JP2000128544A - 膜被覆粉体およびその製造方法 - Google Patents

膜被覆粉体およびその製造方法

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JP2000128544A JP30728398A JP30728398A JP2000128544A JP 2000128544 A JP2000128544 A JP 2000128544A JP 30728398 A JP30728398 A JP 30728398A JP 30728398 A JP30728398 A JP 30728398A JP 2000128544 A JP2000128544 A JP 2000128544A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基体表面で均一な厚さの被覆膜を形成し、液
相中に固相のみが析出することがなく、基体として磁性
体を用いた場合でも膜被覆粉体同志が凝集したり固着す
ることがなく、好ましい膜厚制御ができる膜被覆粉体お
よびその製造方法を提供する。 【解決手段】 基体粒子の表面に膜を有する膜被覆粉体
およびその製造方法において、該膜の少なくとも1層
が、水系溶媒中、超音波発振下にて、金属塩からの反応
により形成され、前記水系溶媒がpH一定条件であるこ
とを特徴とし、このましくは前記基体粒子が磁性体であ
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粉体粒子の表面を別
の物質で多層に被覆し、複合機能を発揮する粉体の製造
技術に関するものであり、詳しくは基体粒子の表面に水
系溶媒中で反応させて形成した膜を有する膜被覆粉体及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】粉体の表面を他の物質の膜で被覆するこ
とにより、その粉体の性質を改善したり、その性質に多
様性を与えることが知られ、従来そのための方法として
種々の手段が提案されている。例えば、物体の表面に保
護や装飾のために膜を形成する被覆技術には、塗着法、
沈着法、スパッタリング、真空蒸着法、電着法や陽極酸
化法等多くの手段が知られている。しかし、塗着法や沈
着法では膜の厚みを均一にすることが困難であり、スパ
ッタリングや真空蒸着法では膜厚の厚い被膜を得ること
が困難である。また、電着法や陽極酸化法は被処理物を
電極とする関係上粉体の処理には向かないという問題点
を有している。種々の技術分野における進歩に伴い、特
異な性質を備えた粉体、特に金属粉体或は金属化合物粉
体を求める要望が増しており、粉体、特に金属粉体また
は金属化合物粉体だけが備える性質の他に別の性質を合
わせ持ち、複合した機能を有する粉体が求められてい
る。これらの粉体を製造するには、基体粒子の上に均一
な厚さの金属酸化物膜等を複数層設けることが考えられ
た。
【0003】上記のような新しい要求に応えられる複合
した性質を有し、複合した機能を果たし得る粉体、特に
金属または金属化合物粉体を提供するための金属酸化物
の形成方法の有用なものとして、先に、本発明者らは、
金属粉体又は金属酸化物粉体を金属アルコキシド溶液中
に分散し、該金属アルコキシドを加水分解するとによ
り、金属酸化物の皮膜を形成し、金属または金属化合物
の基体の表面に、均一な0.01〜20μmの厚みの、
前記基体を構成する金属とは異種の金属を成分とする金
属酸化物膜を有する粉体を発明した(特開平6ー228
604号公報)。
【0004】この粉体において、前記の金属酸化物膜を
複数層設ける場合には、前記膜の各層の厚さを調整する
ことにより特別の機能を与えることができるものであっ
て、例えば、基体の表面に、屈折率の異なる被覆膜を、
光の4分の1波長に相当する厚さで設けるようにする
と、光はすべて反射される。この手段を鉄、コバルト、
ニッケルなどの金属粉末或は金属の合金粉末、或いは窒
化鉄の粉末などの磁性体を基体とするものに適用する
と、光を全反射して白色に輝く磁性トナー用磁性粉体を
得ることができる。さらに、その粉体の上に着色層を設
け、その上に樹脂層を設ければ、カラー磁性トナーが得
られることを開示している。また、本発明者らは前記の
粉体を更に改良し、金属酸化物膜単独ではなく、金属酸
化物膜と金属膜とを交互に複数層有するようにした粉体
も開示した(特開平7ー90310号公報)。これはカ
ラー磁性トナー等として優れた性質を有するものであ
る。
【0005】更に、本発明者らは多層膜の物質の組み合
わせおよび膜厚を制御することにより、多層膜の反射光
干渉波形を調製できることを見出した。すなわち染料や
顔料を用いずとも、基体の表面に複数の屈折率の異なる
薄い被覆膜(二酸化ケイ素膜、チタニア膜、ポリスチレ
ン膜、金属銀膜等)を有し、この多層膜の光干渉作用に
より着色され、長期保存においても安定な色調のカラー
粉体を提供することを開示した(WO96/2826
9)。
【0006】しかしながら、前記金属粉体又は金属化合
物粉体の表面に金属酸化物の被膜を形成するために、金
属アルコキシドの加水分解による方法は、溶媒として、
引火性の高い有機系のものを使用し、原料として、高価
な化合物である金属アルコキシドを使用しなければなら
ない。引火性の高い有機溶媒を用いるためには、製造施
設を防爆設備としたり、温度、湿度の管理が厳しく、そ
れを用いて製造した製品の価格も総合的に当然高価なも
のとなる。これに対して金属塩の反応により、金属塩水
溶液からの沈殿で被膜を形成する方法がある。しかしこ
の方法で使用する溶媒は、酸やアルカリが強いものであ
る。このため、基体粒子として金属等を直接該反応に用
いた場合には、基体が酸やアルカリに溶け侵されるた
め、好ましい膜被覆粉体が得られない。また、これに対
して、基体粒子の表面に、先に金属アルコキシドの加水
分解等による方法で酸やアルカリに不活性な被膜を作っ
てから、前記金属塩水溶液からの沈澱による被膜の形成
を行うことが開示された(特開平10ー1702号公
報)。しかしながら、どうしても、コスト高で危険性の
高い金属アルコキシドの加水分解による方法を用いなけ
れならないという問題がある。
【0007】また、前記金属塩の反応による被膜形成
は、酸、アルカリの中和や加熱条件によっては、固相成
分の析出が過度になり、基体表面で均一な厚さの膜にな
らず、液相中に固相のみが析出したり、膜被覆粉体同志
が固着することがあり、好ましい膜厚制御をできる状態
にならない。更にこれに対して、本発明者らは、pH一
定の水系溶媒中で基体粒子の表面に金属塩からの反応に
より被膜を形成する方法を見い出した(特願平9−29
8717)。これは、pH一定の水系溶媒、すなわち緩
衝溶液を用いることにより酸、アルカリの影響が和らげ
られ、基体表面の侵食が防止される。また、この緩衝溶
液を用いることにより、基体粒子の表面の電荷が一定に
維持され、電気2重層が形成され、膜被覆粉体の凝集が
なく分散粒子が得られるという効果があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
pH一定の水系溶媒を用いる技術は基体が非磁性のもの
を用いる場合のみに、分散性が良好になるものである。
基体として、磁性体のものを用いた場合には、その磁性
により上記電気2重層が破壊され、凝集が著しくなる。
これらの凝集に対して機械的撹拌を行うことが第一に考
えられるが、被覆された直後の膜はゲル状であるため、
撹拌力を強くする機械的分散方法では、被膜同志が機械
的衝突により付着し、単体の膜被覆磁性体粒子を分散さ
