JP2000191702A - 成形物の製造方法 - Google Patents

成形物の製造方法

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JP2000191702A
JP2000191702A JP37244898A JP37244898A JP2000191702A JP 2000191702 A JP2000191702 A JP 2000191702A JP 37244898 A JP37244898 A JP 37244898A JP 37244898 A JP37244898 A JP 37244898A JP 2000191702 A JP2000191702 A JP 2000191702A
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hyaluronic acid
sheet
gel
aqueous solution
solution
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Osamu Yamamoto
修 山本
Mitsunari Fujita
充成 藤田
Hiroshi Kaneko
博 金子
Kazuhiko Arai
一彦 新井
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Denka Co Ltd
Original Assignee
Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医用材料として、特に癒着防止材、創傷被覆
材として好適な生体内貯留性を有する成形物、特にシー
トを製造する方法を提供すること。 【解決手段】 ヒアルロン酸の酸性水溶液を凍結し、次
いで解凍した後、得られたヒアルロン酸単独のゲルから
なる成形物の製造方法を構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体適合性の良好
なヒアルロン酸単独のゲルからなる成形物の製造方法、
その製造方法で得られたシート状ヒアルロン酸成形物、
及びそれを含有した医用材料に関する。特に医用材料と
して、癒着防止材、創傷被覆材に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒアルロン酸は、β−D−N−アセチル
グルコサミンとβ−D−グルクロン酸が交互に結合した
直鎖状の高分子多糖である。ヒアルロン酸は哺乳動物の
結合組織に分布するほか、ニワトリのとさか、連鎖球菌
の夾膜などにも存在が知られている。ニワトリのとさ
か、臍帯等が抽出材料として用いられているほか、連鎖
球菌の培養物からも精製物が調整されている。ヒアルロ
ン酸は、分子量について多分散性であるが、種及び臓器
特異性をもたず、生体に移植または注入した場合であっ
ても優れた生体適合性を示すことが知られている。
【0003】ヒアルロン酸は、極めて高い粘ちょう性と
保湿性を有し、本質的に抗原性が無く生体適合性が高い
ため、変形性膝関節症の治療薬や眼科手術補助剤等に用
いられている。また、ヒアルロン酸溶液そのものを手術
後の癒着防止材として用いることも検討されているが、
生体内での貯留性が比較的短いので効果が弱く、水溶性
のため短時間で創面から拡散・流動してしまう(Journa
l of Gynecologic Surgery vol.7 No.2 97-101(1991)。
【0004】生体に適用する場合のヒアルロン酸自体の
易水溶性に由来する短所、例えば、生体内滞留時間が比
較的短いことなどから、多種多様なヒアルロン酸の化学
修飾物も提案されている。これらの代表的なものとして
は、ジビニルスルホン、ビスエポキシド類、ホルムアル
デヒド等の二官能性試薬を架橋剤に使用して、得られた
高膨潤性の架橋ヒアルロン酸ゲルを挙げることができる
(米国特許第4,582,865号明細書、特公平6−
37575号公報、特開平7−97401号公報、特開
昭60−130601号公報参照)。
【0005】また、特表平5−508161号、特表平
6−508169号を基にカルボジイミド類でカルボキ
シメチルセルロースとヒアルロン酸ナトリウムを架橋、
修飾したフィルム状の癒着防止剤「Seprafilm 」(Genzy
me社製) が開発されている。
