JP2000144304A - チクソキャスティング用Fe系合金材料およびそれを用いた鋳造方法 - Google Patents
チクソキャスティング用Fe系合金材料およびそれを用いた鋳造方法Info
- Publication number
- JP2000144304A JP2000144304A JP10322565A JP32256598A JP2000144304A JP 2000144304 A JP2000144304 A JP 2000144304A JP 10322565 A JP10322565 A JP 10322565A JP 32256598 A JP32256598 A JP 32256598A JP 2000144304 A JP2000144304 A JP 2000144304A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alloy material
- casting
- thixocasting
- content
- eutectic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
Abstract
と靭性の高い相の並列(混合)とすることにより、薄肉
や細形状の製品であってもクラックの発生を未然に防止
する。 【解決手段】 Cを1.8wt%≦C≦2.5wt%、
Siを1.0wt%≦Si≦3.0%、残部がFeおよ
び不可避不純物からなる組成を有し、共晶量Ecが10
wt%<Ec<50wt%、Mnが0.8wt%≦Mn
≦1.5wt%であるチクソキャスティング用Fe系合
金材料である。このFe系合金材料では、固相部分がマ
ルテンサイトとオーステナイトからなり、液相部分がオ
ーステナイトとセメンタイトとの共晶からなるレデブラ
イトであり、オーステナイトの存在により靭性が向上
し、凝固収縮時のクラックの発生を防止する。
Description
ング用Fe系合金材料に係り、特に、凝固形成時に発生
する薄肉部や細い溶湯通路部での凝固収縮によるクラッ
クの発生を防止することができるチクソキャスティング
用Fe系合金材料とそれを用いた鋳造方法に関する。
を加熱して固相(略固相となっている相、以下同じ)と
液相とが共存する半溶融状態とし、次いで、その半溶融
状態の鋳造材料を加圧下で鋳型のキャビティに充填し、
その加圧下で鋳造材料を凝固させるようにしている。こ
のようなチクソキャスティング法では、鋳造材料を半溶
融状態とすることにより、低い溶融温度で鋳型への鋳造
が可能であるため、鋳型への熱負荷が一般の鋳造と比べ
て極めて軽減され、型寿命が長く経済的であるととも
に、普通のダイキャスト装置を用いることができる等の
利点があることから、近年では広く普及している。この
ようなチクソキャスティング法として特開平5−439
78号公報では、C:2.6〜3.6wt%、Si:0
〜3.0wt%、Mn:0.1〜1.0wt%含有し、
かつ、共晶の量が50wt%以上で70wt%以下、炭
素等量(Cwt%+0.3Siwt%)が3.5〜3.
9wt%を満たすFe系合金材料を用い、固相率を30
〜50wt%としてチクソキャスティングを行うことに
より、収縮孔の少ない良好な鋳物を得ることができると
されている。
キャスティング法では、溶湯温度が低い状態で鋳型へ充
填するため、薄肉製品や複雑な形状の製品を鋳造する場
合のように、内部に狭い溶湯通路を有する鋳型を用いる
鋳造では、半溶融鋳造材料が鋳型壁面から急激に冷却さ
れ、得られた製品のうち液相から凝固した部分が靭性の
低いチル組織になる。このチル組織は、鋳造材料の凝固
収縮時にクラック発生の起点となるため、鋳型内部に狭
い溶湯通路を設けないような設計を余儀なくされてい
た。そこで、特開平9−239513号および特開平9
−239514号では、薄板形状の製品の表面性状を向
