JP2000174097A - パネル吸着装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸着すべき被吸着物に多少の傾きが生じてい
ても、その被吸着物を確実に吸着できるようにする。 【解決手段】 板状の被吸着物に対応して平面状に形成
された吸着面１と、この吸着面１に設けられた吸引孔３
と、この吸引孔３とは別に前記吸着面１から被吸着物側
に突出するように設けられ、かつ、弾性を有した部材に
よって前記被吸着物側に開口２ａを有する中空円錐形に
形成された吸着パッド２と、前記被吸着物の吸着に際し
前記吸着パッド２内の空間を減圧した後に前記吸引孔１
内の空間を減圧する吸引手段とを備えて、パネル吸着装
置を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、板状の被吸着物を
吸着保持するためのパネル吸着装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、板状の被吸着物を吸着保持するパ
ネル吸着装置としては、例えばＬＣＤ（Liquid Crystal
Display）パネルの製造工程において用いられるものが
ある。すなわち、ＬＣＤパネルの製造工程の自動化に対
応して生産効率の向上を図るべく、図３に示すように、
ハンドリングロボットの先端部等に支持される吸着ヘッ
ド１１でＬＣＤパネル１２を吸着保持することにより、
そのＬＣＤパネル１２の収納トレイ１３からの個別取り
出しおよび所望箇所への移動等を可能にしたものがあ
る。

【０００３】このようなパネル吸着装置では、図４に示
すように、吸着ヘッド１１の下面をＬＣＤパネル１２の
上面に当接させた状態で、その下面に設けられた吸引孔
１１ａに接続する吸引ポンプ等（ただし不図示）を動作
させることにより、吸引孔１１ａ内の空間を減圧して、
吸着ヘッド１１の下面にＬＣＤパネル１２を吸着保持さ
せるようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のパネル吸着装置では、以下に述べる理由によ
り、吸着ヘッド１１がＬＣＤパネル１２を確実に吸着で
きない可能性がある。

【０００５】例えば、吸着ヘッド１１下面とＬＣＤパネ
ル１２上面との間が、そのＬＣＤパネル１２を収納して
いる収納トレイ１３の傾きやその収納トレイ１３内にお
けるＬＣＤパネル１２の収納状態等の影響によって、互
いに平行でない場合には、吸着ヘッド１１下面をＬＣＤ
パネル１２上面に当接させても、これらの間に隙間が生
じてしまうことになる。したがって、この状態で吸引ポ
ンプ等を動作させてもリークが発生するため、吸引孔１
１ａ内の空間が十分に減圧されず、ＬＣＤパネル１２の
吸着ミスが発生する可能性がある。

【０００６】また、このような現象の発生を防ぐべく、
吸着ヘッド１１下面をＬＣＤパネル１２上面の傾きに合
わせ込むことも考えられるが、この場合には、トレイ１
３の傾きやＬＣＤパネル１２ごとの収納状態といったバ
ラツキに対応することができなくなってしまう。つま
り、ＬＣＤパネル１２側の傾きにバラツキが生じていて
も、これを吸着ヘッド１１側で吸収することができない
ため、結果としてＬＣＤパネル１２の吸着ミスを完全に
防ぐことはできない。

【０００７】そこで、本発明は、吸着保持すべき被吸着
物に多少の傾きが生じていても、その被吸着物を確実に
吸着することのできるパネル吸着装置を提供することを
目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために案出されたパネル吸着装置で、板状の被吸
着物に対応して平面状に形成された吸着面と、前記吸着
面に設けられた吸引孔と、前記吸引孔とは別に前記吸着
面から被吸着物側に突出するように設けられ、かつ、弾
性を有した部材によって前記被吸着物側に開口を有する
中空円錐形に形成された吸着パッドと、前記被吸着物の
吸着に際し前記吸着パッド内の空間を減圧した後に前記
吸引孔内の空間を減圧する吸引手段とを備えることを特
徴とするものである。

