JP2000204549A

JP2000204549A - 楔型アンカ―装置

Info

Publication number: JP2000204549A
Application number: JP11009101A
Authority: JP
Inventors: Isao Noguchi; 功野口; Tsutomu Koyama; 勉小山
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1999-01-18
Filing date: 1999-01-18
Publication date: 2000-07-25

Abstract

(57)【要約】【課題】アンカー材にアンカー材を引き抜こうとする
力が掛かると、アンカー材に形成された引抜方向に向か
うに従って次第に径小となるテーパー外周面と楔環材に
形成されたテーパー内周面との楔作用により楔環材は外
方に拡径し、アンカー材をアンカー孔内に強固に係止維
持固定させることができる。【解決手段】コンクリートＷ内に形成されたアンカー
孔Ｗ₁内に挿入固着されるアンカー材１の挿入端部に引
抜方向に向かうに従って次第に径小となるテーパー外周
面を有するテーパー部２を形成し、略Ｃ環状の楔環材５
をテーパー部に嵌着してなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は例えば建築構造物や
土木構造物の構築に用いられる差し筋アンカー、アンカ
ーボルト、アンカー等の楔型アンカー装置に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来この種の楔型アンカー装置として、
特開昭４９−１１３０６４号公報、実公昭４３−２３４
６５号公報、実公昭４８−４４５３５号公報、特開平８
−１５９１３５号公報に示す如く、コンクリート内に形
成されたアンカー孔内に挿入固着されるアンカー材の挿
入端部の側面に引抜方向に向かうに従って次第に斜め内
側に向かうカム面をもつ嵌合凹部を形成し、該嵌合凹部
のカム面を滑り接触可能な滑接内面を有すると共にアン
カー材の引抜動作に伴って生ずるカム面と滑接内面との
楔作用により該アンカー孔の内周面を圧接可能な圧接外
面をもつ楔材を形成して構成したものが知られている。

【０００３】しかして、差し筋アンカーにおいては、コ
ンクリート内にアンカー材の外径と略同径のアンカー孔
を形成し、アンカー材の挿入端部に形成された嵌合凹部
に楔材を嵌合し、この嵌合状態において、楔材の外面の
上部又は全部はアンカー材の外周面よりやや外側に突出
しており、よって、楔材を嵌合凹部に嵌合した状態でア
ンカー材の挿入端部をアンカー孔内に打ち込み、打ち込
み時において、楔材の外面はアンカー孔の内周面に圧接
係止し、かつ、この状態でアンカー材にアンカー材を引
き抜こうとする力が掛かると、アンカー材の側面に形成
された引抜方向に向かうに従って次第に斜め内側に向か
うカム面と楔材に形成された滑接内面との楔作用により
楔材は半径方向の外側に変位し、楔材の圧接外面はアン
カー孔の内周面をより強く圧接し、アンカー孔とアンカ
ー材との係止作用を一層強め、アンカー材はアンカー孔
内に強固に固着されることになる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
構造の場合、上記嵌合凹部のカム面は引抜方向に向かう
に従って次第に斜め内側に向かう平坦面に形成され、楔
材の滑接内面も平坦面に形成されているので、アンカー
材にアンカー材を引き抜こうとする力が掛かったとき
に、楔材はアンカー材の軸線を中心とする半径方向の外
側に半径方向に変位し、楔材の外面の上部のアンカー材
の外周面よりやや外側に突出した圧接外面がアンカー孔
の内周面に圧接され、楔材の圧接外面の圧接面積は楔材
の形状によりにより制約を受けるので圧接面圧が大きく
なって圧接外面が圧潰され易く、それだけアンカー孔と
楔材との係止作用が弱められることになると共に使用耐
久性を低下させることがあるという不都合を有してい
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明はこれらの課題を
解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請
求項１記載の発明は、コンクリート内に形成されたアン
カー孔内に挿入固着されるアンカー材の挿入端部に引抜
方向に向かうに従って次第に径小となるテーパー外周面
を有するテーパー部を形成し、該テーパー部のテーパー
外周面に滑り接触可能なテーパー内周面及びアンカー材
の引抜動作に伴って生ずるテーパー外周面とテーパー内
周面とのテーパー作用により拡径してアンカー孔の内周
面を圧接可能な圧接外周面並びに引抜方向に延びる割溝
を有する略Ｃ環状の楔環材をテーパー部に嵌着してなる
ことを特徴とする楔型アンカー装置にある。

