JP2000124492A - 半導体検出器 - Google Patents

半導体検出器

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JP2000124492A
JP2000124492A JP10316840A JP31684098A JP2000124492A JP 2000124492 A JP2000124492 A JP 2000124492A JP 10316840 A JP10316840 A JP 10316840A JP 31684098 A JP31684098 A JP 31684098A JP 2000124492 A JP2000124492 A JP 2000124492A
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rectifying
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semiconductor
radiation
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Kazuo Fushimi
和郎 伏見
Ichinaga Oono
壱永 大野
Shogo Kenmochi
省吾 賢持
Eiichi Watanabe
栄一 渡辺
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NIPPON DENSHI ENG
Jeol Engineering Co Ltd
DKK Corp
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NIPPON DENSHI ENG
Jeol Engineering Co Ltd
DKK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 静電容量が小さく、放射線測定における信号
対雑音比を向上させることが可能な半導体検出器を提供
する。 【解決手段】 N形半導体層101の第1の面にP+
102を形成する。また、第2の面におけるP+層10
2の外環部と対向する位置にもP+層103を形成す
る。また、第2の面の中心部に、P+層103と離隔し
てN+層104を形成する。P+層102,103とN+
層104との間に逆方向電圧を印加したとき、これによ
り半導体基板内に生じる空乏層中に放射線が入射した際
に発生する電子正孔対から放射線を検出する半導体検出
器を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線の測定を目
的とした半導体検出器、より詳しくは、静電容量が小さ
く、放射線測定における信号対雑音比を向上させること
が可能な半導体検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体検出器は整流性結合に逆方向電圧
を印加し、これにより生じた空乏層中に放射線が入射し
た際に発生した電子正孔対の数を外部に取り出す電荷の
形で計量するものが一般的である。 このような半導体
検出器としては、通常図5に示すいわゆる平行平板型の
ものが使用されている。図5において、N型半導体基板
1の一方の表面(第1の面)にはP+領域2が、これと
対向する他方の表面(第2の面)にはN+領域3が設け
られている。P+領域2とN+領域3は、半導体基板1よ
りも不純物を多量に添加されたもので、拡散やイオン注
入等種々の手段により形成されている。
【0003】P+領域2と半導体検出器1との間は整流
性接合部としてのP−N接合部4を形成しており、ab
間に逆方向電圧を印加すると空乏層領域がP−N接合部
4の両側に生成する。ここで5,6は、空乏層領域境界
で両境界の間は電子や正孔が欠乏した絶縁層である空乏
層となっている。この状態で空乏層領域に放射線が入る
と、放射線の入射エネルギーに比例して電子正孔対が発
生し、これに対応する電流が流れるので放射線の計測が
可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】半導体検出器を用いた
スペクトロメータでは、図6に示すように、検出器50
に発生した電子正孔対による電荷を、積分器である前置
増幅器51に収集して電圧信号に変換している。
【0005】前置増幅器51は、原理上図6に示すよう
に演算増幅器52と帰還容量53で構成されるものが通
常用いられる。高性能スベクトロメータでは、検出器5
0に起因する電流雑音は無視できる程度なので、演算増