【０００９】上記構成のパネル吸着装置によれば、被吸
着物を吸着する際には、吸着パッドが吸着面から突出し
ているため、先ず、吸着パッドが被吸着物に当接する。
このとき、吸着パッドは、弾性を有した部材によって形
成されているので、被吸着物に傾きが生じていても、こ
れに追従して被吸着物側の開口が封止される。吸着パッ
ドの開口が被吸着物に封止されると、ここで、吸引手段
は、吸着パッド内の空間を減圧する。このとき、吸着パ
ッドは、弾性を有した部材によって中空円錐形に形成さ
れているので、吸引手段の減圧によって、被吸着物を吸
着保持した状態のまま、吸着面からの突出部分が吸着面
側に収縮変形する。すなわち、吸引手段の減圧によっ
て、吸着パッドに吸着された被吸着物が、吸着面に当接
することとなる。したがって、その後に吸引手段が吸引
孔内の空間を減圧すれば、その被吸着物は、吸着面に吸
着保持されることになる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明に係わ
るパネル吸着装置について説明する。ただし、ここで
は、ＬＣＤパネルの製造工程において用いられるパネル
吸着装置に、本発明を適用した場合を例に挙げて説明す
る。

【００１１】図１は、本実施の形態におけるパネル吸着
装置の要部を示す概略構成図であり、図２は、本実施の
形態におけるパネル吸着装置にてＬＣＤパネルを吸着保
持する場合の状態の具体例を示す説明図である。

【００１２】本実施の形態のパネル吸着装置は、従来の
もの（図３参照）と同様に、ハンドリングロボットの先
端部等に支持される吸着ヘッドでＬＣＤパネルを吸着保
持することにより、そのＬＣＤパネルの収納トレイから
の個別取り出しおよび所望箇所への移動等を可能にした
ものである。ただし、このパネル吸着装置では、吸着ヘ
ッドの構成が従来のものとは異なっている。

【００１３】吸着ヘッドは、図１（ａ）および（ｂ）に
示すように、その下面がＬＣＤパネルの被吸着面である
上面に対応して平面状に形成されたものである。すなわ
ち、吸着ヘッドの下面には、ＬＣＤパネルを保持吸着す
るための吸着面１が設けられている。この吸着面１は、
金属または特定の樹脂等の機械的強度に優れた部材によ
って形成されているものとする。なお、吸着面１の外
形、すなわち吸着ヘッドの外形は、略方形状に形成され
ているが、これは例えば略円形状であってもよい。

【００１４】また、吸着ヘッドの下面側の略中央近傍に
は、吸着パッド２が設けられている。吸着パッド２は、
シリコンゴム等の弾性を有した部材によって形成された
もので、下端に開口２ａを有した中空円錐形で、かつ、
その開口２ａが吸着面１よりもさらに下方に突出するよ
うに形成されたものである。なお、吸着パッド２の中空
円錐形の部分は、上方に向けて収縮変形し得るように、
薄肉に形成されているものとする。また、吸着パッド２
の吸着面１からの突出量は、例えば１mm程度であるもの
とする。

【００１５】さらに、この吸着パッド２の中空円錐形部
分の内部は、吸着ヘッドの外部に通じる配管穴２ｂを介
して、吸引ポンプおよび切替えバルブ等からなる吸引手
段（ただし不図示）に接続されている。これにより、中
空円錐形部分の内部、すなわち吸着パッド２内の空間
は、減圧され得るようになっている。

【００１６】また、吸着ヘッドの下面、すなわち吸着面
１には、吸着パッド２が設けられた部分以外の全域にわ
たって、所定深さの吸引孔３が設けられている。この吸
引孔３は、吸着ヘッドの外部に通じる配管穴３ａを介し
て、吸引手段に接続されている。ただし、吸引手段で
は、詳細を後述するように、切替えバルブの切り替え等
によって、吸着パッド２内と吸引孔３内との減圧タイミ
ングを相違させている。これにより、吸引孔３内の空間
は、吸着パッド２の場合とは別に減圧され得るようにな
っている。なお、吸引孔３は、吸着パッド２とは別に吸
着面１に設けられていれば、例えば複数の孔からなるも
のであってもよい。

