JP2000201017A - 可撓漏洩導波管およびその製造方法 - Google Patents

可撓漏洩導波管およびその製造方法

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JP2000201017A
JP2000201017A JP30357399A JP30357399A JP2000201017A JP 2000201017 A JP2000201017 A JP 2000201017A JP 30357399 A JP30357399 A JP 30357399A JP 30357399 A JP30357399 A JP 30357399A JP 2000201017 A JP2000201017 A JP 2000201017A
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flexible
slit
leaky
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JP30357399A
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English (en)
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Masahiro Kusunoki
正弘 楠
Isamu Oishi
勇 大石
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 荷重による導波管の変形を抑制し、この変形
に起因する電波の伝搬特性の悪化を防止する。 【解決手段】 銅板によって略矩形の導波管1を形成
し、導波管1の外側を外皮シース2で被覆して可撓漏洩
導波管10を作製する。導波管1の壁面には長手方向に
凹凸の波形形状を付け、少なくとも四辺の一面に電波漏
洩のスリット3を所定間隔隔てて長手方向に配置形成す
る。導波管1の表面には誘電体テープを貼ってスリット
3の開口を塞ぐ。導波管1と外皮シース2との間には潤
滑剤を充填して可撓漏洩導波管10の曲げ操作性を改善
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は道路や鉄道に沿って
布設され、車両移動体との交信を行う可撓漏洩導波管に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両移動体(自動車や列車等)に対する
安全管理や情報交換等を行うために道路や鉄道に沿って
可撓漏洩導波管を布設し、この可撓漏洩導波管を利用し
て車両移動体との双方向通信を行うシステムが構築され
つつある。
【0003】図11はこの種のシステムに使用される一
般的な可撓漏洩導波管を示す。この可撓漏洩導波管10
は断面が楕円形をした金属製の導波管1の外側が外皮シ
ース2によって被覆されているもので、導波管1の壁面
は可撓性を得るために長手方向(管軸方向)に凹凸の波
形形状が施され、楕円断面の短径側の側壁面に電波漏洩
用の複数のスリット(漏洩穴)3が長手方向に間隔を介
して配置形成されている。
【0004】この種の可撓漏洩導波管を道路等に沿って
布設し、可撓漏洩導波管10の一端側に給電することに
より、電波が導波管1を通って伝搬し、電波の一部がス
リット3から漏洩して道路走行の車両移動体のアンテナ
に受信され、また、車両側のアンテナから送信された電
波はスリット3から導波管1内に取り込まれて伝搬する
ことで、車両移動体との双方向通信が達成されるもので
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図11
に示す一般的な可撓漏洩導波管は、導波管1の断面が楕
円形であるため、外力により変形が発生し易い。図12
はこの事をモデル的に示すもので、布設状態の可撓漏洩
導波管10に荷重(分布荷重)fが加わると楕円の短径
が縮小する方向に大きく変形し、また、スリット3の穴
が潰れる方向に変形する。楕円形状の前記縮小変形によ
って、電波の伝搬特性が悪化し、スリット3の潰れ変形
によって電波の漏洩量(輻射量)が減少する上に電波漏
洩の指向性が変化し、通信性能に悪影響を及ぼすという
問題が生じる。
【0006】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであり、その目的は、外力に対する耐変形性が大
きくスリットの潰れ変形を抑制して信頼性の高い高性能
通信を可能とする可撓漏洩導波管を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために次のような手段を講じている。すなわち、第
1の発明の可撓漏洩導波管は、断面が略矩形を呈した中
空の導波管の壁面に長手方向に凹凸の波形形状が施さ
れ、この導波管の四辺のうちの少なくとも一辺の壁面に
電波漏洩のスリットが導波管の長手方向に間隔を介して
配置形成され、導波管の外側は外皮シースによって被覆
されている構成をもって課題を解決する手段としてい
る。
【0008】第2の発明の可撓漏洩導波管は、前記第1
の発明の構成を備え、導波管は、断面が略コ字形を呈し
てなる一対の導波管半体を互いに向かい合わせコ字形の
開口先端側壁面同士を嵌合固定して断面が略矩形の管と
成したものであり、各導波管半体の壁面はその長手方向
に凹凸の波形形状が施され、一対の導波管半体によって
組み立てられた前記断面略矩形の導波管の四辺のうちの
少なくとも一辺の壁面に電波漏洩のスリットが長手方向
に間隔を介して配置形成されていることを特徴として構
成されている。
【0009】第3の発明の可撓漏洩導波管は、中空の導
波管の壁面に長手方向に凹凸の波形形状が施され、この
導波管の壁面に電波漏洩のスリットが導波管の長手方向
に間隔を介して配列形成され、導波管の外側は外皮シー
スによって被覆されている可撓漏洩導波管であって、上
記導波管は一対の導波管半体を互いに向かい合わせ嵌合
固定して形成されていることを特徴として構成されてい
る。
【0010】第4の発明の可撓漏洩導波管は、上記第2
又は第3の発明の構成を備え、導波管半体は銅板によっ
て形成され、一対の導波管半体の嵌合部はレーザビーム
による間欠溶接によって固定されており、その間欠溶接
区間の非溶接嵌合部分は半田によって接続固定されてい
