JP2000169620A - 多孔親水性高分子及びその製造方法 - Google Patents

多孔親水性高分子及びその製造方法

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真紀 杉岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来多孔化に困難性のある親水性高分子成型
体の内部に空孔を設けた多孔親水性高分子の製造方法を
提供する。 【解決手段】 本発明は、親水性高分子基材の実体内で
無機多孔結晶を形成する反応性物質の水溶液の少なくと
も1種を残して、他の反応性物質の水溶液を親水性高分
子基材の実体内に含浸させた後、無機多孔結晶形成用の
残る反応性物質の水溶液を、一度にまたは別個に親水性
高分子基材の実体内に含浸させることにより無機多孔結
晶の反応性物質を反応させて生成する平均粒径0.1〜
20μmの無機多孔結晶であって、該無機多孔結晶が1
0000μm2 換算当たり5〜105 個存在する無機多
孔結晶−親水性高分子複合体から無機多孔結晶を酸性浴
で除去する多孔親水性高分子の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔親水性高分子
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高分子の使用用途の多様化に伴
い、高分子の多孔化が求められている。高分子の多孔化
技術としては、発泡、相分離がよく知られている。
【0003】発泡技術としては、例えばポリエチレン、
ポリ塩化ビニルなどの高分子材料、または金属アルミニ
ウムなどのように、多孔化を施したい物質(基材)に、
例えば高温域や酸性浴で発泡するような発泡剤(例えば
ペンタン、ヘキサン、アゾジカルボンアミド、炭酸カル
シウム、炭酸ナトリウム、水酸化チタニウム、水酸化ジ
ルコニウムなど)を基材にあらかじめ混ぜておいて、発
泡する雰囲気に置くことで発泡させる技術がある。ま
た、これら高分子材料を軟化点以上に熱したものに、空
気、窒素、またはフロンガスを吹き込んで発泡させる方
法や、ウレタンフォームのように原料のイソシアナート
類とポリオールとを混合し、カルボン酸や水などと反応
させることで、炭酸ガスが発生し、発泡する方法が知ら
れている。
【0004】相分離技術は、相溶性のない二以上の物質
を混合し、成型した後、溶媒や加熱処理によって目的以
外の成分を除去する技術で、例えばホウケイ酸ガラス、
塩化ナトリウム−アルミニウム、ボウ硝(硫酸ナトリウ
ム10水和物)−ビスコースなどが知られている。
【0005】一方、多孔親水性高分子は、それ自体で吸
着能を有しているので、網目ふるい効果により濾過材な
どの分離機能材料などとして使用できる。また、空孔に
薬物を封入することで、薬物徐放システムの薬物キャリ
アーなどとして使用できる。従って、所定の大きさの空
孔を一定量有する親水性高分子成型体は、これらの用途
として、多くの需要が見込まれる。しかし、親水性高分
子は、多孔化するのが容易でなく、特に成型後に、その
形状や大きさを保ったままで、多孔化することができな
いという問題がある。また、これらの目的に、多孔親水
性高分子を使用する場合、親水性高分子の内部に空孔が
均一に存在していなくても、親水性高分子表面近傍に空
孔が多く存在していれば、その目的を達成できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題を解決し、従来多孔化に困難性のある親水性高分子
成型体の内部に空孔を設けた多孔親水性高分子及びその
製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、鋭意検討した結果、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下のとおりである。
【0008】(1) 親水性高分子基材の実体内で無機多孔
結晶を形成する反応性物質の水溶液の少なくとも1種を
残して、他の反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の
実体内に含浸させた後、無機多孔結晶形成用の残る反応
性物質の水溶液を、一度にまたは別個に親水性高分子基
材の実体内に含浸させることにより無機多孔結晶の反応
性物質を反応させて生成する平均粒径0.1〜20μm
の無機多孔結晶であって、該無機多孔結晶が10000
μm2 換算当たり5〜105 個存在する無機多孔結晶−
親水性高分子複合体から無機多孔結晶を酸性浴で除去す
る多孔親水性高分子の製造方法。 (2) 親水性高分子基材の実体内で無機多孔結晶を形成す
る反応性物質の水溶液の少なくとも1種を残して、他の
反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実体内で非平
衡の状態で含浸させた後、無機多孔結晶形成用の残る反
応性物質の水溶液を、一度にまたは別個に親水性高分子
基材の実体内で平衡の状態で含浸させることにより無機
多孔結晶の反応性物質を反応させて生成する平均粒径
0.1〜20μmの無機多孔結晶が、該多孔結晶の高密
度領域と低密度領域との該無機多孔結晶の個数比で10
000μm2 換算当たり5:1〜105 :1である無機
多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体から無機多孔結晶を
