JP2000111505A - 味覚センサ及びその学習方法 - Google Patents

味覚センサ及びその学習方法

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JP2000111505A
JP2000111505A JP10284995A JP28499598A JP2000111505A JP 2000111505 A JP2000111505 A JP 2000111505A JP 10284995 A JP10284995 A JP 10284995A JP 28499598 A JP28499598 A JP 28499598A JP 2000111505 A JP2000111505 A JP 2000111505A
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Nobuyuki Mori
信幸 毛利
Kenichi Yoshikawa
研一 吉川
Satoshi Nakada
聡 中田
Yoshio Katsuya
良雄 勝矢
Morimasa Inoue
守正 井上
Hiroshi Matsushita
啓 松下
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Hyogo Prefectural Government
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 表面を有機物で修飾した貴金属電極を試料
溶液に浸し、低周波交流を加えて出力電流をフーリエ変
換する。フーリエ変換成分をNaCl標準溶液中でのI1
成分で正規化し、バックプロパゲーション形のニューラ
ルネットで処理し、味信号とする。 【効果】 単一センサヘッドで、人の味覚を再現でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の利用分野】この発明はニューラルネットを用い
た味覚センサとの学習方法に関する。
【0002】
【従来技術】脂質膜と溶液中の味成分との反応によるイ
ンピーダンスの変化を用いた味覚センサが発表されてい
る(都甲他「味覚センサ」朝倉書店)。このセンサでは
複数種の脂質膜を集積化して味覚センサとし、味成分に
対する挙動が脂質膜の種類毎に異なることを用いて、各
種の味毎に複数種の脂質膜の応答パターンを得、このパ
ターンで味を検出する。しかしながらこの味覚センサで
は、多種類の脂質膜が必要である。
【0003】
【発明の課題】この発明の課題は、単一の電極でも味を
定性できる味覚センサを提供することにある。この発明
の他の課題は、比較的少数の標準試料により味覚センサ
のニューラルネットの学習を可能にすることにある。
【0004】
【発明の構成】この発明の味覚センサでは、試料溶液に
浸すための電極と、該電極に接続した交流電源とフーリ
エ変換部と、該フーリエ変換部の出力を入力とするニュ
ーラルネットとを設ける。ニューラルネットは例えばバ
ックプロパゲーション形のニューラルネットとし、好ま
しくは3層とする。交流電源には、例えば0.01Hz〜
10KHz程度の周波数、好ましくは0.05Hz〜10
0Hz程度の周波数を用いる。交流電源の振幅は例えば
1.5V以下で、好ましくは1V以下として、試料中の
水の電解が生じない電圧とし、水の電解が生じない範囲
で適宜のバイアスを加えても良い。好ましくは、標準試
料溶液に対する前記フーリエ変換部の出力を記憶するた
めのメモリと、このメモリの記憶値で測定試料に対する
フーリエ変換部の出力を正規化するための正規化手段と
を設ける。標準試料溶液には例えば濃度が既知のNaCl
等の味成分を含む水溶液を用い、好ましくはメモリに標
準試料溶液での信号のフーリエ変換成分のR1あるいは
I1成分を記憶させ、この信号との比を求めることによ
り正規化する。また好ましくは、前記電極を貴金属電極
の表面を有機物で修飾したものとし、有機物での修飾に
