JP2000152398A - オーディオ信号処理装置及び方法 - Google Patents

オーディオ信号処理装置及び方法

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JP2000152398A
JP2000152398A JP10317086A JP31708698A JP2000152398A JP 2000152398 A JP2000152398 A JP 2000152398A JP 10317086 A JP10317086 A JP 10317086A JP 31708698 A JP31708698 A JP 31708698A JP 2000152398 A JP2000152398 A JP 2000152398A
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Hideki Sakamoto
英樹 坂本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マルチチャネルの圧縮オーディオ信号を伸張
し、疑似立体音響処理を施して2チャネルのオーディオ
信号を出力するオーディオ信号処理装置を、安価に実現
し、かつ、低消費電力を実現する。 【解決手段】 オーディオデコーダ202では、アンパ
ッキング回路221で圧縮オーディオ信号201をアン
パックして周波数領域サンプル222を作成し、合成フ
ィルタ223によって時間領域に変換するとともに、疑
似立体音響処理を施してマルチチャネルオーディオ信号
203を出力する。加算回路227では、マルチチャネ
ルオーディオ信号203のチャネル同士を加算して、2
チャネルオーディオ信号206を出力する。マルチチャ
ネルオーディオ信号203には、既に疑似立体音響処理
が施されているので、疑似立体音響処理のためのフィル
タ回路を備えることなしに、疑似立体音響効果が実現さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オーディオ信号処
理装置および方法に関し、特に3チャネル以上の複数チ
ャネル圧縮オーディオ信号を、伸張及び疑似立体オーデ
ィオ処理して2チャネル以下として再生する装置および
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ディジタル信号処理技術の発達に
より、ディジタルオーディオ信号の符号量を、音質を損
なうことなく、1/10程度に減らす圧縮オーディオ符
号化技術が実用化されるようになった。これは、オーデ
ィオ信号の周波数領域での符号化と、心理聴覚による最
適ビット割り当てとを組み合わせて符号量を圧縮するも
のである。このような技術は、いわゆるマルチメディア
システムに応用され、たとえば家庭で映画館と同等の画
像音響を再生するホームシアター装置が開発され、普及
しつつある。これは、大画面での鑑賞に耐える高画質の
画像と、臨場感を高める高音質でマルチチャネルのオー
ディオとを兼ね備えたもので、DVD−Video(Dig
ital Versatile Disc -Video) 装置などが存在する。
【0003】ところで、このようなホームシアター装置
を家庭に導入するに当たって、画像の表示装置、オーデ
ィオの再生装置が必要となる。画像の表示装置について
は、すでに大画面のテレビジョン受像機が普及してお
り、これをそのまま使用すれば良い。一方オーディオに
ついては、高音質の2チャネルオーディオ装置が普及し
ており、これとは別に、あるいは現状の装置を捨てて、
新たにマルチチャネルのオーディオ再生装置を導入する
ことは、経済的な負担や設置場所の問題が大きく、実現
が難しい。このような困難を軽減する方法として、疑似
立体音響技術が用いられている。これは人間の耳の特性
を利用して、実際の発音場所と、被聴者が感じる音源位
置とを変える技術である。
【0004】たとえば、前方からの音は、周波数が1,
000Hzの付近に感度の沈下があり、1,000Hz
から10,000Hzまでは、他の方向からの音よりも
感度が増加するといった特性がある。この特性を、ここ
では「前方音特性」と呼ぶものとする。一方、後方から
の音は、300Hzから11,000Hzまで徐々に感
度が上がり、その後、急激に減衰し、15,000Hz
に小さいピークがある。この特性を、ここでは「後方音
