JP2000146716A - 残留応力測定方法及び装置 - Google Patents

残留応力測定方法及び装置

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JP2000146716A
JP2000146716A JP10318664A JP31866498A JP2000146716A JP 2000146716 A JP2000146716 A JP 2000146716A JP 10318664 A JP10318664 A JP 10318664A JP 31866498 A JP31866498 A JP 31866498A JP 2000146716 A JP2000146716 A JP 2000146716A
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indentation
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indenter
stress
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Nobuyoshi Yanagida
信義 柳田
Satoshi Sugano
智 菅野
Katsumasa Miyazaki
克雅 宮崎
Kunio Enomoto
邦夫 榎本
Masayuki Ishiwatari
雅幸 石渡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】材料表面の応力を微小硬さ計により測定される
押し込み荷重−押し込み深さの応答から求める。 【解決手段】残留応力を測定しようとする部材表面に押
し込み荷重機構10及びエッジ状の圧子1で押し込み荷
重を負荷し、そのときの押し込み荷重−押し込み深さの
応答を測定する。データベース35に保存してある残留
応力が既知の押し込み荷重−押し込み深さの応答と測定
結果を比較することにより部材表面の応力を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一般の産業機器また
は原子力プラントの部材表面の残留応力を、部材表面に
圧子を押し込み、そのときの押し込み力−押し込み深さ
の応答から測定する測定方法と測定装置に係わり、特に
金属結晶粒内部のような微細な領域における残留応力分
布を測定するのに好適な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】圧子を押し込むことにより材料表面の硬
さを測定し、測定された硬さから材料表面の残留ひずみ
を算出する方法として、材料の硬さと残留ひずみとの相
関関係を予め求めておき、残留ひずみを知りたい材料の
硬さを測定することにより残留ひずみを測定する方法が
知られている。また、予め材料表面にひずみゲージを貼
り付け、ひずみゲージ近傍に圧子を押し込み、そのとき
の押し込み深さとひずみゲージから測定される応力―ひ
ずみ応答から残留応力を算出する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術に記し
た押し込み深さと残留ひずみとの相関関係を予め求めて
おき、材料の押し込み深さを測定することにより残留ひ
ずみを測定する方法では、材料表面に分布する残留ひず
みの大きさは測定可能であるが、所定の座標系に対する
ひずみの方向とその大きさを求めることはできない。ま
た、ひずみゲージを貼り付けた後、圧子を押し込み残留
応力を測定する方法では、ひずみゲージの貼り付け作業
などが必要となる。
【0004】金属材料の溶接部位は損傷の起点となるこ
とがあるが、その一因として金属結晶粒内または結晶粒
界からの割れを挙げることができる。溶接部位が損傷の
起点と成り得るかを検証する手段として、結晶粒内また
は結晶粒界の残留応力分布を把握することが必要な場合
がある。
【0005】硬さ試験は容易に実施可能な長所がある
が、上記の硬さから残留ひずみを測定する方法では、結
晶粒内の残留応力分布や残留応力の方向を測定すること
に難点がある。本発明は上述の問題点を解決し、結晶粒
内のような微小領域の残留応力を測定するのに好適な方
法と装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のために、
エッジ状の圧子を備えた微小硬さ計により測定される押
し込み荷重−押し込み深さの応答から残留応力を測定で
きるようにした。すなわち、予め、応力がない状態の部
材表面及び大きさと方向が既知の応力が負荷されている
状態の部材表面のそれぞれにエッジ状の圧子を押し込ん
