010】これを模式的に示せば、図5に示すように
なる。図5にて粒径の小さいミストは気流の流れに同伴
され流出側連絡管5から均等に流出するが、液相の大部
分を占める粒径の大きなミストは慣性力により流体混合
器3の中心部に密集し、そのまま底部3aまで到達する
ので、気相流れとは無関係に流出側連絡管5から流出す
る。特に、流出側連絡管5から流入する流れが不均一な
場合、流出側連絡管5の特定の箇所からの流出量が多く
なり、管毎のエンタルピ偏差が大きくなる。
【0011】よって、前記第1の実施の形態のように、
流体混合器3の中心部に内挿物6を設置することによ
り、流体混合器3の中心部に密集するミストが内挿物6
の上面に衝突して飛散されるため、流体混合器3の中心
部に密集するミストを流出側連絡管5の上流側で効果的
に分散できるので、複数本の流出側連絡管5へのミスト
の分散割合の均一が図れる。測定結果の一例を図6に示
すが、この図6から明らかなように、内挿物6を設置し
た実施の形態の場合は内挿物6を設置しない場合(従来
例)に比べ、エンタルピ偏差の低減効果は非常に大き
く、負荷にかかわらず、エンタルピ偏差はECR負荷3
0%のとき15、ECR負荷50%のとき10程度とな
る。なお、図6にて従来例のECR負荷30%のときの
エンタルピ偏差を100としてある。
【0012】したがって、下側火炉水壁1の内部流体に
エンタルピ偏差があり、一部過熱蒸気となる場合でも、
流体混合器3においてエンタルピ偏差が混合されて流体
混合器3から流出され、上側火炉水壁2の入口では、エ
ンタルピ偏差が低減できるため、上側火炉水壁2の出口
における伝熱管間の温度差を大幅に低減できるので、メ
タルに発生する熱応力を火炉水壁の設計強度以下に抑え
ることが可能となる。そのため、火炉の寿命が延び、火
炉水壁の損傷事故も防止できる。
【0013】次に、本発明の第2の実施の形態を説明す
る。図7は本発明の第2の実施の形態を示す説明図であ
る。この第2の実施の形態では、流体混合器3の底部の
中央部に柱8を設置しており、この柱8は底部3aから
立設され、柱8の上面8aは流出側連絡管5より高い位
置に設定されている。この第2の実施の形態の柱8でも
前記第1の実施の形態の内挿物(平板)の場合と同等の
効果を発揮する。すなわち、流体混合器3の中心部に密
集するミストは柱8の上面8aに衝突し、飛散するの
で、複数本の流出側連絡管5へのミストの分配量の均一
化が図れる。なお、柱8の形状は、円柱や角柱などに限
定されず、楕円柱や矩形柱などでも良い。また、第2の
実施の形態(あるいは後述する以下の実施の形態)で、
特に、説明していないボイラ等の構成は前記第1の実施
の形態と同様である。
【0014】以上のように、前記第1,2の実施の形態
にあっては、流入側連絡管4及び流出側連絡管5を円筒
形の流体混合器3の周囲に放射状に配置することによ
り、周方向のエンタルピ偏差を低減できると同時に、旋
回を発生することがないので、流体混合器3の内部のエ
ロージョンを防止できる。さらに、流体混合器3の中心
部に内挿物6(あるいは柱8)を設置することにより、
流体混合器3の中心部に密集するミストを分散できるの
で、複数本の流出側連絡管5へのミストの分散割合の均
一化が図れる。したがって、下側の火炉水壁1の伝熱管
の内部流体にエンタルピ偏差があり、一部過熱蒸気とな
る場合でも、流体混合器3においてエンタルピが混合さ
れ、上側の火炉水壁2の伝熱管入口では、エンタルピの
偏差が低減できる。よって、上側の火炉水壁2の伝熱管
出口における伝熱管間の温度差を大幅に低減できるた
め、伝熱管に発生する熱応力を火炉水壁の設計強度以下
に抑えることが可能となるので、火炉の寿命が延び、火
炉水壁の損傷事故も防止できる。
【0015】次に、本発明の第3の実施の形態を説明す
る。図8も本発明の第3の実施の形態を示す説明図であ
る。この第3の実施の形態は、流体混合器3に接続され
る流出側連絡管5の本数が多く、流体混合器3の周囲に
流出側連絡管5を複数段にわたって設置する必要がある
場合に、前記図7の柱より細径の柱8を立設してある。
そして、この柱8の設置位置(上面8aの位置)を複数
段の流出側連絡管5の最上段よりも高い位置に設定する
ことで、効果的にミストを分散させ、流出側連絡管5の
段間のミスト分散量の均一化が図れる。
【0016】次に、本発明の第4の実施の形態を説明す
る。図9は本発明の第4の実施の形態を示す説明図であ
る。この第4の実施の形態は、前記図8と同様に流出側
連絡管5が複数段にわたって設置された場合に効果を発