よりフーリエ変換での高次成分を増して、センサヘッド
(電極を試料溶液に浸した系)からの情報量を増加させ
る。
【0005】またこの発明では、試料溶液に浸すための
電極と、該電極に接続した交流電源とフーリエ変換部
と、該フーリエ変換部の出力を入力とするニューラルネ
ットとを備えた味覚センサを設け、塩味,酸味,甘味,
苦味,旨味の少なくとも5種の味成分に対して、互いに
直交関係にある複数の標準試料溶液を作製し、ここにi
を試料番号、jを塩味〜旨味の味成分の1つを表す記号
とし、aij,aij'を試料番号iの標準試料溶液での味
成分j,j’の濃度に対応する値とし、試料番号iに関
する和がCを定数として式1)を充たすことを直交関係に
あると呼び、 該複数の標準試料溶液を用いて前記ニューラルネットを
学習させる。直交関係は統計学上の概念として用い、a
ij,aij'の値はjの味物質の濃度やその対数、あるい
は0,1,2等の水準等とし、味覚では濃度よりもその
対数の方が意味のある場合が多いので、例えば濃度の対
数や水準が好ましい。式1)は味成分jと味成分j’につ
いて、複数の標準試料溶液について(aij・aij')の
和を求めると、味成分の組み合わせ(j,j’)によら
ない定数Cとなることを意味する。特に水準を用いる場
合、2水準として低水準側でaijを−1,高水準側でa
ijを1とすると、Cは0となる。また3水準として、低
水準側でaijを−1,中水準側で0,高水準側で1とし
ても、Cは0となる。好ましくは、前記複数の標準試料
溶液を用いて、前記ニューラルネットをバックプロパゲ
ーションにより学習させて、即ち各標準試料溶液に対す
るニューラルネットのあるべき出力を教師信号として入
力して、ニューラルネットの出力側から入力側へ誤差を
伝搬させながら学習させ、該複数の標準試料溶液に対す
るニューラルネットの出力を求め、該出力の分散を、前
記複数の標準試料溶液中の味成分毎の分散に分解するこ
とにより、味覚センサの学習結果、例えば学習後の各味
成分に対する味覚センサの相対的な感度、を評価する。
【0006】
【発明の作用と効果】この発明の味覚センサでは、試料
溶液に電極を浸して交流を加え、出力電流をフーリエ変
換する。この過程で1つの電極から複数のフーリエ変換
成分が得られ、これをニューラルネットで処理して味を
分析する。このため例えば1電極で味の定性ができる。
【0007】請求項2の発明では、標準試料溶液での出
力電流をフーリエ変換した値を記憶し、これで測定値を
正規化する。電極の表面状態は様々な要因で変化し、ま
た電極毎に個性があるが、標準試料溶液でのフーリエ変
換成分による正規化で電極状態の変動や電極間誤差を補
償し信頼性を高める。フーリエ変換成分として、R1〜
Rn,I1〜In(nは自然数で、Rはフーリエ変換成分
の実数部を、Iは虚数部を示す)を用いるものとする
と、標準試料溶液中でのフーリエ変換成分をR1STD〜R
nSTD,I1STD〜InSTDとして、Ri/RiSTD,Ii/IiS
TDのように正規化しても良い。しかしiが2以上でRiS
TDやIiSTDが実質上0となることがある。またRiSTDや
IiSTD(i>1)の絶対値はR1STDやI1STDに比べて小
さく、絶対値が小さな不安定な信号で正規化することは
好ましくない。これを避けるため好ましくはR1STDやI
1STDで正規化する。
【0008】この味覚センサでは電極からの情報量を増
すことが重要で、そのためにはフーリエ変換での高調波
成分(高次の成分)を増すことが重要である。そして貴
金属電極の表面を有機物で修飾すると、高調波成分が増
す。貴金属には例えば金,白金,パラジウム,ロジウ
ム,銀あるいはこれらの合金等を用いる。
【0009】この発明の味覚センサの学習方法では、直
交関係を用いて標準試料溶液の組成を定める。例えば味
覚として、塩味,酸味,甘味,苦味,旨味の5種を考
え、実施例のようにこれらの濃度を3水準に区別するも
のとする。すると全ての濃度の組み合わせを網羅するに
は、3 の243通りの標準試料溶液が必要で、試料