特性」と呼ぶものとする。図4(A)は、人2が前方ス
ピーカ4からの音と後方スピーカ6からの音を聞いてい
る状態を示す説明図である。
【0005】そこで、特定の信号処理により、このよう
な特性を打ち消したり、強調したりする操作を人工的に
付加すれば、前方のスピーカ4を使用して、あたかも後
方から発音しているように聞こえさせることができる。
たとえば、図4(B)に示すように、信号処理回路8に
より、信号Sに予め前方音特性の逆特性と後方音特性と
を乗じた上で、前方スピーカ4から発音させると、被聴
者に到達する音は「後方音特性×S」となるため、あた
かも後方から発音しているように聞こえる。この技術を
利用して、本来は横や後方に設置すべきスピーカを、前
方の2チャネルのスピーカだけで擬似的に実現できる。
これを利用したオーディオ信号処理装置が実用化され、
広く利用されている(例えば特開平8−65169号公
報参照)。
【0006】図3は、このように、圧縮オーディオ信号
101を伸張し、2チャネルのオーディオ信号106を
出力する従来のオーディオ信号処理装置の一例を示すブ
ロック図である。このオーディオ信号処理装置は、圧縮
オーディオ信号101を伸張してマルチチャネルオーデ
ィオ信号103を出力するオーディオデコーダ102
と、マルチチャネルオーディオ信号103を2チャネル
オーディオ信号106に変換する疑似立体音響処理回路
104とが従属接続された構造になっている。また、こ
のオーディオ信号処理装置は、オーディオデコーダ10
2が4チャネルのマルチチャネルオーディオ信号103
を出力するものであり、図3に示すL、R、SL、SR
は、それぞれ前方左、前方右、後方左、後方右のチャネ
ルを表している。
【0007】次に、このような従来のオーディオ信号処
理装置の動作について説明する。まず、オーディオデコ
ーダ102が圧縮オーディオ信号101を伸張する信号
処理の内容は、採用されている圧縮オーディオ符号化技
術によって異る。この圧縮オーディオ符号化技術には、
MPEGオーディオやAC−3などがあるが、どの方式
もアンパッキング処理と合成フィルタ処理に大別され
る。
【0008】アンパッキング処理とは、圧縮オーディオ
信号101から各オーディオ信号のサンプルを取り出す
処理である。各サンプルは、たとえば1サンプル目は7
ビット、2サンプル目は5ビットというように、可変長
にコード化されており、これを分別して順次サンプルを
取り出す。ここで、取り出されたサンプルは、オーディ
オ信号を周波数領域に変換して表したものである。図3
を参照すると、アンパッキング回路121は、圧縮オー
ディオ信号101にアンパッキング処理を施し、周波数
領域サンプル122を出力する。
【0009】一方、合成フィルタ処理とは、周波数領域
サンプル122に周波数−時間変換を施し、マルチチャ
ネルオーディオ信号103を生成する処理である。この
処理は、主に積和演算からなるフィルタ処理である。合
成フィルタ123は、フィルタ係数ROM124に格納
されたフィルタ係数に基づいて、このフィルタ処理を行
う。たとえばLチャネルの周波数領域サンプルに逆MD
CT(Modified Discrete Cosine Transfer) 等の変換処
理を施し、マルチチャネルオーディオ信号103のLチ
ャネルデータを出力する。合成フィルタ123の演算精
度は、マルチチャネルオーディオ信号103の音質に直
接影響するので、20ビット以上が要求される。
【0010】また、疑似立体音響処理回路104は、後
方スピーカの音をフィルタ回路105で前方スピーカか
ら発する音に変換し、前方チャネルに混合して2チャネ
ルオーディオ信号106として出力する。このフィルタ
処理は、上述のように特定の周波数の振幅を強調した
り、減衰させたりする処理である。フィルタ回路105
は積和演算回路からなり、演算精度は20ビット以上が
必要である。このように従来のオーディオ信号処理装置
は、オーディオデコーダ102と疑似立体音響処理回路
104が従属接続されており、ともに20ビット精度の
積和演算器を内蔵している。しかし、20ビット精度の
積和演算器は回路規模が大きい。たとえばオーディオデ
コーダ102をハードウェアで構成する場合は、全体の
ゲート規模の約30%程度が合成フィルタ部で占められ
る。疑似立体音響処理回路104の回路規模も合成フィ
ルタ123と同程度であり、価格が上昇してしまう。ま