上させることも兼ね、鋳型内壁部に炭素材料(黒鉛)を
用いることにより溶湯の急冷を緩和し、チル組織、特に
セメンタイトの生成を抑制し、割れの少ない鋳物製品を
製造することができるダイキャスト用鋳型が提案されて
いる。
鋳型に直接鋳造する場合よりも低い温度での鋳造が可能
なチクソキャスティング法においても、Fe系合金材料
を用いると溶湯温度は1200℃前後というかなりの高
温であり、しかも、溶湯を加圧するダイキャスト法を用
いるため使用環境がかなり厳しい。したがって、炭素材
料を用いた鋳型では、特に、製品の薄肉部や溶湯通路等
での鋳型表面の溶損が激しい。このため、鋳型の交換を
頻繁に行う必要があり、経済的でなく生産性も低下する
という問題があった。したがって、薄肉の製品のクラッ
クの発生を防止するために、鋳造材料そのものを改善す
ることが重要な課題となっていた。
で、従来の鋳型を用いることで経済性および生産性を低
下させることなく、凝固収縮時のクラックの起点となる
チル組織と靭性の高い相の並列(混合)とすることによ
り、薄肉や細形状の製品であってもクラックの発生を未
然に防止することができるチクソキャスティング用Fe
系合金材料とそれを用いた鋳造方法を提供することを目
的としている。
チル組織の発生を抑制するために鋭意研究を重ねた結
果、オーステナイト生成元素であるMnに着目した。す
なわち、本発明者は、適量のMnを含有するFe系合金
材料に加熱処理を施すことにより、液相と固相とが混在
する半溶融合金材料を調製し、これをチクソキャスティ
ングして製品の組織を観察した。その結果、複雑形状
(薄肉部)を有する製品であっても、全体的に固相部分
がオーステナイトとマルテンサイトの混合組織となり、
液相部分がチル組織のレデブライトとなる成形後の組織
が得られることを見出した。さらに、肉厚部を有する製
品を鋳造する場合には、冷却速度が遅い部分でのパーラ
イト化を阻害して固相部分にオーステナイトを残留させ
ることも判った。そして、固相部分に残留したオーステ
ナイトにより、組織全体の靭性が増加し、成形後の鋳型
中での凝固収縮によるクラックの発生が防止されること
を見い出した。
見に基づいてクラック発生の防止に寄与するMn量を定
量的に解析してなされたもので、Cを1.8wt%≦C
≦2.5wt%、Siを1.0wt%≦Si≦3.0
%、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有
し、共晶量Ecが10wt%<Ec<50wt%である
チクソキャスティング用Fe系合金材料において、Mn
を0.8wt%≦Mn≦1.5wt%含有することを特
徴としている。以下、上記数値限定の根拠を本発明の作
用とともに説明する。
% Fe系合金材料を加熱して行くと、共晶温度で共晶の溶
融が始まり、その溶融潜熱のために温度の上昇は一時停
止し、その温度で共晶の溶融が進行する。そして、全て
の共晶が溶融すると温度は再び上昇し始める。したがっ
て、共晶量が多ければ固相率が低くなる。チクソキャス
ティング法では、固相率を厳密に管理する必要があるこ
とから、共晶温度よりもやや高い温度まで加熱すること
で加熱温度に基づいて固相率を管理する。本発明では、
共晶量Ecを前述の特開平5−43978号における5
0wt%≦Ec≦70wt%よりも低く設定することに
より、製品の機械的特性を向上させるとともに固相率を
高めている。
状態にすると、共晶の溶融(共晶溶解)で生じた液相が
固相の周りを取り囲む。液相は大きな潜熱を持っている
ためその流動性が維持され、固相が成長して凝固収縮が
進行している間も固相どうしの隙間に液相が充分に供給
され、ミクロンオーダーの空孔の発生が防止される。こ
れにより、チクソキャスティング特有の機械的特性を有
する製品を得ることができる。ところが、共晶量が上記
従来技術のように多いと、熱処理後に粗大な黒鉛の析出
