JP2000136414A - パッドを備えた防火服 - Google Patents

パッドを備えた防火服

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JP2000136414A
JP2000136414A JP10312479A JP31247998A JP2000136414A JP 2000136414 A JP2000136414 A JP 2000136414A JP 10312479 A JP10312479 A JP 10312479A JP 31247998 A JP31247998 A JP 31247998A JP 2000136414 A JP2000136414 A JP 2000136414A
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pad
cloth
sewn
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outer garment
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Kaoru Kuramoto
馨 倉本
Kazumi Kuramoto
和美 倉本
Fumio Sugawara
文雄 菅原
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Kuramoto Sangyo Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防火服にパッドを取り付けることによる着用
者の動作阻害を軽減して軽快な動作を可能ならしめる。 【解決手段】 防火服の外衣に開口(もしくは切欠)3
1aを設け、この開口を覆い得る形状,寸法の「外衣と
同様ないし類似の布材に緩衝用の部材を取り付けたも
の」例えばシャーリング加工した膝パッド32を、矢印
cのように当てがって開口31aを覆い、外衣に縫い付
ける。符号32′を付して示したのは縫い付けられた膝
パッド、33は縫目である。前記の開口31aを設けた
ことにより、着用者は軽快な動作(例えば膝を曲げるこ
と)が可能になる。同様の構成を、肘パッドや肩パッド
にも適用することができ、肘を曲げたり腕を上げたりす
る動作を軽快に行ない得るようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肩,肘,膝などに
パッドを取り付けた防火服に係り、特に、着用者の身体
の動きを妨げないように改良されたパッド付きの防火服
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は、従来の防火服の上衣を示し、内
衣が見えるよう部分的に裏返して描いた正面図である。
本従来例の防火服上衣1の前身頃1aにはベルト通し用
の環2とポケット4とが設けられていて、裾周りには反
射体3が取り付けられている。符号1dを付して示した
のは内衣であって、外衣の内側に配設され、着脱自在に
取り付けられている。襟1cには、後に図5を参照して
説明する面ファスナ付きの襟バンド7が設けられてい
る。袖1bの袖口付近には反射体5が設けられており、
両肩部にはキルティングからなる肩パッド8が取り付け
られている。
【0003】図5は、前掲の図4に示した従来例の防火
服上衣の肘パッドを説明するための背面図である。前掲
の図4と同一の符号を付した袖1b、反射体3,5、襟
1c、および襟バンド7は、図4におけると同じ構成部
分である。上記襟バンド7には面ファスナ6が設けられ
ている。また、本図5に示したキルティング肩パッド8
は、図4に示したキルティング肩パッド8の背側が外観
に現れている部分である。後身頃1eには、ベルト通し
用の環9が取り付けられている。袖1bの、肘の所に位
置せしめてキルティングから成る肘パッド10が取り付
けられている。
【0004】図6は、前掲の図4,図5に示した防火服
上衣と一緒に用いられるズボンの従来例の正面図であ
