JP2000184593A - 送電線事故原因判別方法 - Google Patents
送電線事故原因判別方法Info
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Abstract
かつ正確に送電線の事故原因を判別することができる送
電線事故原因判別方法を提供することにある。 【解決手段】 送電線事故原因が既知の過去の事故状況
データを定量化する。この際、定性的表現の事故状況デ
ータに対しても定量化を行う。次に、該定量化された事
故状況データからパターン認識を用いて各事故原因の特
徴を抽出する。続いて、事故原因が未知の事故状況デー
タを定量化し、パターン認識を用いて該定量化された事
故状況データを、予め抽出した前記各事故原因の特徴に
照らして、最も類似度の大きい事故原因を求める。そし
て、この求められた最も類似度の大きい事故原因を事故
原因と判定する。
Description
別方法に関し、特に人間の判断によらずとも、送電線の
事故原因を、正確かつ容易に判定することのできる送電
線事故原因判別方法に関する。
で、非常巡視に多くの労力が費やされている。送電線事
故を迅速に復旧し、非常巡視の労力を軽減するために
は、巡視を効率的に行う必要があり、その事前情報とし
て事故原因の推定は非常に重要である。
天候、時刻、地域性をもとに、運用者が事故原因の判別
を行っているが、的確な事故原因判別を行うためには、
十分な経験を要する。しかし、近年、送電線の信頼性が
向上してきたのに伴い、送電線事故が減少し、運用者が
事故推定の経験をする機会が少なくなってきている。こ
のため、人間系により事故原因を判別することは、困難
な状況となっている。また、送電線事故原因判別方式を
機械化・自動化する試みがなされているが、その試みの
原理は、事故時の電圧・電流波形に基づく方式が主であ
り、未だに研究段階と考えられる。
の正確さは、運用者の経験に大きく依存している。この
ため、運用者の業務経歴や年齢などで、事故原因の判別
の正確さが異なるものとなるばかりでなく、未経験者が
原因を判別することは極めて困難であるという問題があ
る。しかも、人間の経験による事故原因の判別は、必ず
しも正確ではないため、事故原因の判別に関しては人間
の経験のみに頼る事はできない。
式の開発は、事故時の電圧・電流波形を用いた方式が主
であり、その方式は、波形データの不足や方式の有効性
の確認などで行う模擬事故実験の困難性が課題となって
いる。
を除去し、人間の経験あるいは判断によらずに、早期に
かつ正確に送電線の事故原因を判別することができる送
電線事故原因判別方法を提供することにある。また、他
の目的は、有効性の確認を容易に行える送電線事故原因
判別方法を提供することにある。
ために、本発明は、送電線で発生する事故原因を判定す
る送電線事故原因判別方法において、送電線事故原因が
既知の過去の事故状況データを定量化し、該定量化され
た事故状況データからパターン認識を用いて各事故原因
の特徴を抽出し、事故原因が未知の事故状況データを定
量化し、パターン認識を用いて該定量化された事故状況
データを予め抽出した前記各事故原因の特徴に照らし
て、最も類似度の大きい事故原因を求め、求められた該
最も類似度の大きい事故原因を事故原因と判定するよう
にした点に第1の特徴がある。
プ関数で表現するようにした点に第2の特徴がある。
ーン認識を用いて、事故発生時の状況データから、事故
原因を究明できるので、人間の経験あるいは判断によら
ずに、早期にかつ正確に事故原因を突き止めることが可
能となる。また、前記第2の特徴によれば、前記事故状
況データの定性表現の定量化において、季節(四季)な
どの境が明確でないデータ項目に対しては、その境を曖
昧に表現できるファジー理論のメンバーシップ関数を適
用することで、事故原因探索の正確性を向上することが
できる。
を詳細に説明する。図1は、本発明が適用されるコンピ
ュータの概略のハード構成を示すブロック図である。
を制御する中央演算処理装置(CPU)、2は該コンピ
ュータの制御プログラム、該制御に必要なデータ、パラ
メータ等を格納するリードオンリーメモリ(ROM)、
3は処理に必要な作業領域となったり、必要なデータ、
パラメータ等を格納するランダムアクセスメモリ(RA
