JP2000197881A - 土壌中の汚染物質の分解装置並びに方法 - Google Patents

土壌中の汚染物質の分解装置並びに方法

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JP2000197881A JP11001270A JP127099A JP2000197881A JP 2000197881 A JP2000197881 A JP 2000197881A JP 11001270 A JP11001270 A JP 11001270A JP 127099 A JP127099 A JP 127099A JP 2000197881 A JP2000197881 A JP 2000197881A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 土壌の汚染から発生する地下水の汚染を浄化
することにより実質的に土壌汚染の弊害を除去する土壌
汚染による汚染地下水の浄化装置、浄化方法を提供す
る。 【解決手段】 土壌中に井戸を形成する工程と、基材上
に汚染物質を分解する微生物を保持させる工程と、微生
物を保持する該基材を前記井戸内の地下水流入域に搬入
して該分解微生物に汚染物質を接触させる工程を有する
ことを特徴とする土壌汚染の浄化方法。汚染物質を分解
する微生物が保持されている基材を、土壌中に形成した
井戸の地下水流入域へ搬入する手段と、該基材を該井戸
内から搬出する手段とを有することを特徴とする土壌汚
染浄化装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生物学的化学物質の
分解を利用した土壌汚染の修復に関する。
【0002】更に詳しくは、現場処理(In-situ)の土壌
汚染の修復であり、正確には、土壌汚染による汚染地下
水の浄化方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】近年、芳香族炭化水素、パラフィン、ナ
フテン等の炭化水素、あるいはトリクロロエチレン、テ
トラクロロエチレン、テトラクロロエタン等の有機塩素
化合物等による環境汚染が問題となっている。これらの
多くは土壌中に浸透し、分解されずに、序々に地下水に
溶け地下水を通じて汚染領域を拡大する。
【0004】これらの深刻な環境汚染の再発を防止する
と共に、すでに汚染されてしまった環境を浄化し、もと
の状態にもどしていく技術の確立が強く望まれている。
【0005】この環境修復技術の例としては、汚染され
た地下水を汲み上げて揮発性の有機物を分離し、活性炭
に吸着させる曝気処理、汚染土壌を太陽や熱源にさら
し、揮発性有機物を熱により蒸発させる加熱処理、汚染
土壌にボーリング穴を設け、真空で汚染物質を吸引する
真空抽出、また汚染土壌を真空釜に入れて加熱し吸引し
て抽出する真空釜処理等が行われている。
【0006】特に高濃度で、局部的な汚染の場合はこれ
らの物理化学的処理が有効となることもあるが、汚染が
低濃度で、広範囲であるとき、処理速度やコストが問題
となる。また活性炭によりこれら有機物を回収できて
も、通常難分解性の物質が多く、これを更に無害化する
ための処理が必要となる問題を有していた。これら物理
化学的処理の問題を解決できる方法として、近年微生物
による生物学的な処理を用いた土壌修復法が検討されて
いる。
【0007】微生物、特に土壌に棲息できる微生物で汚
染物質を分解する方法であれば、自然にエネルギーによ
り浄化が行われ、投入エネルギーも小さく、また分解も
水や炭酸ガスにまで進められる。
【0008】さて、土壌汚染を引き起こしている難分解
性化合物、例えば、芳香族炭化水素や有機塩素化合物を
分解する微生物は数多く知られている。しかしながら、
実際の汚染土壌に、これらの分解菌をそのまま散布した
場合、通常、菌の増殖や分解活性は十分得られない。
【0009】この理由はすべて明確にされているもので
は無いが、ひとつは菌の分布と汚染物の分布状態の違い
であり、他のひとつは、菌の生残と活性条件が不十分な
ためである。
【0010】これらを克服するため、従来、菌の散布と
同時に栄養素や酸素を供給する薬品を一緒に散布する方
法や、菌を地中に圧送する等の方法が用いられてきた。
【0011】しかし、散布した菌が、既に汚染された有
害物質の分布と同じ分布をすることは期待できない。理
由は、汚染物質との比重の違いや土壌に対する化学的親
和性の差、汚染物と菌の拡散する時間のズレ等があるか