る。12はサスペンダ、13は反射体、14はポケッ
ト、15はウエストバンドである。16は、すぐに取れ
るように吊るしておくための吊り環である。膝の所に位
置せしめて、キルティングから成る膝パッド17が取り
付けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図4〜図6に示した従
来例の防火服におけるパッド類、すなわちキルティング
肩パッド8,キルティング肘パッド10、およびキルテ
ィング膝パッドについては、外部物体から受ける力を緩
衝する機能を有し、かつ、着用者の行動を妨げないよう
に柔軟ならしめるよう、種々の工夫が為されてきた。し
かし乍ら、従来における技術改良によって、キルティン
グから成るパッド部材の柔軟性向上を追求しても限界が
有り、どうしても着用者の動きを妨げていた。すなわ
ち、肘パッドを取り付けると、肘を曲げにくくなり、膝
パッドを取り付けると膝を曲げにくくなり、肩パッドを
取り付けると腕を挙げにくくなる、という不具合が未だ
解消されていない。本発明は上述の事情に鑑みて為され
たものであって、パッド付き防火服による着用者の動作
阻害を著しく軽減することを目的とする。パッドを取り
付けた場合の着用者の動作の軽快性を、パッドを取り付
けていない場合に比して全く同じにすることは出来ない
にしても、感覚的に、あまり意識しない程度に改良する
ことが目標である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、パッドを
取り付けることによって着用者の運動、すなわち膝や肘
を曲げたり手を挙げたりする動作が阻害されるメカニズ
ムを実験的に探究した結果、パッドの被着体である防火
服外衣と、装着物であるパッドとの2重構造が大きい要
因であることを発見し、これを確認した。すなわち、防
火服の着用者の立場から見た場合、膝や肘や肩などにパ
ッド装着箇所は、パッド装着のいかんに拘らず本来的
に、防火服の外衣によって覆われている。上記外衣の上
に更にパッドを取り付けられているので、2重構造にな
って着用者の動作を阻害する。また、各構成部材が受け
持っている役目を解析してみると、上記の2重構造によ
って「パッドで覆われている区域の外衣」は、上衣とし
ての機能を果たしていない。すなわち、この区域の外衣
は、外衣としての役目を果たすことなく、着用者の動作
を阻害している。
【0007】上述の動作阻害原因の実験的探究と併せ
て、本発明者らは動作を阻害することの軽微なパッド構
造を原理的に探究した。重要な着目点は防火服のパッド
取付部が着用者の動作によって引っ張りを受ける方向が
ほぼ一定であるということである。すなわち、例えば膝
を曲げる際、膝パッド取付箇所はズボンの長手方向にの
み引っ張られ、これと直角方向の引っ張りは受けない。
このことから、「一定方向にのみ、極めて柔軟に屈曲し
得るパッド材」の開発が必要であり、かつ有効であると
判明した。
【0008】上述の研究結果に基づいて創作した本発明
の基本的な原理を、その1実施形態に対応する図2を参
照して略述すると次のとおりである。すなわち、防火服
にパッドを取り付けることによる着用者の動作阻害を軽
減して軽快な動作を可能ならしめるため、防火服の外衣
に開口(もしくは切欠)31aを設け、この開口を覆い
得る形状,寸法の「外衣と同様ないし類似の布材に緩衝
用の部材を取り付けたもの」例えばシャーリング加工し
た膝パッド32を、矢印cのように当てがって開口31
aを覆い、外衣に縫い付ける。符号32′を付して示し
たのは縫い付けられた膝パッド、33は縫目である。前
記の開口31aを設けたことにより、着用者は軽快な動
作(例えば膝を曲げること)が可能になる。同様の構成
を、肘パッドや肩パッドにも適用することができ、肘を
曲げたり腕を上げたりする動作を軽快に行ない得るよう
になる。
【0009】以上に説明した原理に基づいて請求項1に
係る発明の構成は、パッドを備えた防火服において、外
衣の、パッド取付箇所に開口ないし切欠が設けられてい
るとともに、上記外衣の開口ないし切欠を覆い得る形