だときの押し込み荷重−押し込み深さの応答を測定し、
記録しておく。応力の大きさとエッジ状の圧子に対する
方向に押し込み荷重−押し込み深さ応答は依存する。
【0007】そのため、応力の大きさとエッジ状圧子に
対する方向により異なった押し込み荷重−押し込み深さ
応答曲線が測定される。つぎに、残留応力の測定を所望
する部材表面にエッジ状の圧子を押し込み、そのときの
押し込み荷重−押し込み深さの応答を測定する。測定し
た押し込み荷重−押し込み深さの応答を既知の残留応力
を負荷したときに測定した押し込み荷重−押し込み深さ
の応答と比較することにより、未知の残留応力を求める
ことが可能となる。
【0008】即ち、応力が負荷された部材表面の押し込
み荷重−押し込み深さの応答は、応力がない場合のそれ
とは異なる。圧子の形状がエッジ状である場合、押し込
み荷重−押し込み深さはエッジの稜線に対して垂直な方
向の残留応力の大きさに影響される。したがって、押し
込み荷重−押し込み深さの応答の1回の測定から、圧子
のエッジの稜線に垂直な方向の応力の大きさを測定する
ことが可能となる。
【0009】材料表面には、任意の座標系に対して一般
に二つの垂直応力成分と一つのせん断応力成分の合計三
つの成分が存在する。エッジ状の圧子回転させ、エッジ
の稜線の向きを変え、それぞれの向きに対してエッジ状
圧子押し込みによる応力測定を行うことにより、応力の
三つの成分の値を算出することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】図1に本発明の請求項1,2及び
4の実施例による測定装置を示す。中心軸3には、圧子
1が圧子ホルダ2を介して固定される。中心軸3は板ば
ね10を介して外筒4と先端外筒部5に、また、板ばね
20を介して外筒4と後端外筒部6に固定される。中心
軸3の後端部には、変位測定用の作動トランスのコア3
1が設置され、コア31の周囲にはコイル32が設置さ
れる。先端外筒部5の先端から突き出ている圧子先端部
の長さは一定である。本実施例の装置では、板ばね10
と板ばね20の2点により中心軸3が保持されるため、
中心軸3の変位は軸方向のみが許容される構造となって
いる。
【0011】図2は中心軸3の先端部への板ばね10の
固定手順である。中心軸3には板ばねジグ11を支持す
るための固定つば16が形成されている。板ばねジグ1
1は板ばね10を挟んで固定つば16に接するまで中心
軸3に挿入される。中心軸3にはキー凸部14が有り、
板ばねジグ11と板ばね10はキー溝15を合わせる形
状で中心軸に通す。その上から板ばね固定ネジ12で固
定する。
【0012】図3は先端部の板ばね10と外筒部4の固
定手順である。板ばね10を設置した中心軸3にボール
ベアリング13を介して先端外筒部5を外筒部4に固定
する。ここで、ボールベアリング13には固定ピン17
がついており、中心軸3が外筒部4に対して回転しない
ようになっている。また、先端外筒部5と板ばねの間に
ボールベアリング13を介しているため、板ばね10の
面内方向に反力を発生させることなく先端外筒部5を締
め付けることができる。
【0013】図4は後端部の板ばね20と外筒部4の固
定手順である。先端部を設置した後に後端部を設置する
ため、中心軸3はすでに外筒4の内部にある。先端部と
同様に後端部にも中心軸3には板ばねジグ21を支持す
るための固定つば26が形成されている。板ばねジグ2
1は板ばね20を挟んで固定つば26に接するまで中心
軸3に挿入される。中心軸3にはキー凸部24が有り、
板ばねジグ21と板ばね20はキー溝25を合わせる形
状で中心軸に通す。その上から板ばね固定ネジ22で固
定する。中心軸3の最後端部には作動トランスのコア3
1がネジにより固定される。
【0014】図5は後端部の板ばね20と外筒部4の固
定手順である。板ばね20を設置した中心軸3に変位測
定用の作動トランスのコイル32を固定したコイルジグ
30を設置し、ボールベアリング23を介して後端外筒
部6を外筒部4に固定する。ここで、ボールベアリング
23には固定ピン27がついており、中心軸3が外筒部
4に対して回転しないようになっている。また、後端外
筒部5と板ばねの間にボールベアリング23を介してい
るため、板ばね20の面内方向に反力を発生させること
なく後端外筒部6を締め付けることができる。作動トラ
ンスのコイル32への励磁用交流電流と出力のための配
線は配線用穴8を介して測定機内部から取り出す。
【0015】図6は圧子先端の形状を示したものであ
る。圧子はダイヤモンドでできており、先端角度は13
6°、稜線の長さは500μmである。