らである。
【0012】また分解菌を直接汚染土壌に散布すると多
くの場合、散布したい領域に菌を行き渡らせることは困
難であり、行き渡ることが出来たとしても菌はその土壌
に適応できない場合が多い。これは菌が必要とする栄養
素の不足、水や酸素の有無、従来から棲息する他の微生
物との競合や捕食、その他pHや温度等物理的条件の不
適合があると考えられる。
【0013】菌と栄養素等菌の増殖・活性維持材料の複
数の材料からなる系についても、これらを一体とした土
壌中に広く供給するのは困難である。
【0014】一方汚染された地下水を汲み上げて物理化
学的もしくは微生物学的に処理する方法も試みられてい
るが、この方法は、汲み上げや処理のエネルギーを要
し、浄化のための地上施設を要し、更に地盤沈下を生じ
たり、地下水流の下流側での利用に支障を生じたり、伏
流水の変化による下流生態系への影響等問題が少なく無
かった。
【0015】また汚染処理の観点から従来生物学的な処
理方法は種々知られている。特にUSP.第810,38
5号公報(Filed May 12,1987 Sybron Chemic
als,Inc)はソックスに収納した微生物やその栄養物、代
謝物等を保護容器に入れ、下水汚物の流れに設置するも
のが明らかにされている。これは汚水流の中で、バクテ
リアが広く拡散し、汚水物質の分解が進むものである。
【0016】地下水汚染に関しても、汚染物質を分解す
る微生物を担体に固定しこれを汚染された地下水の流れ
に形成したボーリング穴などに挿入し分解・浄化する方
式が提案されている(特開平07-096289号公
報)。
【0017】また、ボーリング穴を用いないが地下水域
のある領域に分解微生物を導入し微生物は移動させず、
導入した分解微生物が存在する領域を汚染された地下水
が移動することで浄化される方式についても幾つか提案
されている(BiotreatmentNews Vol.3 No.9
August 1993 1p, Soil & GroundwaterClean
up December 1995 p36-43)。
【0018】これらの方式はバイオバリアなどと呼ばれ
実証試験が始まっているが、特に、誘導物質の添加が必
要な有機塩素化合物による地下水汚染に適用した例は少
ない。これは、有機塩素化合物の微生物分解に必要な酵
素の発現を促す誘導物質の多くが環境汚染物質であるた
めである。また、有機塩素化合物の微生物分解の場合の
多くが、汚染物質によって菌がダメージを受けやすい等
の問題があるためである。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】微生物浄化法を用いて
汚染物質、特に有機塩素化合物での汚染を浄化する場
合、回収した汚染物質の後処理の問題が無く、低コスト
であるというメリットがある反面、外来微生物を修復領
域の土壌に注入をおこなっても微生物は土壌粒子間に捕
捉され、微生物が分配される領域は限定され、十分広が
らないという問題があり、環境中へ広く拡散してしまっ
た汚染物質を分解するために、汚染分解活性を持つ微生
物及をその隅々にまで行き渡るよう導入することは通常
困難である。
【0020】土壌における微生物の移動はきわめて緩慢
であったり移動範囲はごく狭い領域に限られるため、微
生物や微生物を含む浄化液を散布した場合、土壌の深部
または対象領域への浸透は困難であり、浸透したとして
もそれ以前に微生物若しくは微生物の活性が消滅してし
まう。特に有機塩素化合物の分解の場合、汚染物質によ
って菌がダメージを受けやすく土壌中で分解活性が失わ
れてしまうことが多く、分解が長期にわたって継続的に
進むことが望まれている。
【0021】また、土中に供給管を挿入し、微生物を含
む浄化液を供給する場合において、汚染領域に一致させ
て供給管の注入口を位置決めしたとしても、先に述べた
ように移動範囲はごく狭い領域に限られるか、若しくは
注入した浄化液は、地盤の深さ方向の緩んだ個所のみを
選択して流路とし、その個所にのみ脈状に浸透して逃げ
てしまう。このため分解微生物と汚染物質がよく交わる
ことがなく良好な浄化を図ることができない。
【0022】汚染された土壌をできるだけ短時間で微生
物処理するためには、汚染土壌に高活性な状態の分解微
生物を広く、均一に存在させる事が効果的である。しか
し、前述したように微生物を土壌の隅々にまで均一に行
き渡るように導入することは事実上困難である。
【0023】また、地中へ分解菌を供給するため、広い