ることを特徴として構成されている。
【0011】第5の発明の可撓漏洩導波管は、上記第2
又は第3の発明の構成を備え、導波管半体は鉄系の板に
よって形成されてその内壁面は薄膜の銅層によって覆わ
れており、一対の導波管半体の嵌合部はレーザビームの
連続溶接によって溶接固定されていることを特徴として
構成されている。
【0012】第6の発明の可撓漏洩導波管は、上記第1
〜第5の発明の何れか1つの発明の構成を備え、導波管
の壁面に配列形成されている複数のスリットの各中心位
置は導波管の波形形状の谷から山に向かう方向の位置お
よびスリット形成面の幅方向の一端側から他端側に向か
う方向の位置が揃っていることを特徴として構成されて
いる。
【0013】第7の発明の可撓漏洩導波管は、上記第1
〜第6の発明の何れか1つの発明の構成を備え、導波管
の表面にはスリットを塞ぐ誘電体テープが貼られ、前記
スリットの内部空間は充填物の無い空気層と成している
ことを特徴として構成されている。
【0014】第8の発明の可撓漏洩導波管は、上記第1
〜第7の発明の何れか1つの発明の構成を備え、導波管
と外皮シースとの間には潤滑剤が充填されていることを
特徴として構成されている。
【0015】第9の発明の可撓漏洩導波管の製造方法
は、一対の長尺の平板を用意し、まず、これら平板のう
ちの少なくとも一方の平板の壁面に該平板の長手方向に
間隔を介してスリットを配列形成し、次に、上記一対の
平板の壁面にそれぞれ長手方向に凹凸の波形形状を施
し、その後に、それら平板の両側部側をそれぞれ曲げ加
工して導波管半体を形成し、然る後に、それら導波管半
体を互いに向かい合わせ開口先端側同士を嵌合固定して
導波管を形成し、この導波管の外側に外被シースを被覆
して可撓漏洩導波管を製造することを特徴として構成さ
れている。
【0016】第10の発明の可撓漏洩導波管の製造方法
は、一対の長尺の平板を用意し、まず、これら平板にそ
れぞれ長手方向に凹凸の波形形状を施し、次に、それら
一対の平板のうちの少なくとも一方の平板の壁面に該平
板の長手方向に間隔を介してスリットを配列形成し、そ
の後に、それら平板の両側部側をそれぞれ曲げ加工して
導波管半体を形成し、然る後に、それら導波管半体を互
いに向かい合わせ開口先端側同士を嵌合固定して導波管
を形成し、この導波管の外側に外被シースを被覆して可
撓漏洩導波管を製造することを特徴として構成されてい
る。
【0017】第11の発明の可撓漏洩導波管の製造方法
は、上記第9又は第10の発明の構成を備え、平板にス
リットを形成する加工と波形形状を施す加工のうちの一
方を行い、その後に、他方の加工を行う際には、先の加
工により形成されたスリットの形成位置あるいは波形形
状を検知し、スリットの中心位置が波形形状の谷から山
に向かう方向の所定の位置となり、かつ、スリット形成
面の幅方向の一端側から他端側に向かう方向の所定の位
置となるように加工対象の平板の位置決めを行ってから
該平板にスリットあるいは波形形状をプレス加工により
形成することを特徴として構成されている。
【0018】第12の発明の可撓漏洩導波管の製造方法
は、一対の長尺の平板の一方をプレス金型に通し、該プ
レス金型によって、平板にスリットを形成する加工と波
形形状を施す加工と平板の両側部側をそれぞれ曲げる加
工とを行って導波管半体を形成し、一方、上記一対の長
尺の平板のうちの他方を同様にプレス金型に通し、該プ
レス金型によって、平板にスリットを形成する加工と波
形形状を施す加工のうちの少なくとも波形形状を施す加
工と、平板の両側部側をそれぞれ曲げる加工とを行って
導波管半体を形成し、その後、それぞれ形成された一対
の導波管半体を互いに向かい合わせ開口先端側同士を嵌
合固定して導波管を形成し、この導波管の外側に外被シ
ースを被覆して可撓漏洩導波管を製造することを特徴と
して構成されている。
【0019】第13の発明の可撓漏洩導波管の製造方法
は、上記第9〜第12の発明の何れか1つの発明の構成
を備え、導波管半体は銅板によって形成されており、一
対の導波管半体の嵌合部をレーザビームによる間欠溶接
によって固定することを特徴として構成されている。
【0020】第14の発明の可撓漏洩導波管の製造方法
は、上記第13の発明の構成を備え、間欠溶接区間の非
溶接嵌合部分に半田を設け、一対の導波管半体の嵌合部
をレーザビームによる間欠溶接および半田によって接続
固定することを特徴として構成されている。
【0021】第15の発明の可撓漏洩導波管の製造方法
は、上記第9〜第12の発明の何れか1つの発明の構成
を備え、導波管半体は鉄系の板によって形成されてその
内壁面は薄膜の銅層によって覆われており、一対の導波
管半体の嵌合部をレーザビームの連続溶接によって溶接
固定することを特徴として構成されている。
【0022】第16の発明の可撓漏洩導波管の製造方法
は、上記第9〜第15の発明の何れか1つの発明の構成
を備え、一対の導波管半体の嵌合部を溶接固定する際に
は、互いに対向する導波管半体の波形形状が一致するよ
うに位置合わせした状態で、上記一対の導波管半体をそ
れぞれ等しいラインスピードで流しながらレーザビーム
による溶接を行って一対の導波管半体を固定することを
特徴として構成されている。
【0023】上記構成の発明において、例えば、導波管
が略矩形形状を呈しているので、布設された可撓漏洩導
波管に荷重が加わってもその荷重は荷重受け面と直交す
る方向(荷重の方向と同方向)の導波管側壁によって支
えられるので、導波管の変形が小さく、導波管を通る電
波の伝搬特性が低下することを抑制でき、また、電波を
漏洩するスリットの穴の潰れ変形を効果的に抑制できる
ので、この穴潰れに起因して漏洩電波の量が減少し、電
波漏洩の指向性が変わってしまうという従来例の可撓漏
洩導波管に発生する問題点を防止して信頼性の高い高性
能の通信を可能とするものである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例を図面
に基づき説明する。なお、以下の実施形態例の説明にお
いて、従来例と同一の名称部分には同一符号を付し、そ
の重複説明は簡略化又は省略する。
【0025】図1には本発明に係る可撓漏洩導波管の第
1の実施形態例が示されている。本実施形態例の可撓漏
洩導波管10も図11に示す従来例と同様に導波管1の