た、回路規模増大により消費電力も増加してしまう。
【0011】一方、オーディオデコーダ102と疑似立
体音響処理回路104とを信号処理プロセッサ(DS
P)で処理することも考えられるが、この場合もオーデ
ィオデコーダ102だけの場合より、30%程度処理が
多くなるため、より高性能のDSPが必要であり、やは
り価格が上昇する。また、MIPS値の増大により消費
電力が増加してしまう。たとえば汎用DSPでのMIP
S値は、オーディオデコーダ2が約30MIPS、疑似
立体音響処理回路104が約10MIPSである。した
がって、オーディオデコーダ102と疑似立体音響処理
回路104の両方を実行するには、40MIPSが必要
であり、オーディオデコーダ102だけの場合より、約
30%高性能なDSPが必要となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、上記従
来例のオーディオ信号処理装置では、価格が上昇してし
まうという問題がある。すなわち、ハードウェアで実現
する場合、オーディオデコーダ102とは独立して疑似
立体音響処理回路104を備えるため、合成フィルタ1
23とフィルタ回路105の2箇所に、回路規模の大き
い積和演算器が必要となり、オーディオ信号処理装置の
価格が上昇してしまう。また、DSP等のソフトウェア
で実現した場合も、合成フィルタ123とフィルタ回路
105の2箇所で積和演算を行うため、オーディオデコ
ーダ102単体の場合より30%高性能のDSPが必要
となり、やはり価格が上昇する。
【0013】次に、上記従来例のオーディオ信号処理装
置では、消費電力が増加してしまうという問題がある。
すなわち、ハードウェアで実現する場合、上述のように
回路規模の大きい積和演算器を2個備えるため、両方が
動作することにより消費電力が大きくなる。また、DS
P等のソフトウェアで構成した場合も、オーディオデコ
ーダ2単体の場合より30%処理が増えるため、やはり
消費電力が大きくなる。
【0014】そこで本発明の目的は、疑似立体音響処理
機能付きの圧縮オーディオデコーダを、圧縮オーディオ
デコーダ単体と同程度の回路構成、大きさ、重量、価格
および消費電力で実現することができるオーディオ信号
処理装置及び方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するため、圧縮オーディオ符号化方式の技術規準にし
たがって第1のチャネル数の記録オーディオ信号を符号
化したものである圧縮オーディオ信号を信号処理するこ
とにより、前記第1のチャネル数より小さい第2のチャ
ネル数の再生オーディオ信号を生成するオーディオ信号
処理装置において、前記圧縮オーディオ信号を前記圧縮
オーディオ符号化方式の技術規準に従って周波数領域毎
の信号に分解するアンパッキング手段と、前記圧縮オー
ディオ符号化方式の技術規準にしたがって前記アンパッ
キング手段より出力された前記周波数領域毎の信号を合
成して時間領域の信号に変換するためのフィルタ演算
を、前記第1のチャネル数のオーディオ信号を前記第2
のチャネル数のオーディオ信号に変換する疑似立体オー
ディオ方式の技術基準に規定された周波数特性情報にし
たがって変更した変更フィルタ演算により実行し、前記
第1のチャネル数の合成オーディオ信号を出力する合成
フィルタ手段と、前記合成フィルタ手段より出力される
合成オーディオ信号同士を加算して、前記第2のチャネ
ル数の再生オーディオ信号を出力する加算手段とを有す
ることを特徴とする。
【0016】また本発明は、圧縮オーディオ符号化方式
の技術規準にしたがって第1のチャネル数の記録オーデ
ィオ信号を符号化したものである圧縮オーディオ信号を
信号処理することにより、前記第1のチャネル数より小
さい第2のチャネル数の再生オーディオ信号を生成する
オーディオ信号処理方法において、前記圧縮オーディオ
信号を前記圧縮オーディオ符号化方式の技術規準にした
がって周波数領域毎の信号に分解し、前記圧縮オーディ
オ符号化方式の技術規準にしたがって前記周波数領域毎
の信号を合成して時間領域の信号に変換するためのフィ
ルタ演算を、前記第1のチャネル数のオーディオ信号を
前記第2のチャネル数のオーディオ信号に変換する疑似
立体オーディオ方式の技術基準に規定された周波数特性
情報にしたがって変更した変更フィルタ演算により実行