M)、4はテンキー、各種の機能キー、ポインティング
デバイス等を含む入力装置、5はCRT等からなる表示
装置、6は他のコンピュータまた計測装置などの媒体と
情報のやり取りを行う通信装置、7はハードディスクで
ある。
データから、パターン認識の方法により抽出された各事
故原因の特徴は、プログラムやその演算に使用されるデ
ータに反映されている。そこで、何らかの事故が発生す
ると、前記通信装置6、及び必要であるなら入力装置4
から事故原因の判別に用いる状況データが、前記RAM
3またはハードディスク7に取り込まれる。取り込まれ
た事故状況データは、予め格納されている前記各事故原
因の特徴を利用して事故原因が判別される。
事故原因判別方法に関するものであり、事故原因が既知
である事故状況データからの特徴の抽出手順と、実運用
時の事故原因が未知である事故状況データからの事故原
因判別手順とからなる。ここではパターン認識手法とし
て、最小平均2乗誤差基準のもとで最適な直交展開とな
る部分空間類別法の一手法であるCLAFIC(CLAss-F
eaturing Information Compression)法を適用する。な
お、該CLAFIC法に限定されず、他の種々のパター
ン認識手法も送電線事故原因判別に適用可能である。
事故報告書から、判別に使用可能な事故状況データ項目
と判別すべき事故原因とを選定する。この選定した事故
状況データ項目にはパターン認識に適用できない「天
候」などの定性的な表現のものが含まれているため、こ
れを定量化する。以下に、該定量化の方法を示し、定量
化された事故状況データからの事故原因の特徴の抽出の
方法を説明する。
の使用時には得られない巡視での情報も含んでいるの
で、その情報は除去する。図2に、事故直後の事故判別
に用いることが可能な事故状況データ項目を示す。以下
では、図2に選定された10項目のみを情報源とした事
故原因判別方法の構築を検討して行くこととする。
易に推定可能な事故原因「雷」「風雨」などを除いた、
運用者に対して判別の必要な事故原因を送電線事故報告
書で分類されている原因より選定する。事故原因として
選定される条件は、下記の(1) 〜(5) である。 (1) 警報や天候、環境条件より、容易に判別できる原因
は省く。 (2) 「その他」「不明」は省く。 (3) 非常にまれな原因は省く。 (4) 運用者の判別が困難な原因である。 (5) 特に、早急な対応を要する原因である。 前記の事故原因選定条件により選定された事故原因を図
3に示す。
判別する。パターン認識は、統計的解析に基礎を置くた
め、定量的表現での取扱が必要になる。図4に選定した
事故状況のデータの表現が定量的か定性的かを示す。こ
のように事故状況データ項目には、そのままの表現では
パターン認識に適用できない多くの定性的表現のデータ
が含まれている。
休日」「天候」「地域」「動作リレー」「支障回線」
「試送電の結果」「送電線路種別」「中性点接地方式」
の各データ項目は、パターン認識を適用するために、各
々のデータのもつ意味合いを考慮して定量的表現に変換
する必要がある。
は、事故原因に依存する作業などの活動状況を表現する
必要がある。通常と生活形態や活動状況が異なるのは休
日である。休日は、日曜・祝祭日・振り替え休日を主と
する。更に、一般的な生活形態から、正月3ケ日とお盆
3ケ日をも含む事とする。土曜日は過去の事故データの
場合などには、休日に属するといいがたいため、平日と
の中間に土曜という区分を設ける。活動状況の連続性を
考慮して、休日・土曜・平日の順番に定量化を行い、こ
れらを、整理して、図5に示す。
る。図6の番号2の「強風」以外は、状況の連続性が存
在する。そこで、「強風」は別情報として取り扱うこと
とする。「強風」以外は、状況の連続性を考慮した定量
化を行い、「強風」は状況の有無により定量化を行う。
天候の定量的表現の一例を図7に示す。
うに九州電力の事故発生支店での表現である。図8の北
九州と福岡とを一つとして、九州7県の位置・配置情報
を生かした定量化を図9に示す。
県の最も多くを含む枠の縦・横の数値で、その県を表現
するようにしている。このようにして、定量化を行った
結果を図10に示す。
いて図11のように表現されている。ここで、図11の
情報において、断線などの番号3から6は、事故原因判