【０００６】又、請求項２記載の発明は、上記楔環材の
上記引抜方向前側端部の外径をアンカー材の最大外径よ
り稍径大に形成してなることを特徴とするものであり、
又、請求項３記載の発明は、上記楔環材は自己弾性を有
してなることを特徴とするものであり、又、請求項４記
載の発明は、楔型アンカー装上記アンカー材の挿入端部
に上記アンカー穴の底面を弾圧して自己弾性によりアン
カー材を引抜方向に弾圧可能な弾性材を止着してなるこ
とを特徴とするものであり、又、請求項５記載の発明
は、上記アンカー材の挿入端部に上記テーパー部を複数
個上下多段に形成し、該複数個のテーパー部に各々上記
楔環材を嵌着してなることを特徴とするものである。

【０００７】

【発明の実施の形態】図１乃至図８は本発明の実施の形
態例を示し、図１乃至図５は差し筋アンカーに適用した
第一形態例、図６は第二形態例、図７はアンカーボルト
に適用した第三形態例、図８は第四形態例である。

【０００８】図１乃至図５の第一形態例において、１は
アンカー材であって、外周面に軸方向に延びる二本の縦
凸条１ａ及びこの縦凸条１ａ間に梯子状に配置形成され
た横凸条１ｂが突出形成された所謂異形鉄筋からなり、
アンカー材１の最大外径である縦凸条１ａ又は横凸条１
ｂ間の最大外径ＤはコンクリートＷ内に形成されたアン
カー孔Ｗ₁の内径ｄと略同径に形成されている。

【０００９】２はテーパー部であって、この場合、アン
カー材１の挿入端部にアンカー材１の軸線方向である引
抜方向としての図１においての上方に向かうに従って次
第に径小となるテーパー外周面３及び段面４を有し、テ
ーパー外周面３及び段面４はアンカー材１を圧潰又は切
欠することにより形成されている。

【００１０】５は楔環材であって、この場合、金属製に
して、望ましくは自己弾性としてのバネ弾性を有するバ
ネ鋼等の金属製が用いられ、上記テーパー部２のテーパ
ー外周面３に滑り接触可能なテーパー内周面６及びアン
カー孔Ｗ₁の内周面を圧接可能な圧接外周面７並びに引
抜方向に延びる割溝８を有する略Ｃ環状に形成され、こ
の場合、楔環材５の上記引抜方向前側端部の外径Ｋをア
ンカー材１の最大外径Ｄより稍径大に形成すると共に引
抜方向後側端部の外径Ｍをアンカー材の最大外径Ｄと略
同径若しくは径小又は外径Ｋと同径に形成している。

【００１１】即ち、この場合、Ｄ＝１０ｍｍ、Ｄ₁＝９
ｍｍの異形鉄筋が用いられ、アンカー孔の内径はｄ＝１
０ｍｍ、テーパー内周面６の最小径Ｓ＝７ｍｍ、外径Ｋ
＝１０．６ｍｍ、外径Ｍ＝１０．２ｍｍ、長さＬ＝９ｍ
ｍ、割溝８の切欠角度θ＝４５度に形成されている。
尚、各部の寸法及び割溝８の形状や溝幅寸法等は適宜選
択される。

【００１２】この楔環材５とテーパー部との嵌着に際し
ては、予めＣ環状の楔環材５を製作して置き、この楔環
材５内にアンカー材１の挿入端部を打ち込んで嵌着する
こともできるし、又、テーパー内周面６となる面を傾斜
面に形成した平板をテーパー部２に折曲金型等を用いて
巻込み成型して嵌着することも可能である。

【００１３】この実施の第一形態例は上記構成であるか
ら、図１の如く、コンクリートＷ内にアンカー材１の外
径Ｄと略同径のアンカー孔Ｗ₁を形成し、アンカー材１
の挿入端部に形成されたテーパー部２に楔環材５が嵌合
されており、アンカー材１の挿入端部をアンカー孔Ｗ₁
内に挿入し、この挿入は楔環材５の圧接外周面７の上記
引抜方向前側端部の外径Ｋはアンカー材１の最大外径Ｄ
より稍径大に形成されているので、アンカー孔Ｗ₁が削
れるか又は楔環材５が潰れ又は削れるかしてハンマー工
具等を用いた打ち込み挿入となり、これにより、楔環材
５の圧接外周面７は楔環材５の自己弾性による初期の拡
径によりアンカー孔Ｗ₁の内周面に圧接され、この状態
でアンカー材１に図中上向きのアンカー材１を引き抜こ
うとする力が掛かると、上記初期の拡径により楔環材５
の圧接外周面７はアンカー孔Ｗ₁の内周面に圧接されて
いるので、アンカー材１に形成された引抜方向に向かう
に従って次第に径小となるテーパー外周面３と楔環材５
に形成されたテーパー内周面６との楔作用により楔環材
５は外方に向けて拡径し、楔環材５の圧接外周面７はア
ンカー孔Ｗ₁の内周面を強く圧接し、楔環材５の圧接面
積は従来構造に比べて大きくなり、アンカー孔Ｗ₁と楔
環材５の圧接外周面７との係止作用の安定を図ることが
でき、アンカー材１をアンカー孔Ｗ₁内に強固に係止維
持固定させることができる。

