JP2000123772A - 電子線装置における試料像表示方法および電子線装置 - Google Patents

電子線装置における試料像表示方法および電子線装置

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JP2000123772A JP10289163A JP28916398A JP2000123772A JP 2000123772 A JP2000123772 A JP 2000123772A JP 10289163 A JP10289163 A JP 10289163A JP 28916398 A JP28916398 A JP 28916398A JP 2000123772 A JP2000123772 A JP 2000123772A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間で、半導体や多結晶金属などの明瞭な
コントラストのついた像を得ることができる電子線装置
を提供すること。 【解決手段】 表示制御手段11は設定分析エネルギー
0、E1を決めると、電子線が試料上で走査されるよう
に偏向信号発生手段13を制御すると共に、電子分光器
10の分析エネルギーが前記E0、E1に設定されるよう
に分析エネルギー設定手段12を制御する。この制御に
より、各画素ごとにエネルギーE0、E1を有する2次電
子が電子分光器10で検出される。表示制御手段11
は、予め決められた規則にしたがって各画素における像
信号を作成し、試料の2次電子像を表示手段15に表示
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、電子線を試料に
照射し、その電子線照射により試料から放出される信号
を検出して試料像を表示する電子線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】 組成がほとんど同一で微量に含まれる
不純物の濃度や種類が違うもの(たとえば半導体にドー
ピングされた不純物の濃度に勾配や分布があるものや、
pn接合部のように不純物の種類が場所によって異なっ
ているもの)、あるいは金属の多結晶のように組成は全
く同じで場所によって面方位が異なるだけのものなどに
対して、通常の光学顕微鏡あるいは走査電子顕微鏡では
像上でコントラストの違いがほとんど生じない。
【0003】このような試料に対して明瞭なコントラス
トのついた像を得るために、走査型オージェ電子分光装
置を利用した技術がある。
【0004】この技術について説明すると、半導体の場
合には不純物の種類や濃度によって禁制帯中のフェルミ
準位の位置が違うため、それに応じて電子分光器の真空
準位から見たオージェ電子のエネルギーが違ってくる。
そこで、このような試料に対しては、走査型オージェ電
子分光装置を利用し、不純物の種類や濃度によって異な
るオージェ電子ピークのエネルギー位置を検出してこれ
を画像化している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、この
ような技術は、多結晶金属の場合のように面方位が異な
るだけでオージェ電子のエネルギーに変化がないものに
対しては利用できない。
【0006】また、この技術は、画像の収集に時間がか
かるという実用上の欠点がある。画像収集に時間がかか
るのは、オージェ電子ピークは高いバックグランドの上
に乗っているため信号のSN比が悪いことと、オージェ
電子ピークが比較的ブロードなためにピーク位置がシフ
トしていても特定のエネルギーでの電子強度にはあまり
大きな違いがないことが最大の原因である。その他に、
画像の輝度情報を得るために各々の画素ごとにオージェ
電子のピーク位置近傍のスペクトルを収集しなければな
らないことと、ピークフィッティングなどのアルゴリズ
ムを用いてピーク位置を決定するための演算が必要にな
ることなどが挙げられる。このために、ある程度実用的
な面分解能を持つ画像(画素数128×128)を一枚
得るのに、少なくとも1時間程度の収集時間を必要とす
る。
【0007】本発明はこのような点に鑑みて成されたも
ので、その目的は、従来よりも短い時間で、半導体や多
結晶金属などの明瞭なコントラストのついた像を得るこ
とができる試料像表示方法および電子線装置を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】 この目的を達成する本
発明の電子線装置における試料像表示方法は、試料上の
複数の点に電子線を照射し、その電子線照射により試料
から放出される2次電子を検出して各点におけるエネル
ギースペクトルを得、そのエネルギースペクトルの中か