せることが困難となる。更に分散剤として、保護コロイ
ドとなる、例えばヒドロキシプロピルセルロース(HP
C)等を添加する方法では、微量の添加でも反応液中に
泡が発生し、基体粒子と反応液との接触が均等でなく均
一な被膜形成を阻害するといった問題がある。
【0009】従って、本発明の目的は、上記従来技術の
欠点を克服し、金属アルコキシドの加水分解による方法
を用いない水系反応成膜による膜被覆粉体の製造におい
て、基体表面で均一な厚さの被覆膜を形成し、液相中に
固相のみが析出することがなく、基体として磁性体を用
いた場合でも膜被覆粉体同志が凝集したり固着すること
がなく、好ましい膜厚制御ができる膜被覆粉体およびそ
の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑み、鋭意研究の結果、製膜反応溶媒として、pH
一定条件の水系溶媒を用いると同時に、膜被覆反応を超
音波分散条件下で行うことにより、上記目的を達成でき
ることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明
の膜被覆粉体およびその製造方法は、 (1)基体粒子の表面に膜を有する膜被覆粉体におい
て、該膜の少なくとも1層が、水系溶媒中、超音波発振
下にて、金属塩からの反応により形成されたものである
ことを特徴とする膜被覆粉体。 (2)前記水系溶媒がpH一定条件であることを特徴と
する前記(1)の膜被覆粉体。 (3)前記基体粒子が磁性体であることを特徴とする前
記(1)の膜被覆粉体。 (4)前記磁性体からなる基体粒子の粒径が0.05〜
10μmであることを特徴とする前記(1)の膜被覆粉
体。 (5)前記反応中に粉体が沈降しない程度に攪拌を行っ
たことを特徴とする前記(1)の膜被覆粉体。
【0011】(6)前記水系溶媒に緩衝溶液が含まれる
ことを特徴とする前記(1)の膜被覆粉体。 (7)金属塩からの反応による前記膜の形成が、基体粒
子を分散した水系溶媒中に、膜成分原料である金属塩の
溶液を添加することにより行われることを特徴とする前
記(1)の膜被覆粉体。 (8)金属塩からの反応による前記膜の形成中に、水系
溶媒中で熱処理されたものであることを特徴とする前記
(1)の膜被覆粉体。 (9)金属塩からの反応による前記膜の形成後に、熱処
理されたものであることを特徴とする前記(1)の膜被
覆粉体。 (10)金属塩からの反応により形成する前記膜の厚さ
が10nm〜10μmであることを特徴とする前記
(1)の膜被覆粉体。 (11)金属塩からの反応により形成する前記膜が複数
であることを特徴とする前記(1)の膜被覆粉体。
【0012】(12)基体粒子の表面に膜を形成する膜
被覆粉体の製造方法において、該膜の少なくとも1層
を、水系溶媒中、超音波発振下にて、金属塩からの反応
により形成することを特徴とする膜被覆粉体の製造方
法。 (13)前記水系溶媒がpH一定条件であることを特徴
とする前記(12)の膜被覆粉体の製造方法。 (14)前記基体粒子が磁性体であることを特徴とする
前記(12)の膜被覆粉体の製造方法。 (15)前記磁性体からなる基体粒子の粒径が0.05
〜10μmであることを特徴とする前記(12)の膜被
覆粉体の製造方法。 (16)前記反応中に粉体が沈降しない程度に攪拌を行
うことを特徴とする前記(12)の膜被覆粉体の製造方
法。
【0013】(17)前記水系溶媒に緩衝溶液が含まれ
ることを特徴とする前記(12)の膜被覆粉体の製造方
法。 (18)金属塩からの反応による前記膜の形成が、基体
粒子を分散した水系溶媒中に、膜成分原料である金属塩
の溶液を添加することにより行うことを特徴とする前記
(12)の膜被覆粉体の製造方法。 (19)金属塩からの反応による前記膜の形成中に、水
系溶媒中で熱処理することを特徴とする前記(12)の
膜被覆粉体の製造方法。 (20)金属塩からの反応による前記膜の形成後に、熱
処理することを特徴とする前記(12)の膜被覆粉体の
製造方法。 (21)金属塩からの反応により形成する前記膜の厚さ
を10nm〜10μmとすることを特徴とする前記(1
2)の膜被覆粉体の製造方法。 (22)金属塩からの反応により前記膜を複数形成する
ことを特徴とする前記(12)の膜被覆粉体の製造方法
である。
【0014】本発明は製膜反応の際に、以下の操作およ
び作用により、被膜にならない固相の析出が抑えられ、
基体粒子の表面に均一な厚さの被膜を、所望の厚さで形
成することができると推測する。反応溶媒として、緩
衡溶液を用い、ある一定のpHとすることにより、酸ま
たはアルカリの影響が和らげられ、基体表面の侵食が防
止される;超音波分散により、基体粒子、特にマグネ
タイト粉等の磁性体の分散性を良くするばかりでなく、
被膜成分の拡散性を良くし、更に、被膜同志の付着を防
止し、被覆製膜された磁性体粒子の分散性をも良好にす
る;適当な反応の速さで被膜成分を析出させ、被膜に
ならない固相の析出を抑制する。上記の総合的作用によ
り、膜被覆粉体の表面の電荷を一定に維持することがで
き、電気2重層の働きにより、膜被覆粉体の凝集がな
く、分散粒子が得られる。電気2重層の働きを生かすた
めにpHは、基体の物質と製膜反応により液中で形成さ
れる金属化合物の種類の組み合わせにより異なり、ま
た、両者の等電点を避けることが好ましい。
【0015】本発明は上記の作用機構により、水溶性原
料を用いるにも係わらず、基体として磁性体を用いた場
合でも膜被覆粉体同志が凝集したり固着することがな
く、好ましい膜厚制御ができる膜被覆粉体を容易に製造
することを可能とすることができた。また、水を溶媒と
して用いることにより、アルコキシド法に比べ安価な製
造コストで製膜できるという効果が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の膜被覆粉体は上記のよう
に、製膜反応溶媒としてpH一定条件の水系溶媒を用
い、同時に膜被覆反応を超音波分散条件下で、基体の表
面への被膜形成反応により形成される。本願発明では製
膜反応を一定にするために、水系溶媒に緩衝剤を添加し
緩衝溶液とするかあるいはあらかじめ用意された緩衝溶
液が用いられる。また製膜反応の際には緩衝溶液以外の
膜原料を添加し製膜する。製膜原料添加により製膜を行
う際に、pHが大きく変動する場合には、これを防ぐた
め、緩衝溶液を追加することが望ましい。本発明で言う
ところのpH一定とは、pHが所定のpHの±2以内、
好ましくは±1以内、より好ましくは±0.5以内を言
う。
【0017】緩衡溶液は種々の系が用いられ、特に限定
されないが、まず基体粒子が十分に分散できることが重
要であり、同時に基体の表面に析出した金属水酸化物あ
るいは金属酸化物の膜被覆粉体も分散でき、かつ上記の
緩やかな滴下反応により緻密な被膜が製膜ができる条件
を満足するように選択する必要がある。従って、本発明
の膜被覆粉体の製造法は従来の金属塩溶液の反応による
中和や等電点による析出、または加熱により分解して析
出させる方法とは異なるものである。本発明に使用され
る緩衡溶液としては、析出させる固相成分に依存し、特
に限定されないが、Tris系、ホウ酸系、グリシン
系、コハク酸系、乳酸系、酢酸系、酒石酸系、塩酸系等
が挙げられる。
【0018】次に、超音波分散条件としては、種々の超
音波発振装置が使用でき、例えば、超音波洗浄機の水槽
を利用することができ、特に限定されない。しかし本発
明の超音波分散の条件としては、発振装置の大きさ、反
応容器の形状および大きさ、反応溶液の量、体積、基体
粒子の量等によって変化してくるので、それぞれの場合
