JP2000148721A - 貸倒金額の確率分布算出装置、貸倒金額の確率分布算出方法、及び、貸倒金額の確率分布を算出するためのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

貸倒金額の確率分布算出装置、貸倒金額の確率分布算出方法、及び、貸倒金額の確率分布を算出するためのプログラムを記録した記録媒体

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JP2000148721A
JP2000148721A JP11115487A JP11548799A JP2000148721A JP 2000148721 A JP2000148721 A JP 2000148721A JP 11115487 A JP11115487 A JP 11115487A JP 11548799 A JP11548799 A JP 11548799A JP 2000148721 A JP2000148721 A JP 2000148721A
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probability
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Hiroyuki Ota
田 博 之 太
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Asahi Bank Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金融機関における貸倒金額の確率分布が正確
に求められるようにする。 【解決手段】 貸倒金額の確率分布算出装置を、貸出先
のそれぞれの貸出金額と倒産確率とを入力するための貸
出金額・倒産確率入力装置10と、これら貸出金額と倒
産確率に基づいてその特性関数を算出するための特性関
数算出装置12と、この特性関数をフーリエ逆変換をす
ることにより確率分布を算出するための確率分布算出装
置14と、この算出された確率分布をプリンタにグラフ
として出力するための確率分布出力装置16とで、構成
する。これによりコンピュータを用いて容易に貸倒金額
の確率分布が正確に求めることができるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の貸出先を有
する金融機関において、各貸出先の貸出金額と、各貸出
先の倒産確率とが既知であることを前提に、貸出金全体
から発生する貸倒金額の確率分布を算出するためのコン
ピュータ技術に関する。
【0002】
【従来の技術】都市銀行等のある程度の規模を有する金
融機関の場合、資金を貸し出している貸出先は、数万先
にのぼる。ここで、1つの貸出先に着目した場合、その
貸出先が倒産する場合と、倒産しない場合の、2通りが
考えられる。つまり、1つの貸出先について、倒産、非
倒産の2通りが考えられる。したがって、貸出金全体か
ら発生する貸倒金額の確率分布を算出しようとする場
合、全体の倒産、非倒産の場合の数は、2の貸出先数
乗、すなわち、2の数万乗という莫大な数になってしま
う。このため、それぞれの貸出先の倒産する確率である
倒産確率と、それぞれの貸出先の貸出金額がわかってい
たとしても、貸出金全体での倒産金額の確率分布を算出
するためには、2の数万乗(約1兆の千乗程度)とい
う、莫大な場合のすべてについて計算する必要があり、
この確率分布の算出はコンピュータを利用しても事実上
不可能である。つまり、コンピュータを用いたとしても
計算負荷が大きすぎて、算出することが現実的にできな
い。したがって、現状ではこの分野で貸倒金額の確率分
布を正確に計算する技術はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したところからわ
かるように、従来、貸倒金額の確率分布を正確に算出す
る技術が存在しなかったため、この貸倒金額の確率分布
を求めるために、シュミレーション法が採用されてい
た。このシミュレーション法とは、全体の倒産、非倒産
のうちの一部をサンプルとして抽出し、このサンプルの
貸倒金額の確率分布を算出した上で、全体の貸倒金額の
確率分布を推定するという方法であった。すなわち、2
の数万乗の場合の数の中から乱数により1万件程度を取
り出し、その貸倒金額の確率分布の分布状況を算出した
上で、全体である2の数万乗の場合の貸倒金額の確率分
布を推定するという方法であった。このシミュレーショ
ン法により、全体の貸倒金額の確率分布を求めたグラフ
の例を図12に示す。この図12のグラフからわかるよ
うに、このシミュレーション法では誤差が大きいため実
用には向いていないという問題があった。すなわち、グ
ラフの精度が粗いため、ある貸倒金額になる確率密度が
必ずしも正確に求まらないという問題があった。つま
り、推定誤差が大きすぎて、非実用的であるという問題
があった。
【0004】そこで本発明は上記課題に鑑みてなされた
ものであり、各貸出先の貸出金額と、各貸出先の倒産確
率とが既知である場合に、貸出金全体から発生する貸倒
金額の確率分布を正確に算出するコンピュータ技術を提
供することを目的とする。すなわち、コンピュータを用
いて、金融機関全体の又は複数の貸出先をグループとし
て見た場合の貸倒金額の確率分布を正確に求めることが
できるようにし、ある貸倒金額になる確率密度を正確に
求めることができるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明に係る貸倒金額の確率分布算出装置は、複数の貸
出先を有する金融機関における貸倒金額の確率分布算出
装置であって、前記複数の貸出先のそれぞれの貸出金額
と倒産確率とを入力するための、入力手段と、前記入力
手段で入力された前記貸出金額と前記倒産確率に基づい
て、その特性関数を算出するための、特性関数算出手段
と、前記特性関数算出手段により算出された前記特性関
数をフーリエ逆変換をすることにより、確率分布を算出
するための、確率分布算出手段と、前記確率分布算出手
段により算出された前記確率分布を出力するための、確
率分布出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】本発明に係る貸倒金額の確率分布算出装置
は、複数の貸出先を有する金融機関における貸倒金額の
確率分布算出装置であって、前記複数の貸出先のそれぞ
れの格付が変動する確率である格付変動確率と、前記複
数の取引先の前記格付の変動による債権価値の変動額で
ある債権価値変動額とを取得する、取得手段と、前記取
得手段で取得した前記格付変動確率と前記債権価値変動
額とに基づいて、その特性関数を算出するための、特性
関数算出手段と、前記特性関数算出手段により算出され
た前記特性関数をフーリエ逆変換をすることにより、確
率分布を算出するための、確率分布算出手段と、前記確
率分布算出手段により算出された前記確率分布を出力す
るための、確率分布出力手段と、を備えることを特徴と
する。
【0007】本発明に係る貸倒金額の確率分布算出装置
は、複数の貸出先を有する金融機関における貸倒金額の
確率分布算出装置であって、前記複数の貸出先のそれぞ
れの貸出金額と倒産確率とを入力するための、入力手段
と、前記入力手段で入力された前記貸出金額に基づい
て、前記貸出先が倒産した場合に前記金融機関が実質的
に損害を被る金額である実損金額を算出する、実損金額
算出手段と、前記実損金額と前記倒産確率とに基づい
て、その特性関数を算出するための、特性関数算出手段
と、前記特性関数算出手段により算出された前記特性関
数をフーリエ逆変換をすることにより、確率分布を算出
するための、確率分布算出手段と、前記確率分布算出手
段により算出された前記確率分布を出力するための、確
率分布出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】本発明に係る貸倒金額の確率分布算出装置
は、複数の貸出先を有する金融機関における貸倒金額の
確率分布算出装置であって、前記貸出先が倒産した場合
に前記金融機関が実質的に損害を被る金額である実損金
額を将来の変動を予測して複数取得するとともに、前記
貸出先が倒産する倒産確率を将来の変動を予測して複数
取得して、これを複数のシナリオとする、シナリオ取得
手段と、前記シナリオ取得手段で取得した複数の前記実
損金額と前記倒産確率とに基づいて、前記シナリオ毎に