領域で、地中深く掘り起すことは物理的に困難かコスト
的に難点が生じる。汚染物質の拡散し始めた時間と生物
学的分解物を供給する時期の時間的ズレから両者の分布
状態を同じにすることは困難である。特に拡散性の差
は、この時間的差に加え、両者の比重の差、土壌との化
学的、もしくは生物学的親和性の差等も分布の違いを増
長させる原因となる。
【0024】土壌汚染の修復を基本的に困難にしている
他の理由は、地下水移動速度が非常に緩慢であること、
難溶解性の汚染物質が土壌に吸着され、これが水に溶解
するときの吸着平衡も緩慢に進行し、流入した非汚染地
下水が汚染物質を吸着した土壌と再平衡に達するにも時
間を要する。
【0025】このことは、いたずらに地下水を外部より
急激に移動させても効果が得にくいことを示唆してい
る。即ち、汚染地域のポンプによる吸引や、上流側から
の地下水水位の強制的上昇により汚染地下水を押し出す
方法等が意外に効果が低いことからも類推される。
【0026】また、汚染地の地下水下流側に、面状にバ
リヤー壁を設けたり、ネット状に汚染物質の吸着体や分
解体を設けることも、物理的には可能であるが、膨大な
工事や費用を要する問題があった。
【0027】本発明の目的は、上述の土壌修復における
問題点を解決することにあり、土壌の汚染から発生する
地下水の汚染を浄化することにより実質的に土壌汚染の
弊害を除去する土壌汚染による汚染地下水の浄化装置、
浄化方法を提供するものである。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明の浄化方法は土壌
中に井戸を形成する工程と、基材上に汚染物質を分解す
る微生物を保持させる工程と、微生物を保持する該基材
を前記井戸内の地下水流入域に搬入して該分解微生物に
汚染物質を接触させる工程を有することを特徴とする土
壌汚染の浄化方法である。
【0029】また、本発明の浄化装置は、汚染物質を分
解する微生物が保持されている基材を、土壌中に形成し
た井戸の地下水流入域へ搬入する手段と、該基材を該井
戸内から搬出する手段とを有することを特徴とする土壌
汚染浄化装置である。
【0030】この方法を用いることにより、汚染物質特
に有機塩素系化学物質により汚染された地下水の浄化が
極めて、効果的に達成することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】即ち、汚染された地下水の流路に
あたる領域にボーリング等の方法で井戸を形成し、この
井戸内の地下水流入域へ汚染物質を分解する能力をもつ
微生物が保持されている基材を、搬入する手段、例えば
ベルトコンベヤーを用いて搬入し、さらに該地下水流入
域で移動することで、微生物が供給され汚染された地下
水域を浄化するものである。分解は所定の期間続くが、
これに合わせ運搬手段例えばベルトコンベヤーを移動す
る。
【0032】基材上への微生物の付着、必要ならば微生
物への栄養素等の供給、運搬手段例えばベルトコンベヤ
ーによる基材の地下水域への移動、分解微生物と汚染物
質との接触、地下水域からの搬出手段例えばベルトコン
ベヤーによる基材の引き出し、以上の工程を繰り返して
もよい。
【0033】次に具体的な材料を示す。
【0034】本発明に用いることのできる分解微生物と
しては、分解能力を持てばいかなるものでもよく、単離
・同定されたものに限定されることは全く無く、混合状
態の培養液、汚染物質を含む培養液で集積培養したもの
でもなんら問題はない。
【0035】また分解能力をもてば増殖状態の菌体でも
増殖に関して休止状態(restingstate)の菌体でもかまわ
ない。
【0036】例えば、以下に示すTCE分解菌の単離株
が報告されており、これらを用いることができる。 Welchia alkenophila sero 5(USP 48777
36,ATCC 53570)、Welchia alkenophila
sero 33(USP 4877736,ATCC 53
571)、Methylocystis sp.strain M(Agric.Bio
l.Chem.,53,2903(1989)、Biosci.Biotech.Bioc
hem.,56,486(1992)、同56,736(1992))、Methyl
osinus trichosprium OB3b(Am.Chem.Soc.N
atl.Meet.Dev.Environ.Microbiol.,29,365(198