ら2次電子が出現するエネルギーが最も低いスペクトル
Lを選択して、その選択したスペクトルLにおける2次
電子が出現するエネルギーEonset(L)と、前記エネ
ルギースペクトルの中から2次電子が出現するエネルギ
ーが最も高いスペクトルHを選択して、その選択したス
ペクトルHにおける2次電子が出現するエネルギーEon
set(H)と、前記Eonset(L)と前記スペクトルLの
ピーク位置エネルギーとの間でできるだけピーク位置に
近くてかつスペクトルの直線性が保たれているところの
エネルギーE0と、そのエネルギーE0と前記Eonset
(L)との間のエネルギー幅Ew(=E0−Eonset
(L))と、前記スペクトルLのエネルギーE0におけ
る2次電子強度Ioをそれぞれ求め、前記E0がE0≧Eo
nset(H)ならば、電子分光器の設定分析エネルギーを
0だけに決め、一方、E0≧Eonset(H)でないなら
ば、前記E0に加えてE1=E0+Ewを電子分光器の設定
分析エネルギーとして決め、さらに、E1≧Eonset
(H)でないならば、前記E0,E1に加えてE2=E0
2Ewを電子分光器の設定分析エネルギーとして決め、
以後同様にしてn+1個の設定分析エネルギーEn=E0
+n×Ew(n=0,1,2,…)を決め、このようにし
て電子分光器の設定分析エネルギーEnが決まると、電
子線を試料上の各画素に照射すると共に、電子分光器の
分析エネルギーをその求めたn+1個のEnに順次設定
して、試料上の各画素ごとに各エネルギーEnにおける
2次電子強度I(n)を検出し、前記n=0の場合、す
なわち、設定分析エネルギーがE0だけの時には、検出
した2次電子強度信号を像信号に変換して試料像を表示
する一方、前記n≠0の場合、以下のの規則にした
がって各画素における2次電子強度信号を選定し、k
×Ioよりも強度の大きい2次電子強度信号を捨てる
(kは係数)強度がk×Ioに等しいか、またはそれ
より小さい2次電子強度信号が複数ある場合には、その
中で最も強度が大きい2次電子強度信号を選ぶ選定した
2次電子強度信号の前記nの値とその電子強度I(n)
とからパラメータS’=I(n)−n×Ioを算出し、
算出したパラメータに基づいて像信号を作成して試料像
を表示することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】 まず、本発明の思想について述
べる。
【0010】固体試料の表面に電子線を照射すると、図
1に示すようなエネルギー分布を持った電子が発生す
る。このうちの最も低エネルギー側の大きな強度を有す
る部分は「真の2次電子」又は略して単に「2次電子」
と呼ばれている。
【0011】図2は、図1の2次電子の最も低エネルギ
ー側の部分を拡大したものである。ここで、2次電子が
出現するエネルギーをEonsetとすると、Eonsetを越え
たところから2次電子強度が急激に増加する。このEon
setは、固体試料の仕事関数Φs、2次電子を検出する電
子分光器の仕事関数Φsm、およびEbによって決まり、
Eonset=Eb+Φs−Φsmで与えられる。EbはEb=e
Vbで、eは電気素量(1.6×10-19C)、Vbは試
料に印加される負のバイアス電圧の絶対値であり、ま
た、電子分光器は真空準位(分光器最表面の電位)を基
準にして調整されているものとする。なお、図2は、電
子分光器の真空準位を座標原点にとって表示されてい
る。
【0012】さて、2次電子の出現する付近のスペクト
ルは、たとえばp型半導体で場所によって不純物濃度が
異なる場合を例に取ると、図3のようになる。図3にお
いて、Hは不純物濃度が相対的に高い部分のスペクトル
を表し、Lは不純物濃度が低い部分のスペクトルを表
し、Mはそれらの中間のものを表しており、2次電子の
出現位置は試料の仕事関数の違いによって異なってい
る。いずれのスペクトルも、2次電子出現部分から急激
な立ち上がりがあり、ピークを経てから2次電子強度は
減少している。試料表面の凹凸が激しいなどの事情がな
い限り、通常の試料では、これらのスペクトルは立ち上
がり部分がシフトしているだけでその形状は同じであ
る。
【0013】本発明では、このような、試料の仕事関数
の違いによって起こるスペクトルのシフトに着目し、通
常の2次電子像で明瞭に現れないコントラストを得よう
とするものである。すなわち、本発明では、電子分光器
の分析エネルギーをたとえば図3中のE0に設定してお
き、電子線を試料面上で走査するのに同期させながら電
子分光器の検出値を輝度情報に置き換えて画像を収集し
ていく。
【0014】なお、Φs≧Φsmが成り立っている場合に
は原理的にはVb=0でもよく、その場合にはバイアス