特性関数を算出するための、特性関数算出手段と、前記
特性関数算出手段により算出された前記特性関数をフー
リエ逆変換をすることにより、前記シナリオ毎に確率分
布を算出するための、確率分布算出手段と、前記シナリ
オ毎の確率分布の平均である平均確率分布を算出するた
めの、平均確率分布算出手段と、前記平均確率分布算出
手段により算出された前記平均確率分布を出力するため
の、確率分布出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】本発明に係る貸倒金額の確率分布算出装置
は、複数の貸出先を有する金融機関における貸倒金額の
確率分布算出装置であって、前記貸出先が倒産した場合
に前記金融機関が実質的に損害を被る金額である実損金
額を将来の変動を予測して複数取得するとともに、前記
貸出先が倒産する倒産確率を将来の変動を予測して複数
取得して、これを複数のシナリオとする、シナリオ取得
手段と、前記シナリオ取得手段で取得した複数の前記実
損金額と前記倒産確率とに基づいて、前記シナリオ毎に
特性関数を算出するための、特性関数算出手段と、前記
特性関数算出手段により算出された前記特性関数をフー
リエ逆変換をすることにより、前記シナリオ毎に確率分
布を算出するための、確率分布算出手段と、前記確率分
布算出手段により算出された前記シナリオ毎の確率分布
をそれぞれ出力するための、確率分布出力手段と、を備
えることを特徴とする。
【0010】本発明に係る貸倒金額の確率分布算出装置
は、複数の貸出先を有する金融機関における貸倒金額の
確率分布算出装置であって、前記複数の貸出先のそれぞ
れの貸出金額を取得するとともに、前記貸出先が倒産す
る倒産確率を将来の変動を予測して複数取得して、これ
を複数のシナリオとする、シナリオ取得手段と、前記シ
ナリオ取得手段で取得した前記貸出金額と複数の前記倒
産確率とに基づいて、前記シナリオ毎に特性関数を算出
するための、特性関数算出手段と、前記特性関数算出手
段により算出された前記特性関数をフーリエ逆変換をす
ることにより、前記シナリオ毎に確率分布を算出するた
めの、確率分布算出手段と、前記シナリオ毎の確率分布
の平均である平均確率分布を算出する、平均確率分布算
出手段と、前記平均確率分布算出手段により算出された
前記平均確率分布を出力するための、確率分布出力手段
と、を備えることを特徴とする。
【0011】本発明に係る貸倒金額の確率分布算出装置
は、複数の貸出先を有する金融機関における貸倒金額の
確率分布算出装置であって、前記複数の貸出先のそれぞ
れの貸出金額を取得するとともに、将来を予測して、前
記貸出先が倒産する複数の倒産確率を取得して、これを
複数のシナリオとする、シナリオ取得手段と、前記シナ
リオ取得手段で取得した前記貸出金額と前記複数の倒産
確率とに基づいて、前記シナリオ毎の特性関数を算出す
るための、特性関数算出手段と、前記特性関数算出手段
により算出された前記特性関数をフーリエ逆変換をする
ことにより、前記シナリオ毎に確率分布を算出するため
の、確率分布算出手段と、前記確率分布算出手段により
算出された前記シナリオ毎の確率分布をそれぞれ出力す
るための、確率分布出力手段と、を備えることを特徴と
する。
【0012】また、本発明に係る貸倒金額の確率分布算
出装置は、N個の貸出先k=1…Nを有する金融機関に
おける貸倒金額の確率分布算出装置であって、前記N個
の貸出先k=1…Nのそれぞれの貸出金額Mkと倒産確
率pkとを入力するための、入力手段と、前記入力手段
で入力された前記貸出金額Mkと前記倒産確率pkのうち
の少なくとも一方に基づいて、前記貸出先数Nを算出す
るための、貸出先数算出手段と、フーリエ変換の分点数
nに対して、t=2πm/(22n)、(m=0、1、
2、…、22n−1)の各tにおける特性関数
【数4】 を算出するための、特性関数算出手段と、前記特性関数
算出手段により算出された前記特性関数を、高速フーリ
エ変換法を用いて、フーリエ逆変換をすることにより、
確率分布を算出するための、確率分布算出手段と、前記
確率分布算出手段により算出された前記確率分布を出力
するための、確率分布出力手段と、を備えることを特徴
とする。
【0013】本発明に係る貸倒金額の確率分布算出方法
は、複数の貸出先を有する金融機関における貸倒金額の
確率分布算出方法であって、前記複数の貸出先のそれぞ
れの貸出金額と倒産確率とを入力するための、入力処理
と、前記入力処理で入力された前記貸出金額と前記倒産
確率に基づいて、その特性関数を算出するための、特性
関数算出処理と、前記特性関数算出処理により算出され
た前記特性関数をフーリエ逆変換をすることにより、確
率分布を算出するための、確率分布算出処理と、前記確
率分布算出処理により算出された前記確率分布を出力す
るための、確率分布出力処理と、を備えることを特徴と
する。
【0014】また、本発明に係るプログラムを記録した
記録媒体は、複数の貸出先を有する金融機関における貸
倒金額の確率分布を算出するプログラムが記録された記
録媒体であって、前記複数の貸出先のそれぞれの貸出金
額と倒産確率とを入力するための、入力処理と、前記入
力処理で入力された前記貸出金額と前記倒産確率に基づ
いて、その特性関数を算出するための、特性関数算出処
理と、前記特性関数算出処理により算出された前記特性
関数をフーリエ逆変換をすることにより、確率分布を算
出するための、確率分布算出処理と、前記確率分布算出
処理により算出された前記確率分布を出力するための、
確率分布出力処理と、を備えるプログラムを記録したこ
とを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】〔第1実施形態〕本発明の第1実
施形態は、確率分布と特性関数が、フーリエ変換及びフ
ーリエ逆変換により、一対一に対応していることを利用
して、金融機関における貸出先全体の貸倒金額の特性関
数をまず求めて、この特性関数をフーリエ逆変換するこ
とにより、全体の貸倒金額の確率分布を求めようとする
ものである。より詳しくを以下に説明する。
【0016】まず図1に基づいて、確率分布と特性関数
に対する、フーリエ変換とフーリエ逆変換の関係を説明
する。図1は、確率分布と特性関数に対する、フーリエ
変換とフーリエ逆変換の関係を示す図である。
【0017】この図1からわかるように、確率分布をフ
ーリエ変換すると、特性関数が求まる。これに対して、
特性関数をフーリエ逆変換すると、確率分布が求まる。
本実施形態は、この関係を利用して、全体の貸倒金額の
特性関数を求めた上で、この求まった特性関数をフーリ
エ逆変換して全体の貸倒金額の確率分布を求めるのであ
る。
【0018】次に、本実施形態における全体の貸倒金額
の確率分布を求めるための過程を説明する。貸出先の数
をNとする。すなわち、貸倒金額の確率分布を求めるた
めの対象となる貸出先の数をNとする。この貸出先の数
Nは、ある金融機関における全貸出先の数であってもよ
いし、複数の貸出先をまとめたグループ内の貸出先の数
であってもよい。Xkは貸出先kの倒産(Xk=1)、非
倒産(Xk=0)を表す確率変数とする。ここで、k=
1、2、…Nである。貸出先kが倒産する確率である倒
産確率はpkとする。また、確率変数Xkはそれぞれ独立
であると仮定する。すなわち、ある貸出先が倒産する確
率と、別の貸出先が倒産する確率とは、独立であると仮
定する。Mkを貸出先kへの貸出金額とし、貸出金全体
での貸倒金額をLとする。すると、貸出金全体での貸倒
金額Lの分布は、数式(1)で表される。
【数5】
【0019】貸出金全体の貸倒金額Lの特性関数φ
(t)を考える。特性関数φ(t)の定義は、φ(t)
=E〔exp(iLt)〕である。ここでi=(−1)
1/2を意味しており、Eは期待値を意味しており、ex
p()は自然対数の底を底とする指数関数を意味してい
る。この特性関数φ(t)を展開すると、
【数6】 この数式(2)より、特性関数が定式化できる。
【0020】次に、フーリエ逆変換を考える。本実施形
態においては、コンピュータを用いた高速フーリエ変換
法(Fast Fourier Transform:FFT)を用いる。この
FFTでは、
【数7】 について、特性関数φ(t)の値を複素数で与えれば、
フーリエ逆変換が行われ、貸出金全体での貸倒金額Lの
確率分布f(L)が計算される。ここで、m=0、1、
2…2n−1であり、L=0、1、2…2n−1である。
また、nはフーリエ変換の分点数Qを定めるパラメータ