幅器52においてこれを構成するFETに起因する雑音
電圧vnが増幅後の出力電圧にどの程度の影響を与える
かが問題となる。
【0006】出力電圧に対する雑音電圧vnの影響は、
数1、数2で説明されるように検出器50の静電容量が
大きいほど大きくなることが知られている。
【数1】vn=−{1/G+Cf/(Ci+Cf)}・vdn :雑音電圧 vd :雑音電圧vnに起因する出力電圧 G :演算増幅器52の増幅率 Cf :帰還容量53の静電容量 Ci :入力静電容量 増幅率Gは無限大と考えられる程度に大きいので、数1
は近似的に数2に置き換えられる。
【0007】
【数2】vd=−(1+Ci/Cf)・vn ここで、入力静電容量Ciは便宜上前置増幅器51に含
めて図示しているが、前置増幅器51における演算増幅
器52初段のFETの入力容量や、導入線の容量等の
他、検出器50の静電容量をも含めたものである。これ
らCiに含まれる静電容量の内、実質上検出器50の静
電容量が最も大きな比重を占めている。従って、検出器
50の静電容量が大きいほど、雑音電圧vnに起因する
出力電圧vdが大きくなることがわかる。
【0008】さらに、入力静電容量Ciに検出器50か
らの電子正孔対による電流の一部が流れ込むと、帰還容
量53の充電量が減少し出力電圧の減少を招くこととな
る。入力静電容量の充電量を小さくして、出力電圧を充
分得るためには、入力静電容量Ci、すなわち、検出器
50の静電容量を減少させることが必要である。
【0009】このように、検出器の静電容量を小さくす
ることは、信号対雑音比を向上させるために強く望まれ
ている。
【0010】半導体検出器の静電容量を考える上で基本
となるのは、数3に示すMaxwelの方程式の一つで
あるポアソン方程式である。
【数3】d2V/dx2+d2V/dy2+d2v/dz2
−Qv/ε V :空乏層内の任意の点における電位 Qv :その点の単位体積中に含まれる電荷 ε :半導体基板の誘電率 なお、N型半導体基板を用いた場合Qvは数4で与えら
れるものである。
【0011】
【数4】Qv=qNd q :電子の電荷 Nd :ドナー濃度 図5に示した平行平板型の検出器の場合、電極平面方向
についての空乏層の広がりを無限と仮定する。すると、
整流性接合部を原点とする空乏層の厚さ方向の距離xだ
けを考えれば良いので、数3は数5のように簡略化する
ことができる。
【0012】
【数5】d2V/dx2=−Qv/ε 数5を積分して正負を代えると、空乏層中の任意の点に
おける電界Eが数6に示す如く求められる。
【0013】
【数6】E=−dV/dx=(Qv/ε)x+Ei Lを空乏層の厚さとすると、空乏層の最終端の電界はゼ
ロになる。すなわち、x=LにおいてE=0の関係を数
6に代入すると、数7のようにEi(x=0における
E)とLとの関係が導かれる。
【0014】
【数7】Ei=−(Qv/ε)L したがって、数6は数8のようになる。
【0015】
【数8】 数8を更に積分すると、空乏層中の任意の点における電
位Vが数9に示す如く求められる。
【0016】
【数9】V=(Qv/ε)(x2/2−L・x)+Vi 空乏層の最終端の電位はゼロとなるので、数9にx=L
においてV=0の関係を代入すると、数10のように印
加電圧Vi(x=0におけるV)とLとの関係が導かれ
る。
【0017】
【数10】Vi=(Qv/ε)L2/2 したがって、数9は数11のようになる。
【0018】
【数11】 一方、電極の単位面積あたりの電荷QSは数12で与え
られる。
【0019】
【数12】QS=Qv・L そこで、電極の単位面積あたりの静電容量CSは数10
と数12より数13のようになる。
【0020】
【数13】 電極の面積をSとすると、検出器全体の静電容量C
Tは、数14となる。
【0021】
【数14】CT=S・ε/L 数14に数10の関係を入れて整理すると、数15が導
かれる。
【0022】
【数15】CT=S・(Qv・ε/2Vi1/2 したがって、静電容量CTは電圧Viに依存する非線形容
量で、Viを大きくすると小さくなる。しかし、Lが半
導体基板の厚さにまで達したときにCTは最小になり、
これ以上の改善は望めない。
【0023】本発明は上記事情に鑑み、静電容量が小さ
く、放射線測定における信号対雑音比を向上させること
が可能な半導体検出器を提供することを課題とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1に係る半導体検出器は、半導体基板に形成
された整流性接合部に逆方向電圧を印加し、これにより
半導体基板内に生じる空乏層中に放射線が入射したとき