揮する。この第4の実施の形態は、前記図7と図8との
構成を組み合わせたもので、つまり、図8の柱8の直径
(円柱の場合)を大きくして図9に示すように構成する
(ミストが衝突する柱8の上面の面積を大きくする)こ
とにより、効果的にミストを分散させ、流出側連絡管5
の段間のミスト分散量の均一化が図れる点について最高
の性能を発揮することは言うまでもない。
【0017】以上のように、前記第3,4の実施の形態
にあっては、流体混合器3の内部のエロージョンを防止
できるとともに、流体混合器3に接続される流出側連絡
管5の本数が多い場合に、流出側連絡管5を複数段に分
けて設置する必要が生じた場合でも、流体混合器3の中
心部に密集するミストを分散できるため、複数本の流出
側連絡管5へのミストの分散割合の均一化が図れる。し
たがって、下側の火炉水壁1の伝熱管の内部流体にエン
タルピ偏差があり、一部過熱蒸気となる場合でも、流体
混合器3においてエンタルピ混合され、上側の火炉水壁
2の伝熱管入口では、エンタルピ偏差が低減できる。よ
って、上側の火炉水壁2の伝熱管出口における伝熱管間
の温度差を大幅に低減できるため、メタルに発生する熱
応力を火炉水壁の設計強度以下に抑えることが可能とな
るので、火炉の寿命が延び、火炉水壁の損傷事故も防止
できる。
【0018】次に、本発明の第5の実施の形態を説明す
る。図10は本発明の第5の実施の形態を示す説明図で
ある。火炉は、前述した実施の形態と同様に火炉水壁が
上下に分割されていると共に、下側の火炉水壁を構成す
る伝熱管の出口に接続された下側水壁の出口管寄せから
複数の流入側連絡管40が、流体混合器3に接続されて
いる。この第5の実施の形態では、図10に示すよう
に、複数の流入側連絡管40は流体混合器3の円筒形の
本体天井部3bに接続されている。複数の流入側連絡管
40は本体天井部3bに対して垂直に接続され、さらに
半径方向に屈曲されて放射状に配設されている。このよ
うな前記第5の実施の形態にあっては、流体混合器3内
に複数の流入側連絡管40は本体天井部3bに接続され
ているので、流入側連絡管40より流入するミストは流
体混合器3の中心部へ密集することはなく、複数本の流
出側連絡管5へのミストの分散割合の均一化を図れる。
なお、第5の実施の形態は内挿物または柱等と組み合わ
せて使用しても良い。
【0019】ところで、上述したように流体混合器の内
部は気液二相流であり、管内流体の流動状態は図18
(c)に示すような環状噴霧流となる。環状噴霧流で
は、気流中を液相であるミストが浮遊し、ミストが流体
混合器の中央部に密集し、内部で加速される。そこで、
前記各実施の形態のように、密集したミストを内挿物6
または柱8によって分散させることで、エンタルピ偏差
を大幅に低減できる。しかしながら、ミストが内挿物6
または柱8の上面に高速で衝突するため、内挿物6また
は柱8の上面がエロージョンにより摩耗(孔蝕)する虞
がある。これを解決する実施の形態を以下説明する。
【0020】図11は本発明の第6の実施の形態を示す
説明図である。この第6の実施の形態では、内挿物とし
て円柱20が設置された例を示してあり、この円柱20
の上面のみに耐摩耗材としてセラミック21を被覆して
ある。なお、耐摩耗材は、高強度で耐摩耗性が高ければ
良く、例えば、炭素鋼、ステンレスの鋳物等でも良い。
このような前記第6の実施の形態にあっては、前記各実
施の形態と同様な流体混合器3の流入側連絡管4より流
入したミストが気相に同伴され、流体混合器3の中心部
へ密集し、円柱20の上面に衝突しても、円柱20の上
面がセラミック21で被覆されているので、円柱(内挿
物)20のエロージョンは発生せず、摩耗を防止でき、
流体混合器3の性能を損ねることがない。
【0021】また、図12は本発明の第7の実施の形態
を示す説明図であり、この第7の実施の形態では、内挿
物30の上面に凹部31を形成し、つまり、この凹部3
1は周りを壁で囲まれた状態となっており、凹部31内
に水を溜められるようになっている。この水は流体混合
器3内のミスト等の液体が凹部に衝突等することによっ
て次第に溜められる。もちろん予め溜めておいても良
い。このような前記第7の実施の形態にあっては、高速
で浮遊するミストが内挿物に直接衝突することがなく、
凹部31内に溜められた水に衝突するので、エロージョ
ンを防止できる。したがって、摩耗を防止でき、流体混
合器3の性能を損ねることがない。なお、図13は内挿
物の上面を平面とした場合(平板型)と、凹部31を設