別を行う必要のある事故直後には得る事はできず巡視な
どにより得られるため、判別システム運用時は使用でき
ない。情報として得られるのは、リレーの動作状況のみ
である。これを、考慮して定量化を行い、あわせて図1
1に示す。
において、被害の有り無しは、事故直後の判別システム
の運用時に情報として得ることはできない。得られるの
は停電の情報のみであるため、送電線事故報告書の記載
内容と停電の定量化表現を図12に示す。
試送電を実施したのかと、その結果はどうなのかという
二つの情報を含んでいる。支障回線の内容を考慮して、
「実施」と「結果」の2項目に分類し、各々を図13の
ように定量化表現する。
路状況種別)は、「架空」、「地中」、「水底(海
底)」の異なる組み合わせによる分類となっている。つ
まり、前記の3種別は独立の情報であり、「架空」であ
れば「地中」は存在しないなどの相関はない。また、
「水底(海底)」の出現頻度は非常に少ないため、地中
に含めることとする。その2種別の独立情報を有り無し
で定量化して図14に示す。もちろん、「水底」を別情
報とした定量化も可能である。
(線路状況接地種別)は、「非接地」「直接接地」、お
よび「抵抗接地」、「PC接地」、「PC+抵抗接地」
などがあり図15のように定量表現を行う。全て「0」
の場合が、非接地である。なお、図15の補償リアクト
ルは単独での接地形態ではなく、抵抗接地とのみ組合わ
せて用いられる。
定量化を行った。それらを整理した定量的表現の事故状
況データを図16に示す。定量化により、一つの送電線
事故は、21項目の事故状況データから表現されること
となる。
一例として実際に発生した事故原因「作業者の過失」の
事故状況データを定量化する過程を図17に示す。この
定量化により、パターン認識の適用が可能となった。
6年から1995年までの事故原因が既知である事故状
況データを、該当事故毎で定量化を行う。一例として事
故原因「作業者の過失」の数値化された事故状況データ
を図18に示す。このデータの一つの行が実際に発生し
た一つの送電線事故に対応しており、これらの数値の並
びを列ベクトルとしたものを、パターン認識による事故
原因判別ではパターンと呼ぶ。
説明するに際し、用語の定義を次のように行う。 パターン空間:事故の状況データ項目を各軸として張ら
れる多次元空間、 パターン:一つの事故データを示す。パターン空間で
は、その事故の状況データ項目の数値データの組で構成
される列ベクトル、 特徴空間:パターン空間の全軸または一部の軸の線形結
合により張られる部分空間であり、射影によって得られ
る判別に適した特徴軸により張られる空間、 次元数:空間を張る軸の数、 特徴抽出:パターン空間から判別に有効な情報をもつ特
徴空間を構成すること、 クラス:判別すべき各事故原
因をクラスと呼ぶ。ここでは、作業者過失・公衆過失・
無断伐採・鳥獣接触・樹木接触・他物接触を順にクラス
1・クラス2・クラス3・クラス4・クラス5・クラス
6とする。各クラスには同一事故の事故データのパター
ンが属する、 標本パターン:事故原因が既知である事故データのパタ
ーン、 未知パターン:事故原因が未知である判別(識別)すべ
きパターン、 基底ベクトル:ある空間を張る互いに直交した大きさ1
のベクトル、 ノルム:ある空間上の2点間のユークリッド距離、 次に、パターン認識理論検討の前準備として使用する記
号の意味と数学的な諸定義とを行う。 n:パターン空間の次元数、ここでは21、ただしメン
バーシップ関数でのデータ表現では28である。 l:特徴空間の次元数、 m:クラス数(事故原因の数であり、ここでは6)、 Ni :クラスiの標本パターンの数、 N=ΣNi :全標本パターンの数、 本発明の送電線事故原因判別方法では、n次元ユークリ
ッド空間Rn をパターン空間とし、空間上の原点を起
点とするベクトルをパターンとみなす。したがって、パ
ターンaは、n個の事故状況データ項目の数値データで
ある実数値α1,α2 ,…,αn の組みによって、α=
[α1,α2,α3,...., αn ]T の列べクトルとして表
される。ここで、αT はαの転置である。
知である場合、クラスiに属するj(≦Ni)番目の標本