し、前記第1のチャネル数の合成オーディオ信号を出力
し、前記合成オーディオ信号同士を加算して、前記第2
のチャネル数の再生オーディオ信号を出力することを特
徴とする。
【0017】本発明のオーディオ信号処理装置におい
て、アンパッキング手段では、圧縮オーディオ符号化方
式の技術規準にしたがって第1のチャネル数の記録オー
ディオ信号を符号化したものである圧縮オーディオ信号
を、前記圧縮オーディオ符号化方式の技術規準に従って
周波数領域毎の信号に分解する。次に合成フィルタで
は、前記アンパッキング手段より出力された前記周波数
領域毎の信号を合成して時間領域の信号に変換するため
のフィルタ演算を、前記第1のチャネル数のオーディオ
信号を前記第2のチャネル数のオーディオ信号に変換す
る疑似立体オーディオ方式の技術基準に規定された周波
数特性情報にしたがって変更した変更フィルタ演算によ
り実行し、前記第1のチャネル数の合成オーディオ信号
を出力する。次に加算回路では、合成フィルタ手段より
出力される合成オーディオ信号同士を加算して、前記第
2のチャネル数の再生オーディオ信号を出力する。
【0018】また、本発明のオーディオ信号処理方法に
おいて、まず、圧縮オーディオ信号を前記圧縮オーディ
オ符号化方式の技術規準にしたがって周波数領域毎の信
号に分解する。そして、この周波数領域毎に分解した信
号に対し、前記圧縮オーディオ符号化方式の技術規準に
したがって前記周波数領域毎の信号を合成して時間領域
の信号に変換するためのフィルタ演算を、前記第1のチ
ャネル数のオーディオ信号を前記第2のチャネル数のオ
ーディオ信号に変換する疑似立体オーディオ方式の技術
基準に規定された周波数特性情報にしたがって変更した
変更フィルタ演算により実行し、前記第1のチャネル数
の合成オーディオ信号を出力する。次に、この合成オー
ディオ信号同士を加算して、前記第2のチャネル数の再
生オーディオ信号を出力する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるオーディオ信
号処理装置及び方法の実施の形態について説明する。図
1は、本実施の形態によるオーディオ信号処理装置の概
要を示すブロック図である。このオーディオ信号処理装
置は、オーディオデコーダ202と加算回路227とを
有し、オーディオデコーダ202はアンパッキング回路
221と変更合成フィルタ223を有する。そして、ア
ンパッキング回路221は、圧縮オーディオ信号201
を所定の圧縮オーディオ符号化方式の技術規準にしたが
って周波数領域毎の信号に分解するものである。
【0020】また、変更合成フィルタ223は、アンパ
ッキング回路221に接続され、このアンパッキング回
路221より出力される周波数領域毎の信号(周波数領
域サンプル)222に対し、変更フィルタ演算を施し
て、前記第1のチャネル数の合成オーディオ信号203
を出力するものである。この変更フィルタ演算は、前記
圧縮オーディオ符号化方式の技術規準にしたがって周波
数領域毎の信号を合成して時間領域の信号に変換するフ
ィルタ演算を、前記第1のチャネル数のオーディオ信号
を前記第2のチャネル数のオーディオ信号に変換する疑
似立体オーディオ方式の技術基準に規定された周波数特
性情報にしたがって変更したものである。
【0021】すなわち、フィルタ処理自体は、従来の合
成フィルタによるフィルタ演算と同様であるが、このフ
ィルタ処理に用いるフィルタ係数が疑似立体オーディオ
方式の技術基準に規定された周波数特性情報にしたがっ
て変更されている。この変更フィルタ係数は、予めフィ
ルタ係数ROM224に格納されている。なお、この詳
細な内容については後述するが、係数ROM224に
は、式(4)に示す内容が格納されている。
【0022】また、加算回路227は、変更合成フィル
タ223に接続され、変更合成フィルタ223からの合
成(マルチチャネル)オーディオ信号203同士を足し
合わせ、前記第2のチャネル数(2チャネル)の再生オ
ーディオ信号206を出力するものである。
【0023】次に、図1に基づいて、本実施の形態によ
るオーディオ信号処理方法の概要を説明すると、まず、
アンパッキング回路221で、圧縮オーディオ信号20
1をアンパックして周波数領域サンプル222を作成す
る。次に、変更合成フィルタ223では、変更フィルタ
係数ROM224に格納したフィルタ係数に基づいてフ