状,寸法の、外衣とほぼ同質の布材に、パッドとして機
能し得る柔軟な緩衝性の部材が取り付けられており、上
記の柔軟な緩衝性の部材を取り付けられた布材が、前記
の開口ないし切欠を覆って縫い付けられていることを特
徴とする。以上に説明した請求項1の発明に係る防火服
によると、パッド取付箇所に開口ないし切欠が設けられ
ているので、パッドと外衣とが2重になっている区域が
形成されることがない。このため、パッドは外衣の影響
を受けること無く自在に屈曲することができ、防火服着
用者は動作を著しく妨げられる虞れが無く、軽快に防火
活動を遂行できる。さらに、前記のパッドは外皮とほぼ
同様な布材を用いて構成されているので、外衣が果たす
べき機能的な役割を果たすことができ、しかも、防火服
の外観に違和感を与える虞れが無い。
【0010】請求項2の発明に係る防火服の構成は前記
請求項1の発明の構成要件に加えて、前記の緩衝性部材
は、細長い板状のフェルト材が縦折りされて芯布の上に
平行に並べて縫い付けられるとともに、外衣とほぼ同様
の布材で緩やかに覆われた構造であって、上記の布材
は、平行に並べられたフェルト材に倣って波状に弛まさ
れており、上記波状をなす布材の谷に相当する箇所が前
記の芯布に縫い付けられていることを特徴とする。以上
に説明した請求項2の発明によると、縦折りされた板状
のフェルト材が、該フェルト材自体の弾性のため、断面
がV字状に折られることなくU字状ないしC字状、また
は不正円筒状をなす。このような状態のフェルト材は中
空部を有する形状を呈するので優れた緩衝性を発揮す
る。その上、上記のようなフェルト材が平行に並べて芯
材に縫い付けられているので、このように構成されたフ
ェルト材つき芯材のマクロな可撓性は方向性を有し、フ
ェルト材の長手方向と直交する仮想の面内における屈曲
に関しては、ほぼ、芯布単独の可撓性と等しく、非常に
柔軟である。こうした方向性を合理的に利用すると、肘
を曲げたり、膝を曲げたり、腕を上げたりする動作を著
しく阻害することが無く、着用者は軽快に動作すること
ができる。さらに、上記のフェルト材を覆っている布材
が、平行に並べられたフェルト材に倣って波打ち状に弛
まされているので、前記のマクロな可撓性に悪影響を与
える虞れが無い。
【0011】請求項3の発明に係る防火服の構成は前記
請求項2の発明の構成要件に加えて、前記の平行に並べ
られた縦折りのフェルト材と、これを覆っている布材と
の間に、透水性防水シートが介装されていて、上記透水
性防水シートは前記の布材と一緒に、芯布に縫い付けら
れていることを特徴とする。以上に説明した請求項3の
発明によると、布材とフェルト材との間に透湿性防水シ
ートが挟み込まれているので、防火服着用者が消火用の
水を浴びてもフェルト材が濡れない。このフェルト材が
濡れると重くなって動作を妨げるのみでなく、断熱性が
悪くなるので、上記のようにして防水されることの実用
的価値はきわめて高い。さらに、前記の防水シートが透
湿性であるから防火服着用者が発汗したとき、その蒸散
を妨げない。しかも、前記透湿性防水シートは布材とフ
ェルト材との間に挟まれていて外観に現れない。このた
め、この緩衝性を有する部材(パッド)の外観に現れる
のは外衣とほぼ同様の布材であり、当該防火服全体の外
観と調和し、違和感を与える虞れが無い。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係るパッドを備
えた防火服上衣の実施形態を示し、製造工程を表すよう
に模式化して描いた分解外観図である。この実施形態
は、前掲の図5に示した従来例の防火服上衣に本発明を
適用して改良した1例であって、図5と同一の符号を付
して示した部材は前記従来例におけると同様ないし類似
の構成部分である。本例の防火服上衣21は、前記従来
例(図5)の防火服上衣におけると類似の襟25と、袖
24とを備えているが、この袖24には開口21aと切
欠21bとが設けられている。上記の開口21aは、肘
パッドを設置すべき箇所に設けられ、前記の切欠21b