外側に外皮シース2を設けた構成としたものであるが、
本実施形態例の可撓漏洩導波管10が従来例のものと異
なる特徴的なことは、導波管1の断面形状を略矩形とし
たことと、導波管1と外皮シース2との間に品質改善の
手段を講じたことである。
【0026】断面が矩形の中空の導波管1の壁面には長
手方向に凹凸の波形形状が施されており、その波形形状
の凹凸の内の凸側の適宜の壁面に電波漏洩のスリット3
が長手方向に所定の間隔を介して配置形成されている。
この図1に示す実施形態例では、矩形断面の上下の長辺
側の面は互いに平行であり、矩形断面の左右の短辺側の
面も互いに平行となっていて、スリット3は矩形断面の
短辺側の片側側壁のほぼ中心位置に設けられ、かつ、そ
のスリット3の中心位置は波形形状の凸部(山)に形成
されている。なお、図1に示す例では波形形状は蛇腹状
(リング状)となっているが、この波形形状は従来例の
図11に示すものと同様に螺旋状としてもよいものであ
る。
【0027】図2は、導波管1と外皮シース2との間に
施した品質改善の手段の一例を示すもので、導波管1の
表面にスリット3の開口を塞ぐ誘電体テープ4を貼着し
たことと、導波管1と外皮シース2との間にグリース等
の潤滑剤5を充填したことを特徴とする。誘電体テープ
4の材質は例えば外皮シース2よりは誘電率(誘電正
接)の小さいポリマによって構成される。
【0028】次にこの実施形態例における可撓漏洩導波
管10の製造方法を簡単に説明する。例えば、長尺の平
板である銅テープを矩形形状の金型に巻いて断面形状を
矩形とした中空の筒状の導波管1を形成し、次に、ダイ
ス等の波付け工具を用いて導波管1の筒壁に凹凸の波形
形状を導波管1の長手方向に形成する。次に、波付けさ
れた導波管1にスリット3を加工形成する(このスリッ
ト3の加工は波付け工程の前でもよい)。なお、上記ス
リット加工と波付け加工のうちの一方を行い、その後
に、他方の加工を行う際には、スリット3の形成位置が
銅テープの波形形状の所定の位置と成るように位置合わ
せを行ってからスリット加工あるいは波付け加工が行わ
れる。
【0029】上記のようにスリット加工および波付け加
工が施された導波管1の波形形状の谷部(凹凸の凹部)
に潤滑剤5を充填して導波管1の外面に押し出し加工等
により外皮シース2を被覆することにより目的とする可
撓漏洩導波管10が製造される。
【0030】また、次に示すような可撓漏洩導波管10
の製造手法もある。例えば、図3に示すように、銅テー
プ7の両側部側7a,7bをそれぞれ複数のローラ12
を用いて徐々に曲げていき、円筒形に加工し、次に、上
記銅テープ7の両側部側7a,7bを溶接機13によっ
て突き合わせ溶接して断面形状が円形(つまり円筒形
状)の導波管1を形成する。そして、引き続き、その円
筒形状の導波管1をダイスリング14に通して該導波管
1の筒壁に波形形状を付ける。
【0031】然る後に、上記波付け加工が成された導波
管1を図4に示すような上下に二分可能な金型16の貫
通孔17に通して、導波管1の断面が略矩形となるよう
に成形する。つまり、上記金型16の貫通孔17は入口
側17aが図4の(b)に示すように円形であり、この
入口側17aから出口側17bに向かうに従って断面形
状が略矩形に変化していき、出口側17bは図4の
(c)に示すような略矩形となっている。例えば、ま
ず、上記金型16の上下の各金型を僅かに離間させて、
貫通孔17の入口側17aより上記円筒形状の導波管1
を適当量(上下の金型にぶつからない程度)進入させ、
その後に、上記上下の各金型を合わせて上記導波管1を
つぶし成形する。そして、然る後に、再び、金型16の
上下の各金型を僅かに離間させて上記導波管1を前進さ
せ上下の金型を合わせて上記導波管1をつぶし成形す
る。このように、金型16の離間と導波管1の前進と金
型16による導波管1の合わせ成形との各動作を順に繰
り返し行って、導波管1の断面形状を徐々に円形から略
矩形に成形して、上記のような断面形状が略矩形の導波
管1を形成することができる。
【0032】次に、上記導波管1にスリット3をレーザ
加工等により形成し、そのスリット3を誘電体テープ4
を貼着して塞ぎ、導波管1の波形形状の谷部(凹凸の凹
部)に潤滑剤5を充填して導波管1の外面に押し出し加
工等により外皮シース2を被覆することにより目的とす
る可撓漏洩導波管10が製造される。
【0033】なお、可撓漏洩導波管10の製法は上記以
外の各種方法(例えば、スリット3や波付けを行った銅
テープを矩形の金型に巻いて導波管1を形成するように
し、スリット3や波付けの工程をテープ巻きの前工程で
行う製法)を採用できるものである。
【0034】上記第1の実施形態例によれば、導波管1
を矩形(略矩形を含む)に形成したものであるから、可
撓漏洩導波管10を布設後、図5に示すように可撓漏洩
導波管10に荷重(分布荷重)fが加わった場合におい
てもその荷重は荷重受け面(矩形の上下の長辺側面3
a)に直交する矩形の短辺側面3bで支えられるので、
導波管1の曲げ変形が充分小さく(導波管1の曲げに対
する耐性が大きく)、導波管1を通る電波の伝搬特性を
殆ど害することはない。また、スリット3の穴が潰れ変
形することを防止できるので、スリット3から輻射され
る電波の量や指向性が大きく変化するのを抑制でき、こ
のことにより、信頼性の高い高性能の路車間通信を達成
することが可能となる。
【0035】また、導波管1の表面には、スリット3を
塞ぐ誘電体テープ4を貼着したので、潤滑剤5や外皮シ
ース2の材料が導波管1の内部に入り込むのを防止でき
る。同様に、潤滑剤5や外皮シース2の材料がスリット
3の内部空間に充填物として入り込むことを防止できる
ので、スリット3の内部空間は完全な空気層となり、ス
リット3の内部空間を誘電率の最も低い空気の誘電率
(理想的な誘電率)にすることができ、導波管としての
電気特性を十分に高めることができる。
【0036】さらに、導波管1と外皮シース2との間に
潤滑剤5を充填し、導波管1の波形形状の谷部が潤滑剤
5で満たされるので、可撓漏洩導波管10の曲げの操作
性が改善されることとなり、そのため、可撓漏洩導波管
10を布設する際に道路や鉄道に沿って可撓漏洩導波管
10を容易に曲げることができ、可撓漏洩導波管10の
布設の作業性(作業効率)を十分に高めることができ
る。
【0037】図6は本発明に係る可撓漏洩導波管の第2
