JP2000117089A - 樹脂被覆微粒子の製造方法およびそれに用いられる製造装置 - Google Patents

樹脂被覆微粒子の製造方法およびそれに用いられる製造装置

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JP2000117089A
JP2000117089A JP10297342A JP29734298A JP2000117089A JP 2000117089 A JP2000117089 A JP 2000117089A JP 10297342 A JP10297342 A JP 10297342A JP 29734298 A JP29734298 A JP 29734298A JP 2000117089 A JP2000117089 A JP 2000117089A
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Takahiro Horiuchi
貴洋 堀内
Kiyobumi Morimoto
清文 森本
Shiro Narukawa
志郎 成川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原材料の供給および混合、さらに形成された
樹脂被覆微粒子の回収を効率的に行うことによって、高
性能・高品質の樹脂被覆微粒子を容易に製造し得る樹脂
被覆微粒子の製造方法およびそれに用いられる製造装置
を提供する。 【解決手段】 たとえば粒子供給部10において形成さ
れる、微粒子(原材料)を含む中間体としての液滴の形
状や供給条件、および輸送条件の少なくとも何れか一つ
を粒子状態として、状態検知部40により検知する。得
られた検知結果を液滴の形成を行う微粒子供給源11の
制御に用いる。これによって液滴をより確実に形成し、
ひいては樹脂被覆微粒子をより確実に製造することがで
きる。なお、状態検知部40は複数設けられていること
が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は飽和および過飽和雰
囲気において微粒子に樹脂材料蒸気を凝縮させることに
よって微粒子を樹脂材料によって包埋し、樹脂被覆微粒
子を製造する方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、微粒子の表面を改質させる方
法として、微粒子表面を改質剤で処理して表面上に改質
剤の膜を形成して被膜することが種々実施されている。
【0003】このような表面改質方法としては、乾式の
他に、液相中において表面改質を行う方法があり、具体
的には、混練法、媒体を用いた撹拌法、あるいはスプレ
ードライ法等により微粒子の表面を改質剤で被覆するも
のである。このような方法は一般的によく知られてお
り、たとえば「微粒子工学−分散の基礎と応用−」(社
団法人日本粉体工業技術協会編集;株式会社朝倉書店発
行)や、「最近の化学工学 45 微粒子工学」(化学工
学会編集、化学工業社発行)などの文献にも詳細に述べ
られている。
【0004】しかしながら、上記した従来の表面改質方
法では粒子が帯電して粒子の取扱いが困難になるという
問題点を有している。さらに、非常に長い時間を要する
ことや、煩雑で高価な方法に頼らざるを得ないととも
に、形がいびつになりやすく、たとえばナノメートルオ
ーダの微粒子の製造は困難である。
【0005】そこで上記の問題点に対応するため、本発
明者らは、モノマーなどの樹脂材料を蒸気化して核とな
る微粒子表面に凝縮させ、この微粒子表面上で、上記樹
脂材料を重合することによって該微粒子表面に樹脂を被
膜することによって、微粒子の表面を改質する方法を提
案している。
【0006】この方法によれば、樹脂材料の飽和または
過飽和雰囲気に微粒子を導くため、粉砕、混練やスプレ
ードライなどの従来の煩雑で高価な方法に頼る必要がな
く、また微粒子の分級を行う必要もない上に、従来方法
で問題となる微粒子の帯電も起こらない。
【0007】また、過飽和度の高い樹脂材料を選ぶこと
によって操作を繰り返すことなく樹脂材料蒸気を微粒子
表面に凝縮させることができる。さらに、過飽和度が低
い樹脂材料を用いた場合であっても、操作を適宜繰り返
すことによって形成される樹脂被覆微粒子を大きな径を
有するまで成長させることができる。加えて、樹脂材料
の種類を変えて操作を繰り返せば、多種の材質からなる
樹脂膜が積層された機能性の高い樹脂被覆微粒子を製造
することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記樹脂被
覆微粒子の製造方法では、微粒子の供給方法や樹脂材料
を効果的に蒸気化して供給する方法、微粒子表面上への
樹脂材料を効果的に凝縮させる方法、あるいは最終的に
得られる樹脂被覆微粒子を効率的に回収する方法につい
ては未だ確立されていない。そのため、上記表面改質方
法を実行する樹脂被覆微粒子の製造装置を効率的に稼動
させることができないという問題点を招来している。
【0009】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、微粒子表面に樹脂材料蒸気を凝縮させて、
該樹脂材料を重合することによって微粒子表面に樹脂を
被膜する樹脂被覆微粒子の製造方法において、原材料の
供給および混合、さらに形成された樹脂被覆微粒子の回
収を効率的に行うことによって、高性能・高品質の樹脂
被覆微粒子を容易に製造し得る樹脂被覆微粒子の製造方
法およびそれに用いられる製造装置を提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
樹脂被覆微粒子の製造方法は、上記の課題を解決するた
めに、少なくとも核となる微粒子および樹脂材料を原材
料とし、上記微粒子表面に樹脂材料を蒸気化して凝縮さ
せ、該樹脂材料を重合することにより該微粒子表面に樹
脂を被膜して樹脂被覆微粒子を形成する樹脂被覆微粒子
の製造方法において、形成された樹脂被覆微粒子を回収
するまでの各工程毎に、該工程での原材料、樹脂被覆微
粒子を形成する過程で生ずる中間体、または形成された
樹脂被覆微粒子における、形状、供給条件、および輸送
条件の少なくとも何れか一つを粒子状態として検知する
とともに、検知した粒子状態を各工程の制御に用いるこ
とを特徴としている。
【0011】上記方法によれば、原材料の供給、原材料
または中間体の混合、形成された樹脂被覆微粒子の回収
などの各工程において、実際の粒子の状態を検知して各
工程の制御に用いている。そのため、各工程における微
妙な条件をより的確に設定することができる。また、各
工程を実施する装置に異常が発生した場合に迅速に対応
することができる。その結果、従来よりもより一層安定
かつ確実な樹脂被覆微粒子の製造が可能となる。
【0012】本発明の請求項2記載の樹脂被覆微粒子の
製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1記
載の方法に加えて、上記樹脂材料蒸気を凝縮させる前
に、微粒子を液体に懸濁させて粒子懸濁液体を調製した
後に、該粒子懸濁液体を噴霧することにより微粒子を含
む液滴を上記中間体として生成することを特徴としてい
る。
【0013】上記方法によれば、非常に凝集し易い微粒
子を効果的かつ均一に分散することができる。それゆ
え、凝集した微粒子に対して樹脂が被膜されることがな
く、得られる樹脂被覆微粒子の品質を向上させることが
できる。また、微粒子の分散を非常に簡素な構成とする
ことができるので、製造装置の構成を簡素化するととも
に、製造装置のコストも低減することができる。
【0014】本発明の請求項3記載の樹脂被覆微粒子の
製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ま
たは2記載の方法に加えて、上記粒子状態を検知する状
態検知手段の校正を行うことを特徴としている。
【0015】上記方法によれば、粒子状態を検知する状
態検知手段に問題が生じた場合、各工程の制御を確実に
行うことができなくなるが、状態検知手段を校正するこ
とにより、より正確な粒子状態を検知することが可能に
なり、より一層確実な工程の制御を実現できる。
【0016】本発明の請求項4記載の樹脂被覆微粒子の
製造装置は、上記の課題を解決するために、少なくとも
核となる微粒子および樹脂材料を原材料とし、上記樹脂
材料を蒸気化して供給する蒸気供給手段と、上記微粒子
を供給する微粒子供給手段と、上記微粒子表面に樹脂材
料を蒸気化して凝縮させ、該樹脂材料を重合することに
より該微粒子表面に樹脂を被膜して樹脂被覆微粒子を形
成する混合部とを備えている樹脂被覆微粒子の製造装置
において、形成された樹脂被覆微粒子を回収するまでの
各工程毎に、該工程での原材料、樹脂被覆微粒子を形成
する過程で生ずる中間体、または形成された樹脂被覆微
粒子における、形状、供給条件、および輸送条件の少な
くとも何れか一つを粒子状態として検知する状態検知手
段を少なくとも1つ有しているとともに、該状態検知手
段により検知された粒子状態を用いて、各工程を制御す
ることを特徴としている。
【0017】上記構成によれば、樹脂被覆微粒子の製造
の各工程において、実際の粒子の状態を検知して各工程
の制御に用いることができる。そのため、各工程におけ
る微妙な条件をより的確に設定し、また、各工程を実施
する装置に異常が発生した場合に迅速に対応することが
できる。
【0018】特に、状態検知手段が複数設けられていれ
ば、上記粒子状態をより一層確実に検知することが可能
になる。その結果、従来よりもより一層安定かつ確実な
樹脂被覆微粒子の製造が可能となる。
【0019】本発明の請求項5記載の樹脂被覆微粒子の
製造装置は、上記の課題を解決するために、請求項4記
載の構成に加えて、さらに、上記原材料、中間体、また
は樹脂被覆微粒子を輸送するために用いられる、塵芥が
ほぼ除去された輸送用気体を供給する気体供給手段と、
上記輸送用気体が流通する配管とを備えていることを特
徴としている。
【0020】上記構成によれば、原材料である微粒子や
樹脂材料の蒸気、あるいは得られる樹脂被覆微粒子は非
常に取り扱い難いものであるが、これらを全て輸送用気
体の流れにのせることにより、これらを所望の場所に的
確に輸送することができる。
【0021】また、上記輸送用気体は中間体の形成や樹
脂材料の凝縮、樹脂材料の重合を妨げるものではなく、
さらには塵芥が除去された清浄なものであるため、最終
的に得られる樹脂被覆微粒子に塵芥などの不純物が混入
することがなく、高品質の樹脂被覆微粒子を得ることが
できる。
【0022】本発明の請求項6記載の樹脂被覆微粒子の
製造装置は、上記の課題を解決するために、請求項4ま
たは5記載の構成に加えて、さらに、形成された樹脂被
覆微粒子を捕獲して回収する粒子捕獲手段を少なくとも
1つ備えていることを特徴としている。
【0023】上記構成によれば、形成されて輸送用気体
により輸送される樹脂被覆微粒子を粒子捕獲手段により
捕獲することによってより確実に回収することができ
る。しかも、粒子捕獲手段をたとえば並列に複数設ける
ことによって、製造装置の稼動を停止することなく樹脂
被覆微粒子を回収することができる。また、種類の異な
る粒子捕獲手段を複数用いることによって、径が均一で
はない樹脂被覆微粒子も確実に回収することができる。
【0024】本発明の請求項7記載の樹脂被覆微粒子の
製造装置は、上記の課題を解決するために、請求項6記
載の構成に加えて、さらに、上記粒子捕獲手段により捕
獲された樹脂被覆微粒子を収容する粒子収容手段を少な
くとも1つ備えていることを特徴としている。
【0025】上記構成によれば、粒子捕獲手段が捕獲し
た樹脂被覆微粒子を所定量収容することによって、樹脂
被覆微粒子を適宜回収するのではなく、一定量の樹脂被
覆微粒子を一括して回収することができるので、樹脂被
覆微粒子の回収を簡素化することができる。さらに、粒
子収容手段と粒子捕獲手段を一体化することによって、
装置構成も簡素化することができる。
【0026】本発明の請求項8記載の樹脂被覆微粒子の
製造装置は、上記の課題を解決するために、請求項4な
いし7の何れか1項に記載の構成に加えて、上記蒸気供
給手段は、樹脂材料を蓄積する樹脂材料貯槽部と、該樹
脂材料の含有を可能とし、かつ、輸送用気体と直接接触
する多孔質材料からなっている内壁によって囲まれてい
る蒸気生成箱と、該蒸気生成箱の上方に設けられている
排出口と、該蒸気生成箱内を加熱する加熱手段とを有し
ていることを特徴としている。
【0027】また、本発明の請求項9記載の樹脂被覆微
粒子の製造装置は、上記の課題を解決するために、請求
項8記載の構成に加えて、上記蒸気生成箱は、上記樹脂
材料貯槽部の配置状態から見て傾斜するように配置して
いることを特徴としている。
【0028】上記各構成によれば、蒸気生成箱では過度
に生成した樹脂材料蒸気が壁面に付着するが、排出口を
蒸気生成箱の上方に設け、また、蒸気生成箱を樹脂材料
貯槽部に対して傾斜するように配置することにより、壁
面に付着した樹脂材料を樹脂材料貯槽部で回収し再利用
することができる。それゆえ、樹脂材料を非常に効率的
に利用することができる。
【0029】本発明の請求項10記載の樹脂被覆微粒子
の製造装置は、上記の課題を解決するために、請求項4
ないし9の何れか1項に記載の構成に加えて、上記混合
部は、樹脂材料の蒸気と微粒子とを混合させて該微粒子
表面上に樹脂材料の蒸気を凝縮させる処理空間と、該処
理空間に直結して鉛直方向にほぼ沿うように縦長に形成
されており、表面に樹脂材料が凝縮した微粒子を緩やか
に冷却する緩冷却部とを有していることを特徴としてい
る。
【0030】上記構成によれば、下方の処理空間で樹脂
材料蒸気と微粒子とが混合されて、上方の緩冷却部へと
送られることになるので、微粒子表面上に確実に樹脂材
料蒸気を凝縮させて、該樹脂材料を確実に重合すること
ができる。
【0031】本発明の請求項11記載の樹脂被覆微粒子
の製造装置は、上記の課題を解決するために、請求項1
0記載の構成に加えて、上記混合部の処理空間には、樹
脂材料の蒸気が凝縮する際に発生する液滴を回収する液
滴回収手段が設けられていることを特徴としている。
【0032】上記構成によれば、樹脂材料蒸気が微粒子
表面上に凝縮する際に、微粒子表面上に凝縮しきれなか
った樹脂材料を回収することになる。それゆえ、最終生
成物である樹脂被覆微粒子に樹脂材料の液滴が混入する
ことがなく、得られる樹脂被覆微粒子の品質を向上させ
ることができる。
【0033】本発明の請求項12記載の樹脂被覆微粒子
の製造装置は、上記の課題を解決するために、請求項4
ないし11の何れか1項に記載の構成に加えて、樹脂被
覆微粒子の表面に形成されている樹脂被膜との反応性が
低い物質を捕獲用材料として蒸気化する捕獲用材料蒸気
供給手段と、樹脂被覆微粒子と上記捕獲用材料蒸気とを
混合する第2混合部と、該第2混合部中で樹脂被覆微粒
子および捕獲用材料蒸気を冷却する第2混合部冷却手段
とを有する粒子径制御手段をさらに備えていることを特
徴としている。
【0034】上記構成によれば、たとえば、上記粒子捕
獲手段で捕獲できなかった微小な樹脂被覆微粒子に対し
て、捕獲用材料を凝縮させることによって樹脂被覆微粒
子の径を変化することができる。そのため、この粒子径
制御手段の後段に粒子捕獲手段を設ければ、特別な構成
の粒子捕獲手段を用いなくても、確実に樹脂被覆微粒子
を捕獲、回収することができる。
【0035】本発明の請求項13記載の樹脂被覆微粒子
の製造装置は、上記の課題を解決するために、請求項4
ないし12の何れか1項に記載の構成に加えて、上記原
材料、中間体および樹脂被覆微粒子の何れかが閉塞し易
い部位に振動を与える振動手段を備えていることを特徴
している。
【0036】上記構成によれば、閉塞し易い部位に振動
を与えるため、樹脂被覆微粒子の製造装置が閉塞により
停止するようなことがなく、樹脂被覆微粒子の製造を円
滑に進行させることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1ないし図68に基づいて説明すれば以下の通りであ
る。なお、本発明はこれに限定されるものではない。本
発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造方法では、まず、図
2に示すように、樹脂被覆微粒子(以下、適宜樹脂粒子
と省略する)を生成するための微粒子4を供給する粒子
供給部(微粒子供給手段)10と、樹脂材料となるモノ
マー5(図中ではモノマー5aまたは5b)を蒸気化し
て該樹脂材料を含む雰囲気(蒸気)を形成する蒸気供給
部(蒸気供給手段)20(図中では蒸気供給部20aま
たは20b)と、上記微粒子4と上記モノマー5aおよ
び5bの蒸気とを混合して、微粒子4表面に樹脂材料を
凝縮させて、該樹脂材料を共重合して得られる樹脂を被
膜する混合部30と、形成された樹脂粒子3を排出する
粒子排出口60と、さらに図示しないが後述する状態検
知手段とを少なくとも有している樹脂被覆微粒子の製造
装置を用いている。
【0038】上記混合部30は、図3に示すように、処
理空間31、緩冷却部32、温度測定器61a、流量測
定器62a、および温度測定器61bなどからなってい
る。緩冷却部32は、処理空間31と粒子排出口60と
の間をつなぐ管状の形状を有しており、樹脂材料蒸気が
微粒子4表面上により凝縮し易くなるように緩やかな冷
却を行う。温度測定器61aは処理空間31内の温度を
測定する。温度測定器61bは緩冷却部32内の温度を
測定する。流量測定器62aは、処理空間31内におい
て、樹脂材料蒸気や微粒子4などを輸送する輸送用気体
の流量を測定する。なお、樹脂材料蒸気、微粒子4(後
述する液滴)、形成された樹脂粒子3を輸送する気体を
輸送用気体とする。
【0039】上記蒸気供給部20aは、図3に示すよう
