JP2000192127A - 炉の操業方法 - Google Patents

炉の操業方法

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JP2000192127A JP10373008A JP37300898A JP2000192127A JP 2000192127 A JP2000192127 A JP 2000192127A JP 10373008 A JP10373008 A JP 10373008A JP 37300898 A JP37300898 A JP 37300898A JP 2000192127 A JP2000192127 A JP 2000192127A
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武 内山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電炉ダストから亜鉛と鉄とを分離回収するにあ
たり、排ガスダクトへの酸化亜鉛の付着を抑制防止し
て、炉頂部ガスから回収される亜鉛の回収率を向上す
る。 【解決手段】上下段に二段の羽口を有し且つコークスを
充填し且つ上段の羽口に電炉ダスト等の原料を装入し
て、炉頂部のガスを炉外で冷却して亜鉛を回収する場合
に、例えば炉頂部から冷却装置までの間の排ガスダクト
の壁厚を厚くしたり、或いはその熱伝導率を小さくした
りすることによりダクト内壁温度を900℃以上に調整
すると共に、二次燃焼によりダクト内を通過する排ガス
ダクトの一酸化炭素量に対する二酸化炭素量の比を10
〜20%に調整することで、亜鉛蒸気が酸化亜鉛に固化
するのを抑制防止することで、それがダクト内壁に付着
するのを抑制防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コークス等の固体
還元材を充填する固体還元材充填層型溶融還元炉に少な
くとも上下二段の羽口を設け、上段の羽口から、電炉ダ
スト等の亜鉛含有ダストの粉粒状の装入原料を吹込み、
炉頂部のガスを炉外で冷却して、亜鉛等の高揮発性金属
を分離回収する炉の操業方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用表面処理鋼板等のように
亜鉛を含む鉄スクラップの発生量が増加している。この
鉄スクラップを主原料とする電炉等では、亜鉛と鉄とを
主成分とする亜鉛含有ダストが発生する。このダスト
は、現在、回収コストが高いことから、集塵後、無害化
処理されてから埋め立て投棄されている。
【0003】しかしながら、前記電炉ダストを例にとる
と、このダストに含まれる亜鉛の含有率は20〜30%
であり、同量の鉄分も含まれている。それらの形態は、
酸化物であったり、水酸化物であったりするが、ダスト
そのものの発生量は製鋼トンあたり15キログラムと多
く、低コストで且つ廃棄物なく、夫々を完全分離した状
態で回収する技術が求められている。
【0004】このような分離回収技術を、コークス等の
固体還元材を充填した竪型炉で実施するための炉の操業
方法として、例えば本出願人が先に提案した特開平8−
325646号公報に記載されるものがある。この炉の
操業方法では、固体還元材充填層型溶融還元炉に少なく
とも上下二段の羽口を設け、上段の羽口から、電炉ダス
ト等の粉粒状の装入原料を吹込み、そのうち鉄分は溶融
滴下させて炉床部に溜め、亜鉛は蒸発させて炉頂部に上
昇させ、その炉頂部のガスを炉外で冷却して、亜鉛等の
高揮発性金属を分離回収するというものである。そし
て、この炉頂部のガスを炉外で冷却するまでのダクト内
にも二次燃焼バーナを設置し、この二次燃焼バーナでガ
スを加熱することにより、冷却部位まで高揮発性金属を
蒸気の状態に維持し、例えばダクト内壁への付着を減少
して、高揮発性金属の回収率を向上しようとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の炉の操業方法では、雰囲気の状態によっては、亜鉛
等の高揮発性金属が十分に蒸気の状態である,1000
℃以上のガス温度でも、ダクト内壁への付着が多い部分
もあり、高揮発性金属の回収率が低下したり、付着が著
しい場合には操業を停止したりすることもあった。
【0006】本発明は前記諸問題を解決すべく開発され
たものであり、高揮発性金属のダクトへの付着を低減し