数が多く学習が困難である。これに対して直交関係を利
用すると、例えば27種類の標準試料溶液で、しかも標
準試料溶液中での味成分間の濃度の相関のない試料を用
意できる。このため標準試料の作製や学習が簡単にな
る。
【0010】味覚センサの学習結果から、味覚センサの
性能を評価できる。塩味,酸味,甘味,苦味,旨味等の
各味成分に関して、ニューラルネットの出力の分散を求
める。次にこの分散を標準試料溶液中の味成分毎、即ち
味物質毎の分散に分解する。例えば塩味に関するニュー
ラルネットの出力の分散を、標準試料溶液での塩化ナト
リウム等の塩味物質による分散、酸味物質による分散、
甘味物質による分散等に分解する。ただし分散は最小
限、当該味物質の変化による分散とそれ以外の原因によ
る分散とに分解すればよい。ここで例えば塩味物質によ
る分散は、ニューラルネットの出力を、標準試料溶液中
での塩化ナトリウム等の濃度やその対数、あるいは水準
等毎に分類し、同じ分類内の出力の和の2乗を加算して
求めることができる。ここで標準試料は味物質毎に直交
しているので、分散を求めるに際して、例えば塩化ナト
リウム濃度による分散を求めるのであれば、酢酸やグル
コース等の他の味物質を無視して分散を求めることがで
きる。そして全分散中に対して、対応する味物質による
分散が占める割合が大きいほど、良い味覚センサが得ら
れたことになる。請求項5の発明では、標準試料溶液間
の直交関係を利用して、味覚センサの学習結果を容易に
評価できる。
【0011】
【実施例】図1〜図13に実施例とその結果とを示す。
図1に、用いた味覚センサの構造を示すと、2は試料溶
液で、醤油や味噌等の調味料、あるいはスープ,ジュー
ス等、味を測定する対象となるものの溶液であれば任意
であり、4は試料溶液2に浸した電極で、好ましくは図
2に示すように、貴金属電極6の表面に単分子層ないし
多分子層の有機物からなる修飾層8を設けたものとす
る。電極材料には好ましくは金や白金,ロジウム,パラ
ジウム,ロジウム,銀あるいはこれらの合金等の貴金属
を用い、実施例では金電極を用いた。単味の貴金属電極
6でも高次成分をもつ出力電流が得られるが、高次成分
の強度が小さいので、高次成分を増加させて情報量を増
すために貴金属電極6の表面に修飾層8を設ける。修飾
層8は例えば、硫黄原子と貴金属電極6の表面との共有
結合により、有機物を貴金属電極6の表面に固定したも
のを用い、ここでは4アミノ−ベンゼンチオールを金電
極にほぼ単分子層で共有結合させて修飾層8とした。ま
た末端のアミノ基はカルボン酸基等に変えても良く、末
端基の種類を変えることにより、各種の味成分、特に甘
味成分や旨味成分,苦味成分に対する応答を変化させる
ことができる。
【0012】図1に戻り、10は交流電源で、ここでは
振幅が0.5Vで1Hzの電源を用い、12は電極4を流
れる電流を検出するための電流検出部で、その出力をフ
ーリエ変換部14でR0(直流成分)及びR1〜R6,I1
〜I6にフーリエ変換する。ここでは交流を電極4に加
えているので直流成分R0を用いず、R1〜R6と、I1〜
I6の12成分により信号を構成する。16はメモリ
で、標準試料溶液の例えば10m mol/lのNaCl水溶液
でのI1成分を記憶し、この信号は味の測定前に測定し
て、電極4の状態の変化や電極毎の個性を補償するため
に用いる。なおI1成分に変えてR1成分を用いても良
い。18は除算部で、味を測定する試料からのフーリエ
変換信号に対して、メモリ16に記憶したNaCl標準試
料溶液中での出力電流のI1成分との比を求め、これを
バックプロパゲーション形のニューラルネット20に入
力する。ニューラルネット20は入力層22と中間層2
4及び出力層26の3層からなり、発明者の実験による
と、4層以上の構成ではニューラルネットの興奮が収ま
らなかった。従ってニューラルネット20は3層のネッ
トが好ましい。入力層22は、NaCl標準試料溶液中の
I1で正規化したR1〜R6と、I1〜I6を入力するの
で、12ニューロンで、中間層24には8ニューロンを