電圧印加装置は不要となるが、通常、分光器の仕事関数
は試料の仕事関数に比べてさほど小さい値ではなく、む
しろ逆になる場合も考えられるから、実用的にはバイア
ス電圧印加装置は必須となる。また、試料にバイアス電
圧を印加する代わりに、分光器全体に逆極性のバイアス
を印加しても同じ結果となるが、実用的には前者の方が
実現が容易な場合が多い。
【0015】以上、本発明の思想について述べたが、以
下に本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【0016】図4は、本発明の電子線装置の一例を示し
た図である。
【0017】図4において1は鏡筒で、鏡筒1の内部に
は、電子銃2と集束レンズ3と偏向器4が配置されてい
る。電子銃2から放出された電子線は、集束レンズ3で
集束された後に偏向器4で偏向され、その結果、細く絞
られた電子線は、試料室5内に配置された試料6上で走
査される。この試料6は、組成がほとんど同一で微量に
含まれる不純物の濃度が場所によって異なるものであ
る。また、試料6は、試料ステージ7の上に載置されて
おり、試料6には、バイアス電圧印加装置8により負の
バイアス電圧が印加されるように構成されている。
【0018】前記試料室5の内部には2次電子検出器9
と、たとえば静電半球型エネルギーアナライザのような
電子分光器10が配置されており、それらの検出信号は
表示制御手段11に送られる。前記電子分光器10の分
析エネルギーは分析エネルギー設定手段12により設定
され、この分析エネルギー設定手段12は前記表示制御
手段11により制御される。
【0019】図中13は、前記偏向器4に偏向信号を供
給する偏向信号発生手段であり、この偏向信号発生手段
13は前記表示制御手段11により制御される。また、
14は入力手段、15は表示手段であり、それらは何れ
も前記表示制御手段11に接続されている。
【0020】16は、前記試料室5を超高真空に排気す
るための排気装置である。17は、試料面を清浄化する
ためのイオンエッチング装置である。以上、図4の電子
線装置の構成について説明したが、以下に、この装置の
動作説明を行う。
【0021】まず、オペレータは、入力手段14に、2
次電子検出器9を用いた2次電子像取得の指示入力を行
う。この入力が行われると、表示制御手段11は偏向信
号発生手段13を制御し、偏向信号発生手段13は、電
子線を試料上で2次元的に走査させるための偏向信号を
偏向器4に送る。この結果、電子線は試料上で2次元的
に走査される。
【0022】この電子線照射により試料6から2次電子
が放出されるが、その2次電子は2次電子検出器9によ
り検出され、検出された信号は表示制御手段11に送ら
れる。表示制御手段11は、送られてくる検出信号に基
づき、試料6の2次電子像を表示手段15に表示させ
る。
【0023】上述したように、試料6は、組成がほとん
ど同一で微量に含まれる不純物の濃度が場所によって異
なるものであるために、表示手段15に表示される2次
電子像には、その濃度の違いがコントラストの違いとし
て明瞭に現れない。そこで、オペレータは、その2次電
子像を見ながら、その視野の範囲内の何点かの代表点を
前記入力手段14により選択する。この選択の際、オペ
レータは、最も低エネルギー側と最も高エネルギー側に
2次電子が現れると予想する点を含むように代表点を選
択する。
【0024】このようにして試料上の代表点が選択され
ると、前記表示制御手段11は偏向信号発生手段13を
制御し、偏向信号発生手段13は、電子線をその代表点
に順次照射するための偏向信号を偏向器4に送る。ま
た、表示制御手段11は分析エネルギー設定手段12を
制御し、分析エネルギー設定手段12は、電子線が各代
表点に照射される毎に、電子分光器10の分析エネルギ
ーをある範囲内において連続的に変化(掃引)させる。
上述したように、電子分光器10の検出信号は表示制御
手段11に送られており、表示制御手段11は、その送
られてくる信号に基づき各代表点におけるスペクトルを
得る。図5は、そのスペクトルを示したものであり、こ
の場合、4つの代表点が選択されたために4本のスペク
トルが得られる。
【0025】そして、表示制御手段11は、各スペクト
ルに対して、オペレータによってあらかじめ決められた
電子強度Iaが得られた分光エネルギーの値を求め、そ
のエネルギー値が最小のスペクトルLと最大のスペクト
ルHを選ぶ。このようにして、表示制御手段11はスペ
クトルLとスペクトルHを選ぶと、次に、表示制御手段
11は、図6に示すように、スペクトルLとHの2次電
子の立ち上がり部分を拡大して表示手段15に表示させ
る。オペレータは、それらのスペクトルから、2次電子