量が多くなって製品の機械的特性が通常の鋳込みによる
鋳物と同等になってしまう。本発明者の検討によれば、
共晶量Ecを50wt%未満にすることにより、製品の
ヤング率、引張強さ、疲労強度等の機械的特性が向上す
ることが判明している。また、共晶量Ecを50wt%
未満にすることで固相率を高めることができ、これによ
り、鋳造温度(半溶融Fe系合金材料の温度、以下、同
じ)を低温側にシフトさせ、鋳造装置の耐久劣化を緩和
することができるとともに、半溶融材料の自立性等の取
扱性を向上させることができる。
には、鋳造温度がFe系合金の平衡状態図の液相線近く
まで上昇してしまい、鋳造装置や搬送装置の熱負荷が高
くなってその耐久性を劣化させる。よって、共晶量Ec
は、10wt%<Ec<50wt%とした。
が10wt%を上回るようにするためには1.8wt%
以上含有する必要がある。また、Cの含有量が1.8w
t%未満では、Siの含有量を増やして共晶量が10w
t%を上回るようにしても、鋳造温度が高くなってしま
うのでチクソキャスティングの利点が滅殺される。一
方、Cの含有量が2.5wt%を上回ると共晶量が多く
なり、その結果、前述のように黒鉛の析出量が多くなる
とともに、固相率が低下して鋳造装置の耐久性と半溶融
材料の取扱性を低下させる。よってCの含有量は1.8
wt%≦C≦2.5wt%とした。
1.8wt%未満のときと同様に鋳造温度が高くなって
しまう。一方、Siの含有量が3.0wt%を上回る
と、硬くて脆いシリコフェライトが増加して製品の機械
的特性の向上を図ることができない。よって、Siの含
有量は1.0wt%≦Si≦3.0wt%とした。
から上記数値限定の根拠を説明する。図1はFe−C−
Si系合金における加熱温度と固相率との関係を示す線
図であり、C,Si含有量がそれぞれ本発明の下限値の
1.8wt%、1.0wt%の場合と、C,Si含有量
がそれぞれ本発明の上限値の2.5wt%、3.0wt
%の場合の加熱温度−固相率の関係を示している。C,
Si含有量の下限値未満では、必要な固相率R(例えば
R>50wt%)を得るためには鋳造温度がかなり高く
なってしまうのが判る。換言すれば、鋳造装置等の耐久
性の観点から設定される鋳造温度では固相率が高く、溶
湯の充填不良や湯境などにおける成形不良が生じる。一
方、C,Si含有量の上限値を上回ると、固相率が低い
結果チル組織が増大し、クラックが発生し易くなること
が判る。なお、図1には、後述する実施例2(C:2.
28wt%、Si:1.96wt%)の加熱温度と固相
率の関係も示した。
テナイト生成元素であり、固相部分にオーステナイトを
残留させる重要な元素である。Mnの含有量が0.8w
t%を下回ると、固相部分でのオーステナイトの残留が
不充分になるとともに、チル組織を呈するレデブライト
におけるオーステナイトの晶出が不充分となる。一方、
Mnの含有量が1.5wt%を上回ると、レデブライト
中のセメンタイト[(FeMn)3C]の析出量が多く
なるため、製品の靭性および切削性が低下する。よっ
て、Mnの含有量は0.8wt%≦Mn≦1.5wt%
とした。
元素であるNiと組織の微細化元素であるTiに着目し
て検討を重ねた結果、これら元素を上記元素と併用する
ことにより、成形後の凝固収縮によるクラックの発生を
より一層確実に防止できることを見出した。本発明の第
2のFe系合金材料は、上記知見に基づいてなされたも
ので、Cを1.8wt%≦C≦2.5wt%、Siを
1.0wt%≦Si≦3.0wt%、残部がFeおよび
不可避不純物からなる組成を有し、共晶量Ecが10w
t%<Ec<50wt%であるチクソキャスティング用
Fe系合金材料において、Niを0.2wt%≦Ni≦
3.0wt%、Tiを0.05wt%≦Ti≦0.6w
t%のうち少なくとも1種以上をさらに含有し、元素A
のwt%を[Awt%]としたときに下記式を満足し、