である。つまり、分点数Q=22n個になる。したがっ
て、数式(2)に数式(3)を順次代入することによ
り、貸倒金額Lの確率分布f(L)を算出することがで
きる。
【0021】次に、図2乃至図4に基づいて、上述した
貸倒金額Lの確率分布f(L)を求めるための処理を説
明する。図2は、この貸倒金額Lの確率分布f(L)を
求めるための処理フローを概略的に示す図であり、図3
及び図4は、この処理フローをより詳細に示す図であ
る。
【0022】まず、図2に基づいて、本実施形態に係る
貸倒金額の確率分布を算出するための手法を、コンピュ
ータで実施した場合の概略的な処理を説明する。この図
2からわかるように、まず、各貸出先の貸出金額Mk
倒産確率pkとを入力する(ステップS1)。続いて、
これら貸出金額Mkと倒産確率pkとのうちの少なくとも
一方のデータを用いて貸出先数Nを算出した上で、特性
関数φ(t)を計算する(ステップS2)。次に、この
特性関数φ(t)をフーリエ逆変換することにより、貸
出金全体の貸倒金額Lの確率分布f(L)が求まる(ス
テップS3)。そして、この確率分布をプリンタ等で出
力する(ステップS4)。以上が、本実施形態の概略的
な処理である。
【0023】次に、図3に基づいて、本実施形態に係る
貸倒金額の確率分布を算出するための手法を、コンピュ
ータで実施した場合の詳しい処理を説明する。この図3
からわかるように、まず、各貸出先の貸出金額M(k)
と倒産確率P(k)をデータとして入力する(ステップ
S11)。ここで、kは貸出先を特定するための変数で
ある。つまり、M(k)は貸出先kへの貸出金額であ
り、P(k)は貸出先kの倒産確率である。これらのデ
ータ入力は、例えば、銀行の大型ホストコンピュータか
らダウンロードすることにより、入力作業の容易化を図
ることが可能である。次に、数式(3)からわかるよう
に、t=0とした上で(ステップS12)、貸出先を特
定するための変数kを1とし、tがある値の時の特性関
数φ(t)を求めるための変数Aを1とする(ステップ
S13)。
【0024】次に、上述した数式(2)に基づく算術を
行う。すなわち、A=A×{1+P(k)×(exp
(t×M(k))−1}をk=1から貸出先数Nになる
まで順次繰り返して実行する(ステップS14〜ステッ
プS16)。続いて、この算出されたAを特性関数φ
(t)に代入する。次に、tに2π/(22n)を加える
(ステップS18)。つまり、次のtを算出する。この
tが2πに満たないときは(ステップS19)、ステッ
プS13からの処理を繰り返す。tが2π以上になった
ときは(ステップS19)、特性関数φ(t)が求まっ
たことになるので、図4に示すフーリエ逆変換の処理を
行う。
【0025】すなわち、図4からわかるように、特性関
数φ(t)からフーリエ係数を抽出する(ステップS2
0)。続いて、分点数Qである22nを4で除算すること
により分点数Qを1/4にする(ステップS21)。次
に、4×Q分点フーリエ係数列を4分点フーリエ係数列
Q組と考える(ステップS22)。すなわち、係数列C
(w)について、wをQで割った余りをw’とした場
合、C(w’)、C(w’+Q)、C(w’+2Q)、
C(W’+3Q)を4分点フーリエ係数列とみなす。続
いて、4分点フーリエ逆変換をQ回繰り返す(ステップ
S23)。すなわち、Q組分の4分点フーリエ逆変換を
行う。こうして得られた係数列をD(S、w’) S
=0、1、2、3とする。
【0026】次に、回転因子であるexp((−2πi
w’S/(4Q))をQ組の4分点フーリエ係数列に乗
算する(ステップS24)。続いて、このように算出さ
れたQ組の4分点フーリエ係数列を、4組のQ分点フー
リエ係数列と見なす(ステップS25)。次に、Q=1
となったかどうかを判断する(ステップS26)。この
ステップS26でQ=1となっていないと判断した場合
は、Qを4で除算した上で(ステップS27)、上述し
たステップS21からの処理を繰り返す。ステップS2
6でQ=1となっていると判断した場合は、これにより
特性関数φ(t)のフーリエ逆変換が完了し、確率分布
が算出されたことになるので、この確率分布における確
率密度を縦軸にとり、貸倒金額を横軸にとって、確率分
布を出力する(ステップS28)。この確率分布の出力
の一例を図5に示す。この図5に示すグラフは、横軸の
貸倒金額が1円単位で棒グラフが描かれる形で作成され
る。
【0027】この図5からわかるように、本実施形態に
おいては、それ以上の貸倒が発生する確率密度が算出処
理上実質的にゼロとみなせる貸倒金額までの確率分布を
算出している。つまり、一定の金額以上の貸倒金額が発
生する確率密度は、算出処理をする上でも、実用的に用
いる上でも、ゼロとみなしても差し支えない。このた
め、一定の金額以上の貸倒金額の発生する確率分布を求
めることを省くことにより、算出処理の高速化を図ろう
としている。例えば、図5では4000億円以上の貸倒
金額の発生する確率密度は実質的にゼロとみなせるの
で、本実施形態では、4000億円の貸倒金額までしか
確率分布を求めていない。この場合n=20となる。つ
まり、図5における横軸として1円単位で4000億円
分必要になるので、22n−1が少なくとも4000億を
超えるように、nを設定すればよい。すなわち、2
2×20−1は約1兆995億であるので、n=20に設
定すればよい。
【0028】なお、本実施形態のように一定の貸倒金額
以上を省かずに、すべての貸倒金額について確率分布を
算出することも可能である。すなわち、図5における横
軸として、すべての貸出先の貸出金総合計額までグラフ
を出力するように、算出処理をすることも可能である。
【0029】以上のように本実施形態に係る貸出金額の
確率分布を算出する技術によれば、多数の貸出先がある
場合における貸倒金額の確率分布をコンピュータを用い
て正確に計算することができる。このため、銀行等の金
融機関は事前に貸倒金額の発生を確率的に予想すること
ができる。例えば、図5を例に説明すると、700億円
の貸倒金額が発生する確率密度は0.0010である
と、確率的に予想することができる。また、3000億
円以上の貸倒金額が発生する確率密度は99%以下であ
ると、判断することができる。このように貸倒金額の発
生が事前に確率的にわかることにより、銀行等の金融機
関は、貸倒引当金の設定や自己資本の充実などの手段に
より、信用リスクの管理が可能になる。
【0030】また、それ以上の貸倒金額の発生する確率
密度が算出処理上実質的にゼロとみなせる金額以上の確
率密度の算出を省略することとしたので、コンピュータ
の負荷を軽減し、短時間で確率分布を算出することがで
きる。
【0031】〔第2実施形態〕本発明の第2実施形態
は、100万円や1億円等の所定の金額を1単位と決
め、各貸出先の貸出金額をこの所定単位毎にまとめた上
で、コンピュータにより確率分布の算出をさせることに
より、コンピュータにかかる計算負荷を軽減させたもの
である。
【0032】図6は、第2実施形態に係る金融機関にお
ける貸倒金額の確率分布の算出処理をフローにまとめて
示す図である。この図6からわかるように、第2実施形
態に係る処理フローは、図2に示す第1実施形態の処理
フローのステップS1とステップS2の間にステップS
30を設けた点で相違する。すなわち、各貸出先の貸出
金額Mkと倒産確率pkとを入力した後(ステップS
1)、この貸出金額Mkを所定単位の整数倍にまとめる
(ステップS30)。このまとめる処理では、貸出金額
kを所定単位で切り上げる、切り捨てる、四捨五入す
る等の、処理が考えられる。本実施形態では、1億円単
位で貸出金額Mkを切り上げる処理をしている。次に、
算出処理に必要となるnの値を求める。すなわち、それ
以上の貸倒金額が発生する確率が算出処理上実質的にゼ
ロとみなせる貸倒金額を、所定単位である1億円で除算
した商を求める。そして、上述した数式(3)における
mの最大値である22n−1が、この商の値以上になるよ
うに、nを設定する。例えば、上述した第1実施形態と
同様に、それ以上の貸倒金額が発生する確率が算出処理
上実質的にゼロとみなせる金額を、4000億円とする
と、所定単位が1億円の場合、その商は4000とな
る。したがって、フーリエ変換の分点数Qが4000個
必要になることとなり、22×6−1=4095であるの
で、nを6に設定することとなる。
【0033】なお、本実施形態のように一定の貸倒金額
までの確率分布を求めるのではなく、すべての貸出先の