において、適切な条件を選択すればよい。
【0019】本発明において、前記本発明の膜被覆粉体
の基体としては、無機性物質からなる粉体が使用でき
る。前記本発明の無機性物質からなる粉体を構成する無
機性物質としては、鉄、ニッケル、クロム、チタン、ア
ルミニウム等の金属、また鉄−ニッケルや鉄−コバルト
合金等の金属合金、さらには鉄・ニッケル合金窒化物や
鉄・ニッケル・コバルト合金窒化物、また金属酸化物と
しては例えば鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニ
ウム、ケイ素(この場合ケイ素は金属に分類するものと
する)等の酸化物の他、カルシウム、マグネシウム、バ
リウム等のアルカリ土類金属酸化物あるいはこれらの複
合酸化物、粘土類、ガラス類等が挙げられる。本発明に
おいては、その目的の一つがカラー磁性トナーやカラー
磁性インクのような磁性を有する粉体を製造することに
あるので、その場合本発明の多層膜被覆粉体の基体とし
ては強磁性体を使用することが好ましい。強磁性体とし
ては鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム等の
透磁率の大きい金属でもよいが、フェライト、γ−酸化
鉄のような強磁性酸化物や強磁性合金も使用される。
【0020】なお、前記特願平9−298717号に添
付の明細書に記載の技術では、基体として磁性体を用い
た場合には、その残留磁化による磁力によって、粉体同
志が凝集しやすく十分な効果が得られなかった。磁性粉
体の残留磁化は、その粒径が0.05〜10μm、その
中でも0.05〜3μmの範囲のものが大きく、さらに
その中でも0.2〜0.3μmのものが特に大きかっ
た。しかしながら、本発明の方法を用いることにより、
基体として磁性体、特に残留磁化の大きいマグネタイ
ト、Baフェライト、Srフェライト、γ−ヘマタイ
ト、コバルトフェライト等のフェライトあるいはこれら
の混合フェライトなど、さらに上記粒径範囲の磁性粉体
を用いても粉体同志の凝集が効果的に防止できる。ま
た、基体粒子の比重としては、0.1〜10.5の範囲
のものが用いられるが、流動性、浮遊性の面から0.1
〜5.5が好ましく、より好ましくは0.1〜2.8、
更に、好ましくは0.5〜1.8の範囲である。基体の
比重が0.1未満では液体中での浮力が大きすぎ、膜を
多層あるいは非常に厚くする必要があり、不経済であ
る。一方、10.5を超えると、浮遊させるための膜が
厚くなり、同様に不経済である。
【0021】本発明においては、上記粉体基体粒子を屈
折率が互いに異なる複数の被膜層を用い、各被膜層の屈
折率および層厚を適宜選択して被覆することにより、そ
の干渉色により着色しかつ可視光域以外にも特異的な干
渉反射ピークを発現する粉体とすることができる。前記
したように、基体粒子の表面上に金属塩の反応により金
属水酸化物膜あるいは金属酸化物膜を析出させるが、固
相析出反応の溶媒として、緩衡溶液を用い、ある一定の
pHで適当な速さで析出させる。
【0022】本発明において、金属塩として使用される
金属は、鉄、ニッケル、クロム、チタン、亜鉛、アルミ
ニウム、カドミウム、ジルコニウム、ケイ素、錫、鉛、
リチウム、インジウム、ネオジウム、ビスマス、セリウ
ム、アンチモン等の他、カルシウム、マグネシウム、バ
リウム等が挙げられる。また、これら金属の塩として
は、硫酸、硝酸、塩酸、シュウ酸、炭酸やカルボン酸の
塩が挙げられる。さらにまた、前記金属のキレート錯体
も含まれる。本発明において使用される金属塩の種類
は、その基体の表面に付与しようとする性質や製造に際
して適用する手段に応じてそれに適するものが選択され
る。
【0023】これらの金属塩による金属酸化物等の膜
は、複数層形成してもよく、またそれらの金属酸化物等
の膜の上に、必要により金属アルコキシドの加水分解に
よる金属酸化物等、また他の製膜方法による膜を形成す
ることもできる。このようにして、基体粒子の上に多層
の膜を形成することができ、しかもその際、各層の厚さ
が所定の厚さをもつように形成条件を設定することによ
り、目的とする特性を得ることができるようにすること
ができ、また簡単な操作でかつ安価な原料である金属塩
を用いて金属酸化物等の膜を多層に形成することができ
る。特に、高価な金属アルコキシドを原料とすることな
く、多重層膜被覆粉体とすることができる点は重要な利
点である。
【0024】本発明の膜被覆粉体を製造する方法では、
多層被覆膜を連続した工程として製作しても良く、ま
た、各被覆膜を1層ずつ製作、あるいは単層製作と複層
連続製作を組み合わせるなど種々の方法で製作すること
ができる。本発明に係わる膜被覆粉体の粒径は、特に限
定されず、目的に応じて適宜調整することができるが、
通常は0.01μm〜数mmの範囲である。
【0025】本発明において、その1回に形成させる金
属酸化物膜の膜の厚さとしては、5nm〜10μmの範
囲とすることが可能であり、従来の形成法より厚くする
ことができる。複数回に分けて形成する金属酸化物膜の
合計の厚さとしては、前記したカラー磁性粉体の場合、
その干渉による反射率が良い金属酸化物膜を形成するた
めには、10nm〜20μmの範囲が好ましい、さらに
好ましくは20nm〜5μmの範囲とすることである。
粒径が制限されるなど特に薄い膜厚で可視光を干渉反射
させるためには0.02〜2.0μmの範囲とすること
が好ましい。
【0026】前記したようにして製造した基体粒子表面
に金属酸化物膜等を有する粉体は、選択した基体粒子の
材質、及びその表面に被覆した膜の金属酸化物の材質に
より、種々の性質を賦与することができるので、それぞ
れの目的の用途に適用することができる。例えば、基体
粒子として磁性体の金属鉄、窒化鉄、マグネタイトなど
を用い、その上の膜として前記磁性体に比べて屈折率の
より低い二酸化ケイ素(シリカともいう)を被覆し、そ
の外膜としてより屈折率の高いや酸化チタン(チタニア
ともいう)の層を被覆すれば、白色度の高い磁性粉が得
られる。また、基体粒子として銀、銅あるいはアルミニ
ウム(アルミナともいう)等の導体を用い、該金属層の
上に金属酸化物として例えば酸化アルミニウムのような
電気絶縁性の被覆膜を被覆すれば、電気絶縁性の表面層
を有する熱伝導性粉体が得られる。
【0027】また、例えば、基体の表面に、屈折率の異
なる被覆の厚さを、光の波長の4分の1に相当する厚さ
だけ設けると、干渉により光は大部分反射(フレネル反
射)され、この作用を利用し、例えば鉄、コバルト、ニ
ッケルなどの金属粉末あるいは合金粉末、あるいは窒化
鉄の粉末などの磁性体を基体とし、この表面に銀あるい
はコバルト等の高い反射率の金属層を設け、さらにその
外側に前記金属より屈折率の低い二酸化ケイ素のような
酸化物層を酸化物の屈折率と膜の厚さとの積が可視光の
4分の1波長の厚さとして設け、さらにその上に厚さが
物質の屈折率と膜の厚さとの積が可視光の4分の1波長
の厚さの酸化チタンのような屈折率の高い酸化物層を被
覆することにより光を反射して、白色に輝いた磁性トナ
ー用磁性粉体を製造することができる。また、製造され
た粉体を不活性ガス雰囲気の中で温度200℃〜800
℃で熱処理することにより、さらに強固で白色度の高い
粉体とすることができる。上記、粉体を熱処理する場
合、熱処理された粉体の各層において物質の屈折率と膜
の厚さとの積が可視光の4分の1波長の厚さになる条件
が満たされなければならない。
【0028】さらにその粉体の上に着色層を設け、さら
にその上に樹脂層を設ければ、カラー磁性トナーを製造