て、当該ダクト内の高揮発性金属を蒸気の状態に維持
し、高揮発性金属の回収率を向上できる炉の操業方法を
提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記諸問題を解決するた
め、本発明のうち請求項1に係る炉の操業方法は、固体
還元材充填層型溶融還元炉に少なくとも上下段に二段の
羽口を設け、上段の羽口から粉粒状の装入原料を吹込
み、炉頂部のガスを炉外で冷却して高揮発性金属を分離
回収する炉の操業方法であって、前記炉頂部のガスを炉
外で冷却するまでの間のダクトの内壁温度と、当該ダク
ト内を通過するガスの成分とを調整することにより、当
該ダクト内を通過するガス中の高揮発性金属を蒸気の状
態に維持することを特徴とするものである。
【0008】本発明者等は、前記諸問題を解決すべく鋭
意検討を重ねた結果、例えば亜鉛等の高揮発性金属の蒸
気を含む炉頂部のガスの温度が1000℃以上という高
温であっても、ダクトの内壁温度が低い部位では、当該
高揮発性金属の酸化或いは固化が促進し、当該ダクトの
内壁に付着する現象が生じていることを見出した。ま
た、特にガスに含まれる蒸気が亜鉛等の高揮発性金属の
場合には、例えば雰囲気中の酸素ポテンシャルと称する
二酸化炭素と一酸化炭素との比が、その酸化或いは固化
に大きく影響することも見出している。従って、例えば
二次燃焼を用いる場合には、単にガス温度を高くするだ
けではなく、この燃焼によって発生する二酸化炭素と雰
囲気中の一酸化炭素との比といった雰囲気ガス成分を調
整すると共に、ダクトの内壁温度を、高揮発性金属の酸
化或いは固化を促進しない温度に調整すれば、当該ダク
トの内壁への高揮発性金属の付着を抑制防止すると同時
にそれを蒸気の状態に維持できるということを見出し
た。
【0009】また、本発明のうち請求項2に係る炉の操
業方法は、前記請求項1の発明において、前記炉頂部の
ガスを炉外で冷却するまでの間のダクトの内壁温度を、
当該ダクトを構成する部材の厚さで調整することを特徴
とするものである。一般に、ダクトは断熱性の高い部材
で構成されているので、その部材の厚さを大きくすれ
ば、内壁温度を高く維持することができる。
【0010】また、本発明のうち請求項3に係る炉の操
業方法は、前記請求項1又は2の発明において、前記炉
頂部のガスを炉外で冷却するまでの間のダクトの内壁温
度を、当該ダクトを構成する部材の熱伝導率で調整する
ことを特徴とするものである。この発明は、ダクトを構
成する部材の熱伝導率を小さくすれば、内壁温度を高く
維持できることに着目したものである。
【0011】また、本発明のうち請求項4に係る炉の操
業方法は、前記請求項1乃至3の発明において、前記炉
頂部のガスを炉外で冷却するまでの間のダクトの内壁温
度を900℃以上に調整することを特徴とするものであ
る。炉頂部のガスに含有される高揮発性金属蒸気が亜鉛
等であるときには、ダクトの内壁温度を900℃以上に
調整することにより、その酸化或いは固化を抑制防止し
て蒸気の状態に維持することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。図1は、本発明の炉の操業方法を適用した
竪型溶融還元炉(以下、単に竪型炉と記す)である。こ
の竪型炉1内には、コークス等の固体還元材2が充填さ
れており、全体として固体還元材充填層型溶融還元炉を
構成する。この竪型炉1には、少なくとも上下二段の羽
口3,4が設けられている。このように上下二段に羽口
3,4を設ける竪型炉1としては、例えばクロム鉱石を
効率よく溶融するために開発された炉等を適用すること
ができる。つまり、上段の羽口3だけでは溶融還元に十
分な熱量が得られないときに、下段の羽口4から熱量を
補い、その間に十分に溶融還元させるように構成された
ものである。なお、羽口3,4の数は、例えば必要な製
錬能力を達成する還元能力及び溶融能力から設定すれば
よく、それは各羽口前のレースウエイの深さ,或いは横
断面積に応じて決定される。
【0013】これらの羽口3,4には、送風機5から熱
風発生炉6を通して、熱風や、それに酸素を富化したも
のや、或いは必要に応じて純酸素が吹込みガスとして用
いられる。これは、炉内の固体還元材2を燃焼し、その
燃焼熱を原料の溶融、燃焼、蒸発、還元等に利用するた
めに、酸素が必要であるためであり、また吹込みガスを
加熱する場合には、炉内への入熱の形態として吹込みガ
スの持つ顕熱を利用できるためでもある。また、これら
のうち、特に下段の羽口4に供給する熱風中の酸素の割
合が増加するにつれて、前述のように上段の羽口3まで
の間の熱量が増加し、それが純酸素になると炉内温度を
著しく高くすることができる。本実施形態では、後述の
ように羽口前温度や炉頂部温度を高く設定しなければな
らないので、それらに鑑みて供給熱風中の酸素の割合を
調整するとよい。
【0014】一方、上段の羽口3には、原料吹込み装置
7から原料が吹込まれる。この上段の羽口3から吹込ま
れる原料は、原則的に粉粒状のものに限定され、吹込み
直後に溶融、燃焼、還元、蒸発する。この原料のうち、
溶融した鉄等の低揮発性金属の酸化物や水酸化物は、固
体還元材の充填層を滴下する過程で還元され、炉床部に
溜まる。また、蒸発する亜鉛等の高揮発性金属の蒸気
は、固体還元材2の隙間を通って炉頂部に上昇し、後述
のように炉内ガスと共に排出される。
【0015】亜鉛含有ダストである電炉ダスト等の粉粒
状原料は、原則的に上段の羽口3から吹込まれる。粉粒
状の原料は軽いので、それを炉頂部から装入すると、炉
内の上昇気流によって、例えば前述のように低揮発性金
属が十分に溶融して固体還元材2の充填層内を滴下する
以前に吹き飛ばされ、そのまま炉頂部から排出されてし
まうため、それを抑制防止するために上段の羽口3から
粉粒状原料を吹込むのである。つまり、粉粒状原料は、
吹込まれる上段の羽口3前のレースウエイ内で即座に溶
融、燃焼、蒸発しなければならない。
【0016】これに対して、塊状原料は重量が大きいの
で、炉内の上昇気流を受けても吹き飛ばない。また、こ
の種の塊状原料は、前述のように羽口前で瞬時に溶融す
る必要がないので、炉頂装入装置8により原則として炉
頂から装入する。また、後述のように、本実施形態で
は、炉頂部の温度を高温に維持する必要があるのに対し
て、塊状原料を一度に多量に装入すると、炉頂部の温度
が下がり過ぎてしまう恐れがあるため、塊状原料は原則
として連続的に装入し、炉頂部の温度が下がらないよう
にする。具体的には、炉頂からの装入管方式で連続的に
装入するのがよい。勿論、塊状原料を一度に多量に装入
しても、十分な熱量が得られ、炉頂部温度を高く維持で
きればよいが、そのようにすると燃料の原単位が増加す
るので回避したい。また、塊状原料を粉砕して粉粒状に
したときには、上段の羽口3から吹込むべきである。
【0017】また、本実施形態では、炉頂部の温度を高
く維持するために、当該炉頂部の空間に二次燃焼ガスを
供給し、意図的に炉頂部内で燃焼させている。また、こ
の炉頂部から排ガスを排出するダクト内にも二次燃焼ガ
スを供給してダクト内でも燃焼させている。但し、二次
燃焼ガスを燃焼させると二酸化炭素が発生する。本実施
形態では、炉頂部を含み、当該炉頂部から排ガス冷却・
清浄装置までの間のダクト内における酸素ポテンシャル
を温度に応じて小さくする必要があり、そのためにはガ
ス温度と組成を測定して、二次燃焼ガスの供給量を厳し
く管理する必要がある。
【0018】このようにして炉頂部から排出された排ガ
スは排ガス冷却・清浄装置9内に送り込まれる。この排
ガス冷却・清浄装置9は、具体的に湿式冷却装置、つま
り排ガス中に液体を散布して、排ガス温度を低下させる
と共に、蒸気の状態にある物質を冷却固化し、液体と一
緒に滴下・沈殿させ、それをスラリーとして分離回収で
きるようにすると共に、液化或いは固化しない気体は気
体のまま採取するためのものである。本実施形態では、
後述のように排ガス中から亜鉛等の高揮発性金属を固化
して分離回収すると共に、排出される排ガスを、一酸化
炭素ガスを含む高カロリーの燃料ガスとして得る。ま
た、このように高温の排ガスを急速に冷却することによ
り、原料中に含まれる有害物質であるダイオキシンの再
合成を防止することもできるのである。
【0019】次に、前述のような固体還元材充填層型溶
融還元炉で、主として低揮発性金属である鉄の酸化物や
水酸化物と高揮発性金属である亜鉛の酸化物や水酸化物
とを含む亜鉛含有ダストとして電炉ダスト等の粉粒物を
装入原料とし、それを鉄分と亜鉛とに分離回収し、同時
に高カロリー燃料ガスを採取するための条件について説
明する。
【0020】ここで、原料の組成の一例を表1に示す。
表から明らかなように、鉄分と亜鉛とをかなりの割合で
含み、その他に酸化カルシウム、シリカ、アルミナ等を
含んでいる。
【0021】
【表1】 次に、操業条件を以下に示す。ここでは、酸素富化した
熱風を羽口から吹き込むものとし、粉粒状装入原料も羽
口から吹き込むものとする。 送風条件 送風量 :1650Nm3 /h 送風温度 :900℃ 富化酸素量:50〜100Nm 3/h 羽口吹込み条件 電炉ダスト90%,溶材(石灰石+コークス)10% 吹込み量 :650〜700kg/h 前述のように粉粒状装入原料は、羽口(少なくとも二段
の羽口を有する場合は上段羽口)から吹込まれる。若
し、この羽口前温度が低いと、溶融滴下して分離回収し
ようとする鉄分が十分に溶融しないうちに、炉内の上昇
気流によって吹き飛ばされ、炉頂部から排出され、前記
排ガス冷却・清浄装置で取り出される。つまり、亜鉛だ
けを分離回収したい排ガス冷却・清浄装置内のスラリー
に鉄分が混入してしまうことになる。これには、羽口前
温度,特に粉粒状原料を吹込む吹込み羽口前温度が大い
に関与していることが分かった。そこで、吹込み羽口前
温度と、排ガス冷却・清浄装置内のスラリーに含まれて
いる鉄分濃度(図では固形分中鉄分濃度)との関係を図
2に示す。
【0022】同図から明らかなように、スラリー中に含
まれている鉄分濃度は、吹込み羽口前温度が1500℃
以上の領域では小さくなる。つまり、羽口前温度を15
00℃以上に設定すれば、粉粒状装入物中の鉄分は、当
該羽口前で即座に溶融し、滴下するため、炉内の上昇気
流によって吹き飛ばされる割合は少ないと考えられる。
また、吹込み羽口前温度を1700℃以上とすることに
より、更に溶融を促進することができる。そして、この
ように溶融してしまえば、当該溶融鉄分は、固体還元材
層を滴下し、その間に還元されて炉床部に溜まる。従っ
て、それを取り出せば、純度の高い鉄を分離回収できる
ことになる。
【0023】一方、気体の亜鉛と二酸化炭素とが反応す
ると固体の酸化亜鉛と一酸化炭素とが生成される。この
反応は可逆反応であり、温度が低いほど、或いは酸素ポ
テンシャルが大きいほど、固体の酸化亜鉛が生成され易
い。炉内及び炉頂部から排ガスダクトにかけての温度が
低かったり、或いは酸素ポテンシャルが大きかったりす
ると、固体の酸化亜鉛が前記排ガス冷却・製造装置まで
到達できずに炉壁やダクト壁に付着し、その付着量が著
しく多くなると、ダクトや炉内を閉塞して、操業が継続
できなくなる恐れもある。
【0024】前記反応を司る要因は温度と酸素ポテンシ
ャルである。酸素ポテンシャルは、雰囲気の酸化性の度
合いを示す指標であり、炉頂部の雰囲気が殆ど二酸化炭
素と一酸化炭素のみであることから、具体的にCO+1
/2O2 =CO2 の反応の自由エネルギー変化 ΔG°=−67150+20.37(T+273)(ca
l) から求められる下記1式で定義した。そして、この酸素
ポテンシャルと炉頂部との温度の関係を、前記反応に必
要な反応熱に置換して調べてみると、図3に示す一本の
曲線(実質的には直線)が得られ、これより酸素ポテン
シャルが小さいか、或いは温度が高い領域では気体の亜
鉛が安定している。つまり、図中の曲線より左下方の領
域では気体の亜鉛状態が維持できるのである。この領域
は、下記2式で与えられる。
【0025】 log(Po2)=2log(Pco2/Pco)− 29386/(T+273)+8.914 ……… (1) log(Po2)≦−48138/(T+273)+25.35 ……… (2) 但し、 T :炉内或いは炉頂部の雰囲気温度(℃) Po2:酸素ポテンシャル(atm) この条件に、更に亜鉛が気体で安定する温度条件とし
て、炉頂部の雰囲気温度を730℃以上とした。更に二
次燃焼を行う前の炉頂部でのガス温度T(℃)、酸素ポ
テンシャルがPo2(atm)が下記3式で囲まれた領域にあ
るのが望ましい。その理由としては、炉頂の装入面に近
い部分でも酸化亜鉛の付着が減少するとか、炉内での酸
化亜鉛の付着がなくなるとか、二次燃焼を行う必要がな
くなるためであり、二次燃焼を行う場合にあっても、過
剰に高温の燃焼ガスを生じることがなく、また酸素ポテ
ンシャルを過剰に小さくする必要がないためである。
【0026】 T≧730℃ log(Po2)≦−29386/(T+273)+6.51 ……… (3) これらの条件を満足しながら操業すると、炉頂部から排
ガスダクトにかけて酸化亜鉛が付着することなく、前述
のように亜鉛と鉄分との分離回収が可能であり、同時に