ィルタ演算処理を行う。ここで係数ROM224の内容
が従来例の係数ROM124とは変更されており、周波
数領域サンプル222を時間領域に変換するとともに、
疑似立体音響処理を施して、マルチチャネルオーディオ
信号203を出力する。次に、加算回路227では、マ
ルチチャネルオーディオ信号223のチャネル同士を加
算して、2チャネルオーディオ信号206を出力する。
マルチチャネルオーディオ信号203には、既に疑似立
体音響処理が施されているので、従来例のフィルタ回路
105を備えることなしに、疑似立体音響効果が実現さ
れる。
【0024】次に、変更合成フィルタ223の処理内容
について、図1及び図3(従来例)を参照して詳細に説
明する。まず、従来例の合成フィルタ123のフィルタ
演算を、 S(t)=F(ΣCn Afn) ・・・式1 とする。ここでS(t)は、時間領域のマルチチャネル
オーディオ信号であり、F()は、周波数領域から時間
領域に変換する合成フィルタ関数である。また、Cn
は、n番目の係数であり、Afnは、周波数fnの周波数
領域サンプル122である。従来例のフィルタ係数RO
M124には、係数Cn が格納されている。
【0025】一方、従来例のフィルタ回路105に示し
た疑似立体音響処理のフィルタは、特定の周波数の信号
を強調、減衰する処理であるから、周波数領域では次の
ように表すことができる。 Y(f)=ΣKm Xfm ・・・式2 ここでY(f)は、周波数領域で表したフィルタ出力で
ある。また、Km は、m番目の係数であり、Xfmは、入
力信号Xの周波数fmの成分の振幅である。従来例で
は、合成フィルタ123の処理後にフィルタ回路105
による疑似立体音響処理を実行していたが、本実施の形
態では、この順序を逆にし、合成フィルタ123の入力
信号Afnに、疑似立体音響処理のためのフィルタ処理を
施した後、合成フィルタ処理を行う。
【0026】入力信号Afnに疑似立体音響処理を施す
と、式2から Y(f)=ΣKn Afn ・・・式3 となる。この信号に合成フィルタ処理を施すと、式1よ
り、 S(t)=F(ΣCn Yfn) =F(ΣCn Kn Afn) =F(ΣDn Afn) ただし、Dn =Cn Kn ・・・式4 となる。ここでYfnは、Y(f)のうち周波数fnの成
分である。
【0027】式4は、式1と係数が異るだけであるか
ら、従来の合成フィルタ123と同一の処理である。し
たがって、従来例のフィルタ係数ROM124の代わり
に、係数Dn を格納した変更フィルタ係数ROM224
を備えることにより、疑似立体音響処理を施したマルチ
チャネルオーディオ信号203を生成することができ
る。すなわち、変更フィルタ係数ROM224の内容
を、圧縮オーディオの技術規準に定められた係数と、疑
似立体音響処理の技術規準に定められた周波数特性とを
掛け合わせた値にする。そして、たとえば特定周波数の
係数を、圧縮オーディオの技術規準に定められた計数値
より大きくする。この結果、変更合成フィルタ223に
より、周波数領域サンプル222を時間領域に変換する
とともに、疑似立体音響処理を施すことができる。
【0028】したがって、マルチチャネルオーディオ信
号203を単に加算することで、2チャネルオーディオ
信号206を得ることができ、従来例の疑似立体音響処
理のフィルタ回路5は必要ない。このため、疑似立体音
響処理のための乗算器が不要となり、オーディオ信号処
理回路を安価に実現できる。また、低消費電力化が実現
できる。
【0029】次に、本発明の具体的な実施例について説
明する。図2は、本実施例によるオーディオ信号処理装
置の概要を示すブロック図である。なお、図1と共通の
構成については同一符号を付して説明する。図2におい
て、アンパッキング回路221は、圧縮オーディオ信号
201から周波数サンプル222を抽出する。この例で
は、4チャネル(L、R、SL、SR)の信号とし、こ
のうちSL(後方左)およびSR(後方右)は、疑似立
体音響処理を施す必要がある。
【0030】変更合成フィルタ223は、周波数サンプ
ル222を時間領域に変換してマルチチャネルオーディ
オ信号203を出力するフィルタ回路であり、Lチャネ
ル及びRチャネルの信号については、従来例の合成フィ
ルタ123と同じ処理を行う。また、SLチャネル及び
SRチャネルの信号については、前述したように従来例
とは、フィルタ係数を変更した処理を行う。変更フィル