することができる。なお、可視光の波長は幅があるの
で、磁性トナーを構成する粒子の酸化物と金属の各層の
厚さは、物質の屈折率と膜の厚さとの積が可視光の4分
の1波長の厚さに近い範囲で多少異なるようにしたもの
を交互に複数設けてもよい。多層膜被覆粉体を干渉反射
で着色するカラー粉体とする場合には、WO96/28
269の方法を用いて設計し、製膜条件を調整し、目的
の分光波長の光が反射されるように、高屈折率膜と低屈
折率膜を交互にフレネル干渉に必要な膜の厚みに製膜す
る。
【0029】次に一例として、高屈折率の金属酸化物と
低屈折率の金属酸化物の交互多層膜を形成する方法につ
いて具体的に説明する。まず、酸化チタンあるいは酸化
ジルコニウムなどの被膜を形成する場合、酢酸/酢酸ナ
トリウム系等の緩衡溶液中に基体粒子を浸漬し超音波発
振により分散し、チタンあるいはジルコニウムなどの金
属塩である硫酸チタン、硫酸ジルコニウム等を原料と
し、これら金属塩の水溶液を反応系に緩やかに滴下し、
生成する金属水酸化物あるいは金属酸化物を基体粒子の
まわりに析出させることにより行うことができる。この
滴下反応の間、pHは上記緩衡溶液のpH(5.4)に
保持される。反応終了後、この粉体を固液分離し、洗浄
・乾燥後、熱処理を施す。乾燥手段としては真空乾燥、
自然乾燥のいずれでもよい。また、不活性雰囲気中で噴
霧乾燥機などの装置を用いることも可能である。なお、
この場合の被覆膜である酸化チタンの形成は下記の反応
式で示される。 Ti(SO4 ) 2 +2H2O→TiO2 +4H2 (SO4
) 2
【0030】続いて、二酸化ケイ素あるいは酸化アルミ
ニウムなどの被膜を形成する場合、KCl/H3BO3
等にNaOHを加えた緩衡溶液中に上記のチタニアコー
ト粒子を浸漬し超音波発振により分散し、ケイ素あるい
はアルミニウムなどの金属塩であるケイ酸ナトリウム、
塩化アルミニウム等を原料とし、これら金属塩の水溶液
を反応系に緩やかに滴下し、生成する金属水酸化物ある
いは金属酸化物を基体粒子のまわりに析出させることに
より行うことができる。この滴下反応の間、pHは上記
緩衡溶液のpH(9.0)に保持される。反応終了後、
この粉体を固液分離し、洗浄・乾燥後、熱処理を施す。
この操作により、基体粒子の表面に屈折率の異なる2層
の、金属酸化物膜を形成する操作を繰り返すことによ
り、多層の金属酸化物膜をその表面上に有する粉体が得
られる。なお、この場合の被覆膜である二酸化ケイ素の
形成は下記の反応式で示される。 Na2SiX 2X+1+H2O→XSiO2+2Na++2O
-
【0031】次に、本発明において製膜に使用する原
料、特に金属塩について説明する。高屈折率の膜を製膜
するのに使用する原料としては、酸化チタン膜用には、
チタンのハロゲン化物、硫酸塩等、酸化ジルコニウム膜
用には、ジルコニウムのハロゲン化物、硫酸塩、カルボ
ン酸塩、シュウ酸塩、キレート錯体等、酸化セリウム膜
用には、セリウムのハロゲン化物、硫酸塩、カルボン酸
塩、シュウ酸塩等、酸化ビスマス膜用には、ビスマスの
ハロゲン化物、硝酸塩、カルボン酸塩等、酸化インジウ
ム膜用には、インジウムのハロゲン化物、硫酸塩等が好
ましい。また、低屈折率の膜を製膜するのに使用する原
料としては、酸化ケイ素膜用には、ケイ酸ソーダ、水ガ
ラス、ケイ素のハロゲン化物、アルキルシリケート等の
有機ケイ素化合物とその重合体等、酸化アルミニウム膜
用には、アルミニウムのハロゲン化物、硫酸塩、キレー
ト錯体等、酸化マグネシウム膜用には、マグネシウムの
硫酸塩、ハロゲン化物等が好ましい。また、例えば酸化
チタン膜の場合には、塩化チタンに硫酸チタンを混合す
ると、より低温で屈折率の高いルチル型の酸化チタン膜
になる等の効果がある。
【0032】また、被覆の際の反応温度は各金属塩の種
類に適した温度に管理して被覆することにより、より完
全な酸化物膜を製作することができる。水系溶媒中での
基体の表面への被膜形成反応(固層析出反応)が遅すぎ
る場合には、反応系を加熱して固層析出反応を促進する
こともできる。但し、加熱の熱処理が過剰であると、該
反応速度が速すぎて、過飽和な固層が膜にならず、水溶
液中に析出し、ゲルあるいは微粒子を形成し、膜厚制御
が困難になる。
【0033】被覆膜は製作後、蒸留水を加えながら傾斜
洗浄を繰り返して、電解質を除去した後、乾燥・焼成等
の熱処理を施し、固相中に含まれた水を除去して、完全
に酸化物膜とすることが好ましい。また、製膜後の粉体
を回転式チューブ炉などで熱処理することにより、固着
を防ぐことができ、分散された粒子を得ることができ
る。水酸化物膜あるいは酸化物膜を形成し、それを熱処
理するには、各層を被覆する毎に熱処理しても良く、ま
た、目的の多層膜を完成後最後に熱処理しても良い。熱
処理条件は反応系により異なるが、上記の熱処理温度と
しては200〜1300℃であり、好ましくは400〜
1100℃である。200℃以下では塩類や水分が残っ
てしまう事あり、1300℃を超えて高くなると、膜と
基体が反応し別の物質となることがあり、共に不適であ
る。熱処理時間としては0.1〜100時間であり、好
ましくは0.5〜50時間である。
【0034】
【実施例】以下に本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、勿論本発明の範囲は、これらによって限定
されるものではない。
【0035】〔実施例1〕 (シリカ膜の製膜)室温で容器に0.3M塩化カリウム
と0.3Mほう酸の混合水溶液250mlと、0.4M
水酸化ナトリウム水溶液115mlを混合し緩衡液を調
製する。この緩衡液中(pH:約9.0)に、基体とし
てマグネタイト粉末(平均粒径0.7μm)5.0gを
投入し、この混合溶液を入れた容器を、水を張った超音
波洗浄機((株)井内盛栄堂製、US−6型)の水槽に
入れ、36kHZ 、600Wの超音波を発振させ、同時
に450rpmで攪拌しながら10分間粒子を分散させ
る。
【0036】次に、あらかじめ用意した10重量%の水
ガラス(けい酸ナトリウム)水溶液をマイクロチューブ
ポンプで、1.34ml/分の滴下速度で、18分間、
攪拌している懸濁液中に滴下する。滴下終了後、更に1
時間超音波発振および攪拌を続け、シリカ膜被覆反応を
行う。所定時間経過後、上澄液を取り除きイオン交換水
360mlを加え400rpmにて5分洗浄攪拌を行
う。なおこの操作を繰り返し洗浄操作を行うことによ
り、pH7程度まで洗浄する。洗浄操作終了後、110
℃で乾燥させ、乾燥粉体の粒度測定を測定装置(日機装
社製マイクロトラックX−100)を用いて行った。粒
度測定結果を表1に示す。
【0037】〔比較例1〕 (シリカ膜の製膜)実施例1と同じ操作を行った。但
し、製膜反応中に超音波を発振させず、攪拌のみを行っ
た。粒度測定結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1から明らかなように、本発明に係わる
実施例1のシリカ膜被覆マグネタイト粒子の50%通過
径は基体の原料マグネタイト粒子の50%通過径とほぼ
同じであり、満足すべき結果を得たが、比較例1のシリ
カ膜被覆マグネタイト粒子の50%通過径は不満足なも
のであった。
【0040】〔実施例2〕 (シリカ・チタニア膜被覆粉体) (1層目:シリカ膜の製膜)室温で容器に0.3M塩化
カリウムと0.3Mほう酸の混合水溶液250mlと、
0.4M水酸化ナトリウム水溶液115mlを混合し緩
衡液を調製する。この緩衡液中(pH:約9.0)に、
基体としてマグネタイト粉末(平均粒径0.7μm)
5.0gを投入し、この混合溶液を入れた容器を、水を