パターンxij は、下式のように表す。 xij=[xij1,xij2,xij3,...,xijn ]T 特徴空間における標本パターンの表現はzijとして、下
式のように表す。
LAFIC法による、事故原因が既知のパターンからの
各事故原因の特徴の抽出を述べる。CLAFIC法で抽
出する各事故原因の特徴は、事故原因の部分空間への射
影行列である。部分空間類別法は線形特徴抽出とデータ
圧縮の考え方を発展させた方法である。各情報項目の組
みからなる列ベクトルのパターンの多くは、パターン空
間において比較的少数の主成分方向にそのエネルギーの
大半を集中しているので、各クラスに対してそれぞれ異
なる線形のデータ圧縮を行うことができる。このように
圧縮することにより、未知パターンの識別は、各クラス
の圧縮表現された特徴との比較だけでよく、複雑な識別
方法は必要でなくなる。また、部分空間類別法はパター
ンを表す列ベクトルのノルムの大きさには依存しない。
したがって、パターン空間を張る各軸の情報項目間の相
対的比率が識別にとって重要な特徴となる場合に有効で
ある。
クラスの主なエネルギーを含む(エントロピーが最大)
パターン空間の部分空間を張る基底ベクトルとその次元
数の導出が、クラスの特徴抽出である。したがって、各
クラスの部分空間が特徴空間と考えられ、その次元はク
ラスにより異なる。具体的に部分空間類別法の基本的手
法であるCLAFIC法にて、標本パターン(クラスが
既知)からの各クラスの基底ベクトルとその次元数、お
よび射影行列の導出をこれ以降に示す。
数lにクラスiのサフィックスを付加することでli と
表す。クラスiの部分空間は、部分空間の次元数である
li個の基底ベクトルの集合{ui1, ui2,..., uili
}により定義される。部分空間類別法はノルムに依存
しないため、正規化を行っていない標本パターンに対し
て適用することとする。
9の最小平均自乗規準の(1) 式で表される。ここで、E
()は期待値であり、xi はクラスiの標本パターンの
任意の列ベクトルである。この評価関数J(u) を最大に
する基底ベクトルuを決定する。この評価関数を最大と
するuを決定する事は、ラグランジェの未定乗数法を用
いて、各クラスにて図19の(2) 式のΓ(u) の最大値問
題を解くことである。ここでuiはクラスiの基底ベク
トルである。この最大値問題を解くために、図19の
(3) 式のように、Qxi=E(xi xi T )とおく。行
列Qxiはクラスiの相関行列である。Qxiは平均ベクト
ルを差し引いていない事に注意を要する。
スiのk番目の基底ベクトルuikに対して、前記(2) 式
の変分をとることで、図19の(4) 式となる。これによ
り、uikはクラスiの相関行列Qxiの固有ベクトルでな
ければならない。Qxiの第k固有値をλikとすれば、図
19の(5) 式が成立する。
の主要固有値に対する固有ベクトルを選択すればよい。
(4)式のuikがCLAFIC法のクラスiの部分空間の
k番目の基底ベクトルである。
は、部分空間の持つエネルギーを均一化するために、忠
実度と呼ばれる閾値κにより、図19の(6) 式のように
行う。これにより、クラスi(i=1,・・・,6)の部分空
間の次元数li と基底ベクトルとが導出された。
には導出した基底ベクトルを用いて、入力された未知バ
ターンxu の属するクラスを決定する。この場合には、
各クラスの部分空間への未知パターンの射影を行い、そ
の射影値の大きさにて判別を行うのであるが、クラスi
ヘの射影に用いる次の射影行列Pxiを予め、図19の
(7) 式により導出しておく。この射影行列Pxiが、CL
AFIC法における各クラスつまり各事故原因の特徴で
ある。
て部分空間を設定する場合、前記(3) 式の期待値E(x
i xi T )をとる必要があるが、近似的に、クラスi
の相関行列Qxiは、図19の(8) 式と置く。
者過失」の1番目の標本パターンx11は、図16に示す
21次元の列ベクトル(9) 式(図19参照)であり、図
18のクラス1「作業者過失」の各標本パターンを用い
て、(8) 式のQx1を計算する。その結果を図21に示
す。各クラスに対しても同様にQx2,..., Qx6を計算す
る。
(4),(5) 式から相関行列のもつ大きな固有値順に、それ
に対応した固有ベクトルを用いればよいため、既知の計
算方法(例えば、「パターン認識と部分空間法」、昭和