【0006】ヒアルロン酸及びヒアルロン酸を含む生体
試料を精製又は保存する際に、凍結、解凍させる操作や
凍結乾燥は、一般的手法として多用されているが、通常
は中性で管理されているため、このような方法でヒアル
ロン酸ゲルが形成されるという報告はなかった。上記目
的を達成するために、ヒアルロン酸自体の物理化学的性
質を鋭意検討してきた。その結果、ヒアルロン酸の水溶
液を特定のpHに調整し、該水溶液を凍結し、次いで解
凍することを少なくとも1回行うことによって、ヒアル
ロン酸ゲルが得られることを既に見出した。さらに、こ
うして得られたヒアルロン酸ゲルの水中での溶解速度が
極めて遅いことも見出した(PCT/JP98/035
36号)。
【0007】また、ヒアルロン酸は、血餅マトリックス
を安定化し、その分解を抑制し、炎症細胞、線維芽細胞
及び内皮細胞等の誘因を促進することで、組織修復の過
程、主として肉芽組織の形成過程の初期工程に作用する
ことが知られている。また、ヒアルロン酸溶液を投与す
ると、創傷の患者の回復を早めることができることも知
られている(J.Theor.Biol.,119,219,(1986)) 。しか
し、創傷治療において、ヒアルロン酸の貯留性、滞留性
を向上させることでその治療効果は著しく改善されるこ
とが示唆されている(米国特許第4,582,865号
明細書)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、医用材
料として、特に癒着防止材、創傷被覆材として理想的な
生体適合性、貯留性を有し、術後癒着を顕著に抑制する
効果を有するヒアルロン酸単独で形成されたシート状医
用材料を製造する方法を見出した。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、(1)
ヒアルロン酸の酸性水溶液を凍結し、次いで解凍した
後、得られたヒアルロン酸単独のゲルからなる成形物の
製造方法、(2)凍結時間が2日以上であることを特徴
とする(1)記載の成形物の製造方法、(3)凍結温度
が−30℃〜−10℃であることを特徴とする(1)又
は(2)記載の成形物の製造方法、(4)ヒアルロン酸
の酸性水溶液のpHが0.5〜2.0であることを特徴
とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の成形物の
製造方法、(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載
の成形物の製造方法で得られたシート状ヒアルロン酸成
形物、(6)(5)記載のシート状ヒアルロン酸成形物
を含有することを特徴とする医用材料である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるヒアルロン酸は、動物組織から抽出
したものでも、また発酵法で製造したものでもその起源
を問うことなく使用できる。発酵法で使用する菌株は自
然界から分離されるストレプトコッカス属等のヒアルロ
ン酸生産能を有する微生物、又は特開昭63−1233
92号公報に記載したストレプトコッカス・エクイFM
−100(微工研菌寄第9027号) 、特開平2−2346
89号公報に記載したストレプトコッカス・エクイFM
−300(微工研菌寄第2319号) のような高収率で安定
にヒアルロン酸を生産する変異株が望ましい。上記の変
異株を用いて培養、精製されたものが用いられる。
【0011】ゲルとは、新版高分子辞典(朝倉書店 昭
和63年)によれば、「あらゆる溶媒に不溶の三次元網
目構造をもつ高分子及びその膨潤体」と定義されてい
る。理化学辞典(岩波書店 第4版 昭和62年)によ
れば、「ゾル(コロイド溶液)がジェリー状に固化した
もの」と定義されている。本発明でいうヒアルロン酸単
独のゲルは、ヒアルロン酸の架橋構造によって三次元網
目構造が形成されている。中性水溶液に難溶性であるこ
とを特徴とし、このヒアルロン酸ゲルを中性水溶液中に
投入すると、ゲル化していないヒアルロン酸と比較して
有意の難溶性を示す。難溶性は、中性の25℃の水溶液
中でのゲルの形態の保持とゲルの溶解率で規定する。こ
こで、中性水溶液とは、pH7に調整された緩衝能を有
する生理的食塩水である(PCT/JP98/0353
6号)。本発明でいうヒアルロン酸単独のゲルは、アル
カリ性水溶液中、例えばpH11のアルカリ性緩衝水溶
液中に投入すると速やかに溶解する特徴も有する。