の実施形態例を示す。この第2の実施形態例は導波管1
を一対の導波管半体1a、1bの組み立てにより形成し
たことを特徴とするものであり、それ以外の構成は前記
第1の実施形態例と同様である。
【0038】導波管半体1a、1bは断面がコ字形状
(略コ字形状を含む)を呈しており、各導波管半体1
a、1bの壁面にはその長手方向に凹凸の波形形状が施
されており、その波形形状の凹凸の内の適宜の凸側
(山)の壁面に電波漏洩のスリット3が長手方向に間隔
を介して配置形成されている。
【0039】なお、図6にはスリット3が1個示されて
いるが、実際にはスリット3が長手方向に所定間隔隔て
て複数配置形成されている。また、傾き(導波管1の長
手方向に対する傾き)が等しいスリット3を複数配列形
成するのではなく、例えば、傾きが異なる2種のスリッ
ト3を交互に導波管1の壁面に配列形成してもよい。
【0040】上記一対の導波管半体1a、1bは互いに
向かい合う方向にしてコ字形の開口先端側壁面6a、6
b同士が嵌合され、その嵌合部分がレーザビーム溶接に
よって固定されて全体として断面が矩形(略矩形を含
む)形状の導波管1が組み立てられている。そして、こ
の導波管1の表面にスリット3を塞ぐ誘電体テープ4が
貼られ、導波管1の外面には前記第1の実施形態例の場
合と同様に潤滑剤5を介して外皮シース2が被覆形成さ
れて目的とする可撓漏洩導波管10が得られている。
【0041】次に、この第2の実施形態例に係る可撓漏
洩導波管10の製造方法を説明する。図7の実線で示す
工程図は第1の製造方法を示すもので、可撓漏洩導波管
10は、波付け工程101と、スリット加工工程102
と、予備曲げ工程103と、巻取り工程104と、最終
曲げ・整形工程105と、組み立て溶接工程106と、
テープ貼着(貼付)工程107と、潤滑剤充填・シース
工程108とを行って作製される。
【0042】製造に際しては、平板である銅板のテープ
(以下、銅テープともいう)が繰り出されて波付け工程
101と、スリット加工工程102とを一緒に行う作業
場所に導かれる。この波付け工程101では銅テープを
波の形状をもった成型金型でテープの長さ方向に凹凸を
施してテープ面に波形形状を形成する。この波形形成用
の銅テープの横幅は、導波管1の周囲長の1/2より若
干長くする。導波管1は一方側の銅テープにより成型し
た導波管半体1aと他方側の銅テープにより成型した導
波管半体1bとを嵌合して形成することから、嵌合部の
内面に段差が生じないように板厚を考慮して嵌合部分の
波形状を成型する。波付け時に材料の伸びを起さないよ
うに、波付け時に材料を引き込むようにしており、その
ため、波付けは、金型を1回プレスする毎に1個の波を
形成するようにしている。
【0043】スリット加工工程102の作業は波付け工
程中に組み込まれて行われ、銅テープにスリット3を形
成する。この製造方法の装置は、前記波付けを行う金型
に波形の所定ピッチ間隔毎に2種類の異なる形状(スリ
ットの向きが異なる)のスリット3を交互に形成する構
造を組み込んでおり、具体的には、スリット3を開ける
穴開け用の2種類のポンチを波付けの金型に組み込んで
いる。スリット3の加工作業に際しては、前記波付けの
プレスの回数をカウントし、そのカウント値が設定回数
になる毎に種類の異なるポンチを交互に動作させる、あ
るいは、種類の異なるポンチを組み合わせて波形の所定
ピッチ間隔毎にスリット3を形成する。なお、このスリ
ット3の形成加工は導波管半体1a側の銅テープと導波
管半体1b側の銅テープのうちの一方側のテープに行
う。
【0044】波付けとスリット3の加工が施された銅テ
ープは次に予備曲げ工程103において銅テープの両幅
端側(両側部側)を例えば45度内側に曲げる。この予
備曲げ工程の作業は好ましくは前記波付けとスリット3
の加工を行う同じ金型を用いて行う。
【0045】次に、この予備曲げされた銅テープ7を巻
取り工程104で図8に示すように曲げ方向を上側にし
てドラム8に重ね巻き形態で巻き取る。このドラム8は
特殊なもので、実際には横に倒した状態で重ね巻きを行
う。ドラム8の胴径は1.5m程度とし、外径を2m程
度とすることで、250m一条長が巻き取れるようにす
る。このドラム巻きに際して、導波管半体1a側の銅テ
ープ7と導波管半体1b側の銅テープ7の一方は右巻き
とし、他方側は左巻きに巻き取り、巻き方向を区別す
る。
【0046】次に、前記巻取り工程104で巻き取られ
た一対の銅テープ(巻き取り方向が異なる一対の銅テー
プ)7を最終曲げ・整形工程105の作業位置に繰り出
す。そして、この最終曲げ・整形工程105で、一対の
それぞれの銅テープ7の曲げ角度をほぼ90度となるよ
うに最終曲げを行う。この曲げ加工は波形形状の波の山
部(凸部)を押さえて行う。さらに、この105の工程
では、前記巻き取り工程104での巻き取りによる波形
形状の変形を修正する整形を行う。この整形作業はロー
ラ整形によって波形形状を整形する。なお、前記最終曲
げの作業はブレス型状の整形装置を使用する。また、上
記最終曲げの作業はプレス加工によって行ってもよく、
この場合には、例えば、ドラム8から銅テープ7をプレ
ス加工の曲げ金型に繰り出す際には、銅テープ7の波形
形状と上記曲げ金型とが一致する度に銅テープ7の繰り
出しが中断されてプレス加工が成されるように銅テープ
7の繰り出し量が制御される。
【0047】この105の工程で、一対の銅テープ7は
断面がコ字形状を呈し、その壁面の長手方向に波形形状
が施され、一方側銅テープ7の壁面の長手方向には所定
の間隔を介してスリット3が形成された導波管半体1
a、1bが成型される。
【0048】最終曲げと波形形状の整形が終了した一対
の銅テープ7は導波管半体1a、1bの形態となって、
次に、組み立て・溶接工程106の作業位置に繰り出さ
れる。この工程106では、互いに向かい合わされた導
波管半体1a、1bを位置出し治具で位置出しして(つ
まり、互いに向かい合う導波管半体1a,1bの波形形
状が一致するように位置合わせして)図6に示すように
コ字形の開口先端側壁面6a、6b同士を嵌合する。そ
して、位置出し状態で、導波管半体1a、1bの嵌合部
に外側からレーザ溶接機を用いてレーザビームを照射
し、貫通溶接を行い断面が矩形状を呈した導波管1を作
製する。なお、この106の工程での組み立てと溶接の