61年4月22日、産業図書株式会社発行、著者エルッ
キ・オヤ、第31〜33頁参照)により、固有値および
固有ベクトルは導出できる。相関行列Qxiは、(9) 式に
一例として示される、xijが図16のような21次元の
列ベクトルのため、21×21次元の行列となり、クラ
スiの標本パターン数Ni が21よりも大きいという制
約のもとに、21個の固有ベクトルをもつ。用いる固有
ベクトルの数つまり部分空間の次元数liは前記(6) 式
により決定する。ここでの忠実度と呼ばれる閾値κは
0.9999である。
に対応した固有ベクトルを図22に示す。この次元数l
i は、κが0.9999にて7である。図22の最大
(第一)固有値から第七固有値に対応する七つの固有ベ
クトルがクラス1「作業過失」の基底ベクトルとなり、
これらの基底ベクトルで張られる空間がクラス1の部分
空間である。
の基底ベクトルで張られる部分空間への射影行列Px1
は前記(7) 式で計算される。その結果を図23に示す。
このように、蓄積された送電線事故報告書を基礎にし
て、判別すべき事故原因と判別に用いる事故状況データ
項目とを選定した後、事故原因が既知の蓄積された事故
状況データから、各事故原因の特徴である射影行列を導
出した。
に相関行列から射影行列までを示したが、他のクラスつ
まり他の事故原因に対しても、同様に射影行列を導出す
る。導出した各クラスつまり各事故原因の射影行列(例
えば図23)は、図1のROM2、RAM3またはハー
ドディスク7に格納され、事故原因の判別時に使用され
る。
いた、本発明の送電線事故原因判別方法の一実施形態を
詳細に説明する。図24は、本実施形態の基本構成を示
すフローチャートである。
と、該送電線事故に関する情報の取り込みが行われる。
例えば、事故発生年月日、時刻、天候、地域、電圧階
級、動作リレー、支障回線、試送電の結果、警戒警報発
令状況等の情報の取り込みが行われる。ステップS2で
は、警戒警報発令中か否かの判断がなされる。この判断
が肯定の場合には、ステップS3に進んで、警戒警報発
令中の事故原因を判別する動作が行われる。一方、前記
ステップS2の判断が否定の時には、ステップS4に進
んで、警戒警報発令なしの事故原因を判別する動作が行
われる。
体例を、図25を参照して詳細に説明する。ステップS
11では、雷警戒運転発令中か否かの判断がなされ、該
判断が肯定の時にはステップS12に進んで、雷撃事故
が原因であると判断する。ステップSllの判断が否定
の時にはステップS13に進んで、台風警戒発令中か否
かの判断がなされる。この判断が肯定の時にはステップ
S14に進んで、台風が事故の原因であると判定する。
次に、ステップS13の判断が否定の時には、ステップ
S15に進んで、暴風雪波浪警報発令中であるか否かの
判断がなされる。
進んで、風雪害が事故の原因であると判定する。該ステ
ップS15の判断が否定の時には、警戒警報発令なしの
事故と判断してステップS2の処理は終了し、図24の
ステップS4に進む。以上のように、警戒警報発令中の
場合に送電線事故が発生した時は、ほとんどの場合、該
警戒警報の種類に起因する事故であるので、前記の手順
で事故原因を判定する。
令無しの場合の事故判別処理の概要を示すフローチャー
トである。ステップS21において、入カデータの形式
により定量化されていない事故状況データ項目は、図1
6により定量化の処理がなされる。その定量化により事
故原因の判別を行う送電線事故は、21個の数値の列で
ある未知パターン(列ベクトル)xu となる。ステップ
S22において、この未知パターンxu は、各クラスつ
まり各事故原因の部分空間への射影値が最も大きなクラ
スに属することとなる。つまり、クラスiの部分空間へ
の射影値ri (i=1,…、m)は、予め導出した射影
行列Pxi(i=1,…、m)を用いることで、図19の
(10)式として計算される。ステップS23において、計
算された各クラスつまり事故原因の部分空間への射影値
rui(i=1,…,m)の最も大きなクラスを事故原因
として、図19の(11)式のように判別する。つまり、最
大の射影値rui* のクラスi* に判別されるのであ
る。
を、ある事故の具体例を用いて、より詳細に説明する。
ータの具体例が下記の(1) 〜(11)のようであったとす