かつ、Mnの含有量を0.6wt%≦Mn≦1.5wt
%にしたことを特徴としている。
%]≧0.8wt%
び共晶量は、前述の第1のチクソキャスティング用Fe
系合金材料と同じであり、その限定理由も同じである。
このチクソキャスティング用Fe系合金材料は、Niお
よび/またはTiをさらに添加し、それらとMnとの総
量を規定しているところに特徴がある。以下、これらの
数値限定の根拠について説明する。
の残留をさらに促進するとともに、残留させたオーステ
ナイトに不純物を閉じ込めて無害化する。つまり、靭性
を低下させる不純物を靭性に富むオーステナイト中に分
散させることにより、不純物が機械的特性に対して影響
しないようにする働きがある。また、Niは肉厚部のよ
うに徐冷される部分のパーライト化を防止する働きがあ
る。そのような効果を得るためには、Niの含有量は
0.2wt%以上必要である。一方、製品を鋳造した後
には、セメンタイトを消失させて微細な球状黒鉛にする
熱処理が行われるのが通常であるが、Niの含有量が
3.0wt%を上回ると、析出した黒鉛が凝集して靭性
を低下させるとともに、熱処理後の冷却でマトリックス
がマルテンサイト化し硬度が高くなる。さらに、Niの
過剰な添加は材料費のコストアップにつながる。よっ
て、Niの含有量は0.2wt%≦Ni≦3.0wt%
とした。
% Tiは固相の結晶粒を微細化して靭性をさらに高める働
きがある。Tiの含有量が0.05wt%未満ではその
ような効果が得られず、一方、0.6wt%を超えて含
有するとTiCが析出し、これによって切削性が低下す
るとともに溶湯の流動性を低下させ、鋳造欠陥の原因と
なる。よって、Tiの含有量は0.05wt%≦Ti≦
0.6wt%とした。なお、Tiおよび/またはNiを
含有する結果、Mnの含有量の下限値は、前述の第1の
チクソキャスティング用Fe系合金材料よりも低い0.
6wt%まで許容される。また、Mnの含有量の上限値
とその根拠は、前述の第1のチクソキャスティング用F
e系合金材料と同じである。
上 通常の鋳込みによる鋳造でも固相部分にオーステナイト
を残留させることは可能であるが、そのためには冷却速
度を極めて厳密に管理しなければならない。本発明は、
チクソキャスティング法という固相と液相とが共存する
鋳造方法に、Mn、NiおよびTiの特性を組み合わせ
ることで、固相部分にオーステナイトが残留するととも
に結晶粒が微細化し、組織全体の靭性が増加して成形後
の鋳型中での凝固収縮によるクラックの発生が一層確実
に防止される。上記したMn、NiおよびTiの総量の
下限値である0.8wt%は、そのような効果を冷却速
度の影響をうけずに得るための条件である。
系合金材料を用いて鋳造するには、固相率が50wt%
を上回る半溶融状態とする。これにより、鋳造温度を低
温側へシフトして鋳造装置の耐久劣化を緩和するととも
に、オーステナイトが残存した微細な固相組織が多いこ
とは、凝固収縮時のクラックの発生防止に一層の効果を
もたらす。さらに、固相率が50wt%以下では、液相
量が多すぎて半溶融材料の自立性と取扱性が悪化する。
する。図2は図3に示すオイルポンプカバー20を鋳造
するために用いられる加圧鋳造装置1を示す断面図であ
り、鋳造されたオイルポンプカバー20は、湯道21と
製品部22とからなっている。この加圧鋳造装置1は、
鉛直な合せ面2a、3aを有する固定金型2および可動
金型3を備え、両合せ面2a、3a間に鋳物形成用キャ
ビティ4が形成される。固定金型2には、Fe系合金材
料5を収容するチャンバ6が形成され、チャンバ6は円
錐台形孔7およびゲート8を介してキャビティ4に連通
している。また、固定金型2には、チャンバ6に連通す
るスリーブ9が水平に取り付けられ、スリーブ9には、
チャンバ6に挿入されるプランジャ10が水平方向に摺
動自在に嵌合されている。そして、スリーブ9の周壁上