は肩パッドを設置すべき箇所に設けられている。前記の
開口21aを覆って、シャーリング加工された肘パッド
23が縫い付けられる。本図1に符号23′を付して示
したのは既に取り付けられたシャーリング加工の肘パッ
ドである。上記肘パッドの詳細な構造については図3を
参照して後に述べるが、概要的には、前記の開口21a
を覆い得る形状,寸法の、外衣とほぼ同様の布材に、パ
ッドとして機能し得る柔軟で緩衝性を有する部材を縫い
付けたものである。本実施形態においては、外衣と同じ
布質の布材を用いた。本発明を実施する際、必ずしも全
く同質の布材を用いなくても良いが、外衣と同様の外観
を有し、外衣と同様の機能を有するものであることが望
ましい。例えば、該外衣が耐火・撥水性を有していれ
ば、パッドを構成する布材は外衣と同程度もしくはそれ
以上の耐火・撥水性を有していることが望ましい。
【0013】前記のシャーリング加工された肘パッド2
3と同様に、前記の切欠21bを覆って、シャーリング
加工された肩パッド22が縫い付けられる。本図1に符
号22′を付して示したのは、既に縫い付けられたシャ
ーリング加工の肩パッドである。
【0014】図2は、本発明に係るパッドを備えた防火
服ズボンの実施形態を示し、模式的に描いた分解外観図
である。この実施形態の防火服ズボンは、図6に示した
従来例の防火服ズボンに本発明を適用して改良した1例
であって、図6と同一の符号を付して示した反射体1
3、ポケット14、サスペンダ12、ウエストバンド1
5(図示せず)、および吊り環16は前記従来例(図
6)におけると同様ないし類似の構成部分である。本実
施形態(図2)の防火服ズボン31の外衣には、膝パッ
ド取付箇所に位置せしめて開口31aが設けられてい
る。そして、上記の外衣とほぼ同様の布材に柔軟な緩衝
性部材を取り付けて成るシャーリング加工の膝パッド3
2が、前記の開口31aを覆って縫い付けられている。
本図2に符号32′を付して示したのは、既に縫い付け
られたシャーリング加工の膝パッドである。図1,図2
に示したシャーリング肩パッド22′,シャーリング肘
パッド23′、およびシャーリング膝パッド32′は、
それぞれ外衣の開口、もしくは外衣の開口を覆って取り
付けられているので、外衣とパッドとの2重構造は形成
されていない。
【0015】そして、本実施形態のパッド部材は、図3
を参照して後述するように可撓性が優れている。この可
撓性に優れたパッド部材が外衣によって拘束されること
なく自在に屈伸せしめられるので、防火服着用者は腕,
肘,膝の屈伸動作を妨げられずに、軽快に活動すること
ができる。なお、前記の切欠21bや開口21a,31
aに相当する区域は外衣が欠損しているが、図3を参照
して次に述べるように、パッド部材は上記の外衣とほぼ
等しい布質の部材で覆われているので、外衣が受持つべ
き機能(例えば耐性,機械的強度,耐磨耗性)などはパ
ッドの布材が代替して果たし、前記の切欠や開口が防火
服全体としての特性を低下せしめる虞れは無い。
【0016】図3は、本発明においてパッドとして機能
し得る柔軟で緩衝性を有する部材の実施形態を示し、
(A)は1実施形態におけるシャーリング加工されたパ
ッド部材を部分的に破断して描いた要部斜視図、(B)
は上記実施形態のパッド部材を縦折りフェルト部材に垂
直な面で切断して描いた断面図、(C)は上記と異なる
実施形態の断面図である。(図3(A)および図3
(B)参照)本例の芯布40は厚さ約2ミリメートルの
フェルト材を用いた。縦折りフェルト材41は、厚さ約
5ミリメートルのフェルト材を幅約50ミリメートルの
細長い長方形に裁断し、縦折り方向に屈曲せしめた。た
だし、フェルト材自体の弾性のため、折り目はV字状に
角が立つことなく、図に表されているように不正な円筒
状(上下に押し潰されたC字のような形状)になる。こ
の縦折りフェルト材41を芯布40の上に平行に並べ
て、該芯布40に縫い付ける。符号42は上記の縦折り
フェルト材41芯布40に縫い付けている糸である。本
図3(A),(B)について以上に説明した構成部分