に、所定の処理空間21aおよび後述する内壁部21b
を有する蒸気生成箱21、輸送用気体を流入させる気体
流入部(気体供給手段)22、モノマー5aを貯蔵する
樹脂材料貯槽部23、生成した樹脂材料蒸気を排出する
排出口25などを備えており、さらに、この蒸気生成箱
21の周囲に加熱装置(加熱手段)24を複数備えてい
る。この加熱装置24は、図示しない温度制御部により
温度制御されている。この加熱装置24で蒸気生成箱2
1を加熱することによって、内部に樹脂材料蒸気を発生
させる。
【0040】また、上記蒸気生成箱21内の温度を測定
するための温度測定器61c、および気体流入部22か
ら流入して、生成した樹脂材料蒸気を輸送するための輸
送用気体の流量を測定するための流量測定器62bが、
蒸気生成箱21における樹脂材料蒸気の排出口25近傍
に設けられている。なお、蒸気生成部20bの構成は蒸
気生成部20aの構成と同一であるためその説明を省略
する。
【0041】図2に示す樹脂被覆微粒子の製造装置で
は、蒸気供給部20は2つ設けられている(蒸気供給部
20a・20b)が、これは、微粒子4表面に少なくと
も2種類以上の化合物を凝縮させるためである。すなわ
ち、微粒子4の表面において、上記樹脂材料としてのモ
ノマー5aおよびモノマー5bを重合させるため、これ
らモノマー5a・5bをそれぞれ蒸気化する蒸気供給部
20は少なくとも2つが必要となる。なお、被膜する樹
脂の種類によっては、3種類以上のモノマーを用いるこ
ともあるので、蒸気供給部20は3個以上設けられてい
てもよい。
【0042】本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造方法
および製造装置は、上記モノマー5(本実施の形態では
二種類のモノマー5a・5b)の蒸気を微粒子4表面に
凝縮させ、上記微粒子4を被膜することにより樹脂粒子
3を形成する樹脂被覆微粒子の製造方法において、樹脂
粒子3の核となる上記微粒子4および該微粒子4表面上
に被覆される樹脂となる樹脂材料(モノマー5)蒸気の
供給を制御するものである。
【0043】図2に示す樹脂被覆微粒子の製造装置にお
いては、粒子供給部10からの微粒子4の供給に際し
て、微粒子4が均一に供給されなければ、該微粒子4の
表面に良質の樹脂膜が被膜されない。
【0044】そこで、本発明では、粒子供給部10から
の微粒子4の供給に当たり、該微粒子4を液体に懸濁さ
せて粒子懸濁液体を調製し、この粒子懸濁液体を噴霧し
て液滴という中間体を形成する方式を採用している。粒
子懸濁液体を噴霧することで、通常なら互いに凝集し易
い微粒子4が液滴となって、ほぼ均質に樹脂材料蒸気の
中に分散することになる。それゆえ、微粒子4の表面に
良質の樹脂膜を被膜することが可能となる。
【0045】ところが、上記粒子供給部10にて、粒子
懸濁液体を噴霧して微粒子4を含む液滴を生成する場合
でも、やはり状態によっては、微粒子4が十分に拡散せ
ず凝集したりするおそれがある。
【0046】たとえば、図4(a)に示すように、理想
的には、粒子懸濁用の液体7からなる1つの液滴6に核
となる微粒子4が1つだけ含まれていることが好ましい
が、図4(b)に示すように、核となる微粒子4が1つ
の液滴6の中に複数含まれていたり、あるいは、図4
(c)に示すように、核となる微粒子4が1つの液滴6
の中に全く含まれていない、すなわち、液滴6が液体7
のみからなっている場合があり得る。
【0047】また、供給される微粒子4の数が多けれ
ば、該微粒子4表面に被膜される樹脂膜は薄くなるが、
供給される微粒子4の数が少なければ、樹脂膜を厚くす
ることができる。すなわち、粒子供給部10から供給さ
れる微粒子4の数量に基づいて、樹脂膜の厚さの規定が
可能となる。
【0048】そこで、本発明では、粒子供給部10に、
図1に示すように、噴霧された液滴6の粒子状態を検知
する状態検知部(状態検知手段)40を設けている。具
体的には、微粒子4を液体7に懸濁して液滴6として分
散させる微粒子供給源11と、微粒子供給源11から得
られた液滴6の粒子状態を検知する第1の状態検知部4
1と、後述する第2の状態検知部42とが備えられてい
る。また、微粒子供給源11は、微粒子4を液体7に懸
濁して粒子懸濁液体を調製する粒子懸濁部11aと粒子
懸濁液体を噴霧して微粒子4を含む液滴6を生成する噴
霧部11bとを備えている。なお、第1・第2の状態検
知部41・42における液滴6の輸送方向の下流側に
は、冷却部13などが設けられている。
【0049】上記第1の状態検知部41を設けているこ
とにより、粒子供給部10から供給される微粒子4の状
態(粒子状態)が常に確認できる。そのため、微粒子4
が互いに凝集したりすることにより樹脂膜の被膜に悪影
響を及ぼすことがない。また、供給される微粒子4の数
量を常に測定することができるため、微粒子4上に形成
される樹脂膜の厚さを制御し易くすることができる。
【0050】本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造方法
では、上記状態検知部40が検知する粒子状態として
は、形成される粒子(液滴6)の形状(粒子径など)、
粒子の供給条件(たとえば個数濃度や形成環境の温度な
ど)、および輸送条件(たとえば液滴6を輸送する輸送
用気体の流量など)が挙げられるが、粒子の形成に重要
なパラメータや条件であれば上記に限定されるものでは
ない。
【0051】上記粒子状態について具体的な例を挙げて
説明すると、たとえば、上記状態検知部40として、液
滴6の粒子径(形状)を測定する粒子径測定器を用いる
ことができる。上述のように、液滴6に核となる微粒子
4が理想的に含まれている状態(図4(a))、核とな
る微粒子4が複数含まれている状態(図4(b))、核
となる微粒子4が含まれていない状態(図4(c))で
は、それぞれ、液滴6の粒子径が異なっている。それゆ
え、液滴6が理想的な状態に形成されているか否かは、
該液滴6の粒子径を測定することにより判定することが
可能となる。
【0052】上記状態検知部40(第1の状態検知部4
1)としての粒子径測定器によって測定された液滴6の
粒子径(検知結果)は、微粒子供給源11にフィードバ
ックされ、この測定値(検知結果)に基づいて、微粒子
供給源11は液滴6の生成を調節する(図1における破
線の矢印)。
【0053】このフィードバック制御について説明する
と、図5に示すように、まず、ステップ1(以下、ステ
ップをSと略す)として、粒子径測定器により1回目の
粒子径の測定を行う(X=1)。次に、S2として、こ
の測定値(液滴6の実際の粒子径)と基準値(液滴6の
理想的な粒子径)とを比較して、上記測定値が、規定の
範囲内にあるか否か判定する。なお、測定値と基準値と
の比較方法としては、図5のS2に示すように、測定値
と基準値との差の絶対値を算出し、この差が規定値の範
囲以内であるか否かを判断する方法などが挙げられる
が、特に限定されるものではない。上記測定値と基準値
との比較結果が規定値の範囲内であれば、液滴6の粒子
径の測定を継続して行うが、規定値の範囲外であれば、
S3として、微粒子供給源11の出力を調節する。
【0054】たとえば、比較結果が規定値の範囲よりも
大きければ、図4(b)に示すように、液滴6に多くの
微粒子4が含まれていることになるため、粒子懸濁液体
中の微粒子4の個数を減少させるように微粒子供給源1
1を調節する。一方、比較結果が規定値の範囲よりも小
さければ、図4(c)に示すように、液滴6中に微粒子
4が含まれていないことになるため、粒子懸濁液体中の
微粒子4の個数を増加させるように微粒子供給源11を
調整する。
【0055】次に、S4として、液滴6の粒子径を複数
回測定する(X=n:nは2以上の整数)。S5とし
て、これら複数回の各測定値を基準値と比較し、これら
比較結果が規定値の範囲内であれば、プロセスを続行し
液滴6の粒子径の測定を継続する。一方、規定値の範囲
外の状態(たとえば、複数の比較結果が、正常な液滴6
が形成されているとは見なせない範囲にあるとき)であ
れば、微粒子供給源11に異常が発生していると判断
し、該微粒子供給源11などの点検を行うような表示や
警報を発令する(S6)。なお、表示および警報は同時
になされてもよいし、一方のみであってもよい。
【0056】上記粒子径測定器における液滴6の粒子径
の測定方法としては、具体的には、光回折法や光散乱
法、顕微鏡による観察結果を画像処理する方法が挙げら
れるが特に限定されるものではなく、液滴6の粒子径を
測定することができるものであればよい。また、これら
方法は、適宜組み合わせることができる。
【0057】微粒子供給源11の出力調整方法は、その
構成に基づいて適宜選定されるものであり、特に限定さ
れるものではない。たとえば、微粒子供給源11を構成
する噴霧部11bとしては、図6に示すバッフル形式、
図7に示す遠心力形式、図8に示すジェット形式、図9
に示す超音波振動形式などがあげられるが、各形式によ
って噴霧状態を調整する手法は異なる。
【0058】まず、図6に示すバッフル形式では、粒子
懸濁液体8が収容された噴霧容器12a内にノズル12
b、液体供給管12c、バッフル12dなどが設けられ
ている。ノズル12bは、バッフル12dに対向する位
置に設けられており、図6では、支持部材12eによっ
て支持されている。ノズル12bからは不活性ガスが供
給されるようになっており、ミストを除去するミスト除
去部12fや塵芥を除去するエアフィルタ12gなどが
設けられている。バッフル12dの先端部12jは球状
になっている。
【0059】粒子懸濁液体8は液体供給管12cの上端
部12hからノズル12bの先端部12iに供給され、
ノズル12bからの不活性ガスによりバッフルの先端部
12jに吹き付けられる。その結果、粒子懸濁液体8は
液滴6となり液滴供給管12kから図2に示した混合部
30へ供給される。それゆえ、バッフル12dの先端部
12jの径を変えることによって噴霧状態を調整するこ
とができる。
【0060】図7に示す遠心力形式では、噴霧容器12
a内の上方に、粒子懸濁液体を吹き付けるためのノズル
12bおよび不活性ガスを流入させるためのスクリーン
12nが設けられており、このノズル12bの直下付近
に回転部12mが設けられている。回転部12mの上方
はたとえば円盤状の形状の回転体となっており、この回
転体に対してノズル12bから粒子懸濁液体が吹き付け
られる。
【0061】その結果、回転体の遠心力により粒子懸濁
液体は液滴6となり、スクリーン12nからの不活性ガ
スにより噴霧容器12aの下方側に送られる。下方側に
は液滴供給管12kが設けられており、これによって液
滴6が図2に示した混合部30へ供給される。それゆ
え、この遠心力形式では、回転部12mの回転数を可変
させることによって噴霧状態を調整することができる。
なお、液滴6の生成に伴って生じるミスト状の2次粒子
は回転部12m下方の2次粒子排出管12pにより排出
される。
【0062】図8に示すジェット形式では、噴霧容器1
2a内に粒子懸濁液体を供給するノズル12bと、この
ノズル12bの供給口側に形成されているオリフィス1
2qと、オリフィス12qを振動させる振動体(ピエゾ
セラミック)12rと、噴霧容器12aの下方から不活
性ガスを導入するためのガス供給管12sとが設けられ
ている。
【0063】ノズル12bから吹き出す粒子懸濁液体は
オリフィス12qによって液滴6となり、ガス供給管1
2sから吹き付けられる不活性ガスにより図2に示した
混合部30へ供給される。それゆえ、ジェット形式で
は、オリフィス12qを振動させるための振動体12r
の振動周波数を可変することによって噴霧状態を調整す
ることができる。
【0064】図9に示す超音波振動形式では、所定の空
間を有する噴霧容器12a内の下方側に位置する湾曲板
12tと、この湾曲板12tの直下に位置する振動体1
2uと、噴霧容器12aの上方側に位置し、不活性ガス
を供給するガス供給管12sと、生成した液滴6を図2
に示した混合部30へ排出する液滴供給管12kとを備
えている。
【0065】湾曲板12tの上側には粒子懸濁液体8が
供給され、該湾曲板12tの下方側に位置する振動体1
2uの振動により湾曲板12t上の粒子懸濁液体8が液
滴6となる。生成した液滴6はガス供給管12sから供
給される不活性ガスにより液滴供給管12kを介して混
合部30へ排出される。それゆえ、超音波振動形式で
は、湾曲板12t直下の振動体12uの振動周波数を可
変することによって噴霧状態を調整することができる。
【0066】上記状態検知部40としては、液滴6の粒
子径を測定する粒子径測定器以外に、たとえば、液滴6
の個数濃度(供給条件)を測定する粒子濃度測定器を用
いてもよい。
【0067】上述のように、液滴6に核となる微粒子4
が理想的に含まれている状態(図4(a))、核となる
微粒子4が複数含まれている状態(図4(b))、核と
なる微粒子4が含まれていない状態(図4(c))で
は、一定の空間内においての液滴6の個数が異なること
になる。
【0068】具体的には、液滴6の数量は基本的に核と
なる微粒子4の数量に依存するため、図4(a)・
(b)・(c)を参照して説明すると、液滴6に微粒子
4が理想的に含まれている状態(図4(a))を基準と
すれば、1つの液滴6に複数の微粒子4が含まれている
ような状態(図4(b))では、液滴6の数量は少なく
なる。一方、微粒子4が液滴6に含まれないような状態
(図4(c))では、液滴6の数量が核となる微粒子4
の数量に依存しなくなるため、いくらでも液滴6が形成
される可能性があり、結果的に液滴6の数量が多くな
る。
【0069】そこで、粒子濃度測定器によって、所定空
間内に存在する液滴6の数量(すなわち個数濃度)を測
定してやれば、上記粒子径測定器と同様に、液滴6の状
態を判定することが可能となる。
【0070】この粒子濃度測定器で得られた測定値(検
知結果)も、上記粒子径測定器の測定値(検知結果)と
同様に、粒子供給部10にフィードバックされて、微粒
子供給源11の調整に用いられる(図1に示す破線の矢
印)。これによって、得られる液滴6の状態を常に良好
な状態に保つことができる。
【0071】このときのフィードバック制御は、図10
に示すように、基本的に上記粒子径測定器の場合とほぼ
同様であるため(図10ではS11ないしS16)、そ
の詳しい説明は省略する。
【0072】なお、上述した粒子径測定器と粒子濃度測
定器とは、状態検知部40として、それぞれ1種類ずつ
用いられても良いが、組み合わせて用いれば、より性格
な液滴6の粒子状態が確認できるため好ましい。また、
粒子径測定器と粒子濃度測定器を1つの状態検知部とし
て構成し、得られる信号により粒子径および個数濃度を
測定する構成をとってもかまわない。
【0073】本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造方法
では、樹脂膜を被膜する微粒子4が上述したように液滴
6となっている。この液滴6は、粒子供給部10で生成
した直後に、該粒子供給部10で配管の管壁などに付着
して混合部30にまで良好に輸送されないおそれがあ
る。そこで、図11に示すように、粒子供給部10を振
動させる振動部(振動手段)51を設けることによっ
て、上記液滴6の付着を防止する。
【0074】具体的には、図1にも示したように、粒子
供給部10は、微粒子供給源11を備えているが、微粒
子供給源11から混合部30へ接続されている配管52
に対してさらに状態検知部40、冷却部13、乾燥部1
4などが備えられている。これら構成に加えて、上記配
管52に複数の振動部51を設ける。これによって、付
着した液滴6により配管52が閉塞するようなことがな
く良好かつ効率的な液滴6の製造および輸送が可能とな
る。
【0075】上記振動部51としては、配管52に対し
て機械的な振動を加えることが可能であるものであれ
ば、特に限定されるものではないが、たとえば、超音波
振動によるものや、ハンマーにより振動を与えるものな
どが挙げられる。
【0076】上記振動部51は、図11に示すように、
粒子供給部10から混合部30に至るまでの配管52全
般に設けることが好ましい。このように配管52全般に
設けることによって、粒子供給部10内における配管5
2の閉塞を効果的に防止することができる。なお、粒子
供給部10を製造するに当たっての製造コストや粒子供
給部10を稼働させる際のランニングコスト上の問題を
考慮した上で、上記振動部51は、特に閉塞し易い部位
のみに設けてもよい。
【0077】上記振動部51は、閉塞が発生し易いよう
な状況下でのみ稼働するようにしていてもよいが、好ま
しくは、常時稼働しているようになっている。すなわ
ち、上記振動部51は、常時稼働することによって、配
管52の閉塞を防止し得るようになっている。なお、上
記振動部51による振動の周波数は特に限定されるもの
ではなく、配管52内が閉塞しない程度の振動を与える
ことができればよい。
【0078】上記粒子供給部10における配管52は、
振動部51による閉塞の防止以外に、該配管52の材質
の選定によっても閉塞を防止することができる。具体的
には、該配管52の材質を、液滴6の主成分との親和性
が低い材質とすることが挙げられる。配管52の材質
が、液滴6の主成分との親和性が低いものであれば、す
なわち、液滴6を形成する粒子懸濁液体と配管52の材
質とが馴染み難いものであれば、配管52の閉塞をより
一層効果的に防止することができる。
【0079】粒子懸濁液体(すなわち液滴6)が水系の
ものであれば、配管52は疎水性の材質であればよく、
粒子懸濁液体が有機溶媒系のものであれば、配管52は
有機溶媒との親和性が低い材質であればよい。上記配管
52の材質としては、たとえば、PTFE(ポリテトラ
フルオロエチレン)やポリスチレンなどが挙げられる。
しかしながら、上記配管52の具体的な材質としては、
