JP2000129645A - 水底土壌の浄化方法 - Google Patents

水底土壌の浄化方法

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JP2000129645A
JP2000129645A JP10303606A JP30360698A JP2000129645A JP 2000129645 A JP2000129645 A JP 2000129645A JP 10303606 A JP10303606 A JP 10303606A JP 30360698 A JP30360698 A JP 30360698A JP 2000129645 A JP2000129645 A JP 2000129645A
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JP10303606A
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Kazuo Shiroo
和男 城尾
Makoto Chokai
誠 鳥海
Seiichi Kanamaki
精一 金巻
Etsuro Inui
悦郎 乾
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FUYO KAIYO KAIHATSU KK
JFE Engineering Corp
Original Assignee
FUYO KAIYO KAIHATSU KK
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤潮や青潮等の原因となる水底貧酸素層を改
善し水底土壌を浄化する。 【解決手段】 底層3の中でも水底4の直上に位置する
接底境界層の貧酸素化した海水よりも高密度および高酸
素濃度の高密度高酸素濃度水を用いる。海水を取水し密
度上昇装置1および空気または酸素の溶解または混入装
置2によって作成した高密度高酸素濃度水13を配管6
を通じて流出口5から接底境界層内に供給し、接底境界
層内に所定の高酸素濃度を有する高酸素水層を形成す
る。底層水全体の貧酸素化を防止し水底土壌を浄化す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、海底の底層水の
貧酸素化を防止し、貧酸素層を酸素の豊富な高酸素化し
た水の層に改善し、水底の土壌を浄化することができる
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】海は、深さ方向に、表層8、中層9およ
び底層3に大きく分けることができる。閉鎖性水域にお
いては、晩春から初秋にかけて、中層9に躍層が形成さ
れる成層期になると、海面7からの酸素供給が減少し、
低層3の溶存酸素濃度が低下し、3ppm程度を下回
る、いわゆる貧酸素水が発生する。貧酸素水の形成は、
ひどい場合には、底生生物を死滅させ、底泥からの硫化
水素を発生させる。また、海底4に堆積した有機物の分
解を抑え、また、逆に水中へ多量の燐を溶出させる。こ
の溶出した燐は赤潮の原因ともなる。また、貧酸素水が
風による沿岸湧昇流により、表層8に運ばれると、いわ
ゆる青潮を形成し、水産生物に大きな被害を与えること
となる。このような貧酸素水塊の形成には、海底堆積物
表面の有機物の酸素消費および底泥直上の浮遊懸濁物質
の酸素消費が大きく関与している(図1参照)。
【0003】従来から、この貧酸素水塊を解消するため
の対策技術が開発され、試験的に実施されている。従来
技術の一例として、特開平2−253897号公報:汚
水浄化装置、特開平8−103797号公報:対流式水
域浄化装置、特開昭63−147599号公報:海域中
の貧酸素層改善方法および装置、特開平7−28435
6号公報:動植物育成法及びその装置、特開平10−1
5586号公報:水質浄化方法が開示されている。
【0004】これらの従来技術は、大きく下記のA〜C
の3つに分類できる。 A.曝気等により酸素を含む気体を利用し、これを様々
な装置により貧酸素化した底層水に吹き込むもの(エア
レイション・曝気法)。 B.底層水に流体力により酸素の豊富な水を送り、底層
水の貧酸素化を防止するもの(酸素水供給法)。 C.酸素の豊富な表層水および貧酸素化した底層水の上
下の水の循環を、曝気や流体力等、様々な方法を用いて
促進し、貧酸素を解消しようとするもの(鉛直循環促進
法)。