貸出金総合計額の確率分布を求めるようにすることも可
能である。この場合、貸出金総合計額を所定単位で除算
し、その商の値以上に、22n−1がなるように、nを設
定すればよい。
【0034】このステップS30以降の処理は、上述し
た第1実施形態における処理と同様である。なお、本実
施形態においては、貸倒金額の確率分布のグラフ出力
は、所定単位毎の棒グラフとなる。このグラフ出力の一
例を図7に示す。この図7に示すように、グラフ出力は
横軸が貸倒金額1億円毎の棒グラフの形として出力され
るが、まとめる金額の単位をある程度小さくすること
で、誤差のほとんどない滑らかな出力が得られる。
【0035】以上のように、本実施形態に係る貸出金額
の確率分布を算出する技術によれば、コンピュータの計
算負荷を軽くして、算出処理時間を短くすることができ
る。すなわち、上述した第1実施形態では、貸出金額が
0から22n−1までの範囲の確率分布を算出することが
できるが、単位が1円単位であるので、貸出金総合計額
が数兆円以上ある金融機関ではnが大きくなりすぎると
いう問題もある。しかし、本実施形態のように、貸出先
の貸出金額を所定単位でまとめることにより、nの値を
小さくすることができる。これにより、コンピュータの
計算負荷を軽くして、計算時間を短くすることができ
る。このため、パーソナルコンピュータ等の安価なコン
ピュータを用いて、本実施形態を実現することができ、
システムの開発コストの削減を図ることができる。
【0036】また、本実施形態においては、貸出先の貸
出金額を所定単位でまとめる際には、切り上げ処理をす
ることとしたので、最悪の場合を考慮した確率分布のグ
ラフを得ることができる。つまり、フェイルセイフを考
慮した確率分布のグラフを得ることができる。
【0037】〔第3実施形態〕本発明の第3実施形態
は、貸出先(債務者)の信用状況を示す「格付」の変更
にともなう債権価値の変動をも広義の貸倒損失と考え
て、広義の貸倒損失の確率分布を算出しようとするもの
である。すなわち、上述した第1及び第2実施形態で
は、貸出先が倒産する又は倒産しないの2つの状態のみ
を考え、倒産した場合に貸倒損失が発生すると考えた
が、本実施形態では貸出先が倒産しなくとも格付けが変
動することにより貸倒損失が発生すると考える。
【0038】ここで、図8に基づいて「格付」について
説明する。この図8の例では、貸出先の格付として「A
AA」、「AA」、「A」、「BBB」、「BB」、
「B」、「D」という7段階が存在する。「AAA」が
一番高い格付であり、貸出先が優良企業等であることを
示している。そして、「AA」、「A」、「BBB」、
「BB」、「B」の順に格付が低くなり、「D」になる
とその貸出先が倒産したことを示している。
【0039】「格付」の変更にともなう債権価値の変動
とは、将来の一時点を基準時点として、その基準時点に
おいてすべての債権を評価し直した場合に、格付の上が
った貸出先の債権は債権価値の評価が上がり、格付の下
がった貸出先の債権は債権価値の評価が下がるというこ
とを意味している。本実施形態では、この債権価値の変
動を広義の貸倒損失ととらえ、将来の一時点においてど
れだけ債権価値の変動があるかを確率分布の形で捕らえ
ようとするものである。
【0040】図8の例では、ある貸出先の現在の格付が
「A」である。このある貸出先kが将来の一時点におけ
る格付が「AAA」になる確率Pkhは1%であり、「A
A」になる確率Pkhは5%であり、「A」になる確率P
khは80%であり、「BBB」になる確率Pkhは6%で
あり、「BB」になる確率Pkhは5%であり、「B」に
なる確率Pkhは2%であり、「D」になる確率Pkhは1
%である。なお、将来の一時点における貸出先kの格付
が「A」のまま変化しない場合も、便宜的に現在の格付
「A」から格付「A」に変化したものとして、確率Pkh
で表すものとする。
【0041】貸出先kが将来の一時点において格付「A
AA」になった場合は、格付変動にともなう債権価値の
損失割合は貸出金額の−10%になると予想する。つま
り、貸出金額の10%の利益が発生すると予想する。貸
出先kが将来の一時点において格付「AA」になった場
合は、格付変動にともなう債権価値の損失割合は貸出金
額の−5%になると予想する。つまり、貸出金額の5%
の利益が発生すると予想する。貸出先kが将来の一時点
において格付「A」になった場合は、格付変動はなかっ
たことになるので、債権価値の変動は発生しないと考え
る。
【0042】貸出先kが将来の一時点において格付「B
BB」になった場合は、格付変動にともなう債権価値の
損失割合は貸出金額の5%になると予想する。つまり、
貸出金額の5%の損失が発生すると予想する。貸出先k
が将来の一時点において格付「BB」になった場合は、
格付変動にともなう債権価値の損失割合は貸出金額の1
0%になると予想する。つまり、貸出金額の10%の損
失が発生すると予想する。貸出先kが将来の一時点にお
いて格付「B」になった場合は、格付変動にともなう債
権価値の損失割合は貸出金額の20%になると予想す
る。つまり、貸出金額の20%の損失が発生すると予想
する。貸出先kが将来の一時点において格付「D」にな
った場合は、その貸出先kは倒産したことになるので、
すべての貸出金額が損失になると考える。
【0043】次に、このような格付の変動があることを
考慮した場合における特性関数φ(t)を導出する。
【0044】N個の貸出先k=1、2、…Nが存在し、
H段階の格付があるとする。貸出先kの格付が第h格付
に変化する確率をpkhとする。貸出先kはいづれかの格
付をとるため、
【数8】 である。
【0045】将来のある時点において貸出先kの格付が
第h格付になった場合の債権価値の変動額をMkhとす
る。図8に示した例の場合、格付変動による損失割合に
貸出金額を乗算することにより、債権価値の変動額Mkh
が求められる。このような条件においては、債権価値の
変動額の特性関数φ(t)は、
【数9】 である。すなわち、上述した数式(2)を数式(5)に
変形するだけで、債権価値の変動額の特性関数、つまり
広義の貸倒損失の特性関数φ(t)を表現することがで
きる。
【0046】この特性関数φ(t)をフーリエ逆変換す
ることにより、広義の貸倒金額の確率分布を求めること
ができる。
【0047】次に、図9に基づいて、本実施形態に係る
広義の貸倒金額の確率分布を算出するための手法を、コ
ンピュータで実施した場合の処理を説明する。図9はそ
のための処理を説明するためのフローチャートである。
この図9からわかるように、まず、各貸出先の貸出金額
kと、格付変化の確率pkhと、格付変動による損失割
合とを入力する(ステップS40)。格付変化の確率p
khと格付変動による損失割合とは、各貸出先毎に入力し
てもよいし、貸出先に関係なく格付変化のすべてのパタ
ーンについて一括形式で定めておいてもよい。
【0048】次に、これら貸出金額Mkのデータを用い
て貸出先数Nを算出した上で、各貸出先の貸出金額Mk
と、格付変動による損失割合とに基づいて、各貸出先毎
の債権価値の変動額Mkhを算出する(ステップS4
1)。
【0049】次に、各貸出先の格付変化の確率pkhと各
貸出先毎の債権価値の変動額Mkhとを用いて数式(5)
に示した特性関数φ(t)を算出する(ステップS4
2)。次に、この特性関数φ(t)をフーリエ逆変換す
ることにより、広義の貸倒金額Lの確率分布f(L)が
求まる(ステップS3)。そして、この確率分布をプリ
ンタ等で出力する(ステップS4)。
【0050】以上のように、本実施形態に係る広義の貸
倒金額の確率分布についての算出手法によれば、倒産に
至らなくとも信用悪化により債権価値が減少するリスク
も含めた信用リスク管理が可能になる。すなわち、図8
に示したように、将来の一時点において、貸出先が倒産
(格付「D」)に至っていなくとも、格付が「BB
B」、「BB」、「B」に下がることにより債権価値が
減少する。このような債権価値の減少は広い意味での貸
倒損失であると考えることができる。本実施形態では、
このような債権価値の減少をも考慮した広義の貸倒金額
の確率分布を求めることができる。
【0051】〔第4実施形態〕本発明の第4実施形態
は、実損金額及び貸倒確率について複数のシナリオを用
意して、これら複数のシナリオの平均をとることによ
り、貸倒金額の確率分布をより正確にもとめようとする
ものである。
【0052】ここで、実損金額とは、貸出先の貸出金額