の立ち上がりが曲線から直線に移行するところのエネル
ギー値Eonset(L)とEonset(H)をそれぞれ入力手
段14を用いて指定する。
【0026】このような指定が行われると、表示制御手
段11は、図7に示すように、スペクトルLとスペクト
ルHを表示手段15に表示させる。そして、オペレータ
は、そのスペクトルから、前記Eonset(L)とスペク
トルLのピーク位置との間でできるだけピーク位置に近
くてかつスペクトルの直線性が保たれているところのエ
ネルギーE0を、入力手段14を用いて選ぶ。なお、こ
の時の電子強度をIoとする。
【0027】エネルギーE0の選択が行われると、前記
表示制御手段11は、エネルギーE0とEonset(L)と
の間のエネルギー幅Ew(=E0−Eonset(L))を求
める。そして、表示制御手段11は、後述する電子分光
器10を用いた2次電子像取得の際に、電子分光器10
に設定する分析エネルギーを求める。その求め方につい
て説明すると、表示制御手段11は、Eonset(H)≦
0の条件が満たされていれば、その設定分析エネルギ
ーをE0ひとつだけとする。そして、表示制御手段11
は、この条件が満足されていない場合には、E0に加え
て、新たにE1をE0よりもEwだけ高エネルギー側に決
める。すなわち、E1=E0+Ewとする。
【0028】そして、表示制御手段11は、Eonset
(H)≦E1の条件が満たされていなければ、さらにEw
だけ増やした位置にE2を決める。同様にしてn+1個
のEn=E0+n×Ew(n=0,1,…)を決める。こ
のnの数は、2次電子立ち上がり部分の勾配と視野内の
各代表点でのその立ち上がり位置の最大値と最小値との
差によって決まり、nの数は試料中に含まれる不純物の
濃度や種類に依存する。大抵の場合はnは0ないし1で
ある。つまり、設定する分析エネルギーは、普通は1個
か2個である。図7の場合、設定する分析エネルギーは
01つだけであり、n=0である。図8では、設定す
る分析エネルギーはE0とE1の2個であり、n=1であ
る。
【0029】まず最初に、図7に示すように電子分光器
の分析エネルギーをE0に設定して2次電子像を取得す
る場合(上記n=0の場合)について説明する。
【0030】表示制御手段11は設定分析エネルギーE
0を決めると、表示制御手段11は、電子分光器10を
用いた2次電子像取得の制御を行う。すなわち、表示制
御手段11は、電子線が試料上で2次元的に走査される
ように偏向信号発生手段13を制御すると共に、電子分
光器10の分析エネルギーが前記E0に設定されるよう
に分析エネルギー設定手段12を制御する。この制御に
より、電子線は試料6上で2次元的に走査され、試料か
ら放出される2次電子のうち、エネルギーE0を有する
2次電子のみが電子分光器10で検出される。そして、
電子分光器10の検出信号(電子強度データ)は表示制
御手段11に送られる。
【0031】このようにして、各画素ごとに1個の電子
強度データIが得られると、表示制御手段11は、各画
素ごとに、電子強度IからパラメータS’を算出する。
算出式はS’=Iである。
【0032】次に、表示制御手段11は、算出したパラ
メータS’の中から最大値S’maxと最小値をS’minを
求め、次式(1)、(2)の一方を用いて各画素ごとに
Sを求める。どちらの式を使うかはオペレータにより決
定される。
【0033】S=S’max−S’ (1) S=S’−S’min (2) (1)式が用いられたときには、電子強度が最大のデー
タがゼロに変換され、一方、(2)式が用いられたとき
には、電子強度が最小のデータがゼロになるように全体
のデータ値がシフトされる。
【0034】表示制御手段11は、このようにして各画
素ごとにSを求めると、Sを表示可能な階調、たとえば
128階調に割り振り、試料6の2次電子像を表示手段
15に表示させる。上記(1)式が用いられた場合は、
仕事関数の大小がそのまま画像の輝度に反映され、仕事
関数の値が大きい方が輝度が高くなる。一方、(2)式
が用いられるとこれが逆になる。
【0035】たとえば、n型半導体の場合には不純物濃
度が高いほど仕事関数が小さくなり、p型の場合はその
逆であるから、n型では(1)式を、p型では(2)式
を用いれば濃度を直感的に反映した画像が得られる。以
上、電子分光器10の分析エネルギーをE0だけに設定
して2次電子像を取得する場合について説明した。次
に、試料中の不純物濃度の差が大きくて試料の仕事関数
の差が大きいために、図8に示すように、電子分光器1
0の分析エネルギーをE0とE1の2つに設定して2次電
子像を取得する場合(上記n=1の場合)について説明
する。