る。
日、(2) 時刻は1時3分、(3) 曜日は平日、(4) 天候は
曇り、(5) 地域は福岡、(6) 電圧階級は66kV、(7)
動作リレーは地絡リレー、(8) 支障回線は1回線中1回
線、(9) 試送電の結果は試送電を実施せず、(10)送電線
種別は地中、(11)中性点接地方式は抵抗接地。
前述した定量化方法(定量化概要は図16に示す)を用
いることにより、前述の事故状況データは(10)式の未知
パターンxu は、図20の(12)式となる。
され図1のROM2、RAM3または、ハードディスク
7に格納されている「作業者の過失」、「公衆の故意過
失」、「無断伐採」、「鳥獣接触」、「樹木接触」、
「その他の他物接触」の各射影行列Px1, Px2, Px3,
Px4, Px5, Px6を用いて、前記(10)式の射影値ru1,
ru2, ru3, ru4, ru5, ru6を計算する。「作業者の
過失」の射影行列Px1は、図23に示されている。ここ
で、「作業者の過失」、「公衆の故意過失」、「無断伐
採」、「鳥獣接触」、「樹木接触」、「その他の他物接
触」射影行列のk行l列要素をp1 kl, p2 kl, p
3 kl, p4 , p5 klとし、列ベクトルである未知
パターンxu のk行の要素をxk とすると、各事故原因
への未知パターンの射影値は具体的に、図20の(13)式
により計算される。
部分空間への射影値は、ru1=11972,ru2=11
968,ru3=11956,ru4=11966,ru5=
11965,ru6=11967となる。
に示すように、前記射影値ru1, ru2, ru3, ru4, r
u5, ru6の最大値を事故原因として判別する。また、射
影値は大きさ順に順序付けされる。
な「作業者過失」が事故原因として判別される。この判
別結果は、既知の事故原因と一致した。また、未知パタ
ーンの各事故原因の部分空間への射影値を該当する事故
原因とともに表示することで、射影値の大きさがほぼ等
しい場合など、各事故原因の判別の確実性を対比させ明
らかにする。
などの指標となるため重要である。しかし、例として示
した各射影値は上位3桁が同じ数値となり指標としずら
い。このような場合には、各射影値を、図20の(14)式
により正規化した射影値rsui(i=1,…、m)を指
標としてもよい。
m)は、rsu1=1.1912,rsu2=0.483
9,rsu3=−1.8182,rsu4=0.0627,
rsu5=−0.1254,rsu6=0.2508とな
り、より明確な指標となる。
果として、射影値または正規化された射影値と、それに
対応したクラスつまり事故原因が表示される。また、通
信装置6により伝送されることにより、送電線事故時の
非常巡視などに有効に活用される。
の607件の送電線事故を判別した結果を図27にパー
セントで示す。ここで、1位は判別が成功した確率であ
り2、3位は、その順位までに該当事故が含まれる確率
を示す。
する。この実施形態は、送電線事故原因の判別性能をよ
り向上させるようにした点に特徴がある。この実施形態
では、事故状況データ項目の「事故発生月日」と「事故
発生時間」のデータ表現方法に、ファジーのメンバーシ
ップ関数を用いる。前記の第1実施形態で使用した事故
状況データ項目の「事故発生月日」と「事故発生時間」
の数値データ表現において、12月と1月、23時と0
時は本来連続である表現とすべきであるが、数値的には
不連続な表現となっており、統計処理に十分には適さな
い。本実施形態では、この不具合を解決するためにファ
ジー理論のメンバーシップ関数をデータ表現に導入する
ことを提案する。
集合の分類とせずに、帰属があいまいな図28のメンバ
ーシップ関数を用いて表現する。事故状況データ項目
「事故発生月日」のデータ表現に関して、各軸の内容と
次元数とを選定後、各軸のメンバーシップ関数による表
現を決定する。
の活動状態に依存する部分が強い。1年を通じて、これ
らに影響を及ぼしているのは、四季の移り変わりである
ため、月日は春・夏・秋・冬の4次元(軸)に分類する
こととする。各軸の最大値は1である。
うにする。これらの4次元(軸)の各関数は四季の変化
を表現しており、かつ関数が重なる部分においては、そ
の和が1となるように設置した。