酸性浴で除去する多孔親水性高分子の製造方法。 (3) 親水性高分子基材の実体内で無機多孔結晶を形成す
る反応性物質の水溶液の少なくとも1種を残して、他の
反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実体内で平衡
の状態で含浸させた後、無機多孔結晶形成用の残る反応
性物質の水溶液を、一度にまたは別個に親水性高分子基
材の実体内で非平衡の状態で含浸させることにより無機
多孔結晶の反応性物質を反応させて生成する平均粒径
0.1〜20μmの無機多孔結晶が、該多孔結晶の高密
度領域と低密度領域との該無機多孔結晶の個数比で10
000μm2 換算当たり5:1〜105 :1である無機
多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体から無機多孔結晶を
酸性浴で除去する多孔親水性高分子の製造方法。 (4) 酸性浴のpHが4以下である(1) 〜(3) のいずれか
に記載の多孔親水性高分子の製造方法。 (5) 親水性高分子基材の実体内に平均孔径0.1〜20
μmの空孔を有する多孔性親水性高分子であって、該空
孔の高密度領域と低密度領域との該空孔の個数比が10
000μm2 換算当たり5:1〜105 :1である多孔
親水性高分子。 (6) 親水性高分子基材の表面近傍の全部または一部が高
密度領域である(5) に記載の多孔親水性高分子。 (7) 親水性高分子基材がセルロース基材である(5) また
は(6) に記載の多孔親水性高分子。 (8) 親水性高分子基材に最初に平衡または非平衡の状態
で含浸させる反応性物質の水溶液がケイ素化合物または
アルミニウム化合物のどちらか一方の水溶液であって、
残る水溶性化合物の水溶液が他方の水溶液である(1) 〜
(4) のいずれかに記載の多孔親水性高分子の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の上記(1) の方法により製造される多孔親水性高
分子は、平均孔径0.1〜20μmの空孔を有する。空
孔の数は、多孔親水性高分子の機能と強度のバランスか
ら親水性高分子の種類により適宜選択されるが、例え
ば、多孔親水性高分子10000μm2 換算当たり5〜
105 個、好ましくは25〜104 個、より好ましくは
102 〜103 個存在する。また、本発明により製造さ
れる別の多孔親水性高分子は、平均孔径0.1〜20μ
mの空孔が、高密度領域と低密度領域との空孔の個数比
で10000μm2 換算当たり5:1〜105 :1、好
ましくは10:1〜104 :1、より好ましくは1
2 :1〜103 :1と傾斜的に存在している。
【0010】空孔の密度が傾斜的に変化して存在してい
るものの場合、空孔の高密度領域は、親水性高分子基材
の表面または近傍であることが好ましい。例えば、球状
の親水性高分子表面全体に本発明にかかる空孔を生成す
る場合は、球の表面またはその近傍に存在する空孔が高
密度領域となり、球の中心付近に近づくに従って、より
低密度領域となるように傾斜的に密度が減少しているこ
とが好ましい。このような空孔の高−低密度領域は、一
面からに限らず、複数の面から傾斜しているものであっ
てもよい。例えば、親水性高分子基材がフィルムやシー
トの場合、空孔の高−低密度領域が1の面から連続的に
傾斜していてもよいし、対向する二面から連続的に傾斜
していてもよい。また、空孔の存在は、親水性高分子基
材の表面またはその近傍の全域であっても、また一部域
であってもよい。
【0011】本発明において、親水性高分子基材として
は、水に対して膨潤するものであれば特に制限はない。
具体的には、例えば、パルプ、再生セルロース(セロフ
ァン、セルロースビーズ、レーヨン、セルローススポン
ジなど)、木綿、バクテリアセルロースおよびセルロー
スを化学修飾したエチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセ
ルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースおよびカ
ルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、更
には絹、羊毛、ポリビニルアルコール、架橋型ポリビニ
ルアルコール、キチン、キトサン、エチレン酢酸ビニル
コポリマー、ポリビニルホルマールなどの天然、あるい
は人工の親水性高分子、ポリアクリルアミドなどの高吸
水性高分子ゲルなどが挙げられる。好ましい親水性高分
子基材は、実際の使用形態、価格および取り扱い易さの
点からパルプや再生セルロース、ポリビニルアルコール
である。
【0012】親水性高分子基材の実体内とは、例えば、
基材がセルロースの場合、セルロース基材を構成してい
る高分子物質の内部を意味し、例えばセルロース繊維の
細胞壁表面、細胞壁内に存在する細孔および細胞内壁
(ルーメン)は含まれない。セルロース基材の実体内に
無機多孔結晶を有するとは、無機多孔結晶の一部または
全部がセルロース基材の実体内に存在することを意味す
る。
【0013】本発明の多孔親水性高分子に使用できる親
水性高分子基材の形状は特に制限されず、例えば、球
状、円柱、四角柱などの柱体、円錐、三角錐、四角錐な
どの錐体、フィルム、シートなどの平板などいずれであ
ってもよい。
【0014】本発明の過程で生成される無機多孔結晶−
親水性高分子複合体の無機多孔結晶としては、親水性高