【００１４】この場合、上記楔環材５の上記引抜方向前
側端部の外径Ｋをアンカー材１の最大外径Ｄより稍径大
に形成しているから、アンカー材１の挿入端部をアンカ
ー孔Ｗ₁内に挿入するとき、楔環材５の圧接外周面７は
楔環材５の自己弾性による初期の拡径によりアンカー孔
Ｗ₁の内周面に圧接され、楔環材５の圧接外周面７とア
ンカー孔Ｗ₁の内周面との圧接により楔環材５をアンカ
ー孔Ｗ₁に固定することができ、これによりアンカー材
１に図中上向きのアンカー材１を引き抜こうとする力が
掛かったとき、アンカー材１に形成された引抜方向に向
かうに従って次第に径小となるテーパー外周面３と楔環
材５に形成されたテーパー内周面６との楔作用を確実に
なして楔環材５を確実に拡径させることができ、アンカ
ー孔Ｗ₁と楔環材５の圧接外周面７との係止作用を確実
に発揮させることができる。

【００１５】図６の第二形態例は別例構造を示し、この
場合、上記第一形態例のアンカー材１の挿入端部に上記
アンカー穴Ｗ₁の底面を弾圧して自己弾性によりアンカ
ー材１を引抜方向に弾圧可能な弾性材９を止着して構成
している。

【００１６】この第二形態例においては、上記第一形態
例と同様な作用効果を得ることができると共に自己弾性
によりアンカー材１を引抜方向に常時弾圧することによ
り常時楔作用を得るように構成している。

【００１７】図７の第三形態例は別例構造を示し、この
場合、本発明をアンカーボルトに適用した実施の形態例
であって、このアンカー材１はナットが螺着されるボル
ト状に形成され、このアンカー材１に上記第一形態例と
同様な構造を備えさせて構成している。

【００１８】この第三形態例においても、上記第一形態
例と同様な作用効果を得ることができる。

【００１９】図８の第四形態例は別例構造を示し、この
場合、上記アンカー材１に上記同様な構造のテーパー部
２を複数個としての二個上下多段に形成すると共にテー
パー部２に上記同様な構造の二個の楔環材５・５を嵌合
して構成している。

【００２０】この第四形態例においては、上記第一形態
例と同様な作用効果を得ることができると共に二個の楔
環材５・５によって楔作用を得ることができ、アンカー
材１をアンカー孔Ｗ₁に一層強固に係止固定することが
できる。

【００２１】尚、本発明は上記実施の形態例に限られる
ものではなく、例えば差し筋アンカー、アンカーボル
ト、その他の各種のアンカーに適用することができ、
又、アンカー材１及び楔環材５の大きさや形状、テーパ
ー外周面３及びテーパー内周面６、圧接外周面７の形状
等は適宜設計して変更される。

【００２２】

【発明の効果】本発明は上述の如く、請求項１記載の発
明にあっては、アンカー材の挿入端部をアンカー孔内に
挿入し、この状態でアンカー材にアンカー材を引き抜こ
うとする力が掛かると、アンカー材に形成された引抜方
向に向かうに従って次第に径小となるテーパー外周面と
楔環材に形成されたテーパー内周面との楔作用により楔
環材は外方に拡径し、楔環材の圧接外周面はアンカー孔
の内周面を強く圧接し、楔環材の圧接面積は従来構造に
比べて大きくなり、アンカー孔と楔環材の圧接外周面と
の係止作用の安定を図ることができ、アンカー材をアン
カー孔内に強固に係止維持固定させることができる。