タ係数ROM224には、このような各チャネルに対す
る処理を行うためのフィルタ係数及び変更フィルタ係数
が予め格納してある。
【0031】たとえば、圧縮オーディオ符号化技術がM
PEGオーディオであるとすると、周波数領域サンプル
222は全帯域を32(750Hzずつ)に分割したサ
ブバンドのサンプルA0 〜A31として表される。ここ
で、たとえば、A0 は周波数0〜750Hz、A1 は7
50Hz〜1,500Hzのサブバンドのサンプルであ
る。疑似立体音響処理として、たとえば周波数1,00
0Hz付近を強調して前方音特性を打ち消し、15,0
00Hzを強調して後方音特性を付加するのであれば、
A1 およびA20を強調すればよい。また、たとえば1,
000Hz付近を6dB(2倍)強調するのであれば、
A1 に掛かるフィルタ係数を2倍にすればよい。すなわ
ち、式4においてD1 =2C1 とする。
【0032】このようにして、各サブバンドの強調、減
衰を計算した変更フィルタ係数を変更フィルタ係数RO
M224に格納しておく。また、この係数の変更は、上
述のようにSLチャネルとSRチャネルだけで、Lチャ
ネルとRチャネルは疑似立体音響処理を施さないため、
従来例と同じ係数を使用する。また、加算回路227で
は、マルチチャネルオーディオ信号203のSLの信号
をLの信号に加算し、また、SRの信号をRの信号に加
算し、2チャネルオーディオ信号206を出力する。
【0033】次に、本実施例の動作について説明する。
まず、アンパッキング回路221は、圧縮オーディオ信
号201から周波数領域サンプル222を抽出する。変
更合成フィルタ223は、各チャネルの周波数領域サン
プル222をそれぞれ合成処理し、各チャネルのマルチ
チャネルオーディオデータ203を出力する。このとき
SLチャネルとSRチャネルのフィルタ係数は、圧縮オ
ーディオ符号化の技術規準による計数値Cn に疑似立体
音響処理の係数Kn を乗じた係数を使用することになる
ので、前方音特性が打ち消され、後方音特性が強調され
た信号となっている。
【0034】加算回路27では、マルチチャネルオーデ
ィオ信号203のLチャネルの信号とSLチャネルの信
号を加算するとともに、Rチャネルの信号とSRチャネ
ルの信号を加算し、2チャネルオーディオ信号206と
して出力する。このとき、SLチャネルの信号及びSR
チャネルの信号には、後方音特性がすでに付加されてい
るため、疑似立体音響処理用フィルタなしで、疑似立体
音響が実現される。
【0035】なお、以上の例では、第1のチャネル数を
4、第2のチャネル数を2としたが、本発明はこれに限
らない。また、変更フィルタ係数をROM224に格納
したが、他のメモリに格納する構成であってもよい。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明のオーディオ
信号処理装置及び方法では、疑似立体音響処理機能を具
備したオーディオ信号処理装置を、簡単な回路構成、大
きさ、重量、価格により実現することができる。その理
由は、たとえばハードウエアで構成する場合、従来はオ
ーディオデコーダの後段に存在した疑似立体音響処理用
のフィルタ回路を設けることなく、オーディオデコーダ
により疑似立体音響処理を実現することができるためで
ある。また、DSP等のソフトウェアで実現する場合
も、オーディオデコーダだけの場合と同程度の処理量で
済むため、高性能のDSPを使用する必要がなく、やは
り安価に実現できる。
【0037】また、本発明のオーディオ信号処理装置及
び方法では、オーディオ信号処理装置の消費電力を低減
できる。その理由は、たとえばハードウエアで構成する
場合、回路規模の大きい積和演算器を追加する必要がな
いためである。また、DSP等のソフトウェアで実現す
る場合も、オーディオデコーダだけの場合と同程度の処
理量であり、消費電力も同等となるためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるオーディオ信号処理
装置の概要を示すブロック図である。
【図2】図1に示すオーディオ信号処理装置を具体化し
た実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】従来例によるオーディオ信号処理装置の概要を
示すブロック図である。
【図4】疑似立体音響処理の原理を示す説明図である。