は、(B)に示したように縦折りフェルト材41と直角
な面による断面図において、この面内における可撓性は
非常に大きい。すなわち、芯布40を例えば仮想線の円
弧sのように曲げようとした場合、該芯布40は縦折り
フェルト材41が縫い付けられていることの影響をほと
んど受けず、芯布40単品とほぼ同様の可撓性を示す。
【0017】次に、上述の構成により平行に配列されて
いる縦折りフェルト材41を緩やかに覆って、外衣と同
様の布材43を配設するとともに、上記の布材43と縦
折りフェルト材41との間に透湿性防水シート44を挟
みこむ。上記の布材43や透湿性防水シートが前記芯布
41の可撓性を妨げないよう、本図3(B)に示すよう
に縦折りフェルト材41に倣わせて波打たせてあり、上
記波の谷に当たる箇所で芯布40に縫い付けてある。す
なわち、シャーリング加工を施してある。符号45を付
して示したものは布材を芯布に縫い付けている糸であ
る。本発明において縫い付けるとは、可撓性を妨げずに
接合する手段の総称である。本図3(C)の実施形態に
おいては、耐火服用のアルミナイズドされた外衣材47
を用いてある。この実施例のパッド部材は、アルミナイ
ズド外衣材で縫成された耐火服に適用するように構成さ
れたものである。本例におけるアルミナイズド外衣材4
7は金属薄膜47a(模式的に鎖線で表す)を蒸着によ
りコーティングされており、このアルミナイズド外衣材
自身が防水性を有しているので、前記実施形態(本図3
(A),(B))のように透湿性防水シート44を介装
する必要が無い。本図3(A),(B),(C)に仮想
線で示した46は裏地である。パッド部材の柔軟性,可
撓性を良好ならしめるため、この裏地46に適宜の弛み
を持たせておくことが望ましい。
【0018】
【発明の効果】以上に本発明の実施形態を挙げてその構
成・機能を明らかならしめたように、請求項1の発明に
係る防火服によると、パッド取付箇所に開口ないし切欠
が設けられているので、パッドと外衣とが2重になって
いる区域が形成されることがない。このため、パッドは
外衣の影響を受けること無く自在に屈曲することがで
き、防火服着用者は動作を著しく妨げられる虞れが無
く、軽快に防火活動を遂行できる。さらに、前記のパッ
ドは外衣とほぼ同様な布材を用いて構成されているの
で、外衣が果たすべき機能的な役割を果たすことがで
き、しかも、防火服の外観に違和感を与える虞れが無
い。
【0019】請求項2の発明によると、縦折りされた板
状のフェルト材が、該フェルト材自体の弾性のため、断
面がV字状に折られることなくU字状ないしC字状、ま
たは不正円筒状をなす。このような状態のフェルト材は
中空部を有する形状を呈するので優れた緩衝性を発揮す
る。その上、上記のようなフェルト材が平行に並べて芯
材に縫い付けられているので、このように構成されたフ
ェルト材につき芯布のマクロな可撓性は方向性を有し、
フェルト材の長手方向と直交する仮想の面内における屈
曲に関しては、ほぼ、芯布単独の可撓性と等しく、非常
に柔軟である。こうした方向性を合理的に利用すると、
肘を曲げたり、膝を曲げたり、腕を上げたりする動作を
著しく阻害することが無く、着用者は軽快に動作するこ
とができる。さらに、上記のフェルト材を覆っている布
材が、平行に並べられたフェルト材に倣って波打ち状に
弛まされているので、前記のマクロな可撓性に悪影響を
与える虞れが無い。
【0020】請求項3の発明によると、布材とフェルト
材との間に透湿性防水シートが挟み込まれているので、
防火服着用者が消火用の水を浴びてもフェルト材が濡れ
ない。このフェルト材が濡れると重くなって動作を妨げ
るのみでなく、断熱性が悪くなるので、上記のようにし
て防水されることの実用的価値はきわめて高い。さら
に、前記の防水シートが透湿性であるから防火服着用者
が発汗したとき、その蒸散を妨げない。しかも、前記透
湿性防水シートは布材とフェルト材との間に挟まれてい
て外観に現れない。このため、この緩衝性を有する部材
(パッド)の外観に現れるのは外衣とほぼ同様の布材で
