JP2000136490A - クラフトパルプの製造方法 - Google Patents

クラフトパルプの製造方法

Info

Publication number
JP2000136490A
JP2000136490A JP10310668A JP31066898A JP2000136490A JP 2000136490 A JP2000136490 A JP 2000136490A JP 10310668 A JP10310668 A JP 10310668A JP 31066898 A JP31066898 A JP 31066898A JP 2000136490 A JP2000136490 A JP 2000136490A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquor
cooking
green liquor
green
pulp
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10310668A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiro Nakamura
和広 中村
Shinichi Hara
晋一 原
Yoshihiro Oguchi
善弘 大口
Kenichi Imagawa
健一 今川
Ryuichi Inaba
隆一 稲葉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chiyoda Corp
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
Original Assignee
Chiyoda Corp
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chiyoda Corp, Mitsubishi Paper Mills Ltd, Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd filed Critical Chiyoda Corp
Priority to JP10310668A priority Critical patent/JP2000136490A/ja
Publication of JP2000136490A publication Critical patent/JP2000136490A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P40/00Technologies relating to the processing of minerals
    • Y02P40/40Production or processing of lime, e.g. limestone regeneration of lime in pulp and sugar mills

Landscapes

  • Paper (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 クラフトパルプの製造方法において、パルプ
操業負荷を低減させるとともに、パルプ収率を向上させ
る方法を提供する。 【解決手段】 リグノセルロース物質を第1蒸解液を用
いて蒸解する第1蒸解工程と、第1蒸解生成物に第2蒸
解液を加えてさらに蒸解する第2蒸解工程を含むクラフ
トパルプの製造方法において、(i)該緑液を緑液Aと
緑液Bとに分岐、(ii)緑液Aから炭酸ナトリウムを分
離して硫化ナトリウムに富む緑液Cを得る、(iii)該
炭酸ナトリウムを緑液Bに混合し緑液Dを得る、(iv)
緑液Cを空気酸化して水酸化ナトリウム、硫化ナトリウ
ム及びポリサルファイド硫黄を含む酸化緑液を得て、こ
の酸化緑液を前記第1蒸解液として循環使用すること、
(v)緑液Dを苛性化して水酸化ナトリウムと硫化ナト
リウムと炭酸ナトリウムを含む白液を得て、この白液を
前記第2蒸解液として循環使用すること、を特徴とする
クラフトパルプの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リグノセルロース
物質の蒸解工程を含むクラフトパルプの製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】製紙用パルプ製造方法のうち、クラフト
法によるパルプの製造方法は、蒸解廃液から蒸解用薬品
及び熱エネルギーの回収方法が確立されている上、さま
ざまな樹種を原料にでき、品質の良いパルプが製造でき
るなどの理由から、化学パルプ製造法の代表的方法とな
っている。従来のクラフトパルプの製造方法によれば、
蒸解工程において木材チップ等のリグノセルロース物質
は、硫化ナトリウムと水酸化ナトリウムを含む水溶液
(白液)で蒸解される。得られた蒸解生成物は固液分離
され、パルプと蒸解廃液とに分離される。分離されたパ
ルプは、水で洗浄され、この洗浄廃液は、前記蒸解廃液
に混合される。これは黒液と呼ばれ、水分を多量に含
み、そのままでは黒液中の有機物を燃焼することができ
ないので、真空蒸発缶(エバポレーター)で水分を除い
て濃縮黒液とされる。この濃縮黒液は回収ボイラーに導
入され、黒液中の有機物が燃焼され、その燃焼熱でスチ
ームが発生され、熱エネルギーが回収される。
【0003】回収ボイラー内においては、黒液中の有機
物の燃焼熱分解により還元雰囲気が形成され、この還元
雰囲気下において濃縮黒液中のイオウ分とナトリウム分
とで硫化ナトリウム(Na2S)が生成し、過剰のナト
リウム分は有機物の燃焼により生じた炭酸ガスと反応し
て炭酸ナトリウムとなる。これらの化合物は回収ボイラ
ー内では溶融状態にあり、スメルトと呼ばれている。こ
のスメルトは、回収ボイラーの底部から水中に導入さ
れ、炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを含む水溶液とさ
れ、この水溶液は緑液と呼ばれている。
【0004】この緑液は、通常、そのままでは蒸解に必