【符号の説明】
202……オーディオデコーダ、221……アンパッキ
ング回路、223……変更合成フィルタ、224……フ
ィルタ係数ROM、227……加算回路。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮オーディオ符号化方式の技術規準に
    したがって第1のチャネル数の記録オーディオ信号を符
    号化したものである圧縮オーディオ信号を信号処理する
    ことにより、前記第1のチャネル数より小さい第2のチ
    ャネル数の再生オーディオ信号を生成するオーディオ信
    号処理装置において、 前記圧縮オーディオ信号を前記圧縮オーディオ符号化方
    式の技術規準に従って周波数領域毎の信号に分解するア
    ンパッキング手段と、 前記圧縮オーディオ符号化方式の技術規準にしたがって
    前記アンパッキング手段より出力された前記周波数領域
    毎の信号を合成して時間領域の信号に変換するためのフ
    ィルタ演算を、前記第1のチャネル数のオーディオ信号
    を前記第2のチャネル数のオーディオ信号に変換する疑
    似立体オーディオ方式の技術基準に規定された周波数特
    性情報にしたがって変更した変更フィルタ演算により実
    行し、前記第1のチャネル数の合成オーディオ信号を出
    力する合成フィルタ手段と、 前記合成フィルタ手段より出力される合成オーディオ信
    号同士を加算して、前記第2のチャネル数の再生オーデ
    ィオ信号を出力する加算手段と、 を有することを特徴とするオーディオ信号処理装置。
  2. 【請求項2】 前記第2のチャネル数は2であることを
    特徴とする請求項1記載のオーディオ信号処理装置。
  3. 【請求項3】 前記合成フィルタ手段は、前記変更フィ
    ルタ演算を実行するための変更フィルタ係数を予め格納
    した係数メモリを有し、前記係数メモリの変更フィルタ
    係数を用いて前記変更フィルタ演算を実行することを特
    徴とする請求項1または2記載のオーディオ信号処理装
    置。
  4. 【請求項4】 圧縮オーディオ符号化方式の技術規準に
    したがって第1のチャネル数の記録オーディオ信号を符
    号化したものである圧縮オーディオ信号を信号処理する
    ことにより、前記第1のチャネル数より小さい第2のチ
    ャネル数の再生オーディオ信号を生成するオーディオ信
    号処理方法において、 前記圧縮オーディオ信号を前記圧縮オーディオ符号化方
    式の技術規準にしたがって周波数領域毎の信号に分解
    し、 前記圧縮オーディオ符号化方式の技術規準にしたがって
    前記周波数領域毎の信号を合成して時間領域の信号に変
    換するためのフィルタ演算を、前記第1のチャネル数の
    オーディオ信号を前記第2のチャネル数のオーディオ信
    号に変換する疑似立体オーディオ方式の技術基準に規定
    された周波数特性情報にしたがって変更した変更フィル
    タ演算により実行し、前記第1のチャネル数の合成オー
    ディオ信号を出力し、 前記合成オーディオ信号同士を加算して、前記第2のチ
    ャネル数の再生オーディオ信号を出力する、 ことを特徴とするオーディオ信号処理方法。
  5. 【請求項5】 前記第2のチャネル数は2であることを
    特徴とする請求項4記載のオーディオ信号処理方法。
  6. 【請求項6】 前記合成フィルタ手段は、前記変更フィ
    ルタ演算を実行するための変更フィルタ係数を予め係数
    メモリに格納しておき、前記係数メモリの変更フィルタ
    係数を用いて前記変更フィルタ演算を実行することを特
    徴とする請求項4または5記載のオーディオ信号処理方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100542129B1 (ko) * 2002-10-28 2006-01-11 한국전자통신연구원 객체기반 3차원 오디오 시스템 및 그 제어 방법
CN104378728A (zh) * 2014-10-27 2015-02-25 常州听觉工坊智能科技有限公司 立体声音频处理方法和装置

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