【0012】本発明でいうヒアルロン酸単独のゲルと
は、ヒアルロン酸以外に化学的架橋剤や化学的修飾剤等
は使用しないことまた、カチオン性の高分子と複合体化
しないことでゲルを形成させることであり、自己架橋し
たゲルを意味するものである。
【0013】本発明に用いられるヒアルロン酸の水溶液
は、ヒアルロン酸の粉末と水を混合し、撹拌して得られ
る。また、酸で酸性に調整した水にヒアルロン酸を投入
する方法によっても得られる。
【0014】ヒアルロン酸の濃度は5.0重量%以下が
水溶液の処理上好都合である。つまり、5.0重量%を
越える場合は、ヒアルロン酸の水溶液を容器に薄層状に
伸展させるのが困難となるからである。ヒアルロン酸の
濃度が低くなればなるほど、製造されるヒアルロン酸ゲ
ルシートは弱くなる。ヒアルロン酸の濃度が0.1重量
%より低い場合は、ヒアルロン酸ゲルシートを中和する
際に強度が弱く破れてしまうため、好ましくない。
【0015】ヒアルロン酸の水溶液のpHを調整するた
めに使用する酸は、pH2.0以下に調整できる酸であ
れば、いずれの酸も使用することができる。酸の使用量
を低減するために、好ましくは強酸、例えば、硝酸、塩
酸、硫酸等を使用することが望ましい。
【0016】ヒアルロン酸のゲル化は、ヒアルロン酸の
カルボキシル基が充分な割合でプロトン化するpHにて
凍結することにより起こる。従って、pH3.5以下に
調整し、凍結熟成することにより、ヒアルロン酸はゲル
化する。しかし、シート状のヒアルロン酸ゲルシートを
得るには、ヒアルロン酸の水溶液を容器に薄層状に分注
しなければならないが、ヒアルロン酸の水溶液は、pH
2.0〜3.0の範囲では非常に高粘度の液になってし
まい、薄層状に広げにくく好ましくない。また、pH
0.5より低い場合は、ヒアルロン酸ゲルシートが中和
時に著しく膨潤するため、好ましくない。
【0017】ヒアルロン酸の酸性水溶液を注入する容器
としては、ポリスチレン製等のプラスチック製でも、ア
ルミ製等の金属製でもよい。
【0018】凍結は、任意の容器に入れた後、−30℃
以上−10℃以下の温度で凍結させる。−30℃より低
い凍結温度ではゲル化の進行が遅く、時間がかなり長く
必要になってしまうため、好ましくない。また、−5℃
より高い温度では溶液が凍結しない場合があり好ましく
ない。
【0019】凍結は、容器の底面から凍結する方法、も
しくは空冷方式の凍結のいずれの方法によってもよい。
【0020】中和時に破れてしまわないような十分な強
度のある状態のヒアルロン酸単独のゲルシートを得るに
は、凍結は2日以上行う必要がある。つまり、凍結時間
を長くすればするほど、洗浄中和時に破れにくい強いゲ
ルシートを得ることができる。特に、用いるヒアルロン
酸の分子量が低い場合には、長い凍結期間が必要である
【0021】本発明に用いられるヒアルロン酸の分子量
は、5×105 ダルトン以上のものが好ましい。1×1
5 ダルトン以上であればヒアルロン酸はゲル化する
が、5×105 ダルトンより小さい場合はシート強度が
弱いために実用的なシートを得ることは難しい。また、
上記範囲内の分子量をもつものであれば、より高分子量
のものから、加水分解処理等をして得た低分子量のもの
でも同様に好ましく使用できる。なお、本発明にいうヒ
アルロン酸は、そのアルカリ金属塩、例えば、ナトリウ
ム、カリウム、リチウムの塩をも包含する概念で使用さ
れる。
【0022】凍結後、解凍させる操作を行う。解凍の温
度と時間は、容器の大きさ、水溶液量によりヒアルロン
酸の酸性水溶液が解凍する温度と時間の範囲内で適宜決
められるが、ヒアルロン酸単独のゲルシート製造におい
ては0℃以上の解凍温度が好ましい。また、50℃を越
える温度で解凍するとヒアルロン酸の分解が顕著に起こ
るため、好ましくない。
【0023】ヒアルロン酸の調整された酸性溶液の凍結
解凍により得られたヒアルロン酸単独のゲルは、ヒアル
ロン酸の酸加水分解を避けるために、酸性に調整するた
めに用いた酸等の成分を除く必要がある。酸等の成分を
除くためには、通常は水性溶媒によって洗浄する。ヒア
ルロン酸ゲルの機能を損なわないものであれば特に制限
はないが、例えば、蒸留水、生理食塩水等が用いられ
る。また、以下に示す中性の緩衝液等による中和処理に
より洗浄を兼ねることができる。また、洗浄方法は、特
に制限はないが、通常は、バッチ法にて通液する方法等