【００２３】又、請求項２記載の発明にあっては、上記
楔環材の上記引抜方向前側端部の外径をアンカー材の最
大外径より稍径大に形成しているから、アンカー材の挿
入端部をアンカー孔内に挿入するとき、楔環材の圧接外
周面は楔環材はアンカー孔の内周面に圧接され、楔環材
の圧接外周面とアンカー孔の内周面との圧接により楔環
材をアンカー孔に固定することができ、これによりアン
カー材にアンカー材を引き抜こうとする力が掛かったと
き、アンカー材に形成された引抜方向に向かうに従って
次第に径小となるテーパー外周面と楔環材に形成された
テーパー内周面との楔作用を確実になして楔環材を確実
に拡径させることができ、アンカー孔と楔環材の圧接外
周面との係止作用を確実に発揮させることができ、又、
請求項３記載の発明にあっては、上記楔環材は自己弾性
を有してなるから、アンカー材の挿入端部をアンカー孔
内に挿入するとき、楔環材の圧接外周面は楔環材の自己
弾性による初期の拡径によりアンカー孔の内周面に圧接
され、楔環材の圧接外周面とアンカー孔の内周面との圧
接により楔環材をアンカー孔に固定することができ、こ
れによりアンカー材にアンカー材を引き抜こうとする力
が掛かったとき、アンカー材に形成された引抜方向に向
かうに従って次第に径小となるテーパー外周面と楔環材
に形成されたテーパー内周面との楔作用を確実になして
楔環材を確実に拡径させることができ、アンカー孔と楔
環材の圧接外周面との係止作用を確実に発揮させること
ができる。

【００２４】又、請求項４記載の発明にあっては、アン
カー材の挿入端部に上記アンカー穴の底面を弾圧して自
己弾性によりアンカー材を引抜方向に弾圧可能な弾性材
を止着して構成しているから、自己弾性によりアンカー
材を引抜方向に常時弾圧することにより常時楔作用を得
ることができ、又、請求項５記載の発明にあっては、上
記アンカー材の挿入端部に上記テーパー部を複数個上下
多段に形成し、該複数個のテーパー部に各々上記楔環材
を嵌着してなるから、複数個の楔環材によって楔作用を
得ることができ、アンカー材をアンカー孔に一層強固に
係止固定することができる。

【００２５】以上の如く、所期の目的を充分達成するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の第一形態例の部分切欠側面図で
ある。

【図２】本発明の実施の第一形態例の平断面図である。

【図３】本発明の実施の第一形態例の平断面図である。

【図４】本発明の実施の第一形態例の楔環材の斜視図で
ある。

【図５】本発明の実施の第一形態例の使用状態図であ
る。

【図６】本発明の実施の第二形態例の使用状態図であ
る。

【図７】本発明の実施の第三形態例の部分切欠側面図で
ある。

【図８】本発明の実施の第四形態例の部分切欠断面図で
ある。

【符号の説明】

ＷコンクリートＷ₁ アンカー孔１アンカー材２テーパー部３テーパー外周面５楔環材６テーパー内周面７圧接外周面８割溝９弾性材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続きＦターム(参考） 2D041 GA03 GB01 2E125 AA48 AB13 AC18 AG13 BA18 BB09 BB19 BB25 BB31 BD01 BE07 BF01 CA75

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】コンクリート内に形成されたアンカー孔
内に挿入固着されるアンカー材の挿入端部に引抜方向に
向かうに従って次第に径小となるテーパー外周面を有す
るテーパー部を形成し、該テーパー部のテーパー外周面
に滑り接触可能なテーパー内周面及びアンカー材の上記
引抜動作に伴って生ずるテーパー外周面とテーパー内周
面とのテーパー作用により拡径してアンカー孔の内周面
を圧接可能な圧接外周面並びに引抜方向に延びる割溝を
有する略Ｃ環状の楔環材をテーパー部に嵌着してなるこ
とを特徴とする楔型アンカー装置。
【請求項２】上記楔環材の上記引抜方向前側端部の外
径をアンカー材の最大外径より稍径大に形成してなるこ
とを特徴とする請求項１記載の楔型アンカー装置。
【請求項３】上記楔環材は自己弾性を有してなること
を特徴とする請求項１又は２楔型アンカー装置。
【請求項４】上記アンカー材の挿入端部に上記アンカ
ー穴の底面を弾圧して自己弾性によりアンカー材を引抜
方向に弾圧可能な弾性材を止着してなることを特徴とす
る請求項１、２又は３記載の楔型アンカー装置。
【請求項５】上記アンカー材の挿入端部に上記テーパ
ー部を複数個上下多段に形成し、該複数個のテーパー部
に各々上記楔環材を嵌着してなることを特徴とする請求
項１、２、３又は４記載の楔型アンカー装置。