態系や人聞の活動状況に依存して決定する必要がある。
活動状態は、太陽の移動に依存しており、図29に示す
メンバーシップ関数の表現とする。同図のメンバーシッ
プ関数「早朝」「午前」「午後」「中夜」「深夜」を各
次元(軸)の5次元とする。中図と下図とは各1次元で
あり、中図は動植物の活動変化時間の「早朝・夕刻」を
考慮しており、下図は人間の活動状態の変化時間を考慮
している。したがって、時刻は7次元(軸)で構成され
る。各軸の最大値は1である。
ンバーシップ関数での表現により、「発生月日」は2次
元から4次元へ、「発生時刻」は2次元から7次元とな
り、送電線事故の表現は28次元となる。つまり、メン
バーシップ関数の導入により、パターンおよび射影行列
の次元数が21から28次元となるが、図1の形態や、
図24、25の変更はない。しかし、メンバーシップ関
数の計算のため、処理が、図26に追加となり、それを
図30に示す。もちろん、射影値を予め計算しておく処
理にもメンバーシップ関数の計算は追加される。
計算する次元数が21から28になることの相異はある
が、計算の仕方は図26と同等である。ここで、ステン
プS21のメンバーシップ関数の計算方法を具体的に説
明する。事故状況データ項目「発生月日」3月15日の
2数値データ3,15は、図28において3月15日の
横軸の目盛りにあわせたときの、「春」・「夏」・
「秋」・「冬」のメンバーシップ関数 (メンバーシップ
関数の最大値は1に設定されている) の各値により、4
数値データ0.6596,0,0,0.3404とな
る。また、事故状況データ項目「発生時刻」11時42
分の2数値データ11,42は、図29の11時42分
の目盛りにあわせて「早朝」・「午前」・「午後」・
「中夜」・「深夜」・「早朝・夕刻」・「変化時刻」の
メンバーシップ関数により7数値データ0,1.0,
0,0,0,0,0.4となる。
プ関数表現とした事故原因判別を図27と同様の198
4年から1995年の607件の送電線事故に対して行
い、その結果を図31に示す。図31の各数値はパーセ
ントである。
ップ関数で表現する事で、ほとんどの項の判別率が向上
しており、その有効性が確認できる。
は、本発明を具体例によって説明したが、本発明は該実
施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能で
ある。例えば、事故原因項目、事故状況データ項目の種
類、および定量化手法は前記した例に限定されず、種々
の変形が可能である。
によれば、文字認識や画像認識に用いられているパター
ン認識を送電線事故判別に適用し、該適用のため、「天
候」などの定性的事故状況データを定量化して、予め過
去の送電線事故報告書から事故原因の特徴を抽出してお
き、事故発生時にその特徴を利用して事故原因を判別す
るようにしたので、人間の経験あるいは判断によらず
に、早期にかつ正確に送電線の事故原因を判別すること
ができる。また、送電線事故時の効率的な非常巡視が可
能となり多くの労力を軽減できる。また、社会的な影響
が大きい送電線事故の早期復旧が可能となる。
経験で事故原因の判別を行っていたものを、運用者の経
験に関わらず、事故発生時の情報をコンピュータに入力
することだけで、コンピュータの画面上に自動的に事故
原因の判別結果を表すことができるようになる。また、
事故原因を突き止め復旧作業を迅速に行うことが可能と
なる。
成の概略を示すブロック図である。
説明図である。
である。
示す図である。
図である。
ある。
る。
る。
る。
の説明図である。
事故状況データの一例を示す図である。
を示す図である。
固有値と固有ベクトルの一例を示す図である。
一例を示す図である。
ーチャートである。
一具体例を示すフローチャートである。
要を示すフローチャートである。
一例を示す図である。
る。
図である。
要を示すフローチャートである。
の一例を示す図である。
5…表示装置、6…通信装置、7…ハードディスク。
Claims (10)
- 【請求項1】 送電線で発生する事故原因を判定する送
電線事故原因判別方法において、 送電線事故原因が既知の過去の事故状況データを定量化
し、 該定量化された事故状況データからパターン認識を用い