【0016】図7,図8は押し込み深さの測定方法であ
る。hは荷重を負荷していない状態で、圧子先端が先端
外筒部5より突き出している長さである。本実施例で
は、hの値を1mmとしている。次に本実施例の測定装置
を先端外筒部5の圧子孔が試料表面に密着するように押
し付ける。このとき、作動トランスにより測定される変
位をxとすると、圧子先端が試料表面に押し込まれた深
さをδとすると、δ=(h−x)となる。このとき板ば
ねによる荷重Fは板ばねの面に鉛直方向のばね定数をk
とすると、F=kδで表される。
【0017】図9は試料表面に一般に存在する残留応力
の成分を模式的に示したものである。エッジ状圧子の稜
線の方向をx1方向、それに垂直な方向をx2方向とす
るとき、エッジ状圧子の押し込み荷重−押し込み深さ応
答は、エッジの稜線に垂直な方向に作用する垂直応力σ
22に影響を受ける。図10に押し込み荷重−押し込み
深さの応答を残留応力の異なるケースについて示す。
【0018】図10(a)は試料に応力が負荷されてい
ない場合の押し込み荷重−押し込み深さの応答線図であ
る。押し込み荷重の増加に伴い圧子は材料表面に押し込
まれていく。押し込み荷重を増加していくとある荷重値
で試料に降伏が生じ、荷重の増分に対する変位の増分が
増大する。図10(b)はエッジ稜線に垂直方向の引張
りまたは圧縮残留応力が分布する場合の押し込み荷重−
押し込み深さの応答を示したものである。材料に負荷さ
れた残留応力により、降伏が発生するときの押し込み荷
重の値が異なってくる。
【0019】図10(c)はエッジ稜線の方向に残留応
力が存在する場合である。このときは残留応力の有無に
関係なく押し込み荷重−押し込み深さ応答はほぼ同一の
経路となる。
【0020】押し込み荷重−押し込み深さの応答は、以
上の図10(a),(b),(c)に示すようにエッジ稜線
に垂直方向の残留応力成分の値に依存する。したがっ
て、試料の残留応力を算出するために、応力が既知であ
る試験体について押し込み荷重−押し込み深さの応答を
測定し、データベースを作成しておく。応力の測定を所
望する試験片で押し込み荷重−押し込み深さの応答を測
定し、それをデータベースと比較することに、圧子のエ
ッジ稜線に垂直な方向の応力成分値を算出することが可
能となる。
【0021】中心軸に負荷する荷重,押し込み量及び試
料表面の残留応力の関係は、応力の大きさ,方向が予め
判っている試験片で実施例の測定装置により測定を行う
ことにより求める。図11はその手順を示したものであ
る。引張り試験片表面にひずみゲージ42を貼り付けた
後、荷重がない状態及び引張りまたは圧縮荷重を負荷し
た状態で押し込み量の測定を行う。このとき、併せて本
実施例の試験装置による押し込み荷重−押し込み深さの
応答も測定する。この結果として、図12に示す荷重−
押し込み深さの較正曲線を求めることができる。残留応
力が未知の試料で荷重−押し込み深さを測定し、その結
果を較正曲線図に表示し、測定点を通過する曲線の残留
応力値が試料の残留応力値となる。
【0022】図13は請求項3と請求項5の実施例を示
す。エッジ状の圧子を材料表面に押し込んだときの押し
込み荷重−押し込み深さの応答を求めることにより、エ
ッジ稜線に垂直な方向の応力成分が算出できる。図13
のx,y軸は材料表面に任意に設定した直交座標であ
る。x′軸はx軸から反時計周りに45°の向きに設定
した座標軸である。y′軸はx′軸と直交する座標軸で
ある。
【0023】図13に示した第1から第3ステップまで
の圧子の押し込みに伴う押し込み荷重−押し込み深さの
応答を測定することによりσyy,σxx,σy′y′を求め
ることができる。これらの垂直応力成分により、x−y
座標系におけるせん断応力τxyは材料力学の理論を用い
ることにより式1から求めることができる。
【0024】
【数1】
【0025】このように、エッジ状の圧子の向きを変え
て45°間隔で押し込み力−押し込み深さの応答を測定
し、エッジ稜線に垂直な方向の垂直応力成分を求め、数
1を適用することにより、材料表面の垂直応力成分及び
せん断応力成分を求めることが可能となる。
【0026】
【発明の効果】請求項1によれば、特定の方向の残留応
力を測定することができる。
【0027】請求項2によれば、押し込み荷重−押し込
み深さ応答と予め測定してある較正曲線により、残留応
力分布を算出することが可能となる。
【0028】請求項3によれば、材料表面に設定した任
意の座標系に対する垂直応力成分及びせん断応力成分を
求めることができる。
【0029】請求項4によれば、押し込み荷重−押し込
み深さの応答の測定から特定の方向の応力成分を測定す
ることが可能となる。