分子基材を溶解、分解または崩壊させないものであれば
特に制限はない。例えば、ゼオライト、ハイドロキシア
パタイト、ハイドロタルサイト、粘土鉱物類などが挙げ
られる。好ましくは、ゼオライトであり、更に好ましく
は、比較的合成が容易である、4Aゼオライト〔Na12
Si12Al1248・27H2 O〕である。無機多孔結晶の
生成条件は、特に制限されず、生成する無機多孔結晶の
種類によって異なる。例えば、無機多孔結晶がゼオライ
トの場合には、無機多孔結晶を生成するための反応性物
質であるケイ素化合物とアルミニウム化合物が、他の反
応性物質、残る反応性物質のいずれかである。ハイドロ
キシアパタイトの場合には、無機多孔結晶を生成するた
めの反応性物質であるリン化合物とカルシウム化合物
が、他の反応性物質、残る反応性物質のいずれかであ
る。これらの化合物を反応させることによって、親水性
高分子基材の実体内に無機多孔結晶を有する無機多孔結
晶−親水性高分子複合体あるいは無機多孔結晶−親水性
高分子傾斜複合体が製造できる。
【0015】例えば、ゼオライトの生成に使用されるケ
イ素化合物としては、水に溶解し、アルミニウム化合物
と反応してゼオライトを生成しうるものであれば特に制
限はなく、例えば、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸
カリウム、オルトケイ酸カリウム、水ガラス、シリカゾ
ルなどが挙げられる。好ましくは、水に対する溶解性が
高く、結晶性の高いゼオライトが得られる点から、メタ
ケイ酸ナトリウムである。
【0016】例えば、ゼオライトの生成に使用されるア
ルミニウム化合物としては、水に溶解し、ケイ素化合物
と反応してゼオライトを生成しうるものであれば特に制
限はなく、例えばアルミン酸ナトリウム、アルミン酸カ
リウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸ア
ルミニウムなどが挙げられるが、水に対する溶解度が高
く、結晶性の高いゼオライトが得られる点からアルミン
酸ナトリウムが好ましい。
【0017】まず、無機多孔結晶が均一に存在する無機
多孔結晶−親水性高分子複合体は、親水性高分子基材の
実体内で無機多孔結晶を形成する反応性物質の水溶液の
少なくとも1種を残して、他の反応性物質の水溶液を親
水性高分子基材の実体内で平衡の状態で含浸させた後、
無機多孔結晶形成用の残る反応性物質の水溶液を親水性
高分子基材の実体内で平衡の状態で含浸させることによ
り無機多孔結晶の反応性物質を反応させて無機多孔結晶
を生成することにより、製造できる。なお、本明細書中
で「他の反応性物質の水溶液」とは、親水性高分子基材
に先に含浸させる反応性物質の水溶液を意味し、「残る
反応性物質の水溶液」とは、親水性高分子基材に「他の
反応性物質の水溶液」を含浸させた後に含浸させる反応
性物質の水溶液を意味する。これらの反応性物質が親水
性高分子基材内で反応して無機多孔結晶を生成する。ま
た、「他の反応性物質の水溶液」と「残る反応性物質の
水溶液」は、それぞれ1種であっても2種以上であって
もよいが、「残る反応性物質の水溶液」は無機多孔結晶
を形成する反応性物質の水溶液の少なくとも1種を含む
必要がある。「残る反応性物質の水溶液」は、親水性高
分子基材に二種以上を一度に含浸させてもよく、または
別個に含浸させてもよい。反応性物質の水溶液を平衡状
態まで含浸させることで、親水性高分子基材全体に無機
多孔結晶を生成することができる。
【0018】親水性高分子基材の実体内に反応性物質の
水溶液を平衡の状態まで含浸させる方法としては、これ
らの各液が親水性高分子基材の実体内全体に含浸するま
での十分な時間、これらの各液に接触させておけばよ
い。
【0019】なお、本明細書中で、平衡の状態とは、水
溶性化合物の水溶液が親水性高分子基材の実体内に均一
に飽和するに至るまでの十分な量と時間を与えられるこ
とにより、親水性高分子基材に均一に含まれた状態をい
う。一方、非平衡の状態とは、水溶性化合物の水溶液が
親水性高分子基材の実体内に均一に飽和するに至るまで
の十分な量と時間を与えられることなく、親水性高分子
基材に不均一に含まれた状態をいう。
【0020】また、無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複
合体は、親水性高分子基材の実体内で無機多孔結晶を形
成する反応性物質の水溶液の少なくとも1種を残して、
他の反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実体内で
非平衡の状態で含浸させた後、無機多孔結晶形成用の残
る反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実体内で非
平衡の状態で含浸させることにより無機多孔結晶の反応
性物質を反応させて無機多孔結晶を生成することによ
り、製造できる(第1法)。
【0021】さらに、無機多孔結晶−親水性高分子傾斜
複合体は、親水性高分子基材の実体内で無機多孔結晶を
形成する反応性物質の水溶液の少なくとも1種を残し
て、他の反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実体
内で平衡の状態で含浸させた後、無機多孔結晶形成用の
残る反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実体内で