上述した液滴6の主成分との親和性が低く、かつ配管5
2としての所定の強度や耐久性が得られるものであれば
特に限定されるものではない。
【0080】本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造方法
では、図1または図11に示すように、上述した状態検
知部40を第1の状態検知部41とした場合に、この第
1の状態検知部41における下流側の配管52に、さら
に、第2の状態検知部42を設けることが好ましい。上
記第1の状態検知部41と第2の状態検知部42との双
方から得られる結果を比較して微粒子供給源11の出力
を調整したり、液滴6の個数濃度を調整することによっ
て、生成した液滴6の分散状態や供給状態などの異常を
検知することができ、その結果を元に、液滴6を安定し
て生成、供給することが可能となる。
【0081】具体的には、たとえば、第1の状態検知部
41として、上記粒子径測定器と粒子濃度測定器との両
方が用いられたとする。この場合、上記振動部51が設
けられた配管52を介して下流側に第2の状態検知部4
2としての粒子径測定器および粒子濃度測定器の少なく
とも何れか一方が設けられる。
【0082】この第2の状態検知部42で得られた測定
値は、上述したように、第1の状態検知部41の測定値
と比較されて図1などに示すように微粒子供給源11に
フィードバックされるが(図中破線の矢印)、さらに、
図11に示すように、第1の状態検知部41と第2の状
態検知部42との間の配管52に備えられている上記振
動部51に対してフィードバックされてもよい(図中破
線の矢印)。
【0083】つまり、第1の状態検知部41の検知結果
と第2の状態検知部42の検知結果とを比較して得られ
た結果が所定の範囲外であれば、上記振動部51を稼働
させるようにしていることが好ましい。上記検知結果に
より振動部51を稼働させることができれば、液滴6が
生成した側での配管52の管壁に液滴6が付着して、配
管52を閉塞させることをより一層効果的に防止するこ
とができる。すなわち、上記のように、状態検知部40
が上流側と下流側の双方に設けられていれば、上流側で
理想的に生成した液滴6が、配管52を経由して下流側
に輸送されてくる過程で互いに付着してしまうような事
態の発生を回避することができる。
【0084】上記第2の状態検知部42を設けた場合に
おけるフィードバック制御については、図12および図
13に示すように、前述した状態検知部40が1つの場
合(すなわち第1の状態検知部41のみ)のフィードバ
ック制御系とほぼ同様であるので(図12ではS21な
いしS26、図13ではS31ないしS36)詳しい説
明は省略する。
【0085】なお、図12に示す状態検知部40として
粒子径測定器を用いた制御と、図13に示す粒子濃度測
定器を用いた制御では、状態検知部40が一つのみであ
れば、第1の状態検知部41の測定値と基準値とを比較
して得られる比較結果を用いて制御をおこなっていた
が、第2の状態検知部42をさらに設けている場合は、
第1の状態検知部41の測定値と第2の状態検知部42
の測定値とを比較して、これら比較結果が規定値の範囲
外であるか否かを判定するようになっている点が異なっ
ている(図12ではS22、図13ではS32)。ま
た、上記比較結果が規定値の範囲外である場合は、S3
3で振動部51を稼動し、S36で振動部51や配管5
2の点検や警報を発令する点も異なっている。
【0086】本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造方法
では、上記状態検知部40(第1の状態検知部41およ
び第2の状態検知部42)として用いられる構成として
は、粒子径測定器や粒子濃度測定器以外に、図11に示
すように、粒子供給部10の配管52内の温度(供給条
件)を測定する温度測定器61dや、液滴6を輸送する
輸送用気体の流量(輸送条件)を測定する流量測定器6
2c・62dなどが挙げられる。
【0087】本発明では、樹脂粒子3を効率よく製造す
るには、核となる微粒子4を含む液滴6の粒子径や個数
濃度だけではなく、液滴6の周囲の温度や輸送用気体の
流量を精度よく制御する必要がある。すなわち、本発明
では、樹脂材料蒸気(モノマー5の蒸気)を微粒子4上
に凝縮させ、該微粒子4を被膜することにより樹脂粒子
3を形成するものであるため、形成される樹脂粒子3の
大きさは樹脂材料蒸気と液滴6との温度差や供給される
液滴6の個数濃度により左右される。
【0088】したがって、樹脂材料蒸気と液滴6との温
度差が大きい場合や供給される液滴6の個数濃度が小さ
い場合は形成される樹脂粒子3は大きくなり、逆に、温
度差が小さい場合や供給される液滴6の個数濃度が大き
い場合には、樹脂粒子3の粒子径は小さくなる。それゆ
え、粒子径のより均一な樹脂粒子3を製造するために
は、液滴6の粒子径や個数濃度だけではなく、粒子供給
部10(または配管52)内の温度や輸送用気体の流量
なども液滴6の粒子状態として検知することが非常に好
ましい。この粒子状態を常に一定にするように制御する
ことにより、安定した樹脂粒子3の製造が可能となると
ともに、異常が発生した場合には速やかに対処すること
が可能となる。
【0089】まず、状態検知部40として温度測定器6
1dを用いた場合について説明する。温度測定器61d
としては、具体的には熱電対などが挙げられるが特に限
定されるものではない。
【0090】上記温度測定器61dを状態検知部40と
して用いた場合のフィードバック制御を説明する。ま
ず、図14に示すように、S41として、粒子供給部1
0内の温度を測定する(液滴6の生成条件の検知、X=
1)。次に、S42として、この測定値とあらかじめ設
定されている基準値とを比較し、この比較結果(ここで
は測定値と基準値との差)が規定値の範囲内であるか否
かを判定する。規定値の範囲内であれば、再び粒子供給
部10の温度を測定する(すなわち、S41へ戻る)。
なお、このとき、上記比較結果が規定値の範囲内であっ
たとしても、その差をできる限り補正するように図示し
ない温度制御部の出力が可変され、粒子供給部10にお
ける液滴6の形成が調整される。
【0091】一方、規定値の範囲外であれば、すなわ
ち、温度が大幅に変動している場合には、温度測定器6
1dまたは温度制御部に異常があるものと見なし、S4
3として、温度測定器61d・温度制御部の点検を行う
ことを表示したり、警報を発令したりする。
【0092】また、温度が大幅に変動する要因として
は、微粒子供給源11や輸送用気体を供給する図示しな
い気体供給部(気体供給手段)の出力が変化している可
能性がある。すなわち、供給される液滴6の径や個数濃
度、および輸送用気体の流量が変化すると、これらの液
滴6や輸送用気体により奪われる粒子供給部10内の熱
量が変化して粒子供給部10内の温度が変化する。
【0093】上記微粒子供給源11または気体供給部の
出力の変化に対応するためには、図15に示すように、
上記S41・S42に続いてS43’として、粒子供給
部10や気体供給部の出力を調整した後、S44とし
て、粒子供給部10内の温度の測定を所定回数(X=
n:nは2以上の整数)を行い、さらに、S45とし
て、測定値とあらかじめ設定されている基準値とを比較
して、この比較結果が規定値の範囲内であるか否かを判
定する。規定値の範囲内であれば再び粒子供給部10内
の温度を測定する。一方、規定値の範囲外であれば、温
度測定器61d、図示しない温度制御部、気体供給部、
あるいは微粒子供給源11に異常があるものと見なし、
S46として、これら各構成を点検するように表示した
り警報を発令したりする。
【0094】液滴6の粒子径や個数濃度などは温度測定
器61dの前段でモニターしているが、万一、故障など
により正常な測定ができなかった場合でも、温度の測定
によりこれらの異常を知ることができる。さらに、前段
で得られる液滴6の粒子径や個数濃度の測定値と温度の
測定値とを組み合わせることで、気体供給部や粒子供給
部10の異常を正確に把握することができる。
【0095】次に、上記状態検知部40としては、温度
測定器61d以外に、上述したように、上記粒子供給部
10内の輸送用気体の流量を測定する流量測定器62c
を用いることができる。このときの流量測定器62cと
しては、たとえば、熱線風速計などを用いることができ
る。また、輸送用気体の流量を制御するには、たとえ
ば、開閉可能なバルブを設けておき、バルブの開閉度合
いにより流量を調整する方法を挙げることができるが特
に限定されるものではない。なお、バルブにより遮断さ
れた液滴6は配管52内に溜まったりするので、これら
を常時あるいは定期的に回収し粒子懸濁液体に戻せばよ
い。
【0096】上記流量測定器62cを用いたフィードバ
ック制御は、図16および図17に示すように、上記温
度測定器61dにおける制御と同様である(図16では
S51ないしS53、図17では、S51〜S53’お
よびS54〜S56)ので、その詳しい説明は省略す
る。
【0097】なお、輸送用気体の流量が変化した場合、
上述したように、粒子供給部10内の温度も変化するた
め、温度の測定値と流量の測定値とを組み合わせること
で、気体供給部や粒子供給部10の異常を確実に把握す
ることができる。
【0098】また、生成した液滴6は、冷却部13を通
過して混合部30まで輸送される間に配管52の管壁に
付着して配管52を閉塞させる可能性がある。それゆ
え、輸送用気体の流量を測定する場合、測定値と基準値
とを比較し、規定範囲外であれば混合部30の手前まで
の配管52を振動部51により振動させるようになって
いてもよい。
【0099】たとえば、図18に示すように、まず、S
61として粒子供給部10内の輸送用気体の流量を測定
し(X=1)、S62として測定値を基準値と比較した
後、その比較結果が規定値の範囲外である場合には、S
63として、振動部51を稼動させて配管52を振動さ
せる。その後、S64として、粒子供給部10内の輸送
用気体の流量を複数回測定し(X=n:nは2以上の整
数)、S65として、複数回の測定値を基準値と比較す
る。その比較結果が規定値の範囲外であればS66とし
て、流量測定器62cや図示しない流量制御部、気体供
給部、あるいは配管52などの点検を行うように表示し
たり警報を発令したりする。
【0100】さらに、輸送用気体の流量の変化を精度良
く把握するために微粒子供給源11の近傍に第2の流量
測定器62dを設け、混合部30の手前の流量測定器
(第1の流量測定器とする)62cの測定値と比較し、
その比較結果を用いたフィードバック制御も可能であ
る。すなわち、図18におけるS62やS65における
比較結果は、第1・第2の流量測定器62c・62dに
よる測定値の比較結果であってもよい。
【0101】本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造方法
では、上述してきた第1および第2の状態検知部41・
42を粒子供給部10に設けて液滴6の製造を制御して
いるが、さらに、上述した第1・第2の状態検知部41
・42と同様の機能を有する別の状態検知部40を、蒸
気供給部20に設けてもよい。このように、蒸気供給部
20に別の状態検知部40を設ければ、より良質な樹脂
粒子3をより効率的に製造することができる。
【0102】上記別の状態検知部40を蒸気供給部20
に設ける構成としては、図19に示すように、具体的に
は、蒸気供給部20で発生した樹脂材料蒸気を混合部3
0へ送るために、該蒸気供給部20へ輸送用気体を流入
させる部位(気体流入部22)に別の状態検知部40を
設ける構成が挙げられる。
【0103】上記気体流入部22から流入する輸送用気
体は、蒸気供給部20で発生した樹脂材料蒸気を輸送す
るとともに、そのまま混合部30へ送られることにな
る。ここで、上記気体流入部22から流入する輸送用気
体に微小な塵芥が含まれていれば、混合部30におい
て、粒子供給部10から供給される微粒子4表面に樹脂
材料蒸気が凝縮して微粒子4の表面に樹脂膜が被膜され
るだけでなく、該塵芥の表面に樹脂材料蒸気が凝縮して
樹脂膜が被膜されることになる。その結果、得られる樹
脂粒子3に、塵芥を核としたものが混入することにな
り、樹脂粒子3の品質を低下させることになる。
【0104】それゆえ、気体流入部22には、流入する
輸送用気体中の塵芥を捕獲するための塵芥捕獲部26が
設けられている。この塵芥捕獲部26としては通常フィ
ルタなどが用いられるが、本発明にかかる樹脂被覆微粒
子の製造方法では、この塵芥捕獲部26における輸送用
気体の流れる方向の下流側に上記別の状態検知部40と
して第3の状態検知部43を設けている。
【0105】なお、ここでの状態検知部40は、樹脂粒
子の形成に直接関与しない段階での輸送用気体の状態を
検知しているが、輸送用気体は樹脂材料蒸気を輸送する
ことになるので、結果として樹脂粒子を形成するための
樹脂材料の供給条件を検知していることになる。
【0106】この第3の状態検知部43としては、たと
えば、流入する輸送用気体中の粒子(塵芥)の個数を測
定する粒子濃度測定器が用いられる。さらに、図19お
よび図20に示すように、塵芥捕獲部26の上流側に第
4の状態検知部44を設けていてもよい。すなわち、上
記別の状態検知部40は、塵芥捕獲部26の上流側と下
流側とにそれぞれ設けられている。
【0107】蒸気供給部20に流入する輸送用気体は、
塵芥捕獲部26を通過する前には、多くの塵芥を含んで
おり、塵芥捕獲部26を上記輸送用気体が通過する際に
塵芥が取り除かれ、蒸気供給部20に輸送用気体が流入
する時点では、塵芥は所定の範囲以下の個数濃度となっ
ている。ここで、塵芥捕獲部26としてフィルタが用い
られることが多いため、多くの塵芥を除去すれば、フィ
ルタが目詰まりし、塵芥の除去効率が経時的に低下す
る。そこで、この塵芥の除去効率の低下を上記第3およ
び第4の状態検知部43・44(粒子濃度測定器)によ
って判定する。
【0108】具体的には、上流から流れてくる輸送用気
体中の塵芥が塵芥捕獲部26によって除去されて下流へ
と流れるため、塵芥捕獲部26の上流側に配置される第
4の状態検知部44により測定される塵芥の個数濃度
は、下流側に設けられている第3の状態検知部43によ
り測定される塵芥の個数濃度よりも高くなっているはず
である。
【0109】したがって、塵芥捕獲部26の下流側に存
在する第3の状態検知部43の測定値が、上流側に存在
する第4の状態検知部44の測定値とあまり差がなけれ
ば、塵芥捕獲部26における塵芥除去効率が低下してい
ると見なすことができる。それゆえ、図21のフローチ
ャートに示すように、上記第3・第4の状態検知部(粒
子濃度測定器)43・44により個数濃度を測定した後
(S71)、第3の状態検知部43による塵芥の個数濃
度の測定値と第4の状態検知部44による塵芥の個数濃
度の測定値とを比較し(S72)、この比較結果が規定
値の範囲から外れていれば、塵芥捕獲部26におけるフ
ィルタを交換する表示や警報を発令するようにする(S
73)。なお、上記比較結果が規定の範囲内であれば、
個数濃度を測定するS71に戻る。また、本実施の形態
では、上記比較は双方の測定値の差分の算出である。
【0110】上記蒸気供給部20に設けられる第3・第
4の状態検知部43・44は、図20に示すような粒子
濃度測定器以外に、図22に示すような圧力計や、図2
3に示すような流量測定器であってもよい。
【0111】上述したように、塵芥捕獲部26における
フィルタは塵芥を多く処理することによって目詰まりす
るので、この目詰まりの状態では、該フィルタを通過す
る輸送用気体の圧力は、上流側の方が下流側よりも大き
くなる。そこで、上記各圧力計における圧力の測定値を
比較した場合、上流側の圧力と下流側の圧力とがほぼ同
一であれば目詰まりは生じていないことになるが、上流
側の圧力が下流側の圧力よりも大きければ、フィルタが
目詰まりしていると判断することができる。
【0112】それゆえ、図24に示すフローチャートの
ように、上記圧力計で圧力を測定した際(S81)の圧
力差が大きい場合(S82)には、塵芥捕獲部26にお
けるフィルタを交換する表示や警報を発令するようにす
る(S83)。なお、このときの制御は、図21に示し
た制御系とほぼ同様であるため(図24では、S81な
いしS83)、その説明は省略する。また、第3・第4
の状態検知部43・44としては、上記圧力計に変え
て、上流側と下流側の圧力差を測定する差圧計であって
もよい。
【0113】また、塵芥捕獲部26におけるフィルタが
目詰まりすれば、上流側の輸送用気体の流量に比べて、
下流側における輸送用気体の流量の方が小さくなるた
め、各流量測定器の測定値に差がない場合は、目詰まり
は生じていないことになる。一方、上流側の流量が下流
側の流量よりも大きければ、フィルタが目詰まりしてい
ると判断することができる。それゆえ、図25に示すフ
ローチャートのように、上記流量測定器で流量を測定し
た際(S91)の流量差が大きい場合(S92)には、
塵芥捕獲部26におけるフィルタを交換する表示や警報
を発令するようにする(S93)。なお、このときの制
御系も、図21に示した制御系とほぼ同様であるため
(図25では、S91ないしS93)、その説明は省略
する。また、フィルタの目詰まりが進行すると、各流量
測定器の測定値が設定値よりも低下するので、それを検
出して制御してもよい。
【0114】さらに、本発明にかかる樹脂被覆微粒子の
製造方法では、蒸気供給部20の気体流入部22に設け
られている第3・第4の状態検知部43・44として、
上述した塵芥の個数濃度、圧力、および流量を2つ以上
組み合わせて輸送用気体の流入状態(輸送条件)を検知
する方法であってもよい。これによって、より一層正確
な状態検知が可能となる。なお、この状態検知の方法と
しては、塵芥捕獲部26の目詰まりを確実に判定できる
方法であれば特に限定されるものではない。