張った超音波洗浄機((株)井内盛栄堂製、US−6
型)の水槽に入れ、36kHZ 、600Wの超音波を発
振させ、同時に450rpmで攪拌しながら10分間粒
子を分散させる。
【0041】次に、あらかじめ用意した10重量%の水
ガラス(けい酸ナトリウム)水溶液をマイクロチューブ
ポンプで、1.34ml/分の滴下速度で、18分間、
攪拌している懸濁液中に滴下する。滴下終了後、更に1
時間超音波発振および攪拌を続け、シリカ膜被覆反応を
行う。所定時間経過後、この懸濁液に蒸留水300ml
を添加し、反応を停止する。反応を停止した液の上澄液
を取り除き純水360mlを加え400rpmにて5分
洗浄攪拌を行う。なおこの操作を繰り返し洗浄操作を行
うことにより、pH7程度まで洗浄する。洗浄操作終了
後、バットに移し、固形分を沈降させ、上澄液を除き、
固液分離し、110℃で乾燥させる。乾燥後得られた粉
体は500nm付近にボトムを有する黒色粉体1Aを得
た。
【0042】(2層目:チタニア膜の製膜)あらかじ
め、0.3M無水酢酸水溶液50mlと0.9M酢酸ナ
トリウム水溶液100mlおよび純水250mlを混合
した緩衡液(pH:5.4)を用意し、粉体1Aを4g
投入後、シリカ膜の製膜の場合と同様に、36kHZ 、
600Wの超音波を発振させ、同時に550rpmで攪
拌しながら10分間粒子を分散させる。分散後、硫酸チ
タン水溶液(120g/リットル)をマイクロチューブ
ポンプで、0.5ml/分の滴下速度で滴下する。同時
に超音波槽内の水を100℃/時間で昇温し、この懸濁
液を55℃に保持する。滴下開始から8時間かけて硫酸
チタン水溶液を滴下後、2時間反応させ、終了後、この
懸濁液に蒸留水300mlを添加し、反応を停止する。
【0043】反応を停止した液の上澄液を取り除き純水
360mlを加え400rpmにて5分洗浄攪拌を行
う。なおこの操作を繰り返し洗浄操作を行うことによ
り、pH7程度まで洗浄する。洗浄操作終了後、バット
に移し、固形分を沈降させ、上澄液を除き、固液分離
し、110℃で乾燥させる。乾燥後得られた粉体は50
0nm付近にピークを有し、反射率30%であり、青緑
色の粉体1Bを得た。
【0044】(3層目:シリカ膜の製膜)室温で容器に
0.3M塩化カリウムと0.3Mほう酸の混合水溶液2
50mlと、0.4M水酸化ナトリウム水溶液115m
lを混合し緩衡液を調製する。この緩衡液中(pH:約
9.0)に、粉体1B(平均粒径0.7μm)5.0g
を投入し、この混合溶液を入れた容器を、水を張った超
音波洗浄機((株)井内盛栄堂製、US−6型)の水槽
に入れ、36kHZ 、600Wの超音波を発振させ、同
時に450rpmで攪拌しながら10分間粒子を分散さ
せる。次に、あらかじめ用意した10重量%の水ガラス
(けい酸ナトリウム)水溶液をマイクロチューブポンプ
で、1.34ml/分の滴下速度で、18分間、攪拌し
ている懸濁液中に滴下する。滴下終了後、更に1時間超
音波発振および攪拌を続け、シリカ膜被覆反応を行う。
【0045】所定時間経過後、この懸濁液に蒸留水30
0mlを添加し、反応を停止する。反応を停止した液の
上澄液を取り除き純水360mlを加え400rpmに
て5分洗浄攪拌を行う。なおこの操作を繰り返し洗浄操
作を行うことにより、pH7程度まで洗浄する。洗浄操
作終了後、バットに移し、固形分を沈降させ、上澄液を
除き、固液分離し、110℃で乾燥させる。乾燥後得ら
れた粉体は530nm付近にボトムを有する粉体1Cを
得た。
【0046】(4層目:チタニア膜の製膜)あらかじ
め、0.3M無水酢酸水溶液50mlと0.9M酢酸ナ
トリウム水溶液100mlおよび純水250mlを混合
した緩衡液(pH:5.4)を用意し、粉体1Cを4g
投入後、シリカ膜の製膜の場合と同様に、36kHZ 、
600Wの超音波を発振させ、同時に550rpmで攪
拌しながら10分間粒子を分散させる。分散後、硫酸チ
タン水溶液(120g/リットル)をマイクロチューブ
ポンプで、0.55ml/分の滴下速度で滴下する。同
時に超音波槽内の水を100℃/時間で昇温し、この懸
濁液を55℃に保持する。滴下開始から8時間かけて硫
酸チタン水溶液を滴下後、2時間反応させ、終了後、こ
の懸濁液に蒸留水300mlを添加し、反応を停止す
る。
【0047】反応を停止した液の上澄液を取り除き純水
360mlを加え400rpmにて5分洗浄攪拌を行
う。なおこの操作を繰り返し洗浄操作を行うことによ
り、pH7程度まで洗浄する。洗浄操作終了後、バット
に移し、固形分を沈降させ、上澄液を除き、固液分離
し、110℃で乾燥させる。乾燥後得られた粉体は45
0nm付近にピークを有し、反射率43%であり、鮮や
かシアン色の粉体1Dを得た。
【0048】〔実施例3〕 (4層シリカ・チタニア膜被覆粉体の熱処理)実施例2
と同じ条件で製造した4層膜被覆粉体を、窒素雰囲気の
回転式チューブ炉で500℃、0.5時間熱処理したと
ころ、得られた粉体は403nmにピークを有し、反射
率47%であり、鮮やか青色の粉体2Dを得た。
【0049】〔実施例4〕 (シリカ・チタニア膜被覆粉体、塩化チタン水溶液使
用) (1層目:シリカ膜の製膜)室温で容器に0.3M塩化
カリウムと0.3Mほう酸の混合水溶液250mlと、
0.4M水酸化ナトリウム水溶液115mlを混合し緩
衡液を調製する。この緩衡液中(pH:約9.0)に、
基体としてマグネタイト粉末(平均粒径0.7μm)
5.0gを投入し、この混合溶液を入れた容器を、水を
張った超音波洗浄機((株)井内盛栄堂製、US−6
型)の水槽に入れ、36kHZ 、600Wの超音波を発
振させ、同時に450rpmで攪拌しながら10分間粒
子を分散させる。
【0050】次に、あらかじめ用意した10重量%の水
ガラス(けい酸ナトリウム)水溶液をマイクロチューブ
ポンプで、1.34ml/分の滴下速度で、18分間、
攪拌している懸濁液中に滴下する。滴下終了後、更に1
時間超音波発振および攪拌を続け、シリカ膜被覆反応を
行う。所定時間経過後、この懸濁液に蒸留水300ml
を添加し、反応を停止する。反応を停止した液の上澄液
を取り除き純水360mlを加え400rpmにて5分
洗浄攪拌を行う。なおこの操作を繰り返し洗浄操作を行
うことにより、pH7程度まで洗浄する。洗浄操作終了
後、バットに移し、固形分を沈降させ、上澄液を除き、
固液分離し、110℃で乾燥させる。乾燥後得られた粉
体は500nm付近にボトムを有する黒色粉体3Aを得
た。
【0051】(2層目:チタニア膜の製膜)あらかじ
め、0.3M無水酢酸水溶液50mlと0.9M酢酸ナ
トリウム水溶液100mlおよび2.5M水酸化ナトリ
ウム水溶液160mlと純水500mlを混合した緩衡
液(pH:5.4)を用意し、粉体3Aを4g投入後、
シリカ膜の製膜の場合と同様に、36kHZ 、600W
の超音波を発振させ、同時に550rpmで攪拌しなが
ら10分間粒子を分散させる。分散後、この懸濁液を5
5℃に保持する。加温分散後、塩化チタン水溶液(20
0g/リットル)40gをマイクロチューブポンプで、
0.8ml/分の滴下速度で滴下する。滴下後、2時間
反応させ、終了後、この懸濁液に蒸留水300mlを添
加し、反応を停止する。
【0052】反応を停止した液の上澄液を取り除き純水
360mlを加え400rpmにて5分洗浄攪拌を行
う。なおこの操作を繰り返し洗浄操作を行うことによ
り、pH7程度まで洗浄する。洗浄操作終了後、バット
に移し、固形分を沈降させ、上澄液を除き、固液分離
し、110℃で乾燥させる。乾燥後、得られた粉体を、
窒素雰囲気の投入型回転式チューブ炉で500℃、0.
5時間熱処理し、冷却後、粉体は450nmにピークを
有し、反射率35%であり、鮮やかシアン色の粉体3B
を得た。
【0053】(3層目:シリカ膜の製膜)室温で容器に
0.3M塩化カリウムと0.3Mほう酸の混合水溶液2
50mlと、0.4M水酸化ナトリウム水溶液115m
lを混合し緩衡液を調製する。この緩衡液中(pH:約
9.0)に、粉体3B(平均粒径0.7μm)gを投入
し、この混合溶液を入れた容器を、水を張った超音波洗
浄機((株)井内盛栄堂製、US−6型)の水槽に入
れ、36kHZ 、600Wの超音波を発振させ、同時に
450rpmで攪拌しながら10分間粒子を分散させ
る。次に、あらかじめ用意した10重量%の水ガラス
(けい酸ナトリウム)水溶液をマイクロチューブポンプ
で、1.34ml/分の滴下速度で、18分間、攪拌し
ている懸濁液中に滴下する。滴下終了後、更に1時間超
音波発振および攪拌を続け、シリカ膜被覆反応を行う。
【0054】所定時間経過後、この懸濁液に蒸留水30
0mlを添加し、反応を停止する。反応を停止した液の
上澄液を取り除き純水360mlを加え400rpmに
て5分洗浄攪拌を行う。なおこの操作を繰り返し洗浄操
作を行うことにより、pH7程度まで洗浄する。洗浄操
作終了後、バットに移し、固形分を沈降させ、上澄液を
除き、固液分離し、110℃で乾燥させる。乾燥後得ら
れた粉体は385nm付近にボトムを有する粉体3Cを
得た。
【0055】(4層目:チタニア膜の製膜)あらかじ
め、0.3M無水酢酸水溶液50mlと0.9M酢酸ナ
トリウム水溶液100mlおよび純水250mlを混合
した緩衡液(pH:5.4)を用意し、粉体3Cを16
g投入後、シリカ膜の製膜の場合と同様に、36kHZ
、600Wの超音波を発振させ、同時に550rpm
で攪拌しながら10分間粒子を分散させる。分散後、こ
の懸濁液を55℃に保持する。加温分散後、塩化チタン
水溶液(200g/リットル)40gをマイクロチュー
ブポンプで、0.8ml/分の滴下速度で滴下する。滴
下終了後、更に2時間超音波発振および攪拌を続け、チ
タニア膜被覆反応を行う。終了後、この懸濁液に蒸留水
300mlを添加し、反応を停止する。
【0056】反応を停止した液の上澄液を取り除き純水
360mlを加え400rpmにて5分洗浄攪拌を行
う。なおこの操作を繰り返し洗浄操作を行うことによ
り、pH7程度まで洗浄する。洗浄操作終了後、バット
に移し、固形分を沈降させ、上澄液を除き、固液分離
し、110℃で乾燥させる。乾燥後、得られた粉体を、
窒素雰囲気の投入型回転式チューブ炉で500℃、0.
5時間熱処理した。冷却後、粉体は410nmにピーク
を有し、反射率47%であり、鮮やか青色の粉体3Dを
得た。
【0057】〔実施例5〕 (シリカ・酸化すず膜被覆粉体) (1層目:シリカ膜の製膜)室温で容器に0.3M塩化
カリウムと0.3Mほう酸の混合水溶液250mlと、
0.4M水酸化ナトリウム水溶液115mlを混合し緩
衡液を調製する。この緩衡液中(pH:約9.0)に、
基体としてマグネタイト粉末(平均粒径0.7μm)
5.0gを投入し、この混合溶液を入れた容器を、水を
張った超音波洗浄機((株)井内盛栄堂製、US−6
型)の水槽に入れ、36kHZ 、600Wの超音波を発
振させ、同時に450rpmで攪拌しながら10分間粒
子を分散させる。
【0058】次に、あらかじめ用意した10重量%の水
ガラス(けい酸ナトリウム)水溶液をマイクロチューブ
ポンプで、1.34ml/分の滴下速度で、22分間、
攪拌している懸濁液中に滴下する。滴下終了後、更に1
時間超音波発振および攪拌を続け、シリカ膜被覆反応を
行う。所定時間経過後、この懸濁液に蒸留水300ml
を添加し、反応を停止する。反応を停止した液の上澄液
を取り除き純水360mlを加え400rpmにて5分
洗浄攪拌を行う。なおこの操作を繰り返し洗浄操作を行
うことにより、pH7程度まで洗浄する。洗浄操作終了
後、バットに移し、固形分を沈降させ、上澄液を除き、
固液分離し、110℃で乾燥させる。乾燥後、得られた
粉体を、窒素雰囲気の投入型回転式チューブ炉で300
℃、30分間熱処理し、冷却した。粉体は480nmに
ボトムを有する黒色の粉体5Aを得た。
【0059】(2層目:酸化錫膜の製膜)あらかじめ、
0.3M無水酢酸水溶液50mlと0.9M酢酸ナトリ
ウム水溶液100mlおよび2.5M水酸化ナトリウム
水溶液160mlと純水500mlを混合した緩衡液
(pH:5.4)を用意し、粉体5Aを16g投入後、
シリカ膜の製膜の場合と同様に、36kHZ 、600W
の超音波を発振させ、同時に550rpmで攪拌しなが
ら10分間粒子を分散させる。分散後、この懸濁液を5
5℃に保持する。加温分散後、塩化すず水溶液(190
g/リットル)48gをマイクロチューブポンプで、
0.8ml/分の滴下速度で滴下する。滴下後、2時間
反応させ、終了後、この懸濁液に蒸留水300mlを添
加し、反応を停止する。
【0060】反応を停止した液の上澄液を取り除き純水
360mlを加え400rpmにて5分洗浄攪拌を行
う。なおこの操作を繰り返し洗浄操作を行うことによ
り、pH7程度まで洗浄する。洗浄操作終了後、バット
に移し、固形分を沈降させ、上澄液を除き、固液分離
し、110℃で乾燥させる。乾燥後、得られた粉体を、
窒素雰囲気の投入型回転式チューブ炉で300℃、30
分間熱処理し、冷却した。粉体は448nmにピークを
有し、反射率32%であり、シアン色の粉体5Bを得
た。
【0061】(3層目:シリカ膜の製膜)室温で容器に
0.3M塩化カリウムと0.3Mほう酸の混合水溶液2
50mlと、0.4M水酸化ナトリウム水溶液115m
lを混合し緩衡液を調製する。この緩衡液中(pH:約
9.0)に、粉体5B(平均粒径0.7μm)gを投入
し、この混合溶液を入れた容器を、水を張った超音波洗
浄機((株)井内盛栄堂製、US−6型)の水槽に入
れ、36kHZ 、600Wの超音波を発振させ、同時に
450rpmで攪拌しながら10分間粒子を分散させ
る。次に、あらかじめ用意した10重量%の水ガラス
(けい酸ナトリウム)水溶液をマイクロチューブポンプ
で、1.34ml/分の滴下速度で、26分間、攪拌し
ている懸濁液中に滴下する。滴下終了後、更に1時間超
音波発振および攪拌を続け、シリカ膜被覆反応を行う。
【0062】所定時間経過後、この懸濁液に蒸留水30
0mlを添加し、反応を停止する。反応を停止した液の
上澄液を取り除き純水360mlを加え400rpmに
て5分洗浄攪拌を行う。なおこの操作を繰り返し洗浄操
作を行うことにより、pH7程度まで洗浄する。洗浄操
作終了後、バットに移し、固形分を沈降させ、上澄液を
除き、固液分離し、110℃で乾燥させる。乾燥後、得
られた粉体を、窒素雰囲気の投入型回転式チューブ炉で
300℃、30分間熱処理し、冷却した。粉体は550
nm付近にボトムを有する粉体5Cを得た。
【0063】(4層目:酸化錫膜の製膜)あらかじめ、
0.3M無水酢酸水溶液50mlと0.9M酢酸ナトリ
ウム水溶液100mlおよび2.5M水酸化ナトリウム
水溶液160mlと純水250mlを混合した緩衡液
(pH:5.4)を用意し、粉体5Cを16g投入後、
シリカ膜の製膜の場合と同様に、36kHZ 、600W
の超音波を発振させ、同時に550rpmで攪拌しなが
ら10分間粒子を分散させる。分散後、この懸濁液を5
5℃に保持する。加温分散後、塩化すず水溶液(190
g/リットル)52gをマイクロチューブポンプで、
0.8ml/分の滴下速度で滴下する。滴下終了後、更
に2時間超音波発振および攪拌を続け、チタニア膜被覆
反応を行う。終了後、この懸濁液に蒸留水300mlを
添加し、反応を停止する。
【0064】反応を停止した液の上澄液を取り除き純水
360mlを加え400rpmにて5分洗浄攪拌を行
う。なおこの操作を繰り返し洗浄操作を行うことによ
り、pH7程度まで洗浄する。洗浄操作終了後、バット
に移し、固形分を沈降させ、上澄液を除き、固液分離
し、110℃で乾燥させる。乾燥後、得られた粉体を、
窒素雰囲気の投入型回転式チューブ炉で650℃、30
分間熱処理し、冷却した。粉体は580nmにピークを
有し、反射率44%であり、黄色の粉体5Dを得た。
【0065】(5層目:シリカ膜の製膜)室温で容器に
0.3M塩化カリウムと0.3Mほう酸の混合水溶液2
50mlと、0.4M水酸化ナトリウム水溶液115m
lを混合し緩衡液を調製する。この緩衡液中(pH:約
9.0)に、粉体5D(平均粒径0.7μm)gを投入
し、この混合溶液を入れた容器を、水を張った超音波洗
浄機((株)井内盛栄堂製、US−6型)の水槽に入
れ、36kHZ 、600Wの超音波を発振させ、同時に
450rpmで攪拌しながら10分間粒子を分散させ
る。次に、あらかじめ用意した10重量%の水ガラス
(けい酸ナトリウム)水溶液をマイクロチューブポンプ
で、1.34ml/分の滴下速度で、28分間、攪拌し
ている懸濁液中に滴下する。滴下終了後、更に1時間超
音波発振および攪拌を続け、シリカ膜被覆反応を行う。
【0066】所定時間経過後、この懸濁液に蒸留水30
0mlを添加し、反応を停止する。反応を停止した液の
上澄液を取り除き純水360mlを加え400rpmに
て5分洗浄攪拌を行う。なおこの操作を繰り返し洗浄操
作を行うことにより、pH7程度まで洗浄する。洗浄操
作終了後、バットに移し、固形分を沈降させ、上澄液を
除き、固液分離し、110℃で乾燥させる。乾燥後、得
られた粉体を、窒素雰囲気の投入型回転式チューブ炉で
300℃、30分間熱処理し、冷却した。粉体は550
nm付近にボトムを有する粉体5Eを得た。
【0067】(6層目:酸化錫膜の製膜)あらかじめ、
0.3M無水酢酸水溶液50mlと0.9M酢酸ナトリ
ウム水溶液100mlおよび2.5M水酸化ナトリウム
水溶液160mlと純水250mlを混合した緩衡液
(pH:5.4)を用意し、粉体5Eを16g投入後、
シリカ膜の製膜の場合と同様に、36kHZ 、600W
の超音波を発振させ、同時に550rpmで攪拌しなが
ら10分間粒子を分散させる。分散後、この懸濁液を5
5℃に保持する。加温分散後、塩化すず水溶液(190
g/リットル)55gをマイクロチューブポンプで、
0.8ml/分の滴下速度で滴下する。滴下終了後、更
に2時間超音波発振および攪拌を続け、チタニア膜被覆
反応を行う。終了後、この懸濁液に蒸留水300mlを
添加し、反応を停止する。
【0068】反応を停止した液の上澄液を取り除き純水
360mlを加え400rpmにて5分洗浄攪拌を行
う。なおこの操作を繰り返し洗浄操作を行うことによ
り、pH7程度まで洗浄する。洗浄操作終了後、バット
に移し、固形分を沈降させ、上澄液を除き、固液分離
し、110℃で乾燥させる。乾燥後、得られた粉体を、
窒素雰囲気の投入型回転式チューブ炉で650℃、30
分間熱処理し、冷却した。粉体は480nmにピークを
有し、反射率53%であり、青色の粉体5Fを得た。
【0069】〔実施例6〕 (シリカ・酸化チタン膜被覆粉体、膜内結晶化による反
射率向上) (1層目:シリカ膜の製膜)室温で容器に0.3M塩化
カリウムと0.3Mほう酸の混合水溶液250mlと、
0.4M水酸化ナトリウム水溶液115mlを混合し緩
衡液を調製する。この緩衡液中(pH:約9.0)に、
基体としてマグネタイト粉末(平均粒径0.7μm)
5.0gを投入し、この混合溶液を入れた容器を、水を
張った超音波洗浄機((株)井内盛栄堂製、US−6
型)の水槽に入れ、36kHZ 、600Wの超音波を発
振させ、同時に450rpmで攪拌しながら10分間粒
子を分散させる。次に、あらかじめ用意した10重量%
の水ガラス(けい酸ナトリウム)水溶液をマイクロチュ
ーブポンプで、1.34ml/分の滴下速度で、22分
間、攪拌している懸濁液中に滴下する。滴下終了後、更
に1時間超音波発振および攪拌を続け、シリカ膜被覆反
応を行う。
【0070】所定時間経過後、この懸濁液に蒸留水30
0mlを添加し、反応を停止する。反応を停止した液の
上澄液を取り除き純水360mlを加え400rpmに
て5分洗浄攪拌を行う。なおこの操作を繰り返し洗浄操
作を行うことにより、pH7程度まで洗浄する。洗浄操
作終了後、バットに移し、固形分を沈降させ、上澄液を
除き、固液分離し、110℃で乾燥させる。乾燥後、得
られた粉体を、窒素雰囲気の投入型回転式チューブ炉で
300℃、30分間熱処理し、冷却した。粉体は480
nmにボトムを有する黒色の粉体6Aを得た。
【0071】(2層目:酸化チタン膜の製膜)あらかじ
め、0.3M無水酢酸水溶液50mlと0.9M酢酸ナ
トリウム水溶液100mlおよび2.5M水酸化ナトリ
ウム水溶液160mlと純水500mlを混合した緩衡
液(pH:5.4)を用意し、粉体6Aを16g投入
後、シリカ膜の製膜の場合と同様に、36kHZ 、60
0Wの超音波を発振させ、同時に550rpmで攪拌し
ながら10分間粒子を分散させる。分散後、この懸濁液
を55℃に保持する。加温分散後、硫酸チタン水溶液
(200g/リットル)43gをマイクロチューブポン
プで、0.8ml/分の滴下速度で滴下する。滴下後、
2時間反応させ、終了後、この懸濁液に蒸留水300m
lを添加し、反応を停止する。
【0072】反応を停止した液の上澄液を取り除き純水
360mlを加え400rpmにて5分洗浄攪拌を行
う。なおこの操作を繰り返し洗浄操作を行うことによ
り、pH7程度まで洗浄する。洗浄操作終了後、バット
に移し、固形分を沈降させ、上澄液を除き、固液分離
し、110℃で乾燥させる。乾燥後、得られた粉体を、
窒素雰囲気の投入型回転式チューブ炉で650℃、2時
間熱処理し、冷却した。粉体は548nmにピークを有
し、反射率43%であり、緑色の粉体6Bを得た。
【0073】(3層目:シリカ膜の製膜)室温で容器に
0.3M塩化カリウムと0.3Mほう酸の混合水溶液2
50mlと、0.4M水酸化ナトリウム水溶液115m
lを混合し緩衡液を調製する。この緩衡液中(pH:約
9.0)に、粉体6B(平均粒径0.7μm)gを投入
し、この混合溶液を入れた容器を、水を張った超音波洗
浄機((株)井内盛栄堂製、US−6型)の水槽に入
れ、36kHZ 、600Wの超音波を発振させ、同時に
450rpmで攪拌しながら10分間粒子を分散させ
る。次に、あらかじめ用意した10重量%の水ガラス
(けい酸ナトリウム)水溶液をマイクロチューブポンプ
で、1.34ml/分の滴下速度で、26分間、攪拌し
ている懸濁液中に滴下する。滴下終了後、更に1時間超
音波発振および攪拌を続け、シリカ膜被覆反応を行う。
【0074】所定時間経過後、この懸濁液に蒸留水30
0mlを添加し、反応を停止する。反応を停止した液の
上澄液を取り除き純水360mlを加え400rpmに
て5分洗浄攪拌を行う。なおこの操作を繰り返し洗浄操
作を行うことにより、pH7程度まで洗浄する。洗浄操
作終了後、バットに移し、固形分を沈降させ、上澄液を
除き、固液分離し、110℃で乾燥させる。乾燥後、得
られた粉体を、窒素雰囲気の投入型回転式チューブ炉で
300℃、30分間熱処理し、冷却した。粉体は480
nm付近にボトムを有する粉体6Cを得た。
【0075】(4層目:酸化チタン膜の製膜)あらかじ
め、0.3M無水酢酸水溶液50mlと0.9M酢酸ナ
トリウム水溶液100mlおよび2.5M水酸化ナトリ
ウム水溶液160mlと純水250mlを混合した緩衡
液(pH:5.4)を用意し、粉体6Cを16g投入
後、シリカ膜の製膜の場合と同様に、36kHZ 、60
0Wの超音波を発振させ、同時に550rpmで攪拌し
ながら10分間粒子を分散させる。分散後、この懸濁液
を55℃に保持する。加温分散後、硫酸チタン水溶液
(200g/リットル)43gをマイクロチューブポン
プで、0.8ml/分の滴下速度で滴下する。滴下終了
後、更に2時間超音波発振および攪拌を続け、チタニア
膜被覆反応を行う。終了後、この懸濁液に蒸留水300
mlを添加し、反応を停止する。
【0076】反応を停止した液の上澄液を取り除き純水
360mlを加え400rpmにて5分洗浄攪拌を行
う。なおこの操作を繰り返し洗浄操作を行うことによ
り、pH7程度まで洗浄する。洗浄操作終了後、バット
に移し、固形分を沈降させ、上澄液を除き、固液分離
し、110℃で乾燥させる。乾燥後、得られた粉体を、
窒素雰囲気の投入型回転式チューブ炉で650℃、2時
間熱処理し、冷却した。粉体は588nmにピークを有
し、反射率62%であり、レモンイエロー色の粉体6D
を得た。これは熱処理時間を長くすることにより酸化チ
タンがルチル(屈折率の高い酸化チタン)に結晶する割
合が増えたためと考えられる。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、製膜反
応溶媒として、pH一定条件の水系溶媒を用いると同時
に、膜被覆反応を超音波分散条件下で行うことにより、
基体として磁性体を用いた場合でも、膜被覆粉体同志が
凝集したり固着することがなく、液相中に固相のみを析
出させることもなく、好ましい膜厚制御ができる膜被覆
粉体を容易に製造することを可能とすることができた。
また、高価な化合物である金属アルコキシドや引火性の
高い有機溶媒を用いることなく、水を溶媒として用い、
製造施設も防爆設備を必要とせず、温度、湿度の管理も
容易であり、総合的に製品の価格も安価に得られる機能
性の高い、膜被覆粉体およびその製造方法を提供すると
いう効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 9/083 G03G 9/08 302 4K018 H01F 1/11 H01F 1/11 M 5E040 (72)発明者 新子 貴史 東京都西多摩郡日の出町平井字欠下2−1 日鉄鉱業株式会社内 (72)発明者 中塚 勝人 宮城県仙台市太白区茂庭台四丁目3番5の 1403号 Fターム(参考) 2H005 AA03 AB02 CB03 CB07 CB13 EA05 4G002 AA06 AB05 AE01 4G004 BA00 4G042 DB27 DD01 DE03 DE12 4G075 AA27 BD16 CA02 CA57 4K018 BB04 BC28 BC32 BC35 BD04 5E040 AB02 AB03 BC01 CA07 HB14 NN06

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体粒子の表面に膜を有する膜被覆粉体
    において、該膜の少なくとも1層が、水系溶媒中、超音
    波発振下にて、金属塩からの反応により形成されたもの
    であることを特徴とする膜被覆粉体。
  2. 【請求項2】 前記水系溶媒がpH一定条件であること
    を特徴とする請求項1記載の膜被覆粉体。
  3. 【請求項3】 前記基体粒子が磁性体であることを特徴
    とする請求項1記載の膜被覆粉体。
  4. 【請求項4】 前記磁性体からなる基体粒子の粒径が
    0.05〜10μmであることを特徴とする請求項1記
    載の膜被覆粉体。
  5. 【請求項5】 前記反応中に粉体が沈降しない程度に攪
    拌を行ったことを特徴とする請求項1記載の膜被覆粉
    体。
  6. 【請求項6】 前記水系溶媒に緩衝溶液が含まれること
    を特徴とする請求項1記載の膜被覆粉体。
  7. 【請求項7】 金属塩からの反応による前記膜の形成
    が、基体粒子を分散した水系溶媒中に、膜成分原料であ
    る金属塩の溶液を添加することにより行われたことを特
    徴とする請求項1記載の膜被覆粉体。
  8. 【請求項8】 金属塩からの反応による前記膜の形成中
    に、水系溶媒中で熱処理されたものであることを特徴と
    する請求項1記載の膜被覆粉体。
  9. 【請求項9】 金属塩からの反応による前記膜の形成後
    に、熱処理されたことを特徴とする請求項1記載の膜被
    覆粉体。
  10. 【請求項10】 金属塩からの反応により形成する前記
    膜の厚さが10nm〜10μmであることを特徴とする
    請求項1記載の膜被覆粉体。
  11. 【請求項11】 金属塩からの反応により形成する前記
    膜が複数であることを特徴とする請求項1記載の膜被覆
    粉体。
  12. 【請求項12】 基体粒子の表面に膜を形成する膜被覆
    粉体の製造方法において、該膜の少なくとも1層を、水
    系溶媒中、超音波発振下にて、金属塩からの反応により
    形成することを特徴とする膜被覆粉体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記水系溶媒がpH一定条件であるこ
    とを特徴とする請求項12記載の膜被覆粉体の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 前記基体粒子が磁性体であることを特
    徴とする請求項12記載の膜被覆粉体の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記磁性体からなる基体粒子の粒径が
    0.05〜10μmであることを特徴とする請求項12
    記載の膜被覆粉体の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記反応中に粉体が沈降しない程度に
    攪拌を行うことを特徴とする請求項12記載の膜被覆粉
    体の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記水系溶媒に緩衝溶液が含まれるこ
    とを特徴とする請求項12記載の膜被覆粉体の製造方
    法。
  18. 【請求項18】 金属塩からの反応による前記膜の形成
    が、基体粒子を分散した水系溶媒中に、膜成分原料であ
    る金属塩の溶液を添加することにより行うことを特徴と
    する請求項12記載の膜被覆粉体の製造方法。
  19. 【請求項19】 金属塩からの反応による前記膜の形成
    中に、水系溶媒中で熱処理することを特徴とする請求項
    12記載の膜被覆粉体の製造方法。
  20. 【請求項20】 金属塩からの反応による前記膜の形成
    後に、熱処理することを特徴とする請求項12記載の膜
    被覆粉体の製造方法。
  21. 【請求項21】 金属塩からの反応により形成する前記
    膜の厚さを10nm〜10μmとすることを特徴とする
    請求項12記載の膜被覆粉体の製造方法。
  22. 【請求項22】 金属塩からの反応により前記膜を複数
    形成することを特徴とする請求項12記載の膜被覆粉体
    の製造方法。
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