【００１７】次に、図２（ａ）および（ｂ）を参照しな
がら、以上のように構成された吸着ヘッドを備えるパネ
ル吸着装置を用いて、ＬＣＤパネル４の吸着保持を行う
場合の動作例について説明する。

【００１８】このパネル吸着装置では、ＬＣＤパネル４
の吸着保持に際し、先ず、吸着ヘッドがハンドリングロ
ボット等によってＬＣＤパネル４の吸着位置に移動され
る（図中Ｓ１、Ｓ１′参照）。

【００１９】このとき、吸着ヘッドでは、吸着パッド２
が吸着面１よりも突出しているので、吸着すべきＬＣＤ
パネル４に傾きが生じていなければ、図２（ａ）に示す
ように、吸着位置への移動によって、吸着パッド２の下
端がＬＣＤパネル４の上面に当接し、そのＬＣＤパネル
４によって吸着パッド２の開口２ａが封止されることと
なる（図中Ｓ２参照）。

【００２０】また、図２（ｂ）に示すように、ＬＣＤパ
ネル４に傾きが生じていても、吸着パッド２は、弾性を
有した部材によって形成されているので、吸着面１から
の突出部分がＬＣＤパネル４の傾きに追従して変形す
る。具体的には、吸着パッド２の突出量等との関係か
ら、ＬＣＤパネル４の傾きが４°程度であれば、吸着パ
ッド２の突出部分が追従して変形し、これによって吸着
パッド２の開口２ａがＬＣＤパネル４によって封止され
ることとなる（図中Ｓ２′参照）。

【００２１】吸着パッド２の開口２ａが封止されると、
ここで、吸引手段は、吸着パッド２内の空間のみを減圧
する。このとき、吸着パッド２は、弾性を有した部材に
よって中空円錐形に形成されており、しかもその中空円
錐形の部分が上方に向けて収縮変形し得るように薄肉に
形成されている。したがって、吸引手段の減圧によって
吸着パッド２内の空間が収縮すると、吸着パッド２は、
ＬＣＤパネル４を吸着保持した状態のまま、吸着面１か
らの突出部分が吸着面１側に収縮変形することとなる。

【００２２】つまり、吸着パッド２に吸着保持されたＬ
ＣＤパネル４は、図２（ａ）および（ｂ）に示すよう
に、吸着面１との間が平行であるか否かに拘わらず、吸
引手段の減圧に伴う吸着パッド２の収縮変形によって、
その上面が吸着面１に当接するようになる（図中Ｓ３、
Ｓ３′参照）。

【００２３】その後、吸引手段は、切替えバルブの切り
替え等によって、吸引孔３内の空間を減圧する。これに
より、そのＬＣＤパネル４は、吸着ヘッドの吸着面１に
吸着保持される。なお、このとき、吸引手段では、少な
くとも吸引孔３内の空間のみを減圧すればＬＣＤパネル
４の吸着保持が可能となるが、より強力な保持力を確保
する観点から、吸着パッド２内の空間と吸引孔３内の空
間との双方を減圧することが好ましい。

【００２４】以上のように、本実施の形態のパネル吸着
装置では、吸着ヘッドが吸着面１から突出する吸着パッ
ド２を備えるとともに、吸引手段が吸着パッド２内の空
間を減圧した後に吸引孔３内の空間を減圧するようにな
っている。したがって、収納トレイやその収納トレイ内
での収納状態等の影響によって、吸着すべきＬＣＤパネ
ル４に傾きが生じている場合であっても、吸着パッド２
自体の変形および減圧タイミングの差を利用して、その
ＬＣＤパネル４を吸着面１に吸着保持することができ
る。具体的には、例えば１°程度の傾きでリークが発生
し吸着ミスとなる可能性があった従来のものに対し、こ
のパネル吸着装置では、４°程度の傾きであっても、確
実にＬＣＤパネル４を吸着保持できるようになる。