作業は導波管半体1a、1bを共に同じ所定速度で走行
させた状態(同期させて)で行う。
【0049】次に、テープ貼付工程107で導波管1の
表面に誘電体テープ4を貼着してスリット3の開口を塞
ぐ。然る後に、潤滑剤充填・シース工程108におい
て、導波管1の表面に潤滑剤5を充填して(付着して)
導波管1の外側を外皮シース2で被覆し、目的とする可
撓漏洩導波管10を作製する。
【0050】次に、可撓漏洩導波管10の第2の製造方
法を説明する。この第2の製造方法は図7の破線で示す
工程を経由して作業を行うもので、前記の第1の製造方
法の工程101〜102が201〜204の工程に置き
換わり、第1の製造方法の工程107が省略されたもの
である。この第2の製造方法では、スリット加工工程2
01で一対の銅テープ7の一方にスリット3を形成する
作業を行う。そして、次のテープ貼付工程202で、銅
テープ7の表面に誘電体テープ4を貼着してスリット3
の開口を塞ぐ作業を行う。
【0051】次に、パイロット穴加工の工程203で、
スリット3を形成した銅テープ7にパイロット穴を開け
る。次に、スリット3を形成した銅テープ7とスリット
3の無い銅テープ7とを波付け工程204に送り、この
工程204で、前記第1の製造方法の101の工程と同
様に一対の各銅テープ7の表面に波形形状が付けられ
る。なお、銅テープ7は前記パイロット穴に合わせて波
付け工程204に繰り出される。
【0052】波付けが済んだ一対の銅テープ7は前記第
1の製造方法の工程103〜108の作業を経て(工程
107の作業は省略される)目的とする可撓漏洩導波管
10が作製される。
【0053】さらに、可撓漏洩導波管10の第3の製造
方法を説明する。この第3の製造方法では、銅テープ7
の壁面に波形形状を付ける波付け加工と、銅テープ7の
壁面にスリット3を設けるスリット加工と、銅テープ7
の両側部側をそれぞれ曲げてコ字形状に成形する曲げ加
工とを全て行うことができるプレス金型を用いて行うも
のである。
【0054】例えば、導波管半体1a,1bを作るため
の一対の銅テープ7の一方を第1のプレス金型に通し、
該第1のプレス金型によって上記波付け加工とスリット
加工と曲げ加工を行って断面がコ字形状のスリット付の
導波管半体1bを形成し、一方、上記一対の銅テープ7
の他方を同様に第2のプレス金型に通し、該第2のプレ
ス金型によって上記波付け加工と曲げ加工を行って断面
がコ字形状のスリット無し導波管半体1aを形成する
(なお、この導波管半体1aにもスリット3を形成する
場合には上記導波管半体1bの形成と同様に上記第2の
プレス金型によってスリット3を設ける)。上記プレス
金型に銅テープ7を繰り出す(送り出す)際には、上記
波形形状の波1つ分の長さを繰り出す度に一旦繰り出し
を停止して、上記波付けとスリット形成と曲げ加工のプ
レス加工を行うという如く、波のピッチが基準となって
銅テープ7の繰り出し(送り)が行われる。これによ
り、スリット3の形成位置を波形形状の所定の位置に形
成することができる。
【0055】そして、上記のようにそれぞれ形成された
導波管半体1a,1bを上記各製造方法と同様に工程1
06〜108を行って可撓漏洩導波管10を製造する。
なお、図9には上記プレス金型を通過しながら銅テープ
7の両側部側が複数回のプレス加工により徐々に曲げら
れて断面がコ字形状に成形されていくイメージ図が示さ
れている。
【0056】さらに、可撓漏洩導波管10の第4の製造
方法を説明する。この第4の製造方法では、波付け加工
とスリット加工は別々の工程で行う構成とし、その波付
け加工とスリット加工のうちの一方を行い、その後に、
他方の加工を行う場合に、先の加工により形成されたス
リット形成位置あるいは波形形状を例えばセンサや画像
処理装置を用いて検知し、スリット3の形成位置が波形
形状の所定の位置に設けられるように銅テープ7の位置
決めを行い、その後に、後の加工であるスリット加工あ
るいは波付け加工を行う。それ以外は前記各製造方法と
同様である。
【0057】図10は、前記工程106を経て作製され
る導波管1の寸法構成図を示すもので、同図の(a)は
矩形形状の寸法を示し、同図の(b)は波形形状の寸法
を示している。図10において、Rは矩形の曲げ半
径、Sは矩形の短軸方向内径、Sは短軸方向外径、
は矩形の長軸方向内径、Wは矩形の長軸方向外
径、tは板厚、hは波形形状の波の深さ、Rは波形の
半径、pは波形のピッチをそれぞれ示す。
【0058】具体的な寸法値の一例として、S=2
2.35mm、S=28.05mm、W =47.4mm、
=53.1mm、t=0.5mm、h=2.35mm、R
=1.98mm、p=9.5mmである。Rの値は、本
出願人が特公昭58ー8161号で開示した如くh≦R
≦0.46・Sの関係を満足する数値に設定するこ
とが良好な電圧定在比(VSWR)特性を得る上で望ま
しい。
【0059】なお、本発明は上記各実施形態例に限定さ
れることなく様々な実施の形態を採り得る。例えば、図
1に示す如く上記各実施形態例では、スリット3を導波
管1の波形形状の凸側(山)の壁面に設けたが、これを
波形形状の凹側(谷)の壁面に設けてもよい。あるい
は、導波管1の波形形状の山と谷の間の壁面にスリット
3を設けてもよい。ただ、上記スリット3の形成位置に
関し、導波管1の壁面に形成される複数のスリット3の
各中心位置が導波管1の波形形状の谷から山に向かう方
向の位置およびスリット形成面の幅方向の一端側から他
端側に向かう方向の位置を揃えることが電気的特性の上
で望ましい。換言すれば、各スリット3の中心位置が全
て波形形状の山に形成されるように、あるいは、全て波
形形状の谷に形成されるように、あるいは、全て波形形
状の山と谷の間に形成されるように、かつ、スリット形
成面の幅方向の同じ位置に揃うようにスリット3を形成
することが望ましい。
【0060】このように、電気的特性をより向上させる
ためには、導波管1の壁面の波形形状に対するスリット
3の形成位置を厳しく制御する必要がある。このことか
ら、上記各実施形態例に述べたような製造方法でもっ
て、つまり、波付け加工とスリット加工とを同一の金型
でプレス加工したり、銅テープ7の送り量を制御した
り、波付け加工により形成される波形形状の波を基準に
して位置合わせを行う等してスリット3を形成すること