非平衡の状態で含浸させることにより無機多孔結晶の反
応性物質を反応させて無機多孔結晶を生成することによ
っても、製造できる(第2法)。
【0022】第1法により、無機多孔結晶−親水性高分
子傾斜複合体を得るのは、以下のようにする。親水性高
分子基材の実体内に他の反応性物質の水溶液を、親水性
高分子基材の実体内で非平衡の状態で含浸させる方法
は、特に制限されないが、例えば以下の方法が挙げられ
る。親水性高分子基材に他の反応性物質の水溶液を加
え、他の反応性物質の水溶液が実体内で平衡状態に達す
る前に、遠心脱水などにより親水性高分子基材周辺に存
在する他の反応性物質の水溶液を基材から分離する方法
(の方法)。親水性高分子基材に水を含浸させた後に
他の反応性物質の水溶液を含浸させることで、他の反応
性物質の水溶液中の反応性物質が実体内で平衡に達する
時間を遅れさせたものから、他の反応性物質の水溶液が
実体内で平衡状態に達する前に、遠心脱水などにより親
水性高分子基材周辺に存在する他の反応性物質の水溶液
を基材から分離する方法(の方法)。親水性高分子基
材に増粘剤を加えた他の反応性物質の水溶液を含浸させ
ることで、他の反応性物質が実体内で平衡に達する時間
を遅れさせたものから、他の反応性物質の水溶液が実体
内で平衡状態に達する前に、遠心脱水などにより親水性
高分子基材周辺に存在する他の反応性物質の水溶液を基
材から分離する方法(の方法)。他の反応性物質が実
体内で平衡に達しない量の他の反応性物質の水溶液を含
浸させる方法(の方法)。このように親水性高分子基
材の実体内に含浸する他の反応性物質の水溶液の量を制
御することで、親水性高分子基材の実体内で他の反応性
物質が平衡に達する前に、他の反応性物質の含浸を止め
たものに、残る反応性物質の水溶液を平衡状態まで含浸
させることで、無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体
を得る。平衡状態まで含浸させるためには、残る反応性
物質の水溶液が、親水性高分子基材の実体内全体に含浸
するまでの十分な時間、残る反応性物質の水溶液に接触
させておけばよい。
【0023】水溶性化合物の水溶液に加える増粘剤とし
ては、例えばデンプン、ポリビニルアルコール(PV
A)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC
−Na)などの水溶性の増粘剤が挙げられる。
【0024】第2法により、無機多孔結晶−親水性高分
子傾斜複合体を得るのは、以下のようにする。まず、親
水性高分子基材に他の反応性物質の水溶液を親水性高分
子基材の実体内で平衡状態になるまで含浸させる。平衡
状態になるまで含浸させるためには、他の反応性物質の
水溶液が、親水性高分子基材の実体内全体に含浸するま
での十分な時間、他の反応性物質の水溶液に接触させて
おけばよい。ついで、この親水性高分子基材の実体内に
残る反応性物質の水溶液を、親水性高分子基材の実体内
で非平衡の状態で含浸させる。親水性高分子基材の実体
内に残る反応性物質の水溶液を、親水性高分子基材の実
体内で非平衡の状態で含浸させる方法は、特に制限され
ないが、例えば以下の方法が挙げられる。他の反応性物
質の水溶液を平衡状態になるまで含浸させた親水性高分
子基材に、増粘剤を加えた残る反応性物質の水溶液を含
浸させることで、残る反応性物質の水溶液中の残る反応
性物質が実体内で平衡に達する時間を遅れさせたものか
ら、残る反応性物質の水溶液が実体内で平衡状態に達す
る前に、遠心脱水などにより親水性高分子基材周辺に存
在する残る反応性物質の水溶液を基材から分離する方法
((a) の方法)がある。また、他の反応性物質の水溶液
を平衡状態になるまで含浸させた親水性高分子基材に、
高濃度の電解質溶液を加えた残る反応性物質の水溶液を
含浸させることで、残る反応性物質の水溶液中の残る反
応性物質が実体内で平衡に達する時間を遅れさせたもの
から、残る反応性物質の水溶液が実体内で平衡状態に達
する前に、遠心脱水などにより親水性高分子基材周辺に
存在する反応性物質の水溶液を基材から分離する方法
((b) の方法)がある。このように高濃度の電解質溶液
を加えると、残る反応性物質の水溶液の浸透圧を高める
ことで、残る反応性物質が親水性高分子基材の実体内に
含浸することを遅らせる、または他の反応性物質が親水
性高分子基材の表面付近に移動することにより、無機多
孔結晶の傾斜化をより促進させることができる。さら
に、残る反応性物質が実体内で平衡に達しない量の残る
反応性物質の水溶液を含浸させる方法((c) の方法)な
どがある。
【0025】ここで使用される増粘剤としては、上記第
1法で使用する増粘剤と同様のものが使用される。
【0026】残る反応性物質の水溶液に加える高濃度の
電解質溶液としては、例えば10〜30重量%の塩化ナ
トリウム水溶液や、10〜40重量%の炭酸ナトリウム
水溶液が挙げられる。
【0027】無機多孔結晶−親水性高分子複合体、無機
多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体を製造する際に、上
記反応性物質の水溶液以外に、反応補助剤の水溶液をさ
らに含浸させてもよい。使用できる反応補助剤として
は、例えば無機多孔結晶の担持率向上剤などが挙げられ
る。反応補助剤の水溶液は、上記他の反応性物質や残る
反応性物質の水溶液と同時に含浸させても、別個に含浸
させてもよい。また、別個に含浸させる場合は、反応性