て各事故原因の特徴を抽出し、 事故原因が未知の事故状況データを定量化し、 パターン認識を用いて該定量化された事故状況データを
予め抽出した前記各事故原因の特徴に照らして、最も類
似度の大きい事故原因を求め、 求められた該最も類似度の大きい事故原因を事故原因と
判定するようにしたことを特徴とする送電線事故原因判
別方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の送電線事故原因判別方
法において、 前記各事故原因の特徴は、事故原因の特徴空間への射影
によって得られることを特徴とする送電線事故原因判別
方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載の送電線事故原因判別方
法において、 前記事故原因が未知の事故状況データを定量化すること
により、該事故状況データの数値の列である未知パター
ンxu を作り、 事故原因i(i=1,…,m)の特徴空間への射影値r
uiを、前記既知の過去の事故状況データから予め導出し
た各事故原因の特徴を表す射影行列Pxiを用いて、下式
により計算し、 該射影値ruiの最も大きな事故原因iを事故原因と判定
するようにしたことを特徴とする送電線事故原因判別方
法。 rui=xu T Pxixu - 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の送
電線事故原因判別方法において、 前記事故状況データは、天候状況に関するデータ、時間
に関するデータ、回線の状況に関するデータ、および地
域の状況に関するデータを含むことを特徴とする送電線
事故原因判別方法。 - 【請求項5】 請求項4に記載の送電線事故原因判別方
法において、 前記時間に関するデータは、事故発生年月日、事故発生
時刻、および平日・土曜・休日の少なくとも一つを含む
ことを特徴とする送電線事故原因判別方法。 - 【請求項6】 請求項4に記載の送電線事故原因判別方
法において、 前記回線の状況に関するデータは、電圧階級、動作リレ
ー、支障回線、試送電の結果、送電線路種別、および中
性点接地方式の少なくとも一つを含むことを特徴とする
送電線事故原因判別方法。 - 【請求項7】 請求項1ないし3のいずれかに記載の送
電線事故原因判別方法において、 前記事故原因は、作業者の過失、公衆の故意・過失、無
断伐採、鳥獣接触、樹木接触、およびその他の他物接触
の少なくとも一つを含むことを特徴とする送電線事故原
因判別方法。 - 【請求項8】 請求項1、4、5および6のいずれかに
記載の送電線事故原因判別方法において、 前記事故状況データをメンバーシップ関数で表現したこ
とを特徴とする送電線事故原因判別方法。 - 【請求項9】 請求項1に記載の送電線事故原因判別方
法において、 前記パターン認識に判別分析法を用いたことを特徴とす
る送電線事故原因判別方法。 - 【請求項10】 請求項1に記載の送電線事故原因判別
方法において、 前記パターン認識に部分空間類別法を用いたことを特徴
とする送電線事故原因判別方法。
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---|---|---|---|---|
JP2007166848A (ja) * | 2005-12-16 | 2007-06-28 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 配電線事故原因究明分析支援システム |
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JP2012230703A (ja) * | 2012-07-19 | 2012-11-22 | Hitachi Ltd | 異常検知方法及びシステム |
KR101235869B1 (ko) | 2008-10-01 | 2013-02-28 | 현대중공업 주식회사 | 송전선로 시스템의 고장예측을 위한 고장확률 연산방법 |
-
1998
- 1998-12-17 JP JP35949098A patent/JP4162067B2/ja not_active Expired - Fee Related
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