から、その貸出先について設定されている担保金額等を
差し引いた金額である。つまり、実損金額=(貸出先へ
の貸出金額)−(担保金額等)で表現することができ
る。これは、貸出先が倒産したとしても、その貸出先に
ついて担保を設定しているような場合には、その担保価
値分については貸出金を回収することができるので、そ
の分を差し引いた金額が実損金額となるためである。
【0053】まず、一般式から説明すると、N個の貸出
先k=1、2、…Nが存在し、倒産確率がpkであり、
貸出金額がMkである確率をG(p1、…、pN、M1
…、MN)とする。このとき、各貸出先の倒産確率p1
…、pNとし、貸出金額をM1、…、MNとした場合のフ
ーリエ逆変換により求めた貸倒金額の確率分布をf
(L、p1、…、pN、M1、…、MN)とする。このよう
に倒産確率及び貸出金額がある確率にしたがって変動す
る場合の貸倒金額の確率分布は、
【数10】 となる。
【0054】あるいは、倒産確率及び貸出金額の変動の
確率分布が連続の場合には、N個の貸出先k=1、2、
…Nが存在し、倒産確率がpkであり、貸出金額がMk
ある確率密度をg(p1、…、pN、M1、…、MN)とす
る。この場合、貸倒金額の確率分布は、
【数11】 となる。つまり、数値積分をすることにより貸倒金額の
確率分布が求まる。
【0055】次に、図10に基づいて、本実施形態に係
る貸倒金額の確率分布を算出するための手法を、コンピ
ュータで実施した場合の処理を説明する。この図10か
らわかるように、まず、各貸出先の貸出金額Mkと倒産
確率pkとを入力する(ステップS50)。続いて、こ
れら貸出金額Mkと倒産確率pkとのうちの少なくとも一
方のデータを用いて貸出先数Nを算出した上で、sn個
分のシナリオを発生させ、各シナリオに基づく各貸出先
の実損金額と倒産確率を生成する。つまり、第1〜第s
nシナリオのそれぞれについて、各貸出先の実損金額と
倒産確率とを生成する。
【0056】例えば、将来の担保価値の変動により、実
損金額は変動することになる。また、将来の日本の経済
状況により、倒産確率は変動することになる。これらs
n個分のシナリオに対する実損金額と倒産確率は、人が
予測した値を入力してもよいし、コンピュータシミュレ
ーションや関数により算出してもよい。
【0057】次に、各シナリオ毎に貸倒金額の確率分布
を算出する。すなわち、まず第1シナリオに基づく各貸
出先の第1実損金額と第1倒産確率と取り込んで(ステ
ップS52(1))、これら第1実損金額と第1倒産確
率とに基づいて特性関数を算出する(ステップS53
(1))。続いて、この特性関数をフーリエ逆変換し
(ステップS54(1))、第1確率分布を取得する
(ステップS55(1))。同様にして、第2シナリオ
による第2確率分布を取得し(ステップS52(2)〜
ステップS55(2))、第3シナリオによる第3確率
分布を取得し(ステップS52(3)〜ステップS55
(3))し、…第snシナリオによる第sn確率分布を
取得する(ステップS52(sn)〜ステップS55
(sn))。
【0058】これまでの処理でsn個の確率分布が得ら
れたことになるが、本実施形態では上述した数式(6)
に基づいて、これらsn個の確率分布の加重平均を求め
(ステップS56)、この加重平均された確率分布をプ
リンタ等で出力する(ステップS47)。なお、図10
の例では各シナリオを平均化した貸倒金額の確率分布を
求めたが、sn個分の貸倒金額の確率分布をそれぞれシ
ナリオ毎にプリンタ等で出力し、その出力結果を人間が
解析するようにすることも可能である。また、上述した
数式(7)に基づけば、ステップS56で数値積分をす
ることにより、各シナリオの平均を求めることになる。
【0059】次に、ステップS51において、関数に基
づいて複数のシナリオを発生させる手法について説明す
る。本実施形態では、各貸出先のそれぞれの倒産確率を
ある関数に基づいて複数発生させる。したがって、貸出
金額については各貸出先毎に固定であってもよいし、人
がシナリオ毎に想定したデータを入力してもよい。
【0060】(マルチファクターモデル)まず、マルチ
ファクターモデルについて説明する。Norm()を標
準正規分布の累積確率関数とする。いまR個の確率変数
1、u2、…、uRが存在し、R次元正規分布にしたが
うものとし、その確率密度関数をfR()とする。貸出
先の数をNとし、各貸出先k=1、…、Nについてその
状態を示す確率変数ykが存在し、この確率変数が、
【数12】 で表されるものとする。但し、akrは定数であり、εk
は標準正規分布にしたがう確率変数u1、u2、…、uR
とは独立な確率変数であり、各εkは互いに独立であ
る。さらに、定数Ykが存在し、yk<Ykのとき、貸出
先kは倒産するものとする。
【0061】このとき、貸出先kが倒産すること、すな
わち、
【数13】 はそれぞれ同値であり、貸出先kの倒産、非倒産は確率
変数u1、u2、…、uRを固定した状況では、確率変数
εkのみで決まる。
【0062】確率変数εkは互いに独立であるため、確
率変数u1、u2、…、urを固定した状況では、貸出先
kの倒産、非倒産は互いに独立となる。また、その場合
の貸出先kの倒産確率は、
【数14】 と特定できる。つまり、数式(9)によりR次元の倒産
確率の確率分布を得ることができる。この数式(9)に
より表されるR次元の関数から必要な数だけ倒産確率を
サンプリングする。すなわち、数式(9)により表され
るR次元の関数からsn個のシナリオを取得し、各シナ
リオにつき各貸出先の倒産確率を取得する。具体的に
は、数式(9)の各ファクターurについてdmn個の
値をサンプリングし、これをR次元分繰り返すことによ
り(dmn)R=sn個のシナリオを取得し、各シナリ
オにつき数式(9)により、各貸出先の倒産確率を取得
する。
【0063】本実施形態におけるこの例では、snの値
を25としている。また、確率変数urは経済状態全般
を表すファクターであり、その値が小さいほど全般的な
経済状態が悪いことを示している。この経済状況を表す
ファクターをR個用意して、様々な経済状況を想定す
る。akrはr次元において貸出先kが経済状態の影響を
どれくらい受ける性質の企業であるかを表す係数であ
り、その値が大きいほど全般的な経済状態の影響を受け
やすい企業であることを示している。
【0064】さらに、貸倒金額の確率分布をF(L、u
1、u2、…、uR)とすると、平均化された貸倒金額の
確率分布は、
【数15】 となる。これを数値積分することにより、貸倒金額の確
率分布を求めることができる。
【0065】(1ファクターモデル)上述したマルチフ
ァクターモデルの特殊なケースとして、1ファクターモ
デルがある。以下では、この1ファクターモデルについ
て説明する。
【0066】Norm()を標準正規分布の累積確率関
数とする。確率変数uが存在し、標準正規分布にしたが
うとする。貸出先の数をNとし、各貸出先k=1、…、
Nについてその状態を示す確率変数ykが存在し、この
確率変数が、
【数16】 で表されるものとする。但し、akは定数であり、εk
標準正規分布にしたがう確率変数uとは独立な確率変数
であり、各εkは互いに独立である。さらに、定数Yk
存在し、yk<Ykのとき、貸出先kは倒産するものとす
る。
【0067】このとき、貸出先kが倒産すること、すな
わち、
【数17】 はそれぞれ同値であり、貸出先kの倒産、非倒産は確率
変数uを固定した状況では、確率変数εkのみで決ま
る。
【0068】確率変数εkは互いに独立であるため、確
率変数uを固定した状況では、貸出先kの倒産、非倒産
は互いに独立となる。また、その場合の貸出先kの倒産
確率は、
【数18】 と特定できる。つまり、数式(12)により表される関
数から、各貸出先毎にsn個の倒産確率をサンプリング
する。すなわち、数式(12)により表される関数から
sn個のシナリオを取得し、各シナリオにつき各貸出先
の倒産確率を取得する。
【0069】本実施形態では、snの値を25としてい
る。また、確率変数uは経済状態全般を表すファクター
であり、その値が小さいほど全般的な経済状態が悪いこ
とを示している。akは貸出先kが経済状態の影響をど
れくらい受ける性質の企業であるかを表す係数であり、
その値が大きいほど全般的な経済状態の影響を受けやす
い企業であることを示している。
【0070】貸倒金額の確率分布をF(L、u)とする
と、平均化された貸倒金額の確率分布は、