高カロリー燃料ガスを採取することもできる。一方、こ
の条件から外れると、凡そ1週間から2週間で炉壁に付
着する酸化亜鉛が炉内を閉塞し、操業を継続できなくな
った。なお、これらの条件を操作するには、羽口からの
送風量や富化酸素量、原料吹込み速度の調整によるコー
クス比の変更、炉頂部やダクトでの二次燃焼の実施及び
二次燃焼ガスの調整を主な手段とした。
【0027】次に、本実施形態で行われる排ガスダクト
内での二次燃焼条件や排ガスダクトそのものの条件につ
いて説明する。実験により、排ガス温度及び排ガス組成
から考えて亜鉛蒸気が安定であると推定される領域であ
っても、ダクト内壁温度によっては酸化亜鉛としてダク
ト内に付着することがあることが確認された。図4で
は、縦軸を酸素ポテンシャルと比例関係にある、一酸化
炭素量に対する二酸化炭素量の比の対数で、横軸を温度
の逆数としている。図中の斜めの曲線(直線)が反応境
界線であり、それより左下方は亜鉛蒸気安定領域、右情
報は酸化亜鉛(固体)安定領域である。これに、実験に
おける排ガス温度を実線で、排ガスダクト内壁温度を破
線で記入した。また、斜線で囲まれた範囲は本実験での
排ガス組成範囲を示す。図5に、内壁温度と酸化亜鉛付
着量との関係を示す。排ガス温度は1000℃であり、
亜鉛蒸気が安定と考えられるが、ダクト内壁温度が80
0℃以下の場合には、付着物、即ち酸化亜鉛の固体が排
ガスダクト内壁に付着した。これは、反応が低温の排ガ
スダクト内壁近傍で促進されるためと考えられる。内壁
温度900℃は亜鉛蒸気安定の領域にあり、酸化亜鉛は
殆ど付着しなかった。
【0028】次に、炉径が1.2m、高さ8mで、上段
の羽口が夫々各3本備えた竪型炉を用い、前述の操業条
件に加えて、排ガス条件として、二次燃焼後の温度が1
000℃、二次燃焼率,即ち前記一酸化炭素量に対する
二酸化炭素量の比が10〜20%になるようにして実際
の操業を行った。このとき、排ガスダクトの条件とし
て、排ガス流路の周囲を耐火レンガで囲み、その外側に
断熱レンガを配設し、更にその外側を鉄皮で覆う。排ガ
ス流路の直径は60cm、断熱レンガの厚さは8cm、
鉄皮の厚さは8mmとし、耐火レンガの厚さを20cm
と12cmに分けて、排ガスダクトの内壁温度を調査し
た。その結果を図6aに示す。なお、耐火レンガの熱伝
導率λは0.564kcal/mh℃であり、断熱レンガの
熱伝導率λは0.229kcal/mh℃である。
【0029】同図から明らかなように、熱伝導率が一定
の状態では、耐火レンガの厚さが12cmのときには排
ガスダクトの内壁温度は850℃程度であり、耐火レン
ガの厚さが20cmのときには排ガスダクトの内壁温度
は900℃を越える。従って、熱伝導率λが0.564
kcal/mh℃のとき、耐火レンガの厚さ20cmという
のが実施例であり、それより薄いその他の厚さ、例えば
12cmは比較例になる。この排ガスダクトの内壁温度
を、前記温度と酸素ポテンシャルのグラフに表示したの
が図7である。比較例のダクト内壁温度850℃の条件
では酸化亜鉛の付着量が120kgだったのに対し、本
発明の実施例でダクト内壁温度を900℃にした結果、
付着量は10kgまで低下しており、内壁温度と排ガス
組成の調整により排ガスダクト内への酸化亜鉛の付着を
抑制できることが確認された。
【0030】また、前記排ガスダクトの内壁温度を高く
維持するためには、例えば前記排ガスダクトの内壁を構
成する耐火レンガの熱伝導率を小さくしてもよい。前述
のように、耐火レンガの厚さを12cm一定としたと
き、熱伝導率が0.564であるときには、排ガスダク
トの内壁温度は850℃程度であったが、例えば図6b
に示すように、耐火レンガの熱伝導率を0.2にするこ
とができれば、排ガスダクトの内壁温度を900℃以上
にすることができ、そのようにして調整すれば、前述と
同様に、亜鉛蒸気の状態を維持して、その固体がダクト
内壁に付着するのを抑制防止することもできる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1に係る炉の操業方法によれば、炉頂部のガスを炉外
で冷却するまでの間のダクトの内壁温度と、当該ダクト
内を通過するガスの成分とを調整することにより、当該
ダクト内を通過するガス中の高揮発性金属を蒸気の状態
に維持することとしたため、例えばダクト内での二次燃
焼によって発生する二酸化炭素と雰囲気中の一酸化炭素
