JP2000165059A - 高周波発振器の発振周波数調整方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波発振器の小型化を容易にするととも
に、発振周波数の調整精度を高める高周波発振回路の発
振周波数調整方法を提供する。 【解決手段】 回路基板３上に設けられた発振回路構成
素子１と、発振回路構成素子１を覆うように回路基板３
に取り付けられた金属製シールドケース４とを備えた高
周波発振器の金属製シールドケース４を、回転部材７に
より発振回路構成素子１に近づけるように凹ませて凹み
部を設けることによって発振周波数を調整するようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高周波発振器の発
振周波数調整方法に関し、特に発振周波数調整機構を備
えた高周波発振器の発振周波数調整方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、マイクロ波周波数帯の高周波発振
器が広く普及しつつある。これらは例えば、衛星放送受
信機や移動体通信機に用いられる。マイクロ波帯で使用
される高周波発振器は、発振回路構成素子として、誘電
体共振器やマイクロストリップライン等を用い、これを
結合回路と組み合わせ、箱形の金属製シールドケース内
に収容して構成している。この高周波発振器の発振周波
数は、主として発振回路構成素子の共振周波数によって
決定される。しかし、発振回路構成素子は金属製シール
ドケースと電磁的に結合しているため、金属製シールド
ケースに周波数調整用のネジを取り付け、発振回路構成
素子と周波数調整用のネジの先端との距離を変化させる
ことにより、微少な範囲で発振周波数の調整が可能であ
る。

【０００３】以下に、従来の高周波発振器について、図
３を用いて説明する。図３に示すように誘電体共振器等
の発振回路構成素子１１が支持台１２を介して回路基板
１３上に設置され、箱形の金属製シールドケース１４に
よってＦＥＴ１５等とともに収容される。回路基板１３
には、裏面を接地導体となる導体薄板１６を設けてい
る。金属製シールドケース１４の上面には、ネジ固定用
のナット１７と、これに螺合する周波数調整用のネジ１
８とが備えられており、周波数調整用のネジ１８を上下
させることにより、ネジ先端部と発振回路構成素子１１
までの距離を変化させ、高周波発振器の発振周波数を調
整している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術においては、周波数調整用のネジ１８の上部が
箱形の金属製シールドケース１４上面に突出し、外形寸
法が大きくなってしまう。また、機械的振動による周波
数調整用のネジ１８の弛みによって発振周波数が不安定
化する等の障害があった。

【０００５】また、金属製シールドケース自体をポンチ
等で叩いて凹ませることによって、発振周波数を調整す
る方法も従来行われていたが、ポンチ等により金属製シ
ールドケースを凹ませた状態で発振周波数を調整して
も、ポンチ等を外すと金属製シールドケースの凹みが弾
性により戻り、発振周波数を高い精度で調整することが
困難であった。また、凹ませ過ぎて所望の発振周波数よ
りも高い値になってしまった場合には回復が不可能であ
った。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の高周波発振器の発振周波数調整方法は、回
路基板上に設けられた発振回路構成素子と、前記発振回
路構成素子を覆うように前記回路基板に取り付けられた
金属製シールドケースとを備えた高周波発振器の前記金
属製シールドケースを、回転部材により前記発振回路構
成素子に近づけるように凹ませて凹み部を設けることに
よって発振周波数を調整するようにした。

【０００７】また本発明の高周波発振器の発振周波数調
整方法は、前記金属製シールドケースに複数個の孔を備
え、前記金属製シールドケースを前記回転部材で凹ませ
るようにした。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の高周波発振器の発
振回路調整方法の実施の形態について図面を参照しなが
ら説明する。図１は本発明の高周波発振器の発振周波数
調整方法を示す縦断面図、図２は本発明の高周波発振器
の発振周波数調整方法に係る高周波発振器の斜視図を示
す。