けた場合(凹部型)のエロージョン量を比較した説明図
であり、この図 から明らかなように、エロージョン量
は平板型を100とすると凹部型は10程度であり、エ
ロージョンの発生を大幅に低減できる。
【0022】
【発明の効果】請求項1又は7記載の発明によれば、流
体混合器本体のほぼ中心に、ミストを分散させる内挿物
を設置したため、ボイラ火炉に適用することにより、下
側の火炉水壁伝熱管の内部流体にエンタルピ偏差があ
り、一部過熱蒸気となる場合でも、流体混合器において
エンタルピが混合され、上側の火炉水壁伝熱管入口で
は、エンタルピの偏差が低減でき、上側の火炉水壁伝熱
管出口における伝熱管間の温度差を大幅に低減できるの
で、メタルに発生する熱応力を火炉水壁の設計強度以下
に抑えることができて、火炉の寿命が延び、火炉水壁の
損傷事故も防止できる。請求項2又は7記載の発明によ
れば、流体混合器本体の底部の中央に、ミストを分散さ
せる柱を設置したため、ボイラ火炉に適用することによ
り、下側の火炉水壁伝熱管の内部流体にエンタルピの偏
差があり、一部過熱蒸気となる場合でも、流体混合器に
おいてエンタルピが混合され、上側の火炉水壁伝熱管入
口では、エンタルピの偏差が低減でき、上側の火炉水壁
伝熱管出口における伝熱管間の温度差を大幅に低減でき
るので、メタルに発生する熱応力を火炉水壁の設計強度
以下に抑えることができて、火炉の寿命が延び、火炉水
壁の損傷事故も防止できる。請求項3又は7記載の発明
によれば、内挿物または柱の上端の垂直位置を、流体混
合器本体に複数段にわたって設置された流出側連絡管の
最上段の位置よりも高くしたため、流体混合器の内部の
エロージョンを防止できるとともに、流体混合器に接続
される流出側連絡管の本数が多い場合に、流出側連絡管
を複数段に分けて設置する必要が生じた場合でも、流体
混合器の中心部に密集するミストを分散できるので、複
数本の流出側連絡管へのミストの分散割合の均一化が図
れる。したがって、下側の火炉水壁の伝熱管の内部流体
にエンタルピの偏差があり、一部過熱蒸気となる場合で
も、流体混合器においてエンタルピが混合され、上側の
火炉水壁の伝熱管入口では、エンタルピの偏差が低減で
きる。よって、上側の火炉水壁の伝熱管出口における伝
熱管間の温度差を大幅に低減できるため、メタルに発生
する熱応力を火炉水壁の設計強度以下に抑えることが可
能となるので、火炉の寿命が延び、火炉水壁の損傷事故
も防止できる。請求項4又は7記載の発明によれば、内
挿物または柱の上面を耐摩耗材で被覆したため、エロー
ジョンを防止できるので、内挿物または柱の摩耗を防止
でき、流体混合器の性能を損ねることがない。請求項5
又は7記載の発明によれば、凹部内に溜められた水に衝
突するため、エロージョンを防止できるので、内挿物ま
たは柱の摩耗を防止でき、流体混合器の性能を損ねるこ
とがない。請求項6又は7記載の発明によれば、流体混
合器内に複数の流入側連絡管は本体天井部に接続されて
いるので、流入側連絡管より流入するミストは流体混合
器の中心部へ密集することはなく、複数本の流出側連絡
管へのミストの分散割合の均一化を一層図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を超臨界圧変圧貫流ボイラに適用した例
を示す説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の流体混合器を拡大
して示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の流体混合器の下部
側を拡大して示す断面図である。
【図4】流体混合器内のミスト濃度分布を示す説明図で
ある。
【図5】流体混合器内の気流の流れを模式的に示す説明
図である。
【図6】本発明をボイラ火炉に適用して得られた、エン
タルピ偏差の測定値の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の流体混合器底部の
中央部に円柱を設置した説明図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態を示し、流体混合器
に接続される連絡管の本数が多く、混合器の周囲に連絡
管を複数段にわたって設置した場合への適用例を示す説
明図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態を示し、図7と同様
に連絡管が複数段にわたって設置された場合への適用例