【数19】 となる。これを数値積分することにより、平均化された
貸倒金額の確率分布を求めることができる。
【0071】以上のように、本実施形態に係る貸倒金額
の確率分布についての算出手法によれば、実損金額や倒
産確率を変化させた複数のシナリオを用意して、これら
複数のシナリオに基づいて複数の確率分布を算出し、こ
れらの平均をとることにより、より正確な貸倒金額の確
率分布を求めることができる。すなわち、将来の経済状
況全般や担保価値の変動を考慮した、貸倒金額の確率分
布を求めることができる。このように倒産確率や貸出金
額が変動する場合における貸倒金額の確率分布を算出す
ることができるので、金融機関における信用リスク管理
に役立てることができる。
【0072】なお、本発明は上記実施形態に限定されず
に種々に変形可能である。例えば、貸倒金額の確率密度
を棒グラフの形で出力するのではなく、数値の一覧表の
形で出力することも可能である。また、上記実施形態に
おいては高速フーリエ変換法(FFT)を用いてフーリ
エ逆変換を行ったが、他の手法、例えば、通常のフーリ
エ逆変換公式を用いて行うことも可能である。すなわ
ち、分点数をQとすれば、数式(14)で示すフーリエ
逆変換公式を用いてフーリエ逆変換をすることも可能で
ある。
【数20】
【0073】また、第1乃至第3実施形態において、第
4実施形態で述べたように貸出先について設定されてい
る担保金額等を考慮して、貸出先が倒産した場合に金融
機関が実質的に被る損害の額である実損金額を用いて、
貸倒金額の確率分布を算出するようにしてもよい。
【0074】さらに、上記実施形態に係る処理をフロッ
ピーディスクやCD−ROM等の記録媒体に記録するこ
とも可能である。この場合、上記処理を記録した記録媒
体を汎用コンピュータに読み込ませることにより、本発
明に係る技術を実現することができる。
【0075】また、上記各実施形態をハードウェア的に
実現することも可能である。例えば、上述した第1実施
形態をハードウェア的に実現した場合における貸倒金額
の確率分布算出装置の構成の一例を、図11に示す。こ
の図11からわかるように、貸倒金額の確率分布算出装
置は、貸出先のそれぞれの貸出金額と倒産確率とを入力
するための貸出金額・倒産確率入力装置10と、これら
貸出金額と倒産確率に基づいてその特性関数を算出する
ための特性関数算出装置12と、この特性関数をフーリ
エ逆変換をすることにより確率分布を算出するための確
率分布算出装置14と、この算出された確率分布をプリ
ンタにグラフとして出力するための確率分布出力装置1
6とを、備えて構成されている。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、コンピュータを用い
て、複数の貸出先を有する金融機関の貸倒金額の確率分
布を正確に計算することができるようになり、金融機関
は事前に貸倒金額の発生を確率的に予想することができ
るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】確率分布と特性関数に対するフーリエ変換とフ
ーリエ逆変換との関係を示す図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る貸倒金額の確率分
布を求めるための処理を概略的に示したフロー図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る貸倒金額の確率分
布を求めるための処理を詳細に示したフロー図(その
1)。
【図4】本発明の第1実施形態に係る貸倒金額の確率分
布を求めるための処理を詳細に示したフロー図(その
2)。
【図5】本発明により得られた確率分布のグラフの一例
を示す図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る貸倒金額の確率分
布を求めるための処理を概略的に示したフロー図。
【図7】本発明により得られた確率分布のグラフの一例
を示す図。
【図8】現時点から将来のある一時点までにある取引先
の格付が変動するパターンを説明するための図。
【図9】本発明の第3実施形態に係る貸倒金額の確率分
布を求めるための処理を概略的に示したフロー図。
【図10】本発明の第4実施形態に係る貸倒金額の確率
分布を求めるための処理を概略的に示したフロー図。
【図11】本発明をハードウェア的に実現した場合の貸
倒金額の確率分布算出装置。
【図12】従来のシミュレーション法により得られた確
率分布のグラフの一例を示す図。
【符号の説明】
10 貸出金額・倒産確率入力装置 12 特性関数算出装置 14 確率分布算出装置 16 確率分布出力手段

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の貸出先を有する金融機関における貸
    倒金額の確率分布算出装置であって、 前記複数の貸出先のそれぞれの貸出金額と倒産確率とを
    入力するための、入力手段と、 前記入力手段で入力された前記貸出金額と前記倒産確率
    に基づいて、その特性関数を算出するための、特性関数
    算出手段と、 前記特性関数算出手段により算出された前記特性関数を
    フーリエ逆変換をすることにより、確率分布を算出する
    ための、確率分布算出手段と、 前記確率分布算出手段により算出された前記確率分布を
    出力するための、確率分布出力手段と、 を備えることを特徴とする貸倒金額の確率分布算出装
    置。
  2. 【請求項2】前記確率分布算出手段では、高速フーリエ
    変換法を用いて、フーリエ逆変換をすることを特徴とす
    る請求項1に記載の貸倒金額の確率分布算出装置
  3. 【請求項3】前記入力手段で入力された前記貸出金額
    を、所定単位の整数倍にまとめるための、貸出金額まと
    め手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1又は
    請求項2に記載の貸倒金額の確率分布算出装置。
  4. 【請求項4】前記確率分布算出手段では、縦軸に確率密
    度をとり、横軸に貸倒金額をとる、グラフを出力すると
    ともに、このグラフの横軸の最大値を貸出金総合計額と
    する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれ
    かに記載の貸倒金額の確率分布算出装置。
  5. 【請求項5】前記確率分布算出手段では、縦軸に確率密
    度をとり、横軸に貸倒金額をとる、グラフを出力すると
    ともに、このグラフの横軸の最大値をそれ以上の貸倒金
    額が発生する確率が算出処理上実質的にゼロとみなせる
    貸倒金額とする、ことを特徴とする請求項1乃至請求項
    3のいずれかに記載の貸倒金額の確率分布算出装置。
  6. 【請求項6】複数の貸出先を有する金融機関における貸
    倒金額の確率分布算出装置であって、 前記複数の貸出先のそれぞれの格付が変動する確率であ
    る格付変動確率と、前記複数の取引先の前記格付の変動
    による債権価値の変動額である債権価値変動額とを取得
    する、取得手段と、 前記取得手段で取得した前記格付変動確率と前記債権価
    値変動額とに基づいて、その特性関数を算出するため
    の、特性関数算出手段と、 前記特性関数算出手段により算出された前記特性関数を
    フーリエ逆変換をすることにより、確率分布を算出する
    ための、確率分布算出手段と、 前記確率分布算出手段により算出された前記確率分布を
    出力するための、確率分布出力手段と、 を備えることを特徴とする貸倒金額の確率分布算出装
    置。
  7. 【請求項7】前記取得手段は、 前記複数の貸出先のそれぞれの貸出金額と、前記複数の
    貸出先のそれぞれの格付の変動に伴う損失割合とを入力
    する、入力手段と、 前記貸出金額と前記損失割合とに基づいて、前記複数の
    貸出先のそれぞれについて前記債権価値変動額を算出す
    る、変動額算出手段と、 を備えることを特徴とする請求項6に記載の貸倒金額の
    確率分布算出装置。
  8. 【請求項8】複数の貸出先を有する金融機関における貸
    倒金額の確率分布算出装置であって、 前記複数の貸出先のそれぞれの貸出金額と倒産確率とを
    入力するための、入力手段と、 前記入力手段で入力された前記貸出金額に基づいて、前
    記貸出先が倒産した場合に前記金融機関が実質的に損害