【0005】また、古くからの手法として、浚渫や覆砂
により、有機物の多い表面泥を取り去るあるいは覆うこ
とによって、酸素の消費を抑え、貧酸素化を防止するこ
とも行なわれている(浚渫・覆砂法)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のAに示す方法
は、気泡からの酸素の溶入により貧酸素化した底層水の
酸素濃度をあげることを狙いとしている。しかしなが
ら、気泡からの酸素溶入量は、必要なエレルギー量の割
には少なく、流れのある海域のような開放的な条件では
成功していない。気泡が水中を上昇する間に、底層水中
の酸素を上昇させる効率は極めて低く、底層全体を対象
とするために、最も貧酸素化している底泥表面、およ
び、接底水の酸素供給には十分な能力を示さない。
【0007】Bに示す方法は、酸素の豊富な表層水を貧
酸素化した底層へ噴出させる装置、または、エアーも同
時に吹き込めるようにした装置等によって実施する。こ
れらの方法は、比重の軽い水を比重の重い底層水中に放
出しそして拡散させるので、強い流れとして放出しない
限り、周囲の水塊(底層水)と容易に混合しない。ま
た、混合した混合水の比重もその周囲の底層水の比重よ
り軽いため、水塊として上昇することとなる。このた
め、影響範囲が狭められてしまう結果となる。また、本
方法は、最も貧酸素化しており且つ比重の重い海底と接
する位置の海底接底水および海底の表面に対しては、そ
の効果が発揮しにくい。
【0008】Cに示す方法は、空気揚水塔や揚水ポンプ
等の装置により、底層の貧酸素水を表層に揚水すること
により、揚水した分の水量が、表層から底層に沈み込
み、水域全体としての上下の循環を促進することを狙っ
た方法である。この方法は、ダムおよび堀等の小規模な
閉鎖水域で且つ水深の深い水域で効果を上げている。し
かしながら、湾口があいており、潮汐によって水の交換
がある海域等では、期待するような上下混合が得られな
いといった問題がある。
【0009】上記の従来技術は、海底において貧酸素化
を起こす原因が、海底堆積物表面および底層の中でも海
底の近くに位置する接底境界層水中の有機懸濁物の大き
な酸素消費にあることを見逃している。即ち、接底境界
層水中の酸素消費の結果としての底層全体の貧酸素水の
処理を対象とし、そして、底層水全体の酸素濃度を上げ
ることに注目している。従って、膨大な水量を対象とす
ることとなり、大きなエネルギーを投入する割には効果
が上がらなかった。
【0010】また、接底境界層にほとんど影響が及ばな
いために、見かけ上は底層に酸素が供給されているよう
にみえるが、送り込んだ酸素は高酸素化に有効に利用さ
れずに水中を漂い、水面から逃げているのであると思わ
れる。
【0011】従って、この発明の目的は、上述の問題を
解決し、海底の底層水の貧酸素化を防止し、貧酸素層を
酸素の豊富な高酸素化した水の層に改善し水底土壌を浄
化することができる方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】接底境界層水中の有機物
が分解するときの酸素消費の結果、また、更に、悪化し
た環境においては硫化水素のような還元性無機物質が化
学反応を起こすときの酸素消費の結果として、接底境界
層の上にある底層水が酸素を取られ、徐々に底上から上
方向に貧酸素水が拡がって行き、ついには底層全体が貧
酸素化することになり、このようにして、底層水全体の
貧酸素化が起きている。
【0013】上記の理解にたてば、最も小さいエネルギ
ーコストによって効果を上げる方法は、上記の原因を取
り除く対策にあり、接底境界層の有機物を直接分解し、
そして、還元性無機物質の生成を抑えてやれば良いこと
は自明である。
【0014】この発明は、上述の知見に基づいてなされ
たものである。請求項1記載の発明は、水底の直上に位
置する接底境界層の貧酸素化した海水よりも密度および
酸素濃度が高い高密度高酸素濃度水を用い、前記高密度
高酸素濃度水を前記接底境界層内に供給して前記接底境
界層内に所定の高酸素濃度を有する高酸素水層を形成す
ることに特徴を有するものである。
【0015】請求項2記載の発明は、前記高密度高酸素
濃度水とともに粉体または粒状の底質改良剤を供給する
ことに特徴を有するものである。請求項3記載の発明
は、前記高密度高酸素濃度水とともに浄化微生物を供給
することに特徴を有するものである。
【0016】請求項4記載の発明は、前記高密度高酸素
濃度水を供給する前に、前記海底の堆積物の耕耘を行う