を示す説明図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態を示す説明図であ
る。
【図11】本発明の第6の実施の形態を示す説明図であ
る。
【図12】本発明の第7の実施の形態を示す説明図であ
る。
【図13】平板型と凹部型のエロージョン量を比較した
説明図である。
【図14】事業用ボイラを例にとり、その概略を示す説
明図である。
【図15】従来例の中間管寄せを採用した説明図であ
る。
【図16】従来例の混合器を採用した説明図である。
【図17】管内流体の流動状態を摸式的に示す説明図で
ある。
【図18】従来例を炉水壁出口における流体の乾き度が
1付近になるように設計された火炉に適用した際の、メ
タル温度差を示す説明図である。
【符号の説明】
1 下側火炉水壁 2 上側火炉水壁 3 流体混合器 3a 底部 3b 本体天井部 4 流入側連絡管 5 流出側連絡管 6 内挿物 7 支持棒 8 柱 8a 上面 20 円柱 21 セラミック 30 内挿物 31 凹部 40 流入側連絡管
フロントページの続き (72)発明者 松田 順一郎 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日立 株式会社呉工場内 (72)発明者 吉廻 秀久 広島県呉市宝町3番36号 バブコツク日立 株式会社呉研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 火炉高さ方向に火炉水壁が上下に分割さ
    れるとともに、下側の火炉水壁を構成する伝熱管の出口
    に接続された下側火炉水壁出口管寄せからの複数本の流
    入側連絡管、及び上側の火炉水壁を構成する伝熱管入口
    に接続された上側火炉水壁入口管寄せに接続される流出
    側連絡管が配置された流体混合器において、 前記流体混合器本体のほぼ中心に、ミストを分散させる
    内挿物を設置したことを特徴とする流体混合器。
  2. 【請求項2】 火炉水壁が上下に分割されるとともに、
    下側の火炉水壁を構成する伝熱管の出口に接続された下
    側火炉水壁出口管寄せからの複数本の流入側連絡管、及
    び上側の火炉水壁を構成する伝熱管入口に接続された上
    側火炉水壁入口管寄せに接続される流出側連絡管が配置
    された流体混合器において、 前記流体混合器本体の底部の中央に、ミストを分散させ
    る柱を設置したことを特徴とする流体混合器。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載において、前記内
    挿物または前記柱の上端の垂直位置を、前記流体混合器
    本体に複数段にわたって配置された流出側連絡管の最上
    段の位置よりも高くしたことを特徴とする流体混合器。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載において、前記内
    挿物または前記柱の上面を耐摩耗材で被覆したことを特
    徴とする流体混合器。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載において、前記内
    挿物または前記柱の上面に凹部を設けたことを特徴とす
    る流体混合器。
  6. 【請求項6】 火炉水壁が上下に分割されるとともに、
    下側の火炉水壁を構成する伝熱管の出口に接続された下
    側火炉水壁の出口管寄せからの複数本の流入側連絡管、
    及び上側の火炉水壁を構成する伝熱管入口に接続された
    上側火炉水壁の入口管寄せに接続される流出側連絡管が
    配置された流体混合器において、 前記流入側連絡管を前記流体混合器本体の天井部に上方
    から接続し、前記流出側連絡管を前記流体混合器本体の
    囲りに放射状に配置したことを特徴とする流体混合器。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかの流体混合器を
    備えたことを特徴とするボイラ。