が用いられる。これらの洗浄条件は、洗浄液量、回数等
を含めて、除きたい成分を目標の濃度以下にできる条件
であればよい。
【0024】酸等の成分を除去したのち、中和を行う。
中和とは、ヒアルロン酸をそのアルカリ金属塩、例え
ば、ナトリウム、カリウム、リチウムの塩とするための
処理をいう。この中和処理を行わずに、凍結乾燥等を行
うと、凍結乾燥等によりヒアルロン酸が顕著に低分子化
してしまい、実用的な強度を持つシートは得られない。
中和液は、ヒアルロン酸ゲルの機能を損なわないもので
あれば特に制限はないが、例えば、中性のリン酸緩衝液
等が用いられる。また、中和方法は、特に制限はない
が、通常は、バッチ法にて通液する方法等が用いられ
る。これらの中和条件は、中和液量、回数等を含めて、
中和したい成分を中和できる条件であればよい。中和液
にて処理したのち、必要に応じて中和処理後のシートを
再度洗浄することにより、余分な中和液成分を除去す
る。上述のように、洗浄中和処理を分けて行わず、リン
酸緩衝液等で処理することにより、洗浄中和を一度に行
うことも可能である。
【0025】この中和されたヒアルロン酸単独のゲルシ
ートは、凍結乾燥、加熱乾燥、あるいは減圧乾燥等の処
理を経てシート状医用材料として供される。また、凍結
乾燥や加熱乾燥等の乾燥を行う際に、ヒアルロン酸の水
溶液を添加して乾燥することもできる。
【0026】凍結乾燥、あるいは減圧乾燥処理をしたシ
ートをプレスすることにより、より薄いシートを得るこ
ともできる。
【0027】本発明で得られたシートは、一般の生体内
分解性医用材料及びヒアルロン酸が用いられる分野であ
れば特に制限なく使用することができる。例えば、癒着
防止材、創傷被覆材、薬理活性物質の担体、人工皮膚、
組織置換型生体組織修復剤、止血剤、診断・治療に用い
る医療器具・医療用具等の生物医学的製品又は医薬組成
物への使用が挙げられる。
【0028】特に、癒着防止材として有用である。癒着
防止材としては、シート状として外科手術部位に直接貼
付するのが好ましい。または、腹腔鏡で手術部位に塗布
するのが好ましい。さらに、ヒアルロン酸の調整された
酸性溶液に生理活性物質を混合した後に凍結解凍を行う
ことにより、生理活性物質を包含したヒアルロン酸単独
のゲルの癒着防止材を得ることも可能である。ヒアルロ
ン酸単独のゲルシートの癒着防止材は、癒着が生じるい
かなる動物にも適用でき、哺乳動物、特に人間に於いて
好適に手術後の癒着を防止することができる。生体内の
投与場所は腹腔、胸腔内の各種臓器、腱鞘、頭蓋、神
経、及び眼球、等に係わる、腹部手術、婦人科手術、胸
部手術、腱や靭帯に係わる整形外科手術、硬膜に係わる
神経外科手術、等どこでも有用である。
【0029】本発明で得られたシート癒着防止材の投与
時期は、術後の癒着を防止できるどの時期でも良く、手
術中又は手術終了時に投与できるが、特に手術終了の直
前に投与するのが好ましい。
【0030】また、本発明により製造されたヒアルロン
酸単独のゲルシートは、創傷被覆材としても有用であ
る。本発明により製造されたヒアルロン酸単独のゲルシ
ートは、創傷被覆材として理想的な生体適合性、貯留性
を有することがわかった。臨床における適用範囲は、外
傷による組織断裂・欠損、熱傷創等の形成外科分野の創
傷等が想定される。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
する。なお、本発明はこれにより限定されるものではな
い。
【0032】実施例1 各種、表1の条件でヒアルロン酸単独のゲルの製造法の
実験を行った。各実験で得られたシートを、形成の可
否、外観、操作性、難溶解性、及び強度の面から評価し
た結果を表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】 (評価法) シート形成:形成良好/◎、形成/○、形成不良/△、形成せず/× 外観 :均一で良好/◎、良好/○、一部不良/△、不良/× 操作性 :良好/◎、一部不良/○、難/△、困難/× 強度 :高(シート取り扱い良好)/◎、中(シート取り扱い可能)/○、 低(シート取り扱い不良)/△、極低(シート取り扱い困難)/× 難溶解性:高/◎、中/○、低/△、易溶解/×
【0036】表2に示す通り、実施例1〜6、16〜1
9で得られるシートは、難溶解性で取り扱いが可能な強
度を有する。尚、表1において、例として実験No.