    を被る金額である実損金額を算出する、実損金額算出手
    段と、 前記実損金額と前記倒産確率とに基づいて、その特性関
    数を算出するための、特性関数算出手段と、 前記特性関数算出手段により算出された前記特性関数を
    フーリエ逆変換をすることにより、確率分布を算出する
    ための、確率分布算出手段と、 前記確率分布算出手段により算出された前記確率分布を
    出力するための、確率分布出力手段と、 を備えることを特徴とする貸倒金額の確率分布算出装
    置。
  9. 【請求項9】複数の貸出先を有する金融機関における貸
    倒金額の確率分布算出装置であって、 前記貸出先が倒産した場合に前記金融機関が実質的に損
    害を被る金額である実損金額を将来の変動を予測して複
    数取得するとともに、前記貸出先が倒産する倒産確率を
    将来の変動を予測して複数取得して、これを複数のシナ
    リオとする、シナリオ取得手段と、 前記シナリオ取得手段で取得した複数の前記実損金額と
    前記倒産確率とに基づいて、前記シナリオ毎に特性関数
    を算出するための、特性関数算出手段と、 前記特性関数算出手段により算出された前記特性関数を
    フーリエ逆変換をすることにより、前記シナリオ毎に確
    率分布を算出するための、確率分布算出手段と、 前記シナリオ毎の確率分布の平均である平均確率分布を
    算出するための、平均確率分布算出手段と、 前記平均確率分布算出手段により算出された前記平均確
    率分布を出力するための、確率分布出力手段と、 を備えることを特徴とする貸倒金額の確率分布算出装
    置。
  10. 【請求項10】複数の貸出先を有する金融機関における
    貸倒金額の確率分布算出装置であって、 前記貸出先が倒産した場合に前記金融機関が実質的に損
    害を被る金額である実損金額を将来の変動を予測して複
    数取得するとともに、前記貸出先が倒産する倒産確率を
    将来の変動を予測して複数取得して、これを複数のシナ
    リオとする、シナリオ取得手段と、 前記シナリオ取得手段で取得した複数の前記実損金額と
    前記倒産確率とに基づいて、前記シナリオ毎に特性関数
    を算出するための、特性関数算出手段と、 前記特性関数算出手段により算出された前記特性関数を
    フーリエ逆変換をすることにより、前記シナリオ毎に確
    率分布を算出するための、確率分布算出手段と、 前記確率分布算出手段により算出された前記シナリオ毎
    の確率分布をそれぞれ出力するための、確率分布出力手
    段と、 を備えることを特徴とする貸倒金額の確率分布算出装
    置。
  11. 【請求項11】複数の貸出先を有する金融機関における
    貸倒金額の確率分布算出装置であって、 前記複数の貸出先のそれぞれの貸出金額を取得するとと
    もに、前記貸出先が倒産する倒産確率を将来の変動を予
    測して複数取得して、これを複数のシナリオとする、シ
    ナリオ取得手段と、 前記シナリオ取得手段で取得した前記貸出金額と複数の
    前記倒産確率とに基づいて、前記シナリオ毎に特性関数
    を算出するための、特性関数算出手段と、 前記特性関数算出手段により算出された前記特性関数を
    フーリエ逆変換をすることにより、前記シナリオ毎に確
    率分布を算出するための、確率分布算出手段と、 前記シナリオ毎の確率分布の平均である平均確率分布を
    算出する、平均確率分布算出手段と、 前記平均確率分布算出手段により算出された前記平均確
    率分布を出力するための、確率分布出力手段と、 を備えることを特徴とする貸倒金額の確率分布算出装
    置。
  12. 【請求項12】複数の貸出先を有する金融機関における
    貸倒金額の確率分布算出装置であって、 前記複数の貸出先のそれぞれの貸出金額を取得するとと
    もに、将来を予測して、前記貸出先が倒産する複数の倒
    産確率を取得して、これを複数のシナリオとする、シナ
    リオ取得手段と、 前記シナリオ取得手段で取得した前記貸出金額と前記複
    数の倒産確率とに基づいて、前記シナリオ毎の特性関数
    を算出するための、特性関数算出手段と、 前記特性関数算出手段により算出された前記特性関数を
    フーリエ逆変換をすることにより、前記シナリオ毎に確
    率分布を算出するための、確率分布算出手段と、 前記確率分布算出手段により算出された前記シナリオ毎
    の確率分布をそれぞれ出力するための、確率分布出力手
    段と、 を備えることを特徴とする貸倒金額の確率分布算出装
    置。
  13. 【請求項13】前記シナリオ取得手段では、前記貸出先
    が倒産する確率を関数をもって表現し、この関数に基づ
    いて前記複数の倒産確率を取得する、ことを特徴とする
    請求項11又は請求項12に記載の貸倒金額の確率分布
    算出装置。
  14. 【請求項14】前記貸出先が倒産する確率を表現する関
    数は、貸出先をkとし、R次元正規分布にしたがう確率
    変数をurとし、定数をakrとした場合に、 【数1】 で表される、ことを特徴とする請求項13に記載の貸倒
    金額の確率分布算出装置。
  15. 【請求項15】前記貸出先が倒産する確率を表現する関
    数は、貸出先をkとし、確率変数をuとし、定数をak
    とした場合に、 【数2】 で表される、ことを特徴とする請求項13に記載の貸倒
    金額の確率分布算出装置。
  16. 【請求項16】N個の貸出先k=1…Nを有する金融機
    関における貸倒金額の確率分布算出装置であって、 前記N個の貸出先k=1…Nのそれぞれの貸出金額Mk
    と倒産確率pkとを入力するための、入力手段と、 前記入力手段で入力された前記貸出金額Mkと前記倒産
    確率pkのうちの少なくとも一方に基づいて、前記貸出
    先数Nを算出するための、貸出先数算出手段と、フーリ
    エ変換の分点数nに対して、t=2πm/(22n)、
    (m=0、1、2、…、22n−1)の各tにおける特性
    関数 【数3】 を算出するための、特性関数算出手段と、 前記特性関数算出手段により算出された前記特性関数
    を、高速フーリエ変換法を用いて、フーリエ逆変換をす
    ることにより、確率分布を算出するための、確率分布算
    出手段と、 前記確率分布算出手段により算出された前記確率分布を
    出力するための、確率分布出力手段と、 を備えることを特徴とする貸倒金額の確率分布算出装
    置。
  17. 【請求項17】前記特性関数算出手段におけるmの最大
    値である22n−1は、貸出金総合計額以上の値である、
    ことを特徴とする請求項16に記載の貸倒金額の確率分
    布算出装置。
  18. 【請求項18】前記特性関数算出手段におけるmの最大
    値である22n−1は、それ以上の貸倒金額が発生する確
    率が算出処理上実質的にゼロとみなせる貸倒金額以上の
    値である、ことを特徴とする請求項16に記載の貸倒金
    額の確率分布算出装置。
  19. 【請求項19】前記入力手段で入力された前記貸出金額
    を、所定単位の整数倍にまとめるための、貸出金額まと
    め手段を、さらに備えるとともに、 前記特性関数算出手段におけるmの最大値である22n
    1は、貸出金総合計額を前記所定単位で除算した商以上
    の値である、ことを特徴とする請求項16に記載の貸倒
    金額の確率分布算出装置。
  20. 【請求項20】前記入力手段で入力された前記貸出金額
    を、所定単位の整数倍にまとめるための、貸出金額まと
    め手段を、さらに備えるとともに、 前記特性関数算出手段におけるmの最大値である22n
    1は、それ以上の貸倒金額が発生する確率が算出処理上
    実質的にゼロとみなせる貸倒金額を前記所定単位で除算
    した商以上の値である、ことを特徴とする請求項16に
    記載の貸倒金額の確率分布算出装置。
  21. 【請求項21】複数の貸出先を有する金融機関における
    貸倒金額の確率分布算出方法であって、 前記複数の貸出先のそれぞれの貸出金額と倒産確率とを
    入力するための、入力処理と、 前記入力処理で入力された前記貸出金額と前記倒産確率
    に基づいて、その特性関数を算出するための、特性関数