JP11003346A 1999-01-08 1999-01-08 流体混合器およびボイラ Pending JP2000205507A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11003346A JP2000205507A (ja) 1999-01-08 1999-01-08 流体混合器およびボイラ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11003346A JP2000205507A (ja) 1999-01-08 1999-01-08 流体混合器およびボイラ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000205507A true JP2000205507A (ja) 2000-07-25

Family

ID=11554807

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11003346A Pending JP2000205507A (ja) 1999-01-08 1999-01-08 流体混合器およびボイラ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000205507A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105650629A (zh) * 2016-02-24 2016-06-08 东方电气集团东方锅炉股份有限公司 消除外置式换热器工质热偏差的方法
CN106016345A (zh) * 2016-05-20 2016-10-12 哈尔滨工业大学 一种安装在超临界w火焰锅炉减小水冷壁温度偏差的装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105650629A (zh) * 2016-02-24 2016-06-08 东方电气集团东方锅炉股份有限公司 消除外置式换热器工质热偏差的方法
CN106016345A (zh) * 2016-05-20 2016-10-12 哈尔滨工业大学 一种安装在超临界w火焰锅炉减小水冷壁温度偏差的装置
CN106016345B (zh) * 2016-05-20 2018-03-13 哈尔滨工业大学 一种安装在超临界w火焰锅炉减小水冷壁温度偏差的装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4884332B2 (ja) 内燃機関の排気システム
US7326286B2 (en) Exhaust gas treating tower
JPS59122803A (ja) 蒸気タ−ビンの再熱装置
WO2017111636A1 (en) Fired heat exchanger
JP2000205507A (ja) 流体混合器およびボイラ
US3533560A (en) Cooling tower spray nozzle
JP3569888B2 (ja) オリフィス板
JPS6330055B2 (ja)
CN104067083B (zh) 防堵塞蒸汽发生器管束
JPH0220883B2 (ja)
JP2008261538A (ja) 汽水分離器ならびにそれを備えたボイラ装置
JP3655482B2 (ja) 流体混合器
MX2012014033A (es) Un aparato de anillo de asiento de atemperador.
US2782772A (en) Vapor generator and liquid flow means therefor
US4679529A (en) Steam generator feed water heater
US4131085A (en) Vapor generating unit blowdown arrangement
US5083529A (en) Steam generator with ring header, particularly for a nuclear power station
JP3085873B2 (ja) 超臨界圧変圧貫流ボイラ
JP6938688B2 (ja) 脱硫システム
JPH02223703A (ja) 旋回式セパレータ
JP3450034B2 (ja) 気水分離器
KR19990023666A (ko) 외부 농후 유동상을 구비한 보일러
JP2963586B2 (ja) 蒸気発生器
JP2018059658A (ja) 気体減温器
RU2150644C1 (ru) Теплообменник

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060328

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060725