【0036】表示制御手段11は、このように設定分析
エネルギーE0とE1を決めると、電子線が試料上でhori
zontal(またはvertical)の1本のライン上に走査され
るように偏向信号発生手段13を制御すると共に、まず
電子分光器10の分析エネルギーがE0に設定されるよ
うに分析エネルギー設定手段12を制御する。この制御
により、電子線は試料6上で走査され、試料から放出さ
れる2次電子のうち、エネルギーE0を有する2次電子
のみが電子分光器10で検出される。そして、電子分光
器10の検出信号である電子強度データは表示制御手段
11に送られる。
【0037】分析エネルギーE0での電子強度データの
取得が終わると、表示制御手段11は、電子線が試料上
で先に述べた1本のライン上に走査されるように偏向信
号発生手段13を制御すると共に、電子分光器10の分
析エネルギーがE1に設定されるように分析エネルギー
設定手段12を制御する。この制御により、電子線は試
料6上で走査され、試料から放出される2次電子のう
ち、エネルギーE1を有する2次電子のみが電子分光器
10で検出される。そして、電子分光器10の検出信号
である電子強度データは表示制御手段11に送られる。
次にvertical(またはhorizontal)の位置を移動して同
様の動作を行う。
【0038】このようにして、各画素ごとに2個の電子
強度データが得られると、表示制御手段11は、以下の
規則によって各画素ごとに採用すべき電子強度データを
選定する。すなわち、 k×Ioよりも強度の大きい電子強度データを捨て
る。なお、kは信号のノイズレベルなどを考慮して決め
られる係数で、たとえば1.1程度である。 強度がk×Ioに等しいか、またはそれより小さい電
子強度データが複数ある場合には、その中で最も強度が
大きい電子強度データを選ぶ。
【0039】たとえば、図8のSに示すようなスペクト
ルが得られる画素に電子線を照射した場合、分析エネル
ギーE0においては電子強度I(o)の信号が得られ、分
析エネルギーE1においては電子強度I(1)の信号が得
られるが、この場合、前記にしたがって電子強度I
(1)の信号が選定される。また、図8において、電子
強度I’(1)を有する信号は、前記にしたがって捨
てられる。
【0040】次に、表示制御手段11は、各画素ごと
に、選択された電子強度データのnの値(この場合、n
は0または1)と電子強度I(n)とからパラメータ
S’を算出する。算出式はS’=I(n)−n×Ioで
ある。これは、S’の最大値をI0として、すべての
S’を2次電子の出現位置に対応させて並べることを意
味する。2次電子が高エネルギー側から出現するほど
S’の値は小さくなり、負の値となることもある。
【0041】次に、表示制御手段11は、算出したパラ
メータS’の中から最大値S’maxと最小値をS’minを
求め、前記式(1)、(2)の一方を用いて各画素ごと
にSを求める。表示制御手段11は、このようにして各
画素ごとにSを求めると、Sを表示可能な階調、たとえ
ば128階調に割り振り、試料6の2次電子像を表示手
段15に表示させる。
【0042】以上のようにして、試料中の不純物濃度の
差が大きい場合でも、濃度の違いを反映した明瞭なコン
トラストの2次電子像を短時間で得ることができる。
【0043】以上、組成がほとんど同一で微量に含まれ
る不純物の濃度に違いがある試料を例にあげて説明した
が、不純物の種類が違うものや、組成は全く同じで場所
によって面方位が異なる試料などに対して本発明を適用
しても、不純物の種類の違いや面方位の違いを反映した
明瞭なコントラストの像を得ることができる。
【0044】また、2次元の画像の代わりに視野内の特
定の線に沿って上記と同様な手順でSを測定し、これを
線の各点に対応させてその強度を表示すればラインプロ
ファイルが得られる。
【0045】また、エネルギー分析器の制御電源の応答
性の関係から、画像のhorizontalまたはverticalのどち
らかの一本のライン上に電子線を走査しながら、一回の
走査で一つのエネルギーについて強度データを収集する
のが一般的であるが、各画素ごとに各エネルギーでの強
度を測定することも可能である。この際、エネルギー値
を変更したときに電源系の応答遅れを待つための時間が
必要である。
【0046】また、集束イオンビーム装置を備えていれ
ば、ICの断面をその場で作成し、pn接合部分の観察
も可能となり、欠陥の有無の確認が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 試料に電子線を照射したときに試料から発生
する電子のエネルギー分布を示した図である。
【図2】 図1の2次電子の最も低エネルギー側の部分