との比といった雰囲気ガス成分を調整すると共に、ダク
トの内壁温度を、高揮発性金属の酸化或いは固化を促進
しない温度に調整すれば、当該ダクトの内壁への高揮発
性金属の付着を抑制防止することができ、これにより高
揮発性金属の回収率を向上することができる。
【0032】また、本発明のうち請求項2に係る炉の操
業方法によれば、炉頂部のガスを炉外で冷却するまでの
間のダクトの内壁温度を、当該ダクトを構成する部材の
厚さで調整することとしたため、ダクトを構成する断熱
性の高い部材の厚さを大きくすれば、内壁温度を高く維
持することができる。また、本発明のうち請求項3に係
る炉の操業方法によれば、炉頂部のガスを炉外で冷却す
るまでの間のダクトの内壁温度を、当該ダクトを構成す
る部材の熱伝導率で調整することを特徴とすることとし
たため、ダクトを構成する部材の熱伝導率を小さくすれ
ば、内壁温度を高く維持できる。
【0033】また、本発明のうち請求項4に係る炉の操
業方法によれば、炉頂部のガスを炉外で冷却するまでの
間のダクトの内壁温度を900℃以上に調整することと
したため、炉頂部のガスに含有される高揮発性金属蒸気
が亜鉛等であるときには、その酸化或いは固化を抑制防
止して、ダクト内壁への付着を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炉の操業方法を適用した炉の概略構成
図である。
【図2】羽口前温度と炉頂部からの排ガスに含まれて回
収された鉄分濃度との関係を示す説明図である。
【図3】炉頂部の温度と酸素ポテンシャルとで規制され
る領域の説明図である。
【図4】温度と酸素ポテンシャルとで規制される亜鉛蒸
気安定領域と酸化亜鉛安定領域の説明図である。
【図5】ダクトの内壁温度とそれに付着する物質の重量
との関係を示す説明図である。
【図6】ガス温度とダクト内壁温度との関係を示す説明
図であり、(a)はレンガの厚さをパラメータとしたも
の、(b)はレンガの熱伝導率をパラメータとしたもの
である。
【図7】ダクトの内壁温度とそれに付着する物質の重量
との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1は竪型炉 2は固体還元材 3は上段の羽口 4は下段の羽口 5は送風機 6は熱風発生炉 7は原料吹込み装置 8は炉頂装入装置 9は排ガス冷却・清浄装置
フロントページの続き (72)発明者 内山 武 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 原 義明 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4D004 AA37 AB03 BA05 BA10 CA27 CA32 CB04 CC01 CC02 CC11 DA02 DA03 DA06 4K012 CB04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体還元材充填層型溶融還元炉に少なく
    とも上下段に二段の羽口を設け、上段の羽口から粉粒状
    の装入原料を吹込み、炉頂部のガスを炉外で冷却して高
    揮発性金属を分離回収する炉の操業方法であって、前記
    炉頂部のガスを炉外で冷却するまでの間のダクトの内壁
    温度と、当該ダクト内を通過するガスの成分とを調整す
    ることにより、当該ダクト内を通過するガス中の高揮発
    性金属を蒸気の状態に維持することを特徴とする炉の操
    業方法。
  2. 【請求項2】 前記炉頂部のガスを炉外で冷却するまで
    の間のダクトの内壁温度を、当該ダクトを構成する部材
    の厚さで調整することを特徴とする請求項1に記載の炉
    の操業方法。
  3. 【請求項3】 前記炉頂部のガスを炉外で冷却するまで
    の間のダクトの内壁温度を、当該ダクトを構成する部材
    の熱伝導率で調整することを特徴とする請求項1又は2
    に記載の炉の操業方法。
  4. 【請求項4】 前記炉頂部のガスを炉外で冷却するまで
    の間のダクトの内壁温度を900℃以上に調整すること
    を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の炉の操業
    方法。
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