【0030】請求項5によれば、配管溶接部の残留応力
を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における残留応力測定装置の
構成図である。
【図2】本発明の一実施例における先端部における中心
軸と板ばねの設置を説明する分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施例における中心軸と先端部外筒
の設置を説明する分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施例における後端部における中心
軸と板ばねの設置を説明する分解斜視図である。
【図5】本発明の一実施例における中心軸と後端部外筒
の設置を説明する分解斜視図である。
【図6】本発明の構成部品の一つであるエッジ状圧子を
示した斜視図である。
【図7】押し込み深さの測定方法を示した側断面図であ
る。
【図8】押し込み深さの測定方法を示した側断面図であ
る。
【図9】試料表面に分布する一般的な残留応力成分を示
す図である。
【図10】(a)ないし(c)はエッジ状圧子を押し込
んだときの荷重−押し込み深さ応答の応力依存性を示し
た特性図である。
【図11】較正曲線の測定方法を示した図である。
【図12】較正曲線を示した特性図である。
【図13】本発明の一実施例における1回の測定で3方
向の応力を測定可能な圧子の押し込み機構を示した図で
ある。
【符号の説明】
1…圧子、2…圧子ホルダ、3…中心軸、4…外筒、5
…先端外筒部、6…後端外筒部、7…圧子エッジ稜線支
持印、8…配線用穴、10,20…板ばね、11,21
…板ばねジグ、12,22…板ばね固定ねじ、13,2
3…ボールベアリング、14,24…キー凸部、15,
25…キー溝、16,26…固定つば、17,27…固
定ピン、30…コイルジグ、31…コア、32…コイ
ル、33…コントローラー、34…A/Dコンバータ
ー、35…データベース、36…1次交流電圧、37…
2次コイル誘導電圧、41…ひずみゲージ、42…静ひ
ずみ計、43…引張り試験片、44…取り付けチャッ
ク。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮崎 克雅 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 榎本 邦夫 東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 日立エンジニアリングコンサルティング株 式会社内 (72)発明者 石渡 雅幸 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】残留応力が存在する部材表面に圧子を押し
    込むことにより残留応力を測定する方法において、部材
    表面に先端がエッジ状の圧子を用いて押し込み荷重を負
    荷し、このとき測定した押し込み荷重−押し込み深さの
    応答から残留応力を求めることを特徴とする残留応力測
    定方法。
  2. 【請求項2】残留応力が存在する部材表面に圧子を押し
    込むことにより残留応力を測定する方法において、部材
    表面に先端がエッジ状の圧子を一定の押し込み荷重によ
    り押し込んだときの押し込み深さを測定し、その値と予
    め方向と大きさが既知の材料表面で測定した一定の押し
    込み力と押し込み深さの値から、対象物の残留応力を求
    めることを特徴とする残留応力測定方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、部材表面の押し込み力
    −押し込み深さの応答をエッジ状の圧子の向きを変えて
    測定し、材料表面に定義した任意の座標系に対する垂直
    応力成分,せん断応力成分を求めることを特徴とする残
    留応力測定方法。
  4. 【請求項4】材料表面に押し込むためのエッジ状の圧
    子、押し込み力負荷用の駆動機構、押し込み力の検出装
    置、押し込み深さの測定装置を備え、かつ、押し込み力
    制御装置、押し込み力−押し込み深さの応答を解析し残
    留応力を評価する解析装置、解析結果の表示装置で構成
    したことを特徴とする残留応力測定装置。
  5. 【請求項5】溶接構造物の溶接金属部または熱影響部
    に、残留応力測定装置を設置し、溶接金属または熱影響
    部を求めることを特徴とする請求項4記載の残留測定装
    置。
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