ことに特徴を有するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施の形態を図
面を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の
形態に係る装置の全体構成を示す概念図である。図2
は、水深による酸素濃度分布を示すグラフであり、横軸
が右方へ進むほど酸素濃度が高くなり、縦軸が下方へ進
むほど水深が深まることを示している。図2に示すよう
に、水深が深まるにつれて酸素濃度は小さくなる。
【0018】従来技術が、底層3の全体の貧酸素水に対
する処理を対象としたのに対し、本発明は、海底4の直
上に位置する接底境界層を構成する水中の有機物を直接
のターゲットとしている。その新たな考え方に立ち、以
下の方法により、接底境界層の有機物分解および還元性
無機物質の生成を抑制するものである。 (1)底層3中の海底4の直上に位置する接底境界層の
貧酸素化した海水の比重よりも比重の高い水、(即ち、
この水は高密度高酸素濃度水である)を用いる。接底境
界層内にこの高密度高酸素濃度水13を供給し、接底境
界層内に必要な厚さの、所定の高酸素濃度を有する高酸
素水層を形成する。海水の酸素濃度を高める手段として
は、塩分濃度を上げる方法を用いることが好ましい。ま
た、海水の比重を高くする手段としては、水温を下げる
方法や塩分濃度を上げる等の方法を用いることが好まし
い。 (2)必要な流量で接底境界層内に高密度高酸素濃度水
を供給し続けることにより、接底境界層内の高酸素水層
を長期にわたって維持することができる。海底4への高
密度高酸素濃度水13の供給方法の一例としては、海底
地形による高密度海水の流入および拡散をシミュレーシ
ョンすることにより、流出口5を適切に配置した海底配
管6の利用が考えられる。図1において、1は、密度上
昇装置、11は、海水取水口である。密度上昇装置1と
して、冷却装置、または、淡水分離装置などの塩分濃度
上昇装置を使用することが好ましい。密度を上昇するこ
とにより、この高密度を利用して水底に水を供給するこ
とができる。2は、空気または酸素12の溶解または混
入装置である。空気または酸素の海水への溶解または混
入装置として各種の散気装置が開発されている。例え
ば、特開平7−185529号公報、特開平9−150
044号公報、特開平10−66850号公報等に、O
HL式のエアレータが開示されており、これらの装置を
用いることが好ましい。 (3)晩春に成層が形成され、貧酸素水塊が形成され始
める時期から、晩秋の循環期に至り、貧酸素水塊が解消
されるまでの期間内の、適当な期間に前記状況(1)、
(2)を作り出す。期間は海底4の条件によって異なる
が、定期的あるいは連続的に化学的酸素要求量CODや
生物学的酸素要求量BODを計測することによって決定
することができる。 (4)本発明方法により、底泥表面および接底水層中の
微生物による有機物の分解を促進するとともに、底泥表
面および接底水層内の還元状態の形成を阻止することが
できる。 (5)底泥および接底境界層における硫化水素の発生を
抑制することができる。 (6)底泥および接底水層内懸濁物質からの燐の溶出を
抑制することができる。 (7)底生生物の死亡、忌避を阻止し、生物による浄化
能力を維持、向上させることができる。 (8)これらの作用によって、底泥および接底水層の有
機物および還元性無機物質による酸素消費速度を低減
し、その結果として底層水中の貧酸素現象を解消するこ
とができる。
【0019】次に、上述した本発明と組み合わせる方法
について説明する。上述した本発明方法(請求項1)
は、貧酸素水塊形成初期(晩春)から貧酸素水塊解消時
(晩秋)までの底質改善手法であり、また、堆積物に関
しては堆積物表面の改善に限られる。しかしながら、
(ア)底質改良剤、(イ)浄化微生物、および、(ウ)
耕耘等との組合わせにより、更にその他の期間も実施で
き、また、改善対象も底泥表層までも更に効果を発揮さ
せ、効果を増強することができる。
【0020】また、接底境界層は、貧酸素水塊形成時に
は酸素消費が極めて激しいが、事前の対策により、接底
境界層の酸素消費速度を低減させ、以下の本発明方法
(ア)、(イ)、(ウ)(請求項2〜4)を実施すれ
ば、なお、効率的な浄化システムを構築することができ
る。 (ア)底質改良剤との組合わせ(請求項2):本発明
(請求項1)は、海底に薄い高酸素水層を形成させる技