に発生する電子正孔対から放射線を検出する半導体検出
器において、第1の面と第1の面に対向する第2の面と
を有する半導体基板と、第1の面に形成された第1の整
流性接合部と、第2の面における第1の整流性接合部の
外環部と対向する位置に形成された第2の整流性接合部
とを備え、第1の整流性接合部と第2の整流性接合部と
は、半導体基板に対して同一方向の整流作用を有するこ
とを特徴とする。
【0025】整流性接合はPN接合、表面障壁型接合、
またはこれらの組み合わせの何れの形態を採用してもよ
い。良く知られているようにPN接合とは、選択した不
純物を添加してN型又はP型となった半導体基板の表面
に、拡散ないしイオン注入等の種々の手段によって、半
導体基板と異なる電導形式の高濃度不純物層を設けたと
き、半導体基板と高濃度不純物層との境界にできる接合
である。また、表面障壁型接合とは、N型となった半導
体基板の表面に蒸着により金層を設けたとき、又はP型
となった半導体基板の表面に蒸着等によりアルミニウム
層を設けたとき等のように、半導体基板と金属層(以下
「表面障壁層」という。)との境界にできる接合であ
る。表面障壁層は、薄く形成することが可能で、放射線
の損失を低く抑えられるので、放射線の入射面に適して
いる。また、PN接合と表面障壁型接合との組み合わせ
とは、例えば、入射面は表面障壁型接合とし、その他の
整流性接合はPN接合で形成する場合等が考えられる。
この場合、両接合の境界部は、酸化シリコン等の絶縁層
で被覆することが望ましい。また、この場合、境界部に
おいて整流性接合が若干中断することとなりやすいが、
若干の中断があっても、実質的に連続していると考えら
れる状態であれば差し支えない。
【0026】第1の整流性接合部の形状には任意の形状
が採用できるが、円形等の対称性のある形状が望まし
い。第1の整流性接合部の外環部とは、第1の整流性接
合部の中心部を除いた部分である。第1の整流性接合部
の形状が円形であればその外環部の形状は略円環状とな
る。
【0027】第2の整流性接合部は、半導体基板を挟ん
で、上記の第1の整流性接合部の外環部と向かい合った
位置に形成される。換言すれば、第2の整流性接合部
は、第1の整流性接合部と半導体基板を挟んで向かい合
った位置の中心部を除いた部分に形成される。
【0028】なお、第1、第2の整流性接合部は、それ
ぞれ面として形成されるものである。しかし、上述のP
N接合と表面障壁型接合との境界部の例のように、製造
上の要請等により部分的に中断することは差し支えな
い。ただし、それぞれ、電界分布の連続性が、検出器全
体から見て近似的に保たれている範囲とする。
【0029】整流性接合部に逆方向電圧、つまり整流性
接合の電流が流れにくい方向の電圧を印加すると、整流
性接合部から空乏層が成長する。PN接合の場合は高濃
度不純物層側にも空乏層が生じる。しかし、ここに存在
する不純物濃度は半導体基板に存在する不純物濃度より
遙かに多いので、近似的に空乏層はもっぱら半導体基板
側に成長すると考えても良い。また、表面障壁型接合の
場合、表面障壁層は金属であるため、空乏層は半導体基
板側のみに成長する。
【0030】第1の整流性接合部と第2の整流性接合部
とは、半導体基板に対して同一方向の整流作用を有する
ので、各々の接合部に逆方向電圧を印加すると半導体基
板内部に対して同方向の電界が発生する。したがって、
第1の整流性接合部と第2の整流性接合部の双方から、
半導体基板内部を挟むように空乏層の成長が開始する。
なお、各々の逆方向電圧はほぼ同じ大きさとすることが
望ましい。
【0031】また、請求項2に係る半導体検出器は、半
導体基板に形成された整流性接合部に逆方向電圧を印加
し、これにより半導体基板内に生じる空乏層中に放射線
が入射したときに発生する電子正孔対から放射線を検出
する半導体検出器において、第1の面と第1の面に対向
する第2の面とを有する半導体基板と、第1の面から半
導体基板の側面を経て、第2の面における第1の整流性
接合部の外環部と対向する位置にまで及ぶ範囲に形成さ
れた整流性接合部とを備えることを特徴とする。
【0032】請求項2に係る半導体検出器は、第1の面
に形成された整流性接合部と、第2の面に形成された整
流性接合部とを、側面に形成した整流接合でつないで単
一の整流性接合部としたもので、請求項1に係る半導体
検出器の概念に含まれるものである。
【0033】この場合、逆方向電圧を印加すると、第1
の面の整流性接合部と第2の面の整流性接合部、及び側
面に形成された整流性接合部の三方から、半導体基板内
部を挟むように空乏層の成長が開始する。
【0034】請求項1及び請求項2において、逆方向電
圧は、直接的には半導体基板と接して整流性接合部を形
成する高不純物層又は表面障壁層と、第2の面の中心部
における整流性接合が形成されていない半導体基板の表
面との間に半導体基板を介して印加される。
【0035】この場合、半導体基板と接して整流性接合
部を形成する高不純物層又は表面障壁層の表面には、逆
方向電圧を印加するための電極が通常取り付けられる。
また、他方の整流性接合が形成されていない表面側に
は、直接導電体を接合して印加してもよいが、請求項3
に記載した如く、半導体基板と同一の電導形式である高
濃度不純物層を第2の面の中心部における整流性接合部
と離隔した位置に形成し、この同一形式高濃度不純物層
を介して、電圧を印加することができる。高濃度不純物
層は半導体基板に対して抵抗が低いので、これを介して
導線を接続することにより、接触抵抗を小さくすること
ができる。なお、この第2の面における高濃度不純物層
に接している面積は、印加電圧の大小にかかわらず空乏
化できないので、この高濃度不純物層はできるだけ小さ
い面積に形成することが望ましい。
【0036】請求項1から請求項3の半導体検出器によ
れば、空乏層が第一の面と第2の面の双方から成長する
ので、基板全体が容易に空乏化されて以下の実施形態に
示す如く、静電容量の小さい検出器が得られる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、図に沿って本発明の実施形
態を説明する。まず、図1の半導体検出器は中心線Aを
中心軸とする円盤状検出器である。図1では直径部分で
切断した断面図を右半分を省略して示している。なお、
図1の(a)(b)は、後述するように各々異なる印加
電圧を与えた場合を示し、(c)はそれらの比較を示す
ものである。図中、11は円盤状のN型半導体層、12
は円形のP+層、13はリング形のP+層、14は円形の
+層である。N型半導体層11とP+層12との接合面
15、N型半導体層11とP+層13との接合面16と
は、それぞれ整流性接合部を形成している。
【0038】接合面15と接合面16とは、N型半導体
層11を挟んで向かい合っている。また、N+層14は
接合面15の中心部と、N型半導体層11を挟んで向か
い合っている。
【0039】P+層12及びP+層13とN+層14との
間に接合面15と16についての逆方向電圧を印加する
と、印加電圧の大きさに応じてN型半導体層11内に空
乏層が成長し、非空乏層である領域11a,11eを残
して空乏化する。図中18は、後述する手法に基づいて
求めた等電位線である。
【0040】図2は、本発明に係る半導体検出器の他の
実施形態を示す断面図である。図2の半導体検出器も中
心線Bを中心軸とする円盤状検出器であり、右半分を省
略した直径部分における切断面を図示している。なお、
図2の(a)(b)は、後述するように各々異なる印加
電圧を与えた場合を示し、(c)はそれらの比較を示す
ものである。図中、21は円盤状のN型半導体層、22
はP+層、24は円形のN+層である。N型半導体層21
とP+層22との接合面25は、整流性接合部を形成し
ている。
【0041】接合面25は図の上方の面からN型半導体
層21を包み込むように下方の面の外環部にまで形成さ
れている。下方の面の外環部に形成されたリング形の接
合面25は上方の面に形成された円形の接合面25とN
型半導体層21を挟んで向かい合っている。また、N+
層24は上方の接合面25の中心部と、N型半導体層2
1を挟んで向かい合っている。
【0042】P+層22とN+層24との間に接合面25
についての逆方向電圧を印加すると、印加電圧の大きさ
に応じてN型半導体層21内に空乏層が成長し、非空乏
層である領域21a,21eを残して空乏化する。図中
28は等電位線である。
【0043】図3は、比較例として、従来技術に係る平
行平板型の半導体検出器である。図3の半導体検出器も
中心線Cを中心軸とする円盤状検出器であり、右半分を
省略した直径部分における切断面を図示している。な
お、図3の(a)(b)は、後述するように各々異なる
印加電圧を与えた場合を示し、(c)はそれらの比較を
示すものである。図中、31は円盤状のN型半導体層、
32は円形のP+層、34は円形のN+層である。N型半
導体層31とP+層32との接合面35は、整流性接合
部を形成している。N+層34は接合面35と、N型半
導体層31を挟んで向かい合っている。
【0044】P+層32とN+層34との間に接合面35
についての逆方向電圧を印加すると、印加電圧の大きさ
に応じてN型半導体層31内に空乏層が成長し、非空乏
層である領域31a,31eを残して空乏化する。図中
38は等電位線である。
【0045】ここで、図1から図3の半導体検出器の静
電容量を比較する。一般に静電容量Cの式としてC=Q
/VP(Q:電荷,VP:印加電圧)が知られている。し
かし、この式は印加電圧の値によって静電容量が変化し
ない線形容量の場合のみに当てはまる式である。図1か
ら図3のように非線形容量の場合、静電容量Cは上記式
の一般式である数16で示される。
【0046】
【数16】C=dQ/dVPここで、電荷Qは印加電圧
をかけたときに検出器全体の空乏層に存在する電荷なの
で、空乏層内の不純物濃度が均一であるとするとQは空
乏層の体積Rに比例する。したがって、数16は数17
のように表すことができる。
【0047】
【数17】C=k・dR/dVP k :比例定数 数17より、図1から図3のそれぞれの体積が、一定量
のVPの変化に対してどれだけ変化するかを比較すれ
ば、静電容量の大きさの比較ができることがわかる。
【0048】空乏層の体積の変化は、非空乏層の体積の
変化として捉えられる。非空乏層は導電体と同等に作用
しその電位はゼロである。そこで、非空乏層の領域を知
るために、各検出器内の電位分布を以下の考え方に基づ
きコンピュータシミュレーションにより求めることを行
った。
【0049】ある点(a,b)における電位は、以下の
ようにテイラー展開を用いて周囲の4点の電位から求め
られる。説明のため、まず一次元の場合について考え
る。電位Vのa点でのテイラー展開は数18のようにな
る。
【0050】
【数18】V(x)=V(a)+dV/dx(x−a)+1
/2!・d2V/dx2(x−a)2+…… 数18より、a点の周りのx=a±x0における電位
は、数19、20のようになり、数19、20より数2
1が導かれる。
【0051】
【数19】V(a+x0)=V(a)+dV/dx(x0)+
1/2!・d2V/dx2(x02+……
【数20】V(a−x0)=V(a)−dV/dx(x0)+
1/2!・d2V/dx2(x02+……
【数21】V(a)=1/2{V(a+x0)+V(a
−x0)−d2V/dx2(x02} 前述の数5に示した一次元におけるポアソン方程式を代
入すると、数21は数22のように書き換えられる。
【0052】
【数22】V(a)=1/2{V(a+x0)+V(a
−x0)+Qv/ε(x02} 同様に、二次元の場合、点(a,b)の周りの(a+x
0,b+y0),(a+x0,b−y0),(a−x0,b
+y0),(a−x0,b−y0)の4点を考えると、数
23が成立する。
【0053】
【数23】 二次元についてのポアソン方程式(数24)を代入する
と数23は数25のように書き換えられる。
【0054】
【数24】d2V/dx2+d2V/dy2=−Qv/ε
【数25】 ここで、VO=−1/4・Qv/ε{(x02
(y02}なる単位電圧を考え、V(x,y)がこの単
位電圧の何倍になっているかをV'(x,y)で示す
と、数25は数26のように書き換えられる。
【0055】
【数26】 すなわち、電位分布を求めようとする検出器の面にx0
=y0の関係にあるx0,y0のメッシュを描くと、その
中の(a,b)なる点の電位(単位電圧:VO)は、周
囲の4点の電位の平均から1を引くという操作で求めら
れる。そこで、初期条件として整流性接合部の電位を印
加電圧、それ以外の箇所の電位はすべてゼロとおいて上
記の操作を繰り返していくと、検出器全体の電位分布が
求められる。なお、以下の説明における電位は、すべて
上記VOを単位とする整数で扱うものとする。また、長
さはすべてx0を単位とする整数で扱うものとする。
【0056】図1において、18は上記のコンピュータ
シミュレーションにより求めた等電位線である。図1
(a)において与えた条件は、印加電圧VP'=900、
X1=64、X2=32、X3=5、Y1=32であ
る。等電位線18で区切られた領域11aはV'=0、
領域11bはV'=1〜63、領域11cはV'=64〜
127、領域11dはV'=128〜191の範囲であ
る。以後接合面15、16に向かって64刻みで等電位
線18が引かれており、接合面15、16ではV'=9
00である。ここでは、領域11aが非空乏層である。
【0057】図1(b)において与えた条件は、印加電
圧VP'=1000とした以外は図1(a)と同じであ
る。等電位線18で区切られた領域11eはV'=0、
領域11fはV'=1〜63、領域11gはV'=64〜
127、領域11hはV'=128〜191の範囲であ
る。以後接合面15、16に向かって64刻みで等電位
線18が引かれており、接合面15、16ではV'=1
000である。ここでは、領域11eが非空乏層であ
る。
【0058】図1(c)における11αは、図1(a)
の領域11aと(b)の領域11eとの差領域を求めた
ものである。差領域11αの体積は、490.1であっ
た。
【0059】図2において、28は図1と同様に求めた
等電位線である。図2(a)において与えた条件は、印
加電圧VP'=900、X4=64、X5=32、X6=
5、Y2=32である。等電位線28で区切られた領域
21aはV'=0、領域21bはV'=1〜63、領域2
1cはV'=64〜127、領域21dはV'=128〜
191の範囲である。以後接合面25に向かって64刻
みで等電位線28が引かれており、接合面25ではV'
=900である。ここでは、領域21aが非空乏層であ
る。
【0060】図2(b)において与えた条件は、印加電
圧VP'=1000とした以外は図2(a)と同じであ
る。等電位線28で区切られた領域21eはV'=0、
領域21fはV'=1〜63、領域21gはV'=64〜
127、領域21hはV'=128〜191の範囲であ
る。以後接合面25に向かって64刻みで等電位線28
が引かれており、接合面25ではV'=1000であ
る。ここでは、領域21eが非空乏層である。
【0061】図2(c)における21βは、図2(a)
の領域21aと(b)の領域21eとの差領域を求めた
ものである。差領域21βの体積は、490.1であっ
た。
【0062】図3における38も、図1と同様に求めた
等電位線である。図3(a)において与えた条件は、印
加電圧VP'=1400、X6=64、X7=48、X8
=48、Y6=32の範囲である。等電位線38で区切
られた領域31aはV'=0、領域31bはV'=1〜6
3、領域31cはV'=64〜127、領域31dはV'
=128〜191である。以後接合面35に向かって6
4刻みで等電位線38が引かれており、接合面35では
V'=1400である。ここでは、領域31aが非空乏
層である。
【0063】図3(b)において与えた条件は、印加電
圧VP'=1500とした以外は図3(a)と同じであ
る。等電位線38で区切られた領域31eはV'=0、
領域31fはV'=1〜63、領域31gはV'=64〜
127、領域31hはV'=128〜191の範囲であ
る。以後接合面35に向かって64刻みで等電位線38
が引かれており、接合面35ではV'=1500であ
る。ここでは、領域31eが非空乏層である。
【0064】図3(c)における31γは、図3(a)
の領域31aと(b)の領域31eとの差領域を求めた
ものである。差領域31γの体積は、14105.3で
あった。
【0065】また、等電位線の図示を省略するが、図3
と同じ検出器において印加電圧を図1と図2と同じ条件
のVP'=900,VP'=1000とした場合、非空乏層
の差領域の体積は、15933.7であった。
【0066】以上のように、図1から図3では(a)と
(b)の印加電圧の差がいずれも100であるのに対し
て、対応する非空乏層の体積の変化は、図1、図2にお
ける値が図3における値より遙かに小さい。このこと
は、図1、図2の各実施形態を採用した場合、従来技術
に係る図3の平行平板型検出器より遙かに小さい静電容
量とできることを示すものである。
【0067】なお、本実施形態では、N型半導体層とP
+層による整流性接合を例にとって説明を行ったが、P
型半導体層とN+層によるPN接合や表面障壁型接合で
あっても同等の結果が得られることは明らかである。
【0068】
【実施例】図4は、本発明に係る半導体検出器の一実施
例を示す正面断面図である。図中、101は円盤状のN
型半導体層、102はN型半導体層101の一面側中央
に拡散により形成された円形のP+層、103はN型半
導体層101の他の一面側に拡散によりリング状に形成
されたP+層、104はN型半導体層101のP+層10
3と同一の面側に同じく拡散により形成されたN+層で
ある。N型半導体層101とP+層102との接合面1
05は円形の、N型半導体層101とP+層103との
接合面106とはリング状の、整流性接合部をそれぞれ
形成している。
【0069】接合面105と接合面106とは、N型半
導体層101を挟んで向かい合っている。また、N+
104は接合面105の中心部と、N型半導体層101
を挟んで向かい合っている。
【0070】P+層102、P+層103、N+層104
の表面にはそれぞれアルミニウム製の電極部111,1
12,113が蒸着により形成されている。また、これ
らの電極部を互いに絶縁すると共に、接合面の露出を防