1、No.3、及びNo.7の具体的な操作を示す。
【0037】実験No.1 分子量が2×106 ダルトンのヒアルロン酸ナトリウム
を蒸留水に溶解し、1重量%のヒアルロン酸の水溶液を
調整した。調整されたヒアルロン酸の水溶液のpHは、
6.0であった。この水溶液のpHを、1N塩酸でpH
1.5に調整した。ヒアルロン酸の酸性水溶液8mlを
9センチ角のプラスチックシャーレ(ポリスチレン製)
に入れ、底面冷却式の冷凍庫に入れた。室温から−20
℃に1時間かけて冷却した後、5日間放置した後、25
℃で解凍した。次いで、蒸留水15mlにて、シャーレ
上にできたヒアルロン酸ゲルを洗浄した。更に、pH
7.4の50mMリン酸緩衝液15mlをシャーレに注
ぎ10分間静置した。中和液を捨て、蒸留水15mlに
て再洗浄した。得られた湿潤状態のシートを凍結乾燥し
た。その結果、ヒアルロン酸のゲルシートが得られた。
【0038】実験No.3 実験No.1に於いて、ヒアルロン酸濃度を0.5重量
%にしてヒアルロン酸の水溶液を調整した。また、ヒア
ルロン酸水溶液のpHを、1N硝酸でpH1.0に調整
した。そして、実験No.1と同様の操作を行った。そ
の結果、ヒアルロン酸ゲルシートが得られた。
【0039】実験No.7 実験No.1に於いて、ヒアルロン酸の水溶液のpHを
調整せずに、−20℃にて凍結し、解凍した。その結
果、ヒアルロン酸の水溶液の変化は起こらなかった。そ
の状態のまま凍結乾燥することによりヒアルロン酸から
なるシートを得た。
【0040】シートの溶解性試験(難溶解性) 生理的食塩水に50mM濃度でリン酸緩衝成分を加え、
pH7のリン酸緩衝生理的食塩水を調整した。乾燥重量
で50mgのヒアルロン酸シートを、50mlのリン酸
緩衝生理的食塩水に浸漬し緩やかに撹拌した。37℃で
リン酸緩衝生理的食塩水中に溶出するヒアルロン酸の割
合を、リン酸緩衝生理的食塩水中のヒアルロン酸濃度か
ら求めた。 ヒアルロン酸濃度の測定 リン酸緩衝生理的食塩水中のヒアルロン酸の濃度は、G
PCを使って、示差屈折率検出器のピーク面積から求め
た。難溶解性は、37℃、12時間後のヒアルロン酸溶
解率で評価し、以下の判定を行った。 高 :10%未満 中 :10%以上、30%未満 低 :30%以上、50%以下 易溶解 :50%を越える
【0041】実施例2 ヒアルロン酸単独のゲルシートのマウス子宮モデルによ
る癒着防止効果試験実験No.1で得られたヒアルロン
酸単独のゲルシートを、1cm×2cmの長方形に裁断
したもの、同様に実験No.3で得られたヒアルロン酸
単独のゲルシート、コントロールとして、実験No.7
で得られたシート状ヒアルロン酸を1cm×2cmの長
方形に裁断したものを以下の試験に供した。
【0042】7週令雌ICRマウス(体重25〜30
g)を腹腔内ペントバルビタール注射で麻酔後正中切開
にて開腹し、子宮角に約10mmの長さでヨードチンキ
擦過塗布により損傷を加えた。各群10匹のマウスにコ
ントロールとして無処置及び、それぞれ上記のヒアルロ
ン酸単独のゲルシート状等を損傷部位に巻き付けた。そ
していずれの場合も5−0デキソンにて閉腹した。
【0043】術後10日目に、無処置、ヒアルロン酸単
独のゲルシート、ヒアルロン酸シート群各10匹を頚椎
脱臼致死後、腹部を再開腹し、癒着形成の有無を判定し
た。癒着形成は、膜状のごく軽度の癒着は癒着と判定せ
ず、繊維状で厚く、ピンセットで引っぱても容易に引き
剥がれない強い癒着を生じた場合を癒着と判定した。
【0044】無処置で癒着の形成割合が10匹中9匹の
時、実験No.7の単にヒアルロン酸をシート状に成形
したものが、10匹中8匹なのに比較して、実験No.
1のヒアルロン酸単独のゲルシートでは10匹中1匹、
及び実験No.3で得られたヒアルロン酸単独のゲルシ
ートでは10匹中0匹と優れた癒着防止作用があること
が示唆された。
【0045】実施例3 ヒアルロン酸単独のゲルシートのラット皮膚欠損モデル
による創傷治癒効果試験 実験No.1で得られたヒアルロン酸単独のゲルシート
を、3cm×3cmに裁断したもの、同様に実験No.
3で得られたヒアルロン酸単独のゲルシート、コントロ
ールとして、実験No.7で得られたシート状ヒアルロ
ン酸を3cm×3cmに裁断したものを以下の試験に供
した。
【0046】7週令(体重約210g)のウイスター
系、雄性ラットの背部の毛を刈り、エーテル麻酔下で眼
科用ハサミを用いて背部皮膚部分を直径2cmの円上に
取り除き、完全皮膚欠損創を作製した。医療用不織布ガ
ーゼ(40×40mm:2枚重ね)のみを適用した無処
置群、実験No.1、実験No.3、実験No.7で作
製した上記シートを創面に被覆後、医療用布織布ガーゼ
(40×40mm:2枚重ね)を適用した処置群を設定
した。各群6匹のラットを用いた。医療用不織布ガーゼ
は粘着包帯で固定し、更にテーピングテープで固定し
た。創傷効果は、創面積の経時変化を測定することで比
較した。すなわち、初期創面の面積に対する面積比を次
の式によって求め、その経時変化を調べた。結果を表3
に示す。 面積比(%)={(観察日の創面の長径×短径)/(初
期創面の長径×短径)}×100
【0047】
【表3】
【0048】表3に示す通り、ヒアルロン酸単独のゲル
シートにラット皮膚欠損モデルに対する創傷治癒効果が
確認された。
【発明の効果】以上、本発明によれば、医用材料とし
て、特に癒着防止材、創傷被覆材として好適な生体内貯
留性を有する成形物、特にシートを製造することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新井 一彦 東京都町田市旭町3丁目5番1号 電気化 学工業株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4C090 AA03 AA07 AA09 BA67 BD24 CA04 CA32 DA10 DA22

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒアルロン酸の酸性水溶液を凍結し、次
    いで解凍した後、得られたヒアルロン酸単独のゲルから
    なる成形物の製造方法。
  2. 【請求項2】 凍結時間が2日以上であることを特徴と
    する請求項1記載の成形物の製造方法。
  3. 【請求項3】 凍結温度が−30℃〜−10℃であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の成形物の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 ヒアルロン酸の酸性水溶液のpHが0.
    5〜2.0であることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の成形物の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の成
    形物の製造方法で得られたシート状ヒアルロン酸成形
    物。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のシート状ヒアルロン酸成
    形物を含有することを特徴とする医用材料。
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