【0115】本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造方法
および樹脂被覆微粒子の製造装置では、混合部30で得
られた樹脂粒子3は、蒸気供給部20および粒子供給部
10から流入する輸送用気体によって輸送され、装置の
外へ搬出される。ここで、図2に示す粒子排出口60の
位置に、図26または図27に示すように、得られた樹
脂粒子3を上記輸送用気体の流れから捕獲するための粒
子捕獲部(粒子捕獲手段)70を設けることによって、
樹脂粒子3を回収する。なお、粒子捕獲部70の前段に
は、後述する第2の粒子形成状態検知部46bを記載し
ているが、これは、粒子排出口60の配置を確実に説明
するためのものであり、粒子捕獲部70の構成とは直接
関連しない。
【0116】上記粒子排出口60の近傍に粒子捕獲部7
0を設けることによって、得られる樹脂粒子3を有効か
つ効果的に捕集することができるとともに、製造装置外
への樹脂粒子3の飛散を防止することができる。
【0117】上記粒子捕獲部70の構成としては、得ら
れる樹脂粒子3を確実に回収することができるものであ
れば特に限定されるものではないが、たとえば、図26
に示すように、フィルタ71を有する構成を好適に用い
ることができる。このフィルタ71としては、樹脂粒子
3を確実に捕獲することができるとともに、輸送用気体
の流れを妨げることが回避できるものであれば特に限定
されるものではないが、好ましくは、バグフィルタ・H
EPAフィルタ・ULPAフィルタの少なくとも1つが
用いられる。
【0118】上記フィルタ71を用いることで、樹脂粒
子3を輸送する輸送用気体の流れを妨げることなく、効
率的に樹脂粒子3を捕獲することができるとともに、微
小な樹脂粒子3であっても、効果的に補集することがで
きる。
【0119】本発明における粒子捕獲部70としては、
上記フィルタ71を用いた構成以外に、図27に示すよ
うに、空気力学作用を利用している粒子捕獲部を挙げる
ことができる。
【0120】たとえば、図27に示す構成はサイクロン
72であり、このサイクロン72に代表される空気力学
的な力を利用した粒子捕獲部70を用いて樹脂粒子3を
捕獲すれば、連続的に樹脂粒子3を捕集することが可能
となる。
【0121】さらに、図28に示すように、空気力学的
な力と上記フィルタ71とを組み合わせる構成であって
もよい。図28では、先にサイクロン72で樹脂粒子3
を捕獲してから、フィルタ71によって、輸送用気体中
に残存している樹脂粒子3を捕獲している。
【0122】サイクロン72は、樹脂粒子3を含む輸送
用気体に旋回する流れを与える遠心分離の効果によっ
て、粒子径が大きい樹脂粒子3を下方に落下させる構成
となっている。そのため、粒子径が小さい樹脂粒子3
は、そのまま排出されるおそれがあるが、排出された輸
送用気体中に含まれる樹脂粒子3をさらにフィルタ71
によって回収することで、樹脂粒子3をより確実に捕獲
することができる。また、フィルタ71のみで樹脂粒子
3の捕獲を行う場合と比較して、フィルタ71の寿命を
延ばすことができる。
【0123】また、上述したフィルタ71やサイクロン
72、あるいは両者を組み合わせて樹脂粒子3を捕獲し
た後段に、さらに確実に樹脂粒子3を捕獲するための構
成を設けても構わない。具体的な方法としては、上記フ
ィルタ71やサイクロン72を複数設けることや、ある
いは、図29に示すように、樹脂粒子3の粒子径を制御
する粒子径制御部(粒子径制御手段)75を設けて樹脂
粒子3を捕獲する方法が挙げられる。
【0124】形成された樹脂粒子3は比較的粒子径が揃
っており、フィルタ71やサイクロン72などの粒子捕
獲部70でほとんどが捕獲される。しかしながら、小さ
な樹脂粒子3が混在している場合には、フィルタ71や
サイクロン72などの粒子捕獲部70によっては捕獲さ
れない可能性がある。
【0125】そこで、こういった小さな樹脂粒子3を捕
獲するために、粒子径制御部(粒子径制御手段)75に
よって、樹脂粒子3の表面に被膜された樹脂膜とは反応
しにくい物質、すなわち、樹脂膜との反応性が低い物質
を凝縮させ、粒子径を一時的に大きくすることによって
小さな樹脂粒子3を捕獲する方法が挙げられる。なお、
上記樹脂膜との反応性が低い物質を、以下、捕獲用材料
とする。
【0126】この粒子径制御部75は、図29に示すよ
うに、前述した蒸気供給部20とほぼ同様の構成を有す
る捕獲用材料蒸気供給部(捕獲用材料蒸気供給手段)7
6と、捕獲用材料蒸気を捕獲されなかった樹脂粒子3上
に凝縮させる第2混合部77と、該第2混合部77中で
樹脂粒子3および捕獲用材料蒸気を冷却する第2冷却部
(第2混合部冷却手段)78と、配管52とを少なくと
も有している。
【0127】なお、捕獲用材料蒸気供給部76の構成に
ついて説明しておくと、蒸気生成箱76a、気体流入部
76b、捕獲用材料79を貯蔵する捕獲用材料貯槽部7
6c、加熱装置76d、排出口76e、塵芥捕獲部76
fが設けられており、その配置や機能は蒸気供給部20
の構成と同様である。
【0128】上記粒子径制御部75による樹脂粒子3の
粒子径の制御としては、前述した液滴6(微粒子4)上
に樹脂材料蒸気を被覆するプロセスとほぼ同様に行えば
よい。図30に示すように、この粒子径制御により粒子
径が大きくなった樹脂粒子3は後段に設けられた粒子捕
獲部70により捕獲される。なお、図30に示すよう
に、第2冷却部78は、後段の粒子捕獲部70に設けら
れていても良い。
【0129】上記粒子径制御部75にて用いる捕獲用材
料としては、被膜された樹脂膜と反応しにくいものであ
れば特に限定されるものではないが、たとえば、エチル
アルコールや水などの揮発し易い液体を用いることが好
ましい。
【0130】上記粒子径制御部75を用いることによっ
て、粒子捕獲部70では捕獲できない小さな樹脂粒子3
であってもその粒子径を大きくすることができる。それ
ゆえ、形成された樹脂粒子3をより一層確実に捕獲する
ことができる。また、粒子径を制御する捕獲用材料とし
て樹脂と反応しにくい物質を選択するので、最終生成物
である樹脂粒子3に悪影響を及ぼすことを回避できる。
【0131】上記粒子捕獲部70の構成としては、図2
6に示すような、フィルタ71が備えられている構成
や、図27に示すようなサイクロン72のみが単に設け
られている構成であってもよいが、好ましくは、図31
または図32に示すように、フィルタ71やサイクロン
72などの粒子捕獲部70に加えて、捕獲した樹脂粒子
3を収容する粒子収容部(粒子収容手段)73を備えて
いる構成となっている。つまり、本発明における樹脂粒
子3の捕獲は、樹脂粒子3を集める工程と、集めた樹脂
粒子3を収容する工程との少なくとも二段階からなって
いることが好ましい。
【0132】上記粒子収容部73は、図31に示すよう
に、捕獲した樹脂粒子3を収容する粒子収容器73a
と、粒子捕獲部70としてのフィルタ71が一体化した
構成となっている。この構成に加えてさらに図32に示
すようにサイクロン72を備えていても良いし、フィル
タ71を多段階に備えていても良い。粒子収容器73a
は収容した樹脂粒子3を収容できる構成であれば特に限
定されるものではないが、収容している樹脂粒子3の帯
電を防止するために、導電性材料にて形成することが好
ましい。上記導電性材料としては各種金属が挙げられる
が、ガラスや樹脂によって粒子収容器73aを形成した
上で、さらに、導電性処理を施したものを用いる構成で
あってもよい。
【0133】粒子収容器73aに収容された樹脂粒子3
の量は後述する粒子収容状況検知部(状態検知手段)に
よってモニターし、該粒子収容器73aに収容された樹
脂粒子3が所定量となった場合には、粒子収容器73a
のみ、またはフィルタ71および粒子収容器73aをと
もに取り外せるようになっている。上記取り外しのため
の構成としては特に限定されるものではないが、たとえ
ば、図33に示すように、複数のバルブ53a・53b
・53cを設け、取り外しの際に、外気に触れる部位の
バルブ53a・53bを閉じた状態で、粒子収容器73
aの取り外しや接続ができるような構成が好ましい。
【0134】粒子収容器73a内で樹脂粒子3が所定量
となると、その粒子収容器73aを取り外して新たな粒
子収容器73aを取り付けることになるが、この粒子収
容器73aの交換に際して、粒子収容器73a内が大気
にさらされ、大気中に存在する異物が粒子収容器73a
内に付着するおそれがある。粒子収容器73a内に異物
が付着すると、得られた樹脂粒子3中に異物が混入して
樹脂粒子3の品質を低下させることになる。それゆえ、
収容後の樹脂粒子3から上記異物を除去するための工程
が必要となって、樹脂粒子3の製造工程を煩雑化するこ
とになるとともに、製造効率も低下するため好ましくな
い。
【0135】そこで、本発明では、たとえば、図33に
示すように、粒子収容部73の前段に粒子収容部73用
の気体供給部(気体供給手段)56を設け、塵芥が除去
された清浄な気体を粒子収容器73a内に導入してい
る。すなわち、粒子収容器73aを交換した場合には、
バルブ53aを開放して上記気体供給部56から所定の
圧力に調整された清浄な気体が流入し、粒子収容器73
a内に吹き付ける。この気体の吹き付けによって粒子収
容器73aの内壁面に付着している異物が除去され、さ
らに除去された該異物は、フィルタ71により捕獲され
る。
【0136】粒子収容器73a内に導入される気体は、
粒子供給部10や蒸気供給部20などに導入される輸送
用気体と同様で、HEPAフィルタなどを介して塵埃が
除去された清浄な気体であるので、粒子収容器73a内
を汚染することがなく、容易に異物を除去することがで
きる。この気体供給部56は、本発明にかかる樹脂被覆
微粒子の製造装置に組み入れても良く、また、装置とは
別個に独立して配置してもよい。
【0137】さらに、上記粒子収容部73には、図34
に示すように、上記フィルタ71とは別に第2の排気ラ
インである気体排出部57を設けても良い。この気体排
出部57は、バルブ53d・53e間で取り外し可能に
接続されており、粒子捕獲部70として、たとえばフィ
ルタ57aが備えられている。
【0138】上述した各プロセスを経て最終的に得られ
た樹脂粒子3は、配管52を介して粒子収容器73a内
に収容される、輸送用気体はフィルタ71から排出され
るが、この輸送用気体の排出に際して、粒子収容器73
a内の樹脂粒子が舞い上がるなどしてフィルタ71に付
着するおそれがある。そのため、長時間の使用ではフィ
ルタ71が閉塞してしまう。
【0139】上記フィルタ71の閉塞が、粒子収容器7
3aに樹脂粒子3が所定量になる途中の段階で発生する
と、樹脂粒子3の製造装置全体を一時停止させてフィル
タ71を交換しなければならなくなるという問題点を生
ずる。また、途中の段階で上記フィルタ71を交換する
と、粒子収容器73aが大気に触れて内部に異物などが
入り込む可能性もあって好ましくない。
【0140】そこで、粒子捕獲部70としてのフィルタ
71が閉塞した場合には、気体排出部57のバルブ53
d・53eを開放し、該気体排出部57に設けられてい
るフィルタ57aを介して輸送用気体を排出すればよ
い。具体的なプロセスについて説明すると、図35に示
すように、まず、フィルタ71が閉塞していると判断さ
れると、S101として、気体排出部57のバルブ53
d・53eを開放して輸送用気体の排出を行う。次にS
102として、粒子捕獲部70(フィルタ71)により
通常通り樹脂粒子3の捕獲し、粒子収容部73に収容す
る。なお、粒子収容部73内の樹脂粒子3の量は後述す
る方法で常に検知されている。
【0141】次に、S103として、粒子収容器73a
内で樹脂粒子3が所定量となったとすると、気体排出部
57のバルブ53d・53eを閉じ、S104として、
樹脂粒子3が捕獲された気体排出部57のフィルタ57
aを交換する。
【0142】この気体排出部57は非常用の排気ライン
であるので、この気体排出部57におけるフィルタ57
aは粒子収容器73a内に樹脂粒子3が所定量になるま
でに生ずる飛散した樹脂粒子3を捕獲するだけの能力が
あればよい。それゆえ、粒子捕獲部70としてのフィル
タ71と同様の粒子捕獲能力を有するものは特に必要で
はない。また、いつ作動しても確実に樹脂粒子3を捕獲
できるように、フィルタ57aは常に新しいものとして
おくことが非常に好ましい。上述したように、気体排出
部57は、バルブ53d・53e間で適宜取り外せるよ
うに接続されているので、粒子収容器73a内に樹脂粒
子3が所定量となると、粒子収容器73aを取り外して
気体排出部57とは別個に処理を行うことが可能とな
る。
【0143】上述した構成では、単一の粒子捕獲部70
にて樹脂粒子3を捕獲しているため、捕獲した樹脂粒子
3を粒子収容部73から取り出すなどといった過程で捕
獲動作を中断する必要がある。これに対して、次に、樹
脂粒子3を捕獲するプロセスを中断せずに連続して樹脂
粒子3を捕獲する方法について説明する。
【0144】図36に示すように、連続して樹脂粒子3
を捕獲する粒子捕獲部は、樹脂粒子3を輸送するメイン
ラインとしての配管52、メインラインに設けられてい
るバルブ53g、該メインラインに対するバイパスライ
ンとしての配管54、バイパスラインの配管54に設け
られているバルブ53f・53h、配管52に設けられ
ている第1の粒子捕獲部81、配管54に設けられてい
る第2の粒子捕獲部82、緩衝部83、第1の粒子捕獲
部81の前後段に設けられている粒子捕獲状況検知部4
7a・47bなどを備えている。なお、粒子捕獲状況検
知部47a・47bについては後述する。
【0145】第1の粒子捕獲部81には複数のフィルタ
71が設けられており、内部で第1開閉部81aおよび
第2開閉部81bで仕切られた三つの収容室(第1ない
し第3収容室)81c・81d・81eを有するフィル
タ収容部84に収容されている。上記三つの収容室81
c・81d・81eのうち、中央部の第2収容室81d
はメインラインの配管52に直結するようになってお
り、該第2収容室81dの両端に位置する第1・第3の
収容室81c・81eは、メインラインに直結していな
い。代わりに、第1・第3の収容室81c・81eに
は、輸送用気体を導入するための気体導入口58がそれ
ぞれ一箇所ずつ設けられている。なお、第1開閉部81
aが第1・第2収容室81c・81dを仕切っており、
第2開閉部81bが第2・第3収容室81d・81eを
仕切っている。
【0146】上記粒子捕獲部81・82の動作につい
て、図37に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、第2収容室81d内のフィルタ71が、樹脂粒子
3を捕獲する許容量を超えたことが検知されると、メイ
ンラインのバルブ53gを閉じ、バイパスラインのバル
ブ53f・53hを開放して、バイパスラインの配管5
4を介して第2の粒子捕獲部82内のフィルタ71によ
る樹脂粒子3の捕獲を行う(S111)。
【0147】このバイパスラインによる樹脂粒子3の捕
獲の間、第1の粒子捕獲部81では、捕獲した樹脂粒子
3で捕獲の許容量を超えたフィルタ71をフィルタ収容
部84から取り出し、新たなフィルタ71をフィルタ収
容部84内に取り付ける必要がある。そこで、第3収容
室81eに対して気体導入口58より清浄な気体(輸送
用気体)を導入すると同時にフィルタ収容部84におけ
る第2開閉部81bを開放し(S112)、第2収容室
81dに収容されているフィルタ71を第3収容室81
eに移動させて、第2開閉部81bを閉鎖する(S11
3)。
【0148】次に、気体導入口58より第1収容室81
cに対して清浄な気体(輸送用気体)を導入すると同時
にフィルタ収容部84の第1開閉部81aを開放し(S
114)、第1収容室81cに収納されている新たなフ
ィルタ71を第2収容室81dに移動させて第1開閉部
81aを閉鎖する(S115)。
【0149】ここで、第1および第3収容室81c・8
1eに清浄な気体(輸送用気体)を導入する理由は、上
記フィルタ収容部84内を陽圧とし、メインラインを流
れる輸送用気体が外部に漏れることを防止するととも
に、大気中の異物がフィルタ収容部84内に入り込むこ
とを防止するためである。
【0150】なお、輸送用気体が外部に漏れることを防
ぐための構成としては、第2収容室81dに対して気体
導入口58を設け、フィルタ71を第3収容室81eに
移動させる前に第2収容室81d内を置換するような手
法であってもよい。
【0151】そして、第1収容室81cに新たなフィル
タ71をセットする(S116)。すなわち、第2収容
室81dに新たなフィルタ71がセットされた状態で、
さらに、次の新たなフィルタ71を第1収容室81cに
セットしているので、バイパスラインのバルブ53f・
53hを閉鎖し、メインラインのバルブ53gを開放し
て(S117)、メインラインによる樹脂粒子3の捕獲
を行う(S118)。上記一連の動作によって、メイン
ラインにおいて、フィルタ71が樹脂粒子3の捕獲許容
量を超えた場合に実行する必要がある、該フィルタ71
の交換作業を迅速に行うことができる。
【0152】なお、第1の粒子捕獲部81および第2の
粒子捕獲部82の前段には、上述したように緩衝部83
が配置されている。この緩衝部83は、上記各バルブ5
3f・53g・53hの開閉に伴う圧力の変動を緩和
し、樹脂被覆微粒子の製造装置における樹脂粒子3の形
成に影響が及ぼされることを回避するためのものであ
る。この緩衝部83の具体的な構成としては、たとえ
ば、配管52に対して比較的大きな容量となるように形
成される中空体が挙げられる。配管52のみでは圧力変
動がそのまま伝達されることになるが、上記中空体(緩
衝部83)を設けることにより圧力変動が分散されるた
め、圧力変動の緩和が可能になる。
【0153】上述した構成では、粒子捕獲部が複数並列
されていたが、捕獲した樹脂粒子3を収容する粒子収容
部を複数並列して配置する構成であってもよい。
【0154】具体的には、図38に示すように、粒子収
容部73を複数配置し、該粒子収容部73に接続される
配管52にそれぞれバルブ53iを設ける。粒子収容部
73内における樹脂粒子3の収容量は後述する方法によ
り粒子状態(輸送条件)として常に検知されており、粒
子収容部73内で樹脂粒子3が所定量になったと判断さ
れた場合には、次に新たな粒子収容部73のバルブ53
iを開放し、樹脂粒子3を収容するように構成されてい
る。
【0155】さらに、本発明にかかる樹脂被覆微粒子の
製造装置では、上記樹脂粒子3の捕獲に際して、粒子捕
獲部70の後段、すなわち、粒子捕獲部70から見て輸
送用気体の流れの下流側となる位置に、粒子捕獲部70
における樹脂粒子3の捕獲状態を検知する第1の粒子捕
獲状況検知部(状態検知手段)47aを備えていること
が好ましい。
【0156】上記構成では、樹脂粒子3を捕獲した後段
において、輸送用気体中における樹脂粒子3の個数濃度
や輸送用気体の圧力、輸送用気体の流量(輸送条件)な
どを確認することになる。そのため、樹脂粒子3の捕獲
状況(すなわち粒子状態)を正確に把握することができ
る。たとえば、粒子捕獲部70が樹脂粒子3を効率的に
捕獲していれば、後段における輸送用気体中の樹脂粒子
3の数量はほとんどないか、非常に少ない値となるが、
粒子捕獲部70に何らかの異常が発生して樹脂粒子3を
効率的に捕獲できなくなった場合には、後段における輸
送用気体中の樹脂粒子3の数量が増加する。それゆえ、
たとえば粒子捕獲状況として樹脂粒子3の個数濃度を用
いることにより、粒子捕獲部70による樹脂粒子3の捕
獲状況を的確に判断することができる。
【0157】さらに、粒子捕獲部70の前段、すなわ
ち、粒子捕獲部70から見て輸送用気体の流れの上流側
に、樹脂粒子3の捕獲状況を検知する第2の粒子捕獲状
況検知部47bを備えていることが好ましい。粒子捕獲
部70の前段で、輸送用気体中の樹脂粒子3の個数濃度
や、輸送用気体の圧力あるいは流量(輸送条件)を測定
することによって、樹脂粒子3や輸送用気体の状況を的
確に把握することができる。
【0158】上記第1・第2の粒子捕獲状況検知部47
a・47bの構成としては、前述した蒸気供給部20に
設けられる第3・第4の状態検知部43・44に用いら
れている構成と同様のものを用いることができる。具体
的には、図39に示すような光学的手段を用いた粒子濃
度測定器(図20と同様)や、図40に示すような圧力
計(図22と同様)や、図41に示すような流量測定器
(図23と同様)であってもよい。なお、図36に示す
ように、第1の粒子捕獲部81と第2の粒子捕獲部82
とが並列している場合でも、第1の粒子捕獲部81の前
後に第1・第2の粒子捕獲状況検知部47a・47bを
設けることが好ましい。
【0159】さらに、上記第1の粒子捕獲状況検知部4
7aの検知結果と第2の粒子捕獲状況検知部47bの検
知結果とを比較すれば、粒子捕獲部70でどの程度樹脂
粒子3が捕獲されたかを判定することが可能である上
に、上記比較結果が規定値の範囲外である場合、粒子捕
獲部70が樹脂粒子3の捕獲の許容量を超えていたり、
または、不備が発生したり(たとえば、樹脂粒子3を捕
獲し続けているにも関わらず、第1・第2の粒子捕獲状
況が変化しないなど)している際には、表示手段などに
よって、粒子捕獲部70を点検するように表示したり警
報を発令したりすることができる。
【0160】具体的には、粒子捕獲部70として、たと
えばフィルタ71を用いたとすると、フィルタ71が樹
脂粒子3を捕獲していくに伴って、フィルタ71の孔が
目詰まりしていき、それ以上の樹脂粒子3を捕獲できな
くなる。このとき、上記第1・第2の粒子捕獲状況(樹
脂粒子3の個数濃度、輸送用気体の圧力、輸送用気体の
流量)を比較すれば、フィルタ71の目詰まりの状況を
容易に把握することができるとともに、フィルタ71の
交換時期を的確に知ることができる。また、仮にフィル
タ71にピンホールが形成されて、樹脂粒子3を確実に
捕獲できなくなったような場合も、上記各粒子捕獲状況
を比較することにより、容易に把握することができる。
【0161】なお、上述した説明では、粒子捕獲状況と
して、樹脂粒子3の個数濃度、輸送用気体の圧力、また
は輸送用気体の流量を用いたが、樹脂粒子3の捕獲状況
を的確に判定できればこれら各条件に限定されるもので
はない。また、上記各条件は一つのみ用いても良いが二
つ以上組み合わせて用いても良い。
【0162】また、粒子捕獲部70の点検を表示・警告
する表示手段としては、液晶ディスプレイなどによる文
字列の表示や、音声による表示、警告灯や警告音を発す
る警告装置などを用いることができるが特に限定される
ものではない。
【0163】上述した各パラメータを用いて、粒子捕獲
部70における粒子捕獲状況を把握するための制御は、
図42ないし図44に示すフローチャートに基づいて実
行すればよい。
【0164】たとえば、図36に示したバイパスライン
を有する第1・第2の粒子捕獲部81・82を備える場
合についての制御について説明すると、まず、図42に
示すように、S121として、第1の粒子捕獲部81の
前段および後段で測定した輸送用気体中における粒子捕
獲状況(樹脂粒子3の個数濃度、気体の圧力・流量な
ど)を検知する。次に、S122として、これら検知し
た粒子捕獲状況を比較して、この比較結果が規定値の範
囲内であるか否かを判定する。範囲内であれば、そのま
ま、粒子捕獲状況の検知および比較を継続して行う(す
なわち、S121・S122を繰り返す)が、範囲外で
あれば、S123として、第2の粒子捕獲部82にて樹
脂粒子3を捕獲し、その旨を表示する。なお、第2の粒
子捕獲部82による樹脂粒子3の捕獲プロセスについて
は前述しているので省略する。
【0165】次に、図33に示した粒子収容部73を備
える場合の制御について説明すると、粒子収容器73a
内における樹脂粒子3の収容状態を把握するには図45
に示すように、粒子収容器73a内の圧力を圧力計63
により測定することが簡便である。この圧力計63は、
粒子収容部73における粒子収容状態(輸送条件)を検
知する粒子収容状態検知部(状態検知手段)45として
機能する。このとき測定する圧力はフィルタ71を介し
て粒子収容器73a内外の差圧であってもよいし、粒子
収容器73a内の絶対圧やフィルタ71から排出される
輸送用気体の流量であってもよい。
【0166】この粒子収容部73を有する場合について
の制御は、図43のフローチャートに示すように、基本
的には、図42で説明した制御と同様であり、S131
ないしS133のうち、S132での検知結果の比較に
際して、比較結果が規定値の範囲外のとき、S133で
排出部材を作動させるとともに、その旨を表示する点が
異なっているのみであるため、フローチャート全体の説
明は省略する。また、気体排出部57を作動させるプロ
セスについては前述しているので省略する。
【0167】また、前述した各パラメータを用いて粒子
捕獲部70における粒子捕獲状況を的確に把握し、その
結果に基づいて粒子捕獲状況を表示したり、あるいは、
警報を発令する場合も上述した各制御と同様に行えばよ
い。上記粒子捕獲状況の表示や警報発令の制御として
は、たとえば図44に示すフローチャート(S141な
いしS143)のように、図42や図43とほぼ同様の
制御を行うことができる。なお、図44のフローチャー
トの説明については省略する。
【0168】上記粒子収容部73を有する場合の制御に
おいて、樹脂粒子3の収容状況を判定する手法として
は、光学的手法を用いることができる。
【0169】すなわち、粒子収容器73a内における樹
脂粒子3の収容状態(輸送条件)を検知する粒子収容状
態検知部45として、たとえば、図46に示すように、
粒子収容器73a内にレーザ光を走査しながら照射し、
その走査結果から粒子収容器73a内の樹脂粒子3の収
容状態を判定する光学走査検知器64を挙げることがで
きる。
【0170】この光学走査検知器64は、レーザ光を発
する光源64aと、該レーザ光を粒子収容器73aに対
して照射するための光学系(ビームエキスパンダー、ポ
リゴンミラー、コリメータレンズなど)64cと、発生
したレーザ光を検知する参照光用測定器64bと、粒子
収容器73a内を照射して透過したレーザ光を集光する
集光レンズ64dと、集光レンズ64dにより集光され
た光を検知する検知器64eとを備えている。
【0171】上記光学走査検知器64は、粒子収容器7
3a内に設けられた基準点と粒子収容器73a内におけ
る樹脂粒子3の最上部までの距離を測定し、あらかじめ
設定しておいた規定値に達するか否かによって、樹脂粒
子3の収容状態を検知するものである。
【0172】また、その他の光学的手段としては、樹脂
粒子3の有無により照射される光の反射率が異なること
を利用して、粒子収容器73a内に光を照射して得られ
る反射光を検出することにより、樹脂粒子3の収容状態
を確認する構成が挙げられるが特に限定されるものでは
ない。
【0173】なお、光学的手法を用いた粒子収容状態検
知部45を用いる場合、粒子収容器73a全体を透明導
電性材料で処理された樹脂やガラスで形成する、あるい
は、検知する領域のみを透明な材料で構成することが好
ましい。
【0174】上記粒子収容状態検知部45としては、上
述した各光学的手法を用いる以外に、重量を用いた手法
であってもよい。つまり、粒子収容部73の風袋の重量
を計測しておき、樹脂粒子3が収納されていくに伴う重
量の増加を計測し、後述する表示部(表示手段)により
粒子収容部73からの樹脂粒子3の回収を表示したり警
報を発令したりする。
【0175】上記粒子収容状態検知部45を用いて実行
される粒子収容器73a内における粒子収容状態の判定
方法は、図47に示すように、それぞれ、基本的に3つ
のステップからなっている。まず、図38に示すよう
に、複数の粒子収容部73を備えている場合について説
明すると、最初にS151として粒子収容部73内の樹
脂粒子3の存在量を測定する。次に、S152として、
測定値とたとえば基準値とを比較することにより比較結
果を得る。次に、この比較結果が規定値の範囲内であれ
ば、S153として樹脂粒子3を捕獲している粒子収容
部73のバルブ53iを閉鎖し、新しい粒子収容部73
のバルブ53iを開放してその旨を表示する。なお、比
較結果が規定値の範囲外であればそのまま粒子収容部7
3内における樹脂粒子3の存在量の測定を継続する。
【0176】また、上記粒子収容状態検知部45により
粒子収容器73a内に樹脂粒子3が所定量以上収容され
ていると判定された場合には、該粒子収容器73a内の
樹脂粒子3を自動的に排出させる構成となっていてもよ
い。なお、樹脂粒子3を排出するにあたっては、閉塞を
防ぐために超音波振動などによる前述した振動部51を
設け、常時あるいは間欠的に粒子収容部73に対して振
動を与えていても構わない。
【0177】上述してきた粒子収容部73の構成とし
て、並列した状態で複数の粒子収容部73を備えている
構成だけでなく、複数の粒子収容部73が直列で設けら
れている構成であってもよい。この構成を採用すれば、
上述した自動的な樹脂粒子3の排出が可能となる。
【0178】具体的には、図48に示すように、第1の
粒子収容部73と第2の粒子収容部74とを備えている
構成が挙げられる。第1の粒子収容部73の下方にはバ
ルブ53jが設けられており、捕獲した樹脂粒子3を第
2の粒子収容部54に輸送するための配管52に接続さ
れている。なお、このときの樹脂粒子3の輸送は前述し
てきた清浄な輸送用気体によってなされる。また、第2
の粒子収容部74に輸送用気体を導入するために、上記
配管52には気体導入用のバルブ53kが設けられてい
る。
【0179】上記第1の粒子収容部73および第2の粒
子収容部74はともに粒子収容器73a・74aとフィ
ルタ71とを備えている構成であるが、第1の粒子収容
部73はサイクロン72と一体化されていてもよい。た
とえば、図49に示すように、粒子捕獲部70としてサ
イクロン72が設けられ、さらにこのサイクロン72の
下方に第1の粒子収容部73が設けられている構成であ
ってもよい。このときサイクロン72にはフィルタ71
が設けられていても良い。なお、図49に示すその他の
構成は、図48に示す構成と同様であるのでその説明は
省略する。
【0180】また、サイクロン72の構成については前
述した構成と同一であるので詳細な説明は省略する。さ
らに、第1の粒子収容部73と一体化されている粒子捕
獲部70の構成はサイクロン72に限定されるものでは
ない。
【0181】上記直列で複数の粒子収容部73・74を
備えている場合についての制御について図50に示すフ
ローチャートに基づいて説明すると、まず、S161と
して、粒子収容状態検知部45(図48・49には図示
せず)により第1の粒子収容部73内の樹脂粒子3の収
容量を測定する。次に、S162として、上記収容量
(測定値)を基準値と比較することにより、樹脂粒子3
の収容量が所定量以上収容されていると判定されると、
S163として第1の粒子収容部73の下方に設けられ
たバルブ53jおよび気体導入用のバルブ53kを開放
し、第1の粒子収容部73に収容されている樹脂粒子3
を上記輸送用気体によって第2の粒子収容部74に輸送
する。ここで測定される樹脂粒子3の収容量が所定量以
下であれば再度S161およびS162を繰り返す。
【0182】なお、第1の粒子収容部73に流入する樹
脂粒子3の量に対し、該第1の粒子収容部73から第2
の粒子収容部74へ流出する樹脂粒子3の量を同等以下
とすることにより、常に第1の粒子収容部73内に粒子
を存在させることができる。それゆえ、この第1の粒子
収容部73内に存在する樹脂粒子3の層により、第1の
粒子収容部73に流入する輸送用気体の流れが第2の粒
子収容部74に流入することを防ぐことができる。
【0183】すなわち、前記混合部30において、液滴
6に樹脂材料蒸気を凝縮させ被膜する過程ではこの被膜
の副生物として不純物の気体が発生する。しかしなが
ら、上記樹脂粒子3の層によりこの気体を含む混合部3
0からの輸送用気体の流れが、最終的な樹脂粒子3の回
収を行う第2の粒子収容部74に流入することを回避す
ることができる。なお、第1の粒子収容部73に流入す
る樹脂粒子3の量(流入量)と流出する樹脂粒子3の量
(流出量)とは、たとえば流量測定器により測定するこ
とができる。
【0184】このように、粒子収容状態検知部45にて
検知される樹脂粒子3の量は必ずしも粒子収容器73a
内で満杯となる必要はなく、輸送用気体を遮断できる程
度の量であればよい。上記構成を用いれば、捕獲した樹
脂粒子3を容易に回収して利用することができるととも
に、作業者が樹脂粒子3の回収をいちいちおこなわなく
ても自動的な回収を行うことができるので、作業効率も
より一層向上させることができる。
【0185】本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造方法
および樹脂被覆微粒子の製造装置では、図3に示す蒸気
供給部20(20a)における蒸気生成箱21内の処理
空間21aの内壁部21bが、樹脂材料の含有を可能と
し、かつ、輸送用気体と直接に接触する多孔質材料から
なっている。
【0186】本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造装置
では、図3に示すように、蒸気供給部20における蒸気
生成箱21に、気体流入部22から輸送用気体(加熱さ
れていてもかまわない)を流入させ、蒸気化された樹脂
材料(モノマー5)を輸送しているが、さらに、この蒸
気を蒸気生成箱21の内壁部21bに含浸させるととも
に、この内壁部21bに上記高温の輸送用気体を直接接
触させることによって、より一層効率的に樹脂材料蒸気
を発生させている。
【0187】しかも、上記内壁部21bを、樹脂材料と
の親和性が高い材質で形成すれば、樹脂材料上記の含浸
の効率を向上させることができる。この樹脂材料との親
和性が高い材質としては特に限定されるものではない
が、表面を粗したガラス、セラミック、不織布、織物布
などを挙げることができる。
【0188】この蒸気供給部20は、上記樹脂材料蒸気
を効率よく発生させるとともに、混合部30で形成され
る樹脂粒子3を精度よく制御するために、処理空間21
a内の温度(供給条件)を測定する温度測定器61cを
備えている。この温度測定器61cは、処理空間21a
内の温度の測定が可能であれば特に限定されるものでは
ないが、熱電対を有する構成を好適に用いることができ
る。
【0189】この温度測定器61cは、蒸気供給部20
において、樹脂材料の蒸気化を行うに当たって何らかの
異常が発生した場合に、それを検知して、その異常に迅
速かつ的確に対応できるような制御を行う。この制御に
ついて具体的に説明すると、図51に示すように、ま
ず、S171として、蒸気供給部20の処理空間21a
内における温度を測定する。
【0190】次に、S172として、上記測定値をあら
かじめ設定している設定値と比較する。この比較結果が
規定値の範囲内であれば、そのままS171・S172
を繰り返すが、規定値の範囲外であれば、温度測定器6
1cの出力に基づいて、S173として、該温度測定器
61c、温度の制御を行う図示しない温度制御部、およ
び温度を上昇させるための加熱装置24を点検するよう
に、図示しない表示部(表示手段)により表示したり警
報を発令させたりする。
【0191】上記表示部としては、特に限定されるもの
ではなく、たとえば、液晶を利用した液晶表示装置や、
音声による警報などを発する表示装置、あるいは、パネ
ルに製造装置の該略図を記載しておき、異常の発生のお
それがある箇所のランプが点灯するような表示装置など
といった種々の表示手段を用いることができる。
【0192】上記蒸気供給部20では、上述した処理空
間21a内の温度を測定することにより、樹脂材料蒸気
の発生を制御してもよいが、温度以外のパラメータとし
て、処理空間21a内に流入している輸送用気体の流量
を測定する方法が挙げられる。すなわち、図3に示すよ
うに、上記輸送用気体の流量(供給条件または輸送条
件)を測定する流量測定器62bをさらに備えているこ
とが好ましい。この流量測定器62bとしては、特に限
定されるものではないが、熱線風速計などを好適に用い
ることができる。
【0193】処理空間21a内に流入する輸送用気体の
流量を測定して、樹脂材料蒸気の生成を制御する方法と
しては、図52に示すように、上記処理空間21a内の
温度を測定する場合における制御と同様となっている
(図52ではS181ないしS183)ため、その説明
は省略する。
【0194】本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造方法
および樹脂被覆微粒子の製造装置では、上記蒸気供給部
20は、上述したように、樹脂材料を蓄積する樹脂材料
貯槽部23と、蒸気生成箱21を備えている。この蒸気
生成箱21は、図3に示すように、樹脂材料貯槽部23
から供給される樹脂材料を含有するととも、生成した樹
脂材料蒸気を輸送するための所定の方向に流れる輸送用
気体に接触し得る内壁部21bを有している。
【0195】図3に示すように、蒸気生成箱21は、樹
脂材料貯槽部23の配置状態から見て排出口25側が上
方となるように傾斜して配置している。つまり、蒸気生
成箱21は、樹脂材料貯槽部23の配置状態に平行とな
るように配置されている訳ではない。
【0196】具体的には、樹脂材料貯槽部23を下方側
に水平に配置するとともに、蒸気生成箱21を、該樹脂
材料貯槽部23の上方に形成される空間に連続するよう
に、かつ、図2および図3に示すように、θが90°以
内(θ≦90°)の角度で傾斜するように配置してい
る。
【0197】この構成を有していることにより、蒸気供
給部20の壁面に付着した材料が重力により樹脂材料貯
槽部23に戻ることになる。そのため、樹脂材料の使用
効率が向上するとともに、輸送用気体との接触面積が大
きくなるため(表面積が大)、樹脂材料を蒸発させて蒸
気化し易くすることができる。なお、図2および図3に
示す、樹脂材料貯槽部23と蒸気生成箱21(内壁部2
1b)とで形成される角度θの範囲としては、0°より
大きく90°以下となっておれば特に限定されるもので
はない。
【0198】上記樹脂材料貯槽部23は、蓄積している
樹脂材料の残量(供給条件)を検知する残量検知部(状
態検知手段)を有している。この残量検知部を設けるこ
とによって、樹脂材料の残量を把握し、樹脂粒子3の製
造の効率化を図ることができる。
【0199】たとえば、図53に示すように、レーザ光
をビームエキスパンダーで平行光として樹脂材料貯槽部
23の垂直方向にスキャンし、基準点と樹脂材料(モノ
マー5)間を透過する光量より、該基準点−樹脂材料
(モノマー5)間の距離を求める残量検知部65が挙げ
られる。なお、図53や図54では、樹脂材料貯槽部2
3の構成も簡素化しており、樹脂材料貯槽部23の底部
に加熱装置24のみ記載している。
【0200】樹脂材料貯槽部23の水平方向に幅を有す
るレーザ光は、光源59aから照射され、ポリゴンミラ
ー59bの回転に伴って垂直方向に走査され、コリメー
タレンズ59cを通過して樹脂材料貯槽部23の窓を垂
直に走査する。他方の窓を通過したレーザ光は集光レン
ズ59dを経由して検出器59eで検出される。レーザ
光が樹脂材料貯槽部23の窓を鉛直に走査する場合に、
レーザ光は樹脂材料(モノマー5)溜まりの上面で遮ら
れたり透過光量が変化したりする。走査中に遮られた時
間や所定の透過光量が観測される時間によって、樹脂材
料貯槽部23の窓に設けられた基準点から樹脂材料溜ま
りの上面までの距離を算出することができるので、樹脂
材料の残量を測定することができる。
【0201】また、レーザ光からの光は光学系に設けら
れているビームスプリッタによって分光し、参照光用検
出器59fで常にモニタしているので、検知結果を規格
化して評価することができる。たとえば、上記の検出器
59eにて走査中にレーザ光が遮られる時間だけでな
く、透過光の強度を検出することによって、樹脂材料貯
槽部23の窓への樹脂材料の付着の有無やレーザ出力の
変化などを知ることができる。
【0202】また、図54に示すように、上記残量検知
部65としては、複数の電極を用いる構成が挙げられ
る。この装置では、3本の電極65a・65b・65c
を用い、そのうち1本の電極65cをアース電位とす
る。他2本のうち一方の電極65bは他方の電極65a
より短くし、バイアス電圧を印加することにより樹脂材
料の液面における上下限の検知が可能である。
【0203】これら残量検知部65では、単に、樹脂材
料貯槽部23に蓄積されている樹脂材料の残量を検知す
るだけでなく、図54に示す構成のように、上限および
下限を検知することが好ましい。これによって、樹脂材
料の残量を検知するだけでなく、樹脂材料の自動供給を
可能とする。
【0204】上記樹脂材料の自動供給について説明する
と、まず、図55に示すように、S191として一回目
の残量の測定を行う(X=1)。次に、S192とし
て、測定した樹脂材料の残量を基準値と比較する。この
とき、比較結果が規定値の範囲内であれば、そのままS
191・S192を繰り返すが、比較結果が規定値の範
囲外のとき、S193として、樹脂材料を供給し、その
旨表示する。その後、S194として、再度樹脂材料の
残量を複数回測定する(X=n:nは2以上の整数)。
S195として、上記測定値が規定値の範囲外である場
合は、S196として、樹脂材料を樹脂材料貯槽部23
に供給するための図示しない樹脂材料供給源を点検する
ように、前述した表示部に表示したり警報を発令したり
する。
【0205】上記構成により、樹脂材料貯槽部23への
樹脂材料の自動供給が可能となり、樹脂粒子3の製造を
効率化することができる上に、樹脂材料貯槽部23への
樹脂材料の供給を表示することにより、その旨を容易に
把握し、異常があった際に容易に対応することができ
る。
【0206】次に、本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製
造方法および樹脂被覆微粒子の製造装置において、微粒
子4に樹脂材料蒸気を凝縮させる過程について説明す
る。
【0207】図56に示すように、本発明にかかる樹脂
被覆微粒子の製造装置では、微粒子4と樹脂材料蒸気と
を混合するための混合部30が設けられている。この混
合部30は、処理空間31と、この処理空間31の上方
に設けられ、鉛直方向にほぼ沿うように縦長に形成され
ている緩冷却部32とを有している(図3参照)。
【0208】この混合部30では、混合を行う処理空間
31に対して、鉛直下方から上方に向かって微粒子4と
樹脂材料蒸気とが輸送されるため、処理空間31の壁面
に樹脂材料蒸気が凝縮して凝縮液滴(微粒子4を含む液
滴6ではない)を形成するような場合であっても、重力
を利用して、上記凝縮液滴を効率的に除去し、処理空間
31が閉塞することを防止することができる。
【0209】なお、上記混合部30と樹脂材料蒸気を供
給する蒸気供給部20とにより形成される角度ψは、図
3に示すように、ψが90°以内(ψ≦90°)の角度
で傾斜するように配置されている。この角度ψについて
は特に限定されるものではないが、蒸気供給部20から
見て混合部30はほぼ90°に近いことが好ましい。こ
のように混合部30を蒸気供給部20に対してほぼ90
°に近い角度で備えることにより、内壁に樹脂蒸気や微
粒子4が付着したような場合でも、重力により容易に下
方へ落下して、形成された完成品である樹脂粒子3に混
入することがない。そのため、樹脂粒子3の品質をより
一層向上させることができる。
【0210】上記処理空間31および緩冷却部32にお
ける内壁は、樹脂材料との親和性が低い材質により形成
されている。それゆえ、処理空間31および緩冷却部3
2の内壁の材質と樹脂材料とがなじみにくいため、内壁
と凝縮液滴との付着力が小さくなる。その結果、上述し
たように重力を利用して凝縮液滴などが回収されるため
処理空間31および緩冷却部32が閉塞することを防ぐ
ことができる。このとき用いられる処理空間31および
緩冷却部32の内壁の材質としては、PTFE(ポリテ
トラフルオロエチレン)やポリスチレンなどが挙げられ
る。
【0211】上記混合部30は、微粒子4と樹脂材料蒸
気とを混合する際に、樹脂材料蒸気が凝縮して発生する
凝縮液滴を回収する液滴回収部(液滴回収手段)33を
有している。この液滴回収部33の構成としては、たと
えば、図56に示すように、混合部30の処理空間31
の下方側を漏斗状に形成する構成が挙げられる。このよ
うに漏斗状に形成すれば、粒子供給部10や蒸気供給部
20から新たに供給される微粒子4や樹脂材料蒸気と凝
縮液滴とが混合せず、容易に回収が可能となる。また、
凝縮液滴が粒子供給部10や蒸気供給部20に戻ること
を防ぐことができる。なお、液滴回収部33に溜まった
凝縮液滴は常時、あるいは定期的に吸引などすることに
より排出すればよい。
【0212】さらに、上記混合部30は、図56に示す
ように、処理空間31内の温度を測定する温度測定器6
1a、および処理空間31内に流入する輸送用気体の流
量を測定する流量測定器62aを有していることが好ま
しい。
【0213】これら各測定器により測定された温度や流
量(供給条件および/または輸送条件)は、設定値と比
較された後に、該比較結果が規定範囲外のとき、前述し
た表示部に、温度や流量に異常が発生した旨と、温度測
定器61または流量測定器62、温度の制御を行う温度
制御部、温度を上昇させるための加熱装置24を点検す
る旨とを表示させたり警報を発令させる。このときの制
御については、図57(S201ないし203)、図5
8(S211ないし213)に示すように、前記蒸気供
給部20における制御(図52)と同様であるのでその
説明は省略する。
【0214】また、緩冷却部32での温度測定に関して
も、上記混合部30の処理空間31における温度測定方
法と同様の方法で行うことができる。
【0215】なお、前記蒸気供給部20における温度や
流量の測定と、この測定値を設定値と比較して得られる
比較結果に基づいての各構成の制御は、単に、優れた品
質の樹脂粒子3を効率的に製造するのみではなく、装置
のオペレータの安全や、製造システム全体の安全を確保
する目的も含まれる。すなわち、輸送用気体が高温であ
っても、また、樹脂粒子3の原料である樹脂材料蒸気に
毒性の強いものを用いる場合であっても、これらが装置
からリークして周囲の環境やオペレータに影響を及ぼす
ことを未然に防ぐことができる。
【0216】上述した混合部30で形成した樹脂粒子3
は、輸送用気体の流れによって装置の外へ排出される
が、本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造装置では、さ
らに、図59に示すように、上記混合部30で形成され
た樹脂粒子3の形成状態(粒子状態)を検知する粒子形
成状態検知部(状態検知手段)46を備えている。
【0217】この粒子形成状態検知部46は、得られる
樹脂粒子3の形成状態を粒子状態として検知し、確認で
きるものであれば特に限定されるものではないが、具体
的には、たとえば、樹脂粒子3の粒子径(形状)を測定
する粒子径測定器や、個数濃度を測定する粒子濃度測定
器を挙げることができる。なお、図59では粒子形成状
態検知部46としては粒子径測定器が用いられており、
さらに後述するが、緩冷却部32に2つの粒子形成状態
検知部46が設けられている。
【0218】上記粒子形成状態検知部46によって得ら
れる情報を用いれば、混合部30の処理空間31および
緩冷却部32内における各種条件を制御して、良質な樹
脂粒子3を効率よく製造することができる。
【0219】また、前述の粒子供給部10などにおける
状態検知部40と同様に、上記二種類の粒子形成状態検
知部46を併用してもよい。なお、上記二種類の粒子形
成状態検知部46をそれぞれ用いて行われる樹脂粒子3
の製造のための制御や、樹脂粒子3の製造に当たっての
異常の検知は、図60または図61に示すようなフロー
チャートにしたがってなされる。
【0220】まず、S221・S231として、上記粒
子形成状態検知部46で樹脂粒子3の粒子径や個数濃度
といった形成状態を検知(測定)する(X=1)。次に
S222・S232として、上記粒子形成状態検知部4
6により得られた検知結果(測定値)を基準値と比較
し、その比較結果が規定値の範囲内であるか否かを判定
する。規定値の範囲内であれば、そのままS221・S
231およびS222・S232のプロセスを繰り返す
が、規定値の範囲外であれば、S223・S233とし
て、粒子供給部10や蒸気供給部20の出力の調整を行
う。その後、S224・S234として、粒子形成状態
検知部46により再度樹脂粒子3の形成状態を所定回数
検知し(X=n:nは2以上の整数)、S225・S2
35としてこの所定回数の検知結果(測定値)を基準値
と比較する。この比較結果が規定値の範囲外である場合
には、S226・S236として、粒子供給部10や蒸
気供給部20を点検するように、表示や警報の発令を行
わせる。
【0221】上記粒子形成状態検知部46を用いた制御
でなされる調整について具体的に言及すると、粒子形成
状態検知部46として粒子径測定器を用いた場合では、
粒子径が大きくなることの原因として、まず、核となる
微粒子4の数が少ないことが挙げられる。樹脂粒子3の
大きさを左右する要因の一つとして、微粒子4と樹脂材
料蒸気の濃度とが挙げられる。樹脂材料蒸気の濃度に対
して微粒子4の数が少ないと個々の微粒子4に対する樹
脂材料蒸気の凝縮量が多くなり、その結果形成される樹
脂粒子3の粒子径は大きくなる。そこで、粒子径が所定
の範囲を超えるほど大きくなった場合には、微粒子4の
数を増加させるような制御を行う。
【0222】また、上述したように分散された微粒子4
は液滴6となっているが、これら液滴6同士が凝集する
ことによっても樹脂粒子3の粒子径は大きくなる。そこ
で、微粒子4の数の増加による制御でも樹脂粒子3の粒
子径が大きい状態にあれば、微粒子4の数を逆に減少さ
せたり、液滴6の生成条件を変化させるなどの制御を行
う。
【0223】さらに、樹脂粒子3の粒子径が大きくなる
原因としては、樹脂材料蒸気の温度が高い場合が挙げら
れる。これは、微粒子4と樹脂材料蒸気との温度差が大
きいと微粒子4に多くの量の樹脂材料蒸気が凝縮し易く
なるためである。そこで、この場合では、樹脂材料蒸気
の温度を下げる制御を行う。
【0224】一方、樹脂粒子3の粒子径が小さい場合の
原因としては、核となる微粒子4の数が多いか、樹脂材
料蒸気の温度が低いかが挙げられる。そこで、前者に対
しては、微粒子4の数を減少させる制御を行い、後者に
対しては、樹脂材料蒸気の温度を下げる制御を行う。
【0225】次に、粒子形成状態検知部46として粒子
濃度測定器を用いた場合では、個数濃度が高過ぎる場合
の原因として無核粒子の発生が挙げられる。すなわち、
混合部30で過飽和度が高くなりすぎると、核となる微
粒子4がなくても粒子が形成される、いわゆる無核粒子
が生成する確率が高くなる。この無核粒子が形成される
と、個数濃度が増加するとともに粒子径の変動が大きく
なるが、無核粒子の形成により明確に発生する現象とし
ては前者の個数濃度の増加が主である。
【0226】そこで、粒子濃度測定器によって測定され
た個数濃度が規定値よりも高過ぎる場合には、無核粒子
が発生している可能性が非常に高いので、無核粒子を発
生させないようにする制御が行われる。この無核粒子発
生を防止する制御としては、粒子供給部10に対して
は、微粒子4の供給数を増加させる、微粒子4を含む雰
囲気温度を上昇させる、または適度な過飽和度とするな
どが挙げられる。一方、蒸気供給部20に対しては、樹
脂材料蒸気の温度を下げるなどの対応が挙げられる。
【0227】これに対して個数濃度が低過ぎる場合に
は、核となる微粒子4の数が少ない、微粒子4を含む液
滴6同士が凝集するなどの原因が挙げられる。そのた
め、個数濃度が低過ぎる場合には、上記の原因に対応す
る制御を行う。
【0228】さらに、上記粒子形成状態検知部46は、
図59に示すように、輸送用気体の流れの上流側と下流
側との少なくとも二カ所に設けられていることが好まし
い。このとき、下流側に設けられている粒子形成状態検
知部46を第2の粒子形成状態検知部46bとし、上流
側に設けられている粒子形成状態検知部を第1の粒子形
成状態検知部46aとする。図59では、第1の粒子形
成状態検知部46aは、混合部30における緩冷却部3
2の上流側に設けられている一方、第2の粒子形成状態
検知部46bは、緩冷却部32の下流側、つまり、樹脂
被覆微粒子の製造装置の粒子排出口60近傍に設けられ
ている。このように混合部30内にて2箇所に第1・第
2の粒子形成状態検知部46a・46bを設けることに
よって、形成された樹脂粒子3の状態をリアルタイムに
モニターすることができる。
【0229】本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造方法
および樹脂被覆微粒子の製造装置では、上記二つの粒子
形成状態検知部46により得られた樹脂粒子3の形成状
態に基づいて、樹脂粒子3の製造を制御しているが、そ
の具体的な制御は、図62に示すフローチャートにした
がって実行される。
【0230】このフローチャートについて説明すると、
まず、S241として、上記第1・第2の粒子形成状態
検知部46a・46bで樹脂粒子3の形成状態を検知す
る(X=1)。次にS242として、第1・第2の粒子
形成状態検知部46a・46bにより得られた第1・第
2の検知結果を比較し、その比較結果が規定値の範囲内
であるか否かを判定する。規定値の範囲内であれば、そ
のままS241およびS242のプロセスを繰り返す
が、規定範囲外であれば、S243として、緩冷却部3
2の温度設定値を調整する。その後、S244として、
第1・第2の粒子形成状態検知部46a・46bにより
再度樹脂粒子3の形成状態を所定回数検知し(X=n:
nは2以上の整数)、S245としてこの所定回数の検
知結果を基準値と比較する。この比較結果が規定値の範
囲外である場合には、S246として、緩冷却部32の
温度測定器61bや温度制御部を点検するように、表示
や警報の発令を行わせる。
【0231】上記二箇所での粒子形成状態の検知におい
て、粒子形成状態として粒子径を選択した場合、第1・
第2の粒子形成状態検知部46a・46bで測定された
粒子径に差が見られる際には、樹脂粒子3に対してさら
に樹脂材料蒸気の凝縮が進行していることが挙げられ
る。そこで、この凝縮を抑制するために、緩冷却部32
の温度を下げるような制御を行う。
【0232】また、粒子形成状態として個数濃度を選択
した場合、樹脂粒子3の粒子径が大きくなると混合部3
0内で樹脂粒子3同士が凝集し易くなり、二箇所で測定
される個数濃度に差が生じる。この場合では、根本的な
原因が粒子径に異常が見られる上述した場合と同様であ
るので、同様の制御を行えばよい。
【0233】本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造装置
は、図59に示すように、上記混合部30における処理
空間31の内壁に振動を与える振動部51を備えてい
る。この振動部51は、前述した粒子供給部10に備え
られているものと同様の構成であり、混合部30におけ
る、特に、緩冷却部32のような管状の部位に形成され
ていることが好ましい。この管状の部位では、形成され
た樹脂粒子3が内壁に付着するなどして閉塞しやすいた
めである。なお、振動部51の具体的な構成については
前述しているため省略する。
【0234】上記振動部51は、上記内壁に常時振動を
与えておけば、内壁への樹脂粒子3などの付着を効果的
に抑制することができるため好ましいが、上記粒子形成
状態検知部46の検知結果に基づいて作動するような構
成であってもよい。この振動部51を作動させるための
制御方法としては、たとえば、図63に示すようなフロ
ーチャートに示す制御が挙げられる。まず、S251と
して、上記第1・第2の粒子形成状態検知部46a・4
6bで検知された樹脂粒子3の形成状態を検知する。次
にS252として、上記第1・第2の粒子形成状態検知
部46a・46bにより得られた第1・第2の検知結果
の差を規定値と比較し、その比較結果が規定範囲内であ
るか否かを判定する。規定値の範囲内であれば、そのま
まS251およびS252のプロセスを繰り返すが、規
定値の範囲外であれば、形成された樹脂粒子3などが内
壁に付着するなどの現象が生じていると判断され、S2
53として振動部51を稼動させる制御がなされる。
【0235】本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造方法
および樹脂被覆微粒子の製造装置では、樹脂粒子3の核
となる微粒子4を液体に懸濁させた後、噴霧して液滴6
とすることにより、該微粒子4を分散している。つま
り、本発明にかかる樹脂被覆微粒子の製造方法および樹
脂被覆微粒子の製造装置では、最終生成物である樹脂粒
子3が形成される前に微粒子4および液滴6という粒子
状の中間体が生成することになる。
【0236】そのため、良質の樹脂粒子3を得るために
は、上記中間体や得られる樹脂粒子3の形成状態を管理
する必要が生じる。そこで、本発明にかかる樹脂被覆微
粒子の製造装置では、上述してきたように、中間体や樹
脂粒子3の形成状態を検知する状態検知部を備えてい
る。
【0237】この状態検知部により検知される検知結果
は、中間体や粒子の粒子状態あるいは粒子生成に当たっ
ての異常を迅速かつ容易に把握することが可能なパラメ
ータである。ところが、これらパラメータの測定の際に
生ずる誤差が大きくなったり、状態検知部に異常が生じ
て正確な測定ができなくなったりする事態が生じるおそ
れがある。
【0238】そこで、上記中間体および樹脂粒子3の少
なくとも何れか一つの粒子状態を検知する状態検知部を
備えている場合に、さらに、該状態検知部の校正を行う
校正手段を備えていることが好ましい。上記校正手段を
備えていることによって、樹脂粒子3の製造プロセスを
より一層安定化させることができる。また、上述した中
間体や樹脂粒子3の粒子状態を検知する状態検知部以外
に、上記樹脂粒子3を製造する過程で得られる粒子状の
中間体や樹脂材料および樹脂材料蒸気の状態(粒子状
態)を検知する状態検知部も設けられている。そこで、
これら状態検知部も校正手段により校正を行う。
【0239】上記校正手段の具体的な校正は、該校正手
段が校正する状態検知部の構成によってそれぞれ異なっ
ているため、特に限定されるものではなく、状態検知部
がより正確な形成状態あるいは粒子状態を検知すること
ができるように構成を行うことができるものであればよ
い。
【0240】たとえば、粒子供給部10や粒子捕獲部7
0にて用いられた状態検知手段としての粒子径測定器6
6の校正を行う場合は、図64に示すように、光学的な
手法により校正を行う校正部90を挙げることができ
る。具体的には、顕微鏡により実際に測定する各種粒子
(液滴6や樹脂粒子3)の粒子径を撮影して画像処理
し、粒子径測定器66で得られた結果と比較しつつ校正
する。
【0241】粒子濃度測定器の校正を行う場合には、図
示しないが、標準の粒子(微粒子4や液滴6の変わりと
なる粒子)を用い、供給する個数濃度を変えたときのデ
ータと透過率との相関を事前に測定しておき、その結果
を初期の基準値として校正を行う方法が挙げられる。
【0242】上記標準の粒子の濃度を測定する方法とし
ては、たとえば、図65(a)・(b)・(c)に示す
ように、一定の時間で所定面積の領域に上記標準の粒子
86を含む輸送用気体を吹き付け、その個数を写真フィ
ルム87に記録する方法が挙げられる。図65(a)か
ら(c)に向かって標準の粒子86の個数が増加してい
る状態を示す。なお、上記写真フィルム87に記録され
たデータを画像処理した後に二値化したデータを用いて
もよい。
【0243】上記のデータに基づいて個数濃度の校正を
行う場合には、たとえば、配管52の前面に上記個数濃
度の異なる写真フィルム87を順次設置し、そのときの
透過率と初期の値とを比較して校正を行えばよい。ま
た、粒子濃度測定器の窓へ粒子が付着したり、窓が汚れ
たりした場合を、その付着具合や汚れ具合を確認するた
めには、粒子を供給しない状態で透過率を測定する。こ
の場合、光源からの光はビームスプリッタによって2光
束に分けて参照光用検出器で検出し、粒子濃度測定器を
透過した光量を参照光用検出器で受光した光量で規格化
して求めればよい。
【0244】また、温度検知器の校正の場合は、一定流
量の輸送用気体を流した状態で加熱装置の設定温度と各
処理空間内の温度との校正曲線を事前に求めておき、そ
れを基にして校正を行う校正部が挙げられる。また、上
記両者の変動範囲を定めることにより、温度測定器・温
度制御部・加熱装置の異常を知ることができる。
【0245】圧力計67の校正の場合は、図66に示す
ように、配管52あるいは粒子捕獲部などの構成88に
圧力計67がバルブ53mを介して設けられているの
で、圧力計に対して、さらにバルブ53nを介して校正
部90としての圧力校正ポート89を設ける。この圧力
校正ポート89により圧力計67に対して所定圧力を付
与することによって圧力計67を校正する。
【0246】流量測定器62の校正の場合は、たとえ
ば、図67に示すように、粒子供給部10における液滴
6の輸送方向の下流側に該流量測定器62が設けられて
いるとすると、微粒子供給源11の前段にバルブ53p
・53qを設けてバイパスライン55を配設し、流量測
定器62が設けられている手前にバルブ53rを介して
接続する方法が挙げられる。
【0247】1バイパスライン55には、校正部90と
して用いられる標準の流量調整器91が設けられてお
り、流量を可変して流量測定器62の校正を行う。上記
構成によれば、流量の校正時にも清浄な気体(輸送用気
体)を使用することができるため、製造装置内を汚染す
ることがない。また、新たに流量校正用に輸送用気体の
供給源などを設ける必要がない。
【0248】蒸気供給部20の樹脂材料貯槽部23に備
えられている残量検知部65の校正について説明する
と、まず、図53に示すように、レーザ光を走査して残
量を検知するような構成では、所定の開口を設けて、そ
の開口の間隔を検知することにより校正を行う。
【0249】上記の開口としては、図68(a)に示す
ように、透明電極85bを設けたガラス等の透明基板8
5a・85a間に液晶・PLZT(チタン酸ジルコン酸
ランタン鉛)などの電圧印加により透過率が変化する構
成85c等を挿入した開口部85を用いることができ
る。この開口部85に対して電圧を印加することによ
り、図68(b)に示すように、所定の開口92が形成
され、該開口92が正常に検知できるか否かで校正を行
う。
【0250】この所定の開口部85を用いる校正方法で
は、通常時は開口部85の全領域が透明であるが、校正
時は、開口92以外の領域93が白濁あるいは着色する
(構成85cが液晶の場合)か、透過率が低下する(構
成85cがPLZTの場合)。そのため、該開口92の
間隔を正常に検知できているか否かで校正を行う。それ
ゆえ、上記開口部85に、所定の開口92が形成される
ような透明電極のパターンを形成しておけば、該開口9
2の間隔を正常に検知できているか否かで校正を行うこ
とが可能になる。
【0251】なお、樹脂材料貯槽部23を透明部材で形
成する場合には、上述した所定の開口92を有する構成
をその中に設けても構わない。あるいは、機械的に上下
にスライドするシャッターを設けることも可能である。
さらに、校正毎に一定の間隔を有する部材を残量検知部
65の部位に差し込んで、該部材の間隔を測定すること
により校正を行う方法も挙げられる。
【0252】一方、図54に示すように、複数の電極6
5a〜65cを使用する残量検知部65の場合では、所
定量の樹脂材料を投入して、事前にアース電極65cと
上限及び下限検知の電極65a・65b間に流れる電流
を求めておき、それを基に校正を行う。なお、樹脂材料
の種類によっては、上記電流の測定値が異なるため、こ
の校正手法は、樹脂材料毎に行う必要がある。
【0253】上記各状態検知部の校正を行う時期につい
ては特に限定されるものではないが、たとえば、製造装
置全体への電源投入時ごと、粒子状の中間体および/ま
たは最終的に得られる樹脂粒子を供給する供給部を点検
あるいは交換するごと、並びに、樹脂粒子を所定量製造
した後、または所定時間経過した後に行えばよい。
【0254】これら各タイミングでは、製造装置を一度
停止させるか、あるいは該装置がある一定期間稼働した
後である。そのため、樹脂粒子の製造プロセスの条件に
何らかの誤差や問題点などが発生し易くなる。それゆ
え、上記各タイミングでの校正を行うことが特に好まし
い。
【0255】また、上記各タイミングには優先順位があ
る。この優先順位は絶対的なものではないが、装置の停
止状態や稼働状態がより長く続いたような場合における
タイミングで行う校正の優先順位が上位とすることが好
ましい。具体的には、その優先順位としては、まず、
(1)製造装置への電源投入時が第一位である。これは、
装置が停止していた状態から稼働状態となるため、稼働
時の初期条件の設定や再確認のためである。
【0256】次に、(2)樹脂粒子を所定量処理した後、
または樹脂粒子の製造過程が所定時間経過した後が第二
位である。これは、昼夜運転などの連続した長時間の運
転の際には、設定条件に誤差が生じるおそれがあるため
である。次に、(3)微粒子や樹脂材料蒸気などの供給部
や各部材を点検・交換した後が第三位である。これは、
部材の点検や交換に際して装置を停止したり、条件の設
定を変更したりする場合があるためである。
【0257】なお、(3)の場合、(1)あるいは(2)での
校正がなされた後、あまり時間が経過していなければ、
必ずしも行う必要はない。また、交換などを行った付近
の必要な測定手段の校正のみでもかまわない。
【0258】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の樹脂被覆微粒子
の製造方法は、以上のように、形成された樹脂被覆微粒
子を回収するまでの各工程毎に、該工程での原材料、樹
脂被覆微粒子を形成する過程で生ずる中間体、または形
成された樹脂被覆微粒子における、形状、供給条件、お
よび輸送条件の少なくとも何れか一つを粒子状態として
検知するとともに、検知した粒子状態を各工程の制御に
用いる方法である。
【0259】それゆえ、上記方法では、各工程における
微妙な条件をより的確に設定することができるとともに
各工程を実施する装置に異常が発生した場合に迅速に対
応することができる。その結果、従来よりもより一層安
定かつ確実な樹脂被覆微粒子の製造が可能となるという
効果を奏する。
【0260】本発明の請求項2記載の樹脂被覆微粒子の
製造方法は、以上のように、請求項1記載の方法に加え
て、上記樹脂材料蒸気を凝縮させる前に、微粒子を液体
に懸濁させて粒子懸濁液体を調製した後に、該粒子懸濁
液体を噴霧することにより微粒子を含む液滴を上記中間
体として生成する方法である。
【0261】それゆえ、上記方法では、凝集した微粒子
に対して樹脂が被膜されることがなく、得られる樹脂被
覆微粒子の品質を向上させることができるという効果を
奏する。また、微粒子の分散を非常に簡素な構成とする
ことができるので、製造装置の構成を簡素化するととも
に、製造装置のコストも低減することができるという効
果を併せて奏する。
【0262】本発明の請求項3記載の樹脂被覆微粒子の
製造方法は、以上のように、請求項1または2記載の方
法に加えて、上記粒子状態を検知する状態検知手段の校
正を行う方法である。
【0263】それゆえ、上記方法では、状態検知手段を
校正することにより、より正確な粒子状態を検知するこ
とが可能になり、より一層確実な工程の制御を実現でき
るという効果を奏する。
【0264】本発明の請求項4記載の樹脂被覆微粒子の
製造装置は、以上のように、形成された樹脂被覆微粒子
を回収するまでの各工程毎に、該工程での原材料、樹脂
被覆微粒子を形成する過程で生ずる中間体、または形成
された樹脂被覆微粒子における、形状、供給条件、およ
び輸送条件の少なくとも何れか一つを粒子状態として検
知する状態検知手段を少なくとも1つ有しているととも
に、該状態検知手段により検知された粒子状態を用い
て、各工程を制御する構成である。
【0265】それゆえ、上記構成によれば、従来よりも
より一層安定かつ確実に樹脂被覆微粒子を製造すること
ができるという効果を奏する。
【0266】本発明の請求項5記載の樹脂被覆微粒子の
製造装置は、以上のように、請求項4記載の構成に加え
て、さらに、上記原材料、中間体、または樹脂被覆微粒
子を輸送するために用いられる、塵芥がほぼ除去された
輸送用気体を供給する気体供給手段と、上記輸送用気体
が流通する配管とを備えている構成である。
【0267】それゆえ、上記構成では、原材料、中間
体、あるいは樹脂被覆微粒子を所望の場所に的確に輸送
することができるという効果を奏する。また、最終的に
得られる樹脂被覆微粒子に塵芥などの不純物が混入する
ことがなく、高品質の樹脂被覆微粒子を得ることができ
るという効果も併せて奏する。
【0268】本発明の請求項6記載の樹脂被覆微粒子の
製造装置は、以上のように、請求項4または5記載の構
成に加えて、さらに、形成された樹脂被覆微粒子を捕獲
して回収する粒子捕獲手段を少なくとも1つ備えている
構成である。
【0269】それゆえ、上記構成では、樹脂被覆微粒子
をより確実に回収することができるという効果を奏す
る。
【0270】本発明の請求項7記載の樹脂被覆微粒子の
製造装置は、以上のように、請求項6記載の構成に加え
て、さらに、上記粒子捕獲手段により捕獲された樹脂被
覆微粒子を収容する粒子収容手段を少なくとも1つ備え
ている構成である。
【0271】それゆえ、上記構成では、樹脂被覆微粒子
の回収を簡素化することができるという効果を奏する。
また、粒子収容手段と粒子捕獲手段を一体化することに
よって、装置構成も簡素化することができるという効果
も併せて奏する。
【0272】本発明の請求項8記載の樹脂被覆微粒子の
製造装置は、以上のように、請求項4ないし7の何れか
1項に記載の構成に加えて、上記蒸気供給手段は、樹脂
材料を蓄積する樹脂材料貯槽部と、該樹脂材料の含有を
可能とし、かつ、輸送用気体と直接接触する多孔質材料
からなっている内壁によって囲まれている蒸気生成箱
と、該蒸気生成箱の上方に設けられている排出口と、該
蒸気生成箱内を加熱する加熱手段とを有している構成で
ある。
【0273】また、本発明の請求項9記載の樹脂被覆微
粒子の製造装置は、以上のように、請求項8記載の構成
に加えて、上記蒸気生成箱は、上記樹脂材料貯槽部の配
置状態から見て傾斜するように配置している構成であ
る。
【0274】それゆえ、上記各構成では、樹脂材料を非
常に効率的に利用することができるという効果を奏す
る。
【0275】本発明の請求項10記載の樹脂被覆微粒子
の製造装置は、以上のように、請求項4ないし9の何れ
か1項に記載の構成に加えて、上記混合部は、樹脂材料
の蒸気と微粒子とを混合させて該微粒子表面上に樹脂材
料の蒸気を凝縮させる処理空間と、該処理空間に直結し
て鉛直方向にほぼ沿うように縦長に形成されており、表
面に樹脂材料が凝縮した微粒子を緩やかに冷却する緩冷