要なアルカリ強度(水酸化ナトリウム分)が足りないの
で、苛性化工程において、その緑液中の炭酸ナトリウム
は水酸化ナトリウムに変換される。即ち、緑液に酸化カ
ルシウムを加えて、酸化カルシウムが水和した水酸化カ
ルシウム微粒子と水溶液中の炭酸ナトリウムとの間で炭
酸基/水酸基交換反応を行わせ、炭酸カルシウム微粒子
と水酸化ナトリウム水溶液を生成させる。前記苛性化工
程で得られる水溶液(白液)中の水酸化ナトリウム量を
炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとの合計量で除した
値を苛性化率と呼ぶが、苛性化工程における苛性化率
は、温度や液組成で定まる上限値(平衡値)に近い程好
ましい。なお、苛性化工程では、緑液中に含まれる硫化
ナトリウムは実質的に変化しない。苛性化工程で得られ
た水溶液は白液と呼ばれ、蒸解工程へ送られ、蒸解液と
して使用される。
【0005】一方、苛性化工程で生成した炭酸カルシウ
ムは固体微粒子であり、重力沈降、ろ布等によるろ過な
どの方法で白液から分離された後、微粒子ケーキ内に残
存するアルカリ成分を洗浄除去した後、脱水され、化石
燃料を熱源としたキルン内で乾燥され、更に炭酸ガスを
分解放出するに十分な温度で焼成され、酸化カルシウム
として再生される。この酸化カルシウムは再び苛性化工
程に送られ、ここで炭酸ナトリウムの苛性化に使用され
る。なお、スメルトを溶解する水には苛性化工程での炭
酸カルシウム微粒子を洗浄した後の洗浄廃水が利用され
るので、緑液中には白液成分に由来する水酸化ナトリウ
ムが存在する。
【0006】従来のクラフトパルプ製造のうち蒸解工程
では、木材チップなどパルプ原料となるリグノセルロー
ス物質と白液とを圧力釜に投入し、スチーム加熱により
所定温度にまで昇温し、更に温度を保持した後、蒸解生
成物と蒸解廃液との混合物を大気圧に放出することによ
って蒸解反応を停止させる。この蒸解工程での重要な操
作因子は、アルカリ成分の木材に対する比及び温度と時
間である。このうち温度と時間については、通常、以下
に定義されるHファクターとよばれる相対反応速度指標
を用いて管理する。
【数1】 この蒸解用の圧力釜には、バッチ方式と連続方式とがあ
る。バッチ方式は、空の圧力釜に原料となる木材チップ
を満たし、次いで白液を投入した後に釜を密閉しスチー
ムで加熱していく方式であり、蒸解終了時には釜下部か
ら釜内容物がブローされる。連続方式では、円筒状容器
の両端に高圧ロータリーバルブを設けた圧力釜の一端か
ら木材チップと白液とを連続的に投入する方式であり、
反応物は円筒釜を移動する間に所定のHファクターを得
るように加熱され、他端から蒸解生成物が排出される。
蒸解工程におけるリグノセルロース物質とアルカリとの
反応について以下に説明する。木材などのリグノセルロ
ース物質には、パルプとして有用なセルロース及びヘミ
セルロースの他に樹木構造を形成する有機高分子化合物
であるリグニンや、低分子の多糖類、各種の有機酸、樹
脂類が含まれている。クラフト蒸解におけるアルカリ薬
品の主要な働きは、リグニンの高分子構造を破壊しアル
カリ水溶液に溶解する低分子化合物に転換することであ
る。また、アルカリは低分子化合物の再重縮合を防止す
るため液のpHをアルカリ性に保持する働きも有してい
る。アルカリ薬品はさらに、有機酸の中和や、低分子多
糖類の加水分解及びそれにより生成する有機酸の中和の
ためにも消費される。即ち、クラフトパルプ製造法にお
いて、アルカリ薬品は必須であり、その消費量はパルプ
生産量に比例することになる。その原料木材に対する有
効アルカリの重量比は、樹種により異なるが、大略針葉
樹で16%、広葉樹で12%とされている。前述したク
ラフトパルプ製造工程に用いる諸設備は、パルプの計画
生産量に応じてその設計能力が定められているが、一般
的にその能力は負荷変動に対して柔軟である。従って、
パルプ需要が増加するような時季には、蒸解釜について
はアルカリ添加量を増やしたり蒸解温度を上昇させたり
することにより、またエバポレーターについては温度上
昇や持ち込み水分量を減少させることにより、設計能力
以上のパルプ増産がしばしば行なわれる。しかしなが
ら、パルプ増産の場合、比較的設備能力に柔軟性のない
回収ボイラーの能力が限界になる。即ち、回収ボイラー
の能力上限は発生する熱量で決まることが多く、パルプ
の増産に比例してボイラーでの発熱量も増加することに
よる。従って、回収ボイラーにおける発熱量増加を抑制
してパルプ増産を図るための新しい方法が求められてい
た。苛性化設備については増産するパルプ量に比例して
使用する酸化カルシウム量を増加させることによりパル
プ増産が可能である。これは、通常ライムキルンを循環
している酸化カルシウムの流れに工業用生石灰を追加投
入する方法で行なわれる。しかしながら、この投入した
過剰の生石灰によりいくつかの問題点が発生する。第一
の問題点は通常よりも過剰な酸化カルシウムを投入する
ため白液中に未反応の水酸化カルシウム微粒子が混入し
固液分離が悪くなり、白液中の固体懸濁物質の濃度を著
しく増加させることとなる。この固体懸濁物質は機器や
配管などへのスケーリングなどのトラブルを招き、パル
プ製造工程の作業を阻害する。第二の問題点は、ライム
キルンの能力を越える過剰の炭酸カルシウム分をライム
循環の流れから排出しなければならず産業廃棄物の増加
をもたらすことにある。従って、苛性化工程における負
荷を軽減してパルプ増産を図る新しい方法が求められて
いた。
【0007】クラフト法パルプ製造方法における薬品再
生循環サイクルにおいて、回収ボイラーで発生するスチ
ームは、発電タービンの動力として電気エネルギーを生
産したり、エバポレーターでの真空発生や熱源に利用し
たり、更に蒸解釜の熱源としたりとパルプ製造工程など
で使用するエネルギーを有効に回収する。しかしなが
ら、苛性化工程のライムキルンは唯一化石燃料を消費す
る工程であり、この工程の操業負荷を減らすことは、上
述したパルプ生産の経済効率をあげるうえでも、また化
石燃料の消費を減らして地球環境を保護するうえでも極
めて重要な技術的課題である。
【0008】これまでに種々提案されているクラフトパ
ルプの製造に関する改良方法としては、改良連続蒸解方
法、スーパーバッチ法、一段ポリサルファイド蒸解方法
などがあるが、これらはいずれもパルプ収率を増加させ
るとともに、パルプ品質を改良する方法ではあるが、操
業負荷を大幅に低減することはできず、また設備の大規
模な改造や追加設置が必要となるなどの問題点がある。
【0009】これらのうち、改良連続蒸解方法は、連続
クラフト蒸解釜への蒸解用薬品を蒸解工程の前段、中
段、後段などに分割して導入し、パルプ収率を増大せし
める方法である。この方法においては、蒸解工程の各段
におけるアルカリ濃度レベルが、蒸解薬品の一段導入よ
りも均一になる結果、過剰アルカリによるセルロースの
崩壊反応が抑制され、パルプ収率が増大されると解釈さ
れているが、この方法を既設の連続蒸解釜に適用しよう
とすると、大掛かりな設備の改造を伴い多大な投資を要
するし、また、既設のバッチ釜への適用ができない。更
に、この方法では蒸解薬品の使用量は従来の方法と変わ
らないか、若干増加することもあり、パルプ製造工程の
操業負荷低減は望めない。
【0010】また、スーパーバッチ法は、バッチ蒸解釜
でのクラフトパルプの製造方法の改良法であり、蒸解を
終了した後にパルプと分離した温黒液を用いて釜に投入
される木材チップを予備処理する方法であるが、温黒液
を貯留し、移送するための設備を新たに設置しなければ
ならず、パルプ製造工程における操業負荷の大幅な低減
は期待できない。
【0011】一段ポリサルファイド蒸解方法は、ポリサ
ルファイド硫黄がヘミセルロース末端基を酸化保護し、
アルカリによるセルロース崩壊を防ぐ機構によりパルプ
収率の増加を期待する方法であり、白液の触媒酸化によ
りポリサルファイド硫黄を製造する技術が実際の工場操
業に適用されており、その実操業でのパルプ収率増加の
効果も確認されている。しかしながら、この方法はつぎ
にのべるような限界がある。即ち、クラフトパルプの製
造に用いる蒸解用薬品には硫化ナトリウムが存在してい
なければならず、それはNa2Oとして最低10g/L
必要とされている。これよりも硫化ナトリウムが少ない
と、クラフト蒸解とならずアルカリ蒸解となり、製造さ
れるパルプ品質が著しく変化する。しかも、この方法に
おいては、白液を触媒酸化してそれに含まれる硫化ナト
リウムをポリサルファイド硫黄に変換する場合、白液中
の硫化ナトリウムの一部だけしか利用することができ
ず、白液中に生成させるポリサルファイド硫黄の濃度も
おのずと制限される。また、一段ポリサルファイド蒸解
では蒸解工程の初期にポリサルファイド硫黄が分解する
ことが避けられず、パルプ収率増加に寄与するポリサル
ファイド硫黄は更に減少する。その上、この方法では白
液の全量を触媒酸化しなければならないため酸化設備も
大きくなる。一方、蒸解液の硫化ナトリウム濃度を高め
る方法として、緑液を濃縮・冷却により結晶化する特開
平6−1731843などが提案されている。しかしな
がら、これらの方法は緑液の全量を処理するために、冷
却などのエネルギーを多大に消費することになり、必ず
しも経済的ではない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、クラフトパ
ルプの製造方法において、パルプ操業負荷を低減させる
とともに、パルプ収率を向上させる方法を提供すること
をその課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。
【0014】即ち、本発明によれば、リグノセルロース
物質を第1蒸解液を用いて蒸解する第1蒸解工程と、第
1蒸解生成物に第2蒸解液を加えてさらに蒸解する第2
蒸解工程と、第2蒸解生成物をパルプと蒸解廃液とに分
離する工程と、蒸解廃液を濃縮する工程と、濃縮蒸解廃
液を燃焼する工程と、燃焼残渣を水に溶解して緑液を生
成する工程と、緑液に酸化カルシウムを加えて苛性化し
て白液を生成する工程を含むクラフトパルプの製造方法
において、(i)該緑液を緑液Aと緑液Bとに分岐する
こと、(ii)該分岐した緑液Aから炭酸ナトリウムを実
質的に分離して硫化ナトリウムに富む緑液Cを得るこ
と、(iii)該分離した炭酸ナトリウムを、先に分岐し
た残余の緑液Bに混合し緑液Dを得ること、(iv)硫化
ナトリウムに富む緑液Cを触媒の存在下で空気酸化して
水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム及びポリサルファイ
ド硫黄を含む酸化緑液を得るとともに、この酸化緑液を
前記第1蒸解液として循環使用すること、(v)該緑液
Dを苛性化して水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムと炭
酸ナトリウムを含む白液を得るとともに、この白液を前
記第2蒸解液として循環使用すること、を特徴とするク
ラフトパルプの製造方法が提供される。また、本発明に
よれば、リグノセルロース物質を第1蒸解液を用いて蒸
解する第1蒸解工程と、第1蒸解生成物に第2蒸解液を
加えてさらに蒸解する第2蒸解工程と、第2蒸解生成物
をパルプと蒸解廃液とに分離する工程と、蒸解廃液を濃
縮する工程と、濃縮蒸解廃液を燃焼する工程と、燃焼残
渣を水に溶解して緑液を生成する工程と、緑液に酸化カ
ルシウムを加えて苛性化して白液を生成する工程を含む
クラフトパルプの製造方法において、(i)該緑液を緑
液Aと緑液Bとに分岐すること、(ii)該分岐した緑液
Aから炭酸ナトリウムを実質的に分離して硫化ナトリウ
ムに富む緑液Cを得ること、(iii)該分離した炭酸ナ
トリウムを、先に分岐した残余の緑液Bに混合し緑液D
を得ること、(iv)硫化ナトリウムに富む緑液Cを触媒
の存在下で空気酸化して水酸化ナトリウム、硫化ナトリ
ウム及びポリサルファイド硫黄を含む酸化緑液を得ると
ともに、この酸化緑液を前記第1蒸解液として循環使用
すること、(v)該緑液Dを苛性化して水酸化ナトリウ
ムと硫化ナトリウムと炭酸ナトリウムを含む白液を得る
こと、(vi)該白液を酸化して酸化白液を得るととも
に、この酸化白液を前記第2蒸解液として循環使用する
こと、を特徴とするクラフトパルプの製造方法が提供さ
れる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明でパルプ原料として用いる
リグノセルロース物質には、各種木材の他、バガス、稲
ワラ、麻等の非木材が包含される。
【0016】本発明のリグノセルロース物質の蒸解工程
は、リグノセルロースをポリサルファイド硫黄と炭酸ナ
トリウムを含む第1蒸解液を用いて蒸解する第1蒸解工
程と、この第1蒸解生成物に硫化ナトリウム(Na
2S)と水酸化ナトリウムを含む第2蒸解液又はポリサ
ルファイド硫黄と硫化ナトリウムと水酸化ナトリウムを
含む第2蒸解液を加えてさらに蒸解する第2蒸解工程か
らなる。第1蒸解工程で用いる第1蒸解液中のポリサル
ファイド硫黄濃度は、2〜20g/L、好ましくは4〜
15g/Lであり、炭酸ナトリウム濃度は、30〜10
0g/L、好ましくは40〜90g/Lである。第1蒸
解工程で用いる第1蒸解液中には、水酸化ナトリウム及
び硫化ナトリウムが含まれていてもよいが、その水酸化
ナトリウム濃度は70g/L以下、好ましくは50g/
L以下である。また、硫化ナトリウム濃度は、50g/
L以下、好ましくは2〜35g/Lである。第1蒸解工
程において、その蒸解温度は100〜160℃、好まし
くは120〜140℃である。蒸解保持時間は、リグノ
セルロース物質の種類や蒸解温度にもよるが、通常10
〜50分間、好ましくは20〜40分間である。前記第
1蒸解工程により、リグノセルロース物質はマイルドに
蒸解されるとともに、ヘミセルロースの末端がポリサル
ファイド硫黄により酸化保護され、後続の第2蒸解工程
における水酸化ナトリウムによる強い蒸解作用下におけ
るセルロースの崩壊が防止される。また、この第1蒸解
工程は、マイルドな蒸解条件が用いられることから、ポ
リサルファイド硫黄の分解が防止され、ポリサルファイ
ド硫黄の効果的な作用を発現させることができる。
【0017】第2蒸解工程においては、第1蒸解工程で
得られる蒸解生成物に硫化ナトリウムと水酸化ナトリウ
ムを含む蒸解液もしくは、ポリサルファイド硫黄と硫化
ナトリウムと水酸化ナトリウムを含む第2蒸解液を加え
てさらに蒸解を進めるが、この場合、第1蒸解生成物に
加える第2蒸解液中の硫化ナトリウム濃度は、10〜5
0g/L、好ましくは12〜40g/Lである。水酸化
ナトリウム濃度は、40〜110g/L、好ましくは6
0〜100g/Lである。この第2蒸解液はポリサルフ
ァイド硫黄を含むことができるが、そのポリサルファイ
ド硫黄濃度は、0〜20g/L、好ましくは0〜12g
/Lである。 第2蒸解工程において、その蒸解温度と
しては、第1蒸解工程の温度よりも高い温度が用いら
れ、130〜190℃、好ましくは140〜180℃の
温度が用いられる。一般的には、第1蒸解温度よりも1
0〜90℃程度、好ましくは30〜70℃程度高い温度
を用いるのがよい。第2蒸解保持時間は、通常、30〜
90分、好ましくは40〜80分である。第2蒸解工程
において、リグノセルロース物質は、第2蒸解工程で新
しく加えた第2蒸解液と、第1蒸解工程で用いた第1蒸
解液との両者によって蒸解されるが、新しく加えた水酸
化ナトリウムを含む第2蒸解液の強い蒸解作用によって
効率よくパルプ化される。しかも、この場合、第1蒸解
工程において、ヘミセルロースの末端がポリサルファイ
ド硫黄により酸化保護されているため、水酸化ナトリウ
ムの強い蒸解作用を受けても、セルロースの崩壊が効果
的に防止され、パルプ収率は向上する。また第2蒸解液
中にポリサルファイド硫黄を含む場合、パルプ収率は更
に向上する。なお、本明細書中でいうポリサルファイド
硫黄とは、以下に示す反応式により多硫化ナトリウム
(Na22)から生成される硫黄を意味する。
【化1】
【0018】本発明によるリグノセルロース物質の蒸解
工程は、バッチ方式でも連続方式でも実施することがで
きる。バッチ方式で実施する場合には、蒸解釜にリグノ
セルロース物質と第1蒸解液を充填して第1蒸解工程を
行った後、第2蒸解液を加えて第2蒸解工程を行えばよ
い。連続方式で実施する場合には、蒸解釜中を移動する
リグノセルロース物質に対し、そのリグノセルロース物
質が蒸解釜に入った時点において第1蒸解液を加えて第
1蒸解工程を行い、その下流側において第2蒸解液を加
えて第2蒸解工程を行えばよい。
【0019】次に本発明を図面を参照しながら詳述す
る。図1は本発明の方法のフローシートの1例を示し、
図2は本発明のフローシートの他の例を示す。これらの
図において、D(1)は第1蒸解工程、D(2)は第2
蒸解工程、2はパルプの分離洗浄工程、3は黒液濃縮工
程、4は濃縮黒液燃焼工程、5は燃焼残渣溶解工程(緑
液生成工程)、6は苛性化工程、7は焼成工程、8は緑
液酸化工程、9は白液酸化工程、30は炭酸ナトリウム
分離工程を各示す。図1において、蒸解工程D(1)・
D(2)においては、緑液酸化工程8からの酸化緑液と
苛性化工程6からの白液を用いて、ライン10を通って
供給されたリグノセルロース物質の蒸解が行われる。蒸
解工程D(1)・D(2)におけるリグノセルロース物
質の蒸解工程は、前記したように2段階で行われ、第1
蒸解工程D(1)では、緑液酸化工程8からの酸化緑液
を第1蒸解液として用いて行われ、第2蒸解工程D
(2)では、苛性化工程6からの白液を第2蒸解液とし
て用いて行われる。
【0020】蒸解工程D(1)・D(2)で得られた蒸
解生成物は、ライン11を通りパルプの分離洗浄工程2
に送られる。パルプ分離洗浄工程2は、蒸解生成物から
のパルプの分離と洗浄を行う工程である。パルプの分離
には、通常の固液分離、例えば、遠心分離や、真空濾過
分離、フィルタープレス分離等が採用される。パルプの
分離洗浄工程2で分離されたパルプ(クラフトパルプ)
はライン13を通って回収され、一方、パルプと分離さ
れた蒸解廃液(黒液)はライン12を通って黒液濃縮工
程3へ送られる。黒液濃縮工程3は、黒液中から水分を
除去する工程であり、その装置としては、黒液中の水分
を除去し得る装置であれば任意のものを用いることがで
きるが、通常は、真空蒸発缶(エバポレーター)が用い
られる。この黒液濃縮工程により、黒液は濃縮黒液とさ
れ、ライン14を通って濃縮黒液燃焼工程4に送られ
る。
【0021】黒液燃焼工程4は、濃縮黒液中の有機物を
燃焼するとともに、濃縮液中の無機物を燃焼残渣として
回収する工程であり、その装置としては、慣用の回収ボ
イラーが用いられる。この回収ボイラー内においては、
濃縮黒液中の有機物が燃焼され、その有機物の燃焼熱
は、スチームとして回収される。また、この回収ボイラ
ーにおいて、濃縮黒液中のナトリウム分とイオウ分と
は、有機物の燃焼熱分解により形成される還元雰囲気下
で硫化ナトリウム(Na2S)を生成し、また、濃縮黒
液中の過剰のナトリウム分は有機物の燃焼により生じた
炭酸ガスと反応して炭酸ナトリウム(Na2CO3)とな
る。これらの硫化ナトリウム及び炭酸ナトリウムは、燃
焼残渣の主成分を構成し、回収ボイラー内では高温の溶
融液(スメルト)となり、このものは、その回収ボイラ
ー底部から抜出され、ライン15を通って燃焼残渣溶解
工程(緑液生成工程)5に送られる。燃焼残渣溶解工程
5は、スメルトを水中に投入し、溶解させて燃焼残渣水
溶液(緑液)を調製する工程である。この緑液は、ライ
ン16を通って抜出され、緑液Aと緑液Bとに分岐され
る。スメルト溶解後の緑液からの緑液Aの分岐重量比率
は、20〜60%、好ましくは30〜45%とする。緑
液Aはライン31を通って炭酸ナトリウム分離工程30
に導入され、ここで緑液A中の炭酸ナトリウムが実質的
に分離される。分離された炭酸ナトリウムはライン32
を通って緑液Bに混合され、緑液Dが形成される。この
緑液Dは苛性化工程6に送られる。一方、前記炭酸ナト
リウム分離工程30で炭酸ナトリウムが分離された後の
緑液Cはライン17を通って緑液酸化工程8へ送られ
る。前記炭酸ナトリウム分離工程30における炭酸ナト
リウムの分離は、従来公知の方法で実施され、例えば、
緑液から水分を蒸発させ濃縮したり、緑液を冷却したり
等して実質的に炭酸ナトリウム結晶を形成した後、固液
分離する等の方法よって実施される。
【0022】苛性化工程6は、緑液中の炭酸ナトリウム
を苛性化して水酸化ナトリウムに変換させ、緑液を白液
に変換させる工程である。この苛性化工程6は、緑液中
に、酸化カルシウムを添加して水酸化カルシウム微粒子
として分散させるとともに、炭酸ナトリウムをこの水酸
化カルシウムと反応させ、水酸化ナトリウムに変換させ
ることによって実施される。苛性化工程6で副生した微
粒子状の炭酸カルシウムは、固液分離により母液(白
液)から分離され、ライン18を通って焼成工程7に送
られ、ここで焼成された後、酸化カルシウムとしてライ
ン19を通って苛性化工程6に循環される。この場合の
焼成炉としては、ロータリーキルン型や、移動床型、流
動床型の焼成炉が用いられる。苛性化工程6で得られた
白液はライン21を通って第2蒸解工程D(2)に供給
される。
【0023】本発明においては、燃焼残渣溶解工程5に
おいて得られた緑液の一部は、ライン31を通って炭酸
ナトリウム分離工程30に送ってここで炭酸ナトリウム
を分離した後、ライン17を通って緑液酸化工程8へ送
り、ここで酸化処理する。この場合の緑液の酸化処理
は、酸素や含酸素ガス(空気、富酸素化空気等)と緑液
とを接触させることによって実施される。この緑液の酸
化処理により、緑液中の硫化ナトリウムが酸化されて硫
黄と水酸化ナトリウムに変換される反応と、硫化ナトリ
ウムと硫黄とが反応して多硫化ナトリウムを生成する反
応からなる主反応と、硫化ナトリウム及び多硫化ナトリ
ウムがチオ硫酸ナトリウム(Na223)に酸化され
る副反応が生起する。 (主反応) Na2S+1/2O2+2H2O→S+2NaOH (1) 2Na2S+S→Na22 (2) (副反応) Na22+3O2→2Na223 (3) 2Na2S+2O2+H2O→2Na223+2NaOH (4) 緑液の酸化処理は、触媒を用い、60〜100℃、好ま
しくは70〜90℃の温度及び0〜2kg/cm2G、
好ましくは0〜0.5kg/cm2Gの圧力の条件下で
行われる。触媒としては、従来公知の各種の酸化触媒を
用いることができるが、好ましくは活性炭触媒が用いら
れる。この活性炭触媒は、粒状や繊維状、布状等の種々
の形態であることができる。また、酸化処理装置として
は、一般的には、触媒を内部に充填した触媒塔が用いら
れる。この緑液の酸化処理において、硫化ナトリウムの
反応率(酸化率)は、これを40〜95%、好ましくは
70〜90%の範囲に保持するのがよい。硫化ナトリウ
ムの酸化率が前記範囲を超えると、前記副反応が生じや
すくなり、蒸解に役立たないチオ硫化ナトリウムが増加
するようになるので好ましくない。酸化処理する緑液
は、その酸化処理に先立ち、触媒への緑液中固体懸濁物
質の堆積による触媒性能劣化を防止するために、その全
量を、布、砂、アンスライト等の濾過材を用いる濾過処
理をして、緑液中の固体懸濁物質をあらかじめ実質的に
除去することもできる。
【0024】酸化処理を施す緑液の割合は、溶解工程5
で得られる全緑液の50%以下にするのが好ましく、よ
り好ましくは20〜40%である。酸化処理を施す緑液
の割合が50%を超えるようになると蒸解工程1に供給
する白液の量が少なくなり、第2蒸解工程におけるリグ
ノセルロース物質の円滑な蒸解ができなくなるので好ま
しくない。一方、酸化処理を施す緑液の割合が20%よ
り低くなると、第2蒸解工程においてリグノセルロース
物質の円滑な蒸解を行うために、硫化ナトリウムや水酸
化ナトリウムの使用量を増加させる必要が生じ、プロセ
ス効率が悪化するので好ましくない。
【0025】図2に示したフローシートは、苛性化工程
6で得られた白液を、いったん白液酸化工程9に送り、
ここで酸化処理を施した後、第2蒸解工程D(2)に送
る点で図1に示したフローシートと異なるだけで、それ
以外は図1のフローシートと同じである。この場合の白
液の酸化処理は、前記した緑液の酸化処理と同様にして
実施される。この白液の酸化処理により、白液中の硫化
ナトリウムの一部がポリサルファイド硫黄に変換され、
硫化ナトリウムとポリサルファイド硫黄と水酸化ナトリ
ウムを含む酸化白液が得られる。この酸化白液は、ポリ
サルファイド硫黄を含むため、第2蒸解工程におけるセ
ルロースの崩壊を防止し、パルプ収率をさらに向上させ
る。
【0026】本発明のパルプの製造方法においては、前
記のように、蒸解工程を特定の2工程で行うことから、
パルプ収率の向上が得られ、このことは黒液中の有機分
減少をもたらして回収ボイラーの負荷の軽減を実現す
る。また、苛性化工程との関連で用いる焼成工程の操業
負荷が軽減される。即ち、本発明の場合、燃焼残渣溶解
工程で得られる緑液のすべてが苛性化工程に導入され
ず、その一部のみが苛性化工程に導入されることから、
必然的に苛性化工程で用いる酸化カルシウムの使用量も
少なくなる。そのため、苛性化工程で副生した炭酸カル
シウムを酸化カルシウムに変換するための焼成工程の負
荷も軽減され、その結果、焼成炉等の設備も小型化され
るとともに、その燃料量も軽減される。
【0027】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。なお、以下において示す緑液、酸化緑液、白液及
び酸化白液としては、以下に示すものを用いた。 (緑液A及びB)工場で使用している緑液の一部を用い
た。この緑液の成分組成は次の通りである。なお、分岐
した緑液AとBの重量比率は40:60とした。 Na2S : Na2O換算量で35.9g/L Na2CO3: Na2O換算量で86.7g/L NaOH : Na2O換算量で13.6g/L ポリサルファイド硫黄: 0g/L (緑液C)前記緑液Aを5℃に冷却した後、実質的に炭
酸ナトリウム結晶を分離した後の緑液である。この緑液
Cの成分組成は次の通りである。なお、緑液Cの重量は
最初の緑液重量の27.2%であった。 Na2S : Na2O換算量で41.7g/L Na2CO3: Na2O換算量で49.1g/L NaOH : Na2O換算量で14.0g/L ポリサルファイド硫黄: 0g/L (酸化緑液)前記緑液Cを活性炭を触媒として用いて空
気酸化して調製した。この場合、硫化ナトリウムの酸化
率は、酸化前後の硫化ナトリウム濃度から求めた酸化率
で、70%であった。この酸化緑液の成分組成は次の通
りである。 Na2S : Na2O換算量で12.5g/L Na2CO3: Na2O換算量で49.1g/L NaOH : Na2O換算量で35.4g/L ポリサルファイド硫黄: S換算量で10.6g/L (緑液D)前記緑液Bに前記緑液Aから分離した炭酸ナ
トリウム結晶を添加溶解した溶液である。この緑液Dの
成分組成は次の通りである。 Na2S : Na2O換算量で42.2g/L Na2CO3: Na2O換算量で80.6g/L NaOH : Na2O換算量で16.8g/L ポリサルファイド硫黄: 0g/L (白液)前記緑液Dを常法により苛性化して得た。この
白液の成分組成は次の通りである。 Na2S : Na2O換算量で42.2g/L Na2CO3: Na2O換算量で18.5g/L NaOH : Na2O換算量で78.9g/L ポリサルファイド硫黄: 0g/L (酸化白液)前記白液を活性炭を触媒として用いて空気
酸化して調整した。この酸化白液の成分組成は次の通り
ある。 Na2S : Na2O換算量で12.7g/L Na2CO3: Na2O換算量で18.5g/L NaOH : Na2O換算量で104.0g/L ポリサルファイド硫黄: S換算量で10.7g/L
【0028】実施例1 工場で使用しているユーカリチップから、異形チップお
よびダストを除き、ポリエチレン袋に保存し、その一部
を取りだし、絶乾重量で500gを正確に採取し、これ
を10リットルの圧力釜に入れた。次に25℃で216
gの前記酸化緑液を投入した後釜を密閉した。直ちに電
気ヒーターで加熱を始め20分後に100℃にした。引
き続き昇温して5分後に130℃とし、30分間この温
度で保持し第1蒸解を行なった。次に釜を設けた弁を開
いて90℃に余熱した前記白液580gを圧入した後こ
の弁を閉じ、23℃/分の昇温速度で173℃まで加熱
し、この温度で43分間保持し第2蒸解を行なった。そ
の後圧力釜の内容物を取り出し、水で十分な洗浄を行な
ってパルプに付着する蒸解廃液を除去したのち、スクリ
ーンでパルプ成分のみを分離し、これを乾燥し、その重
量を測定して、パルプ収率を求め、さらにパルプのカッ
パー価を測定した。なお、酸化緑液を投入する時には、
第2蒸解時の液/チップ重量比が4.5となるように水
をくわえて調整した。
【0029】実施例2 実施例1において、第2蒸解液の白液の代りに525g
の酸化白液を用いるとともに、前記酸化緑液を196g
用いた以外は同様にして実験を行った。
【0030】比較例 実施例1において、酸化緑液の代わりに、前記緑液Aを
採取した工場において用いられている下記組成の白液7
01gを投入したこと、及び130℃での温度保持と白
液の追加投入を省略して100℃から173℃に23℃
/分の昇温速度で昇温し、この温度で45分保持した以
外は、実施例1と同様にして実験を行った。 Na2S : Na2O換算量で12.7g/L Na2CO3: Na2O換算量で18.5g/L NaOH : Na2O換算量で80.4g/L ポリサルファイド硫黄: S換算量で0g/L
【0031】前記の実施例及び比較例の実験により、以
下に示す実験成績が得られた。
【0032】
【表1】
【0033】表1に示した項目事項の内容は次の通りで
ある。 (パルプ収率)比較例のパルプ収率を100としたとき
の相対比で示した。この場合、パルプ収率は、絶乾チッ
プ重量に対する風乾パルプ重量の比率である。 (パルプのカッパー価)蒸解程度をリグニン残存量で示
す値。 (有効アルカリ添加率)比較例の有効アルカリ添加率を
100としたときの相対比で示した。この場合、有効ア
ルカリ添加率は、風乾パルプ1トン当りに添加される有
効アルカリのNa2O換算量でのkgである。 (回収ボイラー負荷)パルプ1トン当りの濃縮黒液中の
有機分について、比較例を100としたときの相対比で
示した。 (苛性化率)苛性化すべきパルプ1トン当りのNa2
3重量(kg)について、比較例を100としたとき
の相対比で示した。
【0034】表1に示した実験結果からわかるように、
炭酸ナトリウムを分離した後の緑液Cを酸化して得られ
た酸化緑液を用いて蒸解する第1蒸解工程と、第1蒸解
生成物に緑液Bに炭酸ナトリウムを加えた緑液Dを苛性
化して得た白液又はその酸化白液を加えて蒸解する第2
蒸解工程を組合せることにより、パルプ収率の向上が達
成される。また、このような2段階の蒸解工程を用いる
ときには、白液を得るために緑液を苛性化する苛性化工
程の操業負荷が著しく軽減され、このことは、苛性化工
程との関連で行う炭酸カルシウムの焼成工程の操業負荷
も著しく軽減され、パルプ製造における経済性が大幅に
向上することを意味する。その上、蒸解廃液中の有機分
も減少し、黒液燃焼を行うボイラーの負荷も軽減され
る。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、従来のクラフトパルプ
の製造方法に比較し、パルプ収率の向上と、プロセス経
済性の大幅な向上が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法のフローシートの1例を示す。
【図2】本発明の方法のフローシートの他の例を示す。
【符号の説明】
D(1)第1蒸解工程 D(2)第2蒸解工程 2 パルプの分離洗浄工程 3 黒液濃縮工程 4 濃縮黒液燃焼工程 5 燃焼残渣溶解工程 6 苛性化工程 7 焼成工程 8 緑液酸化工程 9 白液酸化工程 30 炭酸ナトリウム分離工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 晋一 東京都千代田区丸ノ内三丁目4番2号 三 菱製紙株式会社内 (72)発明者 大口 善弘 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 今川 健一 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 稲葉 隆一 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内 Fターム(参考) 4L055 AB02 AB04 AB06 BA20 BA24 BA35 BC03 BC04 BC05 BC07 FA01 FA02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リグノセルロース物質を第1蒸解液を用
    いて蒸解する第1蒸解工程と、第1蒸解生成物に第2蒸
    解液を加えてさらに蒸解する第2蒸解工程と、第2蒸解
    生成物をパルプと蒸解廃液とに分離する工程と、蒸解廃
    液を濃縮する工程と、濃縮蒸解廃液を燃焼する工程と、
    燃焼残渣を水に溶解して緑液を生成する工程と、緑液に
    酸化カルシウムを加えて苛性化して白液を生成する工程
    を含むクラフトパルプの製造方法において、 (i)該緑液を緑液Aと緑液Bとに分岐すること、 (ii)該分岐した緑液Aから炭酸ナトリウムを実質的に
    分離して硫化ナトリウムに富む緑液Cを得ること、 (iii)該分離した炭酸ナトリウムを、先に分岐した残
    余の緑液Bに混合し緑液Dを得ること、 (iv)硫化ナトリウムに富む緑液Cを触媒の存在下で空
    気酸化して水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム及びポリ
    サルファイド硫黄を含む酸化緑液を得るとともに、この
    酸化緑液を前記第1蒸解液として循環使用すること、 (v)該緑液Dを苛性化して水酸化ナトリウムと硫化ナ
    トリウムと炭酸ナトリウムを含む白液を得るとともに、
    この白液を前記第2蒸解液として循環使用すること、 を特徴とするクラフトパルプの製造方法。
  2. 【請求項2】 リグノセルロース物質を第1蒸解液を用
    いて蒸解する第1蒸解工程と、第1蒸解生成物に第2蒸
    解液を加えてさらに蒸解する第2蒸解工程と、第2蒸解
    生成物をパルプと蒸解廃液とに分離する工程と、蒸解廃
    液を濃縮する工程と、濃縮蒸解廃液を燃焼する工程と、
    燃焼残渣を水に溶解して緑液を生成する工程と、緑液に
    酸化カルシウムを加えて苛性化して白液を生成する工程
    を含むクラフトパルプの製造方法において、 (i)該緑液を緑液Aと緑液Bとに分岐すること、 (ii)該分岐した緑液Aから炭酸ナトリウムを実質的に
    分離して硫化ナトリウムに富む緑液Cを得ること、 (iii)該分離した炭酸ナトリウムを、先に分岐した残
    余の緑液Bに混合し緑液Dを得ること、 (iv)硫化ナトリウムに富む緑液Cを触媒の存在下で空
    気酸化して水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム及びポリ
    サルファイド硫黄を含む酸化緑液を得るとともに、この
    酸化緑液を前記第1蒸解液として循環使用すること、 (v)該緑液Dを苛性化して水酸化ナトリウムと硫化ナ
    トリウムと炭酸ナトリウムを含む白液を得ること、 (vi)該白液を酸化して酸化白液を得るとともに、この
    酸化白液を前記第2蒸解液として循環使用すること、 を特徴とするクラフトパルプの製造方法。
JP10310668A 1998-10-30 1998-10-30 クラフトパルプの製造方法 Pending JP2000136490A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10310668A JP2000136490A (ja) 1998-10-30 1998-10-30 クラフトパルプの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10310668A JP2000136490A (ja) 1998-10-30 1998-10-30 クラフトパルプの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000136490A true JP2000136490A (ja) 2000-05-16

Family

ID=18008028

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10310668A Pending JP2000136490A (ja) 1998-10-30 1998-10-30 クラフトパルプの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000136490A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007128024A1 (de) * 2006-05-10 2007-11-15 Lenzing Aktiengesellschaft Verfahren zur herstellung eines zellstoffes
CN102877350A (zh) * 2012-09-29 2013-01-16 广西大学 一种木素提取联合碱回收的黑液处理方法
CN111287011A (zh) * 2020-03-26 2020-06-16 陕西科技大学 一种制浆废液综合回收利用的方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007128024A1 (de) * 2006-05-10 2007-11-15 Lenzing Aktiengesellschaft Verfahren zur herstellung eines zellstoffes
CN102877350A (zh) * 2012-09-29 2013-01-16 广西大学 一种木素提取联合碱回收的黑液处理方法
CN102877350B (zh) * 2012-09-29 2014-10-15 广西大学 一种木素提取联合碱回收的黑液处理方法
CN111287011A (zh) * 2020-03-26 2020-06-16 陕西科技大学 一种制浆废液综合回收利用的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3366535A (en) Process for regenerating waste liquor for reuse in kraft pulping operation
FI111168B (fi) Menetelmä valkaista massaa käyttämättä klooripitoisia kemikaaleja
US4507172A (en) Kraft pulping process
EP0903436B1 (en) Method in connection with impregnation and digestion of lignocellulosic material
US3347739A (en) Continuous sodium sulfide pulping of cellulosic material
US4331507A (en) Desilication in alkaline pulp processes
US3560329A (en) Process for low sulfide chemical recovery
JP2000136490A (ja) クラフトパルプの製造方法
US5972165A (en) Method of producing oxidized white liquor using dregs containing carbon particles
US5597445A (en) Method for recovering sodium from a spent cooking liquor
JP4205855B2 (ja) ポリサルファイドパルプ化プロセス
WO1999063151A1 (en) Partial autocausticization of alkali liquors for wood pulping processes
US5507912A (en) Kraft pulping process wherein sulphide-rich and sulphide-lean white liquors are generated
JPH09268488A (ja) クラフトパルプの製造方法
JPH09268487A (ja) クラフトパルプの製造方法
US3414468A (en) Process of regenerating pulping liquor from cellulose digestion waste liquor
JPH10280290A (ja) 蒸解廃液燃焼溶融物の処理方法及びクラフトパルプの製造方法
US2738270A (en) Process for utilizing the dry content of sulphite waste liquor
US3959068A (en) Process and apparatus for recovery of sulfur from a polysulfide pulping operation
US3554858A (en) Process for regeneration of white liquor with hydrogen sulfide recycle
US11655589B2 (en) Method and a system for adjusting PH of green liquor dregs
CN1141983A (zh) 碱法造纸黑液的综合治理方法
JP2000136491A (ja) クラフトパルプの製造方法
JPH11286883A (ja) クラフトパルプの製造方法
FI73754B (fi) Foerfarande vid beredning av kok-kemikalier foer cellulosaframstaellning.