あり、当該防火服全体の外観と調和し、違和感を与える
虞れが無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防火服上衣の実施形態を示し、製
造工程を表すように模式化して描いた分解外観図であ
る。
【図2】本発明に係るパッドを備えた防火服ズボンの実
施形態を示し、模式的に描いた分解外観図である。
【図3】本発明においてパッドとして機能し得る柔軟で
緩衝性を有する部材の実施形態を示し、(A)は1実施
形態におけるシャーリング加工されたパッド部材を部分
的に破断して描いた要部斜視図、(B)は上記実施形態
のパッド部材を縦折りフェルト部材に垂直な面で切断し
て描いた断面図、(C)は上記と異なる実施形態の断面
図である。
【図4】従来例の防火服の上衣を示し、内衣が見えるよ
うに部分的に裏返して描いた正面図である。
【図5】前掲の図4に示した従来例の防火服上衣の肘パ
ッドを説明するための背面図である。
【図6】前掲の図4,図5に示した防火服上衣と一緒に
用いられるズボンの従来例の正面図である。
【符号の説明】
1…従来例の防火服上衣、1a…前身頃、1b…袖、1
c…襟、1d…内衣、1e…後身頃、2…ベルト通し
環、3…反射体、4…ポケット、5…反射体、6…面フ
ァスナ、7…襟バンド、8…キルティング肩パッド、9
…ベルト通し環、10…キルティング肘パッド、11…
従来例の防火服ズボン、12…サスペンダ、13…反射
体、14…ポケット、15…ウエストバンド、16…吊
り環、17…キルティング膝パッド、21…実施形態の
防火服上衣、21a…開口、21b…切欠、22…シャ
ーリング肩パッド、23…シャーリング肘パッド、24
…袖、25…襟、31…実施形態の防火服ズボン、31
a…開口、32…シャーリング膝パッド、33…縫目、
40…フェルト製の芯布、41…縦折りされたフェルト
材、42…フェルト材縫付糸、43…外衣と同様の布
材、44…透湿防水性シート、45…布材の縫付糸、4
6…裏地、47…アルミナイズド外衣材、47a…金属
薄膜、a,b,c…パッド部材の取り付けを表す矢印。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E185 AA01 BA07 3B011 AA01 AA05 AA11 AA13 AB01 AC04 AC08 AC14 AC17 AC18 3B035 AA05 AA06 AA08 AA21 AB02 AB03 AB18 AC15 AD06 AD13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パッドを備えた防火服において、 外衣の、パッド取付箇所に開口ないし切欠が設けられて
    いるとともに、 上記外衣の開口ないし切欠を覆い得る形状,寸法の、外
    衣とほぼ同質の布材に、パッドとして機能し得る柔軟な
    緩衝性の部材が取り付けられており、 上記の柔軟な緩衝性の部材を取り付けられた布材が、前
    記の開口ないし切欠を覆って縫い付けられていることを
    特徴とする、パッドを備えた防火服。
  2. 【請求項2】 前記の緩衝性部材は、細長い板状のフェ
    ルト材が縦折りされて芯布の上に平行に並べて縫い付け
    られるとともに、外衣とほぼ同様の布材で緩やかに覆わ
    れた構造であって、 上記の布材は、平行に並べられたフェルト材に倣って波
    状に弛まされており、 上記波状をなす布材の谷に相当する箇所が前記の芯布に
    縫い付けられていることを特徴とする、請求項1に記載
    したパッドを備えた防火服。
  3. 【請求項3】 前記の平行に並べられた縦折りのフェル
    ト材と、これを覆っている布材との間に、透湿性防水シ
    ートが介装されていて、 上記透湿性防水シートは前記の布材と一緒に、芯布に縫
    い付けられていることを特徴とする、請求項2に記載し
    たパッドを備えた防火服。
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