物質の水溶液を含浸させる前であっても、他の反応性物
質の水溶液を含浸させた後で残る反応性物質の水溶液を
含浸させる前であってもよい。
【0028】反応補助剤としては、pH調節の目的で、
ゼオライトの場合は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化
カリウムなどの塩基性物質が挙げられるが、水に対する
溶解度が高く、結晶性の高いゼオライトが得られる点か
ら水酸化ナトリウムが好ましい。ハイドロキシアパタイ
トの場合は、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウムなどが挙げられる。
【0029】このような無機多孔結晶−親水性高分子複
合体、無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体両方と
も、無機多孔結晶の平均粒径は、0.1〜20μm、好
ましくは0.2〜10μmである。存在する無機多孔結
晶は、上記平均粒径の幅で存在しているのではなく、ほ
ぼ均一な粒径を有する無機多孔結晶の平均粒径が上記平
均粒径の範囲で存在している。生成した無機多孔結晶の
平均粒径は、フェレー(Feret)径を測定する。す
なわち、顕微鏡下で、一定方向の2本の平行線で各粒子
をはさみ、その平行線間の距離を測ることで得られる粒
子径の平均である。一定方向の2本の平行線で粒子をは
さみ、その平行線間の距離を測ることで一定方向の粒子
径が測定できる。
【0030】反応性物質の反応濃度は、生成する無機多
孔結晶の種類によって異なる。例えば、無機多孔結晶が
ゼオライトの場合には、ケイ素化合物の濃度は1.0〜
100mmol/l程度、好ましくは10〜50mmo
l/l程度であり、アルミニウム化合物の濃度は1.0
〜1000mmol/l程度、好ましくは10〜500
mmol/l程度である。ハイドロキシアパタイトの場
合には、リン化合物の濃度は1.0〜10000mmo
l/l程度、好ましくは100〜1000mmol/l
程度であり、カルシウム化合物の濃度は2.0〜150
00mmol/l程度、好ましくは200〜1500m
mol/l程度である。
【0031】上記で生成された無機多孔結晶−親水性高
分子複合体、無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体を
酸性浴に供することにより、無機多孔結晶を除去し、そ
の部分が孔となって、多孔親水性高分子を得る。無機多
孔結晶を除去するための酸性浴のpHは、酸性であれば
特に制限をされないが、好ましくは4以下、さらに好ま
しくは3.5以下である。pHを酸性にする酸として
は、例えば塩酸、硝酸、酢酸、クエン酸、アスコルビン
酸、シュウ酸などの酸が使用できる。酸性浴の温度は、
無機多孔結晶を分解、除去できる温度であればよく、特
に制限されないが、好ましくは10〜100℃、さらに
好ましくは20〜70℃である。酸性浴の時間は、無機
多孔結晶を分解、除去できる時間であればよく、特に制
限されないが、好ましくは10分〜24時間、さらに好
ましくは30分〜6時間である。
【0032】このようにして無機多孔結晶を分解、除去
すると、成型体である親水性高分子基材の実体内に、平
均孔径0.1〜20μmの空孔を有し、空孔が1000
0μm2 換算当たりで5〜105 個存在している本発明
の多孔親水性高分子、または成型体である親水性高分子
基材の実体内に、平均直径0.1〜20μmの空孔を有
し、該空孔が高密度領域と低密度領域との該空孔の個数
比で10000μm2換算当たり5:1〜105 :1で
ある本発明の多孔親水性高分子が得られる。
【0033】このようにして得られた本発明の多孔親水
性高分子は、親水性高分子の実体内に所定の大きさの孔
を一定数有しているので、そのままで分離機能材料など
として利用できる。また、空孔に薬物を封入すること
で、薬物徐放システムの薬物キャリアーなどとして使用
できる。
【0034】以下に、無機多孔結晶がゼオライトであ
り、親水性高分子がセルロース基材である場合を例に挙
げて、無機多孔結晶−親水性高分子複合体を製造(方法
I)し、次いで多孔親水性高分子を製造する方法を詳細
に説明する。
【0035】ゼオライト−セルロース複合体の製造方法
としては、まずケイ素化合物の水溶液(他の反応性物質
の水溶液)をセルロース基材に含浸させる。その含浸方
法は、前記した通りである。具体的には、セルロース基
材を水溶液に浸漬する、水溶液をセルロース基材にスプ
レーする、また各種コーターで塗布するなどの方法を用
いることができる。
【0036】ケイ素化合物の水溶液の濃度は特に制限は
ないが、好ましくは1.0〜100mmol/l、さら
に好ましくは10〜50mmol/lである。
【0037】ケイ素化合物の水溶液を含浸させたセルロ
ース基材は、含浸された溶液の量を調節することが好ま
しい。また、ケイ素化合物の水溶液を非平衡の状態で含
浸させたセルロース基材は、ケイ素化合物の水溶液がセ
ルロース基材の実体内で平衡に達しないように、含浸さ
れた溶液の量を調節することが必要である。このような
調整方法としては、ブレードで掻き取る、ロール間で絞
る、またはプレスで絞るなどの方法が挙げられる。調節
後の含浸溶液の量は特に制限はないが、ゼオライト結晶
を均一に存在させる場合には、セルロース基材の乾燥重
量に対して、通常1.0〜20倍、好ましくは10〜1
5倍、ゼオライトの結晶を傾斜的に変化させる場合に
は、通常1〜10倍、好ましくは1〜5倍の範囲に調節
することが好ましい。
【0038】ケイ素化合物の水溶液を含浸させたセルロ
ース基材は、基材内でケイ素化合物を平衡に含浸させる
場合は、溶液が十分浸透するように溶液の量を調節する
前または後に含浸時間をおいてもよい。一方、基材内で
ケイ素化合物を非平衡の状態に含浸させる場合は、溶液
が十分浸透しないように含浸時間を決定する必要があ
る。含浸時間は、ゼオライト結晶を均一に存在させる場
合には、10分〜10日間であり、ゼオライトの結晶を
傾斜的に変化させる場合には、5分〜24時間であり、
セルロース基材の種類により適宜選択できる。
【0039】次に上記のように溶液の量を調節したセル
ロース基材を、アルミニウム化合物(他の反応性物質の
水溶液)および塩基性物質(反応補助剤の水溶液)の混
合溶液に浸漬させる。アルミニウム化合物の水溶液の濃
度は特に制限はないが、好ましくは1.0〜1000m
mol/l、さらに好ましくは10〜500mmol/
lである。
【0040】塩基性物質の濃度は、ゼオライトを結晶化
させるために、かなり高いアルカリ濃度が必要であるこ
とから10〜5000mmol/l、好ましくは100
〜2500mmol/lである。
【0041】浸漬する温度は、20〜90℃であり、好
ましくは40〜60℃である。浸漬する時間は2時間〜
20日間であり、好ましくは12時間〜2日間である。
【0042】膨潤しているセルロース基材の下での、ケ
イ素化合物、アルミニウム化合物および塩基性物質の混
合比(モル比)は、1:1〜10:10〜50であり、
好ましくは1:3〜5:12〜30である。塩基性物質
をケイ素化合物およびアルミニウム化合物に対して過剰
に加えている。これは、特に4Aゼオライトの場合、ゼ
オライト結晶自体が準安定相であるために、過剰のアル
カリ条件下以外では合成できないためである。
【0043】このように、ケイ素化合物の水溶液(他の
反応性物質の水溶液)をセルロース基材で平衡に達する
ように含浸させて、残る反応性物質の水溶液および反応
補助剤の水溶液がセルロース基材内で平衡に達するよう
含浸させるので、生成するゼオライト結晶の平均粒径
0.1〜20μmのゼオライト結晶であって、このゼオ
ライト結晶が10000μm2 換算当たりで5〜105
個存在しているゼオライト−セルロース複合体が得られ
る。一方、ケイ素化合物の水溶液(他の水溶性化合物の
水溶液)をセルロース基材で平衡に達しないように含浸
させて、残る反応性物質の水溶液および反応補助剤の水
溶液がセルロース基材内で平衡に達するよう含浸させる
ので、生成するゼオライト結晶の平均粒径0.1〜20
μmのゼオライト結晶であって、高密度領域と低密度領
域とのゼオライト結晶の個数比が10000μm2 換算
当たり5:1〜105 :1であるゼオライト−セルロー
ス傾斜複合体が得られる。
【0044】また、ゼオライト−セルロース複合体を製
造する別の方法としては、アルミニウム化合物の水溶液
を先にセルロース基材に含浸させ、次いでケイ素化合物
および塩基性物質の混合水溶液を浸漬させてもよい。さ
らにケイ素化合物あるいはアルミニウム化合物のどちら
か一方と、塩基性物質の混合水溶液を先にセルロース基
材に含浸させ、次いで残りのもう一つの水溶液に浸漬さ
せてもよい。即ち、ケイ素化合物およびアルミニウム化
合物の水溶液は、両者を混合した時点でゲルが生成する
ために、同時にセルロース基材に含浸できないが、その
他の順序ならば特に制限はない。例えば、塩基性物質の
水溶液をセルロース基材に含浸させて、次いでケイ素化
合物の水溶液に含浸させ、最後にアルミニウム化合物の
水溶液に浸漬するような3工程を経てもよい。但し、こ
れらの方法で製造されるゼオライト−セルロース複合体
のゼオライト担持率は、方法Iで製造されるゼオライト
−セルロース複合体のそれと比べてやや劣ることから、
好ましくは方法Iで製造するのがよい。方法Iは、一般
的なゼオライトの合成条件に比べ、非常に穏やかな合成
条件であるので、セルロース基材にダメージを与えるこ
となくゼオライトを担持することができる。
【0045】次に、セルロース基材内のゼオライトを酸
性浴により、分解、除去して、多孔親水性高分子を得
る。酸性浴により、ゼオライトを分解除去するには、p
Hは、酸性であれば特に制限をされないが、好ましくは
4以下、さらに好ましくは3.5以下である。pHを酸
性にする酸としては、例えば塩酸、硝酸、酢酸、クエン
酸、アスコルビン酸、シュウ酸などの酸が使用できる。
酸性浴の温度は、無機多孔結晶を分解、除去できる温度
であればよく、特に制限されないが、好ましくは10〜
100℃、さらに好ましくは20〜70℃である。酸性
浴の時間は、無機多孔結晶を分解、除去できる時間であ
ればよく、特に制限されないが、好ましくは10分〜2
4時間、さらに好ましくは30分〜6時間である。
【0046】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて、本発明
を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されな
い。
【0047】実施例1 ウェット状態のセルロースビーズ(平均粒径 2mm)
10.0g(固形分約0.95wt%)をメタケイ酸ナ
トリウム・9水和物の水溶液(2.18g/40.9m
l)に1時間含浸した後にセルロースビーズを取りだ
し、そのセルロースビーズにアルミン酸ナトリウム0.
35gおよび水酸化ナトリウム0.78gの混合水溶液
10mlを加え、50℃で8日間浸漬させることによ
り、ゼオライト担持セルロースビーズ傾斜複合体1.0
6gを得た。このゼオライト担持セルロースビーズ傾斜
複合体1.0gをクエン酸・1水和物(0.21g/1
00ml)100mlに18時間浸漬させることによ
り、直径約0.1〜1.0μmの孔をセルロースビーズ
の表面付近で9400個/10000μm2 、セルロー
スビーズの中心付近で1600個/10000μm2
多孔セルロースビーズを得た。得られた多孔セルロース
ビーズの断面(a)、該セルロースビーズの表面付近
(b)、該セルロースビーズの中心付近(c)の走査型
電子顕微鏡(以下、「SEM」という)写真を図1に示
す。
【0048】実施例2 底面全体にシリコングリースを塗布し、シャーレに張り
付けたウェット状態のセルロースシート6.1g(固形
分約0.95wt%)に、上からメタケイ酸ナトリウム
・9水和物の水溶液(2.90g/44.4ml)を添
加し1時間室温下で静置した後、上からアルミン酸ナト
リウム2.36gおよび水酸化ナトリウム5.20gの
混合水溶液50mlを添加し、50℃で48時間浸漬さ
せることにより、ゼオライト担持セルロースシート傾斜
複合体0.57gを得た。このゼオライト担持セルロー
スシート傾斜複合体0.5gを酢酸水溶液(0.1mm
ol/l)100mlに24時間浸漬させることによ
り、直径約0.5〜1.5μmの孔を、セルロースシー
トの表面付近で12700個/10000μm2 、セル
ロースシートの底面付近で800個/10000μm2
の多孔セルロースシートを得た。得られた多孔セルロー
スシートの表面付近(a)、該セルロースシートの底面
付近(b)のSEM写真を図2に示す。
【0049】実施例3 ウェット状態のセルロースビーズ(平均粒径 2mm)
10.0g(固形分約0.95wt%)をメタケイ酸ナ
トリウム・9水和物の2.90gおよび水酸化ナトリウ
ム5.20gの混合水溶液40.0mlに24時間浸漬
させた後に、セルロースビーズを取り出し、そのセルロ
ースビーズに、アルミン酸ナトリウム水溶液(2.36
g/50ml)を加え、50℃で48時間浸漬させるこ
とにより、ゼオライト担持セルロースビーズ複合体1.
10gを得た。このゼオライト担持セルロースビーズ複
合体0.5gを、酢酸水溶液(0.1mmol/l)1
00mlに24時間浸漬させることにより、直径約0.
5〜1.5μmの孔を、セルロースビーズの表面付近で
600個/10000μm2 、セルロースビーズの中心
付近で500個/10000μm2 の多孔セルロースビ
ーズを得た。得られた多孔セルロースビーズの表面付近
(a)、該セルロースビーズの中心付近(b)のSEM
写真を図3に示す。
【0050】実施例4 ウェット状態のセルロースビーズ(平均粒径 2mm)
10.0g(固形分約0.95wt%)をリン酸水素二
ナトリウム・12水和物の水溶液5.80gおよび水酸
化ナトリウム1.20gの混合水溶液10mlに1時間
浸漬させた後、セルロースビーズを取り出し、そのセル
ロースビーズに硝酸カルシウム・4水和物(1.29g
/10ml)を加え、95℃で1時間浸漬させることに
より、ハイドロキシアパタイト担持セルロースビーズ傾
斜複合体1.18gを得た。このハイドロキシアパタイ
ト担持セルロースビーズ傾斜複合体を塩酸(0.1mm
ol/L)100mlに24時間浸漬させることによ
り、直径約0.1〜1.0μmの孔を、セルロースビー
ズの表面付近で25600個/10000μm2 、セル
ロースビーズの中心付近で800個/10000μm2
の多孔セルロースビーズを得た。
【0051】比較例1 セルロースビーズ(平均粒径 2mm)のみを使用し
た。セルロースビーズの表面付近のSEM写真を図4に
示す。
【0052】実験例1 実施例1、3、比較例1の試料をそれぞれ0.5g秤量
し、G1グラスフィルターに入れ、リモネンの入ったビ
ーカーにフィルターごと浸漬した。所定時間経過ごとに
グラスフィルターを取り出し、軽く吸引濾過して、各試
料の重量を測定し、元の重量との差を吸引量として算出
した。結果を図5に示す。
【0053】図5から明らかなように、本発明の多孔化
ビーズは、多孔化していないビーズよりも、吸液速度が
速く、また、吸引量も多かった。さらに実施例1の傾斜
多孔セルロースビーズのほうが、均一に孔が存在してい
る多孔化ビーズより吸引量が多かった。
【0054】
【発明の効果】本発明の方法により得られる多孔親水性
高分子は、成型体である親水性高分子基材の実体内に、
平均直径0.1〜20μmの空孔を有し、空孔が100
00μm2 換算当たりで5〜105 個存在している、ま
たは成型体である親水性高分子基材の実体内に、平均直
径0.1〜20μmの空孔を有し、空孔の高密度領域と
低密度領域との該空孔の個数比が10000μm2 換算
当たりで5:1〜105:1であるので、分離機能材料
や薬物キャリアーなどとして使用できる。また、多孔化
するのが容易でなく、特に成型後に、その形状や大きさ
を保ったままで、多孔化することができない親水性高分
子を多孔化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた多孔セルロースビーズのS
EM写真である。
【図2】実施例2で得られた多孔セルロースビーズのS
EM写真である。
【図3】実施例3で得られた多孔セルロースビーズのS
EM写真である。
【図4】比較例1のセルロースビーズのSEM写真であ
る。
【図5】多孔セルロースビーズ(実施例1および実施例
2)、無処理セルロースビーズ(比較例1)、における
リモネン吸液量の経時変化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 秀直 福井県坂井郡金津町自由ヶ丘1丁目8番10 号 レンゴー株式会社福井研究所内 (72)発明者 秋本 恭子 福井県坂井郡金津町自由ヶ丘1丁目8番10 号 レンゴー株式会社福井研究所内 Fターム(参考) 4F074 AA02 AA27 AA31 AA32 AA42 AC12 AC28 AD09 BA08 BA29 BC15 CB03 CB04 CB13 CB22 CB27 CB43 CC45 DA53

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性高分子基材の実体内で無機多孔結
    晶を形成する反応性物質の水溶液の少なくとも1種を残
    して、他の反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実
    体内に含浸させた後、無機多孔結晶形成用の残る反応性
    物質の水溶液を、一度にまたは別個に親水性高分子基材
    の実体内に含浸させることにより無機多孔結晶の反応性
    物質を反応させて生成する平均粒径0.1〜20μmの
    無機多孔結晶であって、該無機多孔結晶が10000μ
    2 換算当たり5〜105 個存在する無機多孔結晶−親
    水性高分子複合体から無機多孔結晶を酸性浴で除去する
    多孔親水性高分子の製造方法。
  2. 【請求項2】 親水性高分子基材の実体内で無機多孔結
    晶を形成する反応性物質の水溶液の少なくとも1種を残
    して、他の反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実
    体内で非平衡の状態で含浸させた後、無機多孔結晶形成
    用の残る反応性物質の水溶液を、一度にまたは別個に親
    水性高分子基材の実体内で平衡の状態で含浸させること
    により無機多孔結晶の反応性物質を反応させて生成する
    平均粒径0.1〜20μmの無機多孔結晶が、該多孔結
    晶の高密度領域と低密度領域との該無機多孔結晶の個数
    比で10000μm2 換算当たり5:1〜105 :1で
    ある無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体から無機多
    孔結晶を酸性浴で除去する多孔親水性高分子の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 親水性高分子基材の実体内で無機多孔結
    晶を形成する反応性物質の水溶液の少なくとも1種を残
    して、他の反応性物質の水溶液を親水性高分子基材の実
    体内で平衡の状態で含浸させた後、無機多孔結晶形成用
    の残る反応性物質の水溶液を、一度にまたは別個に親水
    性高分子基材の実体内で非平衡の状態で含浸させること
    により無機多孔結晶の反応性物質を反応させて生成する
    平均粒径0.1〜20μmの無機多孔結晶が、該多孔結
    晶の高密度領域と低密度領域との該無機多孔結晶の個数
    比で10000μm2 換算当たり5:1〜105 :1で
    ある無機多孔結晶−親水性高分子傾斜複合体から無機多
    孔結晶を酸性浴で除去する多孔親水性高分子の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 酸性浴のpHが4以下である請求項1〜
    3のいずれかに記載の多孔親水性高分子の製造方法。
  5. 【請求項5】 親水性高分子基材の実体内に平均孔径
    0.1〜20μmの空孔を有する多孔性親水性高分子で
    あって、該空孔の高密度領域と低密度領域との該空孔の
    個数比が10000μm2 換算当たり5:1〜105
    1である多孔親水性高分子。
  6. 【請求項6】 親水性高分子基材の表面近傍の全部また
    は一部が高密度領域である請求項5に記載の多孔親水性
    高分子。
  7. 【請求項7】 親水性高分子基材がセルロース基材であ
    る請求項5または6に記載の多孔親水性高分子。
  8. 【請求項8】 親水性高分子基材に最初に平衡または非
    平衡の状態で含浸させる反応性物質の水溶液がケイ素化
    合物またはアルミニウム化合物のどちらか一方の水溶液
    であって、残る水溶性化合物の水溶液が他方の水溶液で
    ある請求項1〜4のいずれかに記載の多孔親水性高分子
    の製造方法。
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JP2009079043A (ja) * 2007-09-04 2009-04-16 Rohto Pharmaceut Co Ltd 線維芽細胞増殖促進能を有する組成物

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