により、波形形状に対するスリット3の位置ずれを防止
することができ、電気的特性に優れた可撓漏洩導波管を
製造することができる。
【0061】また、上記各実施形態例ではスリット3を
導波管1の矩形形状の4辺の内の1辺の壁面に設けた
が、2辺以上の壁面に設けてもよい。
【0062】さらに、上記第2実施形態例では、導波管
半体1a、1bの嵌合部分の固定をレーザビームの溶接
で行っているが、この嵌合部分の固定構造は製造時のラ
インスピード(導波管半体1a、1bの走行スピード)
に応じて様々な構成展開が可能である。レーザ溶接機の
出力が500Wであり、かつ、製造のラインスピードが
1m/分未満と遅い場合は導波管半体1a、1bの嵌合
部分はレーザビームにより導波管半体1a、1bの長手
方向(導波管半体1a、1bが製造ラインに沿って走行
する方向)に連続溶接されて固定される。
【0063】製造のラインスピードが1m/分以上のと
きは導波管半体1a、1bの嵌合部分はレーザビームに
より導波管半体1a、1bの長手方向(導波管半体1
a、1bが製造ラインに沿って走行する方向)に間欠的
に溶接されて固定される。一般に銅板はレーザビームの
反射率が高く、銅板製の導波管半体1a、1bの嵌合部
分を出力500Wのレーザビームで溶接する場合、製造
のラインスピードが1m/分以上に速くなると固定側の
レーザ溶接機から移動側の導波管半体1a、1bに照射
されるレーザビームのエネルギが嵌合部分に十分に蓄積
されず、エネルギ不足となって連続溶接は困難となる。
このような場合は、レーザ溶接機をパルス駆動し、瞬間
的に高いレーザビームのエネルギを嵌合部分に加えてパ
ルス溶接し、導波管半体1a、1bの嵌合部分を間欠溶
接する。
【0064】この場合、導波管半体1a、1bの嵌合部
分の結合強度を高め、かつ、電気的な特性の伝送損失を
低く抑制したい場合は、その間欠溶接区間の非溶接嵌合
部分に溶融半田を流し込んで(この場合は、半田を流し
込む部分に半田ペーストを塗布しておく)、非溶接部分
を半田接続により固定し、溶接と半田の両方の結合力で
嵌合部分を固定する。
【0065】製造のラインスピードが1m/分以上のス
ピードであってもレーザビームによる連続溶接を行って
導波管半体1a、1bの嵌合部分を固定したい場合は、
導波管半体1a、1bの材料として、鉄系の板(テー
プ)を使用する。この鉄系の板の内面(導波管1の内面
側となる面)には薄膜の銅層をメッキ、蒸着、銅薄膜の
貼着等の適宜の手段によって形成しておき(製造コスト
の低減と品質の信頼性を共に図ることが出来る点でメッ
キによる手法がより好ましい)、この銅層の付いた鉄系
の板(テープ)を素材として銅層を内側にして折り曲げ
て導波管半体1a、1bを成型する。
【0066】そうすると、導波管半体1a、1bを嵌合
したとき、その嵌合部分の外側の壁面(レーザビームが
照射される面)は鉄系の面となり、この鉄系の面はレー
ザビームの反射率が低くレーザビームの熱吸収率が高い
ので、ラインスピードが速くてもレーザビームによる嵌
合部分の連続溶接が効果的に達成される。なお、鉄系の
板としては、鉄板はもちろんのこと、鋼板、ステンレス
板等、鉄を主成分とする材質の板が含まれる。
【0067】また、銅板の表面に錫や鉄等のレーザビー
ムの熱吸収率が高い材料をメッキにより例えば0.1mm
程度の膜厚に薄膜形成してもよい。この場合にも、上記
同様に銅板の表面の反射率を低くすることができて、ラ
インスピードが速くてもレーザビームによる嵌合部分の
連続溶接が効果的に達成される。さらに、レーザビーム
の出力を例えば2kW以上に高めてもよく、これによ
り、ラインスピードが速くてもレーザビームによる嵌合
部分の連続溶接が効果的に達成される。
【0068】さらに、上記各実施形態例では、導波管1
の断面形状を矩形(略矩形を含む)としたが、上記第2
の実施形態例のように、一対の導波管半体1a、1bを
組み立てて導波管1を形成する構成の場合は、嵌合部の
壁厚が2枚板厚となって強度が高められ、矩形以外の断
面形状、例えば、円形、楕円形、長円形等の断面形状で
あっても可撓漏洩導波管の布設後の荷重に対する変形を
小さくできるので、導波管1の断面形状は矩形以外の円
形、楕円形、長円形等の断面形状であってもよい。この
場合も、上記したように、銅板或いは薄膜銅層付きの鉄
系の板等を素材とし、壁面に波形形状とスリット3を備
えた一対の導波管半体を円形、楕円形、長円形等の断面
形状を半割りした形状に形成して、上記第2の実施形態
例と同様に一対の導波管半体の開口先端側壁面同士を嵌
合し、その嵌合部分を、間欠溶接、連続溶接、あるい
は、間欠溶接の非溶接部分を半田接続した形態等の適宜
の手法でもって溶接固定する。
【0069】
【発明の効果】可撓漏洩導波管を構成する導波管の断面
形状を略矩形とした発明にあっては、荷重変形に対する
耐性が大きく、そのため、可撓漏洩導波管の布設後に荷
重が加わっても導波管の変形を抑制可能となるので、こ
の導波管の変形に起因する電波伝搬特性の低下を抑制で
き、また、電波漏洩のスリット穴の潰れ変形を防止でき
るので、スリット穴の潰れ変形による電波漏洩量(輻射
量)の変化や電波輻射の指向性の変化を防止でき、導波
管としての良好な特性を長期にわたって維持することが
できる。
【0070】また、導波管の表面に誘電体テープを貼っ
てスリットの開口を塞ぐようにしたものにあっては、外
皮シースの材料や潤滑剤が導波管内に入り込むという弊
害を防止できる。また、前記誘電体テープによって外皮
シースの材料や潤滑剤がスリットの開口内に充填物とな
って入り込むことがないので、スリットの内部空間は完
全な空気層となり、スリットの内部空間を理想的な空気
の誘電率(最も低い誘電率)に設定できるので、導波管
の電気特性を十分に高めることが可能となる。
【0071】さらに、導波管と外皮シースとの間に潤滑
剤を充填した構成とすることにより、導波管の波形形状
の凹部に潤滑剤が満たされて可撓漏洩導波管の曲げが容
易となるので、可撓漏洩導波管を道路や鉄道に沿って曲
げながら布設する作業を円滑に行え、可撓漏洩導波管の
布設作業の効率化を図ることが出来る。
【0072】さらに、導波管を、一対の導波管半体を互
いに向かい合わせ、開口先端側壁面同士を嵌合固定して
導波管を形成する構成とした発明にあっては、導波管の
製造が容易となり、可撓漏洩導波管の生産コストを低減