部に形成された材料挿入口11から半溶融状態のFe系
合金材料5を落下させ、プランジャ10を左方向へ水平
移動させることで材料5をキャビティ4内に充填するよ
うになっている。キャビティ4には、ゲート8の直後の
位置に湯道4aが設けられ、オイルポンプカバー20の
中央の孔23を形成する抜きピン4bと周縁部のボルト
孔24を形成する抜きピン4cが設けられている。な
お、固定および可動金型2,3は、例えばSKD61等
の鉄系合金で構成される。なお、冷却速度を増すために
Cu−Be系合金、Cu−Cr系合金、Cu−Ni系な
どの銅系合金で構成しても良い。
−Si系合金材料におけるCおよびSi含有量と共晶量
Ecとの関係を示す線図である。この図に示すように、
固相線の右側へ向かって共晶量Ecがそれぞれ10wt
%、20wt%、30wt%、40wt%、50wt
%、100wt%の10wt%共晶線、20wt%共晶
線、30wt%共晶線、40wt%共晶線、50wt%
共晶線、100wt%共晶線が並んでいる。
wt%≦Ec≦50wt%としており、これは図4では
10wt%共晶線と50wt%共晶線の間の範囲とな
る。さらに、Fe系合金材料のCの含有量は1.8wt
%≦C≦2.5wt%、Siの含有量は1.0wt%≦
Si≦3.0wt%としており、この含有量で図4を区
画すると、点a1〜点a6を結んで得られる略六角形状
の範囲となる。そして、以下に説明する本発明の実施例
と比較例のFe系合金材料は、略六角形状の範囲内とな
るように成分が調整されている。なお、図4における括
弧内の数字は、C含有量をx軸、Si含有量をy軸とし
たときの座標である。
長さが65mmの円柱状Fe系合金材料を半溶融状態に
加熱し、最小肉厚部の厚さが2.5mm、図3に示す9
箇所の抜き穴を有するオイルポンプカバーを鋳造した。
その際の金型の予熱温度は250℃、加圧保持時間は5
秒とした。この鋳造に使用したFe系合金材料の成分、
鋳造温度、共晶量および固相率を表1に示した。なお、
表1中実施例1,2,3は、それぞれMn単独、Mnと
Niの組合せ、MnとTiの組合せでMn,Ni,Ti
の総量をほぼ0.8wt%にしたものである。また、実
施例4は、Mnを単独でほぼ1.2%含有し、実施例
5,6は、MnとNiを組み合わせてそれらの総量を
2.0wt%前後にしたものである。さらに、実施例7
は、Mn,Ni,Tiを組み合わせてそれらの総量を
2.3wt%としたものであり、実施例8,9は、Mn
とNiを組み合わせてそれらの総量を2.5wt%以上
にしたものである。
総量が0.8wt%を下回るものとした。また、比較例
14,15は、Mn,Ni,Tiの総量は0.8wt%
を上回るが、Mnを極力含有しないものとした。以上の
Fe系合金材料を用いてオイルポンプカバーの鋳造を行
い、各製品へのクラックの発生の有無をレッドマークチ
ェックで確認した。その結果、クラックが発生しなかっ
た場合を「○」、発生した場合を「×」として表1に併
記した。
クラックが発生しなかったのに対し、比較例10〜15
では全て発生した。図5に実施例のオイルポンプカバー
を示し、図6に、比較例で発生した大きな割れとボルト
孔部分に発生したヘアークラックを示す。また、図7
に、比較例において2つの抜きピンの間で拘束されるこ
とによって生じたクラックを示す。Mnを単独で含有す
る場合を比較すると、比較例10,11,13ではMn
の含有量が0.78wt%以下でクラックが発生したの
に対し、実施例1、4では、Mnの含有量が0.8wt
%以上でクラック発生しなかった。以上のように、Mn
を単独で含有する場合には、その含有量は0.8%以上
であるとした第1発明の数値限定の根拠を裏付ける結果
となった。
0.6wt%以上で、Mn,Ni,Tiの総量が0.8
%以上である実施例2,3,5,7〜9でクラックが発
生しなかったのに対し、Mn,Ni,Tiの総量が0.