9)、Appl.Environ.Microbiol.,55,3155(1989)、
Appl.Biochem.Biotechnol.,28,877(1991)、特開
平02-92274号公報、特開平03-292970号
公報)、Methylomonas sp.MM2(Appl.Environ.M
icrobiol.,57,236(1991))、Alcaligenes denitrifi
cans ssp.xylosoxidans JE75(Arch.microbiol.,
154,410(1990))、Alcaligenes eutrophus JMP1
34(Appl.Environ.Microbiol.,56,1179(199
0))、Mycobacterium vaccae JOB5(J.Gen.Micr
obiol.,82,163(1974)、Appl.Environ.Microbio
l.,54,2960(1989)、ATCC 29678)、Pseudo
monas putida BH(下水道協会誌,24,27(198
7))、G4株、Pseudomonas mendocina KR-1(Bi
o/Technol.,7,282(1989))、Pseudomonas putida
F1(Appl.Environ.Microbiol.,54,1703(1988)、
同54,2578(1988))、Pseudomonas fluorescens P
FL12(Appl.Environ.Microbiol.,54,2578(198
8))、Pseudomonas putida KWI-9(特開平06-7
0753号公報)、Pseudomonas cepacia KK01
(特開平06-227769号公報)、Nitrosomonas e
uropaea(Appl.Environ.Microbiol.,56,1169(199
0))、Lactobacillus vaginalis sp.nov(Int.J.Sys
t.Bacteriol.,39,368(1989)、ATCC 4954
0) 上記本発明においては、固体基材は帯状(ベルト状)のも
ので、その上に直接あるいはその上に更に別の基材を着
設することができる。液体培地を基材中に含浸させた場
合は、基材中で分解微生物は増殖を行うことができる。
増殖材料を基材と一体化して分解微生物の増殖を行なっ
てもよい。
【0037】固体基材の材質としては、微生物に悪影響
を与えないものが好ましい。また、微生物の付着性が良
く、微細な間隙を有するものが好ましい。
【0038】基材がエンドレスベルト状の場合、合成繊
維、炭素繊維、天然繊維などの織布の上に合成樹脂をコ
ーティングしたものあるいはそのようなコーティング処
理のされていないものなどを挙げることができる。ま
た、フィルム状などのものであってよく、疎水性材料で
形成されたりコーティング処理のされているものであっ
てもよい。例えば、セルローズを主成分とする綿、麻、
パルプ材より作られる紙類もしくは天然物を変性した高
分子アセテート等、ポリエステル、ポリウレタンを初め
とする合成高分子からなる布類が使用できる。
【0039】また、バイオリアクターで使用されている
さまざまな微生物担体を前記繊維系の基材に固定し、も
しくはそれら自体を帯状(ベルト状)の固体基材に加工す
るなどして利用することができる。
【0040】これらの担体としては、例えば多孔質ガラ
ス、セラミックス、金属酸化物、活性炭、カオリナイ
ト、ベントナイト、ゼオライト、シリカゲル、アルミ
ナ、アンスラサイト等の粒子状担体などが挙げられる。
【0041】また、担体としては、下記に示す、ゲル層
を形成するものを用いることもできる。この場合、微生
物はゲル層内部に取り込まれる形で担持される。
【0042】例えば、デンプン、寒天、キチン、キトサ
ン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ポリアクリル
アミド、カラギーナン、アガロース、ゼラチン等のゲル
状担体、イオン交換樹性セルローズ、イオン交換樹脂、
セルローズ誘導体、グルタルアルデヒド、ポリアクリル
酸、ウレタンポリマー等がある。
【0043】また汚染物質が有機塩素化合物で誘導物質
を必要とする場合、誘導物質として利用可能なものには
フェノール、クレゾール、トルエン等の芳香族化合物や
メタン,プロパン等がある。
【0044】増殖材料としては、微生物の種類に合わせ
微生物培養の培地で使用されているものから選んで使用
することができる。例えばブイヨン培地、M9培地、L
培地、Melt extract、MY培地、硝化菌選択培地等が
有効であり、液状のものは、アガロースゲル等ゲル状物
質と共に用いることにより固体状もしくは半固体として
扱える。
【0045】棲息空間を与える材料と栄養素を兼用する
材料としては、農林業関係で知られている堆肥材料等に
その例を多く見ることができる。即ち、麦わら等の穀物
類のワラやオガクズ、米糠、オカラ、砂糖黍の絞りカス
等の乾燥植物遺体、またカニやエビの殻も微小間隙を有
すると同時に微生物による分解性栄養素となるものであ
る。
【0046】井戸は水平な井戸が望ましく、地中に斜め
に入り込み斜めに出るタイプが望ましい。水平な井戸が
汚染物質を含む地下水流を横断するように配置するとよ
い。井戸の壁面は小穴が多数個存在したり、透水性の材
料でできているなどして、汚染物質を含む地下水流が井
戸内に入る込み基材上の微生物に接触出来るようになっ
ている。
【0047】これらの基材は複数あってもかまわない。
例えば生育条件が異なる場合などは、生育条件にあった
複数の基材を用意し、これにそれぞれの微生物を保持さ
せ複数種の微生物による分解がおこなえる。
【0048】また、生育条件などが同じならば基材に複
数種の微生物を保持させ複数種の汚染物質を分解処理す
ることができる。
【0049】[代表的実施形態]以下更に代表的な装置例
の図面を参照して本発明を説明する。図1に微生物が保
持された帯状の基材を地中に供給する場合の概説側面図
で示すように、本発明の分解微生物の保持用基材1は回
転可能な駆動ローラー3により直線的あるいは曲線的に
一方向に移動されて、その基材1の表面あるい表面部位
に分解能力を有する微生物を供給する手段2に向かって
移動する。
【0050】微生物を供給する手段2としては、図1は
浸漬法による例である。浸漬法では、液体プール4中に
基材1をローラー3により順次移動せしめて浸し、基材
1の表面部位に微生物を付着又は含浸させることにより
微生物の供給がなされる。移動速度をコントロールする
ことにより基材1に供給される微生物の量を調整するこ
とができる。
【0051】また、噴霧又は滴下法では噴霧量又は滴下
量はノズルの口径を調節したり、液体培地の噴出量、滴
下量を調節したりしてコントロールすることができる。
この際には、微生物を含む液体の粘度によってもこれら
基材1に適用される微生物の供給量をコントロールする
ことができる。
【0052】こうして表面部位に微生物を付着あるいは
含浸させた基材1はさらにローラー3により直線的ある
いは曲線的に一方向に移動され、次に汚染土壌5中に形
成された水平井戸6内に進む。井戸内で汚染地下水と微
生物とが接触し汚染地下水の分解が始まる。
【0053】ローラー3を駆動するモーターはマイクロ
コンピューターなどにより制御されることが好ましい。
同様に各供給ポンプをマイクロコンピューターなどによ
り制御して、適用する微生物・誘導物質の量や地下水中
の汚染物質と分解微生物との接触時間などをコントロー
ルすることもできる。
【0054】
【実施例】次に実施例を示して、本発明を更に具体的に
説明する。
【0055】[実施例1]基材として不織布(三井石油化
学工業株式会社製、タフネルEX)をエンドレスベルト
状の基材として用意した。この基材の表面にTCE分解
菌であるシュードモナス・セパシア(Pseudomonas ce
pacia)KK01株(通商産業省工業技術院生命工学工業技
術研究所、FERM BP-4235、受託日:平成5年
3月9日)を濃縮培養したプールに浸漬した。
【0056】プール内の培地の組成を以下に示す。
【0057】培地組成 ・Na2HPO4 6.2 g/L ・KH2PO4 3.0 g/L ・NaCl 0.5 g/L ・NH4Cl 1.0 g/L ・イーストイクストラクト 1.0 g/L ・フェノール 100ppm プールに浸漬した後、不織布のベルトは地中に形成され
た水平井戸内に移動し5m/日の速度で運転した。
【0058】帯水層水面が10m前後で、約14m近辺に
不透水層を有する閉鎖系のモデル地下汚染源の地下水下
流域に直径14cm、長さ5mの水平井戸を掘削し、側面
に0.1〜2mmの小穴を多数設けた直径12cm厚さ5m
mの塩化ビニール管を挿入した。該モデル地下水を1m/
日の流速で地下水を移動させる。該地下水にトリクロロ
エチレンを10ppm溶解し、前記管の下流側で10日間定
期的に測定を行ったところ、3日目に管下流半径50c
mで0.1ppmとなった。その後一ヶ月にわたって測定を
したが0.1ppm以下を維持した。
【0059】[実施例2]KK01株のかわりにTCE分
解菌J1株(通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究
所、FERM BP 5102、受託日:平成7年5月1
7日)を用いて実施例1と同様の実験をおこなった。
【0060】但し、培地は以下の組成のものを用いた。
【0061】培地組成 M9培地 ・Na2HPO4 6.2 g/L ・KH2PO4 3.0 g/L ・NaCl 0.5 g/L ・NH4Cl 1.0 g/L ・L-グルタミン酸ナトリウム 20 g/L 前記管の下流側で測定を行ったところ、3日目より管下
流半径50cmでは0.3ppmであった。その後一ヶ月に
わたって測定をしたが0.1ppm以下を維持した。
【0062】
【発明の効果】本発明により土壌中に微生物を拡散する
ことなく微生物処理がおこなえることになり、さらに微
生物の供給、排除が簡便におこなえるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施形態を示す図である。
【符号の説明】
1 分解微生物保持用基材 2 分解微生物供給手段 3 駆動ローラー 4 液体プール 5 汚染土壌 6 水平井戸

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 汚染物質を分解する微生物が保持されて
    いる基材を、土壌中に形成した井戸の地下水流入域へ搬
    入する手段と、該基材を該井戸内から搬出する手段とを
    有することを特徴とする土壌汚染浄化装置。
  2. 【請求項2】 前記井戸の壁面が透水性である、請求項
    1記載の土壌汚染浄化装置。
  3. 【請求項3】 前記井戸が水平井戸で地下水流の流れを
    横断するように地下水層に配置されている、請求項1ま
    たは2記載の土壌汚染浄化装置。
  4. 【請求項4】 前記基材がベルト状である、請求項1な
    いし3のいずれか1項に記載の土壌汚染浄化装置。
  5. 【請求項5】 前記ベルト状の基材が不織布である、請
    求項4に記載の土壌汚染浄化装置。
  6. 【請求項6】 前記井戸内で微生物が増殖に関して休止
    状態(resting state)にある請求項1ないし5のいずれ
    か1項に記載の土壌汚染浄化装置。
  7. 【請求項7】 土壌中に井戸を形成する工程と、 基材上に汚染物質を分解する微生物を保持させる工程
    と、 微生物を保持する該基材を前記井戸内の地下水流入域に
    搬入して該分解微生物に汚染物質を接触させる工程を有
    することを特徴とする土壌汚染の浄化方法。
  8. 【請求項8】 前記井戸の壁面が透水性である、請求項
    7記載の土壌汚染の浄化方法。
  9. 【請求項9】 前記井戸が水平井戸で地下水流の流れを
    横断するように地下水層に配置されている、請求項7ま
    たは8記載の土壌汚染の浄化方法。
  10. 【請求項10】 汚染物質が有機塩素化合物を含む、請
    求項7ないし9のいずれか1項に記載の土壌汚染の浄化
    方法。
  11. 【請求項11】 汚染物質がトリクロロエチレンであ
    る、請求項10記載の土壌汚染の浄化方法。
  12. 【請求項12】 前記基材がベルト状である、請求項7
    ないし11のいずれか1項に記載の土壌汚染の浄化方
    法。
  13. 【請求項13】 前記ベルト状の基材が不織布である、
    請求項12に記載の土壌汚染の浄化方法。
  14. 【請求項14】 前記井戸内で微生物が増殖に関して休
    止状態(resting state)である請求項7ないし13のい
    ずれか1項に記載の土壌汚染の浄化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012061431A (ja) * 2010-09-16 2012-03-29 Panasonic Corp 地下水の浄化装置および浄化方法
CN114309049A (zh) * 2021-12-30 2022-04-12 北京建工环境修复股份有限公司 一种用于异位修复土壤的反应装置及土壤异位修复方法

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