し、生産効率を高めることが出来る。
【0073】さらに、一対の導波管半体の開口先端側壁
面同士の嵌合をレーザビームの間欠溶接によって固定
し、非溶接部分を半田によって接続固定する構成とした
発明によれば、導波管半体をレーザビームの反射率の高
い銅板によって形成しても、レーザビームの溶接は間欠
のパルス溶接を採用できるので、製造のラインスピード
を上げる事が出来、生産性をアップできる。しかも、レ
ーザビームの溶接が間欠溶接となっても、非溶接区間は
半田によって接続固定されるので、嵌合固定部の機械的
強度は問題ない。また、電気特性である伝送損失を低く
抑制することができる。
【0074】さらに、導波管半体を鉄系の板によって形
成し、その内面に薄膜の銅層を形成した構成の発明にあ
っては、一対の導波管半体の開口先端側壁面同士の嵌合
部は外側がレーザビームの反射率の低い鉄系の板面とな
るので、製造のラインスピードを高めても前記嵌合部を
レーザビームの連続溶接によって溶接固定できるという
効果が得られる。このように、鉄系の板を使用しても内
面は銅層となるから、一対の導波管半体によって組み立
てられた導波管の内面は銅の壁面によって全周が囲まれ
るので、導波管としての特性に悪影響が及ぶことも無く
非常に好都合である。
【0075】さらに、導波管の壁面に配列形成される複
数のスリットの各中心位置は導波管の波形形状の谷から
山に向かう方向の位置およびスリット形成面の幅方向の
一端側から他端側に向かう方向の位置が揃っているもの
にあっては、電気的特性のより一層の向上を図ることが
できる。
【0076】さらに、上記したような可撓漏洩導波管を
製造する場合に、平板にスリットを形成する加工と波形
形状を施す加工のうちの一方を行い、その後に、他方の
加工を行う際には、先の加工により形成されたスリット
の形成位置あるいは波形形状を検知し、スリットの中心
位置が波形形状の所定の位置となるように位置決めを行
ってから、スリット加工あるいは波付け加工を行う製造
方法により製造することにより、導波管の波形形状に対
するスリットの形成位置のずれを防止することができ、
上記のような電気的特性に優れた可撓漏洩導波管を製造
することができる。
【0077】さらに、平板にスリットを形成する加工と
波形形状を施す加工と平板の両側部側をそれぞれ曲げて
導波管半体を形作る加工とを全て1つのプレス金型によ
って行う製造手法を用いて可撓漏洩導波管を製造する場
合にも、上記同様に、導波管の波形形状に対するスリッ
トの形成位置のずれを防止することができ、上記のよう
な電気的特性に優れた可撓漏洩導波管を製造することが
できる。また、上記スリット加工と波付け加工と曲げ加
工とを1つのプレス金型により連続的に行うので、量産
性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可撓漏洩導波管の第1の実施形態
例の構成を示す斜視図である。
【図2】同実施形態例における導波管1と外皮シース2
間の詳細説明図である。
【図3】同実施形態例における導波管1を製造する手法
の一例を示す説明図である。
【図4】円筒形状に形成された導波管1を矩形に成形す
るための金型の一例を示す説明図である。
【図5】同実施形態例の可撓漏洩導波管に荷重が加わっ
た場合の作用説明用のモデル図である。
【図6】本発明に係る可撓漏洩導波管の第2の実施形態
例の構成を示す斜視図である。
【図7】第2の実施形態例の可撓漏洩導波管を製造する
工程を示す図である。
【図8】第2の実施形態例の可撓漏洩導波管を製造する
方法において、予備曲げされた銅テープを巻き取る工程
の説明図である。
【図9】予備曲げから最終曲げまでを連続的に行う場合
の銅テープの加工例を模式的に示す説明図である。
【図10】実施形態例の可撓漏洩導波管を構成する導波
管の寸法構成を示す図である。
【図11】従来例の可撓漏洩導波管の構成を示す斜視図
である。
【図12】従来例の可撓漏洩導波管に荷重が加わった時
の導波管の変形を説明するモデル図である。
【符号の説明】
1 導波管 1a,1b 導波管半体 2 外皮シース 3 スリット 4 誘電体テープ 5 潤滑剤 7 銅テープ 10 可撓漏洩導波管

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面が略矩形を呈した中空の導波管の壁
    面に長手方向に凹凸の波形形状が施され、この導波管の
    四辺のうちの少なくとも一辺の壁面に電波漏洩のスリッ
    トが導波管の長手方向に間隔を介して配置形成され、導
    波管の外側は外皮シースによって被覆されている可撓漏
    洩導波管。
  2. 【請求項2】 導波管は、断面が略コ字形を呈してなる
    一対の導波管半体を互いに向かい合わせコ字形の開口先
    端側壁面同士を嵌合固定して断面が略矩形の管と成した
    ものであり、各導波管半体の壁面はその長手方向に凹凸
    の波形形状が施され、一対の導波管半体によって組み立
    てられた前記断面略矩形の導波管の四辺のうちの少なく
    とも一辺の壁面に電波漏洩のスリットが長手方向に間隔
    を介して配置形成されていることを特徴とする請求項1
    記載の可撓漏洩導波管。
  3. 【請求項3】 中空の導波管の壁面に長手方向に凹凸の
    波形形状が施され、この導波管の壁面に電波漏洩のスリ
    ットが導波管の長手方向に間隔を介して配列形成され、
    導波管の外側は外皮シースによって被覆されている可撓
    漏洩導波管であって、上記導波管は一対の導波管半体を
    互いに向かい合わせ嵌合固定して形成されていることを
    特徴とする可撓漏洩導波管。
  4. 【請求項4】 導波管半体は銅板によって形成され、一
    対の導波管半体の嵌合部はレーザビームによる間欠溶接
    によって固定されており、その間欠溶接区間の非溶接嵌
    合部分は半田によって接続固定されていることを特徴と
    する請求項2又は請求項3記載の可撓漏洩導波管。
  5. 【請求項5】 導波管半体は鉄系の板によって形成され
    てその内壁面は薄膜の銅層によって覆われており、一対
    の導波管半体の嵌合部はレーザビームの連続溶接によっ
    て溶接固定されていることを特徴とする請求項2又は請
    求項3記載の可撓漏洩導波管。