用い、出力層26には塩味,酸味,甘味,苦味,旨味の
5ニューロンを設けた。また出力層26には教師入力を
可能とし、バックプロパゲーションにより、ニューロン
間の結合常数を収束させるようにした。
【0013】図3に実施例での信号の流れを示すと、交
流電源10は前記のように振幅0.5Vで周波数1Hzの
信号を電極4に加え、電極4は試料中に浸されているの
で、これに応じて出力電流が流れる。これをフーリエ変
換部14で実数部Rと虚数部Iにフーリエ変換し、前記
のように味の測定前に(例えば1時間以内に)NaCl標
準試料溶液中で測定したI1成分で正規化し、これをバ
ックプロパゲーション形のニューラルネット20に入力
する。正規化に用いる標準試料溶液は、NaCl標準試料
溶液に限らず、味成分を含む水溶液で内容が既知のもの
であれば任意である。なお実施例では試料溶液2を恒温
層で20℃に保持して測定した。
【0014】教師データ用の味成分として、塩味に対し
てNaCl,酸味に対して酢酸,甘味に対してD−グルコ
ース,苦味に対してカフェイン,旨味に対してL−グル
タミン酸ナトリウムを用い、水溶液として濃度を塩味,
酸味,甘味に対して0,10,100m mol/lとし、苦
味に対して0,1,10m mol/lの水溶液を用い、旨味
に対して0,2,20m mol/lの水溶液を用いた。そし
て塩味,酸味,甘味,苦味,旨味の5成分に対して、前
記の味物質の単味あるいは混合物の水溶液を教師データ
用の試料とし、各味物質の濃度は前記の通りである。そ
してこれらの水溶液に電極4を浸し、10m mol/lのNa
Cl中でのI1成分による正規化を行い、出力層26へ試
料溶液の種類を教師入力して学習させた。ここでニュー
ラルネット20を3層で構成し、中間層24のニューロ
ン数を8とすると、ニューロン間の結合常数が収束して
興奮が収まった。4層以上のニューラルネットや中間層
24のニューロン数が8を越える場合、興奮は収まらな
かった。そして教師データに対して100万回学習させ
ると、教師データと同じデータに対する5つの出力ニュ
ーロンの出力値の2乗平均誤差が5〜6%程度に収束し
た。
【0015】表1〜表3に、標準試料溶液を用いての学
習結果を示す。表1は標準試料溶液の内容を、0(最低
濃度,水準1),10(中濃度,水準2),100(最
高濃度,水準3)の3段階に分類して示し、各水準での
濃度は前記の通りで、0,10,100は学習での出力
側教師データでもあり、出力ニューロンのシグモイド関
数型の出力値(0〜1)を0〜100の表示に変更した
ものである。表1は直交表L27(313)の一部であ
り、この表を用いて27種の標準試料溶液に対してNa
Cl,酢酸,D−グルコース,カフェイン,L−グルタ
ミン酸ナトリウムの濃度を定めた。また直交表 L27
(313)の第1列にNaClを,第2列に酢酸を,第5
列にD−グルコースを,第12列にカフェインを,第1
3列にL−グルタミン酸ナトリウムを割り当てた。表か
ら明らかなように、水準1でaijの値を−1,水準2で
0,水準3で1として、iを試料番号、jを味成分の種
類とすると、任意の2種類の味成分に対して が成立する。
【0016】
【表1】味覚物質配合水溶液の味覚の理想値(教師データ) 行番号 塩味 酸味 甘味 苦味 旨味 1 0 0 0 0 0 2 0 0 10 10 10 3 0 0 100 100 100 4 0 10 0 100 100 5 0 10 10 0 0 6 0 10 100 10 10 7 0 100 0 10 10 8 0 100 10 100 100 9 0 100 100 0 0 10 10 0 0 10 100 11 10 0 10 100 0 12 10 0 100 0 10 13 10 10 0 0 10 14 10 10 10 10 100 15 10 10 100 100 0 16 10 100 0 100 0 17 10 100 10 0 10 18 10 100 100 10 100 19 100 0 0 100 10 20 100 0 10 0 100 21 100 0 100 10 0 22 100 10 0 10 0 23 100 10 10 100 10 24 100 10 100 0 100 25 100 100 0 0 100 26 100 100 10 10 0 27 100 100 100 100 10
【0017】表2に、100万回の学習後の各標準試料
に対する5つの出力ニューロンの出力値を示す。行番号
1〜27は27種の標準試料を、塩味等の5つの列は5
つの出力ニューロンの出力を示す。表1,表2を比較す
ると、行番号3,9,22,24,25,27でニュー
ラルネットの味覚評価値が教師データに近く、行番号
1,2,11,13,14,17,23で味覚評価値の
教師データ差異が大きい。
【0018】
【表2】味覚物質配合水溶液の味覚認識結果 行番号 塩味 酸味 甘味 苦味 旨味 1 0 8.1 0 7.1 4.5 2 7.1 0 7 0.1 0 3 0 0 92.5 92.6 96.5 4 0 0 0.1 92.9 92.7 5 0 0.1 1.2 0.8 0 6 0 12.1 93.9 0 0 7 0 96.7 0.3 3.4 0.2 8 0 92.3 0 99.9 95.6 9 0 92.6 98.1 0 0 10 6.4 0 0.1 23.7 95.8 11 0 0 0 99.9 3.7 12 13.9 0 99.6 7.3 13.9 13 0 0.1 7.2 0 1.6 14 0 7.3 0 3.4 99.9 15 0 13.3 95.4 99.9 0 16 0 92.3 0.2 95.5 6.5 17 0 96.5 0.3 4.6 0.2 18 0 99 91.5 10.6 99.9 19 99.9 0 0.1 99.9 0 20 99.9 0 0 3 96.8 21 96.7 0 25.8 93.4 0 22 99.9 11.5 0 7.6 0.1 23 99.9 0 0.5 99.9 0 24 99.7 11.3 99.1 0 99.9 25 99.9 99.1 0.9 0 98.2 26 98.1 99.7 5.4 6.3 4.3 27 83.8 92.2 88.8 96.5 12.5
【0019】表2の結果を用いて味覚センサの学習結果
を評価するため、分散分析を行った。結果を表3に示
す。表3において、自由度は 試料数−1 の26とな
り、水準数が3であることから塩化ナトリウム等の個々
の味成分に対して自由度が2となり、塩化ナトリウムと
酢酸の交互作用等の項に対して自由度が4となる。交互
作用の項は塩化ナトリウム,酢酸,D−グルコースの間
で選んだが、他の選び方をしても良く、あるいは交互作
用の項を全て誤差に含めても良い。
【0020】
【表3】分散分析表 F0 変動因子 自由度 塩味 酸味 甘味 苦味 旨味 F(1%) F(5%) NaCl(A) 2 1793 1.0 1.4 1.0 1.0 18 6.94 酢酸(B) 2 3.2 6535 1.2 1.5 0.5 18 6.94 D-ク゛ルコース(C) 2 0.3 4.3 160 0.6 0.6 18 6.94カフェイン (D) 2 1.8 [9.3] 1.4 68.8 0.2 18 6.94 L-ク゛ルタミン酸 ナトリウム(E) 2 0.3 2.9 1.2 0.9 911 18 6.94 A×B 4 1.0 2.8 1.5 0.7 0.6 16 6.39 B×C 4 0.7 [9.8] 1.2 0.7 0.1 16 6.39 C×A 4 0.9 5.9 1.3 0.9 [11.6] 16 6.39 誤差 4 計 26 :1%で有意 [ ] :5%で有意
【0021】分散分析では、塩味等の各出力ニューロン
の出力値について、27種の試料に対する全分散を求
め、次に例えば塩味に対して塩化ナトリウム濃度の変化
に伴う分散を求める。全分散は表3の8種類の分散と誤
差項の和となり、各分散(例えば塩味に対する塩化ナト
リウム濃度の変化に伴う分散)と誤差項との比が、表3
での観測F0値となる。これに対してF検定を行い、F
(1%)は反対仮説の例えば「塩化ナトリウム濃度の差
は塩味に影響していない」を有意水準1%で棄却できる
ためのF値を、F(5%)は同様の反対仮説を有意水準
5%で棄却できるためのF値を示す。
【0022】例えば塩味の項を見ると、塩化ナトリウム
のF値はF(1%)よりも十分大きく、他の項はF(5
%)よりも小さく、塩味には塩化ナトリウム濃度が関与
するが、酢酸等の他の味成分は寄与していないことが分
かる。
【0023】酸味の項では、酢酸濃度の寄与が圧倒的に
大きいが、カフェイン濃度が酸味に寄与しないとの仮説
を有意水準5%で棄却でき、また酢酸とグルコースの交
互作用が酸味に寄与しないとの仮説も有意水準5%で棄
却できる。味覚センサで検出した酸味には、酢酸濃度の
他に、カフェイン濃度の効果と、酢酸とグルコースとの
交互作用とがわずかであるが寄与している。これ以外
に、甘味と塩味の交互作用が酸味に寄与している可能性
がある。
【0024】甘味と苦味に対しては、それぞれグルコー
スやカフェイン濃度が影響し、旨味は主としてグルタミ
ン酸ナトリウム濃度で定まるが、塩化ナトリウムとグル
コースの交互作用も旨味として認識されている。
【0025】直交表を用いて標準試料溶液の組成を決定
すると、5種類3水準に対して27種の試料で十分で、
比較的少ない試料数で学習を行うことができる。各変動
因子(塩化ナトリウム等)は互いに直交しているので、
変動成分間の濃度の相関が無く、分散分析が簡単にな
る。そして分散分析から味覚センサの能力を把握でき
る。
【0026】図4〜図11に、各種試料溶液に対するフ
ーリエ変換成分と、10m mol/lのNaCl標準試料溶液
中でのI1成分により正規化した際の相対強度とを示
す。図4,図5には市販の薄口醤油を2%に希釈した際
の結果を示し、図6,図7には濃口醤油を2%に希釈し
た際の結果を示し、図8,図9には市販の煮物用スープ
を6%に希釈した際の結果を示し、図10,図11には
市販のうどん用スープを2%に希釈した際の結果を示
す。各図から明らかなように、フーリエ変換成分中で最
も大きな信号はI1成分で、R1成分がこれに次ぐ。一方
R2やI2以上の成分では信号が極めて小さくなることが
ある。そこで標準試料溶液中でのI1成分により正規化
することにより、大きな信号で正規化して小さな不安定
な信号による正規化を避け、かつ0で除算するのを避け
ることにした。
【0027】図12,図13に、薄口醤油や濃口醤油,
煮物用スープ,うどん用スープに対するニューラルネッ
トの出力をレーダーチャートで示す。レーダーチャート
の枠は、出力ニューロンの出力が100%に達した際の
枠を示し、用いた試料は図4〜図11のものである。図
12から明らかなように、薄口醤油と濃口醤油とではレ
ーダーチャートのパターンが全く異なり、これらを簡単
に区別できる。また図13から明らかなように、うどん
用スープと煮物用スープは苦味成分の強弱が全く異な
り、これらからうどん用スープ,煮物用スープを区別で
きる。図12,図13には4種類の醤油ベースの味が示
され、味覚センサはこれらを完全に区別できる。類似の
ベースの味を見分けることができるので、ベースの異な
る味であればより簡単に見分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の味覚センサのブロック図
【図2】 実施例での電極構造を示す図
【図3】 実施例での信号の処理を示す図
【図4】 市販薄口醤油(2%)での信号のフーリエ
変換成分を示す特性図
【図5】 図4のデータをNaCl標準溶液でのI1成
分により正規化したパターンを示す特性図
【図6】 市販濃口醤油(2%)での信号のフーリエ
変換成分を示す特性図
【図7】 図6のデータをNaCl標準溶液でのI1成
分により正規化したパターンを示す特性図
【図8】 市販煮物用スープ(6%)での信号のフー
リエ変換成分を示す特性図
【図9】 図8のデータをNaCl標準溶液でのI1成
分により正規化したパターンを示す特性図
【図10】 市販うどん用スープ(2%)での信号のフ
ーリエ変換成分を示す特性図
【図11】 図10のデータをNaCl標準溶液でのI1
成分により正規化したパターンを示す特性図
【図12】 薄口醤油と濃口醤油に関する味覚センサの
出力を示すレーダーチャート
【図13】 煮物用スープとうどん用スープに関する味
覚センサの出力を示すレーダーチャート
【符号の説明】
2 試料溶液 4 電極 6 貴金属電極 8 修飾層 10 交流電源 12 電流検出部 14 フーリエ変換部 16 メモリ 18 除算部 20 ニューラルネット 22 入力層 24 中間層 26 出力層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝矢 良雄 尼崎市塚口町6丁目12番地の4 (72)発明者 井上 守正 姫路市網干区高田314番地 (72)発明者 松下 啓 赤穂市有年1163番地 Fターム(参考) 2G060 AA06 AC08 AC10 AD01 AD05 AE40 AF03 AG03 AG15 EA02 FA05 FB02 HE03 JA10 KA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料溶液に浸すための電極と、該電極に
    接続した交流電源とフーリエ変換部と、該フーリエ変換
    部の出力を入力とするニューラルネット、とを備えた味
    覚センサ。
  2. 【請求項2】 標準試料溶液に対する前記フーリエ変換
    部の出力を記憶するためのメモリと、該メモリの記憶値
    で測定試料に対するフーリエ変換部の出力を正規化する
    ための正規化手段とを備えたことを特徴とする、請求項
    1の味覚センサ。
  3. 【請求項3】 前記電極を貴金属電極の表面を有機物で
    修飾したものとしたことを特徴とする、請求項1または
    2の味覚センサ。
  4. 【請求項4】 試料溶液に浸すための電極と、該電極に
    接続した交流電源とフーリエ変換部と、該フーリエ変換
    部の出力を入力とするニューラルネットとを備えた味覚
    センサを設け、 塩味,酸味,甘味,苦味,旨味の少なくとも5種の味成
    分に対して、互いに直交関係にある複数の標準試料溶液
    を作製し、 ここにiを試料番号、jを塩味〜旨味の味成分の1つを
    表す記号とし、aij,aij'を試料番号iの標準試料溶
    液での味成分j,j’の濃度に対応する値とし、試料番
    号iに関する和がCを定数として下式を充たすことを直
    交関係にあると呼び、 該複数の標準試料溶液を用いて前記ニューラルネットを
    学習させることを特徴とする、味覚センサの学習方法。
  5. 【請求項5】 前記複数の標準試料溶液を用いて、前記
    ニューラルネットをバックプロパゲーションにより学習
    させて、該複数の標準試料溶液に対するニューラルネッ
    トの出力を求め、 該出力の分散を、前記複数の標準試料溶液中の味物質毎
    の分散に分解することにより、味覚センサの学習結果を
    評価することを特徴とする、請求項4の味覚センサの学
    習方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018105659A (ja) * 2016-12-23 2018-07-05 国立研究開発法人理化学研究所 識別装置、識別システム、学習装置、学習方法、識別プログラム、学習プログラム、記録媒体、及び集積回路
KR20200094811A (ko) * 2019-01-08 2020-08-10 재단법인대구경북과학기술원 미각데이터에 대한 선호도표시시스템 및 방법
KR20220153901A (ko) * 2021-05-12 2022-11-21 재단법인대구경북과학기술원 미후각 감지 방법 및 장치

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