    算出処理と、 前記特性関数算出処理により算出された前記特性関数を
    フーリエ逆変換をすることにより、確率分布を算出する
    ための、確率分布算出処理と、 前記確率分布算出処理により算出された前記確率分布を
    出力するための、確率分布出力処理と、を備えることを
    特徴とする貸倒金額の確率分布算出方法。
  22. 【請求項22】複数の貸出先を有する金融機関における
    貸倒金額の確率分布を算出するためのプログラムを記録
    した記録媒体であって、 前記複数の貸出先のそれぞれの貸出金額と倒産確率とを
    入力するための、入力処理と、 前記入力処理で入力された前記貸出金額と前記倒産確率
    に基づいて、その特性関数を算出するための、特性関数
    算出処理と、 前記特性関数算出処理により算出された前記特性関数を
    フーリエ逆変換をすることにより、確率分布を算出する
    ための、確率分布算出処理と、 前記確率分布算出処理により算出された前記確率分布を
    出力するための、確率分布出力処理と、 を備えるプログラムを記録したことを特徴とする記録媒
    体。
  23. 【請求項23】前記確率分布算出処理では、高速フーリ
    エ変換法を用いて、フーリエ逆変換をすることを特徴と
    する請求項22に記載の記録媒体
  24. 【請求項24】前記入力処理で入力された前記貸出金額
    を、所定単位の整数倍にまとめるための、貸出金額まと
    め処理を、さらに備えることを特徴とする請求項22又
    は請求項23に記載の記録媒体。
  25. 【請求項25】複数の貸出先を有する金融機関における
    貸倒金額の確率分布を算出するためのプログラムを記録
    した記録媒体であって、 前記複数の貸出先のそれぞれの格付が変動する確率であ
    る格付変動確率と、前記複数の取引先の前記格付の変動
    による債権価値の変動額である債権価値変動額とを取得
    する、取得処理と、 前記取得処理で取得した前記格付変動確率と前記債権価
    値変動額とに基づいて、その特性関数を算出するため
    の、特性関数算出処理と、 前記特性関数算出処理により算出された前記特性関数を
    フーリエ逆変換をすることにより、確率分布を算出する
    ための、確率分布算出処理と、 前記確率分布算出処理により算出された前記確率分布を
    出力するための、確率分布出力処理と、 を備えることを特徴とする記録媒体。
  26. 【請求項26】複数の貸出先を有する金融機関における
    貸倒金額の確率分布を算出するためのプログラムを記録
    した記録媒体であって、 前記複数の貸出先のそれぞれの貸出金額と倒産確率とを
    入力するための、入力処理と、 前記入力処理で入力された前記貸出金額に基づいて、前
    記貸出先が倒産した場合に前記金融機関が実質的に損害
    を被る金額である実損金額を算出する、実損金額算出処
    理と、 前記実損金額と前記倒産確率とに基づいて、その特性関
    数を算出するための、特性関数算出処理と、 前記特性関数算出処理により算出された前記特性関数を
    フーリエ逆変換をすることにより、確率分布を算出する
    ための、確率分布算出処理と、 前記確率分布算出処理により算出された前記確率分布を
    出力するための、確率分布出力処理と、 を備えることを特徴とする記録媒体。
  27. 【請求項27】複数の貸出先を有する金融機関における
    貸倒金額の確率分布を算出するためのプログラムを記録
    した記録媒体であって、 前記貸出先が倒産した場合に前記金融機関が実質的に損
    害を被る金額である実損金額を将来の変動を予測して複
    数取得するとともに、前記貸出先が倒産する倒産確率を
    将来の変動を予測して複数取得して、これを複数のシナ
    リオとする、シナリオ取得処理と、 前記シナリオ取得処理で取得した複数の前記実損金額と
    前記倒産確率とに基づいて、前記シナリオ毎に特性関数
    を算出するための、特性関数算出処理と、 前記特性関数算出処理により算出された前記特性関数を
    フーリエ逆変換をすることにより、前記シナリオ毎に確
    率分布を算出するための、確率分布算出処理と、 前記シナリオ毎の確率分布の平均である平均確率分布を
    算出するための、平均確率分布算出処理と、 前記平均確率分布算出処理により算出された前記平均確
    率分布を出力するための、確率分布出力処理と、 を備えることを特徴とする記録媒体。
  28. 【請求項28】複数の貸出先を有する金融機関における
    貸倒金額の確率分布を算出するためのプログラムを記録
    した記録媒体であって、 前記貸出先が倒産した場合に前記金融機関が実質的に損
    害を被る金額である実損金額を将来の変動を予測して複
    数取得するとともに、前記貸出先が倒産する倒産確率を
    将来の変動を予測して複数取得して、これを複数のシナ
    リオとする、シナリオ取得処理と、 前記シナリオ取得処理で取得した複数の前記実損金額と
    前記倒産確率とに基づいて、前記シナリオ毎に特性関数
    を算出するための、特性関数算出処理と、 前記特性関数算出処理により算出された前記特性関数を
    フーリエ逆変換をすることにより、前記シナリオ毎に確
    率分布を算出するための、確率分布算出処理と、 前記確率分布算出処理により算出された前記シナリオ毎
    の確率分布をそれぞれ出力するための、確率分布出力処
    理と、 を備えることを特徴とする記録媒体。
  29. 【請求項29】複数の貸出先を有する金融機関における
    貸倒金額の確率分布を算出するためのプログラムを記録
    した記録媒体であって、 前記複数の貸出先のそれぞれの貸出金額を取得するとと
    もに、前記貸出先が倒産する倒産確率を将来の変動を予
    測して複数取得して、これを複数のシナリオとする、シ
    ナリオ取得処理と、 前記シナリオ取得処理で取得した前記貸出金額と複数の
    前記倒産確率とに基づいて、前記シナリオ毎に特性関数
    を算出するための、特性関数算出処理と、 前記特性関数算出処理により算出された前記特性関数を
    フーリエ逆変換をすることにより、前記シナリオ毎に確
    率分布を算出するための、確率分布算出処理と、 前記シナリオ毎の確率分布の平均である平均確率分布を
    算出する、平均確率分布算出処理と、 前記平均確率分布算出処理により算出された前記平均確
    率分布を出力するための、確率分布出力処理と、 を備えることを特徴とする記録媒体。
  30. 【請求項30】複数の貸出先を有する金融機関における
    貸倒金額の確率分布を算出するためのプログラムを記録
    した記録媒体であって、 前記複数の貸出先のそれぞれの貸出金額を取得するとと
    もに、将来を予測して、前記貸出先が倒産する複数の倒
    産確率を取得して、これを複数のシナリオとする、シナ
    リオ取得処理と、 前記シナリオ取得処理で取得した前記貸出金額と前記複
    数の倒産確率とに基づいて、前記シナリオ毎の特性関数
    を算出するための、特性関数算出処理と、 前記特性関数算出処理により算出された前記特性関数を
    フーリエ逆変換をすることにより、前記シナリオ毎に確
    率分布を算出するための、確率分布算出処理と、 前記確率分布算出処理により算出された前記シナリオ毎
    の確率分布をそれぞれ出力するための、確率分布出力処
    理と、 を備えることを特徴とする記録媒体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004094662A (ja) * 2002-08-30 2004-03-25 Suuri Giken:Kk 信用リスク管理の最適化モデル適用方法及び装置
JP2004265073A (ja) * 2003-02-28 2004-09-24 Seiko Epson Corp 売上回収管理装置、アプリケーションプログラム、記録媒体、並びに財務会計aspシステム
JP2006209699A (ja) * 2005-01-31 2006-08-10 Sumitomo Mitsui Banking Corp Lgd算出装置

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