【００２５】つまり、本実施の形態のパネル吸着装置を
用いてＬＣＤパネル４の吸着保持を行えば、吸着すべき
ＬＣＤパネル４にある程度の傾きが生じていても、吸着
ミスが発生することなく、そのＬＣＤパネル４を確実に
吸着保持することができる。

【００２６】しかも、そのために、吸着面１側の傾きと
ＬＣＤパネル４側の傾きとを合わせ込む必要もない。す
なわち、ＬＣＤパネル４側の傾きにバラツキが生じてい
ても、これを吸着ヘッド側で吸収することができる。し
たがって、ＬＣＤパネル４側と吸着ヘッド側との間の位
置調整が簡易化でき、吸着ミスを防ぎつつ、迅速かつ確
実な処理が実現できる。

【００２７】さらに、本実施の形態のパネル吸着装置で
は、吸着パッド２の変形および減圧タイミングの差を利
用することで、吸着面１にてＬＣＤパネル４を吸着保持
するようになっている。すなわち、単に吸着パッド２に
て吸着保持するのではなく、機械的強度に優れた部材で
形成された吸着面１にてＬＣＤパネル４を吸着保持する
ようになっている。したがって、このパネル吸着装置で
は、ＬＣＤパネル４の吸着ミスを防ぎつつも、吸着保持
時におけるＬＣＤパネル４の姿勢の安定化を図れるの
で、ＬＣＤパネル４を吸着保持した後の吸着ヘッドの移
動制御が非常に容易となる。

【００２８】なお、本実施の形態では、被吸着物がＬＣ
Ｄパネルである場合を例に挙げて説明したが、本発明は
これに限定されるものではない。すなわち、他の被吸着
物であっても、板状のものであれば、本発明は同様に適
用可能である。

【００２９】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明のパネル
吸着装置は、吸着面側に吸引孔と吸着パッドとが設けら
れているとともに、吸引手段がこれらに対する減圧タイ
ミングを相違させるようになっているので、吸着すべき
被吸着物にある程度の傾きが生じていても、吸着ミスが
発生することなく、その被吸着物を確実に吸着保持する
ことができる。しかも、そのために、吸着面側の傾きと
被吸着物側の傾きとを合わせ込む必要もないので、これ
らの間の位置調整の簡易化が図れるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るパネル吸着装置の実施の形態の一
例の要部を示す概略構成図であり、（ａ）はその断面
図、（ｂ）はその下面図である。

【図２】本発明に係るパネル吸着装置の実施の形態の一
例にて被吸着物を吸着保持する場合の状態の具体例を示
す説明図であり、（ａ）は被吸着物に傾きがない場合を
示す図、（ｂ）は被吸着物に傾きがある場合を示す図で
ある。

【図３】従来のパネル吸着装置の一例の概要を示す概略
構成図である。

【図４】従来のパネル吸着装置の一例の要部を示す概略
構成図である。

【符号の説明】

１…吸着面、２…吸着パッド、２ａ…開口、３…吸引
孔、４…ＬＣＤパネル（被吸着物）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 板状の被吸着物に対応して平面状に形成
   された吸着面と、 前記吸着面に設けられた吸引孔と、 前記吸引孔とは別に前記吸着面から被吸着物側に突出す
   るように設けられ、かつ、弾性を有した部材によって前
   記被吸着物側に開口を有する中空円錐形に形成された吸
   着パッドと、 前記被吸着物の吸着に際し前記吸着パッド内の空間を減
   圧した後に前記吸引孔内の空間を減圧する吸引手段とを
   備えることを特徴とするパネル吸着装置。