術であり、この水流に乗せて、粉体または粒状の底質改
良剤を同時に散布して接底境界層内に供給することがで
きる。この組み合わせ方法により、まず、石灰等の底質
改良剤散布により接底境界層の有機懸濁物を沈降させ、
急激に接底境界層水内の酸素消費速度を低減させること
により、酸素の供給を容易にする。次に、本発明によ
り、形成される好気的条件下で、底質改良剤の能力を増
大させることが可能となる。 (イ)浄化微生物との組合わせ(請求項3):本発明
は、貧酸素状態の海底に薄い高酸素水層を形成させる技
術であり、海底の高酸素水層および海底表面では好気性
微生物および底生生物の生育が保証される。このため、
この高酸素水流に乗せて、浄化微生物を供給し、底生生
物が少なくなった海底で自然状態より早く底生生物層を
形成させ、有機物分解を促進することが可能となる。 (ウ)耕耘との組合わせ(請求項4):循環期に海底の
堆積物の耕耘を行っておくことによって堆積物内の表層
の間隙率を高めておき、そして、本発明を適用すれば、
堆積物表面のみならず、堆積物表層内までの酸素の拡散
が起こり、本発明の有機物分解促進効果は堆積物表層内
にまで及ぼすことができる。
【0021】また、本発明が実施対象となる貧酸素期で
あっても、石灰散布などによって、接底境界層内の有機
懸濁物を沈降させ、その後に定期的に耕耘を行うことに
より、本発明による酸素供給量を低減させ、その上で酸
素を供給することで、本発明の有機物分解促進効果は効
率的となり、堆積物表層内にまで及ぼすことができる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、接底境界層に高密度高酸素濃度水を供給して接底境
界層内に高酸素水層を形成することにより、底層水全体
の貧酸素化を防止し水底土壌を浄化することができ、か
くして、有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る海底貧酸素層の改
善方法を示す概念図である。
【図2】水深による酸素濃度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1 密度上昇装置 2 空気または酸素の溶解または混入装置 3 底層 4 海底 5 流出口 6 海底配管 7 海水面 8 表層 9 中層 11 取水口 12 空気または酸素 13 高密度高酸素濃度水
フロントページの続き (72)発明者 鳥海 誠 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 金巻 精一 東京都台東区蔵前3丁目15番7号 芙蓉海 洋開発株式会社内 (72)発明者 乾 悦郎 東京都台東区蔵前3丁目15番7号 芙蓉海 洋開発株式会社内 Fターム(参考) 4D059 AA30 BA01 BC05 CB08 DA04 DA47

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水底の直上に位置する接底境界層の貧酸
    素化した海水よりも密度および酸素濃度が高い高密度高
    酸素濃度水を用い、前記高密度高酸素濃度水を前記接底
    境界層内に供給して前記接底境界層内に所定の高酸素濃
    度を有する高酸素水層を形成することを特徴とする水底
    土壌の浄化方法。
  2. 【請求項2】 前記高密度高酸素濃度水とともに粉体ま
    たは粒状の底質改良剤を供給する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記高密度高酸素濃度水とともに浄化微
    生物を供給する請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記高密度高酸素濃度水を供給する前
    に、前記海底の堆積物の耕耘を行う請求項1、2または
    3記載の方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004290893A (ja) * 2003-03-27 2004-10-21 Chuden Gijutsu Consultant Kk 底泥改善・浄化方法及び装置
JP2009019351A (ja) * 2007-07-10 2009-01-29 Toyo Constr Co Ltd 海水の鉛直循環装置

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