8wt%以上であってもMnを極力含有しない比較例1
4,15ではクラックが発生している。このように、M
nに加えてNiおよび/またはTiを含有する場合に
は、Mn,Ni,Tiを総量で0.8%以上含有し、か
つ、Mnは0.6wt%以上含有するとした第2発明の
数値限定を裏付ける結果となった。
倍)である。図8において黒く針状をしているのがマル
テンサイトで、これに隣接する灰色の部分がオーステナ
イトである。そして、これらマルテンサイトとオーステ
ナイトが上記鋳造の際に固相であった部分である。ま
た、固相部分の周囲の濃い灰色の部分はオーステナイト
とセメンタイトとの共晶からなるレデブライトであり、
上記鋳造の際に液相であった部分である。
顕微鏡写真(100倍)である。図9において黒い部分
が上記鋳造の際に固相であった部分であり、パーライト
組織を呈している。また、その固相部分の周囲の濃い灰
色の部分はオーステナイトとセメンタイトとの共晶から
なるレデブライトであり、上記鋳造の際に液相であった
部分である。図7および図8を比較して明らかなよう
に、実施例6では固相部分にオーステナイトが存在して
いるため、全体としてオーステナイトの量が多く、靭性
が向上されていることが理解できる。
Fe−C−Si系(三元系)合金材料において、Mn含
有量と共晶量とを適切に限定しているため、凝固収縮時
にクラック発生の起点となるチル組織と靭性の高いオー
ステナイトの並列とすることにより、薄肉や細形状の製
品であってもクラックの発生を未然に防止することがで
きるという効果が得られる。
との関係を示す線図である。
面図である。
平面図である。
である。
写真である。
ックを示す写真である。
ックを示す写真である。
組織を示す顕微鏡写真である。
組織を示す顕微鏡写真である。
ィ。
Claims (3)
- 【請求項1】 Cを1.8wt%≦C≦2.5wt%、
Siを1.0wt%≦Si≦3.0%、残部がFeおよ
び不可避不純物からなる組成を有し、共晶量Ecが10
wt%<Ec<50wt%であるチクソキャスティング
用Fe系合金材料において、 Mnを0.8wt%≦Mn≦1.5wt%含有すること
を特徴とするチクソキャスティング用Fe系合金材料。 - 【請求項2】 Cを1.8wt%≦C≦2.5wt%、
Siを1.0wt%≦Si≦3.0wt%、残部がFe
および不可避不純物からなる組成を有し、共晶量Ecが
10wt%<Ec<50wt%であるチクソキャスティ
ング用Fe系合金材料において、 Niを0.2wt%≦Ni≦3.0wt%、Tiを0.
05wt%≦Ti≦0.6wt%のうち少なくとも1種
以上をさらに含有し、元素Aのwt%を[Awt%]と
したときに下記式を満足し、かつ、Mnの含有量を0.
6wt%≦Mn≦1.5wt%にしたことを特徴とする
チクソキャスティング用Fe系合金材料。 【数1】[Mnwt%]+[Niwt%]+[Tiwt
%]≧0.8wt% - 【請求項3】 請求項1または2に記載のチクソキャス
ティング用Fe系合金材料を固相率が50wt%を上回
る半溶融状態として用いることを特徴とする鋳造方法。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32256598A JP3904335B2 (ja) | 1998-11-12 | 1998-11-12 | チクソキャスティング用Fe系合金材料およびそれを用いた鋳造方法 |
GB0219615A GB2375354B (en) | 1998-07-14 | 1999-07-14 | Process for heating Fe-based alloy material for thixocasting |
US09/508,458 US6616777B1 (en) | 1998-07-14 | 1999-07-14 | Fe alloy material for thixocasting and method for heating the same |
GB0009121A GB2345699B (en) | 1998-07-14 | 1999-07-14 | Thixocast Fe-based alloy material and process for heating the same |
DE19981496A DE19981496B3 (de) | 1998-07-14 | 1999-07-14 | Thixo-Giessmaterial aus einer Legierung auf Fe-Basis und Verfahren zum Erwärmen desselben |
PCT/JP1999/003794 WO2000004198A1 (fr) | 1998-07-14 | 1999-07-14 | Materiau en alliage de fer pour thixocoulage et procede de chauffage dudit alliage |
US10/615,193 US20040105776A1 (en) | 1998-07-14 | 2003-07-09 | Thixocast Fe-based alloy material and process for heating the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32256598A JP3904335B2 (ja) | 1998-11-12 | 1998-11-12 | チクソキャスティング用Fe系合金材料およびそれを用いた鋳造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000144304A true JP2000144304A (ja) | 2000-05-26 |
JP3904335B2 JP3904335B2 (ja) | 2007-04-11 |
Family
ID=18145112
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32256598A Expired - Lifetime JP3904335B2 (ja) | 1998-07-14 | 1998-11-12 | チクソキャスティング用Fe系合金材料およびそれを用いた鋳造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3904335B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6810941B2 (en) | 2001-06-01 | 2004-11-02 | Ngk Insulators, Ltd. | Injection mold for semi-solidified Fe alloy |
US6863744B2 (en) | 2001-09-06 | 2005-03-08 | Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha | Iron based alloy material for thixocasting process and method for casting the same |