  6. 【請求項6】 導波管の壁面に配列形成されている複数
    のスリットの各中心位置は導波管の波形形状の谷から山
    に向かう方向の位置およびスリット形成面の幅方向の一
    端側から他端側に向かう方向の位置が揃っていることを
    特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の
    可撓漏洩導波管。
  7. 【請求項7】 導波管の表面にはスリットを塞ぐ誘電体
    テープが貼られ、前記スリットの内部空間は充填物の無
    い空気層と成していることを特徴とする請求項1乃至請
    求項6の何れか1つに記載の可撓漏洩導波管。
  8. 【請求項8】 導波管と外皮シースとの間には潤滑剤が
    充填されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7
    の何れか1つに記載の可撓漏洩導波管。
  9. 【請求項9】 一対の長尺の平板を用意し、まず、これ
    ら平板のうちの少なくとも一方の平板の壁面に該平板の
    長手方向に間隔を介してスリットを配列形成し、次に、
    上記一対の平板の壁面にそれぞれ長手方向に凹凸の波形
    形状を施し、その後に、それら平板の両側部側をそれぞ
    れ曲げ加工して導波管半体を形成し、然る後に、それら
    導波管半体を互いに向かい合わせ開口先端側同士を嵌合
    固定して導波管を形成し、この導波管の外側に外被シー
    スを被覆して可撓漏洩導波管を製造することを特徴とす
    る可撓漏洩導波管の製造方法。
  10. 【請求項10】 一対の長尺の平板を用意し、まず、こ
    れら平板にそれぞれ長手方向に凹凸の波形形状を施し、
    次に、それら一対の平板のうちの少なくとも一方の平板
    の壁面に該平板の長手方向に間隔を介してスリットを配
    列形成し、その後に、それら平板の両側部側をそれぞれ
    曲げ加工して導波管半体を形成し、然る後に、それら導
    波管半体を互いに向かい合わせ開口先端側同士を嵌合固
    定して導波管を形成し、この導波管の外側に外被シース
    を被覆して可撓漏洩導波管を製造することを特徴とする
    可撓漏洩導波管の製造方法。
  11. 【請求項11】 平板にスリットを形成する加工と波形
    形状を施す加工のうちの一方を行い、その後に、他方の
    加工を行う際には、先の加工により形成されたスリット
    の形成位置あるいは波形形状を検知し、スリットの中心
    位置が波形形状の谷から山に向かう方向の所定の位置と
    なり、かつ、スリット形成面の幅方向の一端側から他端
    側に向かう方向の所定の位置となるように加工対象の平
    板の位置決めを行ってから該平板にスリットあるいは波
    形形状をプレス加工により形成することを特徴とする請
    求項9又は請求項10記載の可撓漏洩導波管の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 一対の長尺の平板の一方をプレス金型
    に通し、該プレス金型によって、平板にスリットを形成
    する加工と波形形状を施す加工と平板の両側部側をそれ
    ぞれ曲げる加工とを行って導波管半体を形成し、一方、
    上記一対の長尺の平板のうちの他方を同様にプレス金型
    に通し、該プレス金型によって、平板にスリットを形成
    する加工と波形形状を施す加工のうちの少なくとも波形
    形状を施す加工と、平板の両側部側をそれぞれ曲げる加
    工とを行って導波管半体を形成し、その後、それぞれ形
    成された一対の導波管半体を互いに向かい合わせ開口先
    端側同士を嵌合固定して導波管を形成し、この導波管の
    外側に外被シースを被覆して可撓漏洩導波管を製造する
    ことを特徴とする可撓漏洩導波管の製造方法。
  13. 【請求項13】 導波管半体は銅板によって形成されて
    おり、一対の導波管半体の嵌合部をレーザビームによる
    間欠溶接によって固定することを特徴とする請求項9乃
    至請求項12の何れか1つに記載の可撓漏洩導波管の製
    造方法。
  14. 【請求項14】 間欠溶接区間の非溶接嵌合部分に半田
    を設け、一対の導波管半体の嵌合部をレーザビームによ
    る間欠溶接および半田によって接続固定することを特徴
    とする請求項13記載の可撓漏洩導波管の製造方法。
  15. 【請求項15】 導波管半体は鉄系の板によって形成さ
    れてその内壁面は薄膜の銅層によって覆われており、一
    対の導波管半体の嵌合部をレーザビームの連続溶接によ
    って溶接固定することを特徴とする請求項9乃至請求項
    12の何れか1つに記載の可撓漏洩導波管の製造方法。
  16. 【請求項16】 一対の導波管半体の嵌合部を溶接固定
    する際には、互いに対向する導波管半体の波形形状が一
    致するように位置合わせした状態で、上記一対の導波管
    半体をそれぞれ等しいラインスピードで流しながらレー
    ザビームによる溶接を行って一対の導波管半体を固定す
    ることを特徴とする請求項13又は請求項14又は請求
    項15記載の可撓漏洩導波管の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100693840B1 (ko) 2006-04-27 2007-03-12 김부영 누설 도파관을 이용한 건조실을 가지는 진공 건조장치
EP1811596A1 (en) * 2006-01-20 2007-07-25 Alcatel Lucent Radio frequency waveguide comprising an electric conductor made of a plastic foil layer laminated with an electric conductive material layer
CN110414112A (zh) * 2019-07-20 2019-11-05 中国船舶重工集团公司第七二四研究所 一种提高细长薄壁裂缝线源直线度的方法

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