却部とを有している構成である。
【0276】それゆえ、上記構成では、微粒子表面上に
確実に樹脂材料蒸気を凝縮させて、該樹脂材料を確実に
重合することができるという効果を奏する。
【0277】本発明の請求項11記載の樹脂被覆微粒子
の製造装置は、以上のように、請求項10記載の構成に
加えて、上記混合部の処理空間には、樹脂材料の蒸気が
凝縮する際に発生する液滴を回収する液滴回収手段が設
けられている構成である。
【0278】それゆえ、上記構成では、得られる樹脂被
覆微粒子の品質を向上させることができるという効果を
奏する。
【0279】本発明の請求項12記載の樹脂被覆微粒子
の製造装置は、以上のように、請求項4ないし11の何
れか1項に記載の構成に加えて、樹脂被覆微粒子の表面
に形成されている樹脂被膜との反応性が低い物質を捕獲
用材料として蒸気化する捕獲用材料蒸気供給手段と、樹
脂被覆微粒子と上記捕獲用材料蒸気とを混合する第2混
合部と、該第2混合部中で樹脂被覆微粒子および捕獲用
材料蒸気を冷却する第2混合部冷却手段とを有する粒子
径制御手段をさらに備えている構成である。
【0280】それゆえ、上記構成では、樹脂被覆微粒子
の径を変化することができるため、特別な構成の粒子捕
獲手段を用いなくても、確実に樹脂被覆微粒子を捕獲、
回収することができるという効果を奏する。
【0281】本発明の請求項13記載の樹脂被覆微粒子
の製造装置は、以上のように、請求項4ないし12の何
れか1項に記載の構成に加えて、上記原材料、中間体お
よび樹脂被覆微粒子の何れかが閉塞し易い部位に振動を
与える振動手段を備えている構成である。
【0282】それゆえ、上記構成では、樹脂被覆微粒子
の製造を円滑に進行させることができるという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる粒子供給部にお
ける液滴の粒子状態を検知する構成を示す説明図であ
る。
【図2】図1に示す粒子供給部を備える本発明にかかる
樹脂被覆微粒子の製造装置の構成を示す模式図である。
【図3】図1に示す樹脂被覆微粒子の製造装置に備えら
れている蒸気供給部および混合部の構成を示す説明図で
ある。
【図4】(a)・(b)・(c)は、図1に示す粒子供
給部が生成する液滴の状態を示す説明図である。
【図5】図1に示す粒子供給部においてなされる液滴の
粒子状態の検知結果を用いた制御の一例を示すフローチ
ャートである。
【図6】図1に示す粒子供給部に備えられている噴霧部
の具体的な構成を示す説明図である。
【図7】図1に示す粒子供給部に備えられている噴霧部
の具体的な構成を示す説明図である。
【図8】図1に示す粒子供給部に備えられている噴霧部
の具体的な構成を示す説明図である。
【図9】図1に示す粒子供給部に備えられている噴霧部
の具体的な構成を示す説明図である。
【図10】図1に示す粒子供給部においてなされる液滴
の粒子状態の検知結果を用いた制御の他の例を示すフロ
ーチャートである。
【図11】図1に示す粒子供給部に対して振動手段を設
けた状態を示す説明図である。
【図12】図1に示す粒子供給部においてなされる液滴
の粒子状態の検知結果を用いた制御のさらに他の例を示
すフローチャートである。
【図13】図1に示す粒子供給部においてなされる液滴
の粒子状態の検知結果を用いた制御のさらに他の例を示
すフローチャートである。
【図14】図1に示す粒子供給部においてなされる液滴
の粒子状態の検知結果を用いた制御のさらに他の例を示
すフローチャートである。
【図15】図1に示す粒子供給部においてなされる液滴
の粒子状態の検知結果を用いた制御のさらに他の例を示
すフローチャートである。
【図16】図1に示す粒子供給部においてなされる液滴
の粒子状態の検知結果を用いた制御のさらに他の例を示
すフローチャートである。
【図17】図1に示す粒子供給部においてなされる液滴
の粒子状態の検知結果を用いた制御のさらに他の例を示
すフローチャートである。
【図18】図1に示す粒子供給部においてなされる液滴
の粒子状態の検知結果を用いた制御のさらに他の例を示
すフローチャートである。
【図19】図3に示す蒸気供給部に状態検知部を設けた
構成を示す模式図である。
【図20】図19に示す状態検知部の具体的な構成を示
す説明図である。
【図21】図19に示す状態検知部を用いてなされる制
御の一例を示すフローチャートである。
【図22】図19に示す状態検知部の具体的な構成を示
す説明図である。
【図23】図19に示す状態検知部の具体的な構成を示
す説明図である。
【図24】図22に示す状態検知部を用いてなされる制
御の一例を示すフローチャートである。
【図25】図23に示す状態検知部を用いてなされる制
御の一例を示すフローチャートである。
【図26】図2に示す樹脂被覆微粒子の製造装置におけ
る粒子排出口に設けられる粒子捕獲部の構成の一例を示
す説明図である。
【図27】図2に示す樹脂被覆微粒子の製造装置におけ
る粒子排出口に設けられる粒子捕獲部の構成の他の例を
示す説明図である。
【図28】図2に示す樹脂被覆微粒子の製造装置におけ
る粒子排出口に設けられる粒子捕獲部の構成のさらに他
の例を示す説明図である。
【図29】図26ないし図28に示す粒子捕獲部の後段
に設けられる粒子径制御部の構成を示す説明図である。
【図30】図29に示す粒子径制御部のさらに後段に粒
子捕獲部を設けた構成を示す説明図である。
【図31】図26に示す粒子捕獲部に粒子収容部を設け
た構成を示す説明図である。
【図32】図27に示す粒子捕獲部に粒子収容部を設け
た構成を示す説明図である。
【図33】図31に示す粒子捕獲部に粒子収容部を設け
た構成の他の例を示す説明図である。
【図34】図33に示す粒子捕獲部に粒子収容部を設け
た構成の他の例を示す説明図である。
【図35】図34に示す粒子収容部の制御の一例を示す
フローチャートである。
【図36】図26に示す粒子捕獲部のさらに他の例を示
す説明図である。
【図37】図36に示す粒子捕獲部の制御の一例を示す
フローチャートである。
【図38】図26に示す粒子捕獲部のさらに他の例を示
す説明図である。
【図39】図26に示す粒子捕獲部に状態検知部を設け
た構成の一例を示す説明図である。
【図40】図26に示す粒子捕獲部に状態検知部を設け
た構成の他の例を示す説明図である。
【図41】図26に示す粒子捕獲部に状態検知部を設け
た構成のさらに他の例を示す説明図である。
【図42】図39ないし図41に示す状態検知部の何れ
か一つを用いてなされる図36に示す粒子捕獲部の制御
の一例を示すフローチャートである。
【図43】図39ないし図41に示す状態検知部の何れ
か一つを用いてなされる図34に示す粒子捕獲部および
粒子収容部の制御の一例を示すフローチャートである。
【図44】図39ないし図41に示す状態検知部の何れ
か一つを用いてなされる粒子捕獲部の制御の一例を示す
フローチャートである。
【図45】図31に示す粒子収容部に状態検知部を設け
た構成の一例を示す説明図である。
【図46】図31に示す粒子収容部に状態検知部を設け
た構成の他の例を示す説明図である。
【図47】図45または図46に示す状態検知部を用い
てなされる図38に示す粒子捕獲部および粒子収容部の
制御の一例を示すフローチャートである。
【図48】図31に示す粒子収容部を直列に二つ設けた
構成の一例を示す説明図である。
【図49】図31に示す粒子収容部を直列に二つ設けた
構成の他の例を示す説明図である。
【図50】図46に示す状態検知部を用いてなされる図
48または図49に示す粒子収容部を制御の一例を示す
フローチャートである。
【図51】図3に示す蒸気供給部に設けられた状態検知
部による該蒸気供給部の制御の一例を示すフローチャー
トである。
【図52】図3に示す蒸気供給部に設けられた状態検知
部による該蒸気供給部の制御の他の例を示すフローチャ
ートである。
【図53】図3に示す樹脂材料貯槽部に設けられた状態
検知部の構成の一例を示す説明図である。
【図54】図3に示す樹脂材料貯槽部に設けられた状態
検知部の構成の他の例を示す説明図である。
【図55】図53または図54に示す状態検知部を用い
てなされる樹脂材料貯槽部の制御の一例を示すフローチ
ャートである。
【図56】図2および図3に示す混合部の構成をより詳
しく説明する説明図である。
【図57】図56に示す混合部に設けられた状態検知部
による該混合部の制御の一例を示すフローチャートであ
る。
【図58】図56に示す混合部に設けられた状態検知部
による該混合部の制御の他の例を示すフローチャートで
ある。
【図59】図56に示す混合部にさらに振動部を設けた
構成を示す説明図である。
【図60】図56に示す混合部に設けられた状態検知部
による該混合部の制御のさらに他の例を示すフローチャ
ートである。
【図61】図56に示す混合部に設けられた状態検知部
による該混合部の制御のさらに他の例を示すフローチャ
ートである。
【図62】図56に示す混合部に設けられた二つの状態
検知部による該混合部の制御の一例を示すフローチャー
トである。
【図63】図56に示す混合部に設けられた状態検知部
を用いてなされる図59に示す振動部の制御の一例を示
すフローチャートである。
【図64】上記状態検知部として用いられる粒子径測定
器を校正する校正部の配置の例を示す説明図である。
【図65】(a)・(b)・(c)は、上記状態検知部
として用いられる粒子濃度測定器を校正する校正方法の
一例を示す模式図である。
【図66】上記状態検知部として用いられる圧力計を校
正する校正部の一例を示す説明図である。
【図67】上記状態検知部として使用される流量測定器
を校正する校正部の一例を示す説明図である。
【図68】(a)は、図53に示す状態検知部の校正に
用いられる開口部の断面図であり、(b)は、(a)に
示す開口部の開口を示す説明図である。
【符号の説明】
3 樹脂被覆微粒子(樹脂粒子) 4 微粒子 5 モノマー(樹脂材料) 6 液滴(中間体) 10 粒子供給部(微粒子供給手段) 20 蒸気供給部(蒸気供給手段) 21 蒸気生成箱 22 気体流入部(気体供給手段) 23 樹脂材料貯槽部 24 加熱装置(加熱手段) 30 混合部 31 処理空間 32 緩冷却部 33 液滴回収部(液滴回収手段) 40・41・42・43・44 状態検知部(状態検
知手段) 45 粒子収容状態検知部(状態検知手段) 46 粒子形成状態検知部(状態検知手段) 47 粒子捕獲状況検知部(状態検知手段) 51 振動部(振動手段) 52・54 配管 61 温度測定器(状態検知手段) 62 流量測定器(状態検知手段) 63・67 圧力計(状態検知手段) 64 光学走査検知器(状態検知手段) 65 残量検知部(状態検知手段) 66 粒子径測定器(状態検知手段) 70 粒子捕獲部(粒子捕獲手段) 73・74 粒子収容部(粒子収容手段) 75 粒子径制御部(粒子径制御手段) 81 第1の粒子捕獲部(粒子捕獲手段) 82 第2の粒子捕獲部(粒子捕獲手段) 90 校正部(校正手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 成川 志郎 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 4G004 BA00 4J037 AA01 CC00 EE03 EE12 EE29 EE33 EE43 EE44

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも核となる微粒子および樹脂材料
    を原材料とし、 上記微粒子表面に樹脂材料を蒸気化して凝縮させ、該樹
    脂材料を重合することにより該微粒子表面に樹脂を被膜
    して樹脂被覆微粒子を形成する樹脂被覆微粒子の製造方
    法において、 形成された樹脂被覆微粒子を回収するまでの各工程毎
    に、該工程での原材料、樹脂被覆微粒子を形成する過程
    で生ずる中間体、または形成された樹脂被覆微粒子にお
    ける、形状、供給条件、および輸送条件の少なくとも何
    れか一つを粒子状態として検知するとともに、 検知した粒子状態を各工程の制御に用いることを特徴と
    する樹脂被覆微粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】上記樹脂材料蒸気を凝縮させる前に、微粒
    子を液体に懸濁させて粒子懸濁液体を調製した後に、該
    粒子懸濁液体を噴霧することにより微粒子を含む液滴を
    上記中間体として生成することを特徴とする請求項1記
    載の樹脂被覆微粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】上記粒子状態を検知する状態検知手段の校
    正を行うことを特徴とする請求項1または2記載の樹脂
    被覆微粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】少なくとも核となる微粒子および樹脂材料
    を原材料とし、上記樹脂材料を蒸気化して供給する蒸気
    供給手段と、上記微粒子を供給する微粒子供給手段と、
    上記微粒子表面に樹脂材料を蒸気化して凝縮させ、該樹
    脂材料を重合することにより該微粒子表面に樹脂を被膜
    して樹脂被覆微粒子を形成する混合部とを備えている樹
    脂被覆微粒子の製造装置において、 形成された樹脂被覆微粒子を回収するまでの各工程毎
    に、該工程での原材料、樹脂被覆微粒子を形成する過程
    で生ずる中間体、または形成された樹脂被覆微粒子にお
    ける、形状、供給条件、および輸送条件の少なくとも何
    れか一つを粒子状態として検知する状態検知手段を少な
    くとも1つ有しているとともに、 該状態検知手段により検知された粒子状態を用いて、各
    工程を制御することを特徴とする樹脂被覆微粒子の製造
    装置。
  5. 【請求項5】さらに、上記原材料、中間体、または樹脂
    被覆微粒子を輸送するために用いられる、塵芥がほぼ除
    去された輸送用気体を供給する気体供給手段と、 上記輸送用気体が流通する配管とを備えていることを特
    徴とする請求項4記載の樹脂被覆微粒子の製造装置。
  6. 【請求項6】さらに、形成された樹脂被覆微粒子を捕獲
    して回収する粒子捕獲手段を少なくとも1つ備えている
    ことを特徴とする請求項4または5記載の樹脂被覆微粒
    子の製造装置。
  7. 【請求項7】さらに、上記粒子捕獲手段により捕獲され
    た樹脂被覆微粒子を収容する粒子収容手段を少なくとも
    1つ備えていることを特徴とする請求項6記載の樹脂被
    覆微粒子の製造装置。
  8. 【請求項8】上記蒸気供給手段は、樹脂材料を蓄積する
    樹脂材料貯槽部と、 該樹脂材料の含有を可能とし、かつ、輸送用気体と直接
    接触する多孔質材料からなっている内壁によって囲まれ
    ている蒸気生成箱と、 該蒸気生成箱の上方に設けられている排出口と、 該蒸気生成箱内を加熱する加熱手段とを有していること
    を特徴とする請求項4ないし7の何れか1項に記載の樹
    脂被覆微粒子の製造装置。
  9. 【請求項9】上記蒸気生成箱は、上記樹脂材料貯槽部の
    配置状態から見て傾斜するように配置していることを特
    徴とする請求項8記載の樹脂被覆微粒子の製造装置。
  10. 【請求項10】上記混合部は、樹脂材料の蒸気と微粒子
    とを混合させて該微粒子表面上に樹脂材料の蒸気を凝縮
    させる処理空間と、 該処理空間に直結して鉛直方向にほぼ沿うように縦長に
    形成されており、表面に樹脂材料が凝縮した微粒子を緩
    やかに冷却する緩冷却部とを有していることを特徴とす
    る請求項4ないし9の何れか1項に記載の樹脂被覆微粒
    子の製造装置。
  11. 【請求項11】上記混合部の処理空間には、樹脂材料の
    蒸気が凝縮する際に発生する液滴を回収する液滴回収手
    段が設けられていることを特徴とする請求項10記載の
    樹脂被覆微粒子の製造装置。
  12. 【請求項12】樹脂被覆微粒子の表面に形成されている
    樹脂被膜との反応性が低い物質を捕獲用材料として蒸気
    化する捕獲用材料蒸気供給手段と、 樹脂被覆微粒子と上記捕獲用材料蒸気とを混合する第2
    混合部と、 該第2混合部中で樹脂被覆微粒子および捕獲用材料蒸気
    を冷却する第2混合部冷却手段とを有する粒子径制御手
    段をさらに備えていることを特徴とする請求項4ないし
    11の何れか1項に記載の樹脂被覆微粒子の製造装置。
  13. 【請求項13】上記原材料、中間体および樹脂被覆微粒
    子の何れかが閉塞し易い部位に振動を与える振動手段を
    備えていることを特徴とする請求項4ないし12の何れ
    か1項に記載の樹脂被覆微粒子の製造装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008095115A (ja) * 2001-06-22 2008-04-24 Sekisui Chem Co Ltd 樹脂微粒子の製造方法、樹脂微粒子及び樹脂微粒子の製造装置
JP2010091495A (ja) * 2008-10-10 2010-04-22 U-Tec Corp 粉体電荷量測定器
JP2010197237A (ja) * 2009-02-25 2010-09-09 U-Tec Corp フィルタカートリッジ、粉体電荷量測定器及び粉体電荷量測定装置
US8525045B2 (en) 2008-06-26 2013-09-03 U-Tec Corporation Faraday cage and device having same

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