【０００９】図１及び図２に示す高周波発振器は、誘電
体共振器等の発振回路構成素子１が支持台２を介して回
路基板３上に設置されており、箱形の金属製シールドケ
ース４によってＦＥＴ５等とともに収容し、回路基板３
の裏面には接地導体となる導体薄板６を設ける。金属製
シールドケース４の上面には、有底で円形の凹み部８が
形成されている。凹み部８の底部が発振回路構成素子１
に近づくと、発振回路構成素子１と金属製シールドケー
ス４との電磁的な結合が変化し、発振周波数の調整が行
われる。また、金属製シールドケース４の上面には、凹
み部８の近傍の周囲にわたって複数個の孔９が設けられ
ている。金属製シールドケース４は直方体で、複数個の
孔９がシールドケースの上面中心を境に左右対称な２つ
の円周形状に沿って設けられているため、金属製シール
ドケース４の回路基板３への取り付け方向を逆にしても
同じような取付けが得られ、組み付け工数を低減でき
る。

【００１０】次に、本発明の高周波発振器の発振周波数
調整方法を図１に基づいて説明すると、先ず、回転状態
の治具である回転部材７を平坦状の金属製シールドケー
ス４の上面に対向させる。次に、この回転部材７によっ
て複数個の孔９で囲まれた金属製シールドケースの上面
を押圧する。すると、金属製シールドケース４の上面に
は、回転部材７の回転方向と軸方向に複合された力が加
わるため、金属製シールドケース４が塑性変形されて、
凹み部８が形成される。凹み部８の突き出し度合いによ
って、金属製シールドケース４と発振回路構成素子１と
の間の距離を調節することにより、発振周波数の調整を
行う。また、金属製シールドケース４の凹み部８を凹ま
せ過ぎた場合には、例えば鈎状の工具（図示せず）等を
孔９に差し込み凹み部８を若干元に戻すことによって、
凹ませ過ぎた時の再調整ができるようになっている。

【００１１】

【発明の効果】以上のように本発明は、高周波発振器の
金属製シールドケースを回転部材により変形させること
に発振周波数の調整を行うので、周波数調整のためのネ
ジなどの部品及び特別な機構がないため外形寸法を小さ
くでき、コスト的にも安価で製造することが可能であ
る。また、回転部材が金属製シールドケースを捻りなが
ら押圧するため金属製シールドケースに複合化された力
が加わり、塑性変形し易くなり、回転部材を外しても金
属製シールドケースの弾性による戻りが減少するため、
発振周波数が安定し、発振周波数の調整精度を高くでき
る。更に、回転部材と金属製シールドケースとの間に摩
擦熱が生じ、金属製シールドケースの温度が上昇するた
め、金属製シールドケースが変形し易くなり、組み付け
工数を低減できる。

【００１２】また、本発明に係る高周波発振器は、複数
個の孔を有する金属製シールドケースを有しており、複
数個の孔を有する金属製シールドケースを回転部材で変
形させるようにしたので、金属製シールドケースが変形
しやすくなり、しかも、凹ませ過ぎたときには鈎状工具
等により金属製シールドケースを若干元に戻し発振周波
数の再調整ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の高周波発振器の発振周波数調整方法の
断面図である。

【図２】本発明の高周波発振器の発振周波数調整方法の
斜視図である。

【図３】従来の高周波発振器の発振周波数調整方法の断
面図である。

【符号の説明】

１ 発振回路構成素子 ２ 支持台 ３ 回路基板 ４ 金属製シールドケース ５ ＦＥＴ ６ 導体薄板 ７ 回転部材 ８ 凹み部 ９ 孔

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回路基板上に設けられた発振回路構成素
   子と、前記発振回路構成素子を覆うように前記回路基板
   に取り付けられた金属製シールドケースとを備え、回転
   部材により前記金属製シールドケースを前記発振回路構
   成素子に近づけるように凹ませて凹み部を設けることに
   よって発振周波数を調整するようにしたことを特徴とす
   る高周波発振器の発振周波数調整方法。
2. 【請求項２】 前記金属製シールドケースには、複数個
   の孔を備え、前記金属製シールドケースを前記回転部材
   で凹ませるようにしたことを特徴とする請求項１記載の
   高周波発振器の発振周波数調整方法。