-
1998
- 1998-11-12 JP JP32256598A patent/JP3904335B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6810941B2 (en) | 2001-06-01 | 2004-11-02 | Ngk Insulators, Ltd. | Injection mold for semi-solidified Fe alloy |
US6863744B2 (en) | 2001-09-06 | 2005-03-08 | Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha | Iron based alloy material for thixocasting process and method for casting the same |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3904335B2 (ja) | 2007-04-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
AU698777B2 (en) | Microstructurally refined multiphase castings | |
CN106566997A (zh) | 一种高性能压铸模用热作模具钢及其冶金制造方法 | |
US6527878B1 (en) | Thixocast casting material, process for preparing thixocasting semi-molten casting material, thixocast process, fe-based cast product, and process for thermally treating fe-based cast product | |
TWI243858B (en) | Steel alloy plastic moulding tool and tough-hardened blank for plastic moulding tools | |
CN104131218A (zh) | 一种特高铬铸铁及其制备方法 | |
JP3876099B2 (ja) | チクソキャスティング用Fe系合金材料 | |
CN106011602B (zh) | 船用柴油机机体用球墨铸铁及其制备方法 | |
JP5282546B2 (ja) | 耐摩耗性に優れた高強度厚肉球状黒鉛鋳鉄品 | |
JP5041938B2 (ja) | 圧延用複合ロール | |
JP2000144304A (ja) | チクソキャスティング用Fe系合金材料およびそれを用いた鋳造方法 | |
JP2010149129A (ja) | ダイカスト金型用ホルダー及びその製造方法 | |
US6616777B1 (en) | Fe alloy material for thixocasting and method for heating the same | |
JP4488386B2 (ja) | 温熱間加工用金型および温熱間加工用金型材の製造方法 | |
JP4318761B2 (ja) | Fe−C−Si系合金鋳物の鋳造方法 | |
JP4565301B2 (ja) | 高強度球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法 | |
CN113046624A (zh) | 一种高基体硬度gm241合金灰铁铸造方法 | |
US6332938B1 (en) | Process for producing Fe-based member having high young's modulus and high toughness | |
JP4109734B2 (ja) | Fe系鋳物の熱処理方法 | |
JP3679221B2 (ja) | 耐摩耗性に優れた製鉄圧延設備用複合ロール及びその製造方法 | |
JP3660134B2 (ja) | チクソキャスティング用Fe系合金材料 | |
SU1323227A1 (ru) | Способ получени отливок | |
US2229866A (en) | Method of producing metal castings and cast products resulting therefrom | |
AU684708B2 (en) | Rolls for metal shaping | |
JP2003073768A (ja) | チクソキャスティング用Fe系合金材料およびその鋳造方法 | |
JP4514056B2 (ja) | 高Cr鋳鉄鋳物の鋳造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050303 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050311 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050414 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050414 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20061226 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070109 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100119 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110119 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110119 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120119 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120119 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130119 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130119 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140119 Year of fee payment: 7 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |