JPH09268487A - クラフトパルプの製造方法 - Google Patents

クラフトパルプの製造方法

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JPH09268487A
JPH09268487A JP9760996A JP9760996A JPH09268487A JP H09268487 A JPH09268487 A JP H09268487A JP 9760996 A JP9760996 A JP 9760996A JP 9760996 A JP9760996 A JP 9760996A JP H09268487 A JPH09268487 A JP H09268487A
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cooking
liquor
pulp
aqueous solution
sodium
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JP9760996A
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Hiroichi Hara
普一 原
Kazuhiro Nakamura
和広 中村
Yoshihiro Oguchi
善弘 大口
Sachio Asaoka
佐知夫 浅岡
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Chiyoda Corp
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
Original Assignee
Chiyoda Corp
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラフトパルプの製造方法において、パルプ
操業負荷を低減させるとともに、パルプ収率を向上させ
る方法を提供する。 【解決手段】 リグノセルロース物質をポリサルファイ
ド硫黄と炭酸ナトリウムを含む蒸解液を用いて蒸解する
第1蒸解工程と、得られた第1蒸解生成物に硫化ナトリ
ウムと水酸化ナトリウムを含む蒸解液を加えてさらに第
2蒸解する第2蒸解工程からなることを特徴とするクラ
フトパルプの製造方法。リグノセルロース物質をポリサ
ルファイド硫黄と炭酸ナトリウムを含む蒸解液を用いて
蒸解する第1蒸解工程と、得られた第1蒸解生成物にポ
リサルファイド硫黄と硫化ナトリウムと水酸化ナトリウ
ムを含む蒸解液を加えてさらに蒸解する第2蒸解工程か
らなることを特徴とするクラフトパルプの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リグノセルロース
物質の蒸解工程を含むクラフトパルプの製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】製紙用パルプ製造方法のうち、クラフト
法によるパルプの製造方法は、蒸解廃液から蒸解用薬品
及び熱エネルギーの回収方法が確立されている上、さま
ざまな樹種を原料にでき、品質の良いパルプが製造でき
るなどの理由から、化学パルプ製造法の代表的方法とな
っている。従来のクラフトパルプの製造方法によれば、
蒸解工程において木材チップ等のリグノセルロース物質
は、硫化ナトリウムと水酸化ナトリウムを含む水溶液
(白液)で蒸解される。得られた蒸解生成物は固液分離
され、パルプと蒸解廃液とに分離される。分離されたパ
ルプは、水で洗浄され、この洗浄廃液は、前記蒸解廃液
に混合される。これは黒液と呼ばれ、水分を多量に含
み、そのままでは黒液中の有機物を燃焼することができ
ないので、真空蒸発缶(エバポレーター)で水分を除い
て濃縮黒液とされる。この濃縮黒液は回収ボイラーに導
入され、黒液中の有機物が燃焼され、その燃焼熱でスチ
ームが発生され、熱エネルギーが回収される。
【0003】回収ボイラー内においては、黒液中の有機
物の燃焼熱分解により還元雰囲気が形成され、この還元
雰囲気下において濃縮黒液中のイオウ分とナトリウム分
とで硫化ナトリウム(Na2S)が生成し、過剰のナト
リウム分は有機物の燃焼により生じた炭酸ガスと反応し
て炭酸ナトリウムとなる。これらの化合物は回収ボイラ
ー内では溶融状態にあり、スメルトと呼ばれている。こ
のスメルトは、回収ボイラーの底部から水中に導入さ
れ、炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを含む水溶液とさ
れ、この水溶液は緑液と呼ばれている。
【0004】この緑液は、通常、そのままでは蒸解に必
要なアルカリ強度(水酸化ナトリウム分)が足りないの
で、苛性化工程において、その緑液中の炭酸ナトリウム
は水酸化ナトリウムに変換される。即ち、緑液に酸化カ
ルシウムを加えて、酸化カルシウムが水和した水酸化カ
ルシウム微粒子と水溶液中の炭酸ナトリウムとの間で炭
酸基/水酸基交換反応を行わせ、炭酸カルシウム微粒子
と水酸化ナトリウム水溶液を生成させる。前記苛性化工
程で得られる水溶液(白液)中の水酸化ナトリウム量を
炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとの合計量で除した
値を苛性化率と呼ぶが、苛性化工程における苛性化率
は、温度や液組成で定まる上限値(平衡値)に近い程好
ましい。なお、苛性化工程では、緑液中に含まれる硫化
ナトリウムは実質的に変化しない。苛性化工程で得られ
た水溶液は白液と呼ばれ、蒸解工程へ送られ、蒸解液と
して使用される。
【0005】一方、苛性化工程で生成した炭酸カルシウ
ムは固体微粒子であり、重力沈降、ろ布等によるろ過な
どの方法で白液から分離された後、微粒子ケーキ内に残
存するアルカリ成分を洗浄除去した後、脱水され、化石
燃料を熱源としたキルン内で乾燥され、更に炭酸ガスを
分解放出するに十分な温度で焼成され、酸化カルシウム
として再生される。この酸化カルシウムは再び苛性化工
程に送られ、ここで炭酸ナトリウムの苛性化に使用され
る。なお、スメルトを溶解する水には苛性化工程での炭
酸カルシウム微粒子を洗浄した後の洗浄廃水が利用され
るので、緑液中には白液成分に由来する水酸化ナトリウ
ムが存在する。
【0006】従来のクラフトパルプ製造のうち蒸解工程
では、木材チップなどパルプ原料となるリグノセルロー
ス物質と白液とを圧力釜に投入し、スチーム加熱により
所定温度にまで昇温し、更に温度を保持した後、蒸解生
成物と蒸解廃液との混合物を大気圧に放出することによ
って蒸解反応を停止させる。この蒸解工程での重要な操
作因子は、アルカリ性分の木材に対する比及び温度と時
間である。このうち温度と時間については、通常、以下
に定義されるHファクターとよばれる相対反応速度指標
を用いて管理する。
【数1】 この蒸解用の圧力釜には、バッチ方式と連続方式とがあ
る。バッチ方式は、空の圧力釜に原料となる木材チップ
を満たし、次いで白液を投入した後に釜を密閉しスチー
ムで加熱していく方式であり、蒸解終了時には釜下部か
ら釜内容物がブローされる。連続方式では、円筒状容器
の両端に高圧ロータリーバルブを設けた圧力釜の一端か
ら木材チップと白液とを連続的に投入する方式であり、
反応物は円筒釜を移動する間に所定のHファクターを得
るように加熱され、他端から蒸解生成物が排出される。
蒸解工程におけるリグノセルロース物質とアルカリとの
反応について以下に説明する。木材などのリグノセルロ
ース物質には、パルプとして有用なセルロース及びヘミ
セルロースの他に樹木構造を形成する有機高分子化合物
であるリグニンや、低分子の多糖類、各種の有機酸、樹
脂類が含まれている。クラフト蒸解におけるアルカリ薬
品の主要な働きは、リグニンの高分子構造を破壊しアル
カリ水溶液に溶解する低分子化合物に転換することであ
る。また、アルカリは低分子化合物の再重縮合を防止す
るため液のpHをアルカリ性に保持する働きも有してい
る。アルカリ薬品はさらに、有機酸の中和や、低分子多
糖類の加水分解及びそれにより生成する有機酸の中和の
ためにも消費される。即ち、クラフトパルプ製造法にお
いて、アルカリ薬品は必須であり、その消費量はパルプ
生産量に比例することになる。その原料木材に対する有
効アルカリの重量比は、樹種により異なるが、大略針葉
樹で16%、広葉樹で12%とされている。前述したク
ラフトパルプ製造工程に用いる諸設備は、パルプの計画
生産量に応じてその設計能力が定められているが、一般
的にその能力は負荷変動に対して柔軟である。従って、
パルプ需要が増加するような時季には、蒸解釜について
はアルカリ添加量を増やしたり蒸解温度を上昇させたり
することにより、またエバポレーターについては温度上
昇や持ち込み水分量を減少させることにより、設計能力
以上のパルプ増産がしばしば行なわれる。しかしなが
ら、パルプ増産の場合、比較的設備能力に柔軟性のない
回収ボイラーの能力が限界になる。即ち、回収ボイラー
の能力上限は発生する熱量で決まることが多く、パルプ
の増産に比例してボイラーでの発熱量も増加することに
よる。従って、回収ボイラーにおける発熱量増加を抑制
してパルプ増産を図るための新しい方法が求められてい
た。苛性化設備については増産するパルプ量に比例して
使用する酸化カルシウム量を増加させることによりパル
プ増産が可能である。これは、通常ライムキルンを循環
している酸化カルシウムの流れに工業用生石灰を追加投
入する方法で行なわれる。しかしながら、この投入した
過剰の生石灰によりいくつかの問題点が発生する。第一
の問題点は通常よりも過剰な酸化カルシウムを投入する
ため白液中に未反応の水酸化カルシウム微粒子が混入し
固液分離が悪くなり、白液中の固体懸濁物質の濃度を著
しく増加させることとなる。この固体懸濁物質は機器や
配管などへのスケーリングなどのトラブルを招き、パル
プ製造工程の作業を阻害する。第二の問題点は、ライム
キルンの能力を越える過剰の炭酸カルシウム分をライム
循環の流れから排出しなければならず産業廃棄物の増加
をもたらすことにある。従って、苛性化工程における負
荷を軽減してパルプ増産を図る新しい方法が求められて
いた。
【0007】クラフト法パルプ製造方法における薬品再
生循環サイクルにおいて、回収ボイラーで発生するスチ
ームは、発電タービンの動力として電気エネルギーを生
産したり、エバポレーターでの真空発生や熱源に利用し
たり、更に蒸解釜の熱源としたりとパルプ製造工程など
で使用するエネルギーを有効に回収する。しかしなが
ら、苛性化工程のライムキルンは唯一化石燃料を消費す
る工程であり、この工程の操業負荷を減らすことは、上
述したパルプ生産の経済効率をあげるうえでも、また化
石燃料の消費を減らして地球環境を保護するうえでも極
めて重要な技術的課題である。
【0008】これまでに種々提案されているクラフトパ
ルプの製造に関する改良方法としては、改良連続蒸解方
法、スーパーバッチ法、一段ポリサルファド蒸解方法な
どがあるが、これらはいずれもパルプ収率を増加させる
とともに、パルプ品質を改良する方法ではあるが、操業
負荷を大幅に低減することはできず、また設備の大規模
な改造や追加設置が必要となるなどの問題点がある。
【0009】これらのうち、改良連続蒸解方法は、連続
クラフト蒸解釜への蒸解用薬品を蒸解工程の前段、中
段、後段などに分割して導入し、パルプ収率を増大せし
める方法である。この方法においては、蒸解工程の各段
におけるアルカリ濃度レベルが、蒸解薬品の一段導入よ
りも均一になる結果、過剰アルカリによるセルロースの
崩壊反応が抑制され、パルプ収率が増大されると解釈さ
れているが、この方法を既設の連続蒸解釜に適用しよう
とすると、大掛かりな設備の改造を伴い多大な投資を要
するし、また、既設のバッチ釜への適用ができない。更
に、この方法では蒸解薬品の使用量は従来の方法と変わ
らないか、若干増加することもあり、パルプ製造工程の
操業負荷低減は望めない。
【0010】また、スーパーバッチ法は、バッチ蒸解釜
でのクラフトパルプの製造方法の改良法であり、蒸解を
終了した後にパルプと分離した温黒液を用いて釜に投入
される木材チップを予備処理する方法であるが、温黒液
を貯留し、移送するための設備を新たに設置しなければ
ならず、パルプ製造工程における操業負荷の大幅な低減
は期待できない。
【0011】一段ポリサルファイド蒸解方法は、ポリサ
ルファイド硫黄がヘミセルロース末端基を酸化保護し、
アルカリによるセルロース崩壊を防ぐ機構によりパルプ
収率の増加を期待する方法であり、白液の触媒酸化によ
りポリサルファイド硫黄を製造する技術が実際の工場操
業に適用されており、その実操業でのパルプ収率増加の
効果も確認されている。しかしながら、この方法はつぎ
にのべるような限界がある。即ち、クラフトパルプの製
造に用いる蒸解用薬品には硫化ナトリウムが存在してい
なければならず、それはNa2Oとして最低10g/L
必要とされている。これよりも硫化ナトリウムが少ない
と、クラフト蒸解とならずアルカリ蒸解となり、製造さ
れるパルプ品質が著しく変化する。しかも、この方法に
おいては、白液を触媒酸化してそれに含まれる硫化ナト
リウムをポリサルファイド硫黄に変換する場合、白液中
の硫化ナトリウムの一部だけしか利用することができ
ず、白液中に生成させるポリサルファイド硫黄の濃度も
おのずと制限される。また、一段ポリサルファイド蒸解
では蒸解工程の初期にポリサルファイド硫黄が分解する
ことが避けられず、パルプ収率増加に寄与するポリサル
ファイド硫黄は更に減少する。その上、この方法では白
液の全量を触媒酸化しなければならないため酸化設備も
大きくなる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、クラフトパ
ルプの製造方法において、パルプ操業負荷を低減させる
とともに、パルプ収率を向上させる方法を提供すること
をその課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。
【0014】即ち、本発明によれば、リグノセルロース
物質をポリサルファイド硫黄と炭酸ナトリウムを含む蒸
解液を用いて蒸解する第1蒸解工程と、得られた第1蒸
解生成物に硫化ナトリウムと水酸化ナトリウムを含む蒸
解液を加えてさらに第2蒸解する第2蒸解工程からなる
ことを特徴とするクラフトパルプの製造方法が提供され
る。また、本発明によれば、リグノセルロース物質をポ
リサルファイド硫黄と炭酸ナトリウムを含む蒸解液を用
いて蒸解する第1蒸解工程と、得られた第1蒸解生成物
にポリサルファイド硫黄と硫化ナトリウムと水酸化ナト
リウムを含む蒸解液を加えてさらに蒸解する第2蒸解工
程からなることを特徴とするクラフトパルプの製造方法
が提供される。さらに、本発明によれば、硫化ナトリウ
ムとポリサルファイド硫黄を含むアルカリ性蒸解液を用
いてリグノセルロース物質を蒸解する工程と、蒸解生成
物をパルプと蒸解廃液とに分離する工程と、蒸解廃液を
濃縮する工程と、濃縮蒸解廃液を燃焼する工程と、燃焼
残渣を水に溶解する工程と、燃焼残渣水溶液に酸化カル
シウムを加えて苛性化する工程と、苛性化生成物から炭
酸カルシウムを分離する工程と、得られた苛性化水溶液
を前記蒸解工程に循環するクラフトパルプの製造方法に
おいて、(i)リグノセルロース物質を、ポリサルファ
イド硫黄と炭酸ナトリウムを含む蒸解液を用いて蒸解す
る第1蒸解工程と、得られた第1蒸解生成物に硫化ナト
リウムと水酸化ナトリウムを含む蒸解液を加えてさらに
蒸解する第2蒸解工程によって蒸解すること、(ii)前
記燃焼残渣水溶液の一部を酸化処理して、ポリサルファ
イド硫黄と炭酸ナトリウムを含む水溶液に変換するこ
と、(iii)この燃焼残渣水溶液の酸化処理液を前記第
1蒸解工程に導入してリグノセルロース物質を蒸解する
こと、(iv)前記苛性化水溶液を第2蒸解工程に導入し
て第1蒸解工程で得られた蒸解生成物をさらに蒸解する
こと、を特徴とするクラフトパルプの製造方法が提供さ
れる。さらにまた、本発明によれば、硫化ナトリウムと
ポリサルファイド硫黄を含むアルカリ性蒸解液を用いて
リグノセルロース物質を蒸解する工程と、蒸解生成物を
パルプと蒸解廃液とに分離する工程と、蒸解廃液を濃縮
する工程と、濃縮蒸解廃液を燃焼する工程と、燃焼残渣
を水に溶解する工程と、燃焼残渣水溶液に酸化カルシウ
ムを加えて苛性化する工程と、苛性化生成物から炭酸カ
ルシウムを分離する工程と、得られた苛性化水溶液を前
記蒸解工程に循環するクラフトパルプの製造方法におい
て、(i)リグノセルロース物質を、ポリサルファイド
硫黄と炭酸ナトリウムを含む蒸解液を用いて蒸解する第
1蒸解工程と、得られた第1蒸解生成物にポリサルファ
イド硫黄と硫化ナトリウムと水酸化ナトリウムを含む蒸
解液を加えてさらに蒸解する第2蒸解工程によって蒸解
すること、(ii)前記燃焼残渣水溶液の一部を酸化処理
して、ポリサルファイド硫黄と炭酸ナトリウムを含む水
溶液に変換すること、(iii)この燃焼残渣水溶液の酸
化処理液を前記第1蒸解工程に導入してリグノセルロー
ス物質を蒸解すること、(iv)前記苛性化水溶液を酸化
処理して、ポリサルファイド硫黄、硫化ナトリウム及び
水酸化ナトリウムを含む水溶液に変換すること、(v)
この苛性化水溶液の酸化処理液を前記第2蒸解工程に導
入して第1蒸解工程で得られた蒸解生成物をさらに蒸解
すること、を特徴とするクラフトパルプの製造方法が提
供される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明でパルプ原料として用いる
リグノセルロース物質には、各種木材の他、バガス、稲
ワラ、麻等の非木材が包含される。
【0016】本発明のリグノセルロース物質の蒸解工程
は、リグノセルロースをポリサルファイド硫黄と炭酸ナ
トリウムを含む蒸解液を用いて蒸解する第1蒸解工程
と、この第1蒸解生成物に硫化ナトリウム(Na2S)
と水酸化ナトリウムを含む蒸解液を加えてさらに蒸解す
る第2蒸解工程からなる。第1蒸解工程で用いる蒸解液
(以下、第1蒸解液とも言う)中のポリサルファイド硫
黄濃度は、2〜20g/L、好ましくは4〜15g/L
であり、炭酸ナトリウム濃度は、30〜100g/L、
好ましくは40〜90g/Lである。第1蒸解工程で用
いる第1蒸解液中には、水酸化ナトリウム及び硫化ナト
リウムが含まれていてもよいが、その水酸化ナトリウム
濃度は70g/L以下、好ましくは50g/L以下であ
る。また、硫化ナトリウム濃度は、50g/L以下、好
ましくは2〜35g/Lである。第1蒸解工程におい
て、その蒸解温度は100〜160℃、好ましくは12
0〜140℃である。蒸解保持時間は、リグノセルロー
ス物質の種類や蒸解温度にもよるが、通常10〜50分
間、好ましくは20〜40分間である。前記第1蒸解工
程により、リグノセルロース物質はマイルドに蒸解され
るとともに、ヘミセルロースの末端がポリサルファイド
硫黄により酸化保護され、後続の第2蒸解工程における
水酸化ナトリウムによる強い蒸解作用下におけるセルロ
ースの崩壊が防止される。また、この第1蒸解工程は、
マイルドな蒸解条件が用いられることから、ポリサルフ
ァイド硫黄の分解が防止され、ポリサルファイド硫黄の
効果的な作用を発現させることができる。
【0017】第2蒸解工程においては、第1蒸解工程で
得られる蒸解生成物に硫化ナトリウムと水酸化ナトリウ
ムを含む蒸解液もしくは、ポリサルファイド硫黄と硫化
ナトリウムと水酸化ナトリウムを含む蒸解液(以下、第
2蒸解液とも言う)を加えてさらに蒸解を進めるが、こ
の場合、第1蒸解生成物に加える第2蒸解液中の硫化ナ
トリウム濃度は、10〜50g/L、好ましくは12〜
40g/Lである。水酸化ナトリウム濃度は、40〜1
10g/L、好ましくは60〜100g/Lである。こ
の第2蒸解液はポリサルファイド硫黄を含むことができ
るが、そのポリサルファイド硫黄濃度は、0〜20g/
L、好ましくは0〜12g/Lである。第2蒸解工程に
おいて、その蒸解温度としては、第1蒸解工程の温度よ
りも高い温度が用いられ、130〜190℃、好ましく
は140〜180℃の温度が用いられる。一般的には、
第1蒸解温度よりも10〜90℃程度、好ましくは30
〜70℃程度高い温度を用いるのがよい。第2蒸解保持
時間は、通常、30〜90分、好ましくは40〜80分
である。第2蒸解工程において、リグノセルロース物質
は、第2蒸解工程で新しく加えた第2蒸解液と、第1蒸
解工程で用いた第1蒸解液との両者によって蒸解される
が、新しく加えた水酸化ナトリウムを含む第2蒸解液の
強い蒸解作用によって効率よくパルプ化される。しか
も、この場合、第1蒸解工程において、ヘミセルロース
の末端がポリサルファイド硫黄により酸化保護されてい
るため、水酸化ナトリウムの強い蒸解作用を受けても、
セルロースの崩壊が効果的に防止され、パルプ収率は向
上する。また第2蒸解液中にポリサルファイド硫黄を含
む場合、パルプ収率は更に向上する。なお、本明細書中
でいうポリサルファイド硫黄とは、以下に示す反応式に
より多硫化ナトリウム(Na22)から生成される硫黄
を意味する。
【化1】
【0018】本発明によるリグノセルロース物質の蒸解
工程は、バッチ方式でも連続方式でも実施することがで
きる。バッチ方式で実施する場合には、蒸解釜にリグノ
セルロース物質と第1蒸解液を充填して第1蒸解工程を
行った後、第2蒸解液を加えて第2蒸解工程を行えばよ
い。連続方式で実施する場合には、蒸解釜中を移動する
リグノセルロース物質に対し、そのリグノセルロース物
質が蒸解釜に入った時点において第1蒸解液を加えて第
1蒸解工程を行い、その下流側において第2蒸解液を加
えて第2蒸解工程を行えばよい。
【0019】次に本発明を図面を参照しながら詳述す
る。図1は本発明の方法のフローシートの1例を示し、
図2は本発明のフローシートの他の例を示す。これらの
図において、D(1)は第1蒸解工程、D(2)は第2
蒸解工程、2はパルプの分離洗浄工程、3は黒液濃縮工
程、4は濃縮黒液燃焼工程、5は燃焼残渣溶解工程、6
は苛性化工程、7は焼成工程、8は緑液酸化工程、9は
白液酸化工程を各示す。図1において、蒸解工程D
(1)・D(2)においては、緑液酸化工程8からの酸
化緑液と苛性化工程6からの白液を用いて、ライン10
を通って供給されたリグノセルロース物質の蒸解が行わ
れる。蒸解工程D(1)・D(2)におけるリグノセル
ロース物質の蒸解工程は、前記したように2段階で行わ
れ、第1蒸解工程D(1)では、緑液酸化工程8からの
酸化緑液を第1蒸解液として用いて行われ、第2蒸解工
程D(2)では、苛性化工程6からの白液を第2蒸解液
として用いて行われる。
【0020】蒸解工程D(1)・D(2)で得られた蒸
解生成物は、ライン11を通りパルプの分離洗浄工程2
に送られる。パルプ分離洗浄工程2は、蒸解生成物から
のパルプの分離と洗浄を行う工程である。パルプの分離
には、通常の固液分離、例えば、遠心分離や、真空濾過
分離、フィルタープレス分離等が採用される。パルプの
分離洗浄工程2で分離されたパルプ(クラフトパルプ)
はライン13を通って回収され、一方、パルプと分離さ
れた蒸解廃液(黒液)はライン12を通って黒液濃縮工
程3へ送られる。黒液濃縮工程3は、黒液中から水分を
除去する工程であり、その装置としては、黒液中の水分
を除去し得る装置であれば任意のものを用いることがで
きるが、通常は、真空蒸発缶(エバポレーター)が用い
られる。この黒液濃縮工程により、黒液は濃縮黒液とさ
れ、ライン14を通って濃縮黒液燃焼工程4に送られ
る。
【0021】黒液燃焼工程4は、濃縮黒液中の有機物を
燃焼するとともに、濃縮液中の無機物を燃焼残渣として
回収する工程であり、その装置としては、慣用の回収ボ
イラーが用いられる。この回収ボイラー内においては、
濃縮黒液中の有機物が燃焼され、その有機物の燃焼熱
は、スチームとして回収される。また、この回収ボイラ
ーにおいて、濃縮黒液中のナトリウム分とイオウ分と
は、有機物の燃焼熱分解により形成される還元雰囲気下
で硫化ナトリウム(Na2S)を生成し、また、濃縮黒
液中の過剰のナトリウム分は有機物の燃焼により生じた
炭酸ガスと反応して炭酸ナトリウム(Na2CO3)とな
る。これらの硫化ナトリウム及び炭酸ナトリウムは、燃
焼残渣の主成分を構成し、回収ボイラー内では高温の溶
融液(スメルト)となり、このものは、その回収ボイラ
ー底部から抜出され、ライン15を通って燃焼残渣溶解
工程5に送られる。燃焼残渣溶解工程5は、スメルトを
水中に投入し、溶解させて燃焼残渣水溶液(緑液)を調
製する工程である。この緑液は、ライン16を通って苛
性化工程6へ送られるが、その一部はライン17を通っ
て緑液酸化工程8へ送られる。
【0022】苛性化工程6は、緑液中の炭酸ナトリウム
を苛性化して水酸化ナトリウムに変換させ、緑液を白液
に変換させる工程である。この苛性化工程6は、緑液中
に、酸化カルシウムを添加して水酸化カルシウム微粒子
として分散させるとともに、炭酸ナトリウムをこの水酸
化カルシウムと反応させ、水酸化ナトリウムに変換させ
ることによって実施される。苛性化工程6で副生した微
粒子状の炭酸カルシウムは、固液分離により母液(白
液)から分離され、ライン18を通って焼成工程7に送
られ、ここで焼成された後、酸化カルシウムとしてライ
ン19を通って苛性化工程6に循環される。この場合の
焼成炉としては、ロータリーキルン型や、移動床型、流
動床型の焼成炉が用いられる。苛性化工程6で得られた
白液はライン21を通って第2蒸解工程D(2)に供給
される。
【0023】本発明においては、燃焼残渣溶解工程5に
おいて得られた緑液の一部は、これをライン17を通っ
て緑液酸化工程8へ送り、ここで酸化処理する。この場
合の緑液の酸化処理は、酸素や含酸素ガス(空気、富酸
素化空気等)と緑液とを接触させることによって実施さ
れる。この緑液の酸化処理により、緑液中の硫化ナトリ
ウムが酸化されて硫黄と水酸化ナトリウムに変換される
反応と、硫化ナトリウムと硫黄とが反応して多硫化ナト
リウムを生成する反応からなる主反応と、硫化ナトリウ
ム及び多硫化ナトリウムがチオ硫酸ナトリウム(Na2
23)に酸化される副反応が生起する。 (主反応) Na2S + 1/2O2 + 2H2O → S + 2NaOH (1) 2Na2S + S → Na22 (2) (副反応) Na22 + 3O2 → 2Na223 (3) 2Na2S + 2O2 + H2O → 2Na223 + 2NaOH (4) 緑液の酸化処理は、触媒を用い、60〜100℃、好ま
しくは70〜90℃の温度及び0〜2kg/cm2G、
好ましくは0〜0.5kg/cm2Gの圧力の条件下で
行われる。触媒としては、従来公知の各種の酸化触媒を
用いることができるが、好ましくは活性炭触媒が用いら
れる。この活性炭触媒は、粒状や繊維状、布状等の種々
の形態であることができる。また、酸化処理装置として
は、一般的には、触媒を内部に充填した触媒塔が用いら
れる。この緑液の酸化処理において、硫化ナトリウムの
反応率(酸化率)は、これを40〜95%、好ましくは
70〜90%の範囲に保持するのがよい。硫化ナトリウ
ムの酸化率が前記範囲を超えると、前記副反応が生じや
すくなり、蒸解に役立たないチオ硫化ナトリウムが増加
するようになるので好ましくない。酸化処理する緑液
は、その酸化処理に先立ち、触媒への緑液中固体懸濁物
質の堆積による触媒性能劣化を防止するために、その全
量を、布、砂、アンスライト等の濾過材を用いる濾過処
理をして、緑液中の固体懸濁物質をあらかじめ実質的に
除去することもできる。
【0024】酸化処理を施す緑液の割合は、溶解工程5
で得られる全緑液の50%以下にするのが好ましく、よ
り好ましくは20〜40%である。酸化処理を施す緑液
の割合が50%を超えるようになると蒸解工程1に供給
する白液の量が少なくなり、第2蒸解工程におけるリグ
ノセルロース物質の円滑な蒸解ができなくなるので好ま
しくない。一方、酸化処理を施す緑液の割合が20%よ
り低くなると、第2蒸解工程においてリグノセルロース
物質の円滑な蒸解を行うために、硫化ナトリウムや水酸
化ナトリウムの使用量を増加させる必要が生じ、プロセ
ス効率が悪化するので好ましくない。
【0025】図2に示したフローシートは、苛性化工程
6で得られた白液を、いったん白液酸化工程9に送り、
ここで酸化処理を施した後、第2蒸解工程D(2)に送
られる点で図1に示したフローシートと異なるだけで、
それ以外は図1のフローシートと同じである。この場合
の白液の酸化処理は、前記した緑液の酸化処理と同様に
して実施される。この白液の酸化処理により、白液中の
硫化ナトリウムの一部がポリサルファイド硫黄に変換さ
れ、硫化ナトリウムとポリサルファイド硫黄と水酸化ナ
トリウムを含む酸化白液が得られる。この酸化白液は、
ポリサルファイド硫黄を含むため、第2蒸解工程におけ
るセルロースの崩壊を防止し、パルプ収率をさらに向上
させる。
【0026】本発明のパルプの製造方法においては、前
記のように、蒸解工程を特定の2工程で行うことから、
パルプ収率の向上が得られ、このことは黒液中の有機分
減少をもたらして回収ボイラーの負荷の軽減を実現す
る。また、苛性化工程との関連で用いる焼成工程の操業
負荷が軽減される。即ち、本発明の場合、燃焼残渣溶解
工程で得られる緑液のすべてが苛性化工程に導入され
ず、その一部のみが苛性化工程に導入されることから、
必然的に苛性化工程で用いる酸化カルシウムの使用量も
少なくなる。そのため、苛性化工程で副生した炭酸カル
シウムを酸化カルシウムに変換するための焼成工程の負
荷も軽減され、その結果、焼成炉等の設備も小型化され
るとともに、その燃料量も軽減される。
【0027】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。なお、以下において示す緑液、酸化緑液、白液及
び酸化白液としては、以下に示すものを用いた。 (緑液)工場で使用している緑液の一部を用いた。この
緑液の成分組成は次の通りである。 Na2S : Na2O換算量で31.0g/L Na2CO3: Na2O換算量で83.6g/L NaOH : Na2O換算量で13.0g/L ポリサルファイド硫黄: 0g/L (酸化緑液)前記緑液を活性炭を触媒として用いて空気
酸化して調製した。この場合、硫化ナトリウムの酸化率
は、酸化前後の硫化ナトリウム濃度から求めた酸化率
で、70%であった。この酸化緑液の成分組成は次の通
りである。 Na2S : Na2O換算量で8.0g/L Na2CO3: Na2O換算量で85.3g/L NaOH : Na2O換算量で33.5g/L ポリサルファイド硫黄: S換算量で8.6g/L (白液)前記緑液を採取した工場において用いられてい
る白液の一部を用いた。この白液の成分組成は次の通り
ある。 Na2S : Na2O換算量で31.0g/L Na2CO3: Na2O換算量で17.4g/L NaOH : Na2O換算量で79.2g/L ポリサルファイド硫黄: 0g/L (酸化白液)前記白液を採取した工場において用いられ
ている酸化白液の一部を用いた。この酸化白液の成分組
成は次の通りある。 Na2S : Na2O換算量で12.6g/L Na2CO3: Na2O換算量で17.7g/L NaOH : Na2O換算量で97.4g/L ポリサルファイド硫黄: S換算量で7.3g/L
【0028】実施例1 工場で使用しているユーカリチップから、異形チップお
よびダストを除き、ポリエチレン袋に保存し、その一部
を取りだし、絶乾重量で500gを正確に採取し、これ
を10リットルの圧力釜に入れた。次に25℃で335
gの前記酸化緑液を投入した後釜を密閉した。直ちに電
気ヒーターで加熱を始め20分後に100℃にした。引
き続き昇温して5分後に130℃とし、30分間この温
度で保持し第1蒸解を行なった。次に釜を設けた弁を開
いて90℃に余熱した前記白液548gを圧入した後こ
の弁を閉じ、23℃/分の昇温速度で173℃まで加熱
し、この温度で43分間保持し第2蒸解を行なった。そ
の後圧力釜の内容物を取り出し、水で十分な洗浄を行な
ってパルプに付着する蒸解廃液を除去したのち、スクリ
ーンでパルプ成分のみを分離し、これを乾燥し、その重
量を測定して、パルプ収率を求め、さらにパルプのカッ
パー価を測定した。なお、酸化緑液を投入する時には、
第2蒸解時の液/チップ重量比が4.5となるように水
をくわえて調整した。
【0029】実施例2 実施例1において、白液の代りに500gの酸化白液を
用いた以外は同様にして実験を行った。
【0030】比較例 実施例1において、酸化緑液の代わりに735gの白液
を投入したこと、及び130℃での温度保持と白液の追
加投入を省略して100℃から173℃に23℃/分の
昇温速度で昇温し、この温度で45分保持した以外は、
実施例1と同様にして実験を行った。
【0031】前記の実施例及び比較例の実験により、以
下に示す実験成績が得られた。
【0032】
【表1】
【0033】表1に示した項目事項の内容は次の通りで
ある。 (パルプ収率)比較例のパルプ収率を100としたとき
の相対比で示した。この場合、パルプ収率は、絶乾チッ
プ重量に対する風乾パルプ重量の比率である。 (パルプのカッパー価)蒸解程度をリグニン残存量で示
す値。 (有効アルカリ添加率)比較例の有効アルカリ添加率を
100としたときの相対比で示した。この場合、有効ア
ルカリ添加率は、風乾パルプ1トン当りに添加されるア
ルカリのNa2O換算量でのkgである。 (回収ボイラー負荷)パルプ1トン当りの濃縮黒液中の
有機分について、比較例を100としたときの相対比で
示した。 (苛性負荷)苛性化すべきパルプ1トン当りのNa2
3重量(kg)について、比較例を100としたとき
の相対比で示した。
【0034】表1に示した実験結果からわかるように、
酸化緑液を用いて蒸解する第1蒸解工程と、第1蒸解生
成物に白液又は酸化白液を加えて蒸解する第2蒸解工程
を組合せることにより、パルプ収率の向上が達成され
る。また、このような2段階の蒸解工程を用いるときに
は、白液を得るために緑液を苛性化する苛性化工程の操
業負荷が著しく軽減され、このことは、苛性化工程との
関連で行う炭酸カルシウムの焼成工程の操業負荷も著し
く軽減され、パルプ製造における経済性が大幅に向上す
ることを意味する。その上、蒸解廃液中の有機分も減少
し、黒液燃焼を行うボイラーの負荷も軽減される。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、従来のクラフトパルプ
の製造方法に比較し、パルプ収率の向上と、プロセス経
済性の大幅な向上が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法のフローシートの1例を示す。
【図2】本発明の方法のフローシートの他の例を示す。
【符号の説明】
D(1)第1蒸解工程 D(2)第2蒸解工程 2 パルプの分離洗浄工程 3 黒液濃縮工程 4 濃縮黒液燃焼工程 5 燃焼残渣溶解工程 6 苛性化工程 7 焼成工程 8 緑液酸化工程 9 白液酸化工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 和広 東京都千代田区丸の内三丁目4番2号 三 菱製紙株式会社内 (72)発明者 大口 善弘 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 浅岡 佐知夫 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リグノセルロース物質をポリサルファイ
    ド硫黄と炭酸ナトリウムを含む蒸解液を用いて蒸解する
    第1蒸解工程と、得られた第1蒸解生成物に硫化ナトリ
    ウムと水酸化ナトリウムを含む蒸解液を加えてさらに第
    2蒸解する第2蒸解工程からなることを特徴とするクラ
    フトパルプの製造方法。
  2. 【請求項2】 リグノセルロース物質をポリサルファイ
    ド硫黄と炭酸ナトリウムを含む蒸解液を用いて蒸解する
    第1蒸解工程と、得られた第1蒸解生成物にポリサルフ
    ァイド硫黄と硫化ナトリウムと水酸化ナトリウムを含む
    蒸解液を加えてさらに蒸解する第2蒸解工程からなるこ
    とを特徴とするクラフトパルプの製造方法。
  3. 【請求項3】 硫化ナトリウムとポリサルファイド硫黄
    を含むアルカリ性蒸解液を用いてリグノセルロース物質
    を蒸解する工程と、蒸解生成物をパルプと蒸解廃液とに
    分離する工程と、蒸解廃液を濃縮する工程と、濃縮蒸解
    廃液を燃焼する工程と、燃焼残渣を水に溶解する工程
    と、燃焼残渣水溶液に酸化カルシウムを加えて苛性化す
    る工程と、苛性化生成物から炭酸カルシウムを分離する
    工程と、得られた苛性化水溶液を前記蒸解工程に循環す
    るクラフトパルプの製造方法において、 (i)リグノセルロース物質を、ポリサルファイド硫黄
    と炭酸ナトリウムを含む蒸解液を用いて蒸解する第1蒸
    解工程と、得られた第1蒸解生成物に硫化ナトリウムと
    水酸化ナトリウムを含む蒸解液を加えてさらに蒸解する
    第2蒸解工程によって蒸解すること、 (ii)前記燃焼残渣水溶液の一部を酸化処理して、ポリ
    サルファイド硫黄と炭酸ナトリウムを含む水溶液に変換
    すること、 (iii)この燃焼残渣水溶液の酸化処理液を前記第1蒸
    解工程に導入してリグノセルロース物質を蒸解するこ
    と、 (iv)前記苛性化水溶液を第2蒸解工程に導入して第1
    蒸解工程で得られた蒸解生成物をさらに蒸解すること、
    を特徴とするクラフトパルプの製造方法。
  4. 【請求項4】 硫化ナトリウムとポリサルファイド硫黄
    を含むアルカリ性蒸解液を用いてリグノセルロース物質
    を蒸解する工程と、蒸解生成物をパルプと蒸解廃液とに
    分離する工程と、蒸解廃液を濃縮する工程と、濃縮蒸解
    廃液を燃焼する工程と、燃焼残渣を水に溶解する工程
    と、燃焼残渣水溶液に酸化カルシウムを加えて苛性化す
    る工程と、苛性化生成物から炭酸カルシウムを分離する
    工程と、得られた苛性化水溶液を前記蒸解工程に循環す
    るクラフトパルプの製造方法において、 (i)リグノセルロース物質を、ポリサルファイド硫黄
    と炭酸ナトリウムを含む蒸解液を用いて蒸解する第1蒸
    解工程と、得られた第1蒸解生成物にポリサルファイド
    硫黄と硫化ナトリウムと水酸化ナトリウムを含む蒸解液
    を加えてさらに蒸解する第2蒸解工程によって蒸解する
    こと、 (ii)前記燃焼残渣水溶液の一部を酸化処理して、ポリ
    サルファイド硫黄と炭酸ナトリウムを含む水溶液に変換
    すること、 (iii)この燃焼残渣水溶液の酸化処理液を前記第1蒸
    解工程に導入してリグノセルロース物質を蒸解するこ
    と、 (iv)前記苛性化水溶液を酸化処理して、ポリサルファ
    イド硫黄、硫化ナトリウム及び水酸化ナトリウムを含む
    水溶液に変換すること、 (v)この苛性化水溶液の酸化処理液を前記第2蒸解工
    程に導入して第1蒸解工程で得られた蒸解生成物をさら
    に蒸解すること、を特徴とするクラフトパルプの製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007128024A1 (de) * 2006-05-10 2007-11-15 Lenzing Aktiengesellschaft Verfahren zur herstellung eines zellstoffes
JP2012519784A (ja) * 2009-03-09 2012-08-30 キラム アーベー パルプ製造機の回収システムと組み合わせた成形セルロース製造プロセス

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