ぐために、酸化シリコンの絶縁層121が形成されてい
る。また、電極部111,112と、電極部113との
間、すなわち、図中のIとIIの間には接合面105と
106についての逆方向電圧を印加するための電源(図
示せず)が設けられている。
【0071】接合面105と106についての逆方向電
圧を印加すると、印加電圧の大きさに応じてN型半導体
層101内に接合面105と接合面106の双方から空
乏層が成長し、印加電圧の大きさを充分にとればN+
104のごく近傍を除いて空乏化する。空乏層は絶縁層
となっているが、この状態において電極部111等から
放射線が入射すると空乏層内に電子正孔対が発生し、こ
の発生した電子正孔対の分だけIとIIの間に電流が流
れる。これを前述の図6に原理を示す前置増幅器によっ
て増幅して放射線が計測される。
【0072】なお、本実施例においては、半導体基板1
01をN型として説明したが、これをP型とし、P+
102と103の電導形式をN+型に、N+層104をP
+型に替えても差し支えないことは勿論である。
【0073】
【発明の効果】本発明による半導体検出器によれば、静
電容量を小さくすることができるので、放射線測定にお
ける信号対雑音比を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体検出器の一実施形態を示す
断面図である。
【図2】本発明に係る半導体検出器の他の実施形態を示
す断面図である。
【図3】比較例に係る半導体検出器を示す断面図であ
る。
【図4】本発明に係る半導体検出器の一実施例を示す正
面断面図である。
【図5】従来例に係る半導体検出器の構成図である。
【図6】前置増幅器を示す説明図である。
【符号の説明】
1 N型半導体基板 2 P+領域 3 N+領域 4 P−N接合部 11,21,31,101 N型半
導体層 12,13,22,32,102,103 P+層 14,24,34,104 N+層 15,16,25,35,105,106 接合面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 賢持 省吾 東京都武蔵野市吉祥寺北町4丁目13番14号 電気化学計器株式会社内 (72)発明者 渡辺 栄一 東京都昭島市武蔵野三丁目1番2号 日本 電子エンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 5F088 AA02 BA03 BB06 DA01 KA02 LA07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板に形成された整流性接合部に
    逆方向電圧を印加し、これにより半導体基板内に生じる
    空乏層中に放射線が入射したときに発生する電子正孔対
    から放射線を検出する半導体検出器において、第1の面
    と第1の面に対向する第2の面とを有する半導体基板
    と、第1の面に形成された第1の整流性接合部と、第2
    の面における第1の整流性接合部の外環部と対向する位
    置に形成された第2の整流性接合部とを備え、第1の整
    流性接合部と第2の整流性接合部とは、半導体基板に対
    して同一方向の整流作用を有することを特徴とする半導
    体検出器。
  2. 【請求項2】 半導体基板に形成された整流性接合部に
    逆方向電圧を印加し、これにより半導体基板内に生じる
    空乏層中に放射線が入射したときに発生する電子正孔対
    から放射線を検出する半導体検出器において、第1の面
    と第1の面に対向する第2の面とを有する半導体基板
    と、第1の面から半導体基板の側面を経て、第2の面に
    おける第1の整流性接合部の外環部と対向する位置にま
    で及ぶ範囲に形成された整流性接合部とを備えることを
    特徴とする半導体検出器。
  3. 【請求項3】 第2の面の中心部における整流性接合部
    と離隔した位置に、半導体基板と同一の電導形式である
    高濃度不純物層が形成されていること特徴とする請求項
    1又は請求項2に記載の半導体検出器。
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US8928101B2 (en) 2010-10-06 2015-01-06 Lapis Semiconductor Co., Ltd. Semiconductor device

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