を拡大したものである。
【図3】 p型半導体で場所によって不純物濃度が異な
る場合の、2次電子の出現する付近のスペクトルを示し
た図である。
【図4】 本発明の電子線装置の一例を示した図であ
る。
【図5】 選択された各代表点におけるスペクトルを示
した図である。
【図6】 図5のスペクトルのLとHの2次電子の立ち
上がり部分を拡大した図である。
【図7】 電子分光器の設定分析エネルギーを説明する
ために示した図である。
【図8】 電子分光器の設定分析エネルギーを説明する
ために示した図である。
【符号の説明】
1…鏡筒、2…電子銃、3…集束レンズ、4…偏向器、
5…試料室、6…試料、7…試料ステージ、8…バイア
ス電圧印加装置、9…2次電子検出器、10…電子分光
器、11…表示制御手段、12…分析エネルギー設定手
段、13…偏向信号発生手段、14…入力手段、15…
表示手段、16…排気装置、17…イオンエッチング装

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料上の複数の点に電子線を照射し、そ
    の電子線照射により試料から放出される2次電子を検出
    して各点におけるエネルギースペクトルを得、そのエネ
    ルギースペクトルの中から2次電子が出現するエネルギ
    ーが最も低いスペクトルLを選択して、その選択したス
    ペクトルLにおける2次電子が出現するエネルギーEon
    set(L)と、前記エネルギースペクトルの中から2次
    電子が出現するエネルギーが最も高いスペクトルHを選
    択して、その選択したスペクトルHにおける2次電子が
    出現するエネルギーEonset(H)と、前記Eonset
    (L)と前記スペクトルLのピーク位置エネルギーとの
    間でできるだけピーク位置に近くてかつスペクトルの直
    線性が保たれているところのエネルギーE0と、そのエ
    ネルギーE0と前記Eonset(L)との間のエネルギー幅
    Ew(=E0−Eonset(L))と、前記スペクトルLの
    エネルギーE0における2次電子強度Ioをそれぞれ求
    め、前記E0がE0≧Eonset(H)ならば、電子分光器
    の設定分析エネルギーをE0だけに決め、一方、E0≧E
    onset(H)でないならば、前記E0に加えてE1=E0
    Ewを電子分光器の設定分析エネルギーとして決め、さ
    らに、E1≧Eonset(H)でないならば、前記E0,E1
    に加えてE2=E0+2Ewを電子分光器の設定分析エネ
    ルギーとして決め、以後同様にしてn+1個の設定分析
    エネルギーEn=E0+n×Ew(n=0,1,2,…)を
    決め、このようにして電子分光器の設定分析エネルギー
    Enが決まると、電子線を試料上の各画素に照射すると
    共に、電子分光器の分析エネルギーをその求めたn+1
    個のEnに順次設定して、試料上の各画素ごとに各エネ
    ルギーEnにおける2次電子強度I(n)を検出し、前
    記n=0の場合、すなわち、設定分析エネルギーがE0
    だけの時には、検出した2次電子強度信号を像信号に変
    換して試料像を表示する一方、前記n≠0の場合、以下
    のの規則にしたがって各画素における2次電子強度
    信号を選定し、 k×Ioよりも強度の大きい2次電子強度信号を捨て
    る(kは係数) 強度がk×Ioに等しいか、またはそれより小さい2
    次電子強度信号が複数ある 場合には、その中で最も強
    度が大きい2次電子強度信号を選ぶ 選定した2次電子強度信号の前記nの値とその電子強度
    I(n)とからパラメータS’=I(n)−n×Ioを
    算出し、算出したパラメータに基づいて像信号を作成し
    て試料像を表示することを特徴とする電子線装置におけ
    る試料像表示方法。
  2. 【請求項2】 電子銃と、その電子銃からの電子線を試
    料上で走査させるための手段と、電子線の照射により試
    料から放出される信号のうち、ある特定のエネルギーを
    有する信号を検出する信号検出手段と、その信号検出手
    段の分析エネルギーを設定する分析エネルギー設定手段
    と、前記信号検出手段の検出信号を像信号に変換して試
    料像を表示する表示制御手段を備えた電子線装置であっ
    て、前記分析エネルギーは、2次電子が出現するエネル
    ギー